2009年03月10日

脱構築理論 フレンズ3-19その2

ジョーイは自分が出演することになる演劇[芝居]の劇場に来ています。
共演者の女性ケイトと話をするジョーイ。
ジョーイ: So the ah, play's pretty great, huh? (で、この演劇はかなりすごいよね?)
ケイト: Oh, yeah. I love Jennifer Banberry's work. She's so brilliantly incisive when it comes to deconstructing the psyche of the American middle class. (えぇ、そうね。私はジェニファー・バンベリーの作品が大好きなの。アメリカ人の中流階級の心理を脱構築理論を用いて分析することに関しては、彼女は素晴らしく鋭いもの[鋭敏 or 痛烈だもの]。)
ジョーイ: Oh, forget about it. She rocks! (あぁ、そんな(小難しい)ことはともかく。彼女はノリノリなんだよ!)

when it comes to は「…のこととなると、…に関して言えば、…にかけては」。
incisive は「鋭敏な」「(言葉など)鋭い、痛烈な、辛らつな」。

deconstruct は、construct 「建設する、構成する」に、「否定、逆転」のニュアンスである de- という接頭語がついたもの。

今回のセリフでは、演劇の話の中で使われていて、deconstruct は、文学の解釈方法のことを意味するようです。

研究社 新英和中辞典では、
deconstruct=(文学作品などを)脱構築(deconstruction)の方法で分析する
そして、その deconstruction については、
deconstruction=脱構築(構造主義後のテキスト分析の方法論の一つ)
と出ています。
英辞郎の deconstruction の語義説明にも詳しく書いてありました。

LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
deconstruction: [uncountable]
a method used in philosophy and the criticism of literature which claims that there is no single explanation of the meaning of a piece of writing

つまり、「哲学や文学批評で使われるメソッド[方法・手法]。そのメソッドは、一つの文書の意味のたった一つの説明は存在しないと主張する。」

LDOCE には、deconstruct という動詞形は載っておらず、名詞形 deconstruction も、上に挙げた a method の意味しかありません。
ですから、通常の会話で使われる言葉ではなく、もっぱらそういう哲学的な意味として使われるようです。
「脱構築」という日本語にも、一般には使わない哲学的な雰囲気が漂っていますよね。

また、ウィキペディアにもあります(↓)。
Wikipedia 日本語版: 脱構築

その定義は哲学的な要素も多く、ここでは、deconstruct の学術的・専門的な意味まで理解する必要はありませんが、ただ、ケイトが文芸評論の専門用語を使って、この芝居の感想を述べていることがわかればいいわけです。
この一文を聞くことで、ケイトは演劇についての確かな知識を持っている、きちんとしたところで演劇を学んだ経験がある、ということがわかるのですね。

それに対してのジョーイのセリフですが、Forget about it. は「そんな小難しい感想・分析のことは忘れなよ」みたいなことでしょうか。
rock は「ロックする、ロックンロールする」みたいなことで、その作者、脚本家のことを、「彼女はロックだぜ、ノリノリだぜ、イケてるぜ」みたいに褒めているということです。
ご存知の通りジョーイは、どこかの学校できちんと演劇の勉強をしたことがないので、そういう専門用語はわからない、だから、ケイトの話に合わせることができないし、多分、ケイトの話の内容もよくわかっていないでしょう(笑)。
それがこのジョーイの返事に出ている、ということです。


ケイト: Where do I know you from? (あなたをどこで知ってるのかしら?)
ジョーイ: Dr. Drake Remoray? Days of Our Lives? Voted most datable neurosurgeon by Teen Beat? (ドクター・ドレイク・ラモレーだろ? デイズ・オブ・アワ・ライヴズの? ティーンビート誌で、デートしてもいい[デートできる]神経外科医の1位に選ばれたんだぜ。)
ケイト: No, that's not it. So you're a soap actor. Well, this must be pretty exciting for you, being in a real play, hmm? (いいえ。それじゃないわ。それじゃあ、あなたはソープアクター[ソープオペラの俳優]なのね。じゃ、今回の演劇はあなたにとって、とってもエキサイティングなものに違いないわね。本当のお芝居に出られるんだから。)
ジョーイ: Hey, I've done plays before. I'm a serious actor. (おい、俺は前にも芝居をしたことがあるんだぞ。俺はシリアスな[真面目な・真剣にやっている]俳優なんだ。)
ケイト: That infomercial! For the milk-carton-spout thing! You're-you're-you're the guy that doesn't know how to pour milk! (あのインフォマーシャルね! ミルク・カートンの注ぎ口のやつの! あなたは、あなたは、ミルクの注ぎ方を知らないあの男性ね!)
ジョーイ: See, I actually can pour milk. But I got you believing that I couldn't. Now, see, that's acting. (いいか。俺は実際にはミルクを注ぐことができるんだよ。でも、俺はそれを出来ないと君に信じさせた。ほら、わかるか、それが演技なんだよ。)
ケイト: Right. At the end, you choked on a cookie. (そうね。最後に、あなたはクッキーをのどに詰まらせてたわよね。)
ジョーイ: Yeah, that was real. (あぁ、あれは(演技じゃなくて)ほんとだったんだよ。)

Where do I know you from? を直訳すると、「私はあなたをどこから知ってるの?」ということで、「私はあなたを知っているようなんだけど、それはどこからかしら?」というニュアンスですね。
何だか顔に見覚えがあるんだけど、あなたをどこで見たのかしら、ということです。
それに対して、ジョーイは自分の一番の当たり役の、Days of Our Lives のドクター・ラモレーのことを自慢げに話します。

datable は辞書を見ると「年代測定ができる」などと出ていますが、今回はそういう意味ではなくて、いわゆる「デート」ができる、という意味でしょうね。
デートしたい、というよりも、デートすることが可能な、というニュアンスでしょうか?

Teen Beat は名前からわかるように、ティーンエイジの読者向けの雑誌です。
Wikipedia 英語版: Teen Beat
ウィキペディアに、It is a "sister publication" of Vogue. と書いてあるので、あのヴォーグ誌の姉妹誌、妹分のようですね。

Voted most... by Teen Beat は、「ティーンビート誌が行った投票で、最も票を集めた、最も…な人に選ばれた」ということ。
neurosurgeon 「神経外科医」は、お堅い職業なので、普通はティーンの恋愛対象にならない感じだけれど、ソープオペラの登場人物だったラモレーはティーンに人気(?)で、「彼ならデートしてもいいと思う」という投票で1位に選ばれた、ということでしょうか。
もしくは、神経外科医のようなプライドの高そうな人は、小娘のようなティーンとデートしてくれなさそうだけど、ラモレーならデートしてくれそう、という意味の、datable ですかねぇ?

Days of Our Lives は有名なソープオペラ(アメリカで実在するドラマ)なので、ジョーイをその番組で見たわけじゃないけれど、彼がソープオペラに出ている俳優だ、ということはケイトにもわかったのですね。
それで、今回のようなお芝居、舞台に出ることができることは、exciting でしょ、と言っています。
ケイトは、ソープオペラの俳優は、舞台俳優よりも格下だと思っていることがわかります。

ジョーイの顔をじーっと見ていたケイトは、ジョーイがインフォマーシャルに出演していたことに気付きます。
俺はシリアスな役者なんだ、と力説した後に、インフォマーシャルのことを思い出されてしまうというのが、何ともタイミングが悪い(笑)。

ケイトが言っているインフォマーシャルは、インフォマーシャル フレンズ3-4その1 に出てきました。
このセリフを聞いて、観客もそのインフォマーシャルのことを思い出すことができます。
これが連続ドラマの面白さでもありますね。

ミルクを注げないどんくさい役ね、と笑うケイトに、ほんとは注げるけど、それを注げないように見せている、君が今「ジョーイはミルクを注げない」と信じているように、俺は注げないように見せる演技が上手いんだよ、とジョーイは言っています。
ですが、最後にクッキーをのどに詰まらせた、というのは、演技ではなく本当だった、というオチがついていますね。


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2009年03月08日

等身大ストームトルーパー フレンズ3-19その1

シーズン3 第19話
The One With the Tiny T-Shirt (億万長者とデート!)
原題は「小さなTシャツの話」

[Scene: The hallway between the two apartments, Pete and Monica are
returning from their date.]
2つのアパートの部屋の間の廊下。ピートとモニカはデートから帰ってきたところ。
ピート: ...so y'know, that's why, within a few years, that voice recognition is gonna be pretty much standard on any computer you buy. Y'know, so you could be, like-like, "Wash my car." "Clean my room." It's not gonna be able to do any of those things, but it'll understand what you're saying. (だから、ほら、そんなわけで、2、3年の間に、購入するどのコンピューターにも、音声認識がかなり標準装備されるんだ。ほら、だから、例えば、「車を洗って」「部屋を掃除して」っていうのも可能なんだ。コンピューターは今言ったようなことは何もできないだろうけどね、でも、人の言っていることは理解できるだろう。)

ピートは、有名なソフトを開発した億万長者なので、さすがはコンピューターに詳しいらしく、voice recognition 「音声認識」について語っています。
音声認識(システム)が、今にコンピューターのスタンダードになるだろう、と言っているのですが、話にはちゃんとオチがついています。

音声認識という技術は素晴らしいので、「車を洗え」「部屋を掃除しろ」という voice を recognize することはできるのですが、その命令を実行できるかと言えば、それは別問題になるんだよね、と言っているわけですね。
言っている意味はわかっても、コンピューターがそれを実行するところまでは、まだ機械が進歩していない、ということで、コンピューターは命令を聞いて車は洗うことはできないけど、車を洗えと命令されていることは認識できるんだ、ということです。


ロス: Hey, how'd the date go with Mr. Millionaire? (ねぇ、ミスター・ミリオネア[ミスター億万長者]とのデートはどうだった?)
チャンドラー: "Mr. Millionaire. New, from Snooty Playthings. Third wife sold separately." (「ミスター・ミリオネア、スヌーティ玩具からの新製品です。第三夫人は別売り。」)

ピートと言えば、億万長者のイメージがまっさきに浮かぶので、ロスは彼のことを、Mr. Millionaire と言っています。
そのネーミングが気に入ったチャンドラーは、そのネーミングを使ったCMを考えたようですね。
plaything は、play 「遊ぶ」 thing 「もの」からわかるように、「おもちゃ、遊び道具」のことです。
snoot は「俗物、横柄な人」で、その形容詞形が snooty 「俗物的な、横柄な」ですね。
Snooty Playthings と大文字になっているのは、そういう名前のメーカーやおもちゃ屋さんがある、というイメージでしょう。
もちろん、「俗物的なおもちゃ屋」という名前のおもちゃ屋さんは存在しませんが、「俗物玩具(店)」という名前のおもちゃ屋・おもちゃメーカーから、ミスター・ミリオネアって名前の人形が発売されそうだよねぇ、ということです。

new は新発売、sold separately は「別に売られる」、つまり「別売り」。
third wife 「第三夫人」は、お金持ちには妻がたくさんいるイメージですね。
人形は、男女のカップルとして売られることも多いです。
フレンズ2-6その10 では、バービーとケンの話をしましたが、そのイメージで、ミスター・ミリオネアも、別売りで、第三夫人も売ってるよ、ということですね。

チャンドラーの言い方は、be動詞などが省略された簡潔な表現が使われていますが、それが「おもちゃのCM風」だということです。
ミスター・ミリオネアというネーミングを聞いて、とっさに宣伝コピーを作ってしまう彼の才能が光ります(笑)。


モニカ: He's great. I mean, we have such a good time together. He's so funny and so sweet. And I'm not attracted to him at all! (ピートは最高よ。だって私たちは本当に素敵な時間を一緒に過ごしたの。彼はとても面白くて、とても優しくて。そして、私は彼に全く魅力を感じないの!)
ロス: Still? (いまだに?)
モニカ: Noo! It's driving me crazy. In every other way, he's, like, the perfect guy. He has everything. Plus, he actually has everything. (魅力を感じないのよ! それが私をイライラさせるの。それ以外のあらゆる点で、彼は、そう、完璧な男性なのよ。彼は全てを持っているの。それに、彼は実際に全てを持っているのよ。)
チャンドラー: Life-sized Imperial Storm Troopers from Sharper Image? (シャーパー・イメージの等身大の帝国軍ストーム・トルーパーは持ってる?)
モニカ: Two. (2体持ってる。)
チャンドラー: Wow. Can Joey and I put them on and fight? (わお。ジョーイと俺がそれを着て、戦うことができる?[それ着て、戦わせてくれる?])

ピートの長所を語るモニカ。それだけ長所があるのに、彼には全く魅力を感じない、異性としての彼に惹(ひ)かれない、と言っています。
ロスの Still? は、「まだ依然として、いまだに」というニュアンスで、まだ心境に変化はないの? いまだに魅力を感じない状態のままなの?ということです。

He has everything. Plus, he actually has everything. という表現が面白いですね。
最初の He has everything. は、一緒に楽しい時を過ごせて、面白くて優しくて、恋人の条件としては最高のものを持っている、という意味ですね。
actually の入っている文は、そういう抽象的な資質の話じゃなくて、彼は実際に、物質的にもすべてを所持しているのよ、という感じでしょう。
億万長者だから、全てのものを所持している、欲しいものは全部手に入れている、というイメージです。

そのモニカの言っている意味がわかって、チャンドラーは、Life-sized Imperial Storm Troopers from Sharper Image も持ってるの?と尋ねます。
これは日本人にもおなじみのスター・ウォーズネタなので、英語で理解できた人も多いかもしれません。

Imperial Storm Troopers とはこちら(↓)。(残念ながら写真はありません)
Wikipedia 日本語版: 帝国軍ストーム・トルーパー
白い装甲服を着た銀河帝国軍の機動歩兵のことですね。
以下のサイトには、写真が載っています。
Stormtrooper - Wookieepedia, the Star Wars Wiki
映画の公開前後のイベントで、大勢のファンがこのスーツを着て練り歩いていたりしますよね。

Life-sized は「等身大の」。
その後のセリフで、put them on and fight と言っていることから、等身大の置物ではなく、人間が着ることのできるスーツのことだということがわかります。

Sharper Image というのは会社名のようです。
Wikipedia 英語版: The Sharper Image
上のウィキペディアによると、an American retailer that specialized in high-end electronics and gifts つまり「ハイエンドの電化製品やギフトに特化した小売業者」。
its bankruptcy in 2008 という記述もあり、2008年に倒産したようです。
もちろん、今回のフレンズ3-19 の放映当時(97年)はまだ倒産していませんので、「販売していた会社が倒産し、入手困難になった超レアもの」という意味ではありません。
等身大スーツは、有り余るほどのお金を持っている人が所持している「マニアックで高級なものの象徴」なのでしょう。
シャーパー・イメージ(社)の、という限定がついているところがマニアック、そして2体持ってると言われて、それを着て戦いたい、というのが、少年っぽくて可愛いですね(笑)。

The Sharper Image の倒産についての、ニューヨーク・タイムズの記事はこちら(↓)。
The Sharper Image Files for Bankruptcy Protection - New York
Times -

file for bankruptcy protection はニュースでよく聞く表現です。
その記事の中に、R2-D2 Interactive Droids ($129) という商品名が登場します。
R2-D2 と言えば、C-3PO と一緒に出てくる白いドロイド。
interactive とあるので、こちらの声に反応したりするのでしょうか?
R2-D2 も扱っているのなら、きっとトルーパーのスーツも扱っているんだろうなぁ、と想像できますね。

ちなみに、The Sharper Image の英語版ウィキペディアには、On February 19, 2008, the company filed for Chapter 11 bankruptcy という記述があります。

この Chapter 11 「第11条(チャプターイレブン)」については、「日向清人先生のビジネス英語雑記帳」の 2008年10月10日の記事 で、わかりやすく説明して下さっています。
日向先生のご説明では、
(a) 消滅に向かうものは「破産」(英語ならチャプターセブン)
(b) 再建に向かうものは「会社更生法」「民事再生法」(英語ならチャプターイレブン)

だとのことです。

ですから、上で説明した、ニューヨーク・タイムズの記事タイトル、The Sharper Image Files for Bankruptcy Protection は、Chapter 11 bankruptcy であることを考えると、「破産保護申請を行う」ではなくて、「会社再建手続の適用申請をする」と訳すべきなのでしょうね?

実際、The Sharper Image のサイトは今も存在しているようですから、消滅したわけではなくて再建中だということのようです。
アメリカのサイトはこちら(↓)。
THE SHARPER IMAGE: HOME at tsi (スタイリッシュなサイトです。音楽が流れますので、会社にいる方はご注意を(笑)。)
日本でも取り扱いがあるようです(↓)。
sharperimage.jp


ジョーイが歌を歌いながらモニカの部屋に入ってきて、またそのまま去っていきます。
ロス: I guess he must've gotten the part in that play. (思うに、あの芝居[舞台]での役をゲットしたに違いないね。)
モニカ&フィービー: Oh. (あぁ(なるほど)。)
チャンドラー: Yeah, either that, or Gloria Estefan was right. Eventually, the rhythm is going to get you. (そうだな。それか、もしくは、グロリア・エステファンが正しかったってことだ。最後には、そのリズムが君をゲットすることになる[君に取り付くことになる]って。)

子供っぽい話をしていたところ、そのもう一人の子供(笑)であるジョーイが、歌と踊りだけで去っていきます。
日本人でも、誰かが歌を歌いながらやってきてそのまま去っていったら、「あぁ、なんか嬉しいことでもあったのかな?」と思いますので、それと同じ感覚なのでしょうね。
トルーパーの着ぐるみで遊びたいヤツとか、嬉しそうに歌を歌いながら去っていくヤツとか、子供っぽいヤツらの集団だ、というところがフレンズの魅力でもあるわけです。

チャンドラーがセリフ内でヒントを与えてくれているように、the rhythm is going to get you とは、グロリア・エステファンの歌のことですね。
正確なタイトルは、Rhythm Is Gonna Get You のようです。
アマゾンにある下のアルバムに収録されています。
Gloria Estefan - Greatest Hits
グロリア・エステファンについてはこちら(↓)。
Wikipedia 英語版: Gloria Estefan

チャンドラーが言っているのは、確かに役が決まって喜んでいるのかもしれないし、グロリア・エステファンの歌のように、Rhythm is Gonna Get You の状態になって、リズムに取り付かれて、歌が頭から離れない状態になっているだけかもしれないな、ということですね。


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2009年03月06日

worthは前置詞? フレンズ3-18その7

[Scene: Phoebe's, Frank is watching TV, and he's very depressed as Phoebe enters.]
フィービーの部屋。フランクはテレビを見ている。フィービーが入ってきた時、フランクは非常に落ち込んでいる。
フィービー: Hey, Frank. Look, okay, I know that you think I did, like, this totally evil thing. But I so didn't. There's someone here who can explain this better than I can. (ねぇ、フランク。ねぇ、私が全く邪悪なことをしたってあなたが思ってるのは知ってるわ。でも、私は断じてひどいことはしなかったわ。このことを私よりもうまく説明できる人がここにいるの。)
アリス: Hi, Frank. (こんにちは、フランク。)
フランク: Hi, Mrs. Knight. (こんにちは、ナイト先生。)
アリス: Phoebe's right, Frank. I know it's hard to hear, but it would've been wrong to go through with it. I-I-I was being selfish. Even though we, we want the same things right now, in the future, we may not. (to Phoebe) Is that it, is that what it is? (フィービーは正しいわ、フランク。聞くのが辛いのはわかるわ。でも、結婚をやり通すことは、悪いことだっただろうと思うの。私は(あの時)自分勝手だったわ。たとえ、私たちが今は同じことを求めているとしても、(本当は)同じことを求めていないかもしれない。[フィービーに] そうよね? それが言うべきことよね?)

But I so didn't. の so は意味を強めています。
研究社 新英和中辞典では、
so (副詞)=[程度を表わして][強意的に](口語) とても、非常に、大変
(I'm) so sorry! ごめんなさい, すみません。それはお気の毒に。
You've been so kind. 本当にご親切にしていただきました。
My husband so wants to meet you. 主人がぜひお目にかかりたいと申しております。


この意味を強める so は、研究社の例文では、すべて so にアクセント記号がついています。
so の部分を強調して発音する、ということですね。
(アクセント付きの文字は文字化けするかもしれないので、上の引用では、太字にしました。)
ネットスクリプトでも、そういう強意の so は、SO sorry! のように大文字で書かれていることが多く、その部分を強調してしゃべっていることがわかるようになっています。
so sorry や、so kind のような使い方だけでなく、My husband SO wants to meet you. のように、want を強調することもできるのですね。
今回のフィービーのセリフ、But I so didn't. も、「あなたは私がひどいことをしたと思ってると思うけど、でも、私はひどいことはしなかった」という「しなかった」(didn't)ことを強調する so です。
日本語に訳すと、「絶対にしなかった」や「断じてしなかった」みたいになるかな、と思います。

アリスに挨拶する時に、フランクは、Mrs. Knight と言っています。
婚約者であった時は、アリスと呼んでいたけれど、婚約解消になった今は、元の先生と生徒の関係に戻ったので、先生に対する呼び名である Mrs. Knight を使っているのですね。

go through with は、英辞郎では、
go through with=(つらいことを)やり抜く、守り通す、果たす
例) The elderly couple were going to get married, but did not go through with it. 「老年のカップルは結婚しようとしていたが、果たせなかった。」

この例文、「年の差カップル」に変えると、今回のフランクとアリスの婚約解消にぴったりの文章になりますね。

I was being selfish. について。
これは、I was selfish. 「私はわがままだった。」というのと少しニュアンスが違います。
フレンズ2-19その1 で、
エディー: I don't think you're being fair! (そんなのフェアじゃないよ!)
というセリフがありました。
その過去記事では、「ハートで感じる」大西先生のご説明を使って、"You're unfair." と "You're being unfair." との違いについて語っています。

今回のアリスのセリフも、I was selfish. であったならば、「過去の私の性格・性質はわがままだった。」という意味になるようです。
過去の時点では、いつでもどんな時でも selfish であった、というような、その人の性格・気質について述べた表現になる、ということですね。
それに対して、今回のように、I was being selfish. と進行形が使われている場合は、過去の特定の瞬間についての言及で、「フランクと結婚しようと言った時、結婚するつもりになっていた時の、あの時の私はわがままだったわ。」と、ある瞬間の行為を指して selfish だと言うことになるので、本人の性格そのものを述べたことにはならず、「あの時の私はわがままでどうかしていたわ。」というようなニュアンスが出る、その時の行為が selfish であった、ということを示すことになるのですね。

アリスは自分の気持ちを正直に伝えているように見えて、そのセリフの後で、フィービーの方を振り返り、"Is that it, is that what it is?" と言っています。
これを聞くと、フィービーとあらかじめ打ち合わせをしておいた、フランクを納得させるためには、こう言えばいいのよ、と事前にフィービーに言うべき内容を決められていた、ということがわかりますね。
普通は、こういう不審な行動で、アリスはフィービーの言った通りのことを口にしているだけ、ということに気付くのですが、フランクはアリスと別れるということで頭がいっぱいでそのことに気付かないようです。
その後、フィービーの言われた通りに、言葉で納得させようとしたアリスですが、別れることが正しいという話をしながら、結局、二人はキスして抱擁してしまいます。
この後、盛り上がっている二人を残して、フィービーは自分の部屋を出て行ってしまいます。
二人を別れさせる作戦は失敗に終わった、ということですね。


[Scene: Chandler's bedroom, he's listening to the hypnosis tape again.]
チャンドラーの寝室。彼は催眠テープをまた聴いている。
催眠テープ: Cigarette's don't control you. You are a strong, confident woman, who does not need to smoke. (タバコはあなたを支配しません[コントロールしません]。あなたは、強く、自信に満ちた女性です。あなたはタバコを吸う必要がありません。)
ジョーイ: (He's recorded his voice on the tape) Joey's your best friend. You wanna make him a cheese sandwich every day. (he laughs) And you also wanna buy him hundreds of dollars worth of pants. (ジョーイはテープに声を録音していた) ジョーイはあなたの親友です。あなたはジョーイにチーズサンドイッチを毎日作りたくなる。[ジョーイは(テープの中で)笑う] そして、あなたはジョーイに、何百ドルもするパンツを買いたくなる。)
(Chandler wakes up and stares at the tape.)
チャンドラーは目を覚まして、(何だ今のテープは?という感じで)テープを見つめる。)

少し前のシーンで、夜中に起きたジョーイが、チャンドラーのテープの内容を聞き、このテープのせいで女性化していたことに気付きます。
その時、にやっと笑ったジョーイがたくらんでいたのが、このことだったのですね。
催眠術で、コインをゆらゆらさせながら、「あなたは眠くなーる、眠くなーる。そしてジョーイにパンツを買ってあげたくなーる。」と言っているのと同じ感じです。
声を吹き込みながら途中嬉しそうに笑っているジョーイの声までテープに録音されています。リアリティがありますね。
ちなみに、チャンドラーは、茶色い犬のぬいぐるみと一緒に寝ていますが、これも女性化の一環でしょうか?(笑)

hundreds of dollars worth of pants という表現について。
worth は「…の価値があって」という意味で使うことが多いですが、今回は名詞ですね。
研究社 新英和中辞典には、
worth=(名詞)(不可算) (価格のいくら)だけの分量、(…に)相当するだけ(of)
(例) a dollar's worth of this tea このお茶1ドル分
Give me ten dollars' worth of this cloth. この布地10ドル分ください。

と出ています。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
worth [noun] [uncountable]
ten dollars'/​15 cents' etc. worth of something:
an amount of something worth ten dollars, 15 cents etc.
例) $2,000 worth of computer equipment


辞書の例文では、dollars' のように、所有格のアポストロフィーがついていますね。
worth が名詞なので、ten dollars' worth で「10ドル”の”価値」になる、ということでしょう。
$2,000 というドルマーク表記の場合は、所有格のアポストロフィーをつけなくても、$2000 だけで(名詞を修飾する)形容詞の役割を果たす、ということでしょうかねぇ?

ジョーイのセリフには、所有格のアポストロフィーがついていませんが(DVD英語字幕にもついていませんでした)、hundreds of dollars が形容詞的に使われている、ということなのかなぁ?
でも、Macmillan English Dictionary には、
The fire destroyed millions of dollars' worth of equipment.
という例文が出ていますので、millions of dollars' とアポストロフィーがつくのなら、hundreds of dollars も、アポストロフィーが必要なのではないかな、と。

過去記事、トゥーウィークスノーティス フレンズ3-10その16 のコメント欄 で、「映画のタイトル Two Weeks Notice は、正しくは Two Weeks' Notice になるようだ」という話について書いています。
ネイティブでも、複数形の所有格のアポストロフィーを抜かすことがあるらしい、という話なんですが、今回のジョーイのセリフも、それでしょうかねぇ?

英英辞典の語義にあるように、「…の価値がある」という意味の worth は、worth ten dollars のような形で使いますね。
研究社 新英和中辞典には、
worth=【形】【P】 (用法) 目的語をとるため, 前置詞と考える人もいる
と書いてあります。
つまり、一応、形容詞に分類しているけれど、前置詞と考えた方がわかりやすい、という感覚ですね。

手元にある英英辞典を見てみました。
ロングマンでは、この worth は、adjective (形容詞)ではなくて、preposition (前置詞)に分類されています。
Merriam-Webster Online Dictionary も、前置詞でした。
Macmillan English Dictionary (マクミラン英英辞典)は、adj つまり、「形容詞」扱いですね。

worth の特殊な使い方を考えると、確かに前置詞として理解していた方が良いような気はします。

worth doing だと、「…する価値がある」ですね。
研究社 新英和中辞典の例文では、
Rome is a city worth visiting. ローマは訪れる価値のある町だ。
(用法) visiting の意味上の目的語は a city

とあります。
ちょうど、ピートとモニカが今回のエピソードでローマを訪れていたので、この例文を載せてみました(笑)。

フレンズ2-15その18 では、ついに結ばれるロスとレイチェルのセリフで、
ロス: Listen, I'm sorry. I had to work tonight. (ねぇ、ごめんね。今夜仕事があって。)
レイチェル: Oh, that's okay. You were worth the wait. And I don't just mean tonight. (いいのよ。あなたは待つ価値のある人だもの。それは今夜だけのことを言ってるんじゃないわよ。)
というのがありました。
そこでも、worth について少し説明しています。

ここで、worth と紛らわしい単語を二つ、おまけで説明しておきます。
worthy と、worthwhile です。

worthy は、形容詞か前置詞かよくわからない worth とは違って、まさに「形容詞らしい形容詞」です。
be worthy of で「…に値する、ふさわしい」。
名詞の前につけると worthy 「価値のある、尊敬・尊重すべき、立派な」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) の例文では以下のものが挙げられています。
The proposal is certainly worthy of consideration. 「その提案は確かに考慮する価値がある。」
a worthy opponent 「尊敬すべき対戦相手[競争相手]、好敵手」。


worthwhile も同じく形容詞ですが、これは、研究社 新英和中辞典によると、
worthwhile=時間と労力をかけるだけの値打ちのある、やりがいのある
という意味になります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
worthwhile [adjective]: something that is worthwhile deserves the time, effort, or money you give to it
例) a worthwhile job

つまり、「worthwhile なものとは、それに与える時間、努力、金銭の価値があるもの」。
例は、「やりがいのある仕事」。

while という単語は、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
while [noun]
a while a period of time, especially a short one

とあり、「間・期間、特に短い間」を指すようです。
「短い」というのが少々ひっかかりますが、while の「間」の意味から、worthwhile は何らかの時間をかける価値がある、というニュアンスになるのでしょうね。

以上、worth とその関連語に関する説明でした。


(Rach からのメッセージとお願い)
スピードアップ宣言! での予告通り、3-18 は、今日の その7 で何とか終わることができました。
「2週間で1エピソードを終える」というのをとりあえずやってみたのですが、いかがだったでしょうか?
セリフを選ぶことになる分、省略してしまったところも多いですが、これくらいのペースでエピソードを進んでいける方が、私としては楽しいような気がしました。
一つ一つの記事の長さがこれまでより長くなる傾向にあるようで、読む方は面倒くさいと思いますが…(すみません)。

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2009年03月04日

ダイレクトに言うのを避ける フレンズ3-18その6

フィービーの部屋に弟のフランクが来ていました。
フィービー: What umm, what happened? (何が、何があったの?)
フランク: Umm, Alice ah, she ah, called it off. (あぁ、アリスが、彼女が、結婚を取りやめるって。)
フィービー: Oh, no. Did umm, did she say why? (あぁ、なんてこと。彼女は理由を言ったの?)
フランク: Uh, no, not really. Just that I was too young, y'know. But I don't see how I could all of the sudden be too young, 'cause I'm older than I was when we first got together. (あぁ、はっきりと理由は言わなかったけど、ただ、俺が若すぎるから、って。でも、俺がどうやって突然若くなることができるのかわからないよ。だって、俺と彼女が初めて付き合った時の俺より、今の俺は年を取ってるんだから。)

結婚中止の話を聞いて、驚いたふりをするフィービー。
実際は、フィービーがアリスに結婚をやめるように言ったのですが、それを悟られないために、わざと Oh, no. と大袈裟に言っているのが、わざとらしい感じです。
すぐに理由を聞いたのは、フィービーに説得された、ということをアリスが話したかどうかが心配だったからですね。

アリスから「あなたは若すぎるから」という理由で結婚を中止しようと言われたフランク。
どうして突然そんな話が出てきたのか?とフランクは疑問に思っているようです。
年齢に関して言うと、自分とアリスが出会った時から日が経っているので、その分、俺は年を取っている、それなのにどうして今になって、年が若い、ということが問題になるのか?ということですね。
フランクとしては、そんな理由では納得できない、ということですが、少なくともアリスはフィービーに説得されたことは言わなかったことがここでわかります。


フランクがとても悲しそうなので、ついに真実を告げることにしたフィービー。
フィービー: Uh, well, I can tell you why. It's, it's because of me. But y'know what? I only did it because I love you, okay? (そうね、私は(なぜ結婚が中止になったかの)理由を言うことができるわ。それは私のせいなの。でも、いい? 私はあなたを愛しているから、ただそれをした[結婚を止めた]のよ。)
フランク: What? (何だって?)
フィービー: Umm, well I, I kinda had a little chat with Alice, and I sort of made her see why you two shouldn't be together, y'know. And you're gonna see it too, one day. You really, really will. (そう、私はアリスとちょっと話をしてみたりして、そして、あなたたち二人が一緒にいるべきではない理由を彼女にわからせた、って感じなの。そして、あなたもいつかそのことをわかるようになるわ。本当に本当にわかるようになる。)
フランク: Wait a minute, wait, this is because of you? (ちょっと待ってよ。待って。これは姉さんのせいなの?)
フィービー: Okay. ([覚悟を決めた感じで]そうね。)
フランク: Well, you, wait no, my mother didn't want us to be together, but the worst thing she ever did was tie me to the porch. (俺の母さんは俺とアリスを一緒にしたくなかったけど、母さんがした最悪のことは、俺を玄関にくくりつけることだった。)
フィービー: Okay, but... (そうね、でも…)
フランク: Wait, y'know what, I-I came to you because I thought you'd understand. Oh no! Y'know, I would storm out of here right now if-if I had some money or a place to go. (待ってよ。ねぇ、俺がここに来たのは、姉さんならわかってくれると思ったからなのに。あぁ、なんてこった。俺はたった今ここを飛び出すところだよ、もし、俺に金があったり、行くところがあったりしたらね。)

自分がアリスを説得した、という事情を話すフィービー。
セリフの中に、kinda (kind of) や sort of のように、断定を避ける表現、はっきりと言わずにぼかす表現が入っています。
これまでもフレンズに何度も登場した表現ですが、今回、英英辞典できちんとニュアンスを確認してみたいと思います。

まずは、kind of。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
kind of also kinda:
used when you are explaining something and want to avoid being exact or giving details (SYN: sort of)
例) I kind of borrowed the money from your wallet.

つまり、「何かを説明していて、正確であることや詳細を明らかにすることを避けたい時に使われる」。
例文は、「僕は、君の財布からその金を借りた、って感じなんだ。」
例文も、実際には人の財布からお金を盗んだことになりますが、それを借りたと表現して、盗んだことをぼかしているのですね。

次に sort of。
同じく、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
sort of (informal):
used to make what you are saying sound less strong or direct (SYN: kind of)
例) Well, I sort of thought we could maybe go out sometime.

つまり、「自分の言っていることを(実際より)強くダイレクトに聞こえないようにするために使われる」。
例文は、「そうだな、僕たち、いつか多分デートできるって思ったりしたんだけど。」

この例文は、デートに誘いたいんだけど、はっきり誘って断られるのがいやなので、できるかな、って思ったりしたんだよね〜と、少しぼやかす表現を使っているのですね。
maybe, sometime という単語を使っているのも、今すぐ、というとすぐに断られそうだから、「多分、いつか」を入れておけば、相手もいやとは言えないだろう、というのを見越している感じがします。

ちょっと話がずれますが、フレンズ1-1 で、ロスがレイチェルに以下のようなセリフを言っていました。
ロス: But do you think it would be okay if I asked you out sometime, maybe? (でも、もし、いつか、多分、僕が君をデートに誘っても構わないと思う?)

ロスのセリフでは、kind of や sort of は使われていませんが、sometime と maybe が使われています。
「もし誘ったとしたら、君はオッケーだと思うかなぁ?」みたいに回りくどい言い方をしています。

kind of などのぼやかす表現を入れてみたり、sometime, maybe と断定しない単語を入れてみたり、と、会話では、ダイレクト過ぎないように工夫する表現がいくつもあります。

日本語でも「…みたいな」と語尾に付けることで、表現を和らげることがありますね。
「みたいな」ばかり言っているとボキャ貧みたいに聞こえますが、人の感情が絡む場面では、言いにくいことはダイレクトに言いたくない、という気持ちになるのは、日本語でも英語でも同じです。

あなたのためにしたことなの、というフィービーに対して、母親の話を持ち出すフランク。
母さんがした the worst thing は、俺を玄関にくくり付けたことだと言っています。
フランクを反省させるために、玄関の柱にロープで縛り付けた、みたいなことでしょうか。
かなりのことをされたわけですが、フランクにとっては、フィービーがしたこと(アリスに直接会って、別れるように説得したこと)はそれよりももっと悪い、と言いたいのですね。
母さんでもそこまではしなかったのに、俺たちのこと、俺の気持ちを理解してくれると思ってた姉さんがそんなことをするなんて、ということです。
その後、仮定法を使って、もしお金があったり、他に行くところがあったりしたら、今すぐこの部屋を怒って飛び出していくのに、と言っています。
それはつまり、今の俺にはお金もないし、母親には追い出され、姉さんのところ以外に行く場所もないから、ここにいるよりしかたない、姉さんに対してものすごく怒っているけど、飛び出していくこともできないんだ、と嘆いているのですね。


ピートがモニカの部屋に来ると、フレンズたちは大騒ぎ。
フレンズたちがあまりに興味津々なので、早々にデートに向かう二人。
モニカ: (in the hallway) Where do you wanna go? ([廊下で] どこに行きたい?)
ピート: Hey, you like pizza? (ねぇ、君はピザが好き?)
モニカ: Oh, that sounds great. (あぁ、それはいいわね。)
ピート: I know a great little place. (素敵なちょっとした場所を知ってるんだ。)
[Cut to a shot of the coliseum in Rome, Italy.]
イタリア・ローマのコロシアム(Colosseum コロセウム)の画面にカット。
[Scene: A restaurant in Rome, Monica is paying for the pizza.]
ローマのレストラン。モニカはピザのお金を払っているところ。
ピート: You're, hey, you're not paying for the pizza. (君は、ねぇ、君はピザのお金を払わなくてもいいよ。)
モニカ: Oh, come on, it's only fair. You paid for the flight. Is, is that enough lira? (もう、よしてよ。これがただフェアーだわ。あなたは飛行機代を払ったもの。それで十分な金額のリラかしら?)
ピート: Ahh, I'd throw another 1000 on that. (あー。僕ならそれにあと1000(リラ)を足すね。)
モニカ: Why, how much is that? (どうして? それ(私の出した額)っていくらなの?)
ピート: That's about 60 cents. (60セントくらいだよ。)

億万長者だから、超高級レストランのフルコースかと思いきや、ピザを食べようというピート。
モニカはお金に釣られるタイプの人ではありませんから、それでがっかりしないとは思いますが、レイチェルなら露骨にいやな顔をしたかもしれません(笑)。

I know a great little place. の little は「ちょっとした」とか「こじんまりした」みたいな意味でしょうか?
小さいけれどいい店、みたいなことかなぁ、と。
そう言っておいて、本場のイタリア・ローマに飛んでしまうところが、さすがはミリオネアです。

飛行機代を考えると、ピザのお金を私が払わないとフェアーじゃないとモニカは言っています。
せめて、ピザ代くらいは払わせてよ、ということですね。

throw は「投げる」ですから、今出しているお金の上に、あともう1枚、1000リラ札(?)をぱっと投げる、乗せる感覚なのだろうと思います。
私が出すわ、と言ったけれど、1ドルが何リラに当たるかを知らなくて少ない金額を出してしまった、ということですね。

I'd throw another 1000 on that. の I'd は、I would です。
こういう I would は、フレンズにこれまで何度も出てきていますが、「もしも僕なら…する」というニュアンスが込められていますね。

これも今さらですが、英英辞典と、英語文法書の両方で見てみます。

LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
would: ADVICE
(spoken) used when giving or asking for advice
例) I would talk to the doctor if I were you.
What would you do if you were in my position?

つまり、「アドバイスを与える時、またはアドバイスを求める時に使われる」。
例文は、「もし僕が君なら、医者と話をするね。」「もし君が僕の立場なら、君はどうする?」

English Grammar in Use (EGU) では、Unit 36 Would の項目に以下の例があります。
A: Shall I tell Chris what happened?
B: No, I wouldn't say anything. (= I wouldn't say anything in your situation)

訳すと、
A: 何が起こったかクリスに話そうか?
B: いいや、僕なら何も言わないね。(=もし君の立場なら、僕は何も言わないね。)

LDOCE の例文では、If I were you, if you were in my position という条件がついていますが、実際の会話では、EGU の例文のように、そういう条件節なしの I would だけで、I would... in your situation という意味が込められている、ということですね。
「僕は…したらいい?」という質問に対して、「僕は…」とこちらも I を主語にして答えているわけですが、そこで you を主語にすると命令のニュアンスが入ってしまうような気がします。
I would を使うことで、「僕ならこうする」という柔らかなアドバイスになる、ということでしょうね。
日本語でも、「君にそうしろとは言わないけど、僕ならこうするかなぁ」と言って、さりげなくアドバイスすることがありますので、その点は日本語も英語も同じだな、と思います。


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2009年03月02日

行動を助長する フレンズ3-18その5

テーブルクロスを汚してしまったから、と、アリス(弟の婚約者)を自分の家に呼び出したフィービー。
家庭科の先生であるアリスはシミの取り方をテキパキと説明します。
アリス: Okay, first, we'll start with a little club soda and salt. And then if that doesn't work we can go back to.... (いいわ。最初に、少しの炭酸水と塩を使いましょう。それから、もしそれがうまく行かなかったら、…に戻ることもできる…)
フィービー: Y'know what? Forget it. It's ruined. (ねぇ。そのシミのことは忘れて。クロスはもうダメよ。)
アリス: Oh no-no, never say that. If you can't get it out, then you can cut around the stain, add a little lace, you make a stylish throw. (あぁ、ダメダメ。そんなこと言っちゃ。もしそのシミが取れなかったら、そのシミを丸く切り取って、少しレースを付けるの。おしゃれな椅子カバーができるわよ。)

フレンズ3-13その23 では、モニカが club soda でシミ抜きをしていました。
そこで club soda について少し説明しています。
また、その記事のコメント欄で、「染み抜きには炭酸水と塩を使う」こと、「この方法はアメリカやヨーロッパで母親から教わる生活の知恵」だということを教えていただいたのですが、今回、家庭科の先生のアリスは、まさにその「炭酸水と塩」を使ったシミ抜きを説明していますね。
伝統的なシミ抜きのコツであることが、よくわかります。

make a stylish throw の throw について。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
throw [noun]: a large piece of cloth that you put loosely over a chair to cover it and make it look attractive
例) a brightly-coloured cotton throw

つまり、「椅子をカバーし、それを素敵に見せるために、椅子の上に軽くかける大きな布」。

私の勝手なイメージですが、語義に put loosely over とあるように、椅子にゆるくかける感じが、throw 「投げる」イメージを想像させて、throw という単語が使われているのでしょうか??

アリスが言っているのは、テーブルクロスとして使えなくなったら、汚れた部分を切り取って飾りをつけて、椅子カバーに使えばいいわ、ということのようですね。


チップとして、モニカに2万ドルの小切手をくれた、ダイナーの客ピートは、Moss 865 というプログラムを開発した億万長者でした。
その小切手を持って、ピートのオフィスを訪ねたモニカ。
その小切手を見せながら、
モニカ: Seriously, what is this supposed to mean? (真面目な話、これはどういう意味なのかしら?)
ピート: Well, y'know, I never know how much to tip. (そうだな、ほら、僕はチップをいくら払うべきなのかを知らないんだ。)
モニカ: You're supposed to double the tax. Not double the tax of Romania. What's-what's the deal? Are you, are you trying to buy me? Is this the way you get girls to go out with you? (あなたは税金を2倍にすることになるわ。それも、ルーマニアの税金じゃないのよ。どういうことなの? あなたは、あなたは私を買うつもり? これが、自分とデートする女の子をゲットするためにあなたがやるやり方なの?)

double the tax の意味がよくわかりません。
tax は「税金」で、やはりこの文脈では「税金」という意味しかなさそうです。

わからないなりに、私なりの仮説を立ててみます。

「税金を2倍にする」というのはどういうことか?
このチップをもらうだけで、モニカの年収が2倍になってしまい、税金を2倍払うことになってしまう、ということでしょうか?
でも、その場合は、double my tax のように、「私が払う税金」であることを示す所有格が付くでしょうか?(よくわかりません)

もっと世間一般の相場の話をしていて、チップにこんなに払ったら、世間の物価や相場が上がってしまう、払うべき税金が2倍になってしまう、という感じでしょうか??
2倍という数字に特に根拠はなくて、値段を上げる、くらいの感覚かなぁ、と。

その次に、ルーマニアの話が出てきますね。
そのことから考えても、モニカという個人の税金ではなく、世間一般の税金の話で、税金の額面が増える→物価・相場が上がる、というイメージなのかな、と思います。

なぜ、ルーマニアの名前が出てきたのか?ですが、Wikipedia 日本語版: ルーマニアの経済 に、以下の記述があります。
1989年のルーマニア革命以降、ルーマニア経済は抑制されているものの高いインフレーションの影響下にあり、生活水準の低下が続いている。
ルーマニア革命では、チャウシェスク大統領が処刑され、日本のニュースでも大きく取り上げられていましたね。

モニカが世界の経済情勢に詳しいかどうかはともかく、セリフの中でルーマニアが出てきたのは、脚本家が、ルーマニアという国にインフレのイメージを持っていたから、ということなのかな、と思います。
そんなとんでもない高額の小切手、インフレのルーマニアならともかく、アメリカではありえないチップの額よ、と言いたいのかなぁ、と。

double the tax という決まり文句がありそうな気がするのですが、調べてもわからなかったので…。
ご存知の方は教えて下さい。


ピート: Come on, you gotta admit that our relationship is ah, is hitting a new level now. 'Cause you used to be like the chef, and I was the customer. But now we're like this-this couple that fights. (ねぇ、君は認めなくちゃいけないよ。僕たちの関係が、そう、今、新しいレベルに到達してるってことをね。だって、以前は、君はシェフで、僕はお客だった。でも今は、僕たちは、そう、喧嘩するカップルみたいだから。)
モニカ: Okay, umm, you're a loon. (そうねぇ、あなたって、おバカさんね。)
ピート: Look, forget the check, okay? (rips up the check) I like you. I think you're great. Come on, what do you say? (ねぇ、小切手のことは忘れて。いいかい? [小切手を破る] 僕は君が好きだ。君が素敵だと思う。ねぇ、君はどう思うの?)
モニカ: I don't know. (わからないわ。)
ピート: Why not? (どうしてわからないの?)
モニカ: 'Cause I don't wanna encourage this kind of behavior. (だって、こういう類の行動を助長したくないのよ。)
ピート: One meal. That's all I'm asking for. Please? We go out, we eat. And if you don't have a good time, I'll give you 10 grand, we call it even. (1回の食事。僕がお願いするのはそれだけだよ。いいだろ? 僕らは外出して、食事をする。そして、もし君が楽しい時を過ごさなかったら、僕は君に1万ドルをあげる。それでおあいこにしよう。)

loon は「ばか」。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
loon: (informal) a silly or strange person - used humorously
つまり、「愚かで変わっている人。ユーモラスに使う」。

ですから、この言葉を使っているモニカの方も、「あなたってあきれちゃうほどのおバカさんねぇ」くらいのニュアンスで、怒りや憎しみが込められた「バカ」ではないのでしょう。

I don't wanna encourage this kind of behavior. について。
encourage は「…を促進する、助長する、奨励する」。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
encourage: to make something more likely to exist, happen, or develop
例) Violent TV programmes encourage anti-social behaviour.

つまり、「何かがより存在しやすく、起こりやすく、または発展しやすくすること」。
例文は、「暴力的なテレビ番組は、反社会的行動を助長する。」
ロングマンの例文でも、behavior が使われているように、コロケーションとして覚えてもいいのかもしれません。

モニカの言う this kind of behavior は、「高いチップを払って、その子とデートにこぎつける」というピートの行動を指すのかな、と思います。

ピートは、正直にそしてはっきりと、"I like you. I think you're great. Come on, what do you say?" と言っていますね。
女性としては、ここまではっきり言われると悪い気はしないでしょうし、実際モニカはピートに対して嫌悪感を抱いているわけではないでしょう。(嫌悪感を抱くような相手のところにのこのこ出掛けることはあり得ませんから…笑)

そのピートの正直な告白に即答せず、I don't know. と言葉を濁したのは、それでオッケーしてしまうと、「高額のチップを渡すことで相手にデートをオッケーさせた」というピートのやり方を認めることになってしまう、モニカとしてはそんなやり方はフェアじゃないと思っているので、あなたのやり方を認めたくない、私がオッケーすることで、そういうアプローチが成功すると思わせたくない、ということでしょう。

10 grand の grand はお金の単位で、アメリカでは「1千ドル」、イギリスでは「1千ポンド」。
単複同形、すなわち複数形も grand で、10 grands のように -s は付かずに、10 grand となります。

call it even は、「貸し借りなしにする、チャラにする、おあいこにする」。
ちょうどのeven フレンズ3-17その25 で、even のことを説明した時に、call it even にも少し触れましたが、ここでもう少し詳しく説明します。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
call it even: (spoken) used to say that someone who owes you something does not have to give you anything more than they have already given you.
例) Since you bought the movie tickets and I bought dinner, let's just call it even.


長い語義ですが、you をAさん、someone をBさんとしてみると、「Aさんに何か借りがあるBさんが、BさんがすでにAさんに与えた以上には与える必要がない、ということを言うのに使われる」。
例文は、「君は映画のチケットを買って、僕は夕食をおごったから、これでチャラにしよう。」

つまりは、相手に借りがあるんだけれども、借りがある方も何がしかのものを相手に与えているので、それ以上は何も返す必要がない、これでチャラだ、おあいこだ、貸し借りなしだ、ということになるのですね。

デートを1回してみて、いやなら僕が1万ドル払うよ、それで文句はないだろ?というピート。
「あなたはお金で人を買うつもり?」と高額のチップをもらったことで怒っているモニカに対して、また1万ドルというお金で決着させる案を示しています。
ピートは、モニカがお金で解決されるのがいやだとわかっていて、わざとこういうことを言っているのですね。
「君は2万ドルのチップにカチンと来たみたいだけど、デートをオッケーしてくれたら、その後断られても1万ドルあげるから」と、どこまでもミリオネアらしく、桁違いの金額を提示しているわけです。
ここまで来ると、モニカも笑うしかない、というか、あくまで金額がモニカを誘うための口実でしかないことがわかるので、怒る気にもなれませんね。


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2009年02月28日

俺がそれを知らないとでも? フレンズ3-18その4

[Scene: Chandler and Joey's, Ross and Joey are talking to Frank.]
チャンドラーとジョーイの部屋。ロスとジョーイはフランクと話をしている。
ロス: All we're saying is, don't rush into anything. (僕らが言っているのはただ、どんなことも焦ってするな、ということだよ。)
ジョーイ: Yeah, come on, think about it. You're 18. Okay? She's 44. When you're 36, she's gonna be 88. (そうだよ。なぁ、考えてみろよ。お前は18歳だろ? 彼女は44歳だ。お前が36歳になった時、彼女は88歳になるんだぞ。)
フランク: What, you don't think I know that? (何? 俺がそのことに気付いてないと思ってるの?)

フランクを説得中のロスとジョーイ。
ジョーイが二人の年齢差を強調しようとするのですが、ジョーイは計算を間違えています。
18歳が36歳になるのは18年後ですから、44歳のアリスは62歳になるはずです。
が、18歳を2倍にすると36歳なので、44歳の方も2倍の88歳にしてしまったのですね(笑)。

さらにそれに輪をかけて面白いのが、フランクの次のセリフ。
You don't think I know that? というのは、英語の特徴で否定語の not が前に来ていますが、日本語の感覚にすると、You think I don't know that? というような意味です。
俺がそのことを知らないとジョーイは思ってるの?ということですね。
that はジョーイの言った内容、つまり、フランクが36歳の時、アリスは88歳になる、という話で、そんなことジョーイに言われなくても知ってるさ、年齢差のことは自覚してるさ、という意味になるのですね。
計算を間違えるジョーイもジョーイですが、「そんなことわかってる」とその間違いにも気付かないフランクもフランクで、どっちもどっちの似たもの同士ということです。
その二人の様子を見て、ロスは、こりゃだめだ、という顔をしています。


ジョーイ: The point is, there's a lot of women out there you haven't even had sex with yet. (大事なことは、お前がまだエッチしたことのない女性が世間にはたくさんいる、ってことだ。)
ロス: Yeah, he-he's right. He's right. This is your time, y'know, yeah, you're young. You're-you're weird. Chicks dig that. (あぁ、ジョーイの意見は正しいよ。彼は正しい。今この時が君の最高の時なんだよ。君は若い。君は、君は変わってる。女の子はそういうのが好きだろ。)

This is your time. について。
This is your life. だったら、「これは君の人生だ。」でしょうが、time の場合はどういうニュアンスになるのでしょう?
君は今、人生で一番いい時にいるんだぞ、みたいな意味かなぁ?と思ったのですが。
そんな時に焦って身を固めるな、もっと自由に遊んだらいいじゃないか、ということでしょうか。

chick はフレンズでこれまでに何度も出てきましたが、「若い女性」という意味。

dig は「…を好む、気に入る」。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
dig: [transitive] (old-fashioned) to like something
例) I dig that hat!

つまり、「(古風な表現) 何かを好きなこと」。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) でも、
dig: LIKE SOMEBODY/SOMETHING [transitive] (old-fashioned slang) to like someone or something
例) I really dig that dress.


つまり、dig の意味は like で、old-fashioned 「古風な表現、古臭い表現」なのですね。
最初にロスのセリフを聞いた時、フランクの年齢に合わせて、ロスはわざと若者言葉を使ったのかと思ったのですが、辞書にあるように、old-fashioned な表現だということだと、無理に若者言葉を使おうとして、逆に古臭い表現を使ってしまった、ということでしょうか?
もしくは、この古臭い表現をイマドキの若者が逆に新鮮に捉えて使っていたりする可能性もあるのでしょうか?

ロングマンを見る限りは、古い表現のようなので、ロスが新しい言葉を使おうとするあまり、逆に古い言葉を言ってしまった、というのが素直な解釈だとは思いますが。


フランク: Okay, but isn't sex better when it's with one person that you really, really care about? (よし、でも、自分がほんとにほんとに大切に思う一人の人との時、エッチはもっといいものになるんじゃない?)
ジョーイ: Yeah, in a poem maybe. (あぁ。ポエムの中では多分そうだろうね。)
ロス: No, the man's right. That's what I had with Rachel. (いいや、その男の意見は正しい。それは僕がレイチェルとしていたことだよ[レイチェルと僕の関係・エッチがそれだったんだよ]。)
フランク: You don't have it anymore? (ロスはもうその関係を持ってないの?[そういうエッチをしないの?])
ロス: No, I ah, I slept with someone else. (もうないんだ。僕は、あぁ、僕は他の誰かと寝たんだよ[浮気したんだよ]。)
フランク: Okay, so wait, all right, so how does that make things better? (わかった。ちょっと待って。いいか。それで、そのこと[浮気したこと]で物事が好転した?)
ロス: It didn't. (良くならなかった。)
椅子に座るロス。
フランク: Okay, so what you used to have with Rachel is what I got with Alice. (よし。それで、ロスがレイチェルとかつて持っていたこと[していたこと]が、俺がアリスと持っていることなんだ。)
ジョーイ: Now, wh-what, what is that like? (じゃあ、どんな、どんな、それはどんな感じなんだ?)
今度はジョーイまでもが椅子に座って、真剣に聞き始める。
フランク: It's so cool, man. It's so, it's just 'cause being with her is so much better than, like, not being with her. (すごく最高だよ。すごく。彼女と一緒にいることは、ほら、彼女と一緒にいないことよりもずっと素敵だから。)
ロス: Yeah, yeah. (あぁ、そうだよ。)
ジョーイ: (to Ross) Why can't I find that? ([ロスに] どうして俺はそれを見つけられないんだ?)
ロス: Don't ask me, I had it and I blew it. (僕に聞くなよ。僕はそれを持っていたのにふいにしてしまったんだぞ。)
ジョーイ: Well, I want it! (あぁ、俺もそれが欲しいよ!)

世間には女性がたくさんいると言われて、フランクは反論します。
care about は「…を気に掛ける、大事に思う」。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
care: to think that something is important, so that you are interested in it, worried about it etc
つまり、「何かが重要だと思うこと、そのために、そのことに興味を持ったり、そのことを心配したりする。」

エッチというのは、いろんな人とたくさんするよりも、自分が大事に思うただ一人の人とする方が better なんじゃないの?とフランクは言っています。
ジョーイはそんなのは理想論で、ポエムの中だけの話だよ、と一蹴するのですが、ロスはフランクの言葉に食いつきます。

フランクは sex の話をしているので、That's what I had with Rachel. も基本的には sex のことを言っているのだと思われます。
have sex with で、「…とエッチする」ですから、フランクが今言っているような、「愛する一人の人とのエッチ」を、僕もレイチェルとしていた。僕とレイチェルがしていたエッチが、フランクの言う、「愛する一人の人とのエッチ」だったんだ、ということですね。
これ以降の会話でも、話題になっているのは基本的にはエッチのことだと思うのですが、エッチに限定せずに、エッチを含めた男女関係、恋愛関係、男女の愛と捉えることも可能でしょうか。
ですから、What I had with Rachel は、レイチェルとしていたエッチであり、もっと大きな枠で言うと、レイチェルと僕とが持っていたもの、二人の関係、二人の愛、というニュアンスになるのだと思います。

ロスが過去形の、I had with Rachel を使ったので、過去形ということは、今はもうその関係がないのか?とフランクが尋ねています。
その大切な一人の人との関係が破綻した後、何もいいことなんかなかった、ということにロスは気付きます。
ロスは、自分とレイチェルの関係が、フランクとアリスの関係だと言われ、ものすごく納得してしまうのですが、今度はプレイボーイのジョーイが、そのたった一人の人との関係というのはどういうものかと興味津々で真剣に尋ねます。

椅子に座ってフランクの話に聞き入る二人。
結婚を踏み止まらせようとした二人が、逆に恋愛の講義を受けるような形になっているのがおかしいですね。

フランクの説明は、彼女と一緒にいることは、so much better than だと言うのですが、何と比較しているかと言うと、「彼女と一緒にいないこと」に比べて better だと言っているのですね。
好きな相手なので、一緒にいないよりは、一緒にいた方がいいに決まっているのですが、他の何か素晴らしいことと比較するのかと思いきや、being with her は、not being with her よりも better だ、と当たり前のことを述べているのが面白い、ということでしょう。
冷静に聞いていれば、別に感動するような内容でもないように思うのですが、「たった一人の人との究極の愛」の話に魅了されてしまった二人には、そのフランクのセリフまでもが感動的に聞こえるようですね。


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posted by Rach at 08:08| Comment(6) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月26日

テキサス・レンジャー フレンズ3-18その3

フィービーはフランクとアリスの結婚に反対しています。自分の代わりにフランクを説得して欲しいと、ロスとジョーイに頼んでいます。
フィービー: Come on, you guys. You have nothing to lose. I have everything to lose. Do you want me to lose everything? Everything? (ねぇ、あなたたちは失うものは何もない。私はあらゆることを失うことになる。あなたたちは、私に全てを失わせたいの? 全てを?)
ロス&ジョーイ: No. (そんなことないよ。)
フィービー: Okay, I'm gonna go get Frank. (exits) (よーし。フランクを連れてくるわ。)
ジョーイ: So, we're walking down the street, and I turn to you and I say: "Hey, let's go hang out at Totally Nude Nudes." Remember? And then, and then, you turn to me and say, "Nah, let's just hang out at your place." Well, that was a nice move, dumb ass. (それで、俺たちは通りを歩いてて、お前を振り向いて俺はこう言う。「なぁ、トータリー・ヌード・ヌーズに行こうよ[時間を過ごそうよ]。」 覚えてる? で、それから、それから、お前が俺の方を向いて、こう言うんだ。「やめようよ。ただ、お前のところ[家]で、時間を過ごそうよ。」って。あぁ、あれはナイスな行動だったよな、おばかさん。)

Totally Nude Nudes は名前からして、ストリップ劇場みたいなものでしょうね。
「全く、裸の、裸体の人」みたいなネーミングでしょうか。

ジョーイのセリフは、最後の that was a nice move だけが過去形で、後は全て現在形になっています。
これは、フレンズ2-21その22 で説明した、ハートで感じる大西先生の「過去のできごとを生き生きと語っている」現在形、ですね。

上のジョーイのセリフは、何の前触れもなく、いきなり「俺たちは通りを歩いてる」で始まっています。
実際には部屋にいるわけですから、現在進行形が使われることで、そのジョーイの語る別世界(この場合は、過去の回想)に話が切り替わった、ということがわかるのでしょうね。

「ストリップ見に行こう、って言ったら、お前が俺の部屋でのんびりしようって言って…ほんと良い提案だったよ。」みたいなことをジョーイは言っているのですね。
あの時、俺の提案に乗って、ストリップを見ていたら、フランクが結婚をやめるように説得する、といういやな仕事を引き受けないで済んだのに、こんなことになったのは、あの時、ジョーイのうちに行こうと言ったお前のせいだぞ、と言いたいのですね。
a nice move のナイスはもちろん皮肉です。
最後に呼び掛け語として、dumb ass がついていることからもそれは明白ですね。


[Scene: Monica and Rachel's, Rachel and Monica are entering.]
モニカとレイチェルの部屋。レイチェルとモニカが入ってくる。
レイチェル: I think you should definitely go out with this guy. (モニカは絶対にこの人とデートすべきだと思うわ。)
モニカ: Nah, he doesn't do anything for me. (いいえ。彼は私のために何もしてくれないもの。)
レイチェル: Monica, last Saturday night, what happened on Walker, Texas Ranger? (モニカ、先週の土曜日の晩、「ウォーカー、テキサス・レンジャー[炎のテキサス・レンジャー]」で何が起こった?)
モニカ: Well, umm, Walker was looking for this big busload of kids. (realizes) All right, I get your point. (そうね、うーんと、ウォーカーはバスいっぱいの子供たちを探して… [気付いて] いいわ、あなたの言いたいことはわかったわ。)
レイチェル: All right. (それでいいわ。)

ピートとデートすべきだと説得するレイチェル。
その説得に、あるドラマのシーンを持ち出すのですが…。
モニカは、I get your point. と言っていて、レイチェルの言いたいことがわかったようです。
が、私にはよくわかりません(爆)。
このドラマ、見たことないもので…。

とりあえず、わかったことだけ書いておきます。
Walker, Texas Ranger というのはアメリカのドラマですね。
Wikipedia 英語版: Walker, Texas Ranger
IMDb: Walker, Texas Ranger" (1993) TV series 1993-2001

日本では「炎のテキサス・レンジャー」と呼ばれているようです。
Super! drama TV: チャック・ノリス炎のテキサス・レンジャー
上のサイトにはとても詳しい情報が書いてあります。
そこに、「全米マスコミが注目した土曜の夜の大ヒット」という記事があり、それがとても興味深いです。
レイチェルのセリフにも、last Saturday night という言葉が出てきます。
それだけ、「テキサス・レンジャーは土曜日の夜」というのはみんなの共通認識のようですね。

busload は「バス1台の収容能力、バスいっぱいの乗客」なので、busload of kids は「バス1台分の子供、バスいっぱいの子供」ということでしょう。

エピソードの内容を調べるには、IMDb (The Internet Movie Database) がいいかなと思って、Google のボックスに、
"walker, texas ranger" bus IMDb
と入れてぐぐってみると、以下のサイトを発見。
Episode list for "Walker, Texas Ranger" (1993)
そのページで、bus という言葉で検索してみると、bus という単語はいくつかヒットしますが、その中で子供が出てくるエピソードを発見。
それが、Season 5, Episode 10: Cyclone
ざっと内容を要約してみると、
「小学校5、6年生が誘拐され、犯人は身代金1000万ドルを要求。子供たちをバスに閉じ込め、バスを埋め立て地に駐車し、泥でバスを覆い隠してしまう。それを助けようとするウォーカーたちは時間との戦いとなる。さらに竜巻を伴う暴風雨も近づいてきて…。」
という手に汗握る内容のようですね。

IMDb によると、この Cyclone というエピソードの放映は、96年11月23日。
この フレンズ3-18 の放映は、97年3月13日。
セリフでは、last Saturday night 「先週の土曜日の夜」と言い切っていますが、フレンズは公開録画なので、撮影と放映までに少し間があるでしょうから、4ヶ月弱のずれなら、やはりこのエピソードを内容を指している、ということで合っていそうな気がします。

で、結局、そのエピソードの結末がどうなったかは IMDb ではわからないので、レイチェルが何を言いたいのかがわからないんですよねぇ…。
プロットを見てみると、生き埋め(?)状態になっているわ、サイクロンは近づいてくるわ、で、race against the clock 「時間と競争する、時間と戦う」状態になっているわけですね。
だから、時間に関する説得で、「そんな風にあれやこれや選り好みしていたら、すぐにおばさんになっちゃうわよ、手遅れになっちゃうわよ」ということか、あるいは、劇中で意外な人が思いも寄らぬ活躍をしてその人がとても素敵な人だとわかった、とかだと、「人間、第一印象ではわからないものよ。意外な人が実は素敵だったりするものよ」という説得なのかもしれません。

まぁ、そのテキサス・レンジャーのエピソードを見ずにいろいろ語っても無駄かもしれませんので、推測はこの辺りでやめておきます。
上に書いたあらすじを見て、「それ、見たことある!」という方は、レイチェルが一体何を言いたかったのかを教えていただけると嬉しいです。
これだけ長々書いておいて、Cyclone のエピソードのことじゃなかったら、超ショックだなぁ(笑)。


モニカの部屋に入ってきたチャンドラー。
テープを聞いてみてどうだった?と聞かれて、
チャンドラー: Good. I haven't smoked yet today, I feel great, and-and-and confident. That is a stunning blouse. (いいよ。今日はまだタバコを吸ってないし。気分は最高だよ。それにそれに、自信に満ちた感じ。それ、素敵なブラウス(だ)ね。)

男性が、女性の服を褒めるのは、外国でも珍しいようです。
クリストファー・ベルトンさんのメルマガ、クリストファー・ベルトンの「英語の世界」 <第65号> (2009年2月8日発行)で、
★ 男が絶対に言わないこと
の一つに、
Those shoes match your dress perfectly. その靴は君のワンピースにぴったりだね。
というのが挙げられていました。
今回のセリフも、それ系の「服装に関する話」ですね。
男性のチャンドラーが「そのブラウス素敵」と褒めるのは、やはり違和感があります。

チャンドラーが confident という言葉を使っていることからわかるように、前回の記事、フレンズ3-18その2 の催眠テープの内容が刷り込まれているのがわかります。
その後に、この女性っぽいセリフが続くので、You are a strong, confident woman. という洗脳(?)にかかってしまったことが、観客にわかるのですね。
部屋に入ってきた時は、Chap Stick (リップクリーム)を貸してと言っていましたし、女性用テープの影響があちこちに見え始めているのが面白いです。

日本語だと、語尾の「…だぜ」を「…だわ」にすることで、女性言葉に変化したことがわかりますが、英語の場合は、その変化を出すのは難しいかもしれません。
その代わりに、「リップ持ってる?」「そのブラウス素敵!」のように、言っている内容で女性っぽさを出す、ということも可能なのですね。


(Chandler is putting on the Chap Stick the same way that women put on lipstick, including the bit with the piece of tissue.)
チャンドラーは、ティッシュの切れ端を使ったお決まりのしぐさも含めて、女性が口紅を塗るのと同じやり方で、リップスティックを塗っている。
チャンドラー: (to the girls who are staring at him) What? ([チャンドラーをじっと見つめている女性陣に向かって] なあに?)

ここの面白さはとにかく実際にそのシーンを見ていただかないとわからないと思うのですが、ト書きにある通り、ペターッとリップを塗り、おまけにティッシュで付け過ぎた分を押さえています。
including the bit with の bit は、英辞郎によると、
bit=お決まりのしぐさ

LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
bit [noun]: TYPICAL BEHAVIOUR/EXPERIENCE
(informal) used to mean a kind of behaviour or experience that is typical of someone or something

つまり、「誰かや何かにありがちな[典型的な]ある種の行動や経験を意味するのに使われる」。

そのしぐさだけでも十分面白いのですが、What? の一言がまた笑いを誘います。
チャンドラーが言いそうな「何だよ?」ではなく、女の子がつぶらな瞳で聞き返す、まさに「なあに?」のニュアンスです。

口をすぼめて可愛く言った感じがとても女性っぽく、思わずモニカが、というか演じているコートニー自身が吹き出してしまっているように見えます。
英語で見ていても、やはり女性っぽくなっていることはいろんな部分で気付けますね。
今回のエピソードの見どころの一つです。
What? という短い単語一つでも、男っぽい言い方と女っぽい言い方がある、ということがわかる良い例だと思いました。


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posted by Rach at 14:26| Comment(3) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月24日

生徒を学校にいさせる方法 フレンズ3-18その2

弟フランクが結婚する、と大喜びのフィービーに、
モニカ: Yeah, ah, but Pheebs, don't you think he's a little young to get married? (そうね。でも、フィービー、フランクは結婚するには少し若いと思わない?)
フィービー: Well, he's 18. (うーんと、彼は18歳なの。)
ロス: Exactly. It'll be illegal for him to drink at his own bachelor party. (その通り。彼が自分自身のバチェラー・パーティーでお酒を飲むのも違法だよ。)
ジョーイ: Yeah, or-or to get a hooker. (そうだよ。それとか、売春婦と遊ぶのも。)
チャンドラー: Always illegal, Joe. (いつでも[未成年じゃなくても]違法だよ、ジョーイ。)

バチェラー・パーティーは「独身さよならパーティー」のこと。
フランクの年齢が若すぎるため、自分の結婚を祝う独身最後のパーティーで新郎本人がお酒を飲めないことになる、というのですが、ジョーイは付け足しで、hooker (売春婦)の話を出します。
過去記事、バチェラー・パーティーに付き物の… フレンズ3-12その3 で、バチェラー・パーティーについて詳しく解説していますが、アリー my Love (Ally McBeal)で、a hooker を呼ぶ話が出てきました。
男性陣がバチェラー・パーティーで想像するのが a stripper とか a hooker で、若いフランクはそれも楽しめないよねぇ、とジョーイは言っているのですが…。
それはフランクが未成年とかには関係なく、フランクがいい大人になっていても、売春は許されない行為だろ、とチャンドラーはツッコミを入れているのですね。


モニカ: So, um, how-how did you guys meet? (それで、あなたたち二人はどうやって出会ったの?)
フランク: Well um, I was in ah Mrs. Knight's ah, I mean, Alice. Sorry, Alice, I always do that. I was in her ah, home-ec class. (そうだな。俺はミセス・ナイトの、いや、アリスだ、ごめん、アリス。俺はいつもそう[ミセス・ナイトって]言っちゃって。俺は彼女の家庭科の授業の生徒なんだ。)
アリス: And he was my best student. (そして彼は私の最高の生徒なの。)
フランク: Yeah, she was my best teacher. (あぁ、彼女は俺の最高の先生なんだ。)
アリス: Ohhh. (They embrace in a very passionate kiss.) (まぁ。[二人はとても情熱的なキスをして抱き合う])
チャンドラー: If that doesn't keep kids in school, what will? (もしあれで子供たちを学校にとどめておけないなら、何が彼らを学校につなぎとめてくれるんだ?)

home ec は、home economics 「家政学、家庭科」の略です。
I was in her home-ec class. というのは、「俺は彼女の家庭科の授業・クラスにいた」ですから、彼女が家庭科の先生で俺はその授業を受けていた生徒だった、ということですね。
婚約者なので、アリスと呼ぶべきなのに、フランクはつい癖で、Mrs. Knight と呼んでしまうようです。
Mrs. は既婚女性(a married woman)につける敬称ですが、これからフランクと結婚しようとしている人が、誰かの妻である、ということはないですよねぇ?
過去に結婚していたことがある…とかなのでしょうか?
未亡人の場合だと、Mrs. Knight と呼ぶこともあるかもしれませんが、離婚した場合だとどうなんでしょう??
日本で「ナイト先生」と呼ぶニュアンスで、Mrs. Knight と生徒たちが呼んでいる、ということだとは思います。
が、アリスに結婚歴がない場合でも先生の場合はそう呼ぶことがあるのか、もしくは、Mrs. とついていることで、結婚歴があることを示唆しているのか、その辺がよくわかりません。

お互いを、最高の生徒、最高の先生と呼び合いながら、熱いキスを交わすラブラブの二人ですが、それを見てのチャンドラーの一言、If that doesn't keep kids in school, what will? について。

that は二人が熱いキスをして抱き合っている様子を指しています。
keep kids in school は、子供たちを学校にキープしておく、とどめておく、学校内にいさせる、ということですから、学校に行きたくない、授業をサボりたいという子供たちがきちんと授業に出るようにする、学校から逃げ出さないようにする、という感じでしょうね。
チャンドラーは、授業にまじめに出ない生徒の話を思い出して、学校ではあんな風に先生が生徒とキスして抱き合ったりしてくれるのかぁ、それでも生徒を学校にとどめておけない、っていうのなら、何をしたら、生徒は学校にとどまっていてくれるんだ?と言っているわけです。
先生があんなサービスをしてくれたら、みんな学校に喜んで行っちゃうよねぇ、ということでしょう。
あそこまでして、学校を逃げ出されてしまうのなら、もう他に打つ手はないよねぇ、という感じです。


[Scene: Chandler's bedroom, Chandler is listening to the hypnosis tape.]
チャンドラーの寝室。チャンドラーは催眠テープを聴いている。
催眠テープ(Hypnosis Tape): You are falling fast asleep. Deeper, deeper, deeper. You are now completely asleep. You don't need to smoke. Cigarettes don't control you. You are a strong, confident woman, who does not need to smoke. A strong, confident woman. (あなたは深い眠りに落ちていきます。より深く、深く、深く。あなたは今完全に眠っています。あなたはタバコを吸う必要がありません。タバコはあなたを支配しません[コントロールしません]。あなたは、強く、自信に満ちた女性です。あなたはタバコを吸う必要がありません。強く、自信に満ちた女性です。)

このシーン、チャンドラーが健やかな顔をしながら寝ています。
テープのナレーションも、催眠術っぽい感じですね。
You are a strong, confident woman... というところで、観客が笑っています。
レイチェルが貸してくれた禁煙用催眠テープは女性用のものだということがここでわかるのですね。
チャンドラーが幸せそうな顔で寝ているだけに、この催眠テープのメッセージが彼に刷り込まれて、彼はこの後一体どうなるのか…?と、観客が大いに期待することになります。


モニカの職場、The Moondance Diner にて。
素敵な男性がいないと、レイチェルにボヤいていたモニカ。
モニカ: (to a customer) Pete, can I get you something else? ([お客に] ピート、何か他にいるものある?)
ピート: Yeah, a slice of cheesecake and-and a date, if you're giving them out. (あぁ。チーズケーキを一切れと、それから、デートだね。もし君がデートを(注文に応じて)配っているのなら。)
モニカ: Haven't you and I covered that topic? (あなたと私はその件を前にも話したわよね?)
ピート: Hmm, come on, you just said to her that you.... (うーん。ほら、君はちょうど彼女にこう言ってたじゃないか…)
モニカ: Aww, you only wanna go out with me because my blond wig, and the big boobs, and the fact that I serve you food. (あー。あなたがただ私とデートしたいと思ってるのは、私の金髪のカツラと、大きな胸と、私があなたに食べ物を出すっていう事実のせいよ。)
ピート: Well, if that were true, I'd be dating my Aunt Ruth. And the two times we went out, it was just plain awkward. (そうだな。もしそれが真実だとしたら、僕は、今、ルースおばさんとデートしてるところだよ。そして(実際に)2回、俺とおばさんは一緒に出かけたんだ。それはただ、全く気まずい感じだったよ。)

give out は「配る、配布する」というニュアンスだと思います。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
give something out, give out something: to give something to each person in a group (synonym hand out)
つまり、「グループの一人ずつに何かを与える。同義語・類義語 hand out」
何か欲しいものはある?と注文を聞かれたので、チーズケーキとデート、と答えて、デートがチーズケーキみたいに注文可能なものだとしたらね、と付け足している感覚でしょう。

cover は「主題・議題などを)取り上げる、取り扱う」。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
cover: INCLUDE
to include or deal with a particular subject or group of things

つまり、「ある特定の話題や一群の物事を含む、または扱う」。
そのトピックはもうすでにカバーしたでしょ、みたいな感覚で、もうその件についてはこれまでに話し合ったじゃない、前にもその話題は出たじゃない、その件は取り上げたじゃない、ということで、それは暗に、その時にデートの件は断ったでしょ、と言っているのですね。

デートに誘いたいと思ってるのは、ダイナーのサービスでやっている、マリリン・モンロー風の金髪のカツラと作り物の大きな胸、そして、食事を出しているからだ、とモニカは言います。
見た目はにせものだし、serve you food はダイナーの仕事、それをあなたは女性としての魅力と勘違いしているのよ、と忠告しているのですね。

もし僕が本当にその部分に惚れているだけだとしたら、僕は今頃、ルースおばさんとデートしているところだよ、とピートは答えます。
彼の親戚のおばさんも、金髪で胸が大きくて、きっとおいしい料理やお菓子を作ってくれる人だったのでしょう。
plain awkward の plain は副詞で「まったく、すっかり」。
ちょっと惹かれるところもあって(?)デートみたいな感じでお出かけしたこともあるけど、何しろ親戚のおばさんだから、結局そのデートは気まずい結果に終わったよ、ということですね。

このピートのセリフは、「モニカが挙げた点だけを魅力に感じているのなら、別にルースおばさんでもいいわけだし…」と言っているわけですが、それは、モニカを誘うのは、他にも魅力を感じているからだ、と示唆していることになるでしょうか。
モニカのことを直接褒めているわけではないさりげないセリフの中に、「君には他にもっと魅力的な部分があるんだよ」という彼の積極的なアプローチが感じられる気がします。


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2009年02月22日

公共物破壊行為 フレンズ3-18その1

シーズン3 第18話
The One With The Hypnosis Tape (愛さえあれば年の差なんて!)
原題は「催眠テープの話」

昨日の記事、スピードアップ宣言! での予告通り、3-18 から、ペースを上げます。


レイチェルは、チャンドラーに、禁煙のための a hypnosis tape (催眠テープ)を使ってみて、とすすめます。
それを聞いて、プッ!とばかにしたような声を出すロス。
レイチェル: (to Ross) What's your problem? ([ロスに] 何が問題なの?)
ロス: Nothing. It's just that hypnosis is beyond crap. (別に。ただ、催眠(術)なんて、クソ以下だよ。)
レイチェル: Ross, I watched you get hypnotized in Atlantic City. (ロス、私はあなたがアトランティック・シティで催眠術にかけられるのを(ずっと)見てたのよ。)
ロス: Hey, that guy did not hypnotize me, okay? (おい、あの男は僕に催眠術なんかかけてないよ、いいか?)
レイチェル: All right, 'cause you always pull your pants down at the count of three and play "Wipe Out" on your butt cheeks. (あぁ、そうね。だって、あなたはいつも、3のカウントでパンツをずり下げて、お尻(の肉)でワイプアウトをするものね。)
フィービー: All right, forget hypnosis. The way to quit smoking is you have to dance naked in a field of heather, and then bathe in the sweat of six healthy, young men. (いいわ。催眠術のことは忘れて。タバコをやめるには、ヒースの草原で裸で踊らないといけないの。それから健康で若い6人の男の汗のお風呂に入るのよ。)
チャンドラー: Or what my father calls "Thursday night." (もしくは、俺の父親が「サーズデー・ナイト」と呼んでいるやつだ。)

hypnosis は「催眠、催眠状態」。
レイチェルがチャンドラーに渡したカセットテープ(テープ、というところが、ちょっと時代を感じさせますが…笑)は、睡眠中に聞き、催眠術をかけられたような状態になって禁煙に導くテープのようです。

beyond は「…を越えて、凌駕して、超越して」。
crap は「ふん、うんち」のことで、日本語の「くそ」と同じように「ひどいもの、くず」という意味があります。
beyond crap は crap を超越するもの、という感じで、crap よりもっとひどいもの、ということですね。
日本語で「クソ以上」のように「以上」と表現すると何だか変な感じで、あえて日本語にすると「クソ以下」になるでしょうか?

hypnotize は「…に催眠術をかける」。
at the count three は、1、2、3と数える、その3のタイミングで、ということでしょう。
butt cheek はお尻の肉ですね。
フレンズ1-19その6 にも出てきました。
お尻を丸出しにして、Wipe Out をする、ということですが、その「ワイプアウト」がどんなものか、よくわかりません。
掃除などで wipe out だと「ふき取る、ぬぐい取る」という感じですので、お尻を、雑巾で窓を拭くみたいに動かす、ということかなぁ?とも思うのですが…。
でもそれだと、前置詞は on ではなくて、with かもしれない…。
on your butt cheeks だと、「お尻の上で、お尻の表面で」ワイプアウトをする、ということになりそうな気もします。
ますます、どんなものかわかりません(笑)。

'cause you always pull your pants down at the count of three and play "Wipe Out" on your butt cheeks は、過去形ではなく現在形で、さらには always もついています。
これが過去形だったら、「ロスはパンツをずり下げて、ワイプアウトをやった」になるのですが、always+現在形ですから、「あなたはいつもそうする」という習慣を表していることになります。
レイチェルが言いたいのは、「催眠術にかかってないというあなたの主張はごもっともね。だって、あなたは1、2、3と数えられると、いつでもどこでも、ワイプアウトをするんだから」ということです。
アトランティック・シティでもいつものあなたの行為が出ただけで、あれは催眠術のせいじゃないわよねぇ?と皮肉を言っているのですね。
「催眠術なんかかかってないと言いながら、あの時のあなたはとても恥ずかしいことをしてたわよ、それでもかかってないって言うの?」ということが言いたいのですが、それをそうは言わずに、「あの恥ずかしい行為は、催眠術にかかってない普段からやってることだもんね。」と言っているのです。

heather は「ヒース、ギリュウモドキ」などと辞書にあります。とにかく植物の名前です。
その後、若い男の汗の話まで出てきますが、フィービーお得意の「それは一体どこの国のおまじないだ?」みたいな儀式ですね。

Or what my father calls... というチャンドラーのセリフは、bathe in the sweat of... のことを言い換えているのかな、と思います。
俺の父親によると、それは別名 Thursday night だね、という感じでしょうか。
フレンズ3-8その26 で、「チャンドラーのパパはゲイである」話を書いたのですが、若い男の汗うんぬんの話を聞いて、そういうのは自分の父親が好きそうなやつだなぁ、ということで、今フィービーが言ったのは、父親が「サーズデー・ナイト」と呼んでるやつだ、と言ったのかなぁ、と思うのですが…。

チャンドラーのパパは、シーズン7に登場します。
また、4-12 で、チャンドラーのパパの職業がわかるセリフが出てきます。
そのパパの職業を知ると、Thursday night というネーミングが、具体的に何を指す名前なのか、何となく想像がつくのですが、この 3-18 の時点では、(私の記憶では)パパの職業はまだわかっていないように思いますので、「パパがそう呼んでいる」という程度にとどめておきます。


セントラルパークに、フィービーの弟フランクが久しぶりにやってきたので、フィービーはびっくり。
フィービー: What are you doing here? (どうしてここに来たの?)
フランク: Oh, well, y'know, I would've called, but I lost your phone number. And then ah, my mom locked me out of the house, so I couldn't find it. And then, I tried to find a pay phone, and ah, the receiver was cut off. So.... (あぁ、えーっと、(電話番号を知っていたら)電話をかけてただろうけど、姉さんの電話番号をなくしちゃって。それから、俺のママが俺を家から締め出したんで、それで、電話番号を見つけることもできなくて。それから、公衆電話を探そうとしてみたら、受話器(のコード)が切られてて。それで…)
フィービー: What happened? (何があったの?)
フランク: Ah, oh, the ah, vandalism. (あぁ、公共物破壊だよ。)
フィービー: But also, what happened between you and your mom? (でも、それと同じように、あなたとあなたのママの間に何が起こったの?)
フランク: Well, we got into a fight 'cause ah, she said I was too immature to get married. (そうだな。俺とママは喧嘩したんだ。だって、ママが俺は結婚するには未熟すぎるって言ったから。)
フィービー: You're getting married? (あなた、結婚するの?)
フランク: Oh, yeah! (あぁ、そうなんだよ!)
みんな: Wow! (ワオ!)

I would've called は、if I had known your phone number という仮定が含まれているように思います。
フランクのセリフは、I would've called, but I lost your phone number. となっていて、電話をかけられなかった理由(電話番号をなくした)が後で述べられていますが、I would've called は「過去の事実に反する仮定」をすれば「電話をかけただろうに」というニュアンスですから、would've called が使われていることで、実際は事情があってかけられなかった、だからこうして直接会いに来た、という流れに繋がるのだと思います。

vandalism は「暴力行為、野蛮行為、芸術・文化への破壊(行為)、公共物破壊(行為)」。
Vandal (the Vandals) は「バンダル族」のことで、その民族がローマに入り、ローマ文化を破壊したことから、vandalism という言葉が生まれたようです。
フィービーは、フランクのセリフの、ママに締め出された、という話にひっかかって、「締め出されるなんて、一体あなたは何をしたの? 何があったの?」と尋ねたのですが、フランクはその直前の受話器のコードが切られていた、についての質問かと思って、「ほら、街でよくある、乱暴行為、公共物を破壊する、ってやつだよ。」と答えているのですね。
フィービーがよくやる、質問の取り違えですが、姉弟だから、その辺りの反応がそっくり、いえむしろ、フィービーよりもさらにボケた感じなのが面白いです。

フランクの返事を聞いて、フィービーは、But also, what happened between... と言っていますが、公共物破壊も、確かに What happened? な出来事だけど、「それと同じように」あなたとママの間に何があったの?という意味で、also を使っているのだと思います。


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posted by Rach at 07:40| Comment(15) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月20日

ちょうどのeven フレンズ3-17その25

フィービー: Okay. Good, all right, let's get back in the car, 'cause it's freezing, and my chest is unsupported. (よし、それでいいわ。さあ車の中に戻りましょう。だって凍えるように寒いし、私の胸はサポートされていないから。)
ジョーイ: Oh, what, wait, wait a second! I mean, what are we doing? Who's going with who? (あぁ、待って、待って、ちょっと待ってよ! 俺たちはこれからどうするの? 誰が誰と一緒に行くんだよ。)
ロス: Look, you guys, you guys should go. (Joey tries to say something, but Ross cuts him off.) No, I'm, you know, you planned this all out, and I don't want to ruin it. So you guys should just go. (ねぇみんな、君たちは行くべきだよ。[ジョーイは何かを言おうとするが、ロスはそれをさえぎる] いいや、僕は、ほら、君たちはこのスキー旅行の予定をすっかり立ててたんだろ。だから、僕はそれを壊したくないんだ。だから、君たちはただ行くべきだよ。)
ジョーイ: Come on, man, you drove all the way up here. (なぁ、ロス。お前はわざわざここまで運転して来てくれたのに。)
ロス: No, no, really, I've got to take the car back anyway. I'm spending all day tomorrow with Ben, It's fine, okay? Just go. No guilt, I promise. (いやいや、ほんとに、どのみち僕は車を返さないといけないんだ。僕は明日一日中ベンと過ごす予定だし。大丈夫だよ。ただ行ってくれ。罪の意識を感じる必要はないよ、約束する。)
レイチェル: Thank you. (ありがとう。)
モニカ: All right, we'll call you when we get back. (これでいいわ。戻ったら電話するわね。)
ロス: Okay. (わかった。)
フィービー: Maybe we can, like, go to a movie or something. (多分、ほら、映画に行くとかできると思うの。)
ロス: Okay. (オッケー。)
フィービー: Or, or the rodeo! (それとか、それとか、ロデオよ!)
ロス: That would be great. (それはいいね。)
フィービー: Okay! (オッケー!)
チャンドラー: I was being Shelly Winters from The Poseidon Adventure. (俺は、ポセイドン・アドベンチャーのシェリー・ウィンタース(の真似)をやってたんだ。)
ロス: I know. (わかってる。)
[They all get in the cab and drive away.]
フレンズたちはみんなキャブに乗り込み、走り去る。
フィービー: Bye! (バーイ!)
[Ross tries to start the truck, and discovers the battery's dead.]
ロスはトラックを発進させようとするが、バッテリーが切れているのを発見する。
CLOSING CREDITS

my chest is unsupported. は、ロックされた車を開けるのにフィービーのブラを使ったので、今はブラをしていない、だから胸がスースーして寒い、ということです。

ここでのロスはだだをこねたり、皮肉を言うことなく、素直に、みんなで行ってくれ、と言っています。
僕が行くというと話がややこしくなるのがわかっているからですね。

Just go. No guilt, I promise. について。
guilt は「有罪、罪があること」「罪の責任」「罪の意識、罪悪感、自責」などの意味がありますが、No guilt は恐らく、「僕を置いていくことに罪悪感を感じないでくれ。」みたいなニュアンスかなと思います。
I promise. は、あの時置いていかれたのはひどかった、君たちは冷たかった、などと後から責めたりしないって約束するよ、という感じかなと思いました。

大人の対応を見せたロスに対して、今回はレイチェルも素直にありがとう、と言っています。
これが、前回の記事、無礼にならない程度に丁寧 フレンズ3-17その24 で説明した、civil な対応、ということですね。

ロスに対して、みんながいたわりを見せるのが泣けます。
フィービーはなぜか、ロデオはどう?などと言っています。
フレンズたちがしなさそうな遊びですが(笑)、とにかく何か楽しいことをしましょうね!と言っているフィービーの気持ちが伝わったので、ロスは That would be great. 「それをしたら楽しいだろうね、それは素敵だね。」と素直に返事しています。

前回の記事、フレンズ3-17その24 でチャンドラーがやっていたジェスチャーゲーム(?)の答えがここでわかります。

ポセイドン・アドベンチャーってかなり有名な映画だと思うのですが、私、申し訳ありませんが、見ていません(爆)。
映画を見た方が手っ取り早いかな、と思いつつ、とりあえずネットで調べたことを書いておきます。

Wikipedia 日本語版: ポセイドン・アドベンチャー を見ると、
ベル・ローゼン(中年婦人・元水泳選手) … シェリー・ウィンタース Shelley Winters
と出ています。
また、
ゴールデングローブ賞 助演女優賞:シェリー・ウィンタース
ともありますので、劇中で結構活躍する役柄なのでしょう。

Wikipedia 英語版: The Poseidon Adventure (1972 film)
上の英語版ウィキペディアの Popular Culture には、今回のフレンズのことが以下のように書いてあります。
On an episode of Friends, Chandler imitates a dance by Belle Rosen, saying he was "Shelly Winters from Poseidon Adventure".
つまり、ベル・ローゼンのダンスを真似ている、ということですね。
映画の中でこんな踊りをするシーンがあるのでしょうか。
この映画を見た人なら、あぁあれか!とわかるものなのか、もしくはあの映画を見た人でも忘れているような恐ろしくマニアックな物真似なのか(笑)、どちらでしょう?(多分、前者だと思うのですが。)
ご存知の方は、どういう状況の場面だったか、などを教えていただけるとありがたいです。

シェリーさんについて、詳しくは以下のサイトで。
Wikipedia 英語版: Shelley Winters
IMDb: Shelley Winters

誰も当ててくれなかったので(笑)、結局自分で答えを言ったチャンドラーですが、それに対して、しばらくの沈黙の後、「わかってる」と答えたロス。
多分、わからなかったと思うのですが、自分とレイチェルの喧嘩でチャンドラーにも迷惑をかけてしまった、という思いから、そのように答えたのかな、という気がします。

みんなが去って行った後、ロスも帰ろうとすると、エンジンがかからなくて、プーッと警笛を鳴らしているのがなんともかわいそう。


[Scene: Carol and Susan's, Carol is running to answer the door.]
キャロルとスーザンの家。キャロルは(呼び出し音があったので)来客に応対するために走っている。
キャロル: (looking through the peephole) Ugh. (opening the door) Ross! ([のぞき穴から見て] あー。[ドアを開けて] ロス!)
ロス: (entering) Hi. Sorry I'm late. Were you sleeping? ([入ってきて] やぁ。遅くなってごめん。寝てた?)
キャロル: Ahh, nooo!! (あぁー、いいえ!)
ロス: Oh, great. Listen, oh, I had to get you a whole new battery. I got you the best one I could, 'cause that's not where you want to skimp. (あぁ、良かった。聞いてよ。そう、僕は君に新しいバッテリーを(丸ごと)買わないといけなかったんだ。僕が買える最高のバッテリーを買ったよ。だって、バッテリーはケチりたくないところだからね。)
キャロル: You're a genius, Ross. (あなたは天才ね、ロス。)
ロス: Yeah, well, it came to about $112. But what the hell, just call it an even 110? (あぁ、それで、112ドルくらいしたんだけど、でもそれがどうした! ちょうど110ドルにしておくよ。)
キャロル: Okay, I'll pay you tomorrow. (pushes him out the door) (わかったわ。明日あなたに払うから。[ロスをドアの外に押し出す])
ロス: Okay. (わかった。)
キャロル: Okay, bye! (オッケー。バーイ!)
ロス: So they, ah, they all took off. It was pretty hard watching them go, y'know? (それで、あいつらは、あいつらはみんな行った[出発した]んだ。みんなが行くのを見るのはとっても辛かったよ、わかるだろ?)
キャロル: Yeah, okay. Bye. (closes the door, turns out the lights, and runs back to the bedroom) (えぇ、そうね。さよなら。[ドアを閉め、明かりを消し、寝室に走って戻る])
ロス: (outside the door) So I'm gonna take off then! ([ドアの外で] それじゃ、僕は今から帰るよ!)

夜中に来客で、慌ててドアのところに行くキャロル。
ロスに寝てた?と聞かれて、言いよどんだ後、一応否定してみせるキャロルですが、寝ていたのは明らかですね。
フレンズ3-17その17 で、今日は記念日だ、と言っていましたし、キャロルとスーザンは情熱的な夜を過ごしていたであろうことは、キャロルの様子を見ればわかります。
が、自分のことで頭がいっぱいなロスは、そこまで気が回らない、ということですね。

skimp は「けちる、節約する、切り詰める」。
最高級のものを買った理由について、that's not where you want to skimp. と言っていますが、「バッテリーは、けちりたいと思うところではないから」ということです。
この you は、キャロル、というよりも、一般の人を表すニュアンスかもしれません。
バッテリーは車の大切な部分だから、誰もそこをケチりたくはないだろ?ということでしょう。

come to $... は「合計金額などが…ドルになる」という意味。

What the hell について。
英辞郎では、
What the hell!=(下品)くそくらえ!/かまうもんか!/やっちゃおうよ!/そうしようよ! (「どうなってもいいからやってしまえ」という意味)
と出ています。
研究社 新英和中辞典では、
What the hell!=どうということはない、たいしたことはない
とありますね。

LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
what the hell!: (spoken not polite) used to say that you will do something and not worry about any problems it causes
例) Elaine poured herself a large glass of whisky - what the hell, it was Christmas.

つまり、「自分が何かをし、そしてそれが引き起こすどんな問題も気にしないことを言う時に使われる。」
例文は、「エレインは自分のために、大きなグラス1杯のウイスキーを注いだ。そんなことかまうもんか[それがどうしたっていうの]。クリスマスだったのだから。」

Just call it an even 110? について。
110 は、one ten と発音されていますが、110ドルのことですね。
call it even という表現だと「貸し借りなしにする、チャラにする、おあいこにする」という意味ですが、ここでは、call it even ではなく、call it an even 110 となっています。
このように、数字の前につく even は、「(数や金額などが)端数なしの、ちょうど」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
even [adjetive]: EXACT
an even amount, measurement, price etc. can be expressed as an exact number of units
例) Our grocery bill came to an even $30.00.

つまり、「even な量、寸法、価格などは、単位の正確な数字として表される。」
例文は、「食料雑貨品[店]の勘定は、ちょうど30ドルになった。」

ロスのセリフは、Just call it even. 「貸し借りなしにしよう」と言っているのではなくて、112ドルを、ちょうど 110ドルにしよう、と言っているわけです。

What the hell という言葉をわざわざ挿入して、思い切りの良さを見せようとしているようですが、その内容が「2ドルまけとく」というだけの話だったので、What the hell というほどの大袈裟な話か!と笑ってしまうわけですね。

ちなみに、この even の感覚ですが、形容詞 even は「面が平らな、平坦な」という意味が基本のようです。
「数字がちょうど」という感覚は、小さな端数という邪魔者を切り捨てて平らにする、というニュアンスかなと思います。
また、call it even の「貸し借りなしにしよう」というのは、二者の間で、大きな貸しがある方と大きな借りがある方、という風にバランスが悪いのではなく、どちらの負担も同じくらいのレベル、どちらかが突出して負担しているわけではない、突出した部分を別の形で埋め合わせることで結局平らに持って行く、という意味で「平ら」なんだろうな、と思います。

くどくどと話を続けるロスを何とか追い出して慌てて寝室に戻るキャロル。
フレンズたちが自分を残して take off した(出発した)話をしていたロスは、「今度は、僕が行っちゃうよ、帰っちゃうよ。いいんだね?」みたいにドアの外で言っています。
フレンズたちには去られ、キャロルには引き止められることもなく、最後までかわいそうなロスでした。


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posted by Rach at 10:59| Comment(2) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする