2006年11月15日

フレンズ2-22その13

レイチェルパパが、チャンドラーたちの部屋から出て来たのを見て、
ロス: Hey, hey, where you uh, sneakin off to, mister? (もしもし、どちらへこっそり出かけるおつもりですか?)

sneak は「こそこそと出入りする」。
靴のスニーカーは sneaker ですよね。
底がゴムで足音を立てずに静かに歩けるから…なんでしょうね、多分。
off to は「…へでかける」。
フレンズ1-9その1 にも出てきました。


ロス: Yeah, I think you take your scotch back in there and I will get your cigarettes for you, sir. (ドクターはスコッチを持ってあちらに戻っていただいて、僕がタバコを取ってきますよ。)
レイチェルパパ: Get my glasses too. (眼鏡も取ってきてくれ。)
ロス: All righty-roo. (わかりましたよ〜ん。)
ドアを閉めた後、
ロス: What a great moment to say that for the first time. (あれを初めて言うのに、まさに最高の頃合(ころあい)だったな。)

All righty-roo. について。
All righty だけでも、All right. より軽い感じだと思われますが、そこにおまけに roo (ルー)という語尾までついていて、軽い感じがさらに強まっているように思えます。
ちょっとおふざけが入っている感じで、かなり古風な言い方をすると、「がってん承知の助」とか?
いや、もっと若者っぽい表現なんでしょうね、きっと。…「わかったぴょん」とか??

その軽い返事をしてしまった後、ロスは反省しています。
What a great moment 「なんてグレイトな時機(チャンス)なんだ」とでも言うように感嘆文を使っていますが、これはもちろん自分で皮肉っていて、「もう最悪、全くどうしてこのタイミング(または状況)で、こんな言葉を使ってしまったんだろう」ということですね。


フィービー: Oh no, ooh, ooh! Did somebody forget to use a coaster? (あらまぁ! 誰かコースターを使うのを忘れた?)
モニカ: What? (何ですって?)
モニカが慌てて見に来ている間に、ガンターに "Go!" とサインを送るフィービー。
モニカ: I don't see anything. (何も見えないわよ。)
フィービー: Great, I'm seeing water rings again. (それは良かった。私はまたウォーター・リングを見ているのね。)

誰かがコースターを使ってないと知って慌てるモニカ。
実はモニカはかなりの潔癖症で、テーブルにグラスの跡がつくことすらいやだ、という人なんですよね。
フレンズ1-6その3 で、コースターがないことをどれほどいやがっているかがわかるセリフが出てきました。
そのエピソードを覚えている人は、ここでかなり笑えると思うのですが。
ちなみに、これが、フレンズ2-22その11 で出て来た create a diversion (誰かの気・注意をそらす)ですね。
モニカの性格がよくわかっているからこそできるワザです。
water ring は「水の輪」で、ここではグラスの跡のことを言っています。
I'm seeing と現在進行形になっているのは、占い師が「私には…が今まさに見えている」みたいな感じで、他の人には見えないものが自分にだけ見えているかのようにフィービーは言っているのでしょう。

(Rach からのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
人気blogランキング
にほんブログ村 英会話ブログ

posted by Rach at 08:41| Comment(2) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月14日

フレンズ2-22その12

レイチェルパパのためにお酒を取ってこようとするロス。
ロス: Scotch. Alright, I'll be back in 10 seconds with your scotch on the rocks in a glass. (スコッチですね、わかりました。10秒で戻りますよ、グラスに入れたスコッチのオンザロックを持って。)
レイチェルパパ: Neat! (ニートだ!)
ロス: Cool. (クールですね。)
レイチェルパパ: No no no, no no no, neat, as in no rocks. (違う違う。ニートだよ、つまり氷はナシってこと。)
ロス: I know. (わかりました。)

日本でニートというと、NEET (Not in Employment, Education or Training)、つまり「雇用されておらず、教育過程にも属しておらず、職業訓練中でもない(人)」を思い出しますが、neat とは綴りが違いますね。
neat という単語は「きちんとした、こぎれいな、身だしなみのよい、趣味の良い」という意味でよく使われます。
また「すてきな、素晴らしい」という意味もあります。
でも、パパは neat を「酒が生(き)の、ストレートの、酒に水や氷を入れない、水やソーダで割らない」という意味で言っているんですね。
ロスはその言葉を知らなかったので、neat を「趣味がいいね、すてきだね。」みたいな意味に捉えて、自分のことをそう褒めた、もしくは景気づけの言葉か何かかと思って、似たような意味の言葉で、cool 「かっこいい」と返したのでしょう。

as in は「…において見られるような、…にあるような」という意味。
この場合は「つまりは…ってことだよ」という感じでしょうか。
この as in という表現は、フレンズ1-2 に出てきました。
キャロルのお腹の赤ちゃんの名前についてのやりとりです。
キャロル: Marlon-if it's a boy, Minnie if it's a girl. (もし男の子ならマーロン、女の子ならミニー。)
ロス: ...As in Mouse? (ミニーって、マウスの?)
キャロル: As in my grandmother. (ミニーって名前は私のおばあちゃんの名前よ。)
ロス: Still, you- you say Minnie, you hear Mouse. (それでも、ミニーって言ったら、やっぱりマウスだろう。)
この一連の as in も、「…にあるような」という意味ですね。


レイチェルママ: Oh hello Ross! Where have you been? (まぁ、こんにちは、ロス! どこ行ってたの?)
ロス: Hi. Uh, I have been in the bathroom. Stay clear of the salmon mousse. (どうも。ずっとトイレにいました。サーモンムースに手を出さない方がいいですよ。)
レイチェルママ: Oh, scotch neat. Ya know, that's Rachel's father's drink. (あぁ、スコッチ・ニートね。知ってる? それはレイチェルの父親の好きな飲み物なのよ。)
ロス: Oh, mine too. Isn't that neat? Scotch neat. (へぇ、僕もです。ニート(洒落[しゃれ]てる)でしょ? スコッチ・ニート。)

どこに行ってたの?と聞かれて、チャンドラーの部屋でレイチェルパパと話していた、というわけにもいかないので、しばらく席を外していた理由をでっちあげるロス。
stay clear of は「…を避ける」。
2日前の記事、フレンズ2-22その10 にも出てきました。
私は一瞬、ロスがサーモンムースが嫌いで、それを勧められないように(サーモンムースを避けるために)トイレに逃げていた、という意味かと思ったんですが、その場合だと (Because) I wanted to stay clear of the salmon mousse. (トイレにこもっていたのは、サーモンムースを避けたかったからです。)のようになる気がします。
ここでのセリフは、よく見ると、命令形になっています。
だから、レイチェルママに「サーモンムースを避けて(下さい)。」と言っているようですね。
つまり、それがトイレにしばらくの間(継続を表す現在完了形が使われている…笑)こもっていた理由だ、と暗に言っているわけですね。
それを聞いて、ママがいやーな顔をしているのも、そのロスの言いたいことを察したからでしょう。
ちなみに、DVDの日本語では「サーモンに当たっちゃって」となっていて、stay clear of には「(悪い食べ物に)当たる」なんて意味はないしなぁ…としばらく悩んでいたんですが、「どうかそれを食べないで下さいね、僕みたいに当たるといけませんから」という意味からこの日本語になったわけですね。おぉ、深い…。
ロスは、ママとの会話で、早速、学んだこと(スコッチ・ニート)を使ってしゃれを言っています。
♪覚えた言葉をすぐ使う♪ というレギュラー(あるあるさん)のネタがありますが、これは語学を学ぶ上では非常に大切なことですね(笑)。

(Rach からのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
人気blogランキング
にほんブログ村 英会話ブログ

posted by Rach at 13:46| Comment(0) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月13日

フレンズ2-22その11

モニカ会場で。
モニカ: Listen you guys, I don't mean to be a pain about this but, um, I've noticed that some of you are just placing them on. You wanna push the caps until you hear them click. (みんな聞いて。このことでうんざりさせるつもりはないんだけど、ただキャップをかぶせてるだけの人が何人かいたのに気付いたの。カチッって音が聞こえるまでキャップを押してね。)

a pain は、「いやな人、うんざりさせる人(あるいは事柄)」を指します。
フレンズ2-3その7 にも同じ表現が出てきました。
click は日本ではすっかり「マウスのクリック」でおなじみですが、「カチッという音」「カチッと鳴らす」という意味です。
その、カチッと音がする感じから、「意気投合する、ウマが合う、フィーリングが合う」という意味にもなります。


フィービー: All right, I can get you out. (わかったわ、私があなたをここから出してあげる。)
ガンター: What? (何だって?)
フィービー: Shh. In a minute, I'm gonna create a diversion. When I do, walk quickly to the door and don't look back. (シーッ。もうすぐ私が気をそらせるわ。その時、ドアへ素早く歩いて行って、振り返らないで。)

パーティーの参加者がうんざりしているのを察したフィービーは、ガンターを脱出させようとします。
diversion は「わきへそらすこと」。
この場合は「誰かの注意をそらすこと」という意味になります。
create a diversion で「(誰かの)気をそらす」という意味になるのですが、create 「創造する」という単語が、何か相手の注意を引くようなことを「生み出す」感じが出ている気がします。
この部屋から抜け出すだけの話なんですが、でも確かにモニカ怖いしね(笑)。

ちなみに、私は create a diversion というセリフをスタートレックで覚えました(笑)。
ここから先は、スタートレックをある程度知っている方しか楽しめないと思うので、知らない方は飛ばして下さい。(今日は脱線したまま終わります…)

映画「スタートレック ファーストコンタクト」(Star Trek First Contact)で、サイボーグのような機械生命体の「ボーグ(Borg)」という、それはもう恐ろしい敵が(笑)、医療室に侵入しようとするシーンがあります。
ビバリーという宇宙船エンタープライズ号の医療部長が、ボーグから逃げる時間を稼ぐために、「ホログラム」(バーチャル空間のキャラクター、立体映像のようなものだが、形もあって触れることもできる)のドクターを使って時間稼ぎをしようとします。
そのドクターの正式名称は EMH といいます。
EMH とは、Emergency Medical Hologram (緊急用医療ホログラム)の略。
通常はただ単に、「ドクター(The Doctor)」と呼ばれています。
EMH は本来は、ヴォイジャー(VGR)というシリーズのレギュラーキャラなのですが、別シリーズの新スタートレック(TNG)の映画版であるこの映画に、ゲスト出演(友情出演?)しているんですよ。(あぁ、どうでもいい話だ…笑)

ビバリー: Is the EMH programme still on-line? (緊急用医療ホログラムは今使える?)
アリサ(助手): It should be. (使えるはずです。)
ビバリー: Computer, activate the EMH programme. (コンピュータ、緊急用医療ホログラムを起動。)
EMH: Please state the nature of medical emergency. (医学的緊急事態の内容を述べて下さい。)
ビバリー: 20 Borg are about to break through that door. We need time to get out of here. Create a diversion! (20体のボーグがそのドアを破って入ってこようとしているの。私たちがここから逃げる時間が必要だわ。やつらの気をそらして。)
EMH: This isn't part of my programme. I'm a doctor, not a doorstop. (そんなことは私のプログラムにありません。私は医者ですよ。ドアのストッパーじゃない。)
ビバリー: Do a dance, tell a story, I don't care, just give us a few seconds. (踊るとか、朗読するとか、何でもいいわ。私たちのために少しの時間を稼いでちょうだい。)
と言って、ビバリーたちは非常口から逃げていく。
残された EMH に迫るボーグたち。
EMH: According to Starfleet medical research, Borg implants can cause severe skin irritations. Perhaps you'd like an analgesic cream. (宇宙艦隊の医療調査によりますと、ボーグのインプラント(機械移植)は深刻な肌の炎症を起こすらしい。鎮痛剤でもいかがですか?)

ビバリーはとにかく焦っていて、大真面目に "Create a diversion!" というセリフを言っているのですが、確かにコンピュータ・プログラムであるドクターには、「相手の気をそらす」ようなプログラムは存在しないのでしょう。
ビバリーは、やけになって、踊りでも朗読でも何でもいい、と言っていますが、まぁ、そういうことがいわゆる diversion なわけですね。
で、困ったドクターが、いかにもお医者さんが言いそうなアドバイスというか世間話をして、時間を稼いでいるのが笑えるのです。

全くの余談ですが、
I'm a doctor, not a doorstop. というセリフですが、この "I'm a doctor, not a ..." という言い回しは、スタートレックの最初のシリーズ(TOS)(邦題: 宇宙大作戦)で、ドクター・レオナルド・マッコイが最初に使いました。
それ以降、別のシリーズのドクターも時々使うそうです。(ビバリーが使ったのは聞いたことがないような…)
マッコイが最初にこのセリフを使ったのは、TOS シーズン1第20話「地底怪獣ホルタ」(原題: The Devil In The Dark)。
ホルタという石にしか見えない生物を治療しろと言われて困ったマッコイが、
I'm a doctor, not a bricklayer. (私は医者だ、レンガ(積み)職人じゃない。)
と言ったのですが、このセリフが日本語吹替版で、「私は医者(いしゃ)だ、石屋(いしや)ではない。」というだじゃれになっていて、その”はまり具合”にファンが喜んだことで妙に有名なセリフなんだそうです。(と、本で読んだ…笑)

Trekkie (トレッキー)にしかウケない話でしたねぇ…すみません。
それとさらにどうでもいい話ですが、映画「スタートレック ファーストコンタクト」のDVDの英語字幕は、実際のセリフと「かなり」違っていました。
フレンズも結構実際のセリフと英語字幕が異なることが多いですが、これはそれ以上でした。
ですから上に書いたセリフは、ディクテーションしたものなので、間違ってるかもしれない(笑)。
でも、何でそこまで字幕を変えてしまうんだろう? そのまま書くほうが簡単だと思うのにねぇ…。
そんな風にかなり違っている字幕でも、聞き慣れない単語がある場合は大変役に立つのですが…(スタートレックは出てくる単語がテクニカルで難しいし)。
それと、このDVDはフレンズ学習を始める前に買ったもので、その頃は英語字幕が実際のセリフと異なっていることなどあまり気にしなかったのに、今ではその違いがむっちゃ気になる…というところに、自分の成長を見ることができて嬉しい気がします。

(Rach からのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
人気blogランキング
にほんブログ村 英会話ブログ

posted by Rach at 14:34| Comment(8) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月12日

フレンズ2-22その10

レイチェル: Listen honey, can you keep Dad occupied? I'm gonna go talk to Mom for a while. (ねぇ、ハニー。パパと話をしてくれる? 私はこれからしばらくママと話してくるから。)
ロス: Okay, do you have any ideas for any openers? (わかった。何て切り出したらいいと思う?)
レイチェル: Uhh, let's just stay clear of "I'm the guy that's doing your daughter", and you should be okay. (「僕があなたの娘さんとヤッてる男です。」って言葉を避けていれば、大丈夫なはずよ。)

occupy は「…を占領する、占める」。
また「人の心を占領する」ようなニュアンスから、「(人の注意などを)引く」という意味にもなります。
keep Dad occupied は「パパを占領された状態にしておく」みたいな感じで、他の人が入る余地をなくす、他のことに目が向かないように、パパの注意を引くように何か適当に話題を見つけて話し込んでおいて、みたいな感じでしょうか。
また、トイレの「使用中」のサインは英語では "Occupied" になりますよね。
opener は「缶切り」などの何かを開ける(open)もののことですが、ここでは「話の切り出し、話の口火となるもの」という意味になります。
フレンズ1-22その6 にも出てきました。
stay clear of... は「…に近づかない、避ける、敬遠する」。
フレンズ2-21その12 で、clear には「邪魔物がない、妨げのない」という意味があると書きましたが、つまり of 以下のものがない状態にとどまっている(stay)ということですね。


モニカの部屋の会場では、
モニカ: Okay people, I want you to take a piece of paper. Here you go. And write down your most embarrassing memory. Oh, and I do ask that when you're not using the markers, you put the caps back on them because they will dry out. (いい、みんな。紙を一枚ずつ取ってね。はい、どうぞ。そして、一番恥ずかしかった思い出を書いてね。あぁ、それから、お願いがあるんだけど、マーカーを使わない時は、キャップをちゃんとかぶせてね。マーカーが乾いてしまうから。)

ちょっとしたゲームを始めようとしているのですが、ここでモニカの几帳面な性格が表れています。
I do ask と do を使って随分とお願いを強調しているのですが、そのお願いが「マーカーにキャップをすること」。
確かにたまにきっちり蓋をしない人がいるものですが、それを事前にわざわざ注意する人も珍しいような(笑)。


チャンドラーの部屋の会場では、ロスが何とかレイチェルのパパと話をしようと奮闘中。
ロス: Hi, Dr. Greene. So, uh, how's everything in the uh, vascular surgery....game? (はい、ドクター・グリーン。それで、どんな感じですか? 「血管外科手術・・・ゲーム」は?)
レイチェルパパ: It's not a game, Ross. A woman died on my table today. (ゲームじゃないよ、ロス。今日は、女性が一人、手術台で死んだんだ。)
ロス: I'm sorry. See that's the good thing about my job. All the dinosaurs on my table are already dead. (すみません(or それはお気の毒に)。そこが僕の仕事の良い点なんですよね。台に乗っている恐竜は全て既に死んでるわけですから。)

vascular は「血管の」。
会話が深刻にならないように、surgery の後に、game という単語をつけています。
「遊び」という意味か、「スポーツのゲーム」という感覚かよくわかりませんが、「その血管外科手術ってやつ(代物)は」という感じで、ちょっとボカすことで、おふざけ・お遊び感覚を出しているんでしょうね。
でも、その game という言葉にパパはカチンときたようです。
人の生死に関わる問題なのに、game なんて表現は不謹慎だろう、ということでしょうね。
ここの See は「ほら、いいですか、お気付きですか」のような意味でしょう。
See that's the good thing about my job. をあえて直訳すると、「いいですか、そのことが、僕の仕事における良いことなんですよ。」といったところですが、このニュアンスについては、ちょっと悩みました。(以下、その悩んだ様子が綴られています…笑)

that は具体的には、パパが言ったそういう状況、つまり「自分の仕事中に、人が台の上で死ぬこと」を指しているのでしょう。
パパはそれがいやだ、と言うのですが、ロスはその点が自分の仕事では「良いところ」だと言っています。
あなたの台では仕事中に人が死ぬことがある、そのように誰かが死ぬ(died)のを見るのはつらいことだ、一方、僕の台ではもうすでに(恐竜は)死んでいる(already dead)のでそれを悩む必要がない、と対比しているわけでしょうかねぇ?
「自分が何か作業をすることで死んでしまう、という気苦労がない、そのことで辛い(つらい)思いをすることもないから」ということなのかな、と。
しかし、これまた不謹慎な発言で、何のフォローにもなっていない気がするのですが(笑)。

脱線しますが、この部分で一瞬、ちょっと異なる意見が頭に浮かびました。
それは、「もし凶暴な恐竜が台の上で生きていたら、研究者にとっては危険なので、死んでいる方がありがたい」という解釈なんですが、その場合だと、otherwise they would attack me. 「もし死んでいなければ(生きていれば)襲われそうですしね。」のようなセリフが続くかな、と思ったり…。
それに、ロスたち古生物学者は、できれば化石ではなくて、本物の恐竜を見たいと思っているでしょうから、研究対象が死んでいる方が良い、とは言わない気がするのです。
ですから、上のロスのコメントは、「死ぬところを見ないで済むから」という解釈でしか成り立たない気がします。
やはり、パパの場合は die (死ぬ)という行為が行われる、ロスの場合は die という行為を見ることはなく、be already dead (すでにもう死んでいる)という状態である、という違い(対比)がポイントなのかな、と思うのですが…。

ところで少し前に戻りますが、ロスの I'm sorry. について。
「それは大変でしたね。」という意味にもとれるし、「ごめんなさい。」と不謹慎な自分の発言(game と表現したこと)を謝っているようにも聞こえます。
英語ではどちらでも I'm sorry. なので日本語訳にこだわる必要はないのかもしれませんが…。
すみません、と謝った後で、さらに不謹慎な話をするのはおかしいと考えると、「それは大変でしたね。お気の毒に。」という風にも取れますが、パパとしゃべるロスはとにかく緊張していて、謝った後、ユーモアでフォローするつもりがさらに変なことを言ってしまい、ますます気まずくなったというのが本当のところかも。

(Rach からのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
人気blogランキング
にほんブログ村 英会話ブログ

posted by Rach at 07:52| Comment(4) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月11日

フレンズ2-22その9

チャンドラーがバスルームから飛び出してきます。
チャンドラー: Joey, Joey. Hey, some girl just walked up to me and said, "I want you, Dennis," and stuck her tongue down my throat. I love this party! (ジョーイ、ジョーイ。ある女の子が俺に歩み寄ってきて、こう言うんだ。「あなたが欲しいの、デニス。」 そして、舌を奥まで入れるキスをしてきたんだよ。俺、このパーティー大好き!)
ジョーイ: Quick volleyball question. (バレーボールに関する簡単な質問なんだけど。)
チャンドラー: Volleyball. (バレーボール?)
ジョーイ: Yeah, we set up a court in your room. Uh, you didn't really like that grey lamp, did you? (あぁ、お前の部屋にバレーボールのコートを作ったんだ。あのグレーのランプ、そんなに気に入ってなかったよな?)
チャンドラー: Joey, a woman just stuck her tongue down my throat. I'm not even listening to you. (ジョーイ、ある女性が、今さっき俺にディープキスをしたんだぞ。今、お前の話なんか聞いちゃいないよ。)
女性の声: Dennis! (デニス!)
チャンドラー: Okay, that's me. (よし、俺のことだ。)

stuck は stick 「突き刺す、差し込む、突っ込む、突き出す」の過去形。
down my throat で「喉の奥の方に、奥まで」という感じでしょうから、「喉の奥まで舌を差し込んだ」ということになりますね。(おぉ、激しい…笑)
まぁ、喉までというのは大袈裟な表現なのでしょうが、それくらいディープなキスをされた、と言ってチャンドラーは喜んでいるわけです。

フレンズ1-11 で、ロスがチャンドラーのママとキスをして、チャンドラーが大激怒しているシーンがありました。
チャンドラー: Look, just because you played tonsil tennis with my mom doesn't mean you know her. (いいか、ロスが俺のママとディープキスしたからって、それでママをわかったことにはならないんだぞ。)
tonsil は「扁桃腺(へんとうせん)」。
つまり、tonsil tennis は「扁桃腺でテニスをする」ということで、これまたディープなキスを指すわけですが、down my throat と通じるものがあるように思います。
唇だけの軽いキスではないことを表現したいわけですね。
フレンズ2-8その1 でも、
ロス: And then I kissed her. (それから、僕はレイチェルにキスしたんだ。)
ジョーイ: Tongue? (舌は[入れた]?)
ロス: Yeah. (ああ。)
ジョーイ: Cool. (よし。)
てなやり取りがありました。
ちなみに、stick one's tongue out だと「ペロリと(ベーッと)舌を出す」という意味になります。
(ちょっと、この手の話題で話を延ばし過ぎましたかねぇ?…笑)
didn't really like は「そんなに好きでもない、むちゃくちゃ好きというわけではない」という感じです。
この not really については、フレンズ2-21その21 にも出てきました。

チャンドラーは今、見知らぬ女性からキスされて舞い上がっているというのに、そんなことにお構いなしに全く何の関係もない質問をするジョーイがおかしいですね。
ジョーイにとってはそんなに珍しいことでもないからか、所詮は他人事だから興味がないのか…?
しかし、チャンドラーが冷静であったなら、自分の部屋でバレーボールをされて、ランプを壊される恐れがあるとなると、抗議したかもしれませんね。
興奮気味の今のチャンドラーには、何を聞かれても判断は下せないのでしょうが…。

"That's me!" と感嘆符が付くように元気良く答えたのなら、「はいはい、僕でーす!」という感じになるのかもしれませんが、このチャンドラーのセリフは、一瞬、間(ま)があって、自分に言い聞かせるように言っていたので、「あ、あれは俺のことだったんだ、忘れてたよ、行かなくちゃ。」って感じでしょうかねぇ?
That's me. は「それは私だ。」ということなので、今、話題に上がっている人が自分であった場合に、「あなたがおっしゃっている人物、それは私のことです。」という返事で使います。
こういう使い方は、
フレンズ2-6その8フレンズ2-12その12 に出てきました。
また、何か自分に関することを人に言われた場合に、「だって、それが私なんだもん。しょうがないじゃん。」という開き直りの言葉として使うこともありますね。
フレンズ1-17その4 にその例が出てきます。
私も英文を書くときにそんな風に開き直ることが時たまあります(笑)。

(Rach からのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
人気blogランキング
にほんブログ村 英会話ブログ

posted by Rach at 16:35| Comment(2) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月10日

フレンズ2-22その8

真っ暗な部屋に入ると、突然電気が付いて
みんな: Surprise. (サプライズ!)
レイチェル: Oh my gosh, wow. Monica. Oh my god. Mom. This is so great. (まぁ、すごい。モニカ。それにママ。すっごく素敵よ。)
レイチェルママ: Happy birthday sweetie. (お誕生日おめでとう。)
レイチェル: Wow you, you. I had no idea! (もう、あなたたちったら。全然知らなかったわ!)
ロス: Really? (本当?)
レイチェル: No, I knew. (ううん、知ってた。)

このやり取りを見てもわかる通り、サプライズ・パーティーでは「知らなかったふりをする」のが礼儀みたいですね。
みんなが「サプライズ!」とびっくりさせてるのに、「そんなの知ってたよ。」と冷静に返したら愛想なさすぎですからねぇ(笑)。
レイチェルは当然誰かがパーティーを企画してるはずだと思っていたし、”あの”モニカが仕切っているのもわかっていたはず。
もし誰もパーティーを企画してなかったら、逆にレイチェルは怒り出してたと思いますが。


ジョーイとチャンドラーの部屋に行くように言われるレイチェルとロス。
ドアを開けると、
みんな: Surprise. (サプライズ!)
レイチェルパパ: Happy birthday, sweet pea. (お誕生日おめでとう、お嬢さん。)
レイチェル: Daddy. (パパ。)

sweet pea は、sweetie や honey などと同じ、「親愛を表す呼び掛け語」(a term of endearment)のようです。
pea は「エンドウ豆」なので、最初、「”甘い豆”って何だろう?」と思ってたら、「スイートピー」(花の名前)だった(笑)。
スイートピーって、マメ科の植物なんですね。
スイートピーというと、♪ I will follow you あなたについてゆきたい♪ の聖子ちゃんの「赤いスイートピー」を思い出しますねぇ。
この歌の作曲者「呉田軽穂」さんというのは松任谷由実さんのペンネームで、グレタ・ガルボ(Greta Garbo)から来た、というのは有名なお話。
この頃はザ・ベストテンも欠かさず見てたし(笑)、この頃の聖子ちゃんの歌は歌詞カード見ないで歌えますね。(何だか、「歌詞カード」という言葉自体が古いですけど…笑)


仲の悪いパパとママが二人とも来ていることでパニクるレイチェル。
ロス: You know what, this is ridiculous, okay. This is your birthday, this is your party. I say we just put 'em all together and if they can't deal with it, who cares? (いいかい、こんなのばかげてるよ。これは君の誕生日なんだ。君のパーティーなんだよ。二人を同席させて、もしそれで収拾がつかなくなっても、誰が構うもんか。)
レイチェル: I do. (私が構うわ。)
ロス: That's who. (君がその誰か、だね。)

ロスは、レイチェルが主役なんだから気にするな、と慰めようとするのですが、あまり効果はないようです。
care は「心配する、気にかける、構う(かまう)」。
Who cares? を直訳すると「誰が気にするの?」となり、そこから「誰が構うものか、誰も気にしたりしないよ、どうってことないよ」という反語表現になります。
ロングマン現代英英辞典によると、
Who cares? : [spoken] used to say that something does not worry or upset you because it is not important
訳すと、「あること(もの)が重要ではないため、それが人を悩ませたり動揺させたりしない、ということを言うのに用いる。」
つまり、「誰も気にしない」ほど些細なことだ、と言いたいわけですね。
日本語でも「誰が気にするっていうのよ!」とちょっとキツイ感じで言うと、「大したことないじゃない!」という同じような意味になりますよね。

反語表現とは、広辞苑の語義を引用すると、
「断定を強めるために、言いたい意の肯定と否定とを反対にし、かつ疑問の形にした表現。」
ということです。
フレンズ2-9その15 でも反語表現について触れています。
Who knows? 「誰が知っているの?→誰にも分からないよ。」というのも同じ要領ですね。

反語表現というテクニックは、英語にも日本語にもあります。
そう言えば漢文にも出てくるなぁ。
「史記」の「燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや」(=ツバメやスズメのような小さな鳥に、どうして大きな鳥の志がわかるだろうか? いや、わかるはずがない→小人物には大人物の大志は理解できない。」
などはまさにその反語表現です。
ストレートに言わないことで却って強調する、というテクニックが、いろんな言語で見られるのは面白いですよねぇ。

で、レイチェルを庇うつもりで「誰が構うもんか。」と言ったのに、その本人に「私が構うのよ。」と言われてしまってガックリのロス。
That's who. は「”誰か”というのは、それだ。」という感じでしょうか。
Who cares? を普通の疑問文と考えた場合に、その答えは、今君が言った、"I do." = "Rachel cares." つまり、「レイチェルが構う(気にする)」というのが、その疑問に対する答えだね、という感じかと。

(Rach からのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
人気blogランキング
にほんブログ村 英会話ブログ

posted by Rach at 19:01| Comment(8) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月09日

フレンズ2-22その7

ロスとレイチェルがデートから帰ってきました。
レイチェル: Ohh, thank you for the wonderful dinner. (素敵なディナーをありがとう。)
ロス: Thanks for being born. (生まれてきてくれてありがとう。)
レイチェル: Ohh, thank you for my beautiul earrings. They're perfect. I love you. (このきれいなイヤリング、ありがとう。最高よ。愛してるわ。)
ロス: Oh, now you can exchange them if you want, okay? (あぁ、もう、そのイヤリング、他のと交換したかったら交換してもいいんだよ。)
レイチェル: Now I love you even more. (今、あなたのこと、もっと好きになったわ。)

I was born. で「私は生まれた。」ですから、Thanks for being born. を直訳すると「(君が)生まれてきたことに感謝する、生まれてきてくれてありがとう。」という意味になりますね。
日本語で聞くと、えらくキザな表現に聞こえるのですが(笑)、ぐぐったら結構な数がヒットしましたので、英語では普通の表現みたいです。
誕生日の定番表現かどうかは知りませんが、もしかしたら恋人同士の間で使う表現なのかもしれません。(だって、こんなこと言われたら恥ずかしくなりませんかぁ?)

ちなみに、Thank you for や Thanks for などの for の後には、動名詞が来る場合と、名詞が来る場合とがありますね。
ネイティブなら子どものときに身につける 英会話なるほどフレーズ100 (スティーブ・ソレイシィ、ロビン・ソレイシィ 共著) の p.54-55 Thanks. の項目にこの違いについて説明してあります。
引用させていただきますと、

このパターンは、Thank you for ...ing か、Thank you for your+名詞、となる。
Thank you for your ...ing と動名詞に your をつけると間違いになる。
your ...ing というのは日本でよく耳にする間違いだ。


初めてそれを読んだ時は、へぇ〜と感心したのですが、それ以来、注意して聞いていると、確かにそうなんですよ。(←当たり前だ!)
別に your ...ing と言ったからといって、失礼に当たることはないと思うし、特に日本人にとっては、「そんな細かい話!」という気もするのですが、相手に「感謝する」フレーズですから、正しく使いたいところですよね。
どうして ing だと your が不要なのか、については、この本では詳しく説明はされていませんが、you の行為に対して thank (感謝する)わけなので、当然その動詞の行為をした人間は you に決まっているので、動名詞の主語をわざわざ言う必要がない、もしくは省略される、ということでしょうかねぇ?
ということで、Thank you for coming. 「来てくれてありがとう。」や Thank you for inviting me. 「ご招待、ありがとう。」の動名詞の場合は your は不要で、Thank you for your advice. 「アドバイスありがとう。」や Thank you for your e-mail. 「メールありがとう。」の場合は、名詞に your を付けるのを忘れずに、ということです。

Thank you for my beautiul earrings. ですが、ここでは名詞に定番の your ではなくて、my がついていますね。
プレゼントされてもう自分のものになっている(or もう身につけている)場合は、my になるのね…と妙なことに感心してしまいましたが。

そのプレゼントとしてあげたイヤリングを交換してもいいというロス。
きっとディナーの時にプレゼントして、「まぁ素敵!」と言ってレイチェルがその場で耳につけたんでしょう。
今日のデートももう終わりで、とりあえず喜んでもらったし、もう交換してもいいんだよ、と言ったら、レイチェルがあっさりそれを受け入れるのがおかしいですよね。
perfect とまで言って誉めておいて、それはただの社交辞令だったのかよ…という(笑)。
フレンズ1-24その4 で、gift receipt 「贈り物を渡す相手のためのレシート」について説明しましたが、アメリカではプレゼントにそういうレシートが入っていて、それを持っていくと、別の商品に交換してもらえるそうです。
日本では自分で購入したもので生ものでない場合は、レシートで交換してもらえますが、プレゼントは難しいような気がします。(百貨店から配送された品で、間違いなくそこで購入したことが明らかな場合は、交換可能なのかもしれない…私はそういうところは面倒くさがりなので、やってみたことはないですが…)
1-24 でもレイチェルはプレゼントに貰った服を交換していましたし、フレンズでは今後何度もそういう「交換」する話が出てきますので、わりと一般的な行為のようです。
ロスなりに一生懸命選んだんでしょうから、レイチェルの返事はちょっぴりがっかりだったかもしれませんね。
でもまぁ、それがまさに「レイチェル」であるとも言えるわけで、それをわかって言っているであろうロスはさすが「レイチェルの彼氏」というところでしょうか?

(Rach からのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
人気blogランキング
にほんブログ村 英会話ブログ

posted by Rach at 13:19| Comment(2) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月08日

フレンズ2-22その6+Three's Companyの話

今度はレイチェルのママがやって来ました。
パパとママを合わせまいとするフレンズたち。
ジョーイ: Uh, hey, Dr. Greene, why don't you come with me? We'll put your jacket on Rachel's bed. (グリーンさん、私と一緒に来て下さい。あなたのジャケットを、二人でレイチェルのベッドに置きに行きましょう。)
レイチェルパパ: Alright. That sounds like a two-person job. (わかったよ。まるで二人がかりの仕事のような言い方だな。)

two-person job は「二人がかりの仕事。二人でする仕事。二人が必要な仕事。」ということでしょう。
最初、bed に置きに行く、つまり寝室に行くわけで、その後の two-person job というフレーズだったので、エッチな意味かと思ったのですが(私、変な想像しすぎ?…笑)、パパは嫌がっているというよりも、怪訝な顔をしているので、「何を大袈裟な」ということなんでしょうね。
「そんなこと一人でできるのに、わざわざ付き添われることもないよ。」という意味なのでしょう、きっと。


パパとママが鉢合わせしたことでパニクるモニカに、
チャンドラー: Okay, think, what would Jack and Chrissy do? (わかった、考えるんだ。ジャックとクリッシーならどうするだろう、って。)

これが何を指しているかは、DVDの字幕でわかりました。
日本語字幕には、「ドラマの”スリーズ・カンパニー”みたいだ」と書いてあります。
IMDb: "Three's Company" (1977) [TV-Series 1977-1984]
この登場人物の中に、Jack Tripper、Chrissy Snow という人がいますので、その二人を指しているのですね。
Wikipedia 英語版: Three's Company
このスリーズ・カンパニーというのはフレンズと同じようなシットコムのようです。
IMDb の Plot Outline には、
「アパートメントの一つの部屋に住んでいる女性二人、男性一人とその隣人たちによる不運な出来事(災難)」
とあります。
その説明では、misadventure 「不運、不運な出来事、災難」という言葉が使われているのですが、そんな大袈裟なものではなく、いわゆるドタバタコメディということでしょうね。
今、チャンドラーたちが直面しているようなやっかいな出来事が次々と起こるドラマで、スリーズ・カンパニーの登場人物ならこういう場合どうするかを想像してみよう、ということだと思います。

この Three's Company というタイトルですが…。
諺(ことわざ)に、Two's company, three’s none [a crowd]. というものがあります。
研究社 新英和中辞典では、none でも a crowd でも同じ意味として、「二人はよい連れだが三人は仲間割れ」という日本語訳。
英辞郎では、none の場合は「二人なら友達、三人では他人」、a crowd の場合は「二人寄れば仲間で三人寄れば群衆である」という訳になっていて、どちらもほぼ同じ意味だ、と書いてあります。
このドラマの場合は、その諺をもじって、元の諺の一般的な意味とは違って、Three's company 「三人はよい連れ、仲間」だと言っているわけですね。

上のウィキペディアの Referenced in other media という項目に、興味深いことが書いてありました。
ざっとまとめてみると、
「フレンズのキャラクターがいろんな場面で、スリーズ・カンパニーを見たり、それについて言及したりする。(スリーズ・カンパニーの出演者である) Audra Lindley は、フレンズで、フィービーのおばあちゃん役で登場している。モニカとレイチェルが、スリーズ・カンパニーの女の子たちのように誤解している(having a misunderstanding)、とチャンドラーはほのめかしたりもする」

フレンズにスリーズ・カンパニーに関する場面が度々出てくる、という話は後回しにします。
フィービーのおばあちゃんは、フレンズ2-9 に出てきました。
その女優さんは、スリーズ・カンパニーのレギュラーだったんですね。
Wikipedia 英語版: Audra Lindley
IMDb: Audra Lindley

チャンドラーがほのめかす…という話ですが、ウィキペディアの Basic description という項目に、
「ジャックという男性が、クリッシーとジャネットという女性二人と同じアパートに住むことを許可してもらうために、ジャックは大家さんのスタンリーに、自分はゲイであると信じさせる。本当はジャックはゲイではないが、スタンリーはそれに気付かず、しばしばジャックのことを "one of the girls" (女の子の一人)と呼んでいた。」
とあります。
チャンドラーはよくゲイに間違えられるし、フレンズたちも未だにそうだと思い込んでいる節もありますよね。(フレンズ1-8 は特にそれに注目したエピソードでした。)
ですから、チャンドラーがスリーズ・カンパニーを引き合いに出す時は、あのドラマと同じで、俺がゲイだとみんなが思ってるのは単なる誤解で本当は違うんだよ、と言いたい、ということなんでしょうね。(今回のエピソードでは、ゲイの話は関係なさそうですが…)

フレンズに度々出てくるということですが、これまでのエピソードでは、フレンズ1-2 に出てきました。
1-2 のその場面のネットスクリプトを、ト書きを含めて、以下に引用します。

[CUT TO MONICA AND RACHEL'S APARTMENT, WHERE CHANDLER, JOEY, PHOEBE AND MONICA ARE WATCHING 'THREE'S COMPANY']
(モニカとレイチェルのアパートのカット。そこでは、チャンドラー、ジョーイ、フィービー、モニカがスリーズ・カンパニーを見ている。)
チャンドラー: Oh, I think this is the episode of Three's Company where there's some kind of misunderstanding. (あぁ、これって、何かしらの誤解がある(生じる)っていう、スリーズ・カンパニーのエピソードだよね。)
フィービー: ...Then I've already seen this one! [TURNS OFF TV] (…それじゃあ、このエピソード、私もうすでに見たわ。)[と言ってテレビを消す]

上にも書いたように、ゲイであることを含めて、いろんな誤解(misunderstanding)が出てくるドラマですから、毎回「誤解」は存在するはずです。
それを冗談っぽく言ったのに、そういう「誤解が関係したエピソードなら見た」とテレビを消してしまうフィービーに大爆笑、なわけですね。
言うなれば、「これって水戸黄門が最後に印籠を出すエピソードだよね。」と言ったら、「そのエピソードなら見た。」と言って消してしまうのと同じです。
印籠のない水戸黄門なんて、水戸黄門じゃねぇ!って感じなのに…。
脱線しますが、どうして水戸黄門を出したかと言うと、長嶋茂雄さんが監督をしていた時、選手が集まって水戸黄門を見ていて、さぁ、クライマックスの印籠の場面という時に、「ここからどんな展開になるか、みんな知らないの? 分かってるなら見る必要ないだろう?」と言って、テレビをプチっと消してしまった…という話を、子供の頃、(確か)板東英二さんの本で読んだ気がするのです…。

ちなみに、英語とは関係ないですが、日本語吹替では「ロイス&クラークならどうする?」と言っています。
これは「新スーパーマン」からの引用みたいですね。
英語での正式タイトルは、Lois & Clark: The New Adventures of Superman です。
IMDb: "Lois & Clark: The New Adventures of Superman" (1993) [TV-Series 1993-1997]
Amazon.co.jp: 新スーパーマン <ファースト・シーズン> DVD コレクターズ・ボックス1
ディーン・ケイン、テリー・ハッチャー主演ということですが、テリー・ハッチャーというと、「デスパレートな妻たち」のスーザン・メイヤー役で有名な女優さんですよね。
上のアマゾンのサイトにはDVDのジャケット写真が掲載されていますので、若い(笑)テリー・ハッチャーさんの姿が見られます。

「ロイス&クラーク」にしたのは、フレンズが WOWOW で放映されているのと同時期に、このドラマも放映されていたんでしょうかねぇ?
日本ではスリーズ・カンパニーというドラマがそれほど有名ではないので(私も全く見たことがなく、何の予備知識も持っていませんでしたし)、まぁ、困った時にはスーパーヒーローを呼ぼう、という発想から来たもので、同じような男女のカップルとなると、これが適切だということになるんでしょうねぇ。(翻訳者の人って、大変だわ…)

(Rach からのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
人気blogランキング
にほんブログ村 英会話ブログ

posted by Rach at 19:09| Comment(8) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月07日

フレンズ2-22その5

レイチェルのバースデー・パーティーの準備をしているところ。
フィービー: Okay, here are the birthday candles. Where's the birthday cake? (オッケー、これが(ケーキ用の)ろうそくよ。バースデー・ケーキはどこ?)
モニカ: Okay, we're not having birthday cake, we're having birthday flan. (バースデー・ケーキはないの。バースデー・フランよ。)
チャンドラー: Excuse me? (何だって?)
モニカ: It's a traditional Mexican custard dessert. (伝統的なメキシコのカスタード・デザートよ。)
ジョーイ: Oh that's nice. Happy birthday Rachel. Here's some goo! (おぉ、そりゃいいや。おめでとう、レイチェル。これがヌメヌメだよ!)

少し、cake について語りたいと思います。
まず、フィービーのセリフでは the birthday cake と定冠詞の the がついていますが、これは、今目の前にある the birthday candles を立てる対象となる「その」ケーキはどこ?という感じでしょうかねぇ?
そして、次のモニカのセリフですが、何となく having 'a' birthday cake、having 'a' birthday flan と冠詞の 'a' を入れたくなってしまうんですが、どちらも入っていませんね。
バースデー・ケーキというのは、ろうそくを立てたりする、いわゆる「ホール」(切らない丸ごとのケーキ= a whole cake)のイメージがあるので、a birthday cake でも良さそうなもんですが、このセリフの場合は、「ケーキではなくてフランだ」という物質の種類(もしくはメニュー)を説明しているので不可算だ、ということなのだろうと思います。
研究社 新英和中辞典にも、cake も flan も「(基本的には)不可算名詞扱い」で、「個々には可算、ナイフを入れて切ったものは不可算」と書いてあります。
不可算だということで、ケーキの一切れは a piece of cake と言いますね。(中学校くらいで習った気がする…)
ちなみに、a piece of cake には「楽な仕事」という意味もあります。
英辞郎には、
a piece of cake: (一切れのケーキをペロリと食べるように)とても[非常に]簡単な[易しい・容易な・楽な・たやすい]こと[仕事]、お茶のこさいさい…
などと書いてあります。
この「お茶の子さいさい」という日本語ですが、広辞苑には、
お茶の子=1.お茶菓子。 2.(腹にたまらないところから)たやすくできること。
と書いてあります。
どちらも「小さいお菓子」だから、ペロっと食べられるし、お腹いっぱいにもならないわけですよね。
英語も日本語も発想が同じみたいで面白いです。

having ですが、これは「食べる」という意味の have を進行形にして、近い将来の予定を述べているのでしょうね。
we're not having..., we're having... で、「ケーキを食べる予定はなくて、フランを食べることになっている」という感じでしょうか。
goo は「ねばつくもの、べたつくもの、ベタベタ・ネバネバ・ヌメヌメ・ヌルヌルするもの」。
確かに、触るとぷにょんぷにょんする感じのお菓子みたいですが、そこまで毛嫌いしなくてもねぇ。


パパとママの仲が悪いのでパパは招待していなかったのに、誕生日だということで勝手に来てしまったパパ。(まぁ、当然、というか、防ぎようがないですが…)
レイチェルパパ: Ohhh, you're having a parteee. (おぉ、パーティー!を予定してるのか。)
モニカ: No, no, not a party. Just a surprise gathering of some people Rachel knows. Um, this is Phoebe and Chandler and Joey. (いえいえ、パーティーじゃありません。レイチェルの知っている人が何人か、抜き打ちで集まるだけです。あ、こちらがフィービーにチャンドラーにジョーイです。)
レイチェルパパ: I'll never remember all of that. So uh, what's the deal? Rachel comes home, people pop out and yell stuff? Is that it? (そんなの全部覚えていられないよ。それで、どんな段取りになってるんだ? レイチェルが帰ってきて、人々が飛び出して、叫んだりする? そんな感じだろ?)
チャンドラー: This isn't your first surprise party, is it, sir? (サプライズ・パーティーは今回が初めてではないのですね?)

parteee となっているのは、party を大袈裟に言っているわけ。
このままパーティーに参加されては困るので、モニカはパーティーではないと説明しようとするのですが…。
ここでの surprise は形容詞で「突然の、予告なしの、だしぬけの、不意打ちの、抜き打ちの」。
gathering は「(非公式で社交的な打ち解けた)集会、集まり」。
パーティーのような公式の会合ではない、と言いたいようですね。
何だか、辞書の語義説明のような回りくどい表現になっているのがおかしいです。(「英語でしゃべらナイト」のパックン英検のようでもある…笑)
party という言葉を使わないように苦労しているわけです。

パパが、「私もサプライズ・パーティーで何をするかくらい知ってるぞ」とでも言いたげに内容を説明しているので、「もう何度もサプライズ・パーティーを経験しておられるのですね? お詳しいですね。」とチャンドラーは言っています。
でも、実際は、サプライズ・パーティーで何をするかはたいていの人が知っていて、それを得意げに話しているところが、却ってそういうパーティーの経験がない(あるいは少ない)ことを露呈しているわけですよね。(実際、そんなのくだらん!とか言いそうなタイプみたいですし…)
チャンドラーは丁寧な言い方をしながら、実は皮肉を言っているのですね。

(Rach からのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
人気blogランキング
にほんブログ村 英会話ブログ

posted by Rach at 10:16| Comment(8) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月06日

フレンズ2-22その4

妹の卒業式が地獄のようにひどいものだった、というレイチェルに、
モニカ: So what happened? (それで、何が起こったの?)
レイチェル: My parents happened. All they had to do was sit in the same stadium, smile proudly, and not talk about the divorce. But nooo! They got into a huge fight in the middle of the commencement address. Bishop Tutu actually had to stop and shush them. But you know what, you know what the good news is? I get to serve coffee for the next 8 hours. (両親のいつものやつが始まったのよ。ただ、同じスタジアムに座り、誇らしげに微笑んで、離婚について話をしなければ良かっただけなのよ。でも、とんでもない! 卒業式の演説(挨拶)の真っ最中に、喧嘩を始めたのよ。実際、ツツ大司教が二人を止めて、シーッって言って黙らせないといけなかったのよ。でもね、良いニュースもあるのよ。私はこれから8時間もコーヒーをサービスすることになる、ってことよ。)

happen は「(出来事などが)起こる」ですから、普通は人が主語になることはないはずですが、ここでは、「私の両親」が起こった、つまり、またいつものパパとママが始まった、また二人で性懲りもなく口喧嘩を始めた、というニュアンスで使っているようです。
all they had to do was... を直訳すると、「両親がしなければならなかったことの全ては…だ」ということで、つまりは「…だけしていればそれで良かった」という意味になります。
was の後は、「…すること」という意味で、to sit, to smile, and not to talk 「座ること、微笑むこと、そして話さないこと」が来るのですが、この was の後の to はしばしば省略されます。
All you need to do is ask. 「ただ尋ねればよい。」などと同じですね。

ところでちょっとしょーもないことにこだわりますが(笑)、stadium というのはいわゆる「スタジアム、野外競技場、野球場」ってことですよね。
Merriam-Webster Online Dictionary では、
stadium: a large usually roofless building with tiers of seats for spectators at sports events
つまり、「スポーツイベントの観客のために、席が段になっている、たいていは屋根のない、大きな建物」とあります。
アメリカの大学って、そういうところで卒業式をするんでしょうか?
日本だと室内(体育館とか講堂とか)で行われるような気がするのですが…。

commencement は「卒業式、学位授与式」という意味ですが、その基本的な意味は「開始、始まり」です。
何となく、日本語の感覚では、「卒業式」だったら、「始まり」じゃなくて「終わり」じゃないの?って気もするのですが…。
新しい人生が始まる門出の日、ってことなんでしょうかねぇ?
commence という動詞は「・・・を始める、開始する」ですが、begin よりも形式ばった単語で、作戦などの開始に使われます。
私は、映画「インデペンデンス・デイ」(Independence Day)でこの commence という単語を覚えました(笑)。
エイリアンとコミュニケーションを取ろうと試みるシーン。
ヘリコプターが宇宙船に近づいた時のセリフがこれ↓。
Initiating communication sequence. Welcome Wagon has commenced. (コミュニケーションのシークエンスを開始する。ウェルカム・ワゴン作戦、開始。)
Welcome Wagon は日本語では「歓迎ヘリ(作戦)」と訳されていましたが、
英辞郎によると、
welcome wagon =(米)ウェルカム・ワゴン、新人歓迎車(新しく引っ越してきた人に地元の特産品などを贈り歓迎する人たち、またはその車のこと)
ロングマン現代英英辞典によると、
welcome wagon : (AmE = 米語) an event that is organized to welcome someone who has just arrived in a new place
例) The company is bringing out the welcome wagon for the new sales recruits.

訳すと、「新しい場所に着いたばかりの人を歓迎するために開催されるイベント」ということです。
つまり、別に wagon (荷馬車などの車)が存在しなくても良いわけですが、この映画では、ヘリコプターという「乗り物」を使ってコミュニケーションを取るという作戦だったので、ちょうどこの作戦名がしっくりきたんだろうなぁ、と思います。
アメリカでは「作戦名」にとてもこだわりますからねぇ。
士気を高めるために必要なことなのでしょうが。
(脱線、終わり…笑)

address というと、まず「アドレス、住所」を思い出しがちですが、この場合は「(聴衆に向かっての公式の)あいさつの言葉、演説、講演」という意味ですね。
State of the Union Address なら「(大統領が行う)一般教書演説」という意味になります。

bishop は「(カトリックの)司教、(プロテスタントの)監督、(英国国教会の)主教」という意味。
Bishop Tutu は実在の人物です。(まぁ、わざわざ固有名詞を出しているわけだから、当然そうでしょうけど…)
Wikipedia 英語版: Desmond Tutu
↓手っ取り早くわかりたい方は、日本語版もありますよん(笑)。
Wikipedia 日本語版: デズモンド・ムピロ・ツツ
ノーベル平和賞を受賞されている、とても有名な方のようです。(実は知りませんでした、ごめんなさい。)
レイチェルの妹の大学はどこだかわかりませんが、結構有名な学校で、こういう著名人が挨拶に来られたりするんでしょうかねぇ?
日本の卒業式では、学校関係者以外の人が話をすることなんかないような気もするのですが…?
actually は「実際に、現に」。
この場合は「(まさかと思うかもしれないが)本当に」というニュアンスかもしれません。
ノーベル賞を受賞しているような有名な人が話をしているというのに、それに構わず喧嘩をしていたのもすごいと思うのに、その上、その大司教さまに壇上から静かにするようにと注意された、ということですね。
にらんだ、とか、咳払いで静かにするように促した、とかのレベルじゃなくて、本当に「シーッ!(静かに!)」と言った、ということのようです。それってすごいじゃん(笑)。
the good news というのはもちろん皮肉で、そういう両親の喧嘩をグチってばかりもいられなくて、またウェイトレスの仕事がこれから延々続くのでゲンナリしているわけです。

(Rach からのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
人気blogランキング
にほんブログ村 英会話ブログ

posted by Rach at 10:42| Comment(0) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする