2010年03月17日

私は何の料理を作ってる? フレンズ4-18その2

今夜はジョシュアと初めて過ごす夜、ということで興奮気味のレイチェル。
レイチェル: I'm so exited! I've been waiting for this for months. I got my hair colored. I got new sheets. I'm making him a very fancy meal. (私、とってもワクワクしてるのよ! この時を何か月もずっと待っていたのよ。髪の毛も染めたし、シーツも新しくしたわ。彼のために豪華な食事も作ってるし。)
モニカ: Um-hmm. (ふーん。)
レイチェル: What am I making him by the way? (ところで、私は彼に何(の料理)を作っているのかしら?)
モニカ: Well, you're making him a frisee salad with goat cheese and pine nuts, wild rice, roasted asparagus and salmon en croute. (そうね、あなたは彼に、ゴートチーズ(ヤギ乳で作ったチーズ)と松の実を添えたフリゼイ(カーリー・エンダイブ)サラダ、ワイルドライス、ローストしたアスパラガスに、サーモンのパイ包み(パイ皮に包んで焼いたサーモン)を作っているところよ。)
レイチェル: I thought I was making him filet mignon. (私は彼にフィレミニヨン(フィレ肉のミニステーキ)を作るんだと思ってたのに。)
モニカ: Yeah, you were, but you decided to make salmon because you had some left over at the restaurant. And then you realized if you (Points at Rachel) bitched about it, then you (Points to herself) would stop cooking, and you (Points at Rachel) would have to make your famous baked potato and Diet Coke. (そうね。そのつもりだったわ。でもあなたはサーモンを作ることにしたのよ。レストランで(いくつか)残り物(のサーモン)があったからね。それでその時、思ったんだけど、もしあなたが [レイチェルを指差す] そのことで(料理をフィレからサーモンに変えたことで)文句を言うのなら、その時はあなたが [自分自身を指差す] 料理を作るのをやめるでしょうね。そしてあなたが [レイチェルを指差す] あなたのお得意の[ご自慢の]ベイクトポテトとダイエットコークを作らないといけないでしょうね。)
レイチェル: Wow, I really get crabby when I cook. (まあ。私は料理する時、随分、気難しくなるのねぇ。)

レイチェルはジョシュアとの初めての夜ということで、とても嬉しそう。
I've been waiting for this for months. は、現在完了進行形の「継続」で、何ヶ月もずーっと待っていた、待ち続けていた感が出ています。
I'm making him a very fancy meal. 「私は彼のために豪華な食事も作っている」と言うレイチェルですが、その後、キッチンで料理を作っているモニカに向かって、What am I making him by the way? 「ところで、私は彼に何を作っているのかしら?」と尋ねています。
このやり取りで、レイチェルの代わりにシェフであるモニカが、その a very fancy meal を作っていることがわかりますね。
手料理などほとんどしないレイチェルが、彼のために料理を作ってるなんておかしいなぁ、と思ったら、やっぱりこういうことだった、ということです。

「この料理は私が作ったのよ」とジョシュアに言うつもりのレイチェルは、私(レイチェル)が料理を作っている、という前提で話をするために、「私は何を作っているところかしら?」と言っているわけですね。
自分はレイチェルの代わりに作っていることを了承済み、納得済みのモニカは、「私はこういうものを作ってる」と説明するのではなく、you're making him 「あなた(レイチェル)は彼に、こういうものを作ってる」と、主語を you にして話しています。
あくまでも「ジョシュアのために今料理を作っているのは、”レイチェル”である」という前提で、ここでの一連の会話は進んでいるのです。
料理を作っているモニカが、料理人である主語のことを you と表現し、ただ見ているだけのレイチェルが、料理人である主語のことを I と表現している、という面白さがここのやり取りのポイントですね。

メニューを説明するモニカに、レイチェルは「”私”は、フィレ肉の料理だと思っていたのに、どうしてサーモン料理を作っているのかしら?」という疑問をぶつけます。
「確かに、”あなた”はフィレ肉にするつもりだったわ。でも…」と言って、モニカは、レストランでサーモンの残り物があったから、それを使うことにしたのよ、と説明します。

レイチェルが作ったということにして、豪華な料理をせっせと作ってあげているというのに、レイチェルはメニューにケチをつけたので、モニカは、もし文句を言うならどういうことになるか、ということを脅しのように言っています。

Yeah, you were 以降の文章は全て主語が you ですが、ト書きでモニカがレイチェルと自分を交互に指差していることからもわかるように、実際は、「もしあなた(レイチェル)がそんな風にメニューに文句を言うのなら、私(モニカ)は料理をやめるわよ。そしてあなた(レイチェル)は、あなたお得意のベイクトポテトとダイエットコークを出したらいいわ。」と言っていることになります。
それをすべて、you と表現しているところに、このセリフの面白さがあるわけです。
セリフとト書きだけを文字で追っている分にはわかりにくいところもありますが、実際に、映像としてこの場面を見ると、モニカの指差しが助けとなって、モニカのセリフの指している主語が明確に理解できます。
こういうセリフを楽しめるのも、映像付きのドラマでセリフを学ぶことの醍醐味ですね。

シェフとして凝った料理を作ってあげているのに文句を言うなら私はやめる。私が作らなければ、料理のできないあなたは、ベイクトポテトとコーラを出すしかないだろうけどね、と皮肉を言っているのです。

レイチェルが文句を言うのに怒ってそういう意地悪な返事を返したモニカに対して、レイチェルはまだ、主語に I を使って、「私は料理の時、えらく気難しいわね」と言っています。
もちろんそれはモニカのことを言っているのですが、料理を作っているのはレイチェル、という前提はまだ続いていて、「私ったら、いつもはご機嫌なのに、料理を作っているとなんだかイライラして、機嫌が悪くなって、友達にひどいこと言ったりするようになっちゃうのね」と感心しているかのようなセリフになっているわけですね。

英語では、自分の体験を人に話す時に、主語を you にすることがよくあります。
一例を挙げると、
フレンズ4-4その1 でのチャンドラーのセリフ、
Then they use all of these phrases and peppiness to try and confuse you. 「するとジムのやつらはあらゆるフレーズと元気いっぱいさを使って、俺を混乱させようとするんだよ」
などの you が 「自分、俺」を表す you ですね。

その you は「一般の人」を指し、回り回って「自分自身(私)」をも指す、という you ですが、上に挙げた今回のレイチェルとモニカの一連のセリフは、その you ではありません。
今回の場合はあくまでも、「レイチェルがジュシュアのために料理を作っている」という前提で話をしているために、実際に料理をしているのがモニカであっても、それをわざとレイチェルであるかのように表現している、ということですね。

上のセリフが通常通り、「あなた(モニカ)は何を作ってるの?」「私(モニカは)こういうものを作ってるのよ」のような事実を示す正しい主語で表現されていたら、ここのセリフはごく普通の事実を伝えるだけのやり取りになってしまいます。
さも自分が作っているように話を続けるレイチェルに、「あなたが怒らせるようなことを言ったら、”あなた(レイチェルとして料理を作っているモニカ)”はあなた自身(レイチェル)に反旗を翻(ひるがえ)すわよ」と脅しているのが面白いということですね。
ですから、今回のセリフでは、you と I はきっちりと「あなた」「私」と訳出した方が、セリフの面白さがより伝わるはずだと思います。


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2010年03月15日

初対面で意気投合する会話 フレンズ4-18その1

シーズン4 第18話
The One with Rachel's New Dress (レイチェルのセクシードレス)
原題は「レイチェルの新しいドレスの話」


ロスがイギリス人女性エミリーと自分の部屋で過ごしている時、キャロルとスーザンがやってきます。
キャロルとスーザンは、エミリーと初対面なので、挨拶を交わした後、
キャロル: Ohh, y'know, Susan's gonna be shooting a commercial in London next week. (ああ、ほら、スーザンは来週、ロンドンでコマーシャルを撮影する予定なのよ。)
スーザン: Oh yeah, I'm so excited, I've never been there. (ええ、そうなの。とってもワクワクしてるわ。イギリスには一度も行ったことがないから。)
エミリー: Oh, well, I'll show you around. (まあ、そうなの。私がその辺りを案内するわ。)
スーザン: That would be great! Also, uh, I was hoping to catch a show so if you can make any suggestions.... (そうしてもらえると最高だわ! それに、あの、舞台も見たいなと思っていたのよ。だから、もしお勧めがあるのなら…)
エミリー: Oh, there's tons of terrific stuff. I'll go with you. (ああ、すばらしいものがゴマンとあるわよ。私があなたにご一緒するわ。)
スーザン: Ahh! (まあ!)
(Ross accidentally, on purpose, bumps into Susan.)
ロスは、偶然を装って故意に、スーザンにぶつかる。
ロス: Look at you two bonding. Making us late for the airport so.... (君ら二人の仲良くなる様子と言ったら。僕らが空港に行くのが遅くなるから(だからそろそろ)…)
エミリー: Are you all right? ([ロスの様子が妙なのに気づいて] あなた、大丈夫?)
スーザン: Oh, he's fine. He's fine. It's just that us getting along is difficult for him, because he doesn't like me. (あぁ、彼は大丈夫。大丈夫よ。ただ、私たちが仲良くなることが彼にとってはつらいだけよ。だってロスは私のことが好きじゃないから。)
ロス: Oh, come on! That's.... It's true. (ああ、よしてくれよ! そんなの…事実だ。)


shoot は「撮影する」なので、shoot a commercial は「コマーシャルを撮影する」。
shoot a film なら「映画を撮影する」ですね。
I've never been there. は「そこ(ロンドン)に(これまで)一度も行ったことがない」。
have never been は「be 動詞の現在完了形(have been)を never で完全否定した形」です。
be 動詞のニュアンスを出して訳すと、「(そこに)いたことがない」ということですね。

イギリスは初めて、というスーザンの話を聞いて、エミリーは、I'll show you around. と申し出ています。
ロンドンのその辺りを私が案内してあげるわ、ということですね。
それを聞いてスーザンは、That would be great! と答えています。
この would は、「もしあなたが私を案内してくれるのなら[案内してくれるとしたら]、それはとても素晴らしい」という「仮定」の意味が入っています。
直接的な That's great! 「それって最高だわ!」ではなく、That would be great! (That'd be great!) と would を挟み込むことで、「もしそうしてもらえたら嬉しい、ありがたい」という気持ちが込められるのですね。

英語の助動詞は、そういう細かいニュアンスを出すために英語で頻繁に使われますが、ノンネイティブの日本人には使いにくい部分でもあります。
自分で英語を発信する場合、would や could などを自然に使いこなせるようになれば、ある意味、一人前とも言えますね。
まずはこういう決まり文句である、That would be great! などから使ってみるように心がけ、そういう気持ちを表す助動詞 would などのニュアンスを掴んでいくようにすべきかな、と思います。


エミリーが好意的な提案をしてくれたので、スーザンはさらに、自分が思っていたことを口にします。
ここでも、I was hoping to... のような「過去進行形」を使い、「私はこう願っていたんだけど」という「距離感」を出して、自分の希望を遠回しに述べています。
こういう過去進行形のニュアンスは、I was wondering if you could... などと同じですね。
今回初対面で、まだ親しくない間柄のスーザンとエミリーなので、スーザンはエミリーに対して失礼にならないように、そのような表現を使っているということです。

そういうスーザンの希望を聞いて、「それじゃあ私が…するわ」という場合に、エミリーは、I'll show you around. I'll go with you. のように will を使っていることにも注目しましょう。
これは、スーザンの話を聞いて、今、そうしようと思った、ということですね。
will と be going to は、日本人英語学習者の間では同じような意味として認識されることも多いですが、ここで、be going to を使ってしまうと、元々そうするつもりであったニュアンスになってしまいます。
電話やドアホンが鳴って、I'll get it. 「私が出るわ」と言うのと同じで、今、聞いたことに対して、自分がそうしようと思う意思を示す場合は、必ず will でなければいけないのですね。

ト書きの、accidentally, on purpose は「偶然を装って(その実、)故意に」。
うっかり壊してしまう フレンズ1-1その5 でも説明しました。
スーザンがエミリーと意気投合しているのを見て面白くないロスは、何かのはずみでぶつかったように装いながら、二人の会話を止めようとしたのです。

Look at you two bonding. を直訳すると、「君ら二人が結びついている[絆(きずな)を深めている]のを見てよ」ということで、「君らがそんな風に、絆を深め合っている様子と言ったら(すごいよね)。君らは今すっかり、意気投合中だよね」のように、二人が bond している様子に感心しているニュアンスです。
エミリーを空港に送っていかないといけない、という理由を使って、「そんな風に長々とおしゃべりしてたら、僕とエミリーが空港に遅刻することになるから」と言って、二人の話を切り上げさせようとしています。
スーザンたちが来る前は、「まだ17分あるから2回は(エッチが)できるよ」(笑)などとエミリーに言っていたのに、今は空港に行くのを急き立てるので、エミリーは何か変だなと思ったようです。
それで、Are you all right? 「ロス、あなた様子が変よ。大丈夫?」と言っているのですね。

スーザンはロスの気持ちをわかっていて、「ロスは別に変じゃなくていつも通り。私たちが仲良くなるのが気に入らないだけなのよ」と説明しています。
It's just that... は「ただ…なだけである」。
us getting along is difficult for him は、「私たちが仲良くなることは、彼にとって困難である[難しい、つらい]」。
us は、動名詞 getting (along) の意味上の主語ですね。
書き言葉では動名詞の主語は所有格(our)になることが多いですが、口語の話し言葉では、このように目的格(us)を使うことが多いです。
フレンズのセリフでも、動名詞の主語はたいてい目的格ですね。

スーザンとエミリーが仲良くなるのが面白くないのは、ロスが私(スーザン)を嫌いだからよ、とスーザンは自分で説明しています。
ロスの元妻キャロルの現在の(レズビアン)パートナーであるスーザンは、ロスにとっては天敵で、自分の妻を奪った女性(!)が、現在の恋人であるエミリーと意気投合しているのは面白くない、ということです。
ロスは、「なんてこと言うんだよ、そんなこと言うのよしてくれよ!」みたいに、Come on! と言っていますが、結局、It's true. 「それはほんとだ。ほんとのことだ」とあっさり認めているのもロスらしいですね。


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2010年03月12日

空港免税店のトブラローネ フレンズ4-17その6

ロスはエミリーに会うためにイギリスに行ったのですが、エミリーはアパートにいませんでした。
ロスの電話でそのことを知った後、モニカの部屋にそのエミリーが現れます。
エミリーもロスに会うために、またアメリカに戻ってきたのですね。
ロスが自分のアパートのそばにいると知って、エミリーは自分の電話(留守電になっている)に電話をかけ、その音声がロスに聞こえることを祈りながら、ロスへのメッセージを話しています。
エミリー: Ross, are you there? Ross, I don't know if you can hear this, but.... (Ross has moved to the window, apparently so that he can hear better.) I'm gonna talk anyway, uh, I'm in the States with your sister and your friends. And it's all over with Colin. I came here to tell you that and to tell you-- what. Yes, Joey, you can have all the chocolate you want, just take it! Uh, I came here to tell you that I love you. (ロス、そこにいるの? ロス、あなたがこれを聞くことができるのかどうかわからないけど… [ロスは(エミリーの部屋の)窓のところに移動する。どうやら(電話から聞こえるエミリーの声を)もっとよく聞こえるようにするためらしい] とにかく話すわね。あの、私はアメリカにいるの、あなたの妹さんや友達のところにね。それから、コリンとは完全に終わったわ[別れたわ]。私はそのことを言うためにここ(アメリカ)に来たの。そしてあなたにこのことを言うために… 何? いいわ、ジョーイ。あなたが欲しいだけそのチョコレートをあげるわ。いいから持って行って! あの、私はここに来たのはあなたにこう言うためなの、あなたを愛してる、って。)

留守電へのメッセージが音声として聞こえることを利用して、エミリーは、そこにいるかもしれないロスに向かって話しています。
今、アメリカのモニカの部屋に来ていること、コリンという彼と別れたことなどを話します。

そういう大事な話をしている時に、...what. Yes, Joey, you can have all the chocolate you want, just take it! という関係のないセリフが入っています。
チョコレートとは、アメリカの空港で売っていた大きなチョコレート菓子 Toblerone 「トブラローネ」のこと。(英語の発音は、「トウブラローン」という感じ。)

Wikipedia 日本語版: トブラローネ
Wikipedia 英語版: Toblerone

日本語版ウィキペディアの説明では、「スイスのチョコレート菓子」で、「免税店などでよく見かける」「日本国内では見かけないが巨大なサイズのものも存在する」とあります。
その「巨大なサイズのもの」が今回フレンズで登場しているものです。
英語版にも、It is well-known for... (中略) ...its ubiquity in airport duty-free shops.
つまり、「空港の免税店でよく見かけることで有名である」と書いてあります。
今回のエピソードは、アメリカとイギリスを何度も行き来し、空港を使う機会が多かったので、「いかにも空港で買いました」的お土産として、トブラローネが使われているわけですね。

今回のエピソードでは(解説では省略しましたが)、トブラローネが何度も登場します。
1つ目。イギリスに帰ろうとするエミリーが空港でロスに別れを告げる時、そのトブラローネの長い箱を持っていました。機内に持ち込める手荷物は1つだけだから、と言って(それくらいこの箱が大きいというジョークでもある)、最終的にその箱をロスに渡していました。
2つ目。エミリーを驚かせるためにイギリスに行くことに決めたロスに、ジョーイが "If you're going to the airport, can you pick me up another one of those Toblerone bars?" 「もしロスが空港に行くのなら、あのトブラローネ(バー)をもう1つ俺に買ってきてくれる?」と言っていました。
3つ目。イギリスからアメリカに戻ってきたエミリーがモニカの部屋に入ってきた時、彼女のバッグからトブラローネが突き出ているのを見て、ジョーイが「おお、これは! 俺が食べたいと思っていた、あのトブラローネ!」みたいな顔で目を大きくしていましたが、その時はエミリーには欲しいと言えませんでした。

そういう一連の流れがあって、エミリーが電話でロスにメッセージを伝えているという大事な時に、ジョーイが「このチョコ、もらっていい?」と尋ね、「欲しかったらどうぞ」とエミリーが言っているこのセリフになるのですね。

エミリーもジョーイもこのチョコが大好きらしく、何度もアイテムとして登場するのが、いろんな伏線の張ってあるフレンズの脚本の面白さでもあります。


電話のメッセージで、ロスに I love you. と伝えたエミリー。
ロスはそれを聞くことができたので、公衆電話からモニカの部屋に電話をかけてきます。
ロスへのメッセージを話している時に、キャッチホンが入ったので、そのキャッチホンに出てみたエミリーが聞いたのは…
ロス: Hi. (はーい。)
エミリー: Ross, I love you! (ロス、愛してるわ!)
ロス: Ohh! Thank you. (ああ! ありがとう。)

やっと直接、電話で話すことができた二人。
エミリーは、あの時、空港で言えなかったメッセージを、直接言うことができました。
雨の降る中、イギリスの公衆電話から電話をかけているロスはそれを聞いて、本当に嬉しそうに Ohh! Thank you. と言っています。
フレンズ4-17その2 で解説したように、「僕が I love you. と言ったのに、エミリーは Thank you. と答えただけだった」と絶望していたロスでしたが、今度はロスが同じ返事を返すことになった、という面白さですね。
もちろん、この場合は、エミリーに対するお返しのつもりで、軽くイヤミなセリフを言ったのではなく、一人寂しくイギリスに残されたロスにとっては、そのエミリーの言葉が本当に嬉しくありがたいものだった、ということでしょう。
「I love you. と言ってくれて、ありがとう」としか言えない、エミリーの一言でとても救われたロスの気持ちがよく表れているし、それが同時にオチにもなっているという、面白いエンディングだと思います。


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2010年03月10日

リラクシーキャブ フレンズ4-17その5

フィービーは新しい仕事を考えています。
バンの後部にテーブルを据え付けるのよ、と説明した後、
フィービー: It's a taxi that people take when they need to relax. (人がリラックスする必要がある時に乗るタクシーなの。)
レイチェル: (interrupting) It's a Relaxi-Taxi! ([フィービーが言おうとするのをさえぎって] リラクシー・タクシーよ!)
フィービー: The name was my favorite part! (その名前が私のお気に入りの部分だったのに!)
レイチェル: What, what, I came up with it. (何、何よ? その名前は私が思いついた[考え出した]のよ。)
フィービー: You did not! Oh! No! You came up with Relaxi-Cab! That's not good. (あなたが思いついたんじゃないわ! あぁ、もう! あなたが考えたのは、リラクシー・キャブよ! そんな名前、良くないわ。)
レイチェル: Well, I.... (えぇ、私は…)
(The phone rings and Monica answers it.)
電話が鳴り、モニカがそれに出る。
モニカ: Hello. (もしもし。)
ロス: (on phone) Hey. ([電話で] やあ。)
モニカ: Oh, my God! Ross, are you in England? Was Emily surprised? (まあ! ロス、あなたはイギリスにいるの? エミリーはびっくりした?)
[Cut to Ross in one of those British phone booths.]
イギリスの公衆電話ボックスにいるロスに画面がカットする。
ロス: No, because she hasn't come home yet. And she hasn't been home all night. She's obviously staying with that other guy. I'm the stupid moron who spent the whole night outside her apartment. (いいや。だって彼女はまだ家に帰ってきていないんだ。それに彼女は一晩中家に戻ってないんだよ。彼女は明らかに、その別の男のところにいるんだよ。僕は彼女のアパートの外で一晩を過ごした愚かなバカ者さ。)
モニカ: All right. When is, when is the next flight out? (わかったわ。いつ、次のフライトはいつ出るの?)
ロス: About four hours. (4時間(後)くらいだな。)
モニカ: Okay, just stay there a couple more hours and if she doesn't show up by then, then just come on home. (わかった。そこにあと2、3時間いて、もしその時までに彼女が現れなかったら、その時は家に帰って来なさいね。)
フィービー: Hey, tell him about Relaxi-Taxi. And-and ask him if he thinks that's better than Relaxi-Cab. (ねぇ、ロスに、リラクシー・タクシーのことを話して。それから彼に、リラクシー・タクシーは、リラクシー・キャブよりも良いと思うかどうかを尋ねて。)
レイチェル: Okay, it's not Relaxi-Cab. It's Relaxicab. Like taxicab. (いいわ、ねぇ、リラクシー・キャブじゃないのよ。リ・ラクシーキャブなの。タクシーキャブみたいに。)
フィービー: Oh, that is better. (ああ、その方が良いわね。)

車にテーブルを取り付けてマッサージの仕事をするというフィービー。
その名もなんと…と説明しようとした時に、レイチェルが先に Relaxi-Taxi という名前を言ってしまいます。
The name was my favorite part! 「その名前が私のお気に入りの部分だった(のに)」というのは、その名前を皆に披露するのを楽しみにしていたのに、どうしてあなたが先に言っちゃったのよ!という感じです。
みんなが「わあ!それステキ!」と言ってくれるおいしいところを、レイチェルが持って行ってしまった、ということですね。
Relaxi-Taxi は、「マッサージでリラックスできるタクシー」という意味で、laxi と taxi が韻を踏んでいます。

come up with は「(アイデアなどを)思いつく、考え出す」。
だってその名前を考えたのは私なんだから、私が言っても構わないでしょ、というのがレイチェルの言い分。
それを聞いてフィービーは、You did not! 「あなたがその名前を考えたんじゃない!」と叫んでいます。
レイチェルが考えたのは、Relaxi-Cab で、Relaxi-Taxi は私が考えたのよ、私が考えた Relaxi-Taxi は -axi の部分が韻を踏んでいて良いネーミングだけど、あなたが思いついた Relaxi-Cab は韻も踏んでないし、ダメダメじゃん、と言いたいようです。

何か言おうとするレイチェルですが、その時電話が鳴ります。
ロスは実際にイギリスに行って、イギリスの公衆電話から電話してきたことが画面からわかります。
エミリーを驚かそうとイギリスまで行ったロスでしたが、エミリーは一晩中アパートに帰って来ませんでした。
どう見ても、明らかに、そのもう一人の男コリンのところに泊まってるに違いないよ、とロスは言っています。
アパートの外で一晩を過ごした、僕は大バカ者だよ、とも言っていますね。
そんな悲惨な話をしているのに、フィービーはまだ、名前の話の続きを言っています。
ロスにその名前の話をしてやって。リラクシー・キャブよりも、リラクシー・タクシーの方が良いと思うかどうか聞いてみて、と言っています。

Relaxi-Cab という名前はダメだわ、と言われたレイチェルは、そのネーミングの意味を説明します。
フィービーは、リクシー・キャーブ と2つにアクセントを置いて発音しているけれど、正しくは、リクシーキャブ よ、という感じ。
ラクシーの la の音にアクセントが来て、「ラクシーキャブ」と一気に言う感じです。
フィービーは、ラクシーとキャブじゃあ、韻を踏んでないとか言うけど、韻を踏ませるネーミングじゃなくて、taxicab に re- を付け、t を l に変えることで、taxicab を relaxicab にした名前なのよ、という説明になります。

DVD字幕では、
It's not Relaxi-Cab. It's Relaxi-Cab. Like Taxi-Cab. と表記されていたのですが、これだと、2つの発音の違いがわかりにくいですね。
ネットスクリプトでは、
Okay, it's not Relaxi Cab. It's Relaxicab, like taxicab.
となっていて、このハイフンの入らない、Relaxicab, taxicab の方が、キャブにはアクセントを置かず、「クシーキャブ」のように「リクシーキャブ」と一気に発音したレイチェルの言い方をよく表しているように思います。
ですから、上に書いた英語セリフは、ネットスクリプトの方を参考にしてみました。

taxicab 「タクシーキャブ」は taxi のことですね。フレンズの映像でもよく映っているアメリカのタクシーは、Yellow Cab 「イエローキャブ」と言いますね。

フィービーはちっとも韻を踏んでない名前、とバカにしていたのですが、taxicab に re- をつけて、relax と taxicab をかけた名前が Relaxicab なのだ、とわかって、「そっちの方が、(自分が考えた) Relaxi-Taxi よりもいいわ」とあっさり負けを認めているのが面白いですね。


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2010年03月08日

こぶしが壁を突き抜ける フレンズ4-17その4

[Scene: Monica and Rachel's erm, Chandler and Joey's, Ross is relating his recent conversation with Emily to the gang.]
モニカとレイチェルの、えーっと(そうじゃなくて)チャンドラーとジョーイの部屋。ロスはフレンズたちに、エミリーとの最新の会話のことを話している。
ロス: She doesn't know which one of us she wants. Me or this "Colin" guy. (エミリーは、僕たちのうちのどちらを欲しているか[愛しているか]わからないんだ。僕か、その「コリン」ってやつか。)
モニカ: This isn't how it's supposed to go. I mean, there can't be another guy. (これは、予定されている展開とは違うわ。ほら、もう一人の別の男性なんているはずないのに。)
ロス: Well.... (そうだね…)
モニカ Of course, there's another guy! This is even more perfect. Now you have to prove your love! ([突然考えを変えたように] もちろん、他の男がいるのよ! これはもっとさらに完璧だわ。今あなたはあなたの愛を証明しないといけないのよ!)
ロス: I'm not proving anything. Okay, I'm done listening to you. If I hadn't let you talk me into going to the airport in the first place, I never would've put my fist through the wall. (僕は何も証明したりしないよ。いいか、モニカの話を聞くのはもうおしまいだよ。もし、そもそも僕がモニカに言われて空港に行ったりしなければ、自分のこぶしが壁を突き通すこともなかったのに。)
チャンドラー: You put your fist through the wall? (ロスのこぶしは壁を突き抜けたのか?)
ロス: No, I missed and hit the door. But it opened really hard. (いいや。的がはずれて、(こぶしは)ドアに当たったよ。でも、ドアはほんとに激しく開いたんだ。)

エミリーとの会話の内容を、フレンズたちに話して聞かせるロス。
エミリーは、僕(ロス)と、イギリスにいるコリンという男との二人の間で迷っているんだ、と言っています。
モニカは、「他の男性がいたなんて、そんなこと、私のシナリオにはなかったわ」みたいなことを言っていますね。
This isn't how it's supposed to go. の go は「(物事が)進行する、進展する」というニュアンスで、コリンという別の男性がいる今のこの状況は、本来そうなるはずだった進展の様子とは異なる、という感覚です。
フレンズ4-16その4 にも、
This is not how this is supposed to happen. (これはこんな風になるはずじゃなかったのよ。)というセリフも出てきましたね。

二人の恋愛が成就するためには、そんな「別の男」の存在など、あってはいけないのに、という感じで、 There can't be another guy. 「別の男なんかいるはずがない、いてはいけない」と言っています。
自分でそう言っておきながら、モニカは何かひらめいたように、「他の男がいて当然よ。もちろんそういう男はいるものよ!」と正反対のことを言い直しています。
恋愛ドラマでもよく登場する「恋敵(こいがたき)、ライバル」の存在はあって当然よ、そこでロスは自分の愛を証明すればいいのよ、とモニカは言いたいのですね。
ロスは、「また、女のロマンチックな連想が始まったよ」みたいな顔をしています。

If I hadn't let you..., I never would've put... という文章は、had not let と never would have put が使われていて、教科書に出てきそうなくらいの「きれいな仮定法過去完了」の文章になっています。
in the first place は「そもそも」。
let you talk me into going to the airport は使役動詞 let が使われています。
talk someone into doing は「人を説得して…させる」。
ですから、直訳すると、「僕を説得して空港に行かせることをモニカにさせる[許す]」、つまり、モニカが僕に空港に行くように説得して、僕もその説得に折れて行くことにした、モニカのそういう説得を拒まずに、モニカの言ったとおりにした、ということです。
If 節は、hadn't という否定形になっていますので、「モニカの言う通りにしていなければ」という意味になります。

put my fist through the wall は「自分のこぶしを壁に通らせる」。自分のこぶしを壁を通り抜けた状態に put する、という感覚ですね。
これはよく映画やドラマであるようなシーンのイメージでしょう。
やりきれない怒りをぶつけるために、男性が自分のこぶしを壁などに打ちつけて、壁がへこんだり、穴が開いたりして、本人のこぶしも血で真っ赤になっている、というようなシーンをよく見かけますよね。
自分の手が痛くなっても構わない、爆発する怒りのやり場がない様子をそういう描写で表現しているわけです。
ロスの仮定法過去完了のセリフも、文字通り受け止めると、「モニカに言われるまま空港に行ったりしなければ、こぶしが壁を突き抜けること(そして自分のこぶしを痛めること)もなかった」ということになります。
あまり暴力には訴えないタイプのロスが、そんな激しいことを言うので、チャンドラーはびっくりして聞き返していますね。
するとロスは、「実際のところは、壁を打つはずが的が外れてドアに当たってしまった」と言っています。
「ドアに当たってしまったけれど、僕のこぶしの勢いが強かったから、ドアは、それはもうすごい勢いで開いたよ」とも付け足しています。
やはりみんなの想像通り、いくら怒りを抱えていても、壁をこぶしで打つようなことはしなかったのだ、とわかるオチなわけですね。
ちょっとドラマの主人公風に、「壁を突き破ることもなかったのに」と言ってみたけれど、実際はドアを思い切り開けただけだった、怒りでドアをバーン!と開けただけなのを「こぶしが壁を突き抜けた」と大げさに言ってみた、ということです。


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2010年03月05日

想う気持ちが強すぎて怖い フレンズ4-17その3

ロスが愛してると言ったのに、エミリーはありがとうとだけ言ってイギリスに帰ってしまったんだから、それで終わりだよ、というチャンドラー。
モニカはそれに反論します。
モニカ: It is not over because she is going to call you and tell you she loves you. And the reason why she couldn't, is because her feelings were so strong that it scared her. You go home and wait for her call. She could be calling you from the plane! Come on now go! Go! (Tries to push Ross out the door.) (終わりじゃないわ。だって、彼女は(これから)あなたに電話してきて、あなたを愛してるって言うんだから。そして、彼女がそのことを空港で言えなかった理由は、彼女の気持ちがとても強くて、そのことが彼女を怖がらせたからよ。あなた(ロス)は家に帰って、彼女の電話を待つのよ。彼女は飛行機から電話してくるかもしれないわ! さあ、行って! 行って! [ロスをドアの外へ押し出そうとする])
ロス: Okay! Okay! But if she doesn't call, it is definitely over! No, wait. Wait. Unless, eventually, I call her, y'know just to see what's going on, and, and she says she'll call me back, but then she doesn't. Then it's over! (わかった、わかったよ! でももし彼女が電話してこなければ、それで完全に終わりだよ! いや、待って。待って。こういう場合は話は別だけどね。結局、僕が彼女に電話して、ほら、それはただ今どういう状況なのかを知るためだけだよ、そして、彼女が僕にまた電話する、と言って、それから彼女が電話して来なければ。その時は、終わりなんだ!)
(Joey holds his fist up, and Chandler gives him two thumbs up.)
ジョーイはこぶしを高く掲げ、チャンドラーは両手の親指を立てる。
ジョーイ: Way to be strong, man! (その調子で強く頑張るんだ、ロス!)
(Ross leaves, and after the door closes, Joey gives him the loser sign.)
ロスは立ち去る。そしてドアが閉まった後、ジョーイはロスに負け犬サインをする。

モニカは、「まだ終わっていない。エミリーはきっとロスに電話してきて、愛してると言うはず」と言っています。
愛しているのに、空港で愛していると言わなかったのは、her feelings were so strong that it scared her だからだ、と説明していますね。
これは、学校文法でも習った、so... that 〜 の構文。
直訳すると、「彼女の気持ちがとても強かったので、(そのことが)彼女を怖がらせた」。
ロスのことを想う気持ちがあまりにも強かったために、彼女は愛してるとあなたに言うのが怖かったのよ、ということです。
いかにも女の子が考えそうなロマンチックな理由ですね。

そのような理由をつけて、とにかく家で彼女の電話を待つのよ、と説得するモニカ。
ロスもその後押しを受けて、家に帰ることにします。
去り際にロスが長々と述べているセリフが面白いですね。
ロスも内心、もうダメかな、と思っているのがわかります。
「エミリーが電話してこなければ終わりだ」といったんは言うのですが、ただ待っていても、電話がかかってこないかもしれない可能性が高い、とロスは思っているのですね。
それで、unless 「ただし、こういう場合は話が別だけど」と言って、ただロスが電話を待つだけではなく、別の行動を起こすことを続けて述べています。
まずは僕が電話して、と言った後、自分から電話するなんてみっともない、もしくは未練がましいと思われたらいやなのでしょう、just to see what's going on 「ただ、何が起こっているかを知るためだけに、ただ状況がどんな様子か知るためだけに」まずは僕から電話をかけるんだ、と自分から電話をかける理由を説明しています。
エミリーは無事にイギリスについたか、元気にやっているか?という状況を知りたいためだけに電話するだけで、彼女の気持ちを確かめたくて電話するんじゃないんだよ、という言い訳です。
そしてそういう電話をした後、エミリーが「また私から電話するわね」と言って、それで結局彼女がそれ以降かけてこなければ、そこで正真正銘、二人の関係は終わりってことになるんだよ、とロスは言っているのですね。
「ありがとう」と言われて気まずく別れた後、勇気を振り絞って僕が電話したのに、それでも結局、納得のいく返事がもらえないのならば、さすがに僕もその時はすっぱりあきらめるよ、というところです。

ジョーイとチャンドラーは、そのロスの宣言を聞いて、頑張れよ!と激励しています。
こぶしを高く掲げたり、親指を立てたサムアップをしているのは、「いいぞ! その調子で頑張れ!」というニュアンスですね。
ただ、ロスが出て行った後、ジョーイはその高く掲げていたこぶしの指をエル字形にして、おでこにくっつけています。
これが、ト書きにある、the loser sign のようですね。
loser の最初の文字エルを指で示したもののようで、「あぁ、きっと、ロスとエミリーの仲はもうダメだろうな」とジョーイが思っていることがわかります。
ロスが「もし僕が電話して、それでも彼女が電話してこなかったら」と譲歩に譲歩を重ねたのを見て、もうすでに負けを見越したような敗者の言葉だと感じたのでしょう。


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2010年03月03日

落ちにくい男を演じる フレンズ4-17その2

エミリーを愛しているのなら、今から空港に行って、その気持ちを彼女に伝えるべきよ、とモニカに促されたロス。
そのロスが帰ってきました。
(Ross enters.)
ロスが部屋に入ってくる。
モニカ: Ohh! Did you do what I said? Did-did-did you tell her? (ああ! 私が言ったことをしてきた? ロスは彼女に言ったの?)
ロス: I did. (言ったよ。)
モニカ: And well, what did she say? (それで、その、彼女は何て言ったの?)
ロス: "Thank you." (「ありがとう」。)
モニカ: Oh, you're totally welcome. What'd she say? (まぁ、全く、どういたしまして、よ。彼女は何て言ったの?)
ロス: She said, "Thank you." I said, "I love you." And she said, "Thank you." (彼女は言った、「ありがとう」と。僕は「愛してる」と言って、彼女は「ありがとう」と言ったんだ。)
チャンドラー: Whoa-whoa, wait a minute, did you say you love her? (おいおい、ちょっと待てよ。ロスは彼女に愛してると言ったのか?)
ジョーイ: Yeah, what were you trying to get her to do? (そうだよ。お前は彼女に何をさせようとしていたんだよ?)
ロス: What do I do now? (それじゃあ、僕は何をするんだ?)
ジョーイ: You play hard-to-get. (「手に入れるのが難しい[簡単には落ちない]」人間を演じるんだ。)
ロス: She already lives in London. (エミリーはすでにロンドンに住んでるんだぞ。)
ジョーイ: So you go to Tokyo. (じゃあ、お前は東京へ行け。)

モニカが言った通り、ロスはエミリーに愛してると言ったかどうかを、モニカはロスに確認しています。
それに対するエミリーの返事を尋ねたモニカに、ロスは "Thank you." と答えていますね。
ネットスクリプトでは、引用符はついていませんでしたが、DVD英語字幕ではこのように引用符がついていました。
実際、このシーンの前に、空港でのロスとエミリーのシーンがあったのですが、決死の覚悟で、I love you. と告白したロスに対して、ロスをきつくハグした後、エミリーは Thank you. とだけ言って、そのまま飛行機に乗り込んでしまいました。
観客、視聴者は、そのシーンを見ているので、ここでのロスのセリフ、Thank you. は、モニカに「ありがとう」と言ったものではなく、エミリーが言った言葉を説明していることがわかるため、引用符をつけているのですね。

ただ、そのことを知らないモニカは、「モニカが良い助言をしてくれたんで、素晴らしい結果になったよ。ありがとう」とお礼を言われたものと思ったのですね。
それで、「どういたしまして。そんなお礼なんていいから、とにかくエミリーが何て返事したのか教えてよ」と、もう一度同じ質問をしているわけです。
今度は、僕の "I love you." に対して、エミリーは、"Thank you." とだけ答えた、ということをはっきり説明しています。
ロスの言う Thank you. は、「さんきゅ」みたいに軽い感じで発音していて、僕は必死に告白したのに、返ってきたセリフはたったそれだけだよ、というがっかり感が出ています。

このように、引用符がついていると、それがロス自身の発言ではなくて、誰かの発言をそのまま伝えたものであることがわかりますが、音として聞いている場合は、ロスがモニカにありがとうと言ったように聞こえます。
そこから来る誤解が、上のようなロスとモニカのトンチンカンなやり取りに繋がっている、ということですね。
また、今回は、ロスとエミリーのシーンを見せた後でこのセリフが登場したので、引用符をつけてもネタバレにはなりませんが、そのシーンを見せずに、モニカが誤解したように、観客や視聴者にもまずはモニカにお礼を言ったのだと思わせたい場合は、引用符をつけないでいた方がネタバレにならないですむでしょう。
今回の場合は、観客にはオチがわかっているが、知らぬはモニカばかりなり、という状況だということです。

チャンドラーは、I love you. を言いに行ったロスに驚いています。
これまでの解説でも何度か説明してきましたが、それほど I love you. という言葉は「重い」のですね。
何となく好き、ぐらいの程度では使わない言葉だということです。

ジョーイたちは、そんなに簡単にお前の方から I love you. なんて言っちゃだめだ、と言いたいようです。
hard-to-get は「ゲットするのが難しい」、つまり、「入手困難な、手に入れるのが難しい」。
ですから、play hard-to-get は「簡単には落ちない・落ちにくい人間を演じる」ということで、こちらからホイホイと近づいていくのではなくて、「つれないふりをする、その気がないふりをする」ということになります。

play hard-to-get は、前回のエピソード 4-16 にも出てきました。(前回の解説では省略した箇所になります。)
ジョシュアが好きなのに、離れた場所にいるレイチェルに対して、
チャンドラー: Why are you over here if Joshua is all the way over there? (ジョシュアはずっとあっちの方(リビング)にいるのに、どうしてレイチェルはこっち(キッチン)にいるの?)
レイチェル: Because I'm trying to play hard-to-get. (だって、私は落ちにくい女を演じてるのよ。)
というセリフがありました。
また、その演出がうまく行かないので、
レイチェル: This playing-hard-to-get thing is not working. (この、落ちにくい女を演じるってやつは、うまく行ってないわね。)
と言って、結局、ジョシュアのそばに行くことにしたのでした。
むちゃくちゃ好きなのに、それを相手に気取られないようにこっちが優位に立っているように見せるのが、play hard-to-get だということです。

そのようにジョーイは、自分から I love you. と簡単に口にしたりせず、落ちにくい男、簡単には手に入らない男を演じなきゃだめだ、とアドバイスしています。
ですが、今回の場合は、イギリスとアメリカという超長距離恋愛で、「簡単には手に入らない」ことを演じるも何も、そんなことを演じるまでもなく、元々、「簡単には手に入らない、簡単に会うことすらできない」相手なんだよ、とロスは言いたいのですね。
エミリーはロンドン在住で、僕ら二人はお互いすでに、hard-to-get な状態なんだ、だからそんなことをしても無意味だし、むしろ気のないふりなんかしたら、二人の心の距離が離れるのをも加速することになってしまうよ、と言いたいのでしょう。
ですが、ジョーイはまだ、play hard-to-get にこだわっているようで、エミリーがロンドンに住んでいて、今でも十分 hard-to-get な状態だったとしても、それならもっと hard-to-get になるために、お前は日本の東京に行け!と言っています。
ロンドンとNYよりも、ロンドンと東京の方が、もっと距離的に離れるぞ、そうしたら今よりも、さらに hard-to-get な状態になるぞ、と言っているのですね。
ロスは二人の物理的な距離が離れ過ぎているために、相手の気を引くために通常使われるような play hard-to-get というテクニックは今回は使えない、と説明しているのですが、ジョーイは、「今、向こうがロンドンだって言うなら、今度はお前がもっと遠いところに移動してやれ」と妙な方法を提案しているということです。
それを聞いて、「あちゃー(ジョーイは何にもわかってない)」という顔をしているチャンドラーが楽しいです。
また、日本人として、「東京」という地名が「フレンズ」に出てくるのも何だか嬉しいですね。


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2010年03月01日

異国の人と出会い恋に落ちる フレンズ4-17その1

シーズン4 第17話
The One with the Free Porn (ロス、イギリスへ行く!!)
原題は「無料ポルノの話」


ロスと2週間だけ付き合っていたイギリス人女性エミリーは、イギリスに帰るため、空港に行ってしまいました。
「また会うつもりなんでしょ?」としつこく尋ねる妹のモニカに、
ロス: And why do you care so much? (それに、どうしてモニカはそんなに(エミリーと僕とのことを)気にかけるんだよ?)
モニカ: Because! You could get to live out my fantasy. (なぜって! ロスが私の夢[空想]を実現させることができるかもしれないからよ。)
ロス: You had fantasies about Emily? (モニカは、エミリーについて(あれこれ)空想をめぐらせてるの[エミリーに対して憧れがあるの]?)
モニカ: No! Y'know, the fantasy. Meet someone from a strange land, fall madly in love and spend the rest of your lives together. (違うわ。ほら、そういう夢があるでしょ。見知らぬ土地から来た人と出会って、狂おしいほど恋に落ちて、残りの人生をその人と一緒に過ごす、っていう夢よ。)
ロス: Is that why in junior high you were the only one that hung out with that Ukrainian kid? (だから、中学の時、モニカだけが、あのウクライナの子と一緒に遊んでたのか?)
モニカ: Yeah that, plus his mom used to put sour cream on everything. (そうね。それと、彼のママが何にでもサワークリームを乗せてくれてたから。)


care は「気にかける、心配する」。
実の兄のこととは言え、当事者でもないモニカが、どうしてそこまで僕とエミリーの仲をあれこれ気にしてるんだよ、とロスは尋ねています。
fantasy は「空想、幻想」ですが、この場合は「夢」のような感覚が近いでしょうか。
live out a fantasy は「空想(の世界)を(現実に)体験する」、live out a dream だと「夢を実現させる」という意味になります。
out が、空想や夢が現実の世界に引き出された・現れた感じを出しているように思います。

could は、can を婉曲に表現した形で、「うまく行けばそういうことが可能かもしれない」というようなニュアンス。
get to は「…になる」ですから、You could get to live out my fantasy. を前から意味を取っていくと、could 「…になる可能性がある」、get to 「…という状態になる」、live out my fantasy 「ロスが私の空想の世界を実現させる」なので、「ロスが私の空想を実現させるという状態になる可能性がある」ということになります。

have fantasies about を直訳すると、「…について空想を持つ」ですから、「…について、(あれこれ)空想をめぐらせる」というニュアンスになります。
ロスがエミリーとうまく行けば、私の幻想・夢が実現したことになる、とモニカが言うので、モニカはエミリーに対して憧れの気持ち・好きだという気持ちがあって、その夢をモニカの代わりに僕に実現して欲しいと思ってるわけ?みたいなことですね。

モニカは、fantasy の意味を説明します。
エミリーに対して何かの気持ちを抱いているのではなくて、異国イギリスの人エミリーとの恋愛が成就することがモニカの憧れである、と言っています。
異国の人と恋に落ちて残りの人生を共に過ごすのがモニカのファンタジーだそうですが、いかにも女の子が夢見そうな感じのロマンチックな幻想です。
自分が映画のヒロインになったかのような気持ちになる、ということでしょう。

その話を聞いて、ロスは、モニカが昔、ウクライナ人の子と仲良くしていたことを思い出します。
Is that why...? は「なぜ…したかの理由はそれか?」ということで、「そういうわけで、…したのか?」というニュアンス。
それを肯定文にした、That's why... は「そんなわけで…なのだ、それが…の理由だ」という意味でよく使われますね。
hang out with はフレンズによく登場するフレーズで、「…と一緒に時間を過ごす、付き合う」という意味。友達として一緒に遊ぶ、というニュアンスです。
in junior high you were the only one that.. 「中学時代、モニカは(ウクライナ人の子供と遊んでいた)唯一の人間だった」と言っていることから、そのウクライナ人の子供は他の子供とは遊んでいなくて、モニカだけがその子と遊んでいた、ということがわかります。
他の子は、よその国から来た子供だということで(差別というほどではないかもしれませんが)あまり親しい付き合いをしていなかったのに、その中でモニカだけが彼と積極的に遊んでいた、ということですね。
ロスは今のモニカの話で、モニカが異国の人と恋に落ちて結ばれるという夢を持っていたことを知り、そういう夢があるから、異国の同級生と熱心に遊んでいたってわけか?と尋ねているのです。

モニカは、そうよ、と認めながらも、もう一つ別の理由があったことを説明します。
彼のおうちに遊びに行くと、あらゆる食べ物に、サワークリームを乗せて[入れて]くれたから、だと言っています。
サワークリームは、生クリームに乳酸を加えて発酵させたもので、料理などに使われますね。
小さい頃太っていて、食欲も旺盛だったモニカは、いろんなものにサワークリームをかけてくれることにも魅力を感じていて、そのことも彼と遊ぶ要因の1つだったのよ、と言っているのです。

Wikipedia 日本語版: サワークリーム にも、サワークリームを使ったいろんな料理の写真が載っています。
その「用途」のところに、ウクライナとサワークリームとの関係が載っていました。
引用させていただくと、
ウクライナ料理 (Ukrainian cuisine) およびロシア料理では、サワークリームはボルシチや他のスープに添えられ、ピエロギの調味料であり、ビーフストロガノフなどの料理に用いられる。
とのことです。
ですから、ウクライナ人の家庭では、サワークリームがふんだんに使われていた、というセリフもなるほどと思えるわけですね。
ちなみに、ウィキペディアによると、来週 3月8日は、日本における「サワークリームの日」だそうですよ。


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posted by Rach at 10:41| Comment(2) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月26日

唇の腫れた28歳のチアリーダー フレンズ4-16その6

廊下で話をしているロスとレイチェル。
レイチェルは、自分がジョシュアと会いたいがために偽のパーティーを企画したことで、ロスの計画をぶち壊してしまったことを詫びています。
レイチェル: Oh, Ross, I'm sorry. I completely ruined your evening. (あぁ、ロス。ごめんなさい。私はあなたの(大事な)夜を完全にぶち壊しちゃったわね。)
ロス: Yeah. (そうだね。)
レイチェル: Well, if it makes you feel any better, I made a fool of myself. (あの、もし少しは気分がましになるのなら…私はばかなことをして物笑いの種になっちゃったわ。)
ロス: Helps a little. (少しは気分がましになるよ。)
レイチェル: Is there room on that step for a pathetic loser? (その段には、みじめな負け犬のための場所はあるかしら?)
ロス: Yeah, have a seat. (あぁ、座って。)
レイチェル: I'm so sorry. (ほんとうにごめんなさい。)
ロス: It's okay. I mean, it was just a two-week thing anyway. I just didn't want it to end this way, y'know? (いいんだ。だって、どの道、ただ2週間だけのことだったんだから。ただ、こんな風に終わらせたくはなかったけどね。)
レイチェル: Or maybe you didn't want it to end? (それとも、多分、あなたはそれを終わらせたくなかったんじゃないの?)
ロス: What do you mean? (どういう意味?)
レイチェル: You seem to really like her. (あなたは彼女を本当に好きなように見えるもの。)
ロス: Yeah, I really do. Yeah, but what am I gonna do? I mean we-we both agreed it was gonna be a two-week thing, y'know? No commitment. (そうだね。僕は本当に彼女が好きだ。そうだよ。でも、僕はどうすればいい? だって、2週間だけのことだってことで、僕ら二人は同意していたんだからね。深く付き合うことはしないって。)
レイチェル: Ross, that girl just spent the entire evening talking to your friends, asking to hear stories about you, looking through Monica's photo albums. I mean, you don't do that if you're just in it for two weeks. (ロス、あの子は夜の間ずっと、あなたの友達と話をして、あなたについての話を聞きたがって、モニカのアルバムを見ていたわ。ほら、2週間だけの関係なら、(普通は)そんなことはしないでしょ?)
ロス: You think? (そう思う?)
レイチェル: Yeah, you've got like 14 hours until she has to be at the airport. And you're sitting here in the hallway with a 28-year-old cheerleader with a fat lip. (そうよ。彼女が空港に行くまでに、あなたにはまだ14時間くらいあるわ。そして(それなのに)あなたはこの廊下で、唇の腫れた28歳のチアリーダーと一緒に座ってるのよ。)

ロスの計画をだめにしてしまったことを詫びるレイチェル。
ロスは、咳払いのように見せながら、Yeah. と返事しています。
素直に謝る相手に対しては、It's not your fault. 「君のせいじゃないよ」とか、Don't blame yourself. 「自分を責めないで」のような言葉をかける場合もありますが、今回の場合は、レイチェルの自分勝手な計画のためにロスの計画の全てがぶち壊しになったことは明らかなので、「完全にぶち壊してごめん」というレイチェルに対して遠慮することなく、Yeah. 「そうだね、確かに君がぶち壊してくれたよね」と言っているのですね。
咳払いのように見せながら Yeah. と言っているのがロスのユーモアでもありますし、レイチェルが反省しているのもよくわかっている親友のロスだからこそ、Yeah. という正直な返事で返しているのでしょう。

fool は「ばか」ですから、make a fool of は「…を笑い者にする」という意味になり、make a fool of oneself だと「笑い者になる、ばかなことをする」になります。
ジョシュアの気を引きたいがために、あれやこれやとばかなことをやって、すっかりみんなの笑い者になっちゃったわ、ということです。
あなたの計画をぶち壊した張本人が笑い者になったことで、少しはあなたの怒りが収まってくれるといいけれど、ちょっとは気分がましになってくれるといいけれど、ということが言いたいわけです。
私もみっともないことになったから、それで少しは許してくれる?という感じですね。
ロスは、「気分がましになるのに、それは一役かってくれたよ」というように、Helps a little. 「少しは(気分をましにする)助けになる」と言っています。
これも気心の知れた友達だから言える言葉ですね。

a pathetic loser は「みじめな敗者、負け犬」。よくチャンドラーを形容するのに(自他共に)使われる言葉ですが(笑)、必死にジョシュアの気を引こうとしたのに、結局、「心の準備ができていない」と言われ、付き合うことができない自分のことを負け犬と言っているのですね。(でも、I like you. と言われたんだから、a pathetic loser ほどひどくないとも思うのですが…)
step は「段、階段」で、ここでは廊下の段になっている部分を指しています。
ロスがその段に座っているので、その横に私も座ってもいいかしら?ということですね。

何度も謝るレイチェルに、「どうせ最初から2週間だけの付き合いだってわかってたから」と言って納得しようとするロス。
エミリーはアメリカに少しの間滞在するだけだったので、元から一生ものの真剣な付き合いをするつもりはなかった、最初から終わることがわかってた付き合いだったんだよ、と言うことです。
ただ、こんな風なドタバタ的な終わり方じゃなくて、自分が予定していたような素晴らしい思い出深い夜で終わりたかっただけだよ、と言っています。

ロスの発言を聞いて、レイチェルはロスの本音を見透かしたような発言をします。
あなたは「こんな風に終わらせたくなかった」と言ったけど、this way は余計で、「(この関係を)終わらせたくなかった」が本音なんじゃないの?と言っています。
エミリーのことを好きであることはロスも認めますが、ロスは何度も、a two-week thing 「2週間のこと、2週間限りの関係」であることを強調しています。
commitment はフレンズに何度も登場していますが、「男女が深くかかわり合うこと、真剣に付き合うこと」という意味でしたね。

「深くない2週間だけの浅い付き合い」であることを強調するロスですが、レイチェルはエミリーの今夜の行動を挙げて、たった2週間だけのつもりなら、そんなことするかしら?と言っています。
spent the entire evening talking... asking... looking... は、「その今夜の夜全部の時間を、talk して、ask して、look して過ごした」ということ。
you don't do that if you're just... の you は、ロスというよりは、一般の人々を指す感覚で、「人は2週間だけの関係の場合、そんなことはしない」という一般論を述べているのでしょう。

you've got like 14 hours... And you're sitting... というのは、「あなたには14時間ある。そしてそのあなたは今(ここで)座っている」ということで、ニュアンスとしては、「あなたにはまだ14時間も残っているのに、そのあなたは今何をしているかと言うと、ここで座っているのよね」という感覚でしょうね。
14時間あるのに、のんきにこんなところで座って無駄に時間を過ごしていていいの?、今はこんなことしてる場合じゃないでしょ?と気付かそうとしている感じです。

1分1秒が大事なこの時に、あなたは今何をしているか、という説明で、非常にくだらないことに時間を使っていることを表現しようとして、「唇の腫れた28歳のチアリーダーと廊下で座っている」と自虐的に表現しているわけです。
fat は「太った、ふくれた」ですが、この場合はケガのためにふくれているので「腫(は)れた」と表現するのが妥当でしょう。
ジョシュアの気を引こうと、レイチェルの究極の勝負服(笑)チアリーダーの衣装に着替えたのですが、側転をした時に自分の寝室で何かに顔をぶつけて、唇が腫れてしまっているのですね。
チアリーダーの服で落とせなかった男はいない、というのがレイチェルの持論だったのですが、それはやはり高校生の頃の話で、28歳の女性にはかなりイタい格好だったことが今夜はっきりしたようです。
それでわざわざ「28歳の」という形容詞までつけて、高校生でもないのにチアリーダーの格好をしている女性(「勘違い女」みたいな感覚でしょうか)とこんなとこで座ってちゃだめでしょ、早くエミリーとの大切な時間に戻って、と言っているのですね。


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2010年02月24日

butとhowever フレンズ4-16その5

ジョシュアはレイチェルを好きだと言います。今夜の君はとんでもない行動ばかりしていたけどね、とも言われたレイチェルですが、
レイチェル: But, but you like me? Oh, my God, I can't believe this. All this time, I liked you and you liked me! (でも、でも、あなたは私が好きなのね? なんてこと。こんなの信じられないわ。今までずっと、私はあなたが好きで、あなたは私が好きだったのね!)
ジョシュア: But.... (でも…)
レイチェル: Oh, no-no-no "but." No-no, "but" is never good. Just let's leave it at "I like you and you like me." (あぁ、なし、なし、but はナシよ。but は良くないわ。ただ、「私はあなたが好きで、あなたは私が好き」にしておきましょ。)
ジョシュア: Okay uh, however-- (わかった。じゃあ、しかしながら…)
レイチェル: No, now see that's a fancy "but." (だめよ。ほら、それは but の上等な形なだけだわ。)
ジョシュア: My marriage, like, just ended. And I'm really not ready to get into anything yet. (僕の結婚は、ほら、ちょうど終わったばかりなんだ。だから、何かの関係に入る準備がまだ全く出来ていないんだよ。)
レイチェル: But...? (でも…?)
ジョシュア: I'm sorry. I, I just need a little time. (ごめんよ。僕にはただ、もう少し時間が必要なんだ。)
レイチェル: Okay. (わかったわ。)

ジョシュアに I like you. と言われて喜ぶレイチェル。
ですが、ジョシュアは、But.... と逆接で繋げて、何かを言おうとします。
I like you, but.. 「君のことは好きだけど、でも…」と来ると、次にどんなセリフが来るかは、日本語でも想像がつきますよね。
そんなセリフ聞きたくない、とばかりに、but はやめてと言うレイチェルの気持ち、よくわかります。
leave it at は「…のままにしておく、…でやめておく」という感覚。
leave it at that 「そのくらい、その辺にしておく」というフレーズもよく使われますね。
Let's leave it at that. だと「そのくらいにしておきましょう、そういうことにしておきましょう」という意味になります。
レイチェルのセリフは、but とか言わないで、"I like you and you like me." 「私はあなたが好きで、あなたは私が好き」という相思相愛状態のままで置いておきましょ、せっかくのその素敵な状態をぶち壊すようなことは言わないで、という気持ちですね。

but はダメと言われたので、ジョシュアは今度は、however を使っています。
皆さんご存知の通り、これも、逆接ですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、however には、S2, W1 という記号がついています。
LAAD の説明によると、
S1 S2 S3 show which are the most frequent 1000/2000/3000 words in spoken English.
W1 W2 W3 show which are the most frequent 1000/2000/3000 words in written English.

ということなので、however は、話し言葉では S2、つまり、「話し言葉の頻出2000語」に入っており、書き言葉では W1、つまり、「書き言葉の頻出1000語」に入っているということになります。
ですから、話し言葉でも使われるけれども、書き言葉で使われることの方が多い、ということになり、but よりもフォーマルな感じがする単語だということになります。

また、LAAD の but の項目に、WORD CHOICE というのがあります。
そこで、but と however の違いについての説明があります。

一部抜粋しますと、
But is very frequent in spoken English, ...
However is used especially in more formal writing, ...

つまり、but は口語で非常に頻繁に使われる、however は特に、よりフォーマルなライティングで使われる、という違いですね。

上に挙げた LAAD の S2, W1 などの記号や WORD CHOICE というコラムについては、
日向清人先生のビジネス英語雑記帳: (4)英英辞典:LAAD の記事で、具体的な単語例を挙げて、さらに詳しく説明して下さっていますので、皆様も是非お読みになって下さい。

今回も、ジョシュアは会話でよく使われる but を使ったのですが、but の使用を拒否されたので、but の代わりにもう少し堅めの表現 however を(ちょっとユーモアも交えて)使ってみせた、というところです。
言葉を変えながらも、同じ逆接の単語を使った(ちょっと)いじわるなジョシュアに対して、レイチェルは、「however は、a fancy "but" にすぎないわ」と言っています。
fancy は「派手な」「上等な」などの意味がありますが、この場合は「上等な」というニュアンスでしょうね。
口語で普通に使う軽い言葉の but ではなく、書き言葉の方でより多く使われる、but よりフォーマルな however のことを、「それは、but にちょっと高級感を出してみただけの単語じゃない。結局それも but と同じじゃない」と言っているのですね。

ジョシュアは、My marriage, like, JUST ended. と just を強調して話しています。
たった今、結婚という関係が終わったばかりなんだよ、ということが言いたいのですね。
終わったばかりで、次の関係に入る心の準備ができていない、と説明しています。
それを聞いて今度はレイチェルが、But...? と続けているのが面白いです。
そうは言うけど、その後に but は続かないの?とうながしている感じ。
さっきは、自分で but を封印したくせに、今度は「心の準備ができていない」と言ったジョシュアに、「でも君を見ていたら、新しい関係に踏み出せそうな気がする」などの、交際に前向きな返事が続くことを期待する but ですね。
でも、レイチェルの期待通りに、今度は but が続くことはなく、「ごめん。僕には時間が必要なんだ」とはっきり言われてしまったので、ここまで言われてしまうと、レイチェルも、Okay. と受け入れざるを得ないところです。


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posted by Rach at 11:08| Comment(0) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする