2023年12月03日

I've been better. フレンズ1-12改その16

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19:09
[Scene: balcony where Ross has climbed through the window]
シーン:バルコニー、そこにロスが窓を通り抜けて入ってくる。
ロス: Hey. (やあ。)
レイチェル: Hey. (はい。)
ロス: You all right? (大丈夫?)
レイチェル: Oh, I've been better. (あぁ、あまり気分[調子]はよくないわ[前の方が良かったわ]。)
ロス: Come here. [he hugs Rachel] Listen, you deserve so much better than him. You know, I mean, you, you, you should be with a guy who knows what he has when he has you. (おいで。[ロスはレイチェルをハグする] ねぇ、君は彼なんかよりもっといい男が似合うよ。ほら、つまり、君は、君を彼女にしている時に自分が持っているものが何かをわかっている男と一緒にいるべきなんだ。)
レイチェル: Oh, Ross. (あぁ、ロス。)
ロス: What? (何?)
レイチェル: I’m so sick of guys! I don't want to look at another guy. I don't' want to think about another guy, I don't even want to be near another guy. (私は男にはうんざりよ! もう(これ以上)他の男は見たくない。他の男のことは考えたくない、他の男のそばにすらいたくないわ。)
ロス: [Ross crosses arms] Huh. ([ロスは腕組みをする]そうか。)
レイチェル: Oh, Ross, you're so great. (あぁ、ロス、あなたは最高よ。)
ロス: Ohhhh. [hugs her & sighs] (あーあ。[レイチェルをハグしてため息をつく])

You all right? 「大丈夫?」と聞かれたレイチェルは、Oh, I've been better. と返しています。
better 「より良い」という単語が入っているので「気分・調子が良い」という意味に勘違いしてしまいそうですが、この I've been better. というのは「気分や調子が良くない時」に使う決まり文句です。
I've been better. は I have been better. という、これまでの「経験」を表す現在完了形となっており、直訳すると「これまでにもっと良い状態だったことがある」ということ。
つまり「前の方が気分・調子は良かった」と表現することで、今はあまり気分が良くないということを、bad などのダイレクトに「悪い」を意味する単語を使わずに婉曲に表現できるということです。
今回の場合も「大丈夫?」に対して「あまり良くない」と返事したことから、ロスは慰めようとして Come here. と言ってハグをする流れになります。

今回の I've been better. のような比較級が使われている表現は、反語的な意味で使われることも多く注意が必要ですので、ここでいくつか見ておきましょう。
今回と同じような気分を聞かれた時の表現 Couldn't be better. は「これ以上よくなることはない」ということから「最高だ、絶好調だ」という意味になります。
I've seen better. という表現だと、「私は(これまでに)もっといいものを見たことがある」→「今、見ているものは最高ってほどでもない、さほどでもない」という、軽い「けなし言葉」のニュアンスになります。

you deserve so much better than him. は 「君は彼よりももっとずっと素晴らしい男性がふさわしいよ」。
deserve は「〜の価値がある、〜がふさわしい」。
deserve は良い意味、悪い意味のどちらの場合も使われ、悪人が悲惨な状況になっている場合に、"You deserved it." 「お前には当然の報いだ。自業自得だよ」という風に使ったりもします。

You should be with a guy who knows what he has when he has you. について。
he has you を直訳すると「彼が君を持っている」となりますが、これは「彼が君を彼女(恋人)にしている、彼に君のような彼女がいる」というニュアンス。
それを踏まえてこの長い文を訳すと「君という彼女がいる時に、自分が持っているもの(君という彼女)が何であるかをわかっているような男と一緒に君はいるべきなんだ」となるでしょう。
who, what, when と続く文章ですが、前から順番に訳すと、
「君は、こういう男性と一緒にいるべきだ。(それはどういう男性かと言うと)自分が持っているものが何かを知っている男だ、その彼が君という恋人を持っている時に」となります。
つまり、レイチェルを彼女にしている時に、彼女であるレイチェルがどんなに素晴らしい女性かということをわかっている。自分はこんなに素敵な恋人を持っているんだということをしっかりわかっている男と一緒にいるべきだ、ということです。
パウロは、レイチェルという身に余る恋人を持ちながら、レイチェルの友人であるフィービーにちょっかいをかけた、そんな男は君とは釣り合わないよ、レイチェルの素晴らしさをわかっていなかった男だよ、と言ったことになります。

「レイチェルの素晴らしさや素敵さをわかっている男と一緒にいるべきだ」というのは、僕にはそれがよくわかっているという、ロス自身のアピールでもあったでしょう。
誰かとひどい別れ方をした後、いつもそばにいて自分のことを理解し想ってくれている男性に心が動く、というのはよくあるパターンで、レイチェルがこのロスの感動的なセリフを聞いて Oh, Ross. と言った時はそういう流れになると期待してロスも What? と続きを促したのでしょう。
、、が、その後に続く言葉が「男はもう嫌」の4連発で、いかにも「フレンズ」っぽいオチとなっています。

be sick of は「〜にうんざりしている」で、I’m so sick of guys! は「もう男にはうんざり!」という感覚。
ロマンティックな雰囲気になるどころか「男にはうんざり。見たくない、考えたくない、そばにもいたくない」とまくしたてられてしまい、ロスは「うーん、そうかぁ、、」という感じで腕を組んでいます。

「そばにすらいたくない」と男を毛嫌いするレイチェルが、その後、自分から手を伸ばして「ロス、あなたは最高よ」とハグをします。
男のそばにすらいたくないと言っているのにロスにはハグをするということは、ロスのことを「男」として全く見ていない表れですので、ロスとしてはため息をつくしかありません。


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posted by Rach at 13:18| Comment(6) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりです。
情報通のRachさんなら当然ご存知だと思いましたが・・・
もしや?と思ってご紹介します。
>ジェニファー・アニストンら「フレンズ」共演者、マシュー・ペリーの追悼声明を発表
https://www.vogue.co.jp/article/matthew-perry-friends-costars-speak-out

>ジェニファー・アニストンとコートニー・コックス、リサ・クドロー、マット・ルブランク、デヴィッド・シュワイマーが「ピープル」を通じて共同で声明を発表した。

「マシューを失い、完全に打ちのめされています。私たちは共演者以上の関係でした。家族でした。語りたいことはたくさんありますが、今は彼の死を悼み、思いもよらぬ喪失を受け入れるための時間を持ちたいと思います。いずれ時が来たら、もっと多くのことをお伝えするつもりです。今はマッティのご家族と友人、そして彼を愛した世界中の人々に私たちの想いと愛を捧げます」
これですよね。
「フレンズ」の魅力は家族。
そして演じてるものも家族感覚。
見てるものも当然それは感染します。
「フレンズ」は寅さん映画だったんですよ。
寅さん映画もキャストが今でも家族感覚を持っています。
Posted by 多吉 at 2023年12月06日 19:13
それと
>ジュリア・ロバーツ、元恋人マシュー・ペリーの訃報に初コメント
https://www.vogue.co.jp/article/julia-roberts-addresses-ex-matthew-perry

そういえば、、、マシューがジュリア・ロバーツと付き合ってたという噂、、、聞いたことがありましたけど本当だったんですね。

で・・・内容は本文をお読みいただければと思うのですが。
自分がチャンドラーらしいな〜といまさらながら胸にキュンとしたものを感じたのが・・・
>「彼女は世界中、特に僕を笑顔にするために地上に降り立ったみたいな人だった。初めてデートに行く15歳の子みたいに、笑顔が止まらなかった」
まるで中学生の初恋の思い出ですね(笑)
ボクだって美代ちゃんと麦畑 ♪〜です。

で・・・破局の原因が
>「ジュリア・ロバーツとの交際は、僕には荷が重すぎた。彼女に振られるんじゃないかと常に思うようになった」「彼女を失うという避けられない苦痛に直面する前に、僕の方から、あの美しくも輝かしいジュリア・ロバーツを振ったんだ」と明かしていた。

これなんかまんま・・・チャンドラーでしょ?
毒舌家、皮肉屋の癖にとってもナイーブで純情。
この記事を見て、、、在りし日のチャンドラーを思い返しました。

マシューは完璧なまでにチャンドラーだったんですね(涙)
Posted by 多吉 at 2023年12月06日 19:15
それとフレンズ1-12改その16  更新ありがとうございます。
「フレンズ」は今も進行形ですね!

ところで、、、私は今でも趣味で英語の勉強してるんですが・・・
モリテツ御存知ですか?
とっても分かりやすい英語の予備校教師。
チャンドラーなみのウィットを交えた授業が魅力です。

なぜか動画にリンクすると書き込みが拒否されたので・・・

「ユーテラ もりてつ】で動画検索していただければと・・・
良ければ参考にされてください。
Posted by 多吉 at 2023年12月06日 19:21
多吉さんへ
コメントありがとうございます。お返事遅くなり申し訳ありません。

フレンズ共演者によるマシューの追悼声明は大きなニュースになっていましたね。
メンバーの結びつきが強いことは有名でしたので、マシューの訃報は彼らにとってどれほどの衝撃だっただろうかと思います。
ジュリア・ロバーツと付き合っていた話も有名ですよね。

モリテツ先生のことはもちろん存じ上げています。私がブログを始めた初期の頃、他の方のブログを訪問することも多く、その当時、モリテツさんのブログにもよくコメントをさせていただいていたものでした。書店でモリテツさんの本をお見かけするたび、その素晴らしいご活躍ぶりを嬉しい気持ちで見ています。
Posted by Rach at 2023年12月13日 21:40
明けましておめでとうございます

さっき思い出したのが東京でセミナーやっていただいたのが2014年だったんですよね。あれから10年ですよ。確か品川のビルでしたね。シーズン1の第8話が教材だったような。10年経ってもあんまり成長できてないのが問題ですが
Posted by チャン虎ー at 2024年02月18日 01:27
チャン虎ーさんへ

明けましておめでとうございます。コメントありがとうございます。

2014年の東京セミナーのことを思い出して下さったとのこと、場所が品川だったことや、1-8を教材にしたことも覚えていて下さり、とても嬉しいです♪
その節は本当にありがとうございました<(_ _)>

あれからもう10年も経つのですね。月日の経つのは本当に早いものだと実感します。
今もこうしてブログをお訪ね下さること、本当にありがたく思っております。

嬉しいコメントありがとうございました<(_ _)>
Posted by Rach at 2024年02月18日 14:27
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