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チャンドラー: You know, I don't know why you are so embarrassed. They were very nice boobies. (ねぇ、どうして君がそんなに恥ずかしがってるのか俺にはわからないよ。あれはとってもナイスなおっぱいだったよ。)
レイチェル: "Nice"? They were "nice"? I mean, tha... that's it? I mean, mittens are "nice." (「ナイス」? あれは「ナイス」だった? つまり… それだけ? ほら、ミトンは「ナイス」だ、みたいな。)
チャンドラー: Okay. Rock, hard place... me. (わかった、岩、硬い場所…(そこに挟まってる)俺[俺は今、困った立場にある]。)
ロジャー: (Laughs again) You're, you're, you're so funny! He's really funny! I wouldn't wanna be there when, when the laughter stops. ([また笑って] 君って、君って、君ってすっごく面白いね! 彼は本当に面白いよ! その笑いが止まった時に僕ならその場にいたくはないけどね。)
チャンドラー: Whoa. Whoa. Back up there, sparky. What did you mean by that? (おいおい。今の話に戻ってよ、才気(ひらめき)くん。今のはどういう意味だったんだ?)
ロジャー: Huh. Just seems as though that maybe you have intimacy issues. You know, that you use your humor as a way of keeping people at a distance. (うーん、ただ、まるで、多分君には、人との親密さについて問題があるかのように見えるね。ほら、人から距離を保つための手段として、ユーモアを使ってるんだ。)
チャンドラー: Huh. (ほう。)
ロジャー: I mean, hey, I just met you. I don't know you from Adam. Only child, right? Parents divorced before you hit puberty? (つまり、ほら、僕は君と会ったばかりだ。君のことはよく知らない(けどね)。一人っ子だろ? 思春期になる前に両親が離婚した?)
チャンドラー: Uh-huh. How did you know that? (ああ。どうやってそれがわかったんだ?9
ロジャー: It's textbook. ((教科書に出てくるような)典型(的な例)だよ。)
アクシデントでレイチェルの胸を見てしまったチャンドラーは、レイチェルの胸について very nice boobies 「とてもナイスなおっぱい」だったと語ります。
そこで nice という表現を使ったことについてレイチェルは、mittens are "nice." みたいだと言って不満を述べています。
nice は褒め言葉ではあるけれど、「そのミトン(手袋)、いいね」的なレベルの軽い褒め言葉のようにレイチェルには聞こえた、という感じでしょう。
私の大事なものを見ておいて、褒め言葉はその程度なの? ということでしょう。
boobies を nice と言われたことに対して、レイテェルは mittens を例に挙げたわけですが、They were nice. という複数形で表現できるものとして、胸と同じように2つで1セットとなる感じのアイテムをまずは挙げたことになるのでしょう。
対になるものと言えば、gloves (手袋)、shoes (靴)も複数形ですが、それらはゴージャスで上等なものも存在しますし、「概して庶民的」な感じがするミトンを使ったのかなと思います。
レイチェルのご機嫌を取ろうと「ナイス」だと言ったらその言葉に文句を付けられたチャンドラーは、Okay. Rock, hard place... me. と返します。
これは、between a rock and a hard place というイディオムがあるので、それをジェスチャーで表現しながら言ったセリフだと考えられます。
英辞郎では
between a rock and a hard place=苦境に陥って、望ましくない選択を迫られて
ジーニアス英和辞典では
between a rock and a hard place=(略式)困った立場で
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be (stuck) between a rock and a hard place :
(informal) to have a choice between two things, both of which are bad or dangerous
つまり「どちらも悪い、または危険な2つのものの間で選択をすること」。
rock は「岩」で、hard は「硬い」ですから、チャンドラーのしぐさ通り、硬いものの間に挟まって、身動きが取れない、という感覚なのでしょう。
レイチェルの胸を見てしまうわ、フォローで褒めたつもりが却って怒らせてしまうわで、俺はにっちもさっちもいかない状態だ、ということでしょう。
その様子を見ていた、フィービーの彼氏である精神科医のロジャーは大笑いして、チャンドラーを funny だと言いますが、最後に I wouldn't wanna be there when, when the laughter stops. 「その笑いが止まった時に、僕ならその場にはいたくない」と付け加えます。
面白いと言いながらも、本当の姿は違うとでも言いたげなその言い方にチャンドラーも引っ掛かった様子。
Whoa. は「ちょっと待て」というニュアンス。
back up は「バックする、後退する」なので、Back up there は「今のその発言に戻れ(戻ってもらおうか)」という感じでしょう。
spark は「スパーク、火花、閃光」「ひらめき、才気」。
a spark of genius なら「天才のひらめき」。
それに -y をつけて形容詞的な呼び掛け語として使っているので、相手が精神科医としての意見を述べそうだと感じたチャンドラーが、「精神科医として何かひらめいたのかい」とでもいうように sparky と言ったのかなと思いました。
Just seems as though that は「ただ、まるで(that以下)であるかのように見える」。
intimacy は「親密な関係」という意味ですが、「男女の親密な関係、恋愛関係、肉体関係」を指すことが多く、you have intimacy issues. は「君は男女の親密な恋愛関係に問題を抱えている」。
you use your humor as a way of keeping people at a distance は「君は、人と距離を保つための手段・方法として、ユーモアを使う」。
そんな風に冗談ばっかり言っているのは、本心を知られまいと人から距離を取ろうとしてるんだ、と言われたことになります。
not know someone from Adam は「人を全く知らない、面識がない、誰だか全くわからない」という意味。
LAAD では、
not know someone from Adam : (informal) to have no idea who someone is
つまり「(インフォーマル)ある人が誰であるか全くわからない」。
not know A from B は「A と B の区別を知らない」ということで、tell A from B 「A と B を見分ける」の from と同じニュアンス。
直訳すると「人をアダムと区別することができない」になるでしょう。
Adam は旧約聖書に出てくる「最初の人類アダム」。
アダムは誰も見たことがない、だから、それと区別できないということは、アダムと同じようにその人のことも知らない、という意味になります。
only child は「一人っ子」。
hit puberty は「思春期に達する、年頃になる」。
hit の基本的な意味は「打つ、当たる」で、そこから「〜に達する、至る」という意味にもなります。hit の代わりに reach も使えます。
textbook は「教科書、テキストブック」で、そこから、形容詞の「教科書的な、教科書の例に出てくるような典型的な」という意味になります。
君のことはよく知らないけど…と言いながら、プロファイリングしてみせているのがいかにも精神科医という感じです。
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