2016年09月16日

エヴァのセリフの英訳から見えてくること

「フレンズ シーズン1改」を始めます! と宣言した後の最初の記事が、いきなりエヴァの話になってしまい、すみません。英語学習と関係する記事なので、どうかご理解下さい<(_ _)>

1995年から1996年にかけて放映されていたテレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」が、NHK BSプレミアムにて、今日9月16日(金)から放送開始されます。
毎週金曜日午後11時45分からで、全26話が、HDリマスター版、5.1chサラウンドで放送されるとのこと!
2000年から2001年にかけて発売された DVD-BOX は持っているのですが(笑)、今回は高画質での放送ということで、とても楽しみにしています(^^)
今日は第壱話「使徒、襲来」で、あんな、こんな名セリフの数々が聞けるなぁ〜と楽しみにしているのですが、第壱話でみんながよく思い出す名セリフと言えば、やはり、シンジくんの「逃げちゃダメだ」でしょうか。
あのシンジくんのセリフの英訳は、以下のようになっていると聞きました。
碇シンジ: I mustn't run away. I mustn't run away. I mustn't run away. I mustn't run away. I mustn't run away. I'll do it. I'll pilot it! (逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。やります。僕が乗ります!)

このセリフを、いつものフレンズ記事風に解説すると、、、

よく比較に出される must と have to ですが、否定形を比較した場合、don't have to は「〜する必要はない」という不必要のニュアンスで、mustn't は「〜してはいけない」という禁止のニュアンスになります。
今回のセリフは、「逃げ出してはいけない、逃げ去ってはいけない」という意味なので、mustn't が使われていることになりますね。
また、葛藤した後に「やります」と「その場で決めた」ことなので、前からそうなるとわかっていた be going to ではなく、will (I'll) を使うことになります。

そして、「僕が乗ります!」が I'll pilot it! と訳されていることに、なるほどなぁ、と思ったのですが、例えば「ガンダムに乗る」「エヴァに乗る」という場合の「乗る」は、モビルスーツや汎用人型決戦兵器(笑)に「乗り込んで、それを操縦する。そのパイロットになる」という意味ですよね。
そういう意味で「乗る」と言っているので、動詞 pilot を使っているということになります。
pilot は名詞で「パイロット、操縦士」という意味があると同時に、動詞として「〜を操縦する」という意味としても使えるということです。

日本語から英語への変換においては、「乗るという日本語を言い換えた英単語」を探そうとするのではなく、「(それに)乗る」という「日本語の意味を英語で表現する」必要がある、ということですね。

日本のアニメは世界でも人気で、エヴァはその代表作と言えるでしょう。
日本のアニメが大好きで、アニメを見て日本語を勉強した、という外国人の方も多く、そういう方の日本語力は非常に高いですよね。
日本語のセリフに興味を持って、そのセリフを真似したり、意味を深く調べるために日本語を勉強したりしていたら、日本語が上達するのはある意味当然のことで、語学を学ぶ方法としては、一番素直な方法だと思います。
私はそれと同じように「大好きな海外ドラマで英語を学ぶ」という方法を取っているわけですね。

今回のエヴァの再放送で思ったことがもう一つ。
エヴァの放映が始まったのは1995年。私がブログで解説している海外ドラマ「フレンズ」は、アメリカで1994年放送開始だったので、よく似た時期に放送が開始されたことになります。
「フレンズ」という作品を英語教材として考えた時、「随分前に終わってしまった昔の作品を教材として使うこと」に抵抗を感じる人も中にはおられるようで、これまで何度かそういう質問を受けたことがあったのですが、同時期の日本アニメ「エヴァ」と比較することで、見えてくることがある気がしました。

先ほど、「アニメを見て日本語を学んでいる外国の方」の話をしましたが、その方が例えば、1995年のエヴァを教材として使いたいと考えた場合でも、語学の教材としては全く問題ないと思うのですね。
「1995年の作品だから、使われている日本語表現が古い」なんてことは一切ありませんし、今の時代に使われている言葉と大差ないと思います。
アニメでもドラマでもそれは同じことで、「20年前の作品だから語学の教材として使うには古すぎる」というようなことは全くない、と私はここで断言したいと思います。
11年以上かけてフレンズのファイナルに到達して、またシーズン1の解説に戻るわけですが、登場人物の服装や小道具は時代を感じさせるとしても(笑)、日常会話そのものは全く古びていないし、時代遅れでもない、ということを、改めてお伝えしておきたいと思いました。

今日のエヴァ放送開始のことは、Twitter で軽く触れる程度にしようと思っていたのですが、たまたま、私が「フレンズ シーズン1改」を始めようとした日に、同時期の作品エヴァの再放送開始が重なったので、これも何かの縁と思い、思うことを書かせていただきました。

良い作品、良いセリフは、何年経っても良いものです。
エヴァは後に、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの「序、破、Q」となってリビルドされていますよね。
エヴァと比較するのはあまりにもおこがましいですが、私も過去の解説記事をリビルドして、新しい「シーズン1改」を頑張りたいと思います♪


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posted by Rach at 16:32| Comment(0) | 英語学習のコツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月13日

とにかく何かを始めてみる

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進学・進級の春だから…でしょうか、今日は「とにかく何かを始めてみる」ことについて、語ってみたいと思います。

私は今から10年前の2001年4月に、海外ドラマ「フレンズ」を使った DVD英語学習を始めました。
それからは毎年春になると、そのことを思い出します。

最初、全く聞き取れなかった時のことは今でもよく覚えています。
でも、英語字幕を止めて、辞書や文法書で調べたら、「あぁ、こういう意味だったのか!」とわかって、「生きた英語」に触れられたと感じた…その時の感動もまた、心に深く刻まれています。

過去の記事で触れたことがありますが、私が「フレンズ」を教材として選んだのは、「日経WOMAN」の英語特集で「フレンズ」がおすすめされていたからです。
その時に「フレンズ」に出会うことがなければ、私は今頃何をしてたんだろうなぁ、と思ったりもします。

あの時、躊躇せず DVD学習を始めたことが、全ての始まりでした。
その時、「そういうのも良さそう、楽しそう」とだけ考えて実行に移さなければ、私が今ここで、こんなブログを書いていることもないでしょう。
その後の、英検1級合格、本の出版、TOEIC満点…という嬉しい出来事も起こらず、ブロガー Rach とは全く違った人生を歩んでいたと思います。
ですから、今、「英語を学びたいけれど…」と思っている方には、是非、何かの第一歩を踏み出していただきたい、そういう気持ちで、この記事を書きました。

今の社会のニーズは、「資格」としての英語から、「使える英語」へと変化しているように思います。
英語が使えるようになるには、実際に英語が「使われている」様子を、じっくり観察するしかない、と私は思っています。
単語や文法という「知識」も必要だけれども、そういう知識をうまく「使える」ものへと変えていくには、「英語が使われている現場」をたくさん見ることがどうしても必要になってくると思うのです。

私は海外ドラマの「フレンズ」をおすすめしていますが、別にそれは「フレンズ」でなくてもいいのです。
他の海外ドラマでも、洋画でも、英語ニュースでも、英語の原書でも、それこそ何でもいい。
でも何か、「テスト」でも「作られた教材」でもない、「生きた英語」に触れる機会を設けて欲しいと強く思います。

何かを始めるには、勢いや力が必要です。それと、「それをやれば、きっと上手くいく」というような希望や確信も。
私が DVD学習法を、躊躇なく、すんなり始められたのは、「楽しく続けられる」という確信があったから。

大学生の時に、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のスクリプト本を買って、カセットテープに録音したものを聞きながら英語を学ぼうとしたことがあったのですが、何しろカセットテープですから、巻き戻しなどの操作が煩雑で、そういうのが面倒くさくなって、やめてしまった経験があるのです。
その時、「セリフのない部分とかを、もっと簡単に早送りできたりしたら、聞き取れなかった部分を何度も繰り返し再生できたりしたら、この方法で生きた英語が学べるのに…」と強く思いました。
だから、海外ドラマのDVDを使って学ぶ、という方法に私は飛びついたのです。
カセットテープの操作が面倒くさくてやめてしまっただけで、そういう学び方が「楽しい」ことをすでに知っていたから。

一度、そういう経験があったことは、私にとってはラッキーだったのでしょう。
私は何の迷いもなく、その方法を続けることができました。
この学び方が私にとってのベストであることは今でも変わりません。

フレンズのシーズン1第1話(Pilot)のタイトルは、
The One Where It All Began 「すべてはここから始まった、の話」です。
フレンズはその後 10年間、シーズン10まで続きました。
私にとっても、まさに「すべてはここから始まった」のです。
ファンに愛され10年間も続いた「フレンズ」というドラマはとても幸せな作品だと思うし、10年経った今も、大好きな作品を教材として使い続けている私も、とても幸せな人間なのだろうと思います。

自分が「これだ!」と言えるものにまだ出会えていないという方には、是非、そういう「何か」を見つけて欲しい、10年経っても、「これを信じてきて良かった」と思えるものに、出会っていただきたいと思います。

上に述べたことはあくまで「私の体験談」なので、それは万人に当てはまるものではありません。
それぞれの方が、自分の性格や好みにあったものを、是非見つけて下さいね。

また、英語ブロガー Rach としては、皆様が「自分に合った何か」を探される中で、「Rach が「ガイド」とやらを書いてるから、いっちょ「フレンズ」を試してみるか…」と思っていただけたら嬉しいなと思っていますし、これからもそういう存在でい続けたいと願っています。


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posted by Rach at 18:53| Comment(7) | 英語学習のコツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月02日

リスニングの脳内処理

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フレンズ5-1その7 のコメント欄 で、「ネイティブはリスニングの時に 100% 音が取れているのかどうか」という話題が出ました。
それについて、私になりにいろいろ考えてみましたので、今日はそれを記事として投稿したいと思います。


私はリスニングをする際には常に、「音がどれだけ拾えるか?」ではなくて、「音だけで意味がどこまでわかるか?」という部分を重要視しています。
結局、リスニングは「聞いて意味がわかるかどうか?」が大事だからです。
Rach流DVD学習法と称した自身の学習法での第一段階が、「ネタバレ禁止状態で、英語音声、字幕なし」なのもそのためですね。
何の予備知識もなしに、映像と音だけでどれだけ話の流れ、セリフの意味がわかるか、を確かめたいからです。
家で TOEIC の問題集を使って、リスニングの問題を解く時に、先に解答編の英文スクリプトや日本語訳を読んでから取り組む人はいませんよね。
それだとカンニングしたのと同じことになってしまいます。
ドラマで英語を学ぶ時も、私は同じやり方をしている、ということです。
他の情報を遮断することで、(映像はついていますが)音だけでどこまでわかったかがはっきり認識でき、そこで自分の弱点に気付けるからです。

海外ドラマのセリフは、TOEIC のナレーションに比べて、ずっとラフで早口で不明瞭です。
それをリスニングする際には、全ての音が完璧に拾えなくても、重要な言葉を英語の語順で理解する能力があれば、だいたいの意味は取れるはず、と私は思っています。

私は、「時々聞こえない音もあるけれど、それでも意味はわかる」という部分が大切なのだと思っています。
日本人はどうしてもあの「音」に対する苦手意識があるせいで、「あの音さえ全部拾えれば、あの音を全部文字化できれば、意味がわかるに違いない」と思ってしまいがちですが、音から文字化してそれから意味を取る、のではなくて、音と状況から意味を判断して「ここではこれしかありえないだろう」という適切な単語を選択し、あの音を文章化する、というのが、ネイティブがやっている脳内作業のような気がしています。

ネイティブには、「スクリプト通りに音が聞こえる」というよりも、前後の状況や文脈を考えて、ここでこの音だったらこの文章しかあり得ない、というものを文字にしている、という気がするのですね。
例えば、誰かが何か言いかけて絶句している時、音としては本当に最初の部分しか聞こえていなくて、実際にも最後まで言い切っていない場合でも、何を言おうとしたか、どんな単語が来るはずだったかわかる、ということがあります。
実際には音としては、途中までしか聞こえていないものを、ネットスクリプトでは完全な単語として書いてあるものもありますが、それも、「音」ではなく、話の流れからその単語だと決めているわけですよね。


これまでフレンズのセリフを解説してきて、「聞き間違い」が絡むやり取りがいくつかありました。
以下に思い出したものをいくつか挙げてみます。

フレンズ1-4その1
omnipotent を impotent や I'm impotent と聞き間違える。

フレンズ2-14その13
accept that を except that と聞き間違える。

フレンズ3-4その20
lose her を loser と聞き間違える。

どうして聞き間違えることになったのかは、過去記事の解説を読んでいただきたいのですが、全般的に言えることは、聞く方の知識・考え・意図が聞き取りの結果に影響する、ということですね。

1-4 は、ジョーイは恐らく omnipotent という言葉になじみがなくて、自分の知っている impotent という言葉にしか聞こえなかった。
2-14 は、レイチェルがまさかそんなことを言うとはロスは夢にも思っておらず、自分の都合のいい方に音を解釈してしまった。
3-4 は、はからずも、レイチェルがチャンドラーのことを loser だと内心思っていたことがバレてしまった。
と分析できるでしょう。

もちろん、上に挙げた例は、ドラマとしてストーリーを展開させるための、通常ではあり得ないような聞き間違い、なのかもしれません。
ですが、聞く側の意識の違いによって、同じ音が別の言葉に聞こえてしまう、ということはあり得ると思うのです。


私はこのブログの原稿を書くために、まず最初に、「ネットスクリプトとDVD英語字幕を突き合わせて、一番、実際の音声に近いと思われる形に修正する」という作業をしています。
そういう突き合わせをしていると、ネットスクリプトとDVD英語字幕の不一致をしばしば発見するのですが、ただのタイポ(タイプミス、書き間違い)だけではない、リスニング面において興味深いと思われる事例にも遭遇します。
以下、そういう例を3例挙げてみます。

今、解説している フレンズ5-9 のエンドクレジットの時のセリフに、
モニカ: I just convinced Carl to give us a test next week.
というセリフがあるのですが、
DVD英語字幕では、Carl になっていて、ネットスクリプトでは、Paul になっていました。
ただのタイポと言ってしまえばそれまでですが、実際に音を聞いてみると、早口な上、不明瞭で、字幕通り、Carl と言っていると思えるけれど、Paul と聞き間違えても無理はない、みたいな微妙な音なんですよね。
この一つの例から、何かの結論を導き出すのは危険かもしれませんが、一つの仮説として、ネイティブでも不明瞭な音はやっぱり聞き取りにくい、ということは言える気がします。

また、次に解説する予定の フレンズ5-10 では、
who can say "Merry Christmas" in 25 languages というフレーズが出てきますが、
DVD英語字幕では、say になっていて、ネットスクリプトでは、sing になっています。
say でも sing でも、文としては成立しますよね。
音はやはり say と言っているようですが、s- の音を聞いて、sing と聞き間違えるというのも、文章がそれで成り立つだけに、ごく自然な聞き間違いと言える気がします。
ここでも、「音を全て聞き取っている」というよりも、「聞こえた s- の音から文脈に合う動詞を選んでいる」という気がするのですね。

また、過去の例では、フレンズ3-23その2 の、
DVD英語字幕では、weird things 、それがネットスクリプトでは、rear things になっていた、というのもありました(w- と r- の音は意外と良く似ています)。

このように、やはりネイティブでも不明瞭な発音は聞き間違えるし、実はかなり文脈から判断している場合も多いのでは?と思うのですね。
もちろん、聞き間違える場合でも、やはり、ある程度文脈に合う、意味のある言葉に聞き間違えているところが「さすがはネイティブ」なのだと思います。
無意識のうちに、音を自分の知っている言葉に結び付けてしまうのが、言葉を聞く時に行う脳の作業だからなのでしょうね。

その話されている内容から判断して、聞こえた音から元の単語や文章を瞬時に復元できる、それがネイティブなのでしょう。
日本語も同音異義語が多いですが、それを瞬時に判断することができるのも、音と内容から適切な単語を頭の中で選択することができるからですよね。
英語ネイティブは、私のように大人になってからリスニングをトレーニングした日本人の英語ノンネイティブよりも、明らかに音の聞き分けは優れているはずですが、「音」そのものをかなりの部分聞き取っているのに加えて、「聞こえた音から適切な単語を判断する」能力に長けている、ということだと思います。

単語の選択だけではなく、その音から文を復元するのに、文章として成り立つもの、意味として通じるものをきちんと瞬時に形成できる、という文章構成力もあるでしょうね。
それは、ずっと母国語としてその言語を聞いて育ってきたお陰で、音と言葉の結びつきがデータベースとして蓄積されているからでしょう。
音に対する慣れと、これまでに蓄積された知識、文章構成力がリスニングの精度を上げるのですね。
不明瞭で聞こえない部分をそれらが補完してくれるのです。

ですから、日本人がリスニング力を上げたいと思う場合も、もちろん「本物の英語の音」を聞き、それに耳を慣らすことが大事なのは言うまでもないですが、多くの英語の文に触れて、自然な英文の構造をたくさん学ぶことで、断片的に聞こえてくる「音」から、その文脈にあった自然な英文を作り上げることができる能力も必要になってくると思います。
聞こえてきた音を文にできるのは、耳の良し悪しではなく、英文の構造を理解し、その構造を音から復元できる力だ、と言える気がします。


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posted by Rach at 11:58| Comment(9) | 英語学習のコツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月11日

英語でしゃべらナイト「寅さん海外へ」

2008年9月8日(月)放送の 英語でしゃべらナイト を見ました。
『男はつらいよ』 40年、寅さん海外へ
という内容でした。
NHK番組公式ホームページでの紹介はこちら。
英語でしゃべらナイト 『男はつらいよ』 40年、寅さん海外へ

番組の主な内容は、

・寅さんの名口上を英語に訳す
・字幕制作担当の方がセリフに英語字幕をつけていく様子を紹介
・日本語のセリフを、出演者全員で英語に吹き替え

というものでした。

私はいつもこのブログで、英語のドラマである「フレンズ」のセリフから「日本語で言うとこんな感じ」というニュアンスを掴もうとしていますが、今回の「しゃべらナイト」は、それの逆バージョン(「寅さんのセリフは英語で言うとこんな感じ」を追求する)なので、そういう意味でも非常に興味深かったです。

以下、内容を紹介しながら、感想を述べてみます。

寅さんファンであるという外国人の方2人がゲストとして来られていました。
一人目は、トニー・ラズロ(Tony LASZLO)さん。
番組でも紹介されていましたが、ベストセラーとなった、小栗左多里さんの「ダーリンは外国人」 の「ダーリン」がトニーさんなんですよね。
そのトニーさんは、私がいろいろとお世話になったジャパンタイムズの抄訳付き英字新聞「週刊ST」で、ずっと英文エッセー(コラム)を書いておられました。
…ので、私にとっては、「あのベストセラー本のダーリン」というより、「STでコラムを書いていた方」というイメージの方が強いです。
週刊ST ONLINE: Contributor Profile Tony Laszlo トニー・ラズロ
上のページから、トニーさんの英文エッセーも読めますよ。

「ばか野郎!、この野郎!」は、"Hey, you!" と訳される、という話から、トニーさんは、
「バカって言っても、頭が悪いって言っているわけではないんですよね。」
とおっしゃっていました。
まさにその通り。
セリフを訳すことは、単語を直訳することではない、そのセリフに込められた感情やニュアンスを、別の言語に直すこと、なんですよね。

もう一人のゲスト、カレン・ヘドリック(Karen HAEDRICH)さんが興味深い発言をされていました。
「寅さん、って、すごい、アメリカの situation comedy に近いと思ったんですね。」
その日本語での発言の際には、英語で字幕がついていました。
The movies are like American sit-coms.

そう、カレンさんは、寅さんがシットコムに似ている、とおっしゃったのです!!
それを聞いて、出演者全員が、なるほどぉ〜!という感じでうなずいていたので、出演者の皆さんは、シットコムというジャンルをよくご存知なんですよね?

私は「シットコム」という言葉を、ブログや本のタイトルに使っているのですが、「シットコム」という言葉の意味をご存じない方って結構おられるのです。
その言葉の知名度の低さにいつも寂しい思いをしているのですが、それが、こんな風にゲストの発言の中で普通に使われているところを見ると、やっぱり「知ってる人は知ってる言葉」という認識で良い、ということなんですねぇ??
(そこでもう一押し、「situation comedy や sit-com(sitcom)とは何ぞや?」の説明が入ると、私的にはさらに嬉しかったんですが…笑)

カレンさんは、寅さんを見て、もっと日本語を勉強しようと思った、とおっしゃっていました。
それと似た話では、海外でクール・ジャパンと人気のアニメやマンガから日本語に興味を持ち、それでたくさんの日本語を覚えた、という話もよく聞きますね。
私も、フレンズというシットコムを面白いと思って、フレンズたちのジョーク(特にチャンドラーのジョーク…笑)を英語で理解したくて、もっと英語を勉強しようと思ったのです。
その私の気持ちとカレンさんの気持ちがとても似ている気がして、大変共感を覚えました。

今回、この番組では、寅さんの有名な口上をどう英訳するか、ということにトライしていましたが、口上にはリズムが大切で、でも、そのリズムも維持する中で、できるだけ内容もオリジナルに近いものにしたい、つまりオリジナルで使われている言葉と似た言葉を探さなくてはならない、出来ることならその言葉で韻も踏みたい…ということで、とてもその部分の翻訳が難しいことであることがよくわかりました。

フレンズにはああいう口上は出てきませんが、あえて例えるとしたら、あのフィービーの名曲(迷曲?)を、あのメロディーに乗せて、リズムも壊さずに、日本語としても通じる、韻を踏んだ歌詞に直せ!というようなものです。
それはとても難しい。

同じ音の連発がリズムを作り、言葉が韻を踏み、それを早口で流れるように話すことによる口上の面白さ。
トニーさんが英語の早口の口上である、patter を実演して見せていました。
番組の最後では、パックンも寅さん風の口上を英語でしゃべっていました。
どちらもすごいです。「さすがはネイティブ」のすごさを知った感じでしたね。

「Let's dub into English! Pakkun's アテレコ」というコーナーでは、寅さんのシーンを一度日本語で見てみた後、出演者が英語アテレコに挑戦していました。
これも面白い試みだと思いました。
というのは、これは、声をアテる側の人にとっては、「その演じるキャストの気持ちになって英語を言う」という素晴らしい訓練になると思ったからです。

寅さんという映画を知っている我々日本人にとっては、そのワンシーンを見ただけで、登場人物がどういう状況にいて、どういう気持ちでいるかがよくわかりますよね。
私がフレンズ解説でよく使う「キャラ立ち」という言葉の通り、寅さんではみんな「キャラクターが立って」います。
そういう背景を知っているからこそ、それを英語に直したセリフを読む時でも、「その時のキャラクターの気持ち」になって言葉を出すことができるんですね。

この英語になったセリフを、その日本語のセリフのニュアンスを出そうと思いながら英語で読む、という行為が、その英語のセリフのニュアンスを深く理解することに繋がると思うのです。
まるで日本語で話しているように、その英語に気持ちを込めることができると思うのです。

番組中に吹き替えをしていた方々は、なんとかオリジナルの雰囲気を伝えようと思いながら、その英語のセリフを読んでいたはずです。
そうやって英語を読むことで、「あぁ、あのセリフは、こういう英語になるのか。」と言うことが直感的にわかるはずです。

あの吹き替えは番組の企画として行なわれたもので、家で吹き替えの練習をする必要はないのですが(笑)、大事なのは、あの「吹き替えに気持ちを込める」感覚で、自分の持っている日本語のイメージを、英語という言葉に投影していくことだと思うのですね。

本で文字として学んだ英語表現は、そういう「状況」「心情」「背景」に関する情報が不足しているので、なかなか実生活で使えるようにならないのかな、と思います。
逆に、ああいう映画やドラマで学んだセリフは、ストーリーとして状況や心情を理解しているために、「自分の言葉」として使えるようになるのだと思います。

寅さんの場合は、先に日本語があって、ニュアンスをわかった上で訳された英語を見つめることができます。
フレンズのセリフは英語なので、私はまずそのニュアンスをできるだけ深く理解しようとします。
そのために、字幕や吹替などの日本語の情報を利用します。
さらには、文法的知識を使って、英文の構造を分析し、セリフの内容をより深く理解しようとします。
そうやって、どういうニュアンスか掴めた上で、「日本語で言うとこんな感じ」という日本語訳を作ってみているわけですが、その日本語訳を作ることが最終ゴールではありません。
その日本語訳、日本語で理解したニュアンスを頭に入れた上で、その英語を読み、そのフレーズを自分で書いたり使ったりしていくことが大切なのです。
ただ、英語という音声を口から出すだけではない、ただローマ字を読み上げるだけではない、そのセリフに隠された気持ち、意味を意識しながら、言葉として使う、という訓練ですね。

映画などの文化が輸出されること、というのはその国の価値観や考え方を広げることにも繋がります。
翻訳という作業には大きな意味があって、まずは、そういう翻訳を通して、他国の人が作品の面白さを知るわけですね。
訳されて初めて輸出が可能になるわけです。
各国の作品がいろんな言語に翻訳されて世界中を駆け巡るという今の時代はとても素晴らしいと思います。

そんな風に、字幕や吹替、翻訳や通訳、という素晴らしい技術があるので、外国の作品を自国の言葉で楽しむことはいくらでもできます。
が、本当にそれが好きになったら、それをオリジナルで楽しみたい、という気持ちが出てくるのがほんとかな、と。
誰かに訳してもらうんじゃなくて、自分の心で肌で直接オリジナルを感じたい、という気持ちが、外国語を学ぶことに繋がるのですね。

私も、フレンズのセリフを「日本語で言うとこんな感じ」と、まずはそのイメージを解説を交えて伝えていくことで、少しでもフレンズという作品の魅力を多くの日本人に知ってもらえたらと思っています。
そして、それを面白いと思った人たちが、今度は自分自身の力で、オリジナルの英語のままで理解したい!、と思って下さることを心より願っています。

この番組は、今日 9月11日(木)深夜3:10〜(すなわち、9月12日(金)午前3:10〜)に再放送されますので、興味のある方は是非ご覧下さい。
英語でしゃべらナイトの、英語サブタイトルは、 Communication entertainment for a new era! ですが、そのサブタイトル通りの面白い企画でした。
楽しい番組をありがとうございました!


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2008年07月28日

コミュニカティブ英語とフレンズDVD学習法

人気ブログランキングでおなじみの、日向清人先生のビジネス英語雑記帳 の最新記事で、日向先生が、TOEICを活かしたコミュニカティブ英語の学習法 という記事を書かれました。
その記事で、日向先生は「フレンズ」をお勧めして下さっています。
ありがとうございます!

記事のメインは、タイトルにもあるように、「TOEICを活かした」学習法についての記述です。
TOEICの点数とご自分の英語力とのギャップに悩んでおられる方は、是非、先生の記事をご覧になって下さい。
日向先生は、ご自身の記事で、何度もTOEICをトピックとして取り上げられています。(私自身、TOEICのことで過去にいろいろ悩んだ時に、先生の記事に大変救われました。)
また、そのコメント欄で、TOEICマスターとして有名な、TOEIC Blitz Blog の神崎正哉先生と、何度も有意義な意見交換をされています。
「そういう素晴らしいものをネット上で簡単に読むことができる、我々英語学習者は幸せだよなぁ〜」といつも思っているのですが、そういうTOEIC関連記事の中で、フレンズのことに触れていただけたことは、ものすごく嬉しかったです。

日向先生が「フレンズ」についてどう紹介して下さっているかを以下に引用させていただきます。

もう一つこの方面のセンスを養うのに有効なのが、海外ドラマのDVDで人のやりとりを繰り返し観察することです。一般市民どうしの標準的なわかりやすい英会話の実態を伝えている海外ドラマなら「フレンズ」が最適ですし、(以下略)

また、海外ドラマでの会話例をキャプション付きで観るのは、単語や構文の実際もさることながら、会話を続けるために不可欠な Indeed, Oh, really. Come again. といった小道具の使い方がわかり、さらに表情や仕草から使っている単語のニュアンスまでわかり、英語を使う人々にとって当たり前のセンスを養うのに有用です。

「海外ドラマなら「フレンズ」が最適ですし」の「フレンズ」という部分にはリンクがはってあるのですが、そのリンクは、なんと(!)私のこのブログ「シットコムで笑え!」へのリンクです!
また、日向先生のその前の記事、「TOEIC英語を憂える」のコメント欄 での日向先生の返信の中でも、フレンズについて言及して下さり、私のブログ名とそのリンクを紹介して下さっています! ありがとうございます!


日向先生の記事を読んで、「海外ドラマを使ったDVD学習法」に初めて興味を持たれた方もおられるかもしれません。
この機会に、私の「フレンズ」のDVDを使った英語学習法について、語らせて下さい。

このブログでは折に触れて「ドラマを使う効果」について述べているのですが、一つの記事として書かれたものだと、過去記事、ドラマを使った英語学習 が何かの参考になるかもしれません。

また、拙著、シットコムで笑え! 楽しくきわめる英語学習法 ではかなりのページを割いて、そのことについて触れています。

「はじめに」(p.5) で私はこう書いています。

…ですから私は、「ドラマで英語を学ぶ」ということがどれほど効果的であるかをまずは説明していきたいと思います。その効果を信じられるようになった上で、私のおすすめするDVD学習法にトライしてみてください。

そこに書いたように、私の本は、ドラマで英語を学ぶ効果と、その具体的方法の記述がメインになっています。

1.3 ドラマを使う意義(p.12)では、

同じドラマを長い間見ていると、そのキャラクターの性格がよくわかってきます。そして、その「キャラ立ち」した彼や彼女が、「こういう気持ちの時、こんな言葉を使っていた」、それが、気持ちを伝える言葉を覚える時、思い出す時の一番効果的な材料になるのです。

1.11 「深く」掘り下げる(p.41)では、

ドラマのセリフはすべて、スキットのついた例文です。それを学ぶことで、そのセリフの使いどころがわかります。

3.2 インプットなくしてアウトプットなし(p.103)では、

実践で誰かを相手にして会話をしないと会話が身に付かない、と思う人もいるでしょうが、相手の質問にたどたどしく答える訓練をする前にできることがあります。それは「スムーズな会話のやり取り」の実践形に数多く触れることです。(中略)まずは自分の中にたくさんの情報を蓄積することが大切です。ですから、本物の英語、生きた英語をたくさん聞くことが必要なのです。ドラマでも、映画でも、ネイティブの会話がたくさん登場します。それをよーく観察して、言葉が言葉を生む、相手の言葉に反応する、という会話の空気を感じることです。そのイメージがあってこそ、自分が誰かと話す時に、そんな流れで話せばいい、というイメージができるのです。

私の本では、上のように「ドラマで学ぶことによる効果」を必死に(笑)訴えています。
参考までに、今日、拙著の目次を別記事、私の本の目次 として投稿しました。
(私の本に限らず、誰の本でもそうですが)目次をざっと見ると、著者の言いたいことが何となくわかりますよね。
何かの参考にしていただければ幸いです。


日向先生のようなビジネス英語の大家(たいか)の方が、「フレンズで英語を学ぶこと」を認めて下さっている、ということは、フレンズのブログの管理人として、とても光栄です。
先生のおっしゃる「コミュニカティブ英語の学習法」の一つとして、私もこれまで通り、自分のやり方を貫いていきたいと思っています。

日向清人先生、いろいろと本当にありがとうございました!


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posted by Rach at 12:05| Comment(8) | 英語学習のコツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月25日

シットコムとは?

「何を今さら?」という感じのタイトルですが、シットコムという言葉について、これまで簡単に触れたことはあっても、詳しく語ったことはあまりありませんでした。
ブログや本のタイトルで使っている「シットコム」という言葉の意味、定義について、今日は詳しく見てみたいと思います。

「シットコム」という言葉については、このブログの一番最初の記事、海外ドラマ「フレンズ」で英語を学ぶ で、以下のように説明しています。

「シットコム(sitcom)とは、situation comedy の略で、笑い声の入るドラマ、というと、あぁあれか、とわかる方も多いでしょう。」

実際、このブログを始めた当初、私の中では、「シットコム=笑い声の入るドラマ(コメディ)」という認識だったのですが、いろいろ調べているうちに、「笑い声の入らないシットコム」が存在する、ということを知りました。
だとすると、”シットコム=「時々笑い声の入るドラマ」”とは必ずしも言い切れない、ということになります。
でも、「フレンズ」「フルハウス」「奥さまは魔女」などに代表されるような「時々笑い声の入るドラマ」、あれはシットコムだよね!という認識も間違いではない気がします。
「笑い声が入るドラマ」であることが、その定義として完全なるイコールで結ばれるわけではないけれども、日本人のイメージとしては、そういうドラマだと説明するのが、一番手っ取り早くてわかりやすい気がするのですね。

そして、私がブログや本でシットコムという言葉を使う場合は、「笑い声が入るもの」という認識で使っていて、あの笑い声があるからこそ、そこでジョークを言っているということがわかるし、あの笑い声と一緒に笑えるということが、理解度のバロメーターにもなっていると思うのです。
そういう意味で、私にとっては「あの笑い声が入っているかどうか」が非常に重要なポイントなのです。

ですから、私が使っているシットコムという言葉のイメージは、ああいう笑い声が入るもの、ということで、実際に厳密なシットコムの定義は、また別のところにあるらしい、ということです。
私の過去の説明があやふやで誤解を与えることになってしまっていたとしたら、申し訳ありません。
で、結局、本来の定義は何か?、comedy はわかるけど、その situation っていうのは何のこと? という疑問に答えるために、今回の記事を書いてみます。


実際に、シットコムの定義を調べてみました。
ロングマン現代英英辞典では、
sitcom [noun] :
situation comedy a funny television programme in which the same characters appear in different situations each week

つまり、「面白いテレビ番組のこと。その番組の中で、毎週、同じキャラクターが違った状況[シチュエーション]で登場する。」

実はこの different situations という言葉にちょっとひっかかるのですが、それは後に検証します。

Merriam-Webster Online Dictionary では、
situation comedy [noun] :
a radio or television comedy series that involves a continuing cast of characters in a succession of episodes

つまり、「一連のエピソードの中で、引き続き存在するキャラクターのキャストを伴う、ラジオやテレビのコメディシリーズ。」

英辞郎では、
sitcom, situation comedy=(連続)ホームコメディ、シットコム。(日常生活を situation にしたコメディ)
研究社 新英和中辞典では、
situation comedy=(ラジオ・テレビの)連続ホームコメディー
と出ています。

ネットでは、Wikipedia 日本語版: シチュエーション・コメディ の説明が、日本語では一番詳しく書かれているような気がします。
やはりシットコムの定義の中に「笑い声」のことは入っていません。
ただ、「多くのシットコムで、劇中にラフ・トラックと言われる観客の笑い声が挿入されることがある。」という記述があります。(ラフ・トラック=laugh track)
また、「ラフ・トラックを使っていないシットコム」として、いくつか番組名が挙げられていますね。
ですから、あの笑い声はシットコムでよく見られる特徴ではあるけれども、必須条件ではない、という認識が一番正しいのでしょうか?

Wikipedia 英語版: Situation comedy で、situation という言葉について詳しく触れられている箇所(Characteristics にある説明)を、以下に引用させていただきます。

The essence of the current, modern situation comedy on television is that the characters remain in the same situation from episode to episode. The situation is usually that of a family, workplace, or a group of friends.
訳しますと、「現在のテレビのシチュエーション・コメディの本質[重要な点]は、キャラクターたちがエピソードからエピソードにかけて同じ状況[シチュエーション]にとどまっているということである。そのシチュエーションはたいてい、家族の、職場の、または友達のグループのシチュエーションである。」

ここで、上で紹介したロングマンとちょっと違ったニュアンスを感じる気がします。
ロングマンでは、different situations 、ウィキペディアでは、the same situation とありますね。

私が感じる認識では、the same situation が近いのではないかと思います。
まさに、a group of friends と書いてあるのが、フレンズのシチュエーションですよね。
フレンズでは、セントラルパーク(コーヒーハウス)、モニカとレイチェルの部屋、ジョーイとチャンドラーの部屋が舞台になることが多いです。
そのセットの中で俳優はお芝居をし、それを見て観客が笑っているわけですが、やっぱりその形式が一番、シットコムとして特徴的な形なのではないかと。

ウィキペディアの Modern sitcoms という項目で、最近のシットコムにおけるスタイルの変更について触れています。
The single camera, no laugh track style という項目では、
Another popular modern style of sitcom is filmed without a live studio audience or laugh track, using multiple locations and a single camera setup.
とあります。
つまり、「別のシットコムの人気のある最新形式[スタイル]は、ライブのスタジオの観客やラフ・トラック[笑い声]なしで撮影される。複数のロケーションで、カメラを1台配置する形で。」

この項目の説明を見ると、フレンズのように舞台にセットを組んで観客の前で演技すると、いろいろと制約があるために、そういう「観客なし、笑い声なし」のシットコムという形式も出てきた、という感じのことのようです。

いろいろと見てきましたが、やはり「シットコム」の定義の中に、「笑い声(laugh track)が入っている」ということは条件としては入っていません。
ですが、わざわざ、no laugh track style という形式があることを言っていることからも、シットコムと言うと、あの笑い声を連想することが多い、というのも否定できない気がします。

「フレンズ」「フルハウス」「奥さまは魔女」のそれぞれの英語版ウィキペディア、Wikipedia 英語版: FriendsWikipedia 英語版: Full HouseWikipedia 英語版: Bewitched では、その全てにおいて、sitcom または situation comedy であるという説明がされています。
ですから、
「フレンズ」「フルハウス」「奥さまは魔女」と言えば…?
「シットコム!」
という認識は正しいはずです。

本来の定義である、連続もののコメディという説明だと、あまりにも漠然としすぎているというか、そういうくくりだと、日本にもたくさんのシットコムが存在することになってしまう気がします。
でも日本ではシットコムというジャンルは定着していませんよね?

私はアメリカで暮らしたことがないので、アメリカのドラマを自分の経験に基づいてカテゴライズすることはできません。
アメリカでは、連続もののコメディというジャンルでは、伝統的にああいう笑い声の入るものが多い、という認識で合っているのでしょうか??

いろいろ調べてみて、私も「わかったような、わからないような」はっきりしない気持ちです。
シットコム、というのはカテゴリー分けのための言葉なので、人によって受け止め方は違う、と言う可能性もあるのかもしれません。

もしネイティブの方々に、「シットコムの代表作を挙げて下さい」と頼んだら、皆さんは何を挙げるのでしょうか?
そこに挙げられたシットコムの全てに、ラフ・トラック[笑い声]は入っているのでしょうか??
今はそれが知りたいなと思います。
私はこう思う、などのいろいろなご意見があればお聞かせいただければと思います。


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posted by Rach at 06:17| Comment(12) | 英語学習のコツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月03日

日本語訳は危険か有用か

昨日の記事、脱ぐのか捨てるのか フレンズ3-13その24 で、
海外ドラマの日本語版を制作するに当たっては、「脱ぐ」でも「捨てる」でもどっちでもいい
と私は書きました。
それは、海外の作品を日本語に置き換えたものとして見る場合、ストーリーの流れがわかればそれでいい、ということがあるからです。

「どっちでもいい、だって!?」とお怒りになる方がおられるかもしれませんが、過去記事、日本語字幕の限界?(その2) で語っているように、「DVDの日本語字幕・音声(吹き替え)は英語学習者のためのものではない!」、つまり「海外ドラマのDVDは、英語学習用に英語学習者のために作られたものではない」のです。
ですから、英語を厳密に訳していない部分も多々あります。
だから、「日本語訳がこうなっていたから、こういう意味なんだぁ…」と思い込んでしまうのはある意味「危険」でもあります。

それが危険だとは言え、実際のところ、そういう日本語の情報を一切使わないで英語スクリプトだけを頼りにその意味を類推することは、かなりの英語力がないと出来ないことだろうと私は思っています。
英文の構造をちゃんと掴める人でないと、それはつらいんじゃないかなぁ、と。
そもそも、本当に日本語の情報なしで見ていたら、ドラマのストーリー展開がわかりません。
ドラマはそんな単純なものではないのです。
目で見てわかること(具体的な行為、キャラクターの喜怒哀楽)だけでは、話の内容を把握するところまでは行かないですよね。

私の個人的実感では、TOEIC900点超えをしたくらいの頃なら、そういう日本語情報なしでもやっていけそうには思いました。(そりゃあ、あまりにも遅すぎる!という人もいるかもしれませんが…笑)
今なら、見たことのない映画でも、スクリプトを示してもらえれば、それなりにセリフの掛け合いや、セリフのジョークもわかるような気はします。

そんな私でも、今でもDVDの日本語ではどう訳してあるのか?を常に知りたいと思ってしまいます。
その日本語を見て、自分があまりにも初歩的な解釈間違いをしていたことに気付いたり、「やっぱりここはすっと日本語には訳せないよなぁ。ここは日本語とのギャップが深い部分だよなぁ。」と思ったりするわけですね。
その「日本語との比較」がとても楽しいのです。
そうやって「母国語と比較することで、外国語を学ぶ」という方法も、絶対に「アリ!」だと。
全ての人にそれを押し付けるつもりはありません。
私はそうやって学んで来た、だから、私のような方法が合っている、という人も必ずいるはずだ、と思うのです。

もちろん、「日本語なしで、英語だけでやってみる」という人は是非そうして下さい。
私はそれを否定していません。
そうやって素晴らしい英語を身に付けたという人も知っています。
「英語の字幕、英語のスクリプトを使って、英英辞典で調べる」という行為が、英語力を伸ばすことに繋がるのは間違いないです。
ただ、私はそれは「初心者にはあまりにもハードルが高すぎる」と思っていて、私のように、ある程度までは日本語を使って、それでかなり英語そのものに近づけるようになったら、そこから「英語のみ」の方法に切り替える、というのもアリだと思っているのです。
過去記事、英英辞典に切り替える時期 でも述べましたが、最初は英和を使っていて、それから英英に切り替えてもいいじゃないか、と思うのです。
それは個人個人の判断で、どちらが絶対に正しい、ということはないと思います。

だから私は日本語を使う限界を知りつつも、「Rach流DVD学習法」として、日本語字幕・音声を使う方法を提唱しています。
「こういう意味なのか…と思って辞書を調べたら載っていないので、もう少し深く調べてみる」、その作業の積み重ねが英語力を伸ばすことに繋がるのですね。
だから、最後の5段階目の英語字幕の段階で、自分で辞書で調べる作業が必ず必要になってきます。

私がこのブログで書いている「私なりの日本語訳」も、私はいつもそれを「叩き台」だと思っています。
その英語のセリフが理解できている、と主張しても、「どの程度理解できている」のか、他人様にはわかりません。
ですから、「日本語で言うとこんな感じだと受け止めている」という意味で、日本語訳を示しているのですね。
すると「それはちょっと違うんじゃないかな?」というご意見をいただける。
そして、本当のニュアンスはこういうことじゃないかな?と議論してそれを突き詰めていくことができるのです。

日本語で英語のニュアンス全てを伝えることは不可能だろうと思います。
また、「完全に日本語に置き換える」ことも不可能だろうと思っています。
でも、英語でそれをわかった気になっても、実際に母国語で言うとこんな感じだろう、と詳しくニュアンスを説明できない間は、それはやはり「まだよくわかってない」ということなんだろうと思うのですね。
日本語を母国語としている人が、英語のニュアンスを日本語で説明できないとしたら、結局、英語のままでも、噛み砕いた英語に直せない、ということだと思うのです。
わかっているのなら、ロングマン英英辞典の語義のように、簡単な英語で説明できるはず、それができるなら、日本語でもそれを説明できるはずだ、と思うのです。

私が付けた日本語訳とその解説、それを叩き台として、今まで読者の方にたくさんのご指摘をいただき、多くのことを学ばせていただきました。
だから、やはり、私が日本語訳を付ける、という行為は間違っていなかったのだと思っています。
そして、DVDの日本語訳を使うという行為も、とても意味のあることだと思っています。

DVDの日本語訳に振り回されることなく、それを上手にヒントとして使えるようになったら、DVD学習法が自分の方法として確立してきた、ということになるかな、と思います。
そういう距離感を掴んでいきたいですね。


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posted by Rach at 10:15| Comment(4) | 英語学習のコツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月12日

自分用英語データベースを作る

今日は、何故、私の記事がいつも「長い」のか、そして「細かい」のか、の理由について書きたいと思います。
言い訳のように聞こえるかもしれませんが、実は、私の勉強法と関係があるんですよね。

私のサイトはブログですが、私は、毎日自分の思ったところを書いて投稿している、というよりは、「自分用の英語データベースを作っている」という感じなのです。
たまたまブログというツールが便利だからそれを使っているだけ、なんですね。

ブログを一つの「読み物」と考えるのならば、簡潔にまとまっていて、ポイントだけ押さえてある方が、読みやすいし、ためにもなるだろうと思います。
特に、「長く、細かく」なればなるほど、フレンズを知らない人にとっては、重箱の隅をつつくような話になってくるだろうとも思います。

私は、自分の過去記事にリンクして、「過去記事にも同じ単語・表現が出てきました。」とよく書いています。
それは同じ言葉に対して何度も説明しなくても済むようにやっているのもありますが、本当は、
その同じ単語・フレーズが、違った場面で使われた時に、それを「比較」することで、その英語のイメージやニュアンスがはっきりしてくる
と思っているから、です。
逆に言うと、ある単語やフレーズに一度出会って、それを辞書で調べたくらいでは、本当に「使える」レベルまでには理解できていない、ということです。

比較する際には、セリフそのものを比較するのと同時に、そのセリフが話された時の「状況」「心情」がどんなものであるかという情報も欠かせません。
(この「状況」「心情」が不可欠な要素である、ということについては、別の機会に話します。)

フレンズの解説を書いていて、「過去にも似た表現が出てきた気がする。」と思う…そこが、そのフレーズのイメージを再確認する最大のチャンスです。
まるまる一文のセリフでも、句動詞やイディオムのようなフレーズでも、そして単語についても、その「比較」が大事なのです。
同じ単語が別の使われ方をするのを知ることで、その単語の「基本イメージ」が見えてくる、または、その単語の「意味の広がり」に気付くことができる。
例えば、簡単な例で言うと、フレンズで学んでいると、have, get, take などの基本動詞のニュアンスがだんだんわかってきます。
そういうものは、実際に get や take などが使われた事例にたくさん出会わないと掴めないものなんですね。

「前にも似たセリフがあったなぁ…」と思ってネットスクリプトを検索してみると、確かにそういうセリフが過去に出てきたけれど、「何故か私のブログでは取り上げていない!」という事態がこれまで何度も発生しました。
私に言わせると、シーズン1を解説していた頃の「面白い言い回しだけを取り上げた記事」では、「英語のデータベース」としては全く役に立ちません。
あの時のセリフはどういうものだったのか?、そのセリフが話された時の状況はどうだったのか?、と比較することができないのです。
それで、ことあるごとに、シーズン1で抜けていた部分も思い出したついでに解説したりしているんですね。

「ファイナルまで解説を続けること」をメインにするならば、もっとあっさり解説します。
でも、私もDVDを見ながらこういう記事を書いている以上、「私の記録として」思いついたことすべてを書いておかないと、せっかくフレンズのDVDを再度見直して、時間をかけてこのブログを書いている甲斐がない、と言うか…。
「フレンズを全話解説した」という事実よりも、「そこからどれだけのものを吸収できたか」という内容が大事だと思っています。
それは、「本を何冊読んだか、ではなくて、その本で学んだことがちゃんと身に付いているかどうかが大切だ。」というのと同じでしょうか。
「解説」ではなくて「ただの疑問」で終わっている場合も多々あるのですが、自分の疑問を記録として残しておくことも大切ですよね。
後に何かのきっかけでその答えに気付く場合もありますし。

人によって興味のあるところ、わからないところ、というのはそれぞれ異なると思います。
私は、私が何か引っかかったところ、何か思い出したこと、こんな風に他の知識と結びつけたらいいと思うこと、などをあれやこれやと思いつくまま書いています。
読者の方も、あくまでもこれはデータベースである、と思って、興味のあるところだけを拾い読みしていただけたらなぁ、と思いますし、「そんなこと言われなくてもわかってるよ。」という部分は飛ばして下さい。

一番最初に書いたように、「読み物として面白いものを」というよりは、後々、参照して使いやすいようにできるだけ詳しくデータとして残している、ということなのです。

今書いているような、「自分の思ったこと」は勢いでいくらでも書けます。(コメントのお返事で、こういうことをいつもタラタラ書いていますし…笑)
でも、「解説記事」というのは、調べ物に結構時間がかかります。
私は記事を毎日更新しているので、普通に考えると、一つの記事の命は一日限りで、毎日新しい記事に更新されて、過去の記事となったものは人目に触れることも少なくなります。
そんな風に考えてしまうと、とてもそれほどの時間をかけようという気にはなりません。
私は一つ一つの記事の積み重ねで、フレンズ解説のデータベースを作っている、と思っているからこそ、気になるところは徹底的に調べて書こうと思えるのです。
そのデータベースが、絶対に後で役に立つ時が来るだろう、という確信があるから。
詳しく書いてあるからこそ、データベースとして使えるのだと思っています。

でも、これをホームページでやっていたらどうなっていたか。
きっと 3-6 に行き着く前に辞めていたでしょうね。
ブログという定期的に投稿するツールで、私も毎日更新しようと思いながらやっているからできたことです。
その日その日の記事で何かしら英語のためになることを、と思いながら書いている、それが毎日蓄積されていくことで、一つのデータベースとなっていく…。
それが私のブログであり、私の学習法だ、ということですね。


(今日のポイント)
今日は「フレンズ解説」が長いことの言い訳みたいになっていますが、「詳しく書かなければデータベースとして機能しない」と思っているから「長く細かく」書いているのだ、ということを知っていただきたかったのです。
英語を理解しようとする際に、「状況」「心情」が大切である、という話は、またフレンズ解説の合間に書きたいと思っています。


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2007年06月17日

ドラマを使った英語学習

今さらですが、「ドラマを使った英語学習」について、思うところを述べてみたいと思います。
今までいろんな方とのコメントのやり取りでちょこちょこと書いてきたことをまとめたようなものになっています。

ドラマを使った英語学習に対して、懐疑的な意見をお持ちの方もおられるような気がします。

「ドラマの英語を学んでも、簡単な日常会話しか身に付かなくて、それでは英検のようなアカデミックな試験に通用する力はつかない」とか、「『ドラマの英語』と『英検などの試験の英語』は別物だ」、と思っている方は結構多いような気がするのです。

「ドラマの英語を使って英語を学ぶことは邪道だ」とか「そんなお気楽に英語が学べれば、誰も苦労はしないんだよ」みたいな意見もあるかもしれません。

私はそういう意見を断固否定する、というわけではないですが、人が思っているほどドラマの英語は簡単ではありません。

ちょっとした言葉遣い、単語の選び方に、人の感情が込められているからでしょうか。
言葉が言葉通りの意味でなかったり、二重三重の意味が込められていることもあり、実はとても複雑なのです。
難しいと言われている、英検1級一次試験の長文読解の方が、むしろ論理がシンプルでわかりやすい、と思えることもあります。
「わかりやすい」なんて傲慢な意見だと思われるかもしれませんが、
英検長文は難しいけど… 1級一次(読解編)その1 で書いたように、長文読解の点数は良かったので、少しは説得力があるといいなぁ、と思うのですが…(笑)。

ドラマで英語を学ぶ、ということは、ただ会話で使える「日常会話表現」だけを学ぶことではないのです。
(そもそも、「日常会話」の定義って何だろう?という疑問もありますが…)
ただの挨拶や相槌だけでは、ドラマが成り立ちませんからね(笑)。
ちゃんとエピソード毎に何らかのテーマがあって、それに関して話が進んで行く。
フレンズのようなドラマでも、時には長いセリフが出てきて、その内容や論理の展開を瞬時に理解するのは難しいなぁ、と思えるものも結構あります。
昨日も書いたように、「英文の構造を意識しながら読む、聞く」習慣が出来ていないと、とうてい、そのドラマの内容を楽しめるところまではいきません。

英語の持つニュアンスを、言葉の選び方や、単語の並び方から理解する、
ドラマという目で見える状況で使われるセリフを理解することで、前後関係がはっきりし、その単語のニュアンスがより掴み易くなる、
などなど…。
辞書でも、語義を説明する際に、ある程度の状況説明は書いてありますが、その状況がドラマでは目に見える形で表現されている、だから、よりわかりやすいのです。

また、逆に「ドラマの英語は難しすぎる」と思っている方もおられるでしょうね。
例えば、「文化や慣習に関する知識がないと、もしくは海外で生活した経験がないと、その面白さがわかるわけがない。日本人の我々には、わからなくて当然だよ。」と、はなから理解することをあきらめている、という感じでしょうか。
でも、私も海外で生活した経験のない人間ですが、このネット社会においては、日本に居ながらにして、いろいろなことを検索して調べることができます。
英英辞典は、ロングマン現代英英辞典を主に使っていて、それはパソコンに辞書ソフトをインストールしたものを使っているのですが、それ以外に、
オンラインフリー辞典の Merriam-Webster Online Dictionary
オンラインスラング(俗語)辞典の Urban Dictionary
後は、映画やドラマなど芸能関係のデータベースである IMDb (The Internet Movie Database)
それから、ご存知、フリー百科事典 Wikipedia などをよく使っています。

だいたい、これくらいを当たれば、それなりの情報は手に入ります。
そこにも書いていない場合は、いろいろ検索ワードを駆使して Google で調べることになるのですが、それは「勘と慣れ」で、調べ物ばかりしていれば、自然と検索の腕も上がってくるような気もします(笑)。

もちろん、ネットの情報はその全てが正しいわけではありません。
私はウィキペディアの情報でさえ、「あの有名なウィキペディアには、そう書いてある」という程度に捉えていて、間違った情報が含まれている可能性も当然あると思いながら使っています。
「そういう意見もあるんだ」くらいに距離を置いて聞く癖をつけておかないと、ただ情報に振り回されるだけの人間になってしまいます。
ネットに書いてあること、あるいは他人の意見をただ鵜呑みにするのではなく、自分で再度調べ直してみる、くらいのつもりは必要ですね。
とにかく、今の時代は、「それなりのこと」はパソコンで調べることが出来ますから、ヒントくらいは見つけられるのではないでしょうか。

そして、ドラマで学ぶ際においては、完璧には理解できないかもしれないけど、それらしいところまで近づけたら、万々歳だ、くらいの軽い気持ちで臨むべきだと思います。
問題集のようにはっきりした「答え」があるわけではないからですね。
「答え」にたどり着けなくても、その答えを見つけようとした過程でやってきたことが、英語力を高めることに繋がっているわけです。

ドラマで学ぶことの長所は、題材が豊富に提供されることです。
文法書を最初から順番に読むのではなく、その文法的な話がランダムに出てくる。
出てきたところで、これはどんな文法知識があれば解読できるかと考えて、その文法事項を読む。
イメージが湧かないなぁ、と思えば、初歩的な単語でも英英辞典で調べてみる。
提供される英語は、ブロークンである場合もありますが、何と言ってもアメリカで視聴率ナンバーワンだったドラマですから、「文法的間違いがあっても、ネイティブには確実に”通じている”生きた英語」なんですね。
間違いそのものが魅力だったりする場合もあるでしょう。
生きた英語に大量に触れて、その意味を一つずつ紐解いていくことで、少しずつ、自分の中に表現が蓄積されていく…それがこのドラマを使った英語学習なのです。
作られた教材だと、それを使う人のレベルに合わせて、文章の難易度や語彙レベルを調整してあるでしょう。
そういう操作された教材ではなく、アメリカのネイティブが普通に見ている、難易度などは全く考慮されていないものを見て学ぶことで、なかなか文法書を読んでいるだけでは学べないような、難しいニュアンスも学べたりするわけですね。
言葉ではっきりとは説明できないけれど、ドラマから肌で感じた感覚、というのでしょうか。

英語を学ぶことは、決して楽ではないと思います。
英語をものにしよう!とある程度勉強してみたことのある方は、みんなそれをいやというほどわかっているでしょう。
簡単に身に付くものではないから、「ノルマをこなす」ような学び方はしたくないと思うのです。
できるだけ「楽しく、興味を持って続けられる」方法を取りたいと思うのです。

英語を学ぶために、語彙や文法などの一定の知識を順番に身に付けていかなければならない、と自分にノルマを課すのではなくて、ただただそのドラマのセリフを理解することだけを目標にして、セリフを解読するために、語彙や文法の該当部分を調べていく…というやり方で、だんだんその「解読の仕方」みたいなものが掴めてくるように思います。
それが英語を「理解する」ということだと。

最初は本当にちんぷんかんぷんだろうと思います。
字幕なしで理解できる日なんか来るのだろうか?と私も最初は思いました(笑)。
が、それを続けていると、だんだんコツがつかめてくるはずです。
そういう「解読のコツ」みたいなものをお伝えすることができればなぁ、と思って、このブログを書いています。
まぁ、素人の私が書くものを「コツ」と言うのもえらそうですが、私はこんな風に考えて、こんな資料や情報を使って、こんな風にアプローチしてみた、という、私の思考の過程をお見せしているわけですね。

どんなドラマでも、どんな映画でも、その「解読のコツ」みたいなものは同じだと思いますから、ご自分の好きな作品を使って、そのセリフの意味を「解読」することに挑戦してみてはいかがでしょうか。
その大好きなセリフの意味を、オリジナルの英語で受け止められるようになれたら、素敵だと思いますよね?
日本語を介さず、ダイレクトにその意味を感じられた時の感動は、言葉にはできないほど素晴らしいですよ!

明日は、フレンズ解説に戻ります。

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posted by Rach at 08:21| Comment(14) | 英語学習のコツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月16日

ブログを休まなかった理由

今日は、「英検1級を受ける!と決めてからも、このブログを休まなかった理由」について書いてみたいと思います。

このブログで台詞(セリフ)を細かく分析して、「文の構造を意識しながら理解する」という訓練を積んだことが、英文を読む・書く能力に繋がった、と私は思っています。
英検長文は難しいけど… 1級一次(読解編)その1 で、その件について触れています。

リーディングやライティングの能力を伸ばすには、多読が必要だ、と言いますが、私は本当に洋書を読まない人間なのです。
何の自慢にもなりませんし、却って恥ずかしいことなので、これからは積極的に読んでいこうと思っていますが、そういう多読をすることなく、英検1級の一次試験にストレートで合格できたのは、「英文の構造を意識しながら読む」訓練が、このブログを書くことで出来てきたからだと思っています。

そのブログでの学習効果を身を持って感じていたから、私は英検1級に向けた勉強をしている間も、このブログを休まなかったのです。

英検合格を目指すなら、英検に特化した勉強(過去問や対策本)をすべきだ、と思う人は多いでしょう。
私も、テストを受ける限りは、合格や高得点を狙って取り組むべきだと思っているので、それについて異論はありません。
逆に、テストを受けるのに、何ら対策もしないで臨むのは、お金と時間の無駄だ、とさえ思っています。
ですが、私がこのブログ上でやっていることは、私が英検に向けて勉強している内容と、それほど方向性が違っているとは思いませんでした。

それはあくまでこのブログを「書いている」管理人の私にとって、という意味であって、このブログの記事を読んだ読者の方に、何か英検受験に役立つ知識が身に付く、という意味ではありません。

つまらないトリビアネタにげんなりしている方も多いと思うのですが(笑)、確かにそんな知識は直接英語力を高めることには繋がりません。
ただ、そういうトリビアネタのすべてを、日本語に訳されたサイトから拾ってきたのであれば、それはあまり意味のないことだと思いますが、英語で書かれたネットの情報の海から必要な情報を見つけ出したり、意外な事実を英語を読んで知ったりする、という能力を高めることは、英語を使いこなす訓練に繋がると思っています。

あの、トリビアネタの収集は、自分の好奇心の赴くままにやっていることですが、何か自分に興味のあることがあれば、私と同じように、とことん調べてみたら面白いですよ、そして同時に英語の力もつきますよ、ということを訴えたい、ということもあるのです。
よく「英語力を伸ばすには、何をしたら良いかわからない」と言う方がおられますよね。
そういう場合は、いろんな方のアドバイスを参考にされたらいいと思うのですが、やはり結局は「自分の興味のあることしか続かない」と思うのです。
洋書の多読を勧められても、あまりそういうことに興味がない、という方もおられるでしょう。
私は、洋書を何ページ、何万語読んだ、とか、参考書や問題集を何冊仕上げた、というように、何かをノルマみたいにこなすよりも、ただ、「知りたい、調べたい」という好奇心や欲求から、大量の英語を知らず知らずに読んでいた、という方が、やっている本人も楽しいのではないかなぁ、と思うのです。
自分がしてきた勉強の結果を積み上げて確認してみたい、という気持ちはよくわかります。
本なら、そのやってきた「量」が、目に見えてわかるわけですからね。
でも、「あまり読みたくないけど、ノルマで読んだ」という本なら、実際のところ、あまり知識としては身に付かないのではないかと思うのです。

「ドラマで英語を学ぶことと英検とは無関係ではない」ことを証明するために、ブログを休まなかった、のです。
私は自分の時間が限られたものであること(自分はもう若くない、とか…笑)をいつも強く認識しているので、英検に合格するぞ!と決めた以上、もしこのブログを続けることが英検の勉強の邪魔になると思えば、ブログを休んでいたと思います。

私はむしろ、英語を英語のまま理解する貴重な場として、毎日、これを続けていたかったのです。
下書きをただ順番に投稿しているだけとは言え、投稿前には必ずじっくりと読み直して、間違いがないかをチェックします。
ですから、毎日投稿している、ということは、毎日、必ず英語のセリフに触れて、そのニュアンスを確認する、という作業を無意識のうちに行っているわけです。

英検を受けていることをひた隠しに隠そうとするために、ブログを続けていたわけではありません(笑)。
英検を受けることを公表すると、きっと「無理をしないで、試験までは休んだらどうですか?」とアドバイスして下さる人がいたり、何か英語についてとことん議論したいと思えるトピックがあっても、「もうすぐ試験みたいだから、議論は遠慮しておこう」と遠慮する方がおられるのではないか、という気がしたからです。
読者の皆さんと英語に関する議論をすることで、私はここまで「育てられてきた、鍛えられてきた」という思いがあります。
だから、私の訓練の場であるこのブログを続けることをやめなかったのです。

…とまぁ、熱く語ってはおりますが、3回目でやっと、それもギリギリの点数(60点…笑)で合格したことで、私は「私のこの学習法が英検に有効だ!」と偉そうに断言することはできなくなってしまいました、かねぇ?(笑)。
それでも、少なくとも、私が英検1級の受験を考えることができるほど自分の実力に自信が持てるようになったことと、一次に1回目の挑戦で合格したことに関しては、効果があったのは間違いないと思っています。

その「ドラマを使った英語学習の効果」について、明日、もう少し語ってみたいと思います。
(明後日はフレンズ解説に戻ります。)

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