2010年04月10日

シットコムと吉本の共通点 フレンズ4-19その6

「ゲームに勝った方が、部屋もニックスのチケットも両方もらえる」という賭けをすることにした4人。
結局、トランプのゲームで男性陣が勝ってしまいます。
早速ニックスの試合を楽しんできた男性陣が、おみやげのTシャツをあげようと女性陣の部屋(小さい方の部屋)を訪ねるのですが…。
(He knocks on the girls' door and walks in. Surprise! The girls, obviously using Star Trek technology, have completely moved everything in both apartments back to their original positions, all in the time it took for the guys to go to a basketball game. Wow! Anyhoo, Chandler is stunned, and Joey doesn't even realize it.)
チャンドラーは女性陣のドアをノックして中に入る。そしてびっくり! 女性陣はどう見てもスタートレックのテクノロジーを使ったようで、2つの部屋のもの全てをそれぞれ元の場所に完全に移動させていた、男性陣がバスケの試合に行っている時間内に。ワオ! とにかく、チャンドラーは唖然としているが、ジョーイはそのこと(部屋が交換されていること)に気づいていない。
チャンドラー: Oh. Oh, God! (He starts running around like a chicken with his head cut off.) (ああ、なんてこった! [頭を切り落とされたニワトリのように、走り回る])
ジョーイ: Hey, want a beer? (Hands him a beer and sits down in one of the chairs.) (Jumping up.) WHOA!! (おい、ビールいるか? [チャンドラーにビールを渡し、チェアの1つに腰を下ろす] [飛び上がって] わぁっ!)
チャンドラー: I know! (そうだろ!)
(They both sprint to what used to be their apartment.)
二人は自分たちの部屋だったところにダッシュする。
チャンドラー: Open up! Open up! Open up! (開けろ! 開けろ! 開けろ!)
(A very angry Monica opens the door with the security chain still on.)
非常に怒った(顔の)モニカが、チェーンロックをかけたままドアを開ける。
モニカ: We'll discuss it in the morning. (Slams the door shut.) (その件は明日の朝に話しましょう。[ドアをバタンと閉める])
チャンドラー: What the hell is going on? (一体何が起こってる?)
(It's Rachel's turn to open the door.)
レイチェルがドアを開ける番。
レイチェル: We took our apartment back! (Slams the door shut.) (私たちの部屋を取り返したのよ! [ドアをバタンと閉める])
フィービー: (opening the door) I had nothing to do with it. (Closes the door.) (Opens the door.) Okay, it was my idea. But I don't feel good about it. ([ドアを開けながら] 私は関係ないけどね。[ドアを閉める] [ドアを開ける] いいわ、私のアイデアなの。でも、いい気持ちはしないわ。)

今回はちょっとト書きにも注目してみます。
部屋がすっかり元通りになっているのを見て驚くチャンドラーですが、The girls, obviously using Star Trek technology というト書きが、トレッキーの私としては面白いです。
あまりにも見事に元通りになっているので、スタートレックの転送装置でも使ったのか?と言いたいのですね。
スタートレックの転送技術については、転送して、神様 フレンズ3-17その11 で説明しています。

日本人だったら、「ドラえもんの道具でも使ったのか」とでも表現されそうな感じですね。(実際、少し前のドラえもんで、ひみつ道具を使って簡単に引っ越しする話を放映していました)

チャンドラーは部屋の変化にすぐ気づいたのに、ジョーイはそれに全然気づいていないことも、ト書きでちゃんと描かれています。(「頭を切り落とされたニワトリ」の例えはすごい…笑)
ジョーイは冷蔵庫からビールを取って、それをチャンドラーに渡し、革のリクライニングソファーに深々と腰を下ろします。が、しばらくしてから飛び上がって叫んでいますね。
かなり時間が経ってから、やっとその事実に気づいたということです。
I know! は「知ってる! そうでしょ!」というモニカの口癖ですが、ここでは「そうだよ、俺はとっくに気づいてたよ。お前もやっとわかったか」という感覚ですね。

女子の部屋を訪ねたはずなのに、自分の椅子があるなんておかしいじゃん!とやっと気づいたわけですが、この長い間(ま)を置いてから気づく、というギャグは、吉本新喜劇の内場勝則さんの持ちネタにありますね。
(ちょっと脱線しますが、わかる人にはわかるネタなので、説明させて下さい…笑)

Wikipedia 日本語版: 内場勝則 の「舞台でよく言うセリフ(持ちネタ)」という項目に、以下の説明があります。

ひどく驚いた時は「イィィィィーーー!」(『え』と『い』の中間の音)
これの発展系として、重大な事実を告げられた時にその直後は平然と振る舞い、相当の間を置いた上で「イィィィィーーー!」と叫び笑いを取るパターンもある。


この「相当の間を置いた上で」というのが、今回のジョーイのボケに通じるものがあります。
私の記憶に残っているのは以下のような話。
旅館の宿泊客の内場さんが、部屋に帰ってテレビをつけるとニュースをやっていて、「この事件の容疑者は…」と自分の名前が登場したのにも関わらず、それを聞いていなかったかのようにしばらく新聞を読んでいて、かなり間があいてから、「いぃぃぃーっ?」(確かに「え」と「い」の中間音なんだな、これが)と驚く、というもの。
お客さんの方も、その「いぃぃぃーっ?」が出るまで笑いをくっとこらえているという、舞台と客席との妙な一体感すらあります。
シットコムと吉本で同じようなギャグがある、というのは楽しいですよね。
どちらがどちらかの真似をしたわけではないでしょうから、英語と日本語の違いはあれど、お笑いの発想は似ている、ということですね。

慌てて大きな部屋に突進するチャンドラーとジョーイ。
security chain 「ドアチェーン、チェーンロック」をかけたままドアを開ける、というト書きも、勉強になりますね。
直訳すると、「チェーンロックをまだオンした状態でドアを開ける」という感じです。

怖い顔をしたモニカが、We'll discuss it in the morning. と言いますが、これも直訳すると、「それは朝に議論しましょう」ということで、「何か言いたいことがあって訪ねてきたんでしょうけど、もう今日は夜遅いから、その話なら(or 何か話があるのなら)明日の朝にして!」と言って、この場で議論することを拒否しているセリフになります。

チャンドラーたちは状況が飲み込めず首をひねっていますが、観客は大喜び。女性陣うまくやったね!という感じの歓声・拍手も起こっています。

次はレイチェルの番。
「私たちは、自分たちの部屋を取り返したのよ」とだけ言って、またドアをバタン。
あなたたちがニックス戦で浮かれている間に、部屋は返してもらったわ!という勝利宣言ですね。

最後にフィービーもドアを開けています。
今回の賭けは、チャンドラー&ジョーイ vs モニカ&レイチェル、の戦いだったので、フィービーは部外者なのですが、関係ないはずのフィービーまでもが、「私にも一言言わせて」とばかりに登場するのが、いかにもコメディーっぽい笑いです。
わざわざドアを開けて、「私は無関係だけどね」と言うのが、日本のお笑い(吉本新喜劇など)でもよくある三段落ちの感覚ですね。(「3人目は必ずボケろ!」というのが、吉本の鉄則ですから…笑)

フィービーのセリフは、単なる三段落ちでは終わらず、「無関係って言ったけど、実は関係がないこともない」と言い直しているのも楽しいです。
関係がないどころか、「二人がニックスの試合を観戦している間に、こっそり部屋を交換しちゃったら?」と提案したのがフィービーだったということ。
feel good about... は「…に良い気持ちを感じる、…をよく思う」ということで、「部屋を交換しようって提案したのは私だけど、あなたたちのことを考えると、申し訳ないって思ってるわ、心苦しいと思ってるわ」というような感じでしょうね。


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2010年04月08日

「結婚」と言ってしまう フレンズ4-19その5

イギリス人である恋人エミリーが、しばらくアメリカに滞在した後、いつもイギリスに帰ってしまうことをとても寂しく思っていたロスは、アメリカに引っ越して僕の部屋に住んだらどう?とエミリーを説得します。つまり、同棲しようという提案ですね。
イギリスからアメリカに引っ越すなんて自分の人生全てに関わることだわ、と言うエミリーは、ロスがイギリスに来てくれればと言うのですが、
ロス: No, I can't. I would. I really would. But my son is here. I can't leave him. Isn't, you don't think there's any way? (だめだよ、できないよ。(できるなら)そうしたい。本当にそうしたいけど、僕の息子がここアメリカにいるんだ。彼を置いてはいけないよ。他に方法はないって思う?)
エミリー: Ohh, I don't think so. I mean it would be different if it was way into the future, and, and, and we were getting married or something. (ああ、方法はないって思うわ。未来に向けての方法だったら、それはまた別だろうと思うけど。私たちが結婚する予定だとかならね。)
ロス: What? (何だって?)
エミリー: Oh no, no, right. I shouldn't have said "married." Uh, please don't go freaky on me. I didn't mean it. Well, I didn't say it. I take it back. (ああ、違う、違うの。「結婚する」なんていうべきじゃなかったわね。あぁ、お願いよ、どうか私に対してビビらないでね。そういうつもりで言ったんじゃないの。そう、私はそんなこと言ってない。今のは撤回するわ。)
ロス: No, no, don't. Why don't we? (いや、いや、撤回なんかしないで。僕たち、そうしたらどう?)
エミリー: Why don't we what? (そうしたらどう、って何を?)
ロス: Get married. (結婚することさ。)
エミリー: You are mad! (あなた、どうかしてるわ!)
ロス: No! No! I'm not! It's-it's-it's perfect. I mean it's better than you just, just moving here, 'cause it's us together forever, and that's-that's what I want. (そんなことないよ! 僕はおかしくなんかないよ! 完璧だよ。君がただここに引っ越してくるより、ずっといい。だって僕たちが永遠に一緒にいることになるんだよ。そして、それが僕の望んでいることだ。)

ロスとエミリーはお互い、自分の国に相手が住んでくれることを望みますが、それぞれ、自分の国での生活や家族があるため、踏み切れません。
話の流れで、ついエミリーが「結婚するというような未来の具体的な計画があれば、話は別だけど」と言ってしまいます。

I shouldn't have said "married." の should have+過去分詞は「…すべきではなかった(のに…してしまった)」ですね。
こんな状況で、そんな言葉を軽々しく口にすべきじゃなかったわ、ということです。
I didn't mean it. は「そんなつもりで言ったんじゃない、本気で言ったんじゃない」ということ。
つい口から出てしまったけど、結婚するなら引越しを考えてもいい、みたいに私が条件を出したわけでもないし、今すぐ結婚したいと私が思っているわけでもない、ついもののはずみで言葉が出ただけよ、深い意味なんてないわ、という感じですね。
take back は「(言葉などを)撤回する、取り消す」。
married という言葉を言ったことは忘れて、今の発言は撤回するわ、ということです。

安易に married という言葉を出してロスがビビることを恐れたエミリーでしたが、ロスの反応は意外なものでした。
Why don't we? は「…したらどう? …しようよ」という提案・誘いの言葉ですね。
ロスが、Why don't we get married? 「僕たち、結婚するのはどう?」と言っているのを知って、エミリーは信じられないという顔をしますが、ロスは、その提案がバカげたものではないことを説明します。

エミリーと離れたくなくて、僕のうちに住むこと、同棲することを提案したけど、それよりも結婚の方がいい、だってそうしたら永遠に一緒にいられるんだから、ということです。
一時的にじゃなくて、僕は君とずっと一緒にいたい、だから、結婚するってことがまさに僕が望むこと、僕の希望をかなえる最善の方法なんだよ、ということに気づいたのですね。

この後、あまりの展開に驚くエミリーと、この方法が一番いい方法なんだと説得するロスとの間でやり取りが続きます。
エミリーもロスのことを愛していて、ロスと離れたくないのは同じ。
ロスの熱心な説得に、エミリーもついには結婚を承諾します。

アメリカのドラマや映画でよく見かけるプロポーズのセリフ、"Emily, will you marry me?" 「エミリー、僕と結婚してくれる?」も登場します。
男性が女性の前に膝をついてこのセリフを言うのがお決まりなんですよね。
その場に指輪を持っていないロスは、耳のピアスのリングを外し、それを指輪の代わりにしようとします。
結局、サイズが小さくて、指輪の代わりにはなりませんでしたが、今回、ロスがピアスをしていたのは、この突然のプロポーズに繋げるための伏線だったんだな、とわかって、面白いなと思いました。


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2010年04月06日

アルジャーノンに花束を フレンズ4-19その4

モニカ: (entering with Rachel) All right, boys. Last chance for the tickets. ([レイチェルと一緒に部屋に入ってきて] いいわ、男子達。チケットの最後のチャンスよ。)
レイチェル: Otherwise, I'll give them to my new boyfriend, Joshua. (さもないと、そのチケットを私の新しい恋人ジョシュアにあげちゃうわよ。)
チャンドラー: No, thank you. (いいや、結構だ[いらないよ]。)
ジョーイ: Wait, wait, wait, wait! (To Chandler) Come on, come on! Let's trade. The timing's perfect! I just clogged the toilet! (待って待って待って! [チャンドラーに] なあ、なあ! 交換しようよ。完璧なタイミングなんだ! 俺、ちょうどトイレを詰まらせちゃったんだよ!)
チャンドラー: Look, I want those basketball seats as much as you do. Okay? But we can't live in the small apartment after we've lived here! Didn't you ever read Flowers for Algernon? (なぁ、俺はお前と同じくらい、あのバスケの席を欲しいと思ってるよ、だろ? でも、ここに住んでしまった後で、あの小さな部屋に住むことなんてできないよ! お前は「アルジャーノンに花束を」を読んでないのか[読まなかったのか]?)
ジョーイ: Yes! Didn't you ever read Sports Illustrated? No, I didn't read yours! But come on, we can go to the game tonight! (読んだよ! お前こそ、「スポーツ・イラストレイティッド」を読んでないのか? いいや、(やっぱり)お前の言った本を俺は読んでないよ! でも、なぁ、俺たち今夜、試合を見に行けるんだぞ!)

モニカとレイチェルは、チケットと部屋を交換する最後のチャンスだと言って、チャンドラーとジョーイに迫ります。
チャンドラーは、「遠慮する」と断るのですが、ジョーイはやっぱりチケットをあきらめきれません。
「今、交換するにはタイミングがパーフェクトなんだよ!」と言っていますが、その理由は、「トイレを詰まらせちゃったから」(笑)。
clog は「(管などを)詰まらせる」という意味で、フレンズ2-16その1 でも説明しました。

「たった今(ちょうど)トイレを詰まらせてしまった」という意味では、「少し前に詰まらせて、今でも詰まった状態である」ことから、本来であれば「現在完了形」が使われるところですが、アメリカ英語ではこのように、イギリスなら現在完了形を使うところを、あっさりと(簡単な)過去形で済ましてしまう、ということも多いですね。
just という副詞が入っているので、過去形であっても、現在完了形のニュアンスに近いことがわかる、ということでしょう。
トイレを詰まらせてそれを直すのが面倒くさいから、このタイミングでモニカたちに部屋を返しちゃおうよ、とジョーイは言いたいのですね。

チャンドラーは、今のこの広くてきれいな部屋に住んでしまった後で、元の小さな部屋には住めないよ、と言っています。
その後で、「お前は「アルジャーノンに花束を」を読まなかったか?」と言っていますね。
「アルジャーノンに花束を」は、日本語にも翻訳されている有名な小説ですね。
日本語では「アルジャーノン」という表記になっていますが、チャンドラーの発音は「アルジャノン」という感じです。

Wikipedia 日本語版: アルジャーノンに花束を

知的障害を持った青年チャーリィが脳手術によって天才になるお話です。
あらすじなどは、上のウィキペディアに詳しく書いてありますので、それをご覧になって下さい。

手術を受けて、さまざまな知識を身に付け新しい世界を知ってしまったチャーリィは、元の何も知らなかった頃の自分には戻れない、というような意味で、例えに出したのだと思われます。
何もわからなかった頃は、その現状に満足していた、でも、もっと素晴らしい世界があることを知ってしまったら、もう元には戻れないんだ、こんな大きくて快適な部屋で暮らすことに慣れてしまったら、今さら元の小さな部屋には戻れないよ、ということですね。

Didn't you ever read...? という否定の疑問文は、「読まなかったのか? 有名だからもちろん読んで内容を知ってるはずだろ?」というニュアンス。
Have you ever read...? だと「今までにそれを読んだことがあるか?」という「読んだ経験を尋ねる」文になりますが、今回の場合は、読んだかどうかを尋ねているというよりは、「当然読んでるよな? 読んでないってことはないよな?」という気持ちで「読まなかったのか?」と言っている感覚でしょう。

当然読んでて内容を知ってるだろ?みたいに言われたジョーイは、Yes! と答えます。
この yes はこれまで何度も説明してきましたが、否定疑問文に対して yes と答えるのは肯定の意味、すなわち、Yes, I read the book. 「ああ、その本は読んだ」という意味です。
「英語を英語のまま理解する」というのは、この Yes. を聞いて、「うん、(お前の言う通り)読んでない」ではなく、「読んだよ」という意味であることを瞬時に理解する、ということですね。
「Yes=はい」だと機械的に覚えていると、これを「はい」だと思ってしまい、チャンドラーの言った内容「読んでいない」を肯定しているかのように受け止めてしまいがちです。
こういう Yes / No の感覚は、実際に英語のセリフをたくさん聞いていると、自然に理解できるようになってきます。
難しい単語の意味をたくさん知っているよりも、こういう Yes / No の感覚をしっかりわかっていることが、ずっと大切だと私は思っています。
返事が肯定か否定かというのは、会話の中で大切なポイントなので、そこを勘違いしてしまうと、会話がおかしくなってしまうからです。

読んだ、と答えつつも、その本の内容には触れず、今度はジョーイが別の本の名前を出して、「お前こそ、この本を読んでないのか?」と言うのですが、その本のタイトルは、Sports Illustrated。
illustrated は「写真・さし絵入りの、図解付きの」なので、その名前を聞くだけでも、スポーツの写真などが載っている本(雑誌)だとわかりますね。

Wikipedia 日本語版: スポーツ・イラストレイテッド

日本語版の「概要」に書いてありますが、スポーツだけではなく、「水着特集(Swimsuit Issue)」というのがあるようです。
Sports Illustrated で検索すると、水着のおねーさんの表紙の画像がたくさんヒットしたのは、そういうわけだったのか、と(笑)。

「アルジャーノンに花束を」という小説を持ち出したチャンドラーに対して、「ニックスのチケットに心を惹かれないなんて、お前はスポーツ誌を読んでないのか?」と返したわけですが、その雑誌はそのような水着特集でも有名なので、ジョーイがいかにも好きそうな雑誌であるのが、セリフとして余計に面白いということでしょう。
チャンドラーは「何も知らない頃には戻れない」という例えで、有名な小説を挙げたのですが、それに対抗するためには、「また元の場所に戻って幸せな暮らしだってできる」というような小説でも挙げるしか勝ち目はないですね。
ジョーイの場合はそういうひねりも何もなく、ニックスを重要視しないチャンドラーに、「お前はスポーツ誌を読まないのか? どれだけニックスがすごいチームか、ニックスのコートサイドチケットにどれほどの価値があるのかわかってないのか?」みたいに返したので、ジョーイはその「アルジャーノンに花束を」の例えの意味が全くわかっていないことが判明するわけです。

それで、「さっきは読んだって言ったけど、やっぱり本当は読んでないよ、内容は知らないよ」と認めた上で、本の例えで対抗するのはあきらめて、チケットと交換したら、早速今晩、試合を見れるんだぜ!と力説しているのですね。


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2010年04月03日

もっとからかって欲しいの? フレンズ4-19その3

元の部屋を返してくれるなら、ニックスのシーズンチケットをあげる、と女性陣に言われたチャンドラーとジョーイですが、それをチャンドラーは断ります。
ですが、ジョーイはまだチケットをあきらめきれません。
ジョーイ: Come on. Season tickets! Season tickets! You know what that means? (なあ、シーズンチケットだ! シーズンチケットだぞ! それがどういう意味かお前もわかってるだろ?)
チャンドラー: Forget it. Okay? I'm not giving up the apartment. (もう忘れろよ、いいか? 俺はあの部屋を手放すつもりはないんだ!)
ジョーイ: Oh, come, look, when I was a kid, my dad's company gave season tickets to the No. 1 salesman every year, all right? My dad never won. Of course, he wasn't in the sales division. But still, I never ever, ever forgot that! (あぁ、なぁ、俺が子供の頃、俺のパパの会社は、毎年ナンバーワンのセールスマンにシーズンチケットをあげてたんだよ。俺のパパは一度もそれを勝ち取ることがなかった。もちろん、パパはセールス部門にはいなかったんだけどね。でも、それでも、俺は絶対に絶対にそのこと(シーズンチケットをゲットできなかったこと)を忘れなかった!)
ロス: (entering) Hey, guys! (They both notice his new little friend) ([セントラルパークに入ってきて] やあ、みんな! [チャンドラーとジョーイは二人とも、ロスの新しい小さな友達(ロスがしているイヤリング)に気づく])
ジョーイ: Hey! (おい!)
チャンドラー: Oh, my God! (何てこった!)
ジョーイ: We don't make enough fun of you already? (俺たちがお前をバカにするの、まだし足りないのか?[もっとバカにして欲しいのか?])

ニックスの大ファンであるジョーイはまだチケットにこだわっています。
今の広くてきれいな部屋を交換する、手放すつもりはない、というチャンドラーに、ジョーイは自分の子供の頃の話を聞かせます。
彼のパパの会社では、ナンバーワンの成績だったセールスマンは、シーズンチケットがもらえる、という制度になっていたのですね。
パパはそれを一度ももらったことがなくって…と言うのですが、その後、付け足しのように、「もちろんそれは、うちのパパがセールスマンじゃなかった、営業部門の人間じゃなかったから、当然なんだけど・・・」と言っています。
still 「それでもなお」、パパの会社で成績の良かった人はそういうのがもらえるって知って、すごくうらやましかった、ずっと俺は悔しい思いをしてたんだよ、その夢が今、叶おうとしてるんだよ!と言って、チャンドラーを説得しようとしているのですね。

ナンバーワン・セールスマンはシーズンチケットを貰えた…という話を聞いたあたりで、フレンズに詳しい人は、「ジョーイのパパはセールスマンじゃなかったはず…」とピンと来た方もいるかもしれません。
ジョーイのパパは、配管工(plumber)だという話は、配管工plumber フレンズ3-10その22 のセリフに出てきましたよね。

ロスは耳にイヤリングをして入ってきます。
ト書きでは、そのイヤリングのことを his new little friend と書いてありますが、見慣れないものをつけているので、そんな風に表現しているのですね。

このエピソードの最初の方で、エミリーに勧められてイヤリングをつけるようになったことが説明されるシーンがあります。
後のセリフでは、I got my ear pierced. 「僕は耳に(ピアス用の)穴を開けた」というセリフも出てきます。
ちなみに、日本語では耳にあけた穴に通して付けるイヤリングのことを「ピアス」と言いますが、英語ではそれは earring (または、pierced earring )と言うようです。
そういうピアス用のイヤリングを指す場合は、「ピアス」だけでは通じないみたいですね。
pierce は「・・・を突き通す、…に穴をあける」という動詞なので、ああいう形状のイヤリングそのものは指さないということです。

We don't make enough fun of you already? は現在形の否定形。
We make enough fun of you already. 「俺たちは、もうすでに、お前を十分バカにしている、笑い者にしている」という現在形を、否定した形です。
「もうすでに、お前のことを、十分笑い者にしてると思うけど、まだ十分じゃないの?」みたいなニュアンスですね。
「まだからかい足りないかな?」みたいな感じでしょう。

友達のロスに対しては、友達である気安さから、いろんなことでこれまでからかってきたけど、またそんな、からかいの対象になるようなもの(ピアスのイアリング)を付けて登場するなんて、お前は俺たちに、もっとからかってバカにしてもらいたいと思ってるのか?、今までの分じゃ、まだからかい足りないとでも言うのか?と言っているのです。


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2010年04月01日

そう来るとは思わなかった フレンズ4-19その2

モニカとレイチェルが、ジョーイとチャンドラーの部屋に入ってきて、
モニカ: Hey, guys, what-what should I wear to a Knicks game? (ねえ、ニックスの試合に何を着ていくべきかしら?)
チャンドラー: Uhh, a T-shirt that says, "I Don't Belong Here"? (「私はここにふさわしくない」って書いてるTシャツは?)
ジョーイ: You have Knicks tickets? (君たちはニックスのチケットを持ってるの?)
レイチェル: Yeah, my mom got my dad's season tickets in the divorce, so she just gave them to me. (ええ。離婚の時にママがパパのシーズンチケットをゲットしたのよ。それでママがそのチケットを私にくれたの。)
モニカ: Yeah, apparently, they're pretty good seats. (そうよ。どうやら、かなり良い席みたいだけど。)
レイチェル: Yeah. (そうね。)
ジョーイ: (examining the tickets) Oh, my God! Those are almost right on the floor! ([チケットをよく見ながら] なんてこった! フロアのすぐ傍じゃん!)
レイチェル: Do you guys want these? (あなたたち、このチケット欲しい?)
ジョーイ: Yeah! (ああ!)
チャンドラー: Yeah, we do! (ああ、欲しいよ!)
レイチェル: Ohh, well, you got 'em. (ああ、そうね、あげるわ。)
ジョーイ&チャンドラー: All right! (よし!)
レイチェル: Just give us our apartment back. (ただ私たちの部屋を返してくれたらね。)
フィービー: Boy! I didn't see that coming. (まあ! そう来るとは思わなかったわ。)

普段はあまりスポーツに興味のなさそうな女性陣(モニカとレイチェル)が、バスケのニックスの試合に何を着て行ったらいい?と尋ねてくるので、チャンドラーは、"I Don't Belong Here" と書いたTシャツを着て行ったらいいんじゃない?と答えています。
a T-shirt that says の say は「(印刷物や掲示などに)…と書いてある」という意味ですね。
belong は、belong to の形では、「(…に)属する」という意味。
また、belong in などの形では、「(人・ものが)(ある・いるべきところに)ある・いる、ふさわしい」という意味になります。
belong here を直訳すると、「ここにいるのがふさわしい」ということなので、それを否定した don't belong here は「ここにいるのはふさわしくない、場違いである」という意味になります。
ですから、I don't belong here. は「私はここでは場違いだ、ここは私の来るところじゃない」というような感覚ですね。

フレンズ1-10その5 にも、"You belong in Minsk." 「あなたはミンスクにいるべき人よ」というセリフが出てきましたし、その時に、映画「インデペンデンス・デイ」の大統領(ビル・プルマン)のセリフ、"I belong in the air." 「空が俺の居場所なんだ」というセリフもご紹介しました。
そういう「”いるべきところに”いる」という感覚が belong なのですね。

スポーツに興味のない女性陣はニックスの試合を観戦してもただ場違いなだけだよ、と言いたくて、「場違い」だと書いたシャツを着れば?と言ったのですね。

離婚の時にママがパパからゲットしたシーズンチケットを見せるレイチェル。
Those are almost right on the floor! を直訳すると、「その席は、ほとんどまさにフロアの上!」みたいな感じでしょうから、バスケットコートのすぐ傍の席、コートサイドの席ということですね。

ニックスの、それもとても良い席のチケットを見せて、「欲しいならあげるわよ」と申し出るレイチェルたち。
喜んだ男性陣に対して、キツい調子で、Just give us our apartment back. と言うレイチェルに笑ってしまいます。
このチケットが欲しいなら、文句を言わずに(元々は女性陣の部屋だった)この部屋を私たちに返しなさい、ということです。
喜んでいたジョーイとチャンドラーが、それを聞いてひるむのも面白いですし、観客からも「よくぞ言った、レイチェル!」のような拍手と歓声が上がっています。

フィービーの、I didn't see that coming. を直訳すると、「それが来ることがわからなかった」という感じでしょうか。
まさに日本語の「そう来るとは思わなかった」「そう来たか」と同じ感覚です。
男子なら欲しくてたまらないチケットを見せびらかしに来たのはそういうことだったのね、そういう展開になるわけか、と面白がっている感じですね。


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2010年03月30日

あなたの愚痴にはうんざり フレンズ4-19その1

シーズン4 第19話
The One with All the Haste (ロスのプロポーズ)
原題は「全く急ぎの話」

賭けに負けたため、男性陣と女性陣は部屋を交換しました。(フレンズ4-12)
土曜日の朝早くから、隣のアパートの男性が大声で歌を歌っているのが聞こえて、レイチェルはすっかりキレてしまいます。
レイチェル: I hate this apartment! I hate the color of these walls! I hate the fact that this place still smells like bird! I hate that singing guy! (このアパート(の部屋)、大嫌い! この壁の色も大嫌い! この場所はまだ鳥みたいな臭いがするってことも大嫌い! あの歌う男も大嫌い!)
ジョーイ: Are you kidding? I love that guy! (Starts singing) Morning's here! Morning is here.... (冗談だろ? あの人大好き! [歌い始める] ♪朝が来たー 朝が来たー♪)
レイチェル: Stop it! I will kill you. I hate the fact that my room is so small. (やめて! 殺すわよ。私の部屋がとても狭いってのも大嫌いよ。)
モニカ: Hey, I have all the space I need. Just do what I did. (ねぇ、私には必要なスペースが十分あるわ。私がしたことをただあなたもしなさいよ。)
レイチェル: Monica, you don't even have a bed. You sleep in a ball on the floor! (モニカ、あなたはベッドさえないじゃない。あなたは床で丸まって寝てるのよ!)
モニカ: Y'know what? I am really tired of your bellyaching, okay? I've worked really hard at making this a nice place for us to live. (ねえ。私はほんとにあなたの愚痴にはうんざりよ、いい? この場所を、私たちが住むのに快適な場所にするのに、私は本当に一生懸命働いたのに。)
レイチェル: I know. I'm so sorry. I'm sorry, okay? (そうよね。本当にごめんなさい。ごめんなさい。ね?)
ジョーイ: See, this is a great apartment! (なあ、ここは素敵な部屋だよ!)
モニカ: Shut up! This place is a hole! (黙れ! この場所は(穴みたいに)ひどい場所よ!)

隣の男性の歌声にキレたレイチェルは、男性陣と交換した今のこの部屋がどんなに嫌いかということを次々と挙げていきます。
「まだ鳥の臭いがする」というのは、ジョーイたちがこの部屋でニワトリとアヒルを飼っていたからですね。

「あの歌う男も嫌い!」と叫ぶレイチェルに、「うそだろ? 俺はあの人大好きだよ」と言って、彼が歌っている歌をジョーイも真似して歌ってみせます。
この Morning's here という歌ですが、どうやらチャック・マンジョーネの Feel So Good のメロディーに乗せて歌っているようですね。
Feel So Good はボーカルなしの楽器演奏のみの曲なので、そのメロディーに適当な歌詞を付けているということでしょう。

フィール・ソー・グッド (チャック・マンジョーネ)
フィール・ソー・グッド

Amazon では、「試聴用サンプル」で曲を視聴することができます。
興味のある方は、あの男性が高らかに歌う ♪ Morning's here ♪ のメロディーと同じであることを確認してみて下さい。

チャック・マンジョーネは、フレンズ3-25その6 のセリフに登場しました。
フィービーがパパだと思った写真の人は、チャック・マンジョーネだった、というセリフでしたね。

部屋も狭いと文句を言うレイチェルに、モニカは「レイチェルも私の真似をしなさい」と言っています。
You sleep in a ball on the floor! ですが、「床のボール(球)の中で眠る」というのは意味不明なので、これは恐らく、「床の上で、球のような形になって丸まって眠る」ということだろうと思います。
女の子なのでたくさんの服を入れるための衣装ダンスなどを入れてしまうと、ベッドも入らないのでしょうね。
だから床に寝ているのでしょうが、ベッドを入れなくてもまだ狭くて、床の上でも丸まって寝ないといけないほどの状態じゃない!とレイチェルは言いたいのだろうと思います。
「床の上で寝ている」だけではなく「床の上で丸くなって寝ている」と表現することで、さらにその場所の狭さを強調しているのだろうと思います。

文句ばかり言うレイチェルに、今度はモニカがキレます。
bellyache は belly 「腹」 ache 「痛み」で、元々は「腹痛」という意味。
このように動詞として使うと、「くどくど・しつこく・しきりに愚痴・不平・不満を言う」という意味になります。
あなたはそうやって文句ばかり言ってるけど、この部屋を住みやすくするために掃除したりして頑張ったのは私なのよ、とモニカは怒っているのですね。
確かにそうだったと気づいたレイチェルは素直に謝ります。
仲直りした二人を見て、「そうだろ、この部屋はそんなに悪くないよ、いい部屋だよな!」みたいに言うジョーイですが、モニカは、この部屋は a hole だと返します。
hole はご存知「穴」ですが、「(穴のように)小さくて狭くてひどい場所」という意味もあります。
hole には「小動物の住まいである巣穴」という意味がありますので、そこからの連想なのでしょう。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hole :
7. UNPLEASANT PLACE (informal) a place for living in, working in etc. that is dirty, small, or in bad condition.

つまり、「不快な場所。そこに住んだりそこで働いたりする場所が、汚い、小さい、または悪い状態である」

やはりモニカも不満だらけらしく、「あんたにそんなこと言われたくないわ! やっぱりこの部屋は最低よ!」と言いたいのですね。


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2010年03月28日

名無しの男クリント フレンズ4-18その6

ジョーイとチャンドラーは、フィービーのお腹の子供に自分の名前をつけてもらおうと、フィービーにアピールしますが、その際に、ジョーイは「チャンドラーなんてばかげた名前だ」と言ってしまい、チャンドラーはまだそのことを気にしています。
ジョーイ: Dude, I am sorry about what I said. (なあ、あんなこと言ってごめんよ[俺が言ったことについては、悪かったと思ってる]。)
チャンドラー: Nope, nope, you're right. It is a ridiculous name! (いや、いや、お前は正しいよ。ばかげた名前だよ!)
ジョーイ: It's not that bad. (そんなに(お前が言うほど)ひどくないよ。)
チャンドラー: Yes, it is! From now on, I have no first name. (いや、ひどいよ! 今から、俺は名前(ファーストネーム)のない人間になる。)
ジョーイ: So, you're just Bing? (それじゃあ、お前はただのビング?)
チャンドラー: I have no name. (姓名[名字も名前も]なしだ。)
フィービー: All right, so, what are we supposed to call you? (いいわ。それじゃあ、私たちはあなたを何て呼ぶことになるのかしら?)
チャンドラー: Okay uh, for now, temporarily, you can call me... Clint. (よし、うーんと、今から、一時的に、俺をこう呼んでくれたらいいよ… クリントだ。)
ジョーイ: No way are you cool enough to pull off "Clint." (お前は全然、クリントって柄(がら)じゃないよ[クリントって名前にふさわしいほどにかっこ良くないよ]。)
チャンドラー: Okay, so what name am I cool enough to pull off? (よし。それじゃあ、俺がそれに十分ふさわしい名前は何だ?)
フィービー: Umm, Gene. (うーんと、ジーン。)
チャンドラー: It's Clint. It's Clint! (He heads for his bedroom.) (クリントだ。クリントだ! [チャンドラーは自分の寝室に向かう])
ジョーイ: See you later, Gene. (また後で、ジーン。)
フィービー: Bye, Gene. (じゃあね、ジーン。)
チャンドラー: It's Clint! Clint! (クリントだ! クリント!)
ジョーイ: What's up with Gene? (ジーンは(一体)どうしたんだ?)

チャンドラーという名前をジョーイにバカにされたチャンドラーは、もう俺はファーストネーム無しになる!と言っています。
それじゃあ、ただのビングになるのか?と言われて、それもいやだと思ったチャンドラーは、姓名共に無しの、全くの名無しになる!と宣言しています。
日本語では、ファミリーネームは、「名字・苗字(みょうじ)」と言いますが、ファーストネームの方は「名前」と言うので、「名前」という日本語だと、ファーストネームだけなのか、姓名両方なのかがわかりにくいですね。
今回のように、first name と name の違いを出すことが必要な場合は、特にややこしいです。

「名前無し、名無し」になる!と言われても、何かしらの呼び名がないとフレンズたちも困ってしまうので、何て呼んだらいいのかしら、何て呼ぶことになるかしら?とフィービーは尋ねています。
チャンドラーはしばらく考えた後、クリント(Clint)という名前を挙げていますね。

クリントという名前の響きがかっこいいからその名前を出した、という感じもするのですが、実は、「名無しの男」→「クリント」という流れは、クリント・イーストウッド(Clint Eastwood)の映画での役柄から来たもののようです。

Wikipedia 英語版: Clint Eastwood
ウィキペディアの最初の部分に以下の説明があります。
he went on to star as the Man With No Name in the Dollars trilogy of Spaghetti Westerns
つまり、「マカロニ・ウエスタン(イタリアで作られた西部劇)の「ダラーズ[ドル]三部作」での「名前のない男[名無しの男]」としてクリントはスターになった」

Dollars trilogy とは、The Man with No Name Trilogy とも呼ばれている映画三部作のことで、以下の3作品を指します。

A Fistful of Dollars (邦題:荒野の用心棒)
For a Few Dollars More (邦題:夕陽のガンマン)
The Good, the Bad and the Ugly (邦題:続・夕陽のガンマン/地獄の決斗)

イタリア人のセルジオ・レオーネ(Sergio Leone)監督により作られた、クリント・イーストウッド主演の西部劇です。
この映画をきっかけに、マカロニ・ウエスタンというジャンルが人気になるのですね。
このようにイタリアで作られた西部劇を日本語では「マカロニ・ウエスタン」と呼んでいますが、英語ではそれを Spaghetti Westerns (スパゲティ・ウエスタンズ)と呼んでいるのも興味深いところです。

はっきりと「三部作」として作られたものではないようですが、その三作では、クリント・イーストウッドが名無しの寡黙なキャラとして登場しているので、シリーズものとして捉えられているようです。
3つのうち、2つのタイトルに、Dollars という単語が入っているので、Dollars trilogy と呼ばれているようですね。

その「名無しの男」については、詳しくは以下で。
Wikipedia 英語版: Man with No Name
そのウィキペディアの Name という項目に詳しく書いてあるのですが、クリント演じる「名無しの男」は、三部作それぞれの映画の中で、それぞれ別のニックネームで呼ばれています。
(1作目は Joe (ジョー)、2作目は Manco (モンコ)、 3作目は Blondie (ブロンディー)。)
でもそれはあくまでも「あだ名、呼び名」であって、彼の本当の名前ではない、という設定だそうです。

Wikipedia 日本語版: 続・夕陽のガンマン
の「概要」という項目にも、「「名無し」役は三つの仇名で呼ばれる」「三作とも単なる仇名である」という記述があります。

ですから、チャンドラーが、「俺は名無しの男になる」→「クリントと呼んでくれ」と言ったのは、この有名な映画三部作で、クリント・イーストウッドが、the Man With No Name という役柄を演じていたことが出典であるのは恐らく間違いないでしょう。

「俺をクリントと呼んでくれ」と言うチャンドラーに、ジョーイは、No way are you cool enough to pull off "Clint." と言っています。
no way は「決して…ない」という強い否定です。No way! と単独で使うと、「とんでもない! 絶対だめだ! いやだ!」という意味になりますよね。
No way are you cool enough... という文章で、are you と倒置になっているのは、「否定語が文頭に来た場合は倒置(否定語+V+S)になる」という文法事項に則ったもの。

pull off は、「(難しいこと・困難なことを)見事に・うまく・首尾よくやってのける、成功させる」という意味があります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
pull off (phrasal verb)
1. pull something off / pull off something (informal) to succeed in doing something difficult
例) The Huskies pulled off a win in Saturday's game.

つまり、「何か難しいことに成功すること」。例文は、「ザ・ハスキーズは、土曜日の試合に見事に勝利した。」

ですから、you are cool enough to pull off "Clint" は「クリントという名前を見事にこなすのに十分なほどかっこいい」となるので、それを no way で完全否定したジョーイのセリフは、「お前はクリントって名前にふさわしいほどかっこよくない、クリントって柄(がら)じゃないよ」と言っているのですね。

じゃあ、どんな名前ならふさわしいんだ?と返すチャンドラーに、フィービーは Gene という名前を出します。
Gene と言えば、「雨に唄えば」(1952)の Gene Kelly (ジーン・ケリー)や、「フレンチ・コネクション」「ポセイドン・アドベンチャー」などの Gene Hackman (ジーン・ハックマン)などがいますよね。

名前の持つイメージ(どういう名前がかっこ良くて、どういう名前がダサいか)は、ノンネイティブにとってはわかりにくいところです。
この場合も、クリント・イーストウッドのようなかっこいいイメージの「クリント」に比べて、それよりはかっこよくない感じの名前として「ジーン」という名前を挙げた、という可能性もありますが(全世界のジーンさま、お許しを)、いろいろ調べてみて、これも、クリントつながりの名前なのかなぁ?という気もしてきました。

英語の解釈から離れて、ただの趣味の世界に入ってしまいますが、「クリント」から「ジーン」という名前に繋がった経緯を、私なりに考えてみましたので、それを以下に説明しておきます。(自信はありませんが、一つの仮説として。)

上に名前が出たジーン・ハックマンですが、1992年のクリント・イーストウッド監督の映画「許されざる者」(原題:Unforgiven)で、主演のクリントと共演しています。
Wikipedia 日本語版: 許されざる者 (1992年の映画)

この映画はアカデミー賞の作品賞、監督賞を受賞し、ジーン・ハックマンは助演男優賞を受賞しています。

この映画で、ジーン・ハックマンは、悪役の保安官ビル・ダゲットを演じています。
その設定を考えると、「あなたはクリントっていうよりジーンよ」と言ったフィービーの頭の中には、この「許されざる者」の映画の配役のイメージがあったのでは?と思うのですね。
今回の フレンズ4-18 は、1998年4月に放映されたもので、1992年の「許されざる者」の後になりますから、その映画からの出典も十分考えられると思います。
つまりフィービーは、「あなたは主役のかっこいいクリント(・イーストウッド)じゃなくて、どっちかって言うと悪役のジーン(・ハックマン)の方が合ってるわ」と言いたかったのかなぁ、と。

ジーンと言われたのが気に入らないチャンドラーは、「クリントだ!」と頑張るのですが、ジョーイとフィービーは、もうジーンで決まりだ、とでも言うように、「じゃあね、ジーン」などと声を掛けているのが面白いです。
怒って寝室に入ってしまったチャンドラーを見て、「ジーンのやつ、一体どうしたんだ? 何怒ってんだ?」みたいに、まだ「ジーンねた」をしつこく引っ張っているのも楽しいですね。


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2010年03月26日

食事はその後で フレンズ4-18その5

ジョシュアのパパ(Mr. Burgin): So, have you kids eaten yet? (それで、君たちはもう食事をした?)
レイチェル: Well, we were going to do that after. I mean umm, next. (えーっと、私たちは後でそうする[食事する]つもりだったんです。つまり、その、次に。)
ジョシュアのパパ: Well, we're starving. Why don't we all go get something to eat? (そうか、私たちも腹ペコなんだよ。みんなで何か食べに行かないか?)
レイチェル: Oh, yeah, well.... Yeah, no use wasting this baby just lyin' around the house. (あぁ、そうですね、ええ、そうですわ。ただ家で寝転がっていて、このベイビーを無駄にするなんて、もったいないですよね。)
ジョシュアのパパ: So.... We'll go eat. (それじゃあ…食事に行こう。)
レイチェル: Yes. (はい。)
ジョシュアのパパ: You'll wear that. We'll be eating and, of course, you'll be wearing that. (君はそれを着るんだよ。私たちは食事をしている間、もちろん、君はそれを着ているんだ。)

ジョシュアを誘うために着ていたセクシーな服(下着 or ネグリジェ)を、ミラノで流行っている最先端のドレスだと説明したレイチェル。
ジョシュアのパパに、「君たち二人はもう食事は済ませたのか?」と尋ねられた時の、レイチェルの返事が面白いです。
We were going to do that after. と言って、慌てて next と訂正していますね。
after は「後で」ということで、つまりは「何かをした後で食べる予定だった」ということ。
実際に、両親が帰ってくるまでは、食事は後にして先にエッチをしようという予定だったので、ついそのことをポロッと言ってしまったのですね。
「(何かの)後で食べる予定だった」という意味で after という言葉を使ってしまうと、食事の前にすべきことがあった、食べる前に何か別のことをしようとしていたことがわかります。
そして何しろレイチェルがそういうセクシーな格好をしているわけですから、何をしようとしていたかもおのずと想像されてしまいますね。
それで、やばっ!と思ったレイチェルは、after を慌てて訂正し、next 「次に」、つまり、「今から、これから」食べようとしていたところなんです、と言い直したのですね。

実際に「エッチをする」というような言葉は一切使っていないけれど、その after の一語だけで観客は笑えてしまうわけです。
その面白さを英語のセリフから直接感じ取っていただければと思います。

We're starving. は「お腹が減った、腹ぺこだ」という意味。
starve は「餓死する、飢え死にする」「飢える」という自動詞で、このように現在進行形で「ものすごくお腹が減っている、腹ぺこである」という意味でよく使われます。
Why don't we...? は「…しないか? …しませんか?」と人を誘う、勧誘する時のお決まりフレーズですね。
go get something to eat は go (and/to) get something to eat で、「食べ物をゲットしに行く」。
文脈によっては、外で何か食べるものを買ってくる、という意味にもなりそうですが、この場合は、「外で食事しよう」という意味のようですね。eat out と同じニュアンスだと思います。

そう提案されて、レイチェルは言いよどみながらもそれに賛成しています。
this baby がどれを指すのかははっきりと仕草では示されていませんが、恐らくレイチェルの着ているセクシーな服のことでしょう。

no use doing は「…しても何もならない、役に立たない、無駄だ」。
waste は「浪費する、無駄にする」
lie around the house は「家でごろごろする、寝転がる」というようなニュアンス。
ですから、レイチェルのセリフは、「家でゴロゴロして、このベイビー(服)を浪費するなんて無駄ですものね」という感じになるでしょう。

lie around the house という表現は、「(エッチができずに)ただ家でぼーっと過ごす」というニュアンスに、「この下着を着て、ジョシュアと一緒に寝転がる」というニュアンスも含ませたものであるようにも思えます。
「家でゴロゴロするなんて、この服を浪費するだけで無駄なことだ」と言っているのですが、実際は彼とゴロゴロイチャイチャするために使おうと思っていた服がこの状況では使えないので、「どの道、この服は効果的には使えない」→「服を浪費するだけ」と表現したように思うのです。
「どうせ家で何をするでもなく時を過ごすだけですから外で食事もいいですわね」と返事しているように見えて、「このままじゃどうせジョシュアと寝転んでイチャつけないんだから、別に外出しても構わないわ」みたいなあきらめのセリフにもなっているように思えるということです。

ジョシュアのパパは終始ニコニコしていて、レイチェルのその姿がいたく気に入ったご様子。
外で食事する時も、君はその服を着るんだよ、と念押ししているのが面白いです。
will be eating は未来進行形で、その未来の時(この場合は外食している時)に、その動作が進行していることを示します。
外食中に、そこで私たちは食事をしていて、そしてもちろん君は、その服を着ているんだよ、という感じです。

ちなみに、ジョシュアのパパ役のジョン・ベネット・ペリーは、チャンドラー役マシュー・ペリーの実のお父さんだということを、フレンズ4-18その4 で解説しましたが、この最後のセリフ、You'll be wearing that. と言う時に、手を前に出す仕草とその表情が、何となくマシュー・ペリーに似ているような気がしました。(私だけ…?)


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2010年03月23日

あのお金は食費だったのに フレンズ4-18その4

ジョシュアはレイチェルを自分の実家に連れてきます。
その実家が大邸宅だったのでレイチェルはびっくり。
ジョシュアの両親は旅行中のため不在のはずだったのですが、その両親が旅行を早く切り上げて帰ってきてしまいました。
それを知らないレイチェルは、セクシーなレースのネグリジェ(or 下着)で、ジョシュアを誘惑しようとソファに座っていたところを、ジョシュアの両親に目撃されてしまいます。
ジョシュア: Uhh, Rachel, my parents. (あー、レイチェル。僕の両親だ。)
レイチェル: Ohh! So nice to meet you. (She goes over and shakes their hands.) Hello. (まあ! お会いできて光栄です。[両親のところに行って、握手する] こんにちは。)
ジョシュアのパパ(Mr. Burgin): Hi. (やあ。)
レイチェル: Hello. (こんにちは。)
ジョシュアのママ(Mrs. Burgin): Hello. Well, Joshua, that $500 was for groceries. (こんにちは。ねぇ、ジョシュア、あの 500ドルは、食料品(や日用品)のためだったのに[食料品・日用品を買うために渡した 500ドルだったのに]。)
レイチェル: What? This, this? Oh, no, oh no, no-no-no, this is not... that's not, that's not what it is. See, see, okay, I work in fashion. See and, and, this is a real dress, actually. It's, it's, they're, they're wearing it in Milan. So part of my job is to wear the clothes and then I see how people respond. And then I report back to my superiors at Bloomingdale's. So.... And obviously, in uh, in-in this case, (She grabs a pen and paper) I am going to report back: "U.S.A. not ready." (何ですか? これ、これ[この服]ですか? あぁ、違う、違う違う違う違うんです。これは違う、そういうものじゃないんです。あの、私はファッション業界で働いているんです。それで、これは本物のドレスなんです、実際に。それは… ミラノの人はそれを着ているんです。それで、私の仕事は、その服を着て、それから人々がどのように反応するかを見ることなんです。その後、ブルーミングデールズの私の上司に報告するんです。それで… 明らかに、今回の場合は、[レイチェルは(そばの台に置いてあった)ペンと紙を掴んで] 私はこのように結果を報告します。「アメリカはまだ(このドレスを受け入れる)準備ができていない。」)

セクシーにジョシュアを誘おうとしていたところを両親に見られ、気まずい空気が流れます。
レイチェルが着ているのは、紫と黒のレースのランジェリー(下着)のように見えるのですが、ト書きには、a lace nightie 「レースのネグリジェ」と書いてあります。
ネグリジェなのか下着なのかはともかく、いずれにしろ、露出度の高い、限りなく下着に近い衣装です。

気まずいながらも、レイチェルは、ジョシュアの両親と挨拶を交わします。
ジョシュアのママのセリフ、That $500 was for groceries. は、短い文章ながら、なかなか辛辣ですね。
groceries は「食料品や日用品」。このように複数形で使います。
直訳すると、「あの 500ドルは、食料品(や日用品)のため[を買うため]だった」ということ。
自分たち両親が旅行で不在になるため、事前に渡しておいたあの 500ドルは食費だったのに、という感じです。
つまり、「食費に渡したはずの 500ドルをジョシュアは別のことに使ったのね」と言っているのですが、それは暗に、目の前で露出の多いセクシーな格好をしているレイチェルを指して、「ジョシュアはその 500ドルで、この女性を買ったのね」と言っていることになりますね。
ジョシュアのママはレイチェルのことを、売春婦(a hooker, a whore)だと思っているわけです。

そのママのセリフから、自分がそういう「お金で買われた女性」であると誤解されたことに気づいたレイチェルは、「この服からそう判断されたのかもしれませんが、これはそういう服ではなくて、これは本物のドレスなんですよ・・・」と必死に弁解する流れになります。

ママは「あの 500ドルは食費だったのに」としか言っていないのですが、それだけで、「食費に渡しておいた 500ドルなのに、あなたはそれをこの女性を買うのに使ってしまったのね」と言いたいことがわかる、そこがこのセリフのポイントですね。
「あなたはお金で女性を買ったのね」とダイレクトには言わないところがセリフとしてしゃれていると思うし、そういう遠回しなニュアンスを英語のまま理解することが、「英語のセリフを楽しむ」ということだと思うのです。
ママはそのセリフで、ジョシュアが女性をお金で買ったことを示唆し、それを聞いたレイチェルも瞬時にそのセリフの意味を理解して、なんとか誤解を解こうとしている、そのやり取りを楽しんでいただけたらと思います。

また、レイチェルの必死の言い訳も面白いですね。
this というのは自分の着ている下着のような服のことで、この衣装を見てママが誤解したことがわかったので、どうして自分はこういうものを着ているのかを説明します。
a real dress というのは、「本物のドレス」ということで、とてもドレスには見えないと思いますけど、これは立派なドレスなんです、と主張しているのですね。
Milan はイタリアのミラノですね。英語では「ミラーン」という感じの発音になります。
本当はジョシュアを誘惑するための服なのですが、自分は本当にファッション業界の人間であることを利用して、これは最先端のドレスで、ミラノでは実際にこのドレスを人々は着ているんです、などと嘘をでっちあげています。

そして、ファッション業界で働く人間として、私はこの服を着て人々の反応を見て、その結果を上司に報告するという仕事をしているんです、と説明しています。
今、その結果が出た、という感じで、レイチェルは近くにあったペンとメモを取り、上司にはこのように報告することにします、と言った後、声に出しながらメモを書きます。

"U.S.A. not ready." は、U.S.A. is not ready. ということで、「アメリカはまだ準備ができていない」。
ミラノでは受け入れられているけれど、アメリカではこれをまだドレスとしては認識してもらえず、売春婦か何かかと誤解されてしまう。だから、このドレスをアメリカに持ち込むのはまだ早い、という感じですね。
実際に、アメリカの人の前で着てみたところ、まだ受け入れられる段階ではない、という貴重な結果が出ましたわ、このことを上司に報告しますわね、と言って、その場をごまかした、ということです。

ちなみに、ジョシュアのパパである、Mr. Burgin を演じているジョン・ベネット・ペリー(John Bennett Perry)は、チャンドラー役マシュー・ペリーの実のお父さんです。
Wikipedia 英語版: John Bennett Perry
IMDb: John Bennett Perry

ウィキペディアによると、何度か息子のマシュー・ペリーと共演したことがあるようですね。
今回のフレンズのことも書いてあります。(同じシーンでご対面することがなかったのは残念でしたが…)

ジョシュアのママは露骨にいやな顔はしないまでも、上のセリフのようにレイチェルのことをよく思っていないことがわかりますが、ジョシュアのパパの方は、レイチェルのセクシーな姿を見て嬉しそうな顔をしています。
資産家のご主人という設定ながらも、レイチェルにニヤニヤしてしまうところが何だか可愛くて、チャンドラー役のマシュー・ペリーの実のお父さんだと言われればそうかもなと思えるような共通点も感じられる気がしました。


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2010年03月19日

三面記事の有名人と同名 フレンズ4-18その3

フィービーは今、弟フランク夫婦の代理母になっています。
代理母として、みごもっている三つ子ちゃんの一人の名前を考えて欲しいと言われ、どんな名前にしようか考えているところ。
フィービー: So, I decided I'm definitely going to go with either Joey or Chandler. (それで、絶対にジョーイかチャンドラーかのどちらかでいこうって決めたわ。)
ジョーイ: Oh! Oh-oh, you gotta pick Joey! I mean, name one famous person named Chandler. (ああ! あぁ、ジョーイを選ばなくちゃだめだよ! だって、チャンドラーって名前の有名人の名前を一人、挙げてみてよ。)
チャンドラー: Raymond Chandler. (レイモンド・チャンドラー。)
ジョーイ: Someone you didn't make up. (でっちあげじゃない誰かだよ。)
チャンドラー: Okay, there are no famous Joeys. Except for, huh, Joey Buttafucco. (それじゃあ、有名なジョーイって名前の人間もいないぞ。あー、ジョーイ・バタフッコを除いてはね。)
ジョーイ: Yeah, that guy really hurt us. (ああ、あいつのせいで、俺たちは本当に傷ついたんだ。)
フィービー: Well, how about a compromise then, okay? What if it's like y’know, Chan-no-ey? (そうねぇ、それなら、歩み寄るのはどう? 例えばこういうのだとどうかしら? チャン・ノウ・イーとか。)

フィービーは、お腹の子供の名前について、ジョーイかチャンドラーかのどちらかにする、と言っています。
go with を直訳すると「…と一緒に行く」ということで、ここでは「…(の線)で行く」という感覚ですね。
それを聞いたジョーイとチャンドラーの二人は、やはり自分の名前をつけてもらいたくて、お互いに相手の名前より自分の名前の方が良いことをアピールしようとします。

Name one famous person named Chandler. は、最初の name も、後ろの named も、どちらも動詞として使われていますね。
最初の name の方は「名前を挙げる」という意味。
後ろの named は「人に…という名前をつける、人を…と名づける」という他動詞の過去分詞形で、person named Chandler は「チャンドラーという名前をつけられた人」という意味になります。
つまり、「チャンドラーという名前をつけられた一人の有名な人の名前を挙げてみろ」→「チャンドラーという名前の有名人を一人挙げてみろ」ということです。
ジョーイは、「チャンドラーなんてつまらない名前だよ。有名人でそんな名前のやついるか?」と言いたいのですね。

そこですかさずチャンドラーは、得意気な顔で「レイモンド・チャンドラー」と答えます。
レイモンド・チャンドラーは有名なアメリカのハードボイルド作家ですね。
Wikipedia 日本語版: レイモンド・チャンドラー
レイモンド・チャンドラーの作品 The Long Goodbye は、清水俊二さんが翻訳された「長いお別れ」の他に、あの村上春樹さんが「ロング・グッドバイ」というタイトルで翻訳されたものもあります。
ですから、レイモンド・チャンドラーは、日本人の間でも有名な作家だと言えるでしょう。
ちなみに、1973年に The Long Goodbye (邦題:ロング・グッドバイ)のタイトルで映画化もされています。
主人公の探偵フィリップ・マーロウ役はエリオット・グールド。フレンズで、ロス&モニカのパパであるジャック・ゲラーを演じている俳優さんですよね。

チャンドラーという有名人を挙げろと言われて、その通り、超有名人を挙げたチャンドラーですが、その後のジョーイの返しが面白いです。
make up は「作り上げる」ですから、この場合は「(ないものを)でっち上げる」という感覚。
Someone you didn't make up. を直訳すると、「お前がでっちあげたのではない誰か(だよ)」ということで、つまり、「レイモンド・チャンドラーだなんて、適当な名前をでっちあげないで、ちゃんとした実在の人物の名前を挙げろよ」とジョーイは言いたいのですね。
このセリフから、ジョーイは、超有名作家である、レイモンド・チャンドラーの名前を知らないことがわかります。

レイモンドを知らないと話にならないので、今度はチャンドラーが、「じゃあ、お前のジョーイって名前の方はどうなんだよ? ジョーイって名前の有名人もいないじゃないか。…を除いてはね」と言って反撃しています。
Joeys は、「ジョーイという名前の人」を複数形にしたもの。

ジョーイなんて有名人は、ジョーイ・バタフッコしかいない、というチャンドラーに対して、ジョーイは、Yeah, that guy really hurt us. と残念そうな言い方をしています。
これも直訳すると、「そうだな、あの男は本当に俺たちを傷つけた」ということで、us は自分と同じジョーイという名前の人々を指しています。
hurt は自動詞だと「痛む」で、他動詞だと「…痛める、けがをさせる」「(評判・感情などを)傷つける」「損害を与える、害する」という意味になります。
今回の hurt us は、物理的、肉体的に傷つけるのではなくて、ジョーイという名前の人たちを精神的に傷つける、という感覚ですね。

チャンドラーの挙げたバタフッコという人物がどんな人が知らなくても、チャンドラーが「ジョーイって名前の有名人はバタフッコくらいしかいないじゃないか」「ああ、そいつのせいで、俺たちジョーイって名前の人間は心を痛めてるんだよ、迷惑をこうむってるんだよ、いやな思いをしてるんだよ」というやり取りから、同名であることが名誉であるような人物ではない、ということがわかります。

英語の解釈としては、「同じ名前であることを名誉なこととして自慢できないような、そういう名前の有名人がいる」ということがわかればそれで良いわけですが、せっかくなので、その人物がどういう人かをここで紹介しておきましょう。
フレンズのセリフで名前が出てきて、観客が「ああ、あの人」とピンと来るぐらいの有名人ですから、やはり、ウィキペディアにありました。
Wikipedia 英語版: Joey Buttafuoco

ウィキペディアの最初の説明部分を以下に引用させていただきます。

Joseph A. "Joey" Buttafuoco (born March 11, 1956) is an American auto mechanic who made headlines in 1992 for his affair with then-underage Amy Fisher (born August 21, 1974), who subsequently shot Joey's wife, Mary Jo Buttafuoco (born May 15, 1955), in the face.

生年月日は省略した上で訳しますと、
「ジョセフ・A (ジョーイ)・バタフッコは、アメリカ人自動車整備士で、1992年に、当時未成年だったエミリー・フィッシャーとの情事で新聞をにぎわせた人物。エイミーはジョーイと関係を持った後、ジョーイの妻であるメアリー・ジョー・バタフッコの顔を銃で撃った。」

つまり、そのジョーイ・バタフッコという人物は、エイミーという未成年と関係を持っていて、そのエイミーがジョーイの妻を拳銃で撃ったために新聞に大きく取り上げられ、有名人になってしまった、ということのようです。
ウィキペディアでは、Incident として、その衝撃的な事件の内容が書かれています。
まとめさせていただくと、
「妻のメアリーは顔を撃たれたにもかかわらず、自分を撃った人物が着ていたTシャツがどんなものであったかを証言した。そのシャツは、バタフッコが情事の相手であるエイミーにあげたプレゼントだったので、妻を撃った狙撃者はエイミーであることがわかった」
ということだそうです。

そういうセンセーショナルな事件のため、夫であったジョーイの名前は一躍有名になり、その事件の後も、テレビショウなどのメディアに何度も登場しているようです。
そういう事件の中心人物である人と同名、ということは、自分たちジョーイという名前の人間にとっては、あまり嬉しいことじゃないよ、同名の人として彼の名前が出るせいで、俺たちは傷つくんだよ、とジョーイは言いたいようですね。

上のウィキペディアの下にある、Categories というところには、American people of Italian descent 「イタリア系アメリカ人」という記載があります。
Joe という名前は、典型的なアメリカ人男性Joe フレンズ3-12その21 でも触れたようにアメリカでよくある名前ですが、これが、イタリア系の Joey になると人数が少なくなってしまい、有名人を探すのが難しくなってしまう、という感じなのでしょうか?
Joey という名前の有名人は他にもいそうな気がしますが、今回のセリフではジョーイが聞いたら嬉しくない名前を、チャンドラーがわざと挙げた、ということなのでしょうね。
日本でも人気のアメリカのシットコム「フルハウス」(Full House)では、男性メインキャラ3人のうちの1人のコメディアンは、Joey という名前で呼ばれていますよね。(彼の正式な名前は、ジョゼフ・アルヴィン・グラッドストーン(Joseph Alvin "Joey" Gladstone)。)

ジョーイとチャンドラーがお互いの名前をけなし合うので、それなら a compromise 「妥協、歩み寄り」をしたらどう?とフィービーは提案しています。
そこで出した案が、Chan-no-ey。
文字を見てわかるとおり、Chandler と、Joey の名前を半分ずつくっつけた名前です。
二つの名前のどちらか決められなくて、二つを合体させた名前を考える、というのは日本語のコメディーでもありそうな発想ですが、発音が、「チャン・ノウ・イー」みたいな感じで、なんだか中国系の人にありそうな名前に聞こえるのも楽しいところです。


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posted by Rach at 11:50| Comment(11) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする