2013年04月03日

one thingときたらanother フレンズ1-24その9

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フレンズ1-24その1 のコメント欄 でセリフに関するご質問がありました。
そのセリフに関する私の解釈を書いていたら、長くなってしまったので、今日はそれをブログ記事として投稿することにしました。

まずは1つめのご質問。
1) "Jeez, you say one thing and..." について。

そのセリフは以下のシーンで出てきます。
[Time lapse. Chandler and Joey are making the fire, Monica and Phoebe are inside. Ross enters, carrying luggage.]
時間が経過。チャンドラーとジョーイは(ベランダでバーベキューのために)火を起こしている。モニカとフィービーは家の中にいる。ロスが入ってくる、荷物を持って。
ロス: Hey. [Phoebe sees his bags] (やあ。[フィービーはロスのバッグを見る])
フィービー: How long did you think this barbecue was gonna last? (このバーベキューがどのくらい続くとあなたは思ったの?)
ロス: I'm going to China. (僕は中国に行くんだよ。)
フィービー: Jeez, you say one thing and... (なんてこと。<訳はここでは省略>)
モニカ: You're going to China? (ロスは中国に行くの?)

フィービーのセリフは、you say one thing and... で止まっていますが、フィービーはこの後、どういう言葉を続けようとしていたのか、そしてその意味は何か?というご質問でした。

まず、one thing というフレーズで思い出すのは、one thing and another 「あれやこれやで」、one thing leads/led to another 「あることが別のことにつながって」などでしょうか。
To A is one thing, to B is another. 「A することと、B することは別物だ」という決まり文句もありますね。

この後に何というフレーズが続き、その意味は何であるか?について、私なりに2通りの解釈を考えてみました。以下にそれを書いてみますね。

まず1つ目の解釈は、you say one thing and it leads to another みたいな言葉が続くのでは?という想像。
直訳すると、「あなたが1つのことを言うと、それが別のことにつながって」みたいなことですね。
フィービーは、ロスが「中国に行くんだ」と言ったことを嘘だと思っていて、「そんな風に1つ嘘をつくと、辻褄合わせで嘘に嘘を重ねることになって、後で大変なことになっちゃうわよ」みたいに言いたいのかなぁ、と。
DVD の日本語訳も「(字幕)ウソはダメよ/(音声)うそ1秒、ケガ一生よ」となっていて、特に音声の訳は、私が上に書いた解釈と同じな気がしたわけです。
そのシーンのフィービーの表情を見てみても、目をカッと見開いて、ちょっと身体を震わせてみせているので、「そういう嘘を言うと、その後、大変なことになっちゃうわよ」みたいなニュアンスが感じられる気がしました。

次に、2つ目の解釈。
話の流れからすると、上の解釈が正解かなぁ、と思うのですが、実は、"You say one thing and do another." というお決まりフレーズがあるのですね。
最初の部分 You say one thing and... が全く同じなので、フィービーはわかりきった後半部分を省略した、とも考えられる気がしました。

英辞郎では以下のように出ています。
say one thing and mean another=言ってることと本心が違う
say one thing but do another=言うこととすることが違う


つまり、「ある一つのことを言って、別のことを意味する・別のことをする」ですから、「言うこととすることが違う」というような意味になるわけです。英辞郎では上の2種類が出ていますが、実際にネット検索してみると、"You say one thing and do another." の形もよく使われているようです。

ただ、「言うこととすることが違う」という意味で言っているとすると、ちょっと話の流れ的に、またフィービーの表情の印象と、ずれている気もするのですね。
フィービーは「バーベキューするのにそんな大荷物?」みたいに最初は話しかけ、それに対してロスが「中国に行くんだよ」と答えた時点で、「ロスの言っていることと、やっていることは一致している」ことになると思うからです。中国に何泊も泊りがけで行くから、そんな大荷物なんだー、ということで、誰もが納得できるはずですよね。
ですから、このフィービーのセリフが、you say one thing and... まで偉そうに言って、途中で「言行一致してるじゃん」と自分の間違いに気付いて、言うのを途中でやめた、ということならいいのですが、セリフの言い方やフィービーの表情からは「間違えちゃった」というイメージは受けません。
途中まで言って自分の間違いに気付いた、という場合だと、you say one thing and... uh, whatever. 「あー、何でもいいわ」とか、you say one thing and.... Never mind. 「気にしないで(今の話は忘れて)」みたいな言葉が続きそうにも思うのです。

とすると、いくら、You say one thing and... という決まり文句があったとしても、そのフレーズが続くと考えるのは無理があるのかなぁ、と。
ただ、もう一つの可能性としては、「中国に長期旅行するから大荷物」のように、ロスの説明とロスの装備が一致しているのに、人とはズレた感覚のフィービーが、「言ってることとやってることが違うじゃない」「その大荷物と、中国に行くのと、どういう関係があるのよ」みたいに、全くピント外れな返しを(それもちょっとあきれた感じで)言っている、という面白さなのかもしれない、、とも思ったりもしました。
ただ、そういう「ナンセンスな返し」であれば、ロスが「はぁ? フィービー何言ってんの?」みたいなあきれた顔をするようにも思うのですね。

ということで、"You say one thing and do another." というお決まりフレーズが存在するものの、今回のセリフは、「適当なこと(嘘)を言うと、それが続くことになるわよ」みたいな意味で言ったのかな、と思いました。


次に、2つ目の質問。
2) "Have you been involved with someone where you haven't broken up?" の where の役割と意味について。

そのセリフは以下のシーンで出てきます。
ロスが自分のことをずっと好きだったと知って、急にロスを意識し始めたレイチェル。
他の男性とのデート中にも、ロスの幻影(それも妙にかっこいい幻影…笑)を想像してしまっているレイチェルが、その幻影のロスと会話しているシーン。
レイチェル: Ross, you're, like, my best friend. (ロス、あなたは、ほら、私の親友なのよ。)
ロス: I know. (そうだね。)
レイチェル: If we broke up, and I lost you-- (もし私たちが(付き合って、その後)別れたら、私はあなたを失う…)
ロス: Whoa, whoa, whoa. What makes you think we're gonna break up? (ちょっと、ちょっと、ちょっと。僕らが別れることになるって、どうしてそう思うの?)
レイチェル: Well, have you been involved with someone where you haven't broken up? (訳は省略)
ロス: [pause] No. But it only has to happen once. Look, you and I both know we are perfect for each other. Right? I mean.... So the only question is: Are you attracted to me? ([間があって] いや、そんな経験はないよ。でも、そういうことが起きるのは一度だけじゃないといけない。ねぇ、僕たちはお互いにとって完璧だってことを、僕らは二人ともわかってるんだ。だろ? だから、たった1つの質問はこれだよ。君は僕に惹かれてる?)

have you been involved with someone where you haven't broken up? の where はやはり「関係副詞」だと思います。
場所を表す先行詞がありませんが、こういう場合は、where が出てきた時点で、「その前に語られた内容の場所や状況を指している」と軽く頭にイメージするのがいいように思います。
今回のセリフでは、where が出てくる前の前半部分で言われている内容の状況を、「その状況の中で」 という感覚で where で受けている、と言える気がするのですね。
関係代名詞 which も、Which means... 「それはつまり…(ということである)」のように、前に言った文章全体を受ける場合がありますね。
今回のセリフの where も、直前に語られたこと(この場合は、You have been involved with someone 誰かと付き合ってきた、恋愛関係にあった)を状況としてとらえ、その状況の中で、という意味で where で受けている感覚になるでしょう。

前半の部分で、「あなたはこれまで誰かと付き合ったことある?」みたいに尋ねています。
その後、where you haven't broken up と続いているので、where を「そこで、その場所で、その状況で」みたいに捉えると、「その誰かとの関係の中で、あなたが別れたことがない」と言っていることになります。
someone を先行詞として、who を関係代名詞として使うと、「(人)と別れる」は、break up with (someone) のように with が必要になってきますから、Have you been involved with someone (who) you haven't broken up with? になるでしょうか。
それだと「これまで別れたことのない人と付き合ったことがある?」みたいな訳になりますね。

それと同じようなことを、「人」ではなく「状況」で語っているのが、今回の where を使った方のセリフになると思うわけです。
「(あなたが)別れたことのない誰かと付き合ったことがある?」ではなくて、「誰かとの関係の中であなたが別れたことがない、そういう人と付き合ったことがある?」と尋ねている感覚なのだろうと。

それを全部、英語にしようとすると、Have you been involved with someone, in the relationship with whom, you haven't broken up? みたいになるのかなぁ、と。
無理やり日本語に訳すと、「誰かと付き合ったことがある? その誰かとの関係の中で、あなたが別れを経験しなかったような」になるでしょうか。
関係副詞 where は、直前に述べた場所を示しつつ、文章を繋げるという役目があるので、例えば、and there みたいに訳すと、何となく意味が取れたりもします。
上ではそれを、in the relationship with whom のように無理やり関係代名詞(の目的格)を使って英文化してみましたが、シンプルに、and there (= and in the situation) とイメージすることで、このセリフの where の感覚がわかってくるように思いました。

つまり、この where は「漠然と、その誰かと付き合っているという関係(の状況)を指している」感覚だと思います。
誰かと付き合ったことある?と質問した時点で、その人との関係、というものが双方(話し手、聞き手)の頭にイメージされ、そこで where と出てくると、その「場所、状況」が指すものは、その人との(恋愛)関係のことである、とイメージできるように思うのです。

そんな風にイメージはできると思うものの、やはりこの文章は、口語のセリフっぽく、かなりくだけた言い方で、文法的には適切でない、ということにはなるでしょう。
「厳密に言うと、where の指している場所や状況を指す言葉が where の前にない」という意味で、文法的に正しいとは言い難い文章、だと言われそうだということです。
あえて説明するとすれば、「where より前の文章全体を受けている」と言うことは可能だと思います。
「あなたが別れたことがない」という恋愛関係・状況であったような、そういう相手と付き合ったことある?みたいなニュアンスだということですね。

ロスに「どうして、別れることが前提みたいに言うわけ?」と問われたことに対する返事ですから、「これまでに何人か付き合って来た人がいるってことは、その前の人と別れてきたわけでしょ、今までたった一人の人と付き合ってきたってことじゃなければ、付き合えば別れる可能性がある、っていうのは当然のことじゃない」みたいなことがレイチェルは言いたいわけですよね。

DVD日本語訳では、
「(字幕)別れず続いてる恋がある?/(音声)じゃああなたは、誰ともダメになったことがない、って言うわけ?」
となっていましたが、それを英語のセリフで表現すると、「(その人との関係において)別れたことのない誰かと付き合ったことあるの?」となる、ということです。
「誰かと付き合った関係の中で、その関係において」というのが、ここでの、関係副詞 where のニュアンスだということですね。


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posted by Rach at 14:21| Comment(2) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月03日

アイスのフレーバーとトッピング フレンズ1-1その9

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非公開コメントにて、フレンズ1-1 のセリフに関するご質問がありました。
リンクをはって説明することが多くなる内容でしたので、コメント欄にてのお返事ではなく、投稿記事の形で、私の見解を述べさせていただきたいと思います。

ご質問は、フレンズ1-1 のジョーイのセリフ、
There's Rocky Road, and Cookie Dough, and Bing! Cherry Vanilla. You could get 'em with Jimmies, or nuts, or whipped cream!
の意味について、です。

このセリフは、以下の長いジョーイのセリフの一部です。
参考までに、その部分のジョーイのセリフを下に挙げておきます。

自分にとって、only one woman であったはずの妻キャロルが家を出て行って、ロスがそれを嘆くのを聞いた後のジョーイのセリフ。
長いセリフなので、とりあえず日本語訳も同時に書いておきます。
その後、部分ごとに説明していきます。
ジョーイ: What are you talking about? "One woman"? That's like saying there's only one flavor of ice cream for you. Lemme tell you something, Ross. There's lots of flavors out there. There's Rocky Road and Cookie Dough, and Bing! Cherry Vanilla. You could get 'em with jimmies or nuts or whipped cream. This is the best thing that ever happened to you! You got married. You were, like, what? 8? Welcome back to the world. Grab a spoon! (何、言ってんだよ。「一人の女性」だって? それってまるで、自分にはたった1つのアイスクリーム・フレーバーしかない、と言っているようなもんだ。俺に一言言わせてくれ、ロス。世間にはたくさんのフレーバーがあるんだぞ。ロッキーロードやクッキードー、それにこれだよ! チェリーバニラ。その(様々な)フレーバーに、チョコスプレーやナッツやホイップクリームをトッピングすることもできるんだぞ。このこと[今回のキャロルとの別れ]は、ロスにこれまで起こった出来事の中で、最高の出来事なんだぞ! ロスは結婚した、その時、ロスは8歳くらいだったっけ? (現実の)世界によく戻ってきた! スプーンを掴めよ!)

ロスがキャロルのことを「たった一人の女性」と言ったことに対して、ジョーイは「アイスクリームのフレーバーだってお気に入りは一つだけじゃない、いろんな種類があるんだぞ」と言って、世の中の女性も1種類、たった一人じゃない、たくさんの中から自分の好きな人を選べるんだ、と言っていることになります。
This is the best thing that ever happened to you! 以下のセリフについては、
何故8歳なのか? フレンズ1-1その8 の記事で詳しく説明していますので、そちらも併せてお読みいただけると幸いです。

ネットスクリプトでは、Rocky Road, and Cookie Dough のように、大文字始まりで書いてありますが、DVD字幕では、rocky road and cookie dough のように小文字で書いてあります。
これらは、アイスクリームのフレーバーの名前なので、ネットでは固有名詞扱いのようにして、大文字表記にしているようですね。
私もこの部分は大文字にした方がいいように思ったので、上のセリフでも大文字表記にしました。

日本では「サーティーワン」として知られているアイスクリームチェーンは、本国アメリカでは、Baskin-Robbins という名前で、日本、アメリカ、それぞれのサイトを見てみると、それらのフレーバーの写真と説明がいくつか見つかりました。
アイスクリーム好きの人には「今さら」な説明かもしれませんが、セリフの参考になる資料という意味で、以下にそれぞれのフレーバーの情報を載せておきます。

まずは、日本のサイトの「サーティーワン」から。
B-R サーティーワン アイスクリーム
このサイトの、「商品情報 フレーバー」を見てみると、「Standard Flavor (スタンダードフレーバー)」の中に「ロッキーロード」が載っています。
フレーバー>ロッキーロード(R)
サイトの説明文には、
チョコレートアイスクリームにアーモンドとマシュマロ。「岩だらけの道」の名もユニーク。
と書かれています。

今回、このようなご質問をいただいたので、今朝、近くのサーティーワンに行って、ロッキーロードを食べてみましたが、濃厚なチョコアイス、という感じで、とてもおいしかったです。
そのお店に置いてあったリーフレット Ice Cream Flavor Menu (2011年9月10月11月)にも、写真と説明が載っています。
そこでの説明も参考までに載せておくと…。
ロッキーロード(R) ROCKY ROAD
アーモンドは岩、白いマシュマロは万年雪、チョコレートのアイスクリームはドロンコ道と、まるでロッキー山脈のデコボコ道のよう…。


ネットでもリーフレットでも、ロッキーロードという名前の横には、(R) マークがついています。
つまり、registered 「登録された、登録済みの」ということで、登録商標になっているようです。
説明にあるように、まさに「岩だらけの道」という意味ですが、それをサーティーワン(Baskin-Robbins)が、アイスクリームのフレーバーの名前として登録している、ということですね。
登録されている名前ということであると、普通名詞とは言えないので、やはり、英語表記も、Rocky Road のように大文字表記の方が妥当なのかなと思います。
となると、ジョーイは、Baskin-Robbins のアイスクリームのフレーバーをいくつか挙げている、ということになるでしょう。

ちなみに、そのお店のリーフレットには、チョコチップクッキードーも載っていました。
今だけの期間限定フレーバーの「シーズンフレーバー」の中に入っていたのですが、11月からということで、今日はお店にはありませんでした。
リーフレットの説明文は、
チョコチップクッキードー CHOCO CHIP COOKIE DOUGH
キャラメルとバターの風味を加えたバニラアイスクリームに、チョコチップ&ソフトクッキーまで、美味しさがぎっしり!


本家のアメリカの Baskin-Robbins のサイト
Baskin-Robbins Your Neighborhood Ice Cream Store
の Flavors も見てみました。
ロッキーロードとクッキードーはそれぞれ、Rocky Road, Chocolate Chip Cookie Dough という名前で載っています。
また、Cherry Vanilla という名前のフレーバーはなかったのですが(もちろん、味は容易に想像できますが…笑)、よく似たチェリーのものとしては、Cherries Jubilee というのがあります。
jubille は「祝典、歓喜」という意味なので、「チェリーの祝典」とか「チェリーの歓喜」みたいなネーミングのようですね。

それぞれのフレーバーの Nutrition Information (栄養成分表)には、大きめの写真と英語での説明も載っています。
Nutrition Information : Rocky Road
Nutrition Information : Cookie Dough
Nutrition Information : Cherries Jubilee

今回は、写真をお見せしたかったので、実際のアイスクリーム店の情報をリンクさせていただきましたが、とりあえずどんなものかを知りたい、ということであれば、英辞郎に、それらのフレーバーの名前と意味が以下のように載っていました。

rocky road
【1】岩だらけの道、苦難の道
【2】ロッキー・ロード◆チョコレートアイスにアーモンドとマシュマロが入ったもの。

cookie dough=クッキーの生地
cookie dough ice cream=クッキー・ドウ・アイスクリーム◆バニラアイスにクッキーの生地(焼く前)がそのまま入ったもの。


英辞郎は商品名をたくさん収録してくれているので、こういう場合にとても便利ですね。
クッキードーの語義にあるように、「焼く前のクッキーの生地」ということですが、アメリカではクッキーの生地を、焼く前の「生の状態」で食べる人も結構多いようです。
実際に、フレンズ1-4 では、クッキードーを食べているらしいシーンもありました。
女子3人が a slumber party をしようとしているシーンで、
モニカ: We got some trashy magazines. We got cookie dough. We got Twister.... (くだらない本があるし、クッキードーもあるし、ツイスター(ゲーム)もあるし…。)
と言って一緒に過ごす夜を楽しみにしていたのですが、レイチェルが将来を悲観するような発言をしたために、他の二人も落ち込んでしまいます。
ピザ屋さんが来る直前に、モニカがしゃもじのようなものでボウルから直接食べているのが、そのクッキードーだと思います。
アイスクリームを巨大なカップのままスプーンを突っ込んでヤケ食いする、というシーンもよく見かけますが、この時のモニカはアイスクリームの代わりにクッキードーでヤケ食いをしている感じなんだろうなぁ、と。

Bing! というのは、Bam! 「バン!」「バーン!」と似た感じの擬音語で、勢いをつけている感じでしょう。
そんな風に3つのアイスクリーム・フレーバーを挙げた後、ジョーイはさらに、You could get 'em with jimmies or nuts or whipped cream. と言っています。
この部分、DVDの吹替(日本語音声)では、「トッピングだって、チョコもあれば、ナッツも、ホイップクリームも。」となっていました。

'em は them のことで、その前に挙げた様々なフレーバーのアイスクリームのこと。
そういうものを、ナッツやホイップクリームと一緒に get できる、と言っているので、DVDの日本語訳通り、アイスクリームの上にナッツなどをトッピングするイメージで言っていると想像できます。
好きなフレーバーを選べる上に、好きなようにトッピングもできちゃうんだぞ、ということですね。

ジョーイに言わせると、「僕にはこの女性しかいない」と心に決めてしまったロスは、アイスリーム屋さんでいつも同じフレーバーしか注文しないやつ、様々なトッピングを試したりもしないやつ、ということのようで、アイスのフレーバーを選ぶみたいに、女性もいろいろ選べるんだから、「僕には一人だけ」とか思い込むのはやめろよ、という彼なりのアドバイスなわけでしょう。

そんな風に、with jimmies or nuts or whipped cream は、アイスのトッピングであることが想像できます。
ナッツとホイップクリームはわかるとして、ジミーズって何だろう?と一瞬思う方もいるでしょうね。
私はたまたま、日本語訳に「チョコ」と書いてあったので、このエピソードを見た当時は、「まぁ、トッピングだから、確かにチョコとかそんな感じのもんだろう…」と納得し、特に jimmies が何であるかを調べることはしませんでした。
今回、ご質問をいただいたので調べてみたのですが、一般的な辞書にはあまり載っていません。
いろいろ検索した結果、ウィキペディアで以下の説明を見つけました!

Wikipedia 英語版: Sprinkles
最初の部分の説明が非常にわかりやすいので、以下に引用させていただきます。
Sprinkles (also called hundreds and thousands or jimmies) are very small pieces of confectionery used as a decoration or to add texture to desserts−typically cupcakes, cookies, doughnuts, ice cream, frozen yogurt, and some puddings. The candies, which are produced in a variety of colors, are usually too small to be eaten individually.

最初の説明を訳させていただきますと、
「Sprinkles (または、hundreds and thousands や jimmies と呼ばれる)は、デコレーションとして、または、典型的なデザートのカップケーキや、クッキーや、ドーナツやアイスクリーム、フローズンヨーグルト、プリンなどに風合い(質感)を加えるために使われる菓子(糖菓)の非常に小さなピース(破片)である。様々な色で生産されているその砂糖菓子(sprinkles のこと)は、たいてい、ものすごく小さくて、個々に(単独に、一つ一つ)食べることはできない。」

つまり、ウィキペディアの見出しは、sprinkles 「スプリンクルズ」となっていますが、別名として、jimmies とも呼ばれている、ということですね。
そこには、jimmies を使ったお菓子のトッピング例の画像がたくさん載っていますので、これを見れば一目瞭然、というところでしょう。
カラフルな色がついているものもある、小さな小さなチョコレートみたいなもので、日本では多分、「チョコレートスプレー」「チョコスプレー」と呼ばれているもの…ですよね?

トッピングに使う、ああいうカラフルなチョコ状のものを英語では、jimmies と言うんだぁ…と今回調べてみて初めて知りました。
逆に言うと、かれこれ「フレンズ」のセリフのブログを6年以上も書いてきて、一番最初のエピソードである、フレンズ1-1 に出てきた単語の意味を、私は「やっと今頃」知った、ということになります。
つまりは、「まぁ、そんな感じのものだろう」と思うだけで、時間をかけて調べることをしなかった部分も結構ある、ということで、それも「生きた英語」を教材として使う場合の心構えの一つだとも思っています。
「今の自分に調べられることは、時間の許す限りできるだけ調べる、でも、わからないものにはこだわりすぎない」という姿勢が大切だと私は常々思っています。
その「時間の許す限り」の部分を決めるのは、学習者本人であり、この部分にかかりきりにならない方がいいと思えば、それは「とりあえず置いておく」という思い切りも大切だということですね。

今回は、せっかくご質問をいただいたことですし、それに、「フレンズ」で英語学習を始めようと思う方のほとんどがまずは見るであろう、第1話なので、アイスクリームのフレーバーやそのトッピングに関する単語について、ちょっとしつこめに調べてみたわけです。

英語力をつける、伸ばす、という観点から言うと、今回のような食べ物の固有名詞については、「そんな名前の食べ物があるんだな」くらいで置いておくのも一つの手…というか、むしろそちらの方がベターなのかもしれません。
特に、固有名詞の場合は、DVDの日本語訳や、英辞郎を参考にして、「ほぉ、そういう感じのものかぁ」と納得しちゃう、のが、ある意味、一番手っ取り早いですね。
また、そういうものが気になって調べてみたいと思ったら、時間の許す限り調べてみるのも悪くない、とも思います。
今回、サーチのため訪れた、本家アメリカの Baskin-Robbins のサイトや英語版ウィキペディアは、当然、全部英語で書いてありますので、それを読んで、そこから必要な情報を引き出すことそのものが、「英語学習」だと言えるからです。

こういう固有名詞に関する部分は、時間がない場合には飛ばすべき部分だけれど、その中身を知りたくて、英語のサイトを次々探して行く行為自体は決して無駄ではない、ということが、今回、私が言いたかったことだ、ということです。


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posted by Rach at 17:14| Comment(3) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月25日

phone it in フレンズ1-10その7

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フレンズ1-10その6 のコメント欄 で、フレンズ1-10 での2つのセリフに関するご質問がありましたので、そのセリフに対する私の見解を、今日は記事として投稿したいと思います。
やたらと長い記事になってしまったので、お急ぎでない方は、お時間のある時にでもお読み下さい(笑)。

まず1つ目。
出掛けていたレイチェルが、部屋に帰ってきたのですが、顔も髪も服もボロボロの状態。
どうしてそんなことになったかの顛末を話しているセリフ。

レイチェル: I was at the airport getting into a cab, when this woman, this blond planet with a pocketbook, starts yelling at me. (私は空港にいて、タクシーに乗ろうとしていたの。その時、ある女が、pocketbook を持った blond planet が、私に叫び始めたのよ。)

その女のせいで、私はこんな姿になっちゃったのよ、とその女性を非難するセリフがこの後、続くことになります。
このセリフの中の、pocketbook と blond planet という言葉の解釈についてのご質問でした。

pocketbook は、DVD の日本語では「ハンドバッグ」と訳されていました。
実際、pocketbook には、そのような「ハンドバッグ」の意味があります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
pocketbook :
1. the amount of money you have, or your ability to pay for things
2. (old-fashioned) a woman's purse (= small bag), especially one without a strap
3. a small book with a soft cover that can be carried in a pocket
4. (old-fashioned) a wallet


つまり、1. は、「自分が持っているお金の量、または物に対して払うことのできる能力」。
2. は、「(古い表現) 女性の purse (小さなバッグ)、特にストラップがないもの」。
3. は、「ポケットに入れて持ち運べる、ソフトカバーの付いた小さな本」。
4. は、「(古い表現) wallet (財布)」。

このように様々な意味があるので、どう解釈するのも可能、なのかもしれませんが、purse や wallet の意味には、old-fashioned (古い、古風な、古臭い表現)と書いてあるので、若い人はあまり使わないとも考えられる気はします。
ご質問のコメントでも、「おしゃれなレイチェルの使う言葉ではないような気がする(purseとかを使う)」というご意見をいただきましたが、私もそれに同感です。
フレンズでは女性陣がそういうハンドバッグを purse と呼んでいるシーンが何回も登場していますので、同様のハンドバッグならば、ここでも purse を使っただろう、だからこれは purse ではなく、カタカナ表記の「ポケットブック」から想像される通りの「ポケットに入るような、文庫本のような小さな本」ということになる気がします。

あるいは(こちらは可能性は少ない気がするのですが)、purse のことを、わざと古臭い表現である pocketbook と表現することで、「古風で古臭くてダサいハンドバッグ」みたいなニュアンスを出したかった、という可能性もなくはない…とも思いますが、やはり素直に「ポケットブック」と解釈するのが自然かなぁ、と。

次に、blond planet について。
まず、細かい話ですが、DVD英語字幕では、blond、ネットスクリプトでは blonde となっています。
これについては、研究社 新英和中辞典に、

blond, blonde
綴り
blonde は女性形; 現在は男女とも blond を用いることが多い


とありますので、どちらを使っても問題ない、ということで良いでしょう。

そして意味については、この planet はやはりあの「プラネット、惑星」で、「金髪惑星(金髪星)から来た女」みたいなニュアンスを「私は」感じました。
後で、別の意見もご紹介しますが、まずは私がどうしてそう思ったかについて語らせて下さい。

今回の フレンズ1-10 よりも先のエピソードになってしまいますが、過去記事、故郷の星に帰ったらどう? フレンズ5-11その7 で、planet という単語が使われるフレーズ、What planet is somebody from? 「〜はどの惑星から来たの?」について説明しました。

アカデミックな辞書である LAAD にも以下のように出ています。

what planet is somebody from/on? also somebody is (living) on another planet :
(spoken) (humorous) used to say that someone does not seem to understand things that are clear to most people, or that their ideas are not at all practical or sensible


つまり、「(人)はどの惑星から来たの?」「(人)は別の惑星に住んでいる」というフレーズは、
「(口語)(ユーモラスな表現) ある人が、ほとんどの人にとって明らかな事柄を理解していないように見えること、または、その人の考えが全く現実的ではない、または分別がないこと、を言うために使われる」。

地球人の常識(笑)では理解不可能な発言・行動をする人に対して言う言葉で、「君は他の惑星から来た宇宙人?」と言ってからかう感覚のフレーズです。
それと同じようなニュアンスで、blond planet も、a woman from the blond planet という意味で使っているように私には思えました。
金髪の人ばかり住んでいる惑星から来た女みたいに、「いかにも金髪、これぞ金髪」って感じの金髪だった、みたいな感じで。

今回、ネットを検索してみると、このフレーズについて英語のフォーラムが存在することがわかりました。
blond planet : WordReference.com
そこには2種類の回答が寄せられています。
詳しくは実際にそのフォーラムを読んでいただければと思うのですが、簡単に説明させていただくと、
1つは私と同じ見解の、a woman from the blonde planet という意味だろうという意見で、
もう1つは、the woman was very big, as big as a "planet" 「その女性はとても大きい、1つの惑星と同じくらい大きい」という意味に思えるという意見でした。
そのフォーラムでは、どちらの意見が正しいか、というところまでは結論が出ていないので、どちらの意見を取るかは読者の自由ということになるでしょう。
拙ブログの読者の皆様にも、ご自分の気に入った方の解釈(笑)を選んでいただければと思います。

私は自分の意見を押し付けるつもりは全くないのですが、このブログの管理人としての見解を一応述べておくと、planet と聞くと、What planet is she from? みたいなフレーズを思い浮かべるので、そっちの方の意味じゃないかなぁ、と私は思ったということですね。
確かに a planet は、その形状と大きさから、「丸くてデカい」ものの例えに使われる可能性はあるでしょう。
ただ、図体のでかい女、みたいな意味を言いたいのであれば、cow 「牛」みたいに言うかなぁ、とか思ったり。

例えば、フレンズ1-17その4 や、フレンズ3-3その12 で、「太っている人」の形容として cow という言葉が使われていたので、ここであえて、planet という単語を選択している理由がうまく説明できないと言いますか…。

次に、blond (blonde) という単語について。
コメント欄のご質問では、blond という言葉のネガティブなニュアンスについても言及されていますが、確かに世間では、「頭が悪い」というようなイメージを持たれがちな傾向にあるようです。
(金髪の方、ごめんなさい。あくまでも、「ステレオタイプなイメージ」の話だとご理解下さいませ。)

実際、そういう「金髪のステレオタイプなイメージ」を表現したセリフに出会ったことがありますので、ここで紹介させていただきます。

女子高生探偵が主役のドラマ「ヴェロニカ・マーズ」(原題: Veronica Mars)のシーズン1第4話「詐欺師をやっつけろ!」(原題: The Wrath of Con)で、ヴェロニカが、お金を騙し取られた依頼人になりすまして、犯人に接触し、もう一度お金を貸すふりをするシーン。
小切手を渡そうとするヴェロニカに、相手の詐欺師は「現金じゃないとだめなんだ。誕生日まで銀行口座は凍結されてて…」などと説明します。

その説明がよくわからない、という顔をした後のセリフが、
ヴェロニカ: Okay, I'll-- It must be the hair. Blond.
で、DVDの日本語字幕では、「よく分からないけど… 私、頭が悪くて」と訳されていました。

直訳すると、「わかったわ、私は… きっと髪の毛のせいね。(ほら)ブロンドなのよ」ということで、「髪の毛がブロンドだから、あなたの言っている意味がよくわからないけど、まぁ、あなたの言う通りにするわ」みたいなニュアンスで使われています。
このセリフからも、金髪だから、事情がうまく飲み込めない、みたいなニュアンスで言っていることが感じ取れます。
ヴェロニカは探偵をやっているくらいなので、頭脳明晰な女の子なのですが、髪の毛は透き通るような金髪であることを逆手にとって、わざとおバカなふりをしている、というセリフになるでしょう。
「頭が悪い」というステレオタイプなイメージとは正反対の「金髪の女子高生探偵」というキャラ設定をしているにもかかわらず、その本人の口からステレオタイプなイメージ通りの言葉を言わせる、というところに、「しゃれたひねり」を感じるわけです。
「おバカだと思ってるかもしれないけど、ところがどっこい」みたいな、そういう「ステレオタイプ」を密かに、しかし痛烈に、批判している感じもしますしね。

レイチェルがわざわざ相手の女性のことを blond だと言ったのも、ただ見た目がブロンドなだけではなくて、そういうネガティブな「バカな女」という意味も持たせたかった気もします。
レイチェル自身はどちらかと言うと金髪の部類ですが、厳密に言うと、それほど金髪ではないですよね。
フレンズのメンバーなら、フィービーの方がより金髪っぽいです。
実際、フレンズ2-16その9 で、
店員: Blonde girl? You're in room two. Not-so-blonde girl, you're with me. (金髪女? あんたは2番の部屋。そんなに金髪でない女、あんたは私と一緒に来て。)
というセリフがありましたが、金髪と呼ばれたのはフィービーで、「そんなに金髪ではない」と呼ばれたのはレイチェルでした。

レイチェル自身、自分は「完璧な金髪じゃない」という意識が常にあるため、「いかにも金髪」な女性を見た時に、どうしてもそれに目が行ってしまうような気がします。
今回の フレンズ1-10 のセリフでは、相手に対して怒りを抱いているために、「(ステレオタイプなイメージ通りの)おバカなんじゃないの?」という軽蔑した気持ちと、見事で美しい金髪に対する嫉妬に近い気持ちとがないまぜになって、その女性を形容する時に、this blond planet という言葉が出てきたのかなと思うのですね。
自分がブルネット(黒髪)の場合、「あのブルネットの女が」とは形容しないのと同じで、自分と違う部分の特徴をネーミングに使ったのだという気がしました。

ということで長くなりましたが、私がそのセリフを訳すとすると、「文庫本を持った、金髪星から来たような金髪女が、私に叫び始めたのよ」になるでしょうか。


2つ目のご質問について。
ロス: Changing his diapers. Picking his fleas. But he's just phoning it in. (彼(お猿のマルセル)のオムツを換えたり、彼のノミを取ったり。でも彼はただ、phone it in するだけなんだ。)
この phone it in はどういう意味か?についてです。
過去記事では、その部分の日本語訳として「彼には通じないんだ」と書いたのですが、それは DVDの日本語訳が「でも通じない/でも彼には通じないんだ」となっていたのをそのまますんなり納得して、何も疑問を感じずにそのまま書いてしまったものだったようです。(6年前の記事は、本当に「雰囲気で、何となく」日本語をつけている部分も多いのですが、これはその典型と言えそうです。すみません。)

それで、今の私が改めてこのセリフを見直してみたわけですが、やはり、この文脈を考えると、「(僕が必死に尽くしても)彼には通じない」的な意味がしっくりくる気がするのですね。

phone という単語は、英和を見ても「電話をかける」という意味くらいしか載っていません。
LAAD に載っている以下の意味も、それに近いニュアンスです。

phone sth ⇔ in : to telephone a place to report something, give your opinion, ask a question etc. SYN: call in
例) Elliot was arrested for phoning in a bomb threat.


つまり、phone sth in は、「何かを報告する、自分の意見を言う、質問をするなどのためにある場所に電話をかけること」。
例文は、「エリオットは爆弾の脅迫電話をかけたことで逮捕された」。

ですが、マルセルが電話をかける、というのはやはりヘンな気がするので、ネットの辞書で調べてみると、それらしい意味を発見しました。

Urban Dictionary : phone it in
phone it in
344 up, 10 down
Perform an act in a perfunctory, uncommitted fashion, as if it didn't matter.
例) She sang the National Anthem, but she was just phoning it in as far as I could tell.


つまり、「おざなりで、全力を傾けることのないやり方で行動すること、まるで重要なことではないかのように」。
例文は、「彼女は国歌を歌ったが、私のわかる限りでは、ただおざなりでそうしていただけだった」。

Wictionary : phone it in
Verb
phone it in
2.(idiomatic) To fulfill a responsibility with a minimum effort rather than the appropriate level of effort.


つまり、「(慣用的表現) 適切なレベルの努力というよりもむしろ最小の努力で責任を果たすこと」。

言い換えると、「責任を果たすのに必要な最小レベルの努力しかしない」ということですから、上の Urban Dictionary の perfunctory, uncommitted 「おざなりで、全力を傾けることのない」に通じるものがありますね。
ロスに言わせると、「僕は必死に尽くしてるのに、尽くしても尽くしても(…演歌みたいですが…笑)、おざなりの、必要最小限の反応を返してくるだけなんだ」みたいな感じなのかなぁ、と思います。
お世話してあげると、それに対して無反応だったり、無視したりするわけじゃないけれど、「ん、ありがと」程度にチラッと視線を向けるだけで、僕(ロス)のことなんかどうでもいい、興味ない、みたいな態度を取るんだよ、とボヤいているような感じかなぁ、と。

ここからは私の推測ですが、どうして元々は「電話で報告する」という意味の phone it in がそういう「おざなりな対応」みたいな意味になるかについて少し考えてみました。
実際に本人が出向いて行って、直接報告したり意見を言ったりするのと比較すると、「電話という機械越しに、顔も合わせずに報告する」という行為が、心がこもっていないように受け取られる、熱意がないように取られる、という感覚から来たのかも…と思ったりします。
現代社会においては、電話やメールでは失礼、という感覚もずいぶん減ったとは思いますが、直接会う(in person)の方が、電話で話す(on/over the phone)よりも、熱心さが感じられる、ということは今でもあるのかな、という気はします。

実際、フレンズ3-6その13 で、
エリック: But, he told me over the phone... (でも、チャンドラーは電話で僕に言ったんですよ…)
ヘッケルさん: He told me in person. (チャンドラーは私に直接言ったぞ。)
というやり取りがありました。
ここでも、over the phone よりは、in person の方が信頼できる、という感覚が感じられます。

…ということで、長くなりましたが、今の私が日本語訳をつけるとすると、But he's just phoning it in. は「(僕がオムツを換えても、ノミをとっても)マルセルはただ、適当におざなりな対応を返してくるだけなんだ」になるように思いました。


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posted by Rach at 16:30| Comment(6) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月19日

主語youで自分の体験を語る フレンズ1-5その7

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フレンズ1-5その1 のコメント欄 でご質問がありました。
その記事内で、
チャンドラー: There's that awkward moment when you've handed her the note. (ジャニスにメモを渡したときは、気まずい空気が流れたよ。)
というセリフについて取り上げているのですが、「ジャニスにメモを渡したのはチャンドラーなのに、どうして主語が I ではなくて、you になっているのでしょうか?」というご質問でした。
そのセリフについて、その記事では解説が不十分であることと、私が当時つけた日本語訳を見ると、今の私が考えるものと少しニュアンスが違っているように思ったので、今回、改めて1つの記事として、修正と解説の追加をしたいと思います。

このような「自分の体験を語る you 」は、フレンズなどの海外ドラマのセリフによく登場するもので、これまでの記事やコメント欄でも何度か説明したことがあります。
ですが、フレンズ1-5 のようなシーズン1の最初の頃のエピソードですでに出てきていた、ということであれば、少しでも早い段階でそういう you のニュアンスを理解していただいていた方が、あとあとの英語学習もスムーズになるだろうとも思いました。
フレンズ1-1 から順番に学んでおられる方のためにも、今回は、フレンズ1-5 の追加記事として改めて書いてみようと思ったということです。
ですから、過去の記事やコメント欄に書いた部分と重複するところも多々あると思いますが、ご了承下さいませ。

フレンズ1-5その1 の記事では、チャンドラーの長いセリフの中の1つの文だけを取り上げていますが、実際のそこでのやり取りは以下のようになっていました。
今の私が考える日本語訳も一緒につけてみます。

モニカ: Chandler, nobody likes breaking up with someone. You just gotta do it. (チャンドラー、人と別れるのが好きな人なんていないわ。ただそうしなくっちゃ[別れなくちゃ]。)
チャンドラー: No, I know. But it's just so hard, you know? I mean, you're sitting there with her. She has no idea what's happening. And then you finally get up the courage to do it. There's the horrible awkward moment when you've handed her the note. (わかってるよ。でもただすごく難しいんだ、わかるだろ? つまりこういうことだ、彼女(ジャニス)とそこに座ってるとする。彼女は何が起ころうとしているのか全くわかっていない。そしてそれからついに別れる勇気を振り絞る。そこで、ものすごく気まずい瞬間があるんだよね、彼女にメモを手渡す時にさ。)

チャンドラーは、ジャニスと別れるのがどれほど難しいかを説明しようとしています。そのチャンドラーのセリフはすべて、主語が you で語られていますね。
これは、最初の部分の、But it's just so hard, you know? I mean... に続く形で、「ジャニスと別れるのがどんなに大変かわかるだろ? 例えばこんな感じなんだよ…」と、相手にジャニスとの場面を想像させて、そのハードさを理解してもらおうというようなニュアンスがあります。
チャンドラーは、「過去にジャニスとの間に実際に起こったこと」(過去の出来事)を説明しているのだと思うのですが、それをリアルに「想像」してもらうために、主語を you にし、現在形を使ってしゃべっているのだと思います。
日本語でも、「ほら、ちょっとそういう状況を想像してみてよ、君がジャニスと座ってるとする。ジャニスはこれから何が起こるのか全然わかってない。それで…」みたいに言うことがありますよね。それと同じような感覚だと思います。

日本語だと、「例えば、君がこういう状況だと想像してみてくれ」みたいに事前に一言、言っておく必要があるようにも思いますが、英語の場合は、「自分の体験を説明する際に、相手に共感してもらえるように、主語に you を使って説明する」ということが一般的かつ自然に行われているため、いきなり、主語の you を使って言っても相手も戸惑わないわけです。
これが、主語が I であって、時制もすべて過去形であったなら、「過去に起こった事実を淡々と述べている感じ」になるでしょうが、相手にその体験を共有してもらって、そのハードさを理解してもらうために、主語が you で現在形が使われている、と考えたらよいと思います。

つまり、チャンドラーは、自分の経験を述べているようですが、「もし君がこういう状況にいたとする、それで彼女はこんな感じで、結局、こういう結果になるんだよ」と、君(相手)に疑似体験を連想させて、相手の共感を得ながら自分の体験を一般論として語る感覚が、この you なのだと思います。
こういう you は、「君が」と訳すべきではないし、また、自分の体験を語っているのであっても、「俺が、私が」のように訳さない方が良いとも思います。
「相手を含めた一般の人の you を使うことによって、自分の体験を相手に共有させる」ニュアンスがあるわけですから、あえて主語を誰とは示さずに訳す方が、この英語の you のニュアンスが出やすい気がするのですね。

また、チャンドラーは、自分の経験を語っていると思われるので、意味としては、私が過去記事で訳したような「ジャニスにメモを渡したときは、気まずい空気が流れたよ」みたいな感じの内容になるとは思いますが、厳密に前から訳すと、「そういう気まずい瞬間があるんだよ、ジャニスにメモを(ちょうど)手渡した時にね[手渡すとね]」みたいになるでしょうか。

また、when 以下が後半に位置しているのは英語ではよくある普通のことですが、このセリフに関して言うと、この部分がジョークのオチ(punchline)になっているような気もします。
ジャニスと別れるのがどれだけ大変か、という話を語っていて、「何もわかってないジャニスに対して、別れを告げようと勇気を振り絞るも、気まずい瞬間があるんだよねぇ…」と来るので、彼女に「別れよう」と口に出して言うのが気まずいのかと思ったら、直接口では言えなくて、メモに書いて手渡す、というオチだった、という面白さがあるのかなぁ、と。

「別れよう」ってメモに書いて渡す?!って、そりゃあ気まずいわっ!(笑)とツッコミを入れたくなる感じもしますし、また、「ばつが悪く、きまりが悪い」と言っていたのは、「別れを告げることそのもの」ではなくて、「メモを使うという行為」を指しているという面白さなのかな、とも思います。
「いやぁ、気まずくてさぁ、メモを渡すと」「え、メモ!?」みたいな感じのやり取りで、勇気を奮い起こした結果が、直接口では言えない、「メモの手渡し」かよっ!という楽しさなのでしょう。
have handed her the note を聞くまでは、「うーん、確かに気まずいわよね…」と共感していただろう聞き手のみんなが、メモのオチを聞いてちょっと拍子抜けする、みたいな感覚なのかなと私は思いました。

ということで、このセリフは、「俺がジャニスにメモを手渡した時、気まずい瞬間があった」という「過去の自分の経験」っぽく訳すよりも、「気まずい瞬間があるんだよね、ジャニスにメモを手渡すとさ」という、「内容を相手の頭の中でイメージさせるような感覚」で訳すのが良いのかな、と思います。

このように、英語では、「自分の経験談を語る時に、主語を you にする」ということがあるわけですが、それについては、辞書、または他の方のわかりやすい説明を引用させていただく形で、そのニュアンスを詳しく見ていきたいと思います。

まず、you には話している相手の「あなた」以外に、「一般の人」を表す意味があります。
それは、英和や英英にもたいていは載っています。

研究社 新英和中辞典では、

you=[総称的に一般の人をさして]人は(だれでも)
(用法)漠然とした人をさすので, 日本語に訳さないほうがよい場合が多い


と説明されています。

また、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
you [pronoun]: people in general

つまり、「一般の人」という語義で載っています。

その「一般の人」を表す、という意味から、一般の人には当然 I も含まれている、ということで、I の代わりに you を使うことがある、ということになるようです。
you が「一般の人」を指す、というところまでは、とりあえず辞書にも載っているのですが、さらにそれが「I をも含んでいる」、だから、「I の代わりに you を使うことがある」ということまでは、辞書にはなかなか載っていません。

以下にそのニュアンスを非常にわかりやすく説明して下さっている2つの説明をご紹介します。
1つ目は、「週刊ST」内のコラム、2つ目は、マーク・ピーターセンさんの「続 日本人の英語」です。
(この引用は、他の記事でも何度も使わせていただいていますが、「本当にこの説明はわかりやすい!」ので、今回も是非使わせて下さい!)

まずは、ジャパンタイムズ発行の抄訳付き英字新聞「週刊ST」の堀内克明さんと V.E.ジョンソンさんによるコラム「英語Q&A」の記事。
そのコラムでは、このトピックについて2度取り上げられていました。

1回目は、2005年6月10日号の、「一般の人を表す you 」という記事。
読者の方の質問は、「ミュージシャンのインタビューで、明らかに自分が質問されているのに、主語を you にして答える人が多い。この you はどのようなニュアンスなのでしょうか?」というものです。
その時の先生方の回答を以下に引用させていただきますと、

この you は一般の人(person or people in general)を指すもので、特定の「あなた」を指してはいません。つまり、「あなたを含む一般の人」といった意味で、話し相手を抱き込むような親しみを込めています。
従って、会話やインタビューでは、くだけて親しい感じを表わすために you が好んで使われます。


そして、もしインタビューに答える時などに、you 以外の単語を使った場合にはどういうニュアンスになるか、という説明もされていて(これがまた非常にわかりやすくて感動したのですが)、その説明は以下のとおり。

one や a person だと「改まっていて、堅い」感じ。
people は「自分以外の世間一般の人たちを指す」感じ。
we は「われわれ」という自己主張が感じられて、you のように控えめではない。
I だと「自己満足」の感じ。
動名詞を使って「…することは」という文にして主語を省略すると、主語を省略する日本語に近い効果があるが、これはぶっきらぼうな印象を与える。


2回目に取り上げられたのが、同じコラム「英語Q&A」の 2007年1月12日号の「自分のことを指す you 」という記事。
「(インタビュー記事などで)、本人が自分のことを話しているのに、主語が "you" になっているのをよく見ます。I ではいけないのでしょうか?」
という読者の質問に対する先生方の回答を、以下に引用させていただきます。

こういう you は、generic you (総称的な you) または indefinite you (不特定の you)と呼ばれます。
つまり、この you は特定の「あなた」ではなく、「あなた(方)を含む人(たち)」です。これは「人」(one)に近く、結局「われわれ」(we)と同じ意味になります。この we には当然 I が含まれますので、回りまわって you = I に相当します。
要するに、最初から I と言うと自己主張のように聞こえて、客観性がありませんので、相手を含めて you と言うと、一般性のある意見を伝えることができるというわけなのです。



次にご紹介するのは、マーク・ピーターセンさんの 続 日本人の英語 (岩波新書)

p.69 から、
「あなた」ではない You
についての説明があります。
p.71 に、
英語では、自分の経験から一般論を推定する場合、主語を "you" にすることが実に多い。
とあります。
こういう you の使い方は、一般日本人には馴染みがないらしく、日本人学生にこの "you" を使うと、たいてい誤解される、という主旨のことも書いてあります。
つまり、自分の経験として「一般論の you」を使って、When you watch... , you can.... と説明すると、I can? と聞き返される、というような「すれ違い」がたびたび起こる、ということですね。
また、日本人はこういう一般論を語る場合に、We を使いたがるが、そういう "we" は、「硬くてやや不自然というだけでなく外国人の相手に少々疎外感さえ与えかねない」とも説明されています。

日本人は、「you=あなた」だと思い込んでいるので、相手が you という単語を使うと、「えっ? 「私」のこと?、私が聞きたい・知りたいのは「あなた」のことなのに」とか思ってしまうんですよね。
そういう日本人が抱きがちな疑問を、「続 日本人の英語」では、上手に説明して下さっています。

この「続 日本人の英語」という本は、その前に出た 日本人の英語 (岩波新書) の続編ですが、2冊とも今でもずっと売れ続けているロングセラーです。
「日本人の英語」を知り尽くしておられる方なだけに、2冊とも目からウロコの解説ばかりなのですが、私はこの続編の「「あなた」ではない You 」の説明に実は一番感動を覚えました。
ネイティブがよく使うにもかかわらず、これを説明している辞書や本が少ない、そのため、この you のニュアンスを知らない日本人英語学習者は結構多いような気がするのですね。
you なんて、中学校で一番最初に習う単語の一つですから、今さらをそれを調べる人もいないだろうし、「you =あなた」と思い込んでしまってそれ以外のニュアンスがあることにも気づかずにスルーしてしまいがちです。

こういう you のニュアンスは、実際に生きた英語でそれに出会った経験がないと、上に引用させていただいたような説明もピンと来ないんですよね。
私は海外ドラマのセリフという生きた英語を学んだおかげで、そういう you に出会ったことがあったため、週刊STやピーターセンさんの説明を読んだ時に、すんなり納得できたのだと思います。
そういえばそういう言い回し、どこかで聞いたことがあったけど、そういうニュアンスだったのかぁ、と「気付く」感覚です。

上にも書きましたように、ピーターセンさんの本は長年売れ続けているベストセラーなわけですから、その「「あなた」ではない You 」を読んだ日本人英語学習者はかなりの人数おられるはず。
それなのに、日本人が英語を話す時に、そういう you を自然に使って話している人をあまり見かけない気がするのですね。
それは、「英語の知識」としてとどまっていて、自分で使えるレベルまで到達していない、ということなのだと思います。
自分で使えるようになるには、そういう知識を「実際に英語が話されている現場」で確認して、「あぁ、こんな風に使うんだ」という感覚を掴む必要がある、ということなのだろうと。
知識と経験を融合させなければ言葉は使えるようにはならない、そういう気がします。

なんだか最後は「英語論」みたいになってしまいましたが(笑)、辞書に普通に書いてあることを改めて別の本で確認してもそれはあまり意味がない気がする…今回引用させていただいた説明のように、辞書や他の本にはなかなか書いていない「ネイティブの感覚」に出会えた時に、いつも私は喜びを感じるのです。
「私がネイティブの人に教えてもらいたいのは、そういうことなんですよっ!」みたいな感動と言いますか。
また、そういう感覚を、実際にセリフで確認できる「海外ドラマのDVDを使った英語学習法」の意義も改めて感じることができる気がしています。


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posted by Rach at 16:21| Comment(4) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月24日

フェア・シェア フレンズ1-3その8

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フレンズ1-3その1 のコメント欄 で、セリフについてのご質問がありました。
そのセリフの中の表現が、なかなか興味深いなと思ったので、今回は、フレンズ1-3 の追記記事の形で解説したいと思います。

ご質問があったやり取りは以下の部分。

SCENE 3: IRIDIUM (MONICA AND PAULA ARE AT WORK)
イリジウム (モニカとポーラが仕事中)
(注:「イリジウム」はモニカが働いているレストランの名前)
モニカ: Why should I let them meet him? I mean, I bring a guy home and within five minutes they're all over him. They're like... coyotes picking off the weak members of the herd. (どうして彼ら(フレンズたち)に(今、付き合っている)彼を会わせなきゃいけないの? ほら、私が男性を家に連れてくると、5分以内にみんなは彼に殺到するのよ。彼らはまるで…群れの中の弱いメンバーをむしり取る[狙いうちする]コヨーテみたいなの。)
ポーラ: Listen, as someone who's seen more than her (fair) share of bad beef, I'll tell you, that is not such a terrible thing. Come on. They're your friends, they're just looking out after you. (ピンクの文字は1つ目の質問部分なので和訳は省略。ねぇ、彼らはあなたの友達なのよ。ただあなたを心配してるだけよ。)
モニカ: I just wish that once, I'd bring a guy home that they actually liked. (私はただ願うわ、一度でいいから、彼らが本当に気に入る人を家に連れてきたい、って。)
ポーラ: Well, you do realize the odds of that happening are a little slimmer if they never get to meet the guy.... (2つ目の質問部分なので和訳は省略。)

まず1つ目の、
ポーラ: Listen, as someone who's seen more than her (fair) share of bad beef, I'll tell you, that is not such a terrible thing.
について。
As someone who..., I'll tell you は、「…する人間として、今から(以下のことを)言うよ」という感覚だと思います。ですから、この場合の as は、「…として」という意味ですね。

fair share という表現について。
ネットスクリプトでは、her fair share となっているのですが、DVD英語字幕は her share だけで fair はありません。
音声を聞いてみると、her share と言っていて、やはり fair は発音されていませんでした。
ですが、ネットスクリプトを書き起こした方が感じた通り、このセリフには、her fair share のニュアンスがあるように思います。

fair share は決まり文句で、

英辞郎には、
fair share=公正な取り分、正当な分け前
と出ています。

研究社 新英和中辞典では、share の項目に、
get a fair share 正当な[当然の]分け前をもらう
という例も出ています。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
fair [adjective] の項目の 5 番目に、以下のフレーズが出ています。

5. have had more than your fair share of something :
to have had more of something, especially something bad, than seems reasonable or fair
例) Tim's had more than his fair share of bad luck this year.

つまり、「何かを、特に何か悪いものを、正当(妥当)、公平に思われるよりもいっそう多く持ってしまうこと」。
例文は、「ティムは今年、不公平だと思われるほどの不運を持ってしまった」。

そのフレーズを直訳すると、「何かの正当な分け前以上のものを持ってしまった」ということなので、特に something が悪いものの場合だと、「本来課せられるべき以上の悪いことをあてがわれてしまった、普通の人が持つべき一人分以上のものを持ってしまった」というような感覚になるのだろうと思います。
ロングマンにほとんど同じフレーズが載っていることから、ポーラが使ったような言い回しはよく使われる表現のようですね。
fair share が「エア」の音で韻を踏んでいるのもポイントなのだろうと思います。
have had のように常に「完了形」で使われるようですが、それは「今に至るまでのこれまでの人生でそういうものを持った、与えられてしまった」という「経験」のニュアンスがあるからだと思います。

ポーラのセリフは、
has seen more than her fair share of bad beef
ですから、have が see となり、「何か悪いもの(something bad)」は、bad beef になります。
ここでは、モニカに恋愛のアドバイスをしているので、bad beef は、「悪い、ダメな、ひどい男」のニュアンスのようです。
ちょうどその前のセリフで、フレンズたちを「群れの弱いものをむしり取るコヨーテ」に例えているので、その流れから、「コヨーテに狙われるような肉のうちでも悪いもの」という感覚で、bad beef と表現しているのだと思います。

see は「見る」ですが、I'm seeing someone. 「私は誰かと付き合っている」のように、「付き合う、交際する」という意味もあるので、「一人の人間にとって正当な取り分だと思える以上に、ひどい男をたくさん見てきた、ダメな男とたくさん付き合ってきた」というニュアンスが出ると思います。
who's 以下が、someone を説明する形となって、「そういう経験をしてきた人間として言わせてもらうと」という意味になるのですね。

正当な取り分、分け前、という表現が使われているのは、「人間、誰でも悪い男を掴むことがあるけど(私は人と比べて必要以上に悪い男ばっかり掴んできた、付き合ってきた)」という気持ちが入っているのだと思います。
友達に認めてもらえないようなひどい男と何人も付き合ってきたけど、その私に言わせると、フレンズたちがモニカの彼氏に群がってあーだこーだ言うこともそんなにひどいことじゃない、という感覚ですね。
ですから、そのセリフを私なりに訳してみると、「ねぇ、自分に与えられた公正な取り分以上に、悪い牛肉(男)を見てきた人間として言うけど、モニカが言ったようなことは、それほどひどいことじゃないわ」になるでしょうか。

実際のセリフは fair がないので、「公正な取り分(fair share)」ではなく、ただの「取り分(share)」ですが、それでも、セリフを言ったポーラも、聞いているモニカや観客・視聴者も、そこに fair share のニュアンスを感じ取っているのだろうと私は思いました。


2つ目の、
ポーラ: Well, you do realize the odds of that happening are a little slimmer if they never get to meet the guy....
について。
このセリフの if は「もし…ならば」という仮定です。
the odds of that happening は「それが起こる可能性、確率」、slim は 「(可能性・見込みが)少ない、かすかな、ほんのわずかな」。
you do realize の do は realize を強調していて、あなたは…であることがよくわかっているわよね」という確認、念押しのニュアンス。
get to は「…するようになる、…の状態になる」なので、get to meet the guy は「その男性に会うことになる」になるでしょう。
ですから、私なりに訳してみると、「そうねぇ、もしあなたの友達がその男性(モニカのデート相手)に会うことにならなければ、その男性を気に入る確率がごくわずかになってしまうってこと、わかるでしょ?」みたいになるでしょうか。
フレンズたちが彼を気に入るかどうかモニカは気をもんでいるけれども、「会わせない限りは、気に入られることもない、気に入ってもらいたいなら、会わせないことには始まらない」とポーラは言いたいのですね。

ちなみに、これらの英語のセリフは、DVDの日本語訳ではそれぞれ以下のように訳されていました。

1つ目のセリフ
(字幕) ひどい獲物を つかんできた私に言わせりゃ
(吹替) いいかい、自慢じゃないが、あたし今までひどい獲物ばっか掴んできた

2つ目のセリフ
(字幕) 会わせなかったら 気に入る可能性はゼロだよ
(吹替) でもあんた、そう言って彼氏を会わせなかったら、気に入ってもらえる可能性は限りなくゼロに近くなっちまうよ

上の日本語訳は、今回のセリフのニュアンスがよく出ていると思います。
私自身、多分、このエピソードを最初に英語で見た時は、このセリフの意味がよくわからなかったと思いますが、そういう日本語訳を参考にして、辞書でそれらしい意味を探し、その英語のセリフを解釈した、ということですね。

DVDの日本語訳は、字幕なら文字数制限、吹替なら秒数制限があります。あるいは、直訳しても日本人にはピンと来ないという理由などで、意訳されている場合も多いです。
が、それでもやはり、参考になる部分は多いと思います。
私もいつも、「必ずしも直訳されているとは限らない」ということを念頭に置きつつ(←これをしっかり意識することはとても大切です)、「プロの翻訳者はどう訳しておられるか?」というのを、貴重な意見として参考にしています。
やはりネイティブが普通に楽しんでいる娯楽作品なので、ノンネイティブの我々には難しい部分も多いですから、そういう日本語訳のヒントもどんどん有効活用していきたいな、と思っています。


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posted by Rach at 10:52| Comment(2) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月10日

シドニーのマルディグラ フレンズ1-8その7

フレンズ1-8その5 のコメント欄 で、
"Mardi gras without the papier-mache heads" のような状態とはどのような状態なのでしょうか?
というご質問をいただきました。
興味深いご質問だったので、今回、私なりの考えを、記事の形で投稿します。
お返事が大変遅くなってしまって、誠に申し訳ありません。

その部分のやり取りは以下のようになっていました。

チャンドラーの会社の休憩室で、チャンドラーは同僚のローウェルに会います。
ローウェルは、同僚のシェリーがチャンドラーのデート相手にセッティングしようとしていた男性ですので、つまりローウェルはゲイなわけです。
そのローウェルと言葉を交わすチャンドラー。
チャンドラー: So how's it going there in Financial Services? (それで、財務担当はどんな感じ?)
ローウェル: It's like Mardi gras without the papier-mache heads. (張り子の頭がないマルディグラみたいな感じだね。)

まず、Mardi gras (マルディグラ)について。
マルディグラは「懺悔火曜日」などと呼ばれるもので、ニューオーリンズなどではパレードが行われます。
papier-mache は「張り子の」という意味なので、papier-mache heads は「張り子でできた頭」ということですね。

マルディグラについて、詳しくは、以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版: マルディグラ
Wikipedia 英語版: Mardi Gras

「張り子」については以下を。
Wikipedia 日本語版: 張り子
Wikipedia 英語版: Papier-mâché

上の「Wikipedia 日本語版: マルディグラ」に、「フロートを制作中(ニューオリンズにて)」というタイトルの画像があり、アトリエのようなところで、大きな女の子の頭を製作中である様子が映っています。
また、「Wikipedia 英語版: Mardi Gras」では、「Mardi Gras Papier-mâché masks, Jacmel, Haiti.」というタイトルの画像があり、ハイチ共和国のマルディグラで使われるオンドリの頭のようなものが並んでいます。
これは「張り子のマスク」とありますので、人間がかぶるのでしょう。

「Wikipedia 英語版: Papier-mâché」にも、ハイチのオンドリのマスクが載っていますし、また、Carnival floats の右にある画像では、張り子の製作過程と、実際にそれを人がかぶっているらしき画像も載っていますね。
「日本語版マルディグラ」の「女の子の頭」は人間がかぶるにはデカすぎるように思ったのですが、どうやらこれも「かぶりもの」のようですねぇ?
ですから、「張り子の頭」とは、2つの写真にあるようなもの(人間がかぶる巨大な頭やマスク)を指しているということになるのでしょうね。

以上の情報から、「張り子の頭のないマルディグラ」というのは、そういう張り子の頭はないけれど、パレード・お祭りのマルディグラぐらい大騒ぎだよ、という意味がまず考えられるだろうと思います。
「マルディグラみたいな感じだよ。とは言ってもさすがに張り子の頭はないけどね」という感じでしょうか。

ですが、マルディグラについて調べているうちに、話はそこで終わりではなく、ローウェルの言葉にはまた別の意味があるのではないかと思えてきました。

英辞郎で Mardi Gras を調べると、以下の説明が載っていました。
Mardi Gras
【1】告解火曜日、ざんげの火曜日
【2】〈豪〉ゲイ祭り◆2月
謝肉祭、カーニバル、ざんげ火曜日◆受難節の前日、フランス語で Fat Tuesday の意味


【2】に注目してみましょう。「ゲイ祭り」と書いてありますね。
上で紹介した Wikipedia 英語版: Mardi Gras のページには、「あいまいさ回避」のページへのリンク、
Mardi Gras (disambiguation) が載っています。
そのページでは、Mardi Gras と名の付くものがいくつか載っていて、以下のように書かれています。

Mardi Gras is the Carnival festival held the day before Ash Wednesday

Mardi Gras may also refer to:

Mardi Gras Indians
New Orleans Mardi Gras, Carnival festival held in New Orleans, Louisiana
Mardi Gras in Mobile, the Carnival festival held in Mobile, Alabama
Sydney Gay and Lesbian Mardi Gras, gay pride parade held in Sydney, Australia

... (以下略)

may also refer to の4番目に、
Sydney Gay and Lesbian Mardi Gras, gay pride parade held in Sydney, Australia
がありますね。これが英辞郎の説明にあった「〈豪〉ゲイ祭り」のようです。

ウィキペディアでは以下のページになります。
Wikipedia 英語版: Sydney Gay and Lesbian Mardi Gras

そして、以下の All About でガイドさんが書かれている記事が、このシドニーのマルディグラを大変わかりやすく説明して下さっています。
All About > 海外旅行 > オーストラリア > 世界最大のゲイ&レズビアンの祭典 禁断のマルディグラ

上の All About の記事の中の写真には、張り子の頭は映っていませんね。
また、上で紹介した Wikipedia 英語版: Sydney Gay and Lesbian Mardi Gras を見てみると、フロート(floats)は出るようですが、Papier-mâché という言葉が見当たらないので、もしかしたら、シドニーでは「張り子の頭」は使われないのかもしれません(確信はないですが)。

ここからは私の想像に過ぎませんが、シドニーのマルディグラは「ゲイの祭典」、つまり「自分がゲイである」ことを高らかに宣言し、歌い踊るお祭り、みたいなイメージですよね。
「これが私なのよ!」という感じで自分をアピールする場所なので、他の地域のマルディグラと違って、張り子の頭はかぶらない(顔は隠さない)という可能性もあるのかな?と思ったりもします。

こういうことは、実際にシドニーのマルディグラをご覧になったことのある方に聞いた方が早いので、「張り子の頭がある、ない」などの情報をご存知の方は、お知らせいただけると嬉しいです。

あくまで仮説ですが、「もし、シドニーのマルディグラでは、他の地域のマルディグラとは違って、張り子の頭をかぶらない」ということであれば、
Mardi gras without the papier-mache heads = Sydney Gay and Lesbian Mardi Gras という式が成り立ちますね。
ローウェルは、「張り子のないマルディグラ」と表現することで、「うちの部署はゲイのお祭りみたいな感じだよ」と言っているのかもしれないと思いました。
それだと、「マルディグラみたいだけど、張り子の頭はないけどね」ではなくて、「”張り子のないマルディグラ”(すなわち、シドニーのマルディグラ)みたいだけどね」という感じになるでしょうか。

ローウェルが登場した時点で、それまでの話の流れから彼がゲイであることは明らかになっています。
その彼がそういうセリフを言うことで、「うちの部署は僕も含めて、ゲイが大勢いて、みんな楽しく盛り上がってるよ」ということを言っているセリフなのかな、と思いました。

また、もしシドニーのマルディグラでも張り子の頭が使われているとしても、ローウェルが他の祭りではなくあえてマルディグラの名前を出したのは、やはり「アメリカ・ニューオーリンズのマルディグラ」のことではなく、「シドニーのゲイ・アンド・レズビアン・マルディグラ」のことが頭にあったのだろうと思います。
ゲイであるローウェルにとっては、マルディグラと言えばシドニーの方を想像するのが自然かなぁ、と。

このエピソードは、やたらとゲイにまつわる話が登場する回でしたが、こういうちょっとしたセリフにも、ゲイ繋がりの言葉が出てくる、という面白さなのだろうと思いました。

大変長くなってしまいましたが、ゲイがらみの話だとすると、なかなか奥深いセリフだなぁ、と思ったので、いろいろ調べてみました。
最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。


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2009年10月01日

その言葉そっくり返すよ フレンズ1-4その5

フレンズ1-4その4 ご質問 のコメント欄 で、
Finders keepers, loosers weepers.
I'm rubber, you're glue, whatever...
というフレーズに関するコメントをいただきました。

今回の記事では、そのフレーズに関して、もう少し詳しく説明したいと思います。
また、フレンズ1-4その2 のコメント欄 では、
...And he lived in a village, and you live in the Village.
というセリフに出てきた Village についてのご質問がありました。
Village は、モニカたちが住んでいる Greenwich Village(グリニッチ・ヴィレッジ)を指すのですが、その Village についても、今回の記事でもう少し説明してみたいと思います。


まず、Finders keepers, loosers weepers. と I'm rubber, you're glue, whatever.... が出てくるやり取りは以下のようになっていました。
ホッケーの試合を観戦中に、パックが顔に当たり、病院で治療を受けたロスは、そのパックがどこにいったか尋ねます。
ロス: Where's my puck? (僕のパックはどこ?)
ジョーイ: Oh, ah- the kid has it. (あぁ、あー、その子供が持ってる。)
ロス: The kid? (TO KID) Excuse me, uh, that's, that's my puck. (子供だって? [子供に] ちょっと、あの、それは、それは僕のパックだよ。)
子供: I found it. Finders keepers, losers weepers. (僕が見つけたんだ。拾った者が持ち主で、落とした者は泣きを見る、だよ。)
(ROSS LOOKS AT CHANDLER FOR HELP)
ロスは助けを求めるようにチャンドラーを見る。
チャンドラー: You gotta do it, man. (やらなきゃだめだ。)
ロス: (TO KID) Oh, yeah? Well, I'm rubber, you're glue. Whatever you-- (TO CHANDLER) I can't do it. (TO KID) Listen, uh, give me back my puck. ([子供に] ああ、そうかい? そうだな、僕はゴムで君はのりだ。君が何を言おうと… [チャンドラーに] 僕にはできないよ。[子供に] ねぇ、僕のパックを返してよ。)

Finders keepers, loosers weepers. も、I'm rubber, you're glue. も、よく知られた決まり文句みたいですね。

Finders keepers というフレーズは、英辞郎の finder 「見つける人、発見者」の例文に載っていました。
英辞郎では、
Finders keepers.=《諺》拾ったものは自分のもの。
Finders keepers, losers weepers.=《諺》拾った者が持ち主、落とした者は泣きをみる

とあります。

I'm rubber, you're glue. について。
rubber は「ゴム」、glue は「のり、接着剤、膠(にかわ)」ですね。
こちらは、オンラインスラング辞典である Urban Dictionary に載っていました。
Urban Dictionary: I'm rubber you're glue

英語で詳しく説明されているので、以下に引用させていただきます。
I'm rubber you're glue 142 up, 18 down
A riposte used when someone calls you a name. Indicates that whatever names or words someone uses in an attempt to offend or insult you, those words will bounce off you, and stick to the name-caller, indicating that he or she is actually indicative of the connotation he or she originally wanted to impart upon you. Also, what I say to Peter to make him cry.
例) I'm rubber you're glue, your words bounce off me and stick to you.


訳しますと、「誰かが人をある名前で呼ぶ(呼んだ)時に使われる当意即妙の答え[鋭い即答]。人の感情を害する、または侮辱しようとして、誰かが使う名前や言葉がどんなものであっても、それらの言葉は相手から跳ね返って、その名前を呼んだ人にくっつく、ということを示唆する。また、その人(名前を呼んだ人)が元々相手に伝えたいと思っていた言外の意味を実際に暗示しているということも同時に示唆する。別の表現で、what I say to Peter to make him cry という表現もある。
例文は、「僕はゴム。君はのり。君の言葉は僕から跳ね返って、君にくっつくよ。」

(ちなみに、「同じ意味として、what I say to Peter to make him cry という表現もある」ように書いてあるのですが、この表現は、検索してもヒットしません。ほんとにこういう表現あるんでしょうか…??)

直訳したので、意味がわかりにくいですが、相手が自分に対して悪口を言ってきた場合に、それを「そっくりそのまま返すよ」と言いたい場合の表現だということですね。
indicating that he or she is actually indicative of... の部分がよくわからないのですが、何かの名前を言うことで、相手を侮辱しようとしていたという話者の意図もお見通しさ、ということも示すことになる、ということでしょうか。

(2015.5.12 追記)
上に書いた Urban Dictionary の訳について、下のコメント欄でご意見をいただきました。
call someone names は「人の悪口を言う」という意味になります。
そのフレーズの意味と、また、indicating... 以下の訳について、下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)

上の例文では、your words bounce off me... となっていますが、your words 「君の言葉、君の発言」が、whatever you say 「君の言うことは何でも」というフレーズになっている場合もよくあるようです。
whatever を使うと、
I'm rubber, you're glue. Whatever you say bounces off me and sticks to you.
となるわけですね。

ロスのセリフは、I'm rubber, you're glue. Whatever you-- となっていましたが、Whatever you の部分も、その決まり文句の続きだったようで、そこまで言って結局最後まで言わずに途中で言うのをやめた、という描写だったようです。

まとめますと、直訳では「僕はゴム、君はのり。君が言うことは何でも僕で跳ね返って、君にくっつく」。
相手が自分に対して言ってきたことに対して、その内容は跳ね返って君への言葉になるよ、ということで、「君の言った言葉は、君に跳ね返ってくるよ」「その言葉、そっくり君に返すよ」というニュアンスになるわけです。

子供もロスも、自分で考えた言葉ではなくて、元々存在する表現を使っているわけですが、このタイミングで子供が Finders keepers, loosers weepers. と韻を踏んだことわざを使ってうまく返してきた、そこで大人のロスが負けじと返したセリフが、I'm rubber.... だったので、全然対抗できてない、という面白さがあるのでしょう。

I'm rubber... は本来、相手が自分に対して何らかの悪口、例えば「このバカ!」みたいなことを言った場合に、「バカはそっちだよ」とその言葉をそっくり返して、そんな風に言うお前の方がバカだよ、と言い返す言葉だと思われます。

子供とロスのやり取りについては、喧嘩で言い返す時の常套句であるけれども、ことわざを使って「拾った者勝ちだよ」みたいなことを言った子供に対しての返しとしては、ややピント外れであった、という面白さがあるように思います。
「その言葉をそっくり返す」と言ってしまったら、「拾った者勝ち」であることを認めたことになってしまいそうですしね。
常套句で言い返した後、この状況でこのセリフでは相手を言い負かせないことに気付いたので、これではダメだと思って途中でやめた、という感じなのかな、と思いました。


次に、Village について。
レイチェルは、「ジャックと豆の木」のジャックのようだわ、とフィービーが言う場面。
フィービー: And he lived in a village, and you live in the Village. (ジャックはヴィレッジ[村]に住んでいた。そしてあなたはヴィレッジに住んでいる。)

最初の village は「村」で、2番目に出てくる Village は、場所の名前(地名)です。
地名、すなわち固有名詞なので、大文字で始まっている、ということです。
ドラマの設定では、モニカたちは、Greenwich Village(グリニッチ・ヴィレッジ)に住んでいることになっていて、その Greenwich Village のことを、Village とも言うのですね。
この記事で解説している フレンズ1-4 より後のエピソードになってしまいますが、フレンズ2-10その7 のセリフにも、Village という地名が出てきます。

Wikipedia 日本語版: グリニッチ・ヴィレッジ には、以下の説明があります。

なお、観光ガイドブックや地図などでは「グリニッチ・ヴィレッジ」を「ウェスト・ヴィレッジ(West Village)とイースト・ヴィレッジ(East Village)を合せた総称」のように記載しているものが多いが、実は必ずしもそうではなく、現地では「グリニッチ・ヴィレッジ」と言えば一般に「ウェスト・ヴィレッジの別称」である。たんに「ヴィレッジ」と言うときにも、一般には「グリニッチ・ヴィレッジ」のことを指す。一方の「イースト・ヴィレッジ」は、常に「イースト・ヴィレッジ」と呼称され区別される。

Wikipedia 英語版: Greenwich Village でも、
Greenwich Village, often simply called "the Village"
つまり、「しばしば簡単に the Village と呼ばれる」という記述もありますね。

英語版ウィキペディアの In media という項目にも、
The 1994-2004 NBC sitcom Friends is set in the Village と書いてあります。
set in は「(ドラマなどの舞台を)…に設定する」ということですから、フレンズというシットコムは the Village を舞台として設定されているということです。

モニカたちのアパートの外観がシーンの切り替わりに挿入されますが、あの外観は、West Village の Grove Street と Bedford Street の角にある実在する建物で、その写真がウィキペディアにも出ていますね。
この写真が説明に使われていることからも、フレンズと The Village との関係の深さがよくわかる気がします。


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2009年09月03日

what's sayという表現 フレンズ1-14その6

以前に、フレンズ1-14その5 のコメント欄 で、
what's say you and I give it another shot?
というセリフについてのご質問をいただきました。
今日はそれに対する私の見解を記事にしてみました。
本当はもっと早くお返事するつもりだったのですが、子供が夏休みの間はバタバタしてしまって、お返事がこんなに遅くなってしまいました。
誠に申し訳ありません。

このセリフは、偶然、料理店で再会した元妻キャロルと楽しい時間を過ごしたロスが、二人でもう一度やり直そう、みたいなことを言っているセリフです。
ご質問の内容は、上のセリフの「what's say という表現と it がわかりません」とのことでした。

まず、give it another shot の方から。
shot は「試み」ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
shot [noun]: ATTEMPT
[countable] an attempt to do something or achieve something
例) I've never tried before, but I'll give it a shot.

つまり、「何かをしよう、または何かを成し遂げようという試み」。
例文は、以前にやってみたことがないが、やってみようと思う。」

ロングマンの例文も、give it a shot というふうに it が使われていますが、その it は、今の状況を漠然と指しているのだと思います。
give it a shot で成句になっている、という感じでしょうね。
give は目的語を二つ取る他動詞で、it に another shot を与える、つまり、「今のこの状況に、もう一度試みを与える」ということから、「もう一度やってみる、もう一度チャンスにかけてみる」みたいな意味になると思います。
このセリフでは「二人がもう一度やり直してみる」みたいなことでしょう。

次に what's say について。
ネットスクリプトでは以下のようになっています。
ロス: You know? Here's a wacky thought. Um, what's say you and I give it another shot.
そして、DVDの英語字幕には、Let's say you and I give it another shot? と書いてあります。

実際に音声を聞いてみると、what's say に聞こえるような気がします。
でも、what's say という表現は、手元の英和や英英辞典には載っていません。

まずは、DVD字幕通りの、Let's say について見てみます。
Let's say だと「仮に…だと仮定してみましょう」という意味ですね。
LAAD では、
let's say:
said to ask someone to imagine something in order to discuss it or understand it better
例) If you found some money on the street -- let's say $100 -- what would you do?
let's say (that)
例) Okay, let's say he comes. Will you be happy to see him?


つまり、「何かを議論するために、またはそれをより良く理解するために、誰かに何かを想像するように言うために使われる」。
例文は、「君が通りでお金を見つけたとしたら…100ドルだと仮定しよう…君はどうする?」
「オッケー。彼が来ると仮定しよう。彼に会って嬉しいと思うかな?」

Let's say だとすると、セリフの意味は、「君と僕でもう一度やり直してみる、と仮定してみようよ。」になるでしょうか。

「what say ならみたことあるような」とのお話だったので、実際に映画やドラマのセリフで、What say が使われているかどうかを、映画やドラマのデータベースである、IMDb (Internet Movie Database)で調べてみました。
グーグルの検索ボックスに、site:www.imdb.com quotes what-say と入れると、IMDb のサイト内で、quotes (引用文、つまりサイトで引用されているセリフ)で、what say が使われているものが探せます。

ざっと見たところ、What say you? や、What say you to+名詞、あるいは、What say+文(SV)の形もあります。

What say you? については、Urban Dictionary に出ていました。
Urban Dictionary: What say you
What do you thik? のような意味のようです。

ですから、「What say you to+名詞」は、「…について/対してどう思う?」という意味でしょうし、What say+文(SV) は「SがVであることをどう思う?」みたいな意味になるのかな、と思います。

What do you say+文...? 「…はどうですか?」という、相手の意見を尋ねる表現がありますが、その do you が省略された形が、What say+文、なんだろうなぁ、と。

LAAD では、
what do you say?: used to ask someone if they agree with a suggestion
例) What do you say we split the two sandwiches?

つまり、「ある提案に同意するかどうかを誰かに尋ねる時に使われる」
例文は、「その2つのサンドウィッチを分ける、っていうのはどうかな?」

What say+文という形はそれなりに使われていそうだ、とわかったところで、では問題の What's say という表現です。
IMDb では、以下の2つのセリフを発見しました。

Quotes for Dr. Raymond Stantz (Character) from Ghost Busters (1984)
Ray Stantz: He's right... we do need to give you a name. Just to annoy Peter, what's say we call you Slimer?

Memorable quotes for Star Trek: Borg (1996) (VG)
Q: (一部省略) What's say we give the old goat a second chance to save Sprint's life?

とりあえず見つけたのは上の2例だけなので、頻出フレーズというほどではないですが、what's say という表現もアリなのかな?と思わせる結果ではあります。
この場合も意味としては、What say...? と同じでしょうね。

ただ、少々ひっかかるのは、What do you say が、What say になるのはいいとして、What's say とわざわざ -'s が付くのがどうにも違和感があるんですよ。
ネイティブがそんな略し方をするだろうか?と。
What でいいところを、わざわざ What's と言うと、何らかの省略形であることを示すことになり、その -'s は何の略?と他の人に思わせることになるような気がするのです。
日本人の話す英語だと、What を What's と言ってしまうような間違いはよくあると思うのですが、ネイティブは「意味もなく」 What を What's と言わない気がするんですよねぇ。

でも、IMDb に What's say と書いてあるセリフがあるわけですから、使う人もいる、ってことでいいのかなぁ?

仮に、What's say を What do you say 「…はどうかな?」のニュアンスで訳してみると、「君と僕とでもう一度やり直してみる、ってのはどうかな?」という提案になり、意味は通りますね。

上で引用した、IMDb にあったセリフも、
「君を Slimer と呼ぶのはどうだ?」
「その old goat に、スプリントの命を救う第2のチャンスを与えるのはどうだ?」と訳すとしっくり来る気がしますので。

ロスのセリフも、話の流れで言うと、「二人がもう一度やり直すって仮定しよう」よりも、「二人がもう一度やり直すってのはどうかな?」という提案の方がしっくり来るようには思います。
もちろん、Let's say 「仮定しよう」であったとしても、「そういう仮定を想像してみることで、君はどう思うかを考えさせる」わけですから、本質的な内容は同じことになるのでしょうが。
言葉としては、ここでは、What do you say...? のような「相手の意向を尋ねる」ニュアンスの方がぴったりくるかな?と思うのです。

くどくなりますが、セリフの流れを確認するため、この一連のセリフを以下にちょっと書いてみます。

ロス: You know? Here's a wacky thought. Um, what's say you and I give it another shot. (ねぇ、変なこと考えちゃった。君と僕とがもう一度やり直すってのはどう? [(Let's say なら) 君と僕とがもう一度やり直すと仮定してみようよ 。])
キャロル: Ross.... ([困ったように] ロス…)
ロス: No no no. I know what you're gonna say. You're a lesbian. But what do you say we just put that aside for now, you know? Let's just stick a pin in it, okay? Because we're great together, you know? You can't deny it. And besides, you're carrying my baby. I mean, how perfect is that? (いやいやいや。君が何て言うつもりかわかってるよ。君はレズビアンだ。でも、とりあえず今はそのことを脇に置いておくっていうのはどうかな? それにはただピンを刺しておこうよ、いいだろ? だって僕らは二人で最高だっただろ。君はそれを否定できないはずだ。その上、君は僕の子供を妊娠してる。つまり、それってすごくパーフェクトじゃないか。)
ロス: Ross.... (ロス…)

2番目のロスの長セリフの中に、But what do you say we just put that aside for now, you know? というのがあり、上で関連表現として紹介した、what do you say...? の形が登場していますね。

仮定してみようよ、と言う場合は、「それを仮定することでこうなるはずだ、というロスの見解」がどこかで述べられるような気がします。
Let's say という表現は、大事なことを言うための前振り表現のように思うのですね。
今回のセリフの場合は、ロスが自ら、a wacky thought (ばかげだ、突飛な、奇抜な考え)と表現した上で、「君と僕、もう一度やり直さないか?」とキャロルに思い切った提案していることがメインテーマになると思うのです。
ですからその大事な部分を Let's say と仮定の表現で言うのは、インパクト不足のような気がするのです。

その後のセリフも、そう仮定したらどうなるか、の説明ではなくて、僕の提案を君は突拍子もないことだと思うだろうけど、実は何も不思議なことはなくて、それが一番自然な姿なはずなんだよ、ということを、because の後に理由を続けて、「二人がもう一度やり直すこと」の正当性を訴えていますね。

そういうことからも、Let's say よりも、What do you say のニュアンスに近いような気がするので、What's say というのは、What do you say のニュアンスで使っている、と考えた方がいいように思う、ということです。

今の私の見解は、
1. ロスのセリフは、Let's say ではなくて、What's say と言っているらしい。
2. What's say は、What say と同じような表現で、What do you say...? の意味らしい。
ということになります。

以上、大変長くなりましたが、what's say とそれに似た表現を比較したものとして、今回の記事を読んでいただければ幸いです。


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2009年07月09日

ビリーブ・ユー・ミー フレンズ1-8その6

フレンズ1-8その3 のコメント欄 で、ご質問をいただきました。
興味深いご質問だったので、今回、私なりの考えを、記事の形で投稿します。

問題の部分は以下。(日本語訳は、過去記事のものをそのまま使っています。)

自分はゲイではないと言いながらも、どうせデートをセッティングするのなら、ローウェルじゃなくて、ブライアンにして欲しかった、というチャンドラー(笑)。
チャンドラー: The point is, if you were gonna set me up...I'd like to think it'd be with somebody like him. (俺が言いたいのは、もしデートをセッティングするつもりだったなら、彼みたいな男を選んで欲しかったって思うだけだよ。)
同僚: I think Brian's a little out of your league. (ブライアンはちょっと高嶺の花なんじゃないの?)
チャンドラー: Excuse me. You don't think I could get a Brian? Because I could get a Brian. Believe you me.... I'm really not. (ちょっと待て。俺にはブライアンを落とせないとでも? ブライアンみたいな男なら、ものにできるさ。本当だぞ。…[気まずくなり] 俺はゲイじゃないからな。)

最後のチャンドラーのセリフについて、以下の3点のご質問でした。
1. Brianに a がつくのはなぜ
2. この場合の because の使われ方は?
3. belive you me とは、誰を信じろということでしょうか?


まず、1. ですが、a Brian で「ブライアンのような人」という意味ですね。

研究社 新英和中辞典では、
a=[固有名詞につけて] …のような人[もの]
a Newton ニュートンのような人[大科学者]


また、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では以下のように説明されています。
a:
10. used before a name to mean having the same qualities as that person or thing
例) He's like a modern Dickens.

「その人やそのものと同じ品質、クオリティーを持っていることを意味するために、名前の前に使われる。」
例文は、「彼は現代のディケンズのようだ。」

上のやり取りの最初のセリフに、somebody like him 「彼みたいなやつ」という表現が出ていますが、somebody like Brian = a Brian ということですね。

私が現在解説している、フレンズ4-2 にも、固有名詞に a がついたものが登場していました。
ブログの解説では飛ばしてしまったのですが、go out with a Chip Matthews という表現になっていて、これも「チップ・マシューズ”みたいな人”とデートする」という意味です。

a のついていない Brian だと、ブライアンその人を指すことになりますが、a Brian と表現することで、「ブライアンみたいな人、ブライアンレベルの人、ブライアンくらいの男」、つまり同僚が「チャンドラーには高嶺の花だ」と思っているレベルの男を、俺だってやる気になればゲットできるさ、というニュアンスになります。

私が過去記事でつけた日本語訳は、「俺にはブライアンを落とせないとでも? ブライアンみたいな男なら、ものにできるさ。」となっていますが、正確に言うと、どちらも「ブライアンみたいな男」と訳さないといけませんでした。
ブライアンが落とせる、と言っているのではなくて、「ブライアンレベルのいい男」でも落とせる、という感じです。


2. の because の使われ方について。
これはやはり、理由を述べる「なぜなら、というのは」ですね。
You don't think I could get a Brian? Because I could get a Brian. を日本語に直訳すると、「俺がブライアンレベルの男をゲットできない、って思ってる? なぜなら、俺はブライアンみたいな男を(その気になれば)ゲットできるからね。」になってしまうでしょうか。
こういう直訳だと、前後の文章の結びつきがしっくり来ません。

チャンドラーの You don't think...? 「君はそう思わないんだな?、思ってないのか?」というセリフには、どこか相手に挑みかかっている感じが出ています。
君がそんな風に思っているなんて信じられないよ、僕は君とは逆の考えだよ、という感情がそこにはこもっています。
You don't think...? という言葉そのものに、「君はそう思ってるみたいだけど、僕の考えは違う」というニュアンスが入っているので、「なぜ、僕が君の考えに不満を持っているかと言うと、今、君が言ったことにケチをつけているかと言うと」の理由の説明として、Because 「なぜなら」僕は、彼くらいの男を(その気になれば)ゲットできるからだよ、と説明している流れになります。


3. Believe you me. について。
まず、Believe me. というのはよく聞くフレーズですね。
直訳の通り、「私を信じて」ということで、「本当だよ、確かだよ、嘘じゃないよ、信じてくれよ」というニュアンスです。

そして、今回の Believe you me. というのも、意味としては、Believe me. と同じです。
私の持っている英和辞典には載っていませんでしたが、英英辞典には載っていました。

LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
(spoken) believe (you) me:
used to emphasize that something is definitely true
例) There'll be trouble when they find out about this, believe you me!

つまり、「何かが確かに本当であると強調するために使われる」。
例文は、「彼らがこのことに気付いたら大変なことになる。本当だよ(信じて)。」

ちなみに、believe (you) me というカッコ表記は、believe me または believe you me の形で使う、つまり、you は省略可能だ、ということです。

Macmillan Dictionary にも載っていました。
believe (you) me: (spoken)
used for emphasizing that what you are saying is true, especially when you are warning someone about something
例) All this is going to cause a lot of trouble, believe you me.

つまり、「自分が言っていることが本当だと強調するために使われる。特に誰かに何かを警告している時に」。
例文は、「このこと全てはたくさんの困難を引き起こすことになるぞ。信じてくれよ(本当だぞ)。」

ということで、Believe you me. = Believe me. だということになります。

意味としてはそういうことですが、ではどうしてこういう奇妙な形になっているのかを、ちょっと私なりに考えてみたいと思います。(あくまで私の推測に過ぎませんが)

私の考えでは、以下のように変化していったように思うのですが、どうでしょう?

Believe me. という普通の命令文

そこに主語の You をつけて You believe me. という、より強い命令文にする

それをさらに強調のために倒置にしたものが Believe you me. となる

まず、命令文に主語の You をつける件について。
数研出版 「基礎と完成 新英文法」の p.72 の「命令文」に以下の説明があります。

命令文では、相手(=2人称)に命令していることは場面から明らかなので、主語の You は省略されるのが普通である。しかし、相手に警告したり、複数の相手の、特に誰に向けられた命令であるかを明確にするために、主語を表すことがある。その場合、you を強く発音する。
相手に警告する場合、しばしば強い<いらだち>の感情が含まれる。


「強調のための倒置」については、大西泰斗先生の ハートで感じる英文法 会話編 の Lesson 4 「倒置−感情を乗せる−」の回で説明されていました。
倒置の呼吸」、つまり、倒置という「基本語順から逸脱した形」を取ることで、「感情の高まり」という「特別なニュアンス」を与える、というご説明でしたね。

このブログでは、以下の記事で「倒置」について触れています。
先のエピソードに当たるので、ネタバレになる場合は無理に読んでいただかなくて結構ですが、参考までに挙げておきます。
フレンズ2-14その21 と、フレンズ3-17その6

ということで、Believe you me. はパッと見、まるで目的語を2つ取っているかのように見える不思議な形ですが、Believe は目的語を2つ取りませんので、多分、上に書いたように、You believe me. が倒置になった形、それが、Believe you me. なのだろうと思うのですが…(確信はありません)。

意味は、Believe me. と同じ、もしくはそれをさらに強調したもの、ということになるでしょう。


(Rach からのお詫び)
この他にいただいたコメントへのお返事は、もうしばらくお待ち下さいませ。


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2008年05月09日

スピード・レーサーとフレンズとの関係 フレンズ1-13その7

一昨日の記事、フレンズ1-13その6 に引き続き、フレンズ1-13 のセリフを取り上げたいと思います。

ジョーイ: You know what I mean. About how I'm always going out with all these women, and I always figured, when the right one comes along, I'd be able to be a standup guy, and go the distance, you know. Now I'm looking at my Dad, thinking... (俺の言ってる意味がわかるだろ。この女の子全員といつもそんな風にデートしてる、ってことだよ。そしていつも思ってたんだ。理想の女性が現れた時には、俺は立派な男になって、自分の意志を貫き通すことができるだろう、って。(でも)ほら、親父を見ていたら、考えちゃうんだよね…(あの父親みたいに浮気をしちゃうんじゃないかって)。)
チャンドラー: Hey, you're not him, you're you. When they were all over you to go into your father's pipe fitting business, did you cave? (なぁ、ジョーイはパパとは違うよ。ジョーイはジョーイだよ。みんな[お前の家族]がジョーイに、パパのパイプをフィットする仕事に就くようにとうるさく言った時、ジョーイはそれに屈服したか?)
ジョーイ: No. (いいや。)
チャンドラー: No. You decided to go into the out-of-work-actor business. Now that wasn't easy, but you did it. And I'd like to believe that when the right woman comes along, you will have the courage, and the guts, to say: "No thanks. I'm married." (屈服しなかっただろ。ジョーイは失業中みたいな(不安定な)俳優の仕事に進むことを決めたんだ。それは簡単なことじゃなかった。でもお前はそれをやった。理想の女性が現れた時、ジョーイには「いや、俺は結構だ。俺は結婚してるから。」と言える勇気やガッツがあるって、信じたいよ。)
ジョーイ: You really think so? (ほんとにそう思う?)
チャンドラー: Yeah. I really do. (あぁ、ほんとにそう思うよ。)
ジョーイ: Aw! Thanks, Chandler... (Snuggles up to Chandler) (あぁ! ありがとう、チャンドラー… [チャンドラーに体をすり寄せる])
チャンドラー: Get off! (離れろよ!)
ジョーイ: Hey! (なんだよ![いいじゃないか!])

茶化すチャンドラーに、俺の言いたいことはわかってるだろ、と言いながら、ジョーイはその心境を説明します。

come along は「やってくる」。
ロングマン現代英英辞典の along [adverb] の項目では、以下のような語義が載っています。
2. go/come along
to go or come to a place where something is happening
4. be/come along
to arrive

つまり、2. は「何かが起こっている場所に行く、または来ること」、4. は「到着すること」。
ですから、when the right one/woman comes along というのは、ジョーイにとって運命の女性、理想の女性、ぴったりの女性が現れたら、という感じだろうと思います。

そんな風にたくさんの女の子と遊んでいるのは、まだ理想の女性が出て来ていないからで、理想の女性に会えば、男らしくその人に決めて、そんなチャラチャラしたことはしなくなる、彼女と添い遂げて、浮気なんかしないはずだ、と自分では思っていた、と。
でも、俺の親父があんな風にママ以外の人と恋愛しているのを見ると、俺もああなっちゃうんじゃないかって不安になるんだよ、と言っているわけですね。

go the distance は「最後までやり抜く」。
「その距離を行く」なので、何らかの道のりを踏破する感じかなと思います。

stand up (stand-up) は「立ち上がる」という力強いイメージからわかるように、「立派な、正々堂々とした」という意味の形容詞です。

パパみたいになる…と心配するジョーイに、「ジョーイはジョーイだよ。」と言うチャンドラー。
さっきは女の子をパンケーキに例えたりしてふざけていたチャンドラーですが、ジョーイの悩みが真剣であることを知って、ジョーイなら大丈夫だよ、と励ましています。

out of work (out-of-work) は「失業して、失業中の」という意味。
パパの跡を継ぐという手堅い仕事ではなくて、「失業中のように仕事がない、仕事が不安定な俳優の仕事」に就いたんだ、ということですね。
DVD英語字幕では、the out-of-work-actor business とハイフンで繋がれていて、厳密に訳すと「失業中の俳優」の仕事、みたいなニュアンスになるでしょうか。
仕事がなかなか簡単には入らないから、失業状態なのですが、まるでジョーイの仕事が、「失業中の俳優」という仕事、「失業している、仕事のない俳優」という仕事、であるかのような言い回しになっているような気がします。

そんな風に意志を貫いたお前なら大丈夫だよ、理想の女性に出会えれば、「他の女性を断ることのできる」立派な男になれるさ、と励ましているのでしょうね。
"No thanks. I'm married." というセリフで、観客が笑っているのですが、いかにもジョーイらしからぬセリフ、だからでしょうか?
(2018.7.27 追記)
非公開コメントにて、「「俺は結婚してるから」と言う相手は(他の女性ではなく)理想の女性なのでは?」というご意見を頂戴しました。
私もそのシーンを見直してみたのですが、確かに、「理想の女性が現れた時、ジョーイなら「いや、俺は結構だ。俺は結婚してるから」と言える」というのは、「誰かと結婚した後に理想の女性が現れた場合」の話をしているようです。
私は最初、「”俺、結婚してるから”と他の女性の誘いを断ることができる」という意味で解釈していたのですが、このセリフの英文をよく見ると「理想の女性と結婚している時に、他の女性に「俺、既婚者だから」と言える」という内容にはなっていません(”他の女性に”そう言う、という表現が入っていないため)。
この英文を言葉通りに解釈すると、「理想の女性が現れた時に(その女性に)言える」のように、「俺、結婚してるから」と言う相手は「現れた理想の女性」ということになります。
ジョーイは「たくさんの女の子と付き合っていても、理想の女性に会えばその人と決めることができる」という意味で「親父みたいにはならない、他の女性と浮気なんかしない」と言っていたわけですが、その流れで話が進むのかと思いきや、「そうだよ、ジョーイはジョーイのパパみたいにはならないよ(浮気なんかしないよ)」という意味で「結婚したら、理想の女性が現れても、その人と浮気したりせず、自分の意志を貫けるさ」と言ってみせた面白さになるようです。
"No thanks. I'm married." というセリフで、観客が笑っているのが私も気になっていたのですが、「ジョーイに理想の女性が現れた時には、ジョーイは既に別の人と結婚していた」ということがそのセリフでわかるという、観客の予想を裏切る展開のオチに対して笑っている、と考えると流れ的にもしっくりくる気がします。
つまり、ジョーイのパパとジョーイとの違いは、
パパはママと結婚した後で理想の女性(ロニー)と出会い、その人を拒むことができず浮気してしまった。
ジョーイは結婚した後で理想の女性と出会っても「俺、結婚してるから」と断る勇気やガッツがある。
ということのようです。
「理想の女性が現れるのは既婚者になってから」というのは、例え話にしてもジョーイにとってはあまり嬉しくない話でしょうが、そのような状況設定にしてジョークにすることでコメディーとしての笑いも入れながら、チャンドラーがジョーイの意志の強さを信じている様子を語ってみせた、ということなのでしょうね。
(追記はここまで)

言って欲しいことを言ってもらえて安心した様子のジョーイは、思わずチャンドラーに抱きつきますが、「わー、ひっつくな!」という感じでいやがるチャンドラーが面白いですね。
一応、「今回は」下着をつけているのですが(笑)、ソファーベッドで寝ているので、その上、抱きつかれるのは困る、ということですね。(ジョーイとハグするのは嫌いじゃないはずだけどな…笑)

ちなみに、余談ですが、このシーンでチャンドラーが着ているTシャツ、あまりはっきりとは映っていませんが、よく見ると、「マッハGoGoGo」の絵が描いてあります。
このアニメ、アメリカでは Speed Racer というタイトルで人気があって、最近、アメリカで実写映画化されました。
アメリカでは、2008年5月9日に公開されるそうなので、日付で言うと、今日です!
日本では 7月5日公開。
Speed Racer In Theaters May 9th
上のサイトでは、Trailer (予告編)が見られます。

「アメリカで人気だ」というのは、フレンズにしばしば登場したので知っていました。
逆輸入のような形で公開される今、その事実を知っていたことが無性に嬉しい(笑)。
フレンズ1-1その2 ではポスターが貼ってありましたし、
フレンズ2-18その3 では、
チャンドラー: So you think that Speed Racer guy gets a lot of tickets or...? (それで、エディーはどう思う? スピードレーサーの主人公は、違反切符をたくさん切られたか、それとも…?)
というセリフもありました。
そんな風に「あのチャンドラーがジョークで使うほど」アメリカでは人気だ、ということです。

ついでの脱線ですが…。(英語の話ではないので、興味のない方は飛ばして下さい)

GW中の 5月5日に放映された、「ヤッターマン限定版 ドロンボー vs みのもんた」でも、同じタツノコプロだということで、マッハ号と三船 剛が登場していました。(セリフもありました)
登場したガッチャマンのうち、「大鷲の健」だけセリフがあったのは、三船 剛と同じ声優さん(森 功至さん)だからだ…と気付いて、一人で喜んでいた私。
森さんの声って美形声ですよねぇ。
「笑うなよ、兵が見ている。」(ガルマ様)とか、ザブングルのビエル様とか。(ザブングル、って漫才師の方じゃないですよ…笑)

それにしても、タツノコアニメってすごいなぁと思いました。
アメリカで人気でそれが実写化されたり、復活したヤッターマンも大人気で(子供も、子供の友達も、みんな見てるって言ってます)、ドロンボー一味のギャグなんか全く同じなのに、今の世代にもあの笑いは通じるんだなぁ、と。(「ぽちっとな。」を聞くだけでも、感動します…笑)
あぁ、久々のアニメネタだった…スピード・レーサーネタがあまりにもタイムリーだったので…「暴走」すみません。「違反切符」切られますね。

アニメネタなら、「あと10年は戦える」な…(爆)。


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posted by Rach at 13:30| Comment(2) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする