2022年02月13日

想像の余地もないほど一目瞭然 フレンズ1-12改その5

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7:30
[Scene: Chandler and Joey's apartment. Joey and Chandler use their knees as a table to support the lasagna]
シーン:チャンドラーとジョーイのアパートメント。ジョーイとチャンドラーはラザニアを支えるために自分の膝をテーブルとして使っている。
チャンドラー: Okay, so just because it was my table, I have to buy a new one? (よし、それでそれが俺のテーブルだったからって理由だけで、俺が新しいテーブルを買わないといけないのか?)
ジョーイ: That's the rule. (それがルールだよ。)
チャンドラー: What rule? There's no rule. If anything, you owe me a table. (何のルールだよ? ルールなんかない。むしろ(何かあるとすれば)、お前が俺にテーブルを買う義務がある。)
ジョーイ: How'd you get there? (どうしてそういうことになるんだよ?)
チャンドラー: Well, I believe this piece of furniture was fine until your little breakfast adventure with Angela Delveccio. (そうだな、お前がアンジェラ・デルベキオとちょっとした朝食の冒険をするまでは、この家具は問題なかったはずだと思うからね。)
ジョーイ: You knew about that? (そのことをお前は知ってたのか?)
チャンドラー: Well, let's just say the impressions you made in the butter left little to the imagination. (そうだな、お前がバターに残した痕跡は想像の余地もなかった(ほど一目瞭然だった)と言っておこう。)

このシーンの最初のセリフで、「俺のテーブルだったから、俺が買わないといけないってか?」のように聞き返していることから、その前にジョーイが、「テーブルが壊れたから、チャンドラー、新しいテーブルを買ってくれよ。元々お前のものだろ?」と言ったであろうことが想像できます。
「持ち物が壊れたら、持ち主が買うのがルールだ」とジョーイは言いたいようですが、チャンドラーはそんなルールはない、と言います。
相手が「それがルールだよ」と言ってきた場合に「ルールって何だよ? そんなルールなんかないぞ」と反論することは日本語の会話でもありそうな流れですが、その場合には今回のように、That's the rule. - What rule? There's no rule. と返せば抗議のニュアンスが出ることもわかります。

if anything は「どちらかと言えば、むしろ」という決まり文句で、ここではそういう意味とも取れますし、if there’s any rule 「もし何らかのルールがあるとすれば」という意味にも解釈できるかもしれません。
俺に言わせれば、何らかのルールに則(のっと)るとすると、お前がテーブルを買うべきだと思うね、という感じです。
You owe me a table. は「お前は俺にテーブルの借りがある、お前は俺にテーブルを買って返すべき義務を負っている」ということ。
猫は貸しにしておく フレンズ1-7改その19 に出てきた You owe me a cat. と同じ使い方になります。

How'd you get there? について。
このセリフの表記は、
DVD : How did you get that?
ブルーレイ : How did you get there?
Netflix : How'd you get there?
となっていました。
音声を聞くと、that ではなく there に聞こえるので、How did you get that? または How did の部分を短縮した How'd you get there? が正しいと思われます。

get にはいろいろな意味がありますが、<get to+場所>が「(場所)に行く・到達する」という意味であることから、get there だと「そこに行く・到達する」となります。
there 「そこに」の「そこ」とは、「お前が俺にテーブルを買う義務がある、テーブルを買うべきなのはお前の方だ」というチャンドラーの出した「結論」だと考えられますので、「どのようにしてお前はその結論に到達したんだよ?」→「どうしてそういうことになるんだよ」というニュアンスで使っていると考えればよいでしょう。

どうしてそういう結論になるかということを、チャンドラーは、I believe 以下で説明しています。
this piece of furniture は「この家具」、つまり「壊れたテーブル」のこと。
furniture は集合的に「家具」を表す集合名詞なので、不可算名詞になります。
ですから、「家具1点」と言いたい場合は、a furniture ではなく、a piece of furniture と言わなければなりません。
昔の学校英語では、a furniture となっている間違いを探すような正誤問題によく出てきた単語でした。

was fine until... は「…するまでは fine だった、壊れるような状態ではなく良好な状態だった、問題なかった」。
つまり、until 以下のことが起こってから、テーブルの調子が悪くなったということ。
プレイボーイのジョーイに対して「ある女性との、朝のちょっとした冒険」という表現を使えばそれは、女性とのエッチな行為であると想像できます。
ちなみに、フレンズ1-5 にアンジェラというジョーイの元カノが登場して、ヨリを戻していましたので、今回のアンジェラ・デルベキオはそのアンジェラなのかもしれません。

その時、現場にいたわけでもないのに、どうしてお前はそのことを知ってるんだ? と問うジョーイに対してのセリフ、Let's just say the impressions you made in the butter left little to the imagination. について。
let's just say... は「…と言っておこう」、the impressions you made in the butter は「お前がバターに残した[作った]痕跡」。

left little to the imagination は「想像への余地をほとんど残さなかった」。
leave little room for... 「…の余地がほとんどない」というフレーズと似た感覚で、「想像へほとんど何も残さない」ということから、「ほとんど何も想像の余地がない」という意味になるわけです。
想像の余地がない、ということはつまり、想像しなくてもわかる、想像するまでもない、一目瞭然、ということ。

ですから、直訳すると「お前がバターに残した痕跡は、想像の余地がないほど一目瞭然だった、と言っておこう」ということになるでしょう。
つまり、チャンドラーは、ジョーイとアンジェラとの現場を見たわけじゃないけど、バターの痕跡を見てわかっちゃったよ、と言っているわけです。

この部分、DVDの日本語訳は、
バターが異常に 減ってたもん/あぁ、ちょっと想像力使えばわかるさ。バターが異常に減ってたもん。
となっていました。
英語のセリフが指している内容もおそらくそういうことで、バターを使ったプレイをしていた、ということを示唆しているように思います。
ちょっとハードな話になりますが、「食べ物を体に塗って舐め取る」(lick it off)的なプレイを示唆するセリフがフレンズには結構出てきます。
ネタバレしないようにエピソード番号だけ挙げておくと、フレンズ1-14, 3-21, 8-15 などに出てきますが、どれも「セリフそのものは結構エッチなことを言っているけれど、映像でそれをダイレクトには見せない」という形で使われていて、そこが「フレンズ」っぽいところだなぁと思います。

「バターを見りゃわかるよ」みたいに言ったことで、そういうものを使ったプレイをしていて、その激しい行為のせいで机が壊れちゃった、ということを観客に連想させて笑いを取る、というジョークのようです。
いきなりバターの話なので、ピンときにくいところではありますが、ジョーイはプレイボーイである、という設定から、「バター」という単語でそういうことをイメージさせることができるということなのでしょう。


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posted by Rach at 16:15| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。

フレンズ学習者で、シーズン2まで解説を拝見させてもらいまいした。
毎回コメントなどもチェックしていますが、当時の記事が2006年で、いろんな常連の方が集まるコミュニティだったんだな、と歴史を感じるとともに、孤独の学習に対して少し寂しさも感じてしまいました。

当時小学生の自分が、いまのように英語学習に熱心で、このサイトにありつけれていればな、、、

今後ともお世話になると思います。
Posted by もり at 2022年03月10日 23:42
もりさんへ
はじめまして。コメントありがとうございます。お返事大変遅くなり誠に申し訳ありません。

シーズン2まで解説をお読み下さったとのこと、大変光栄で嬉しいです。
2005年にこのブログを開始したのですが、2006年頃は確かに、いろんな常連の方と頻繁にやり取りをしていた頃でした(^^) たくさんの方と意見を交換できたおかげで、私自身が成長させていただけたと感謝しています。

今は当時よりも更新頻度がぐっと落ちてしまいましたが、これからも少しでもお役に立てるような記事が書けるように頑張ります。
こちらこそこれからもよろしくお願いします。
Posted by Rach at 2022年04月17日 15:53
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