2011年06月16日

あのリチャードってどのリチャード? フレンズ5-23その2

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は5位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


[Scene: Monica and Rachel's, Phoebe is entering.]
モニカとレイチェルの部屋。フィービーが入ってくる。
フィービー: Monica! I'm sorry I'm late! (Starts looking around for her) Monica? (Goes into Monica's bedroom.) (モニカ! 遅れてごめんなさい! [モニカを探し始める] モニカ? [モニカの寝室に入る])
モニカ: (entering) Phoebe? (Phoebe comes back into the living room) Oh, Phoebe, I'm so sorry. Have you been here long? ([(外からアパートメントの中に)入ってきて] フィービー? [フィービーはリビングに戻ってくる] あぁ、フィービー、ごめんなさい。ここに長い間いた?)
フィービー: (saddened) That's okay. What the hell took you so long? ([悲しんで(悲しそうな顔をして)] そんなのいいのよ。一体どうしてそんなに長い時間がかかったの?)
モニカ: Okay, you cannot tell Chandler. Okay? That I ran into Richard. (いいわ、チャンドラーには言っちゃだめよ、いい? 私、リチャードにばったり会ったの。)
フィービー: Which Richard? (どのリチャード?)
モニカ: The Richard. (あのリチャードよ。)
フィービー: Richard Simmons? Oh, my God! (リチャード・シモンズ? なんてこと!)
モニカ: Noo! My ex-boyfriend Richard! Y'know, the tall guy, mustache? (違うわ! 私の元カレのリチャードよ! ほら、背が高くて、口ひげの。)
フィービー: Oh! Okay, that actually makes more sense. So how was it? (あぁ! そうね、実際、その方が納得いくわね。それで、どうだったの?)
モニカ: It was, it was really nice. We started talking and I-I ended up having lunch with him. (本当に良かったわ。私たちは話し始めて、それで、結局、私は彼とランチを食べたの。)
フィービー: That is so weird! I had a dream that you'd have lunch with Richard. (それってすごく変な感じだわ! 私、あなたがリチャードとランチを食べる夢を見たのよ。)
モニカ: Really? (ほんとに?)
フィービー: But again, Richard Simmons. Go on. (でも、それもまた、リチャード・シモンズだけどね。(話を)続けて。)

外からアパートメントに入ってきたフィービーは、「遅くなってごめんなさい」と言いながら、モニカを探しています。
その後にアパートメントに入ってきたモニカは、フィービーの姿を見て、ここに長くいた?と尋ねます。
フィービーは悲しそうな顔をして、That's okay. と言っていますね。
これは、フィービーは予定の時刻に遅刻したけれど、モニカがさらにそれより遅かったので、自分がこの部屋でさも長い間モニカを待っていたかのようなお芝居をしているのですね。
最初は「遅れてごめん」と申し訳なさそうにモニカを探し回っていたのに、モニカが遅かったとわかると、「すごく待たされちゃったけど、まあいいわ、許したげる」みたいに、わざと不機嫌そうな顔をしてみせているわけです。

「take+someone+時間」は、「人に(時間が)かかる、人に(時間を)要する、必要とする」。
この場合は、「何があなたにそんなに長い時間を要したの?」ということで、つまりは、「何をしていたせいで、どんな用事で、あなたはそんなに遅くなった(時間がかかった)の?」と言っていることになります。
自然な日本語にするならば、「どうしてそんなに遅くなったの?」になるでしょうが、厳密に言うと、「遅くなった理由」を尋ねているというよりは、「遅くなった原因」を尋ねているニュアンスになるでしょう。

モニカは、「チャンドラーに言っちゃだめよ」と言いながら、「私、リチャードにばったり会っちゃったの」と言っています。
ネットスクリプトには、That I ran into Richard. と書いてあり、実際、that が音として聞こえるかどうかは微妙なところですが、この that は、You cannot tell Chandler that I ran into Richard. ということです。
that のニュアンスを出そうとすると、「チャンドラーには言わないでね。私がリチャードにばったり会ったことを」みたいになるでしょうか。
このように、「…ということ」の意味で、文頭がいきなり That で始まるような「That+S+V」という形は、ドラマや映画などのセリフに結構登場します。
その前に言ったセリフに続く形で、that が使われているのだと認識すれば良いでしょう。

リチャードに会ったと話すモニカに、フィービーは「どのリチャード?」と聞いています。
それに対するモニカの返事、The Richard. は、The の部分が強調され、通常の「ザ」ではなく、「ジ」…というより「ディ」みたいな発音に聞こえます。
モニカは、「どのリチャードって、あのリチャードに決まってるじゃない」という感じで、The の部分を強調しているわけですね。

「あの」リチャードと聞いて、フィービーが名前を出したのは、Richard Simmons という人。
それに対してモニカは、「違うわ、あのリチャードと言えば、私の元カレのリチャードよ!」と言い、背が高くて口ひげが生えているという彼の特徴を述べ、元カレのことを思い出させようとしています。

フレンズをずっと見てきたファンにとっても、モニカがリチャードと言えば、あの親子ほど年の離れた元カレのリチャードに決まってる、とわかるのに、全然関係のないリチャードの名前を持ち出すフィービーのズレ具合が「いかにもフィービー」という感じですね。

フィービーが名前を出した、リチャード・シモンズについては以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Richard Simmons

彼のオフィシャルサイトはこちら。
Richard Simmons Official Site and Clubhouse: Weight Loss and Fitness Tools and Motivation

減量プログラムなどを行なう、フィットネス界の有名人のようです。
ウィキペディアの説明には以下の記述があります。
... is known for his eccentric, outgoing and frequently flamboyant personality.
つまり、「彼は、エキセントリック(風変り)で、社交的で、しばしば、けばけばしい(派手な)性格で有名である」。

ついでにその flamboyant の英英辞典の語義も紹介しておきます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
flamboyant : behaving or dressing in a confident or surprising way that makes people notice you.
つまり、「人に(存在を)気づかせるような[人目を引くような]、自信に満ちた[大胆な]、または驚くようなやり方で行動する、またはそのような服を着る」。
つまり、行動や服装が大胆で人目をひくような人を指す言葉だということになります。

フィットネスやダンスのような華やかな業界は、派手めで、元気ハツラツな人が多いですよね。
このリチャード・シモンズもそういうイメージの人なのでしょう。
有名な映画俳優(例えば、リチャード・ギア)とかではなくて、フィットネス業界の人の名前を出してくるところが、変化球ぽいというか、どこかマニアックで意外性があって余計に笑えてしまう、ということかもしれません。
ダイエットのビデオなども多く出している有名人のようですが、それにしても、数多くいるリチャードと名のつく有名人の中で、なぜ彼の名前が一番最初に出てくる?!みたいな、人選のセンスの面白さなのでしょう。

口ひげの生えた元カレだと説明するモニカに、フィービーは、that actually makes more sense と言っています。
make sense は「道理にかなう」ですから、それを比較級にした、make more sense は「(主語)の方が、より道理にかなう」ということですね。
つまり、フィービーは、今のモニカの言ったことの方が、私の言ったことよりも道理にかなってるわ、と言っていることになります。
これがもし more がなければ、「あなたの言ったことは道理にかなってるわ、納得いくわ」になるのですが、more がついているために、自分の言ったことと比較して「より道理にかなっている」と言っていることになり、つまりは、自分の言ったことも多少は道理がかなっていると思っていることがわかります。
モニカがリチャードという名前を出した時に、全く何の関係もない、リチャード・シモンズだと思い込むのは超ナンセンスなのに、フィービーはその自覚がない、ということですね。
「うーん、なるほど、あなたの元カレのリチャードね、確かに”そっちの方が”納得いくわね」と「2つを比較した上でモニカの意見の方がより道理にかなう」と判断している、そのセリフの面白さに注目していただければと思います。

わりと最近の記事でも、これと同じようなパターンを取り上げたことがあります。
あまり道理にかなってるとは言えない フレンズ5-20その6 で、「銃声がしたから、サンドイッチを守ろうとしたんだ」というジョーイに、
チャンドラー: From a bullet? ((救うって)銃弾から?)
ジョーイ: I know it doesn't make much sense. (それほど筋が通らないのはわかってるけど。)
チャンドラー: "Much" sense? (「それほど」だって?)
というやり取りでした。
これも、自分の言っていることに「多少は道理がある、多少の筋は通っている」と思っているジョーイに、チャンドラーはあきれていたわけですね。

誰かの発言を受けて「なるほど。それなら道理にかなってる」と言いたい場合に、That makes sense. というフレーズをよく使いますが、それに more をつけることで、自分の言ったことも多少は道理があった、ということを示している、その面白さを楽しんでいただけたらと思います。

リチャードと会って話をして、結局はランチを一緒に食べたと言うモニカ。
フィービーは、「それって妙な感じね。(だって)私、あなたがリチャードとランチを食べる夢を見たんだもの」と言っています。
「モニカが実際にやったことを、それより前に夢で見ちゃったの。何だか予知夢みたいで奇妙な感じがするわよねぇ…」と言っているように聞こえるのですが、その後のセリフを聞いてみると、その夢に出てきたリチャードは、元カレのリチャードではなくて、またもや、リチャード・シモンズ!(笑)
「また、そっちのリチャード!?」とツッコミたくなるようなセリフですね。
さっきの話で、シモンズの件はオチがついていたと思ったら、少し間を置いてまた持ち出す、という、ある意味、喜劇の王道と言うべきジョークだと思います。
こんなところで再登場するとは思わず油断していると、まんまとそのジョークにハマってしまう、という感覚ですね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 12:34| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月13日

ATMに残された暗証番号 フレンズ5-23その1

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は5位、「にほんブログ村」は5位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


シーズン5 第23話
The One in Vegas Part I (恋人たちのベガス PART 1 )
原題は「ベガスの話 パート1」


[Scene: Monica and Rachel's, Rachel is sitting in the living room and Phoebe is standing in the kitchen as the phone rings.]
モニカとレイチェルの部屋。レイチェルはリビングに座っていて、フィービーは台所に立っている。その時に電話が鳴る。
フィービー: (answering the phone) Hello? (Listens) Hey, Joey! ([電話に出て] もしもし? [電話を聞いて] はーい、ジョーイ!)
[Cut to Las Vegas, Joey is on the phone and wearing his gladiator costume.]
ラスベガスに画面がカット。ジョーイは電話をしていて、グラディエーターの衣装を着ている。
ジョーイ: Hey, Pheebs! Listen, uh can you do me a favor? I forgot the PIN number to my ATM card. Can, can you get it for me? (やあ、フィービー! ねぇ、お願いがあるんだけど。俺、ATM カードの暗証番号を忘れたんだ。俺のためにその番号を手に入れてくれる?[調べてくれる?])
フィービー: Sure! Where is it? (もちろん! それはどこにあるの?)
ジョーイ: Uh, I scratched it on the ATM machine down on the corner. (隅[角]にある ATM の上に走り書きしたんだ[引っかいて彫ったんだ]。)
フィービー: Ohh! So you're 5-6-3-9? (あー! それじゃあ、あなたが 5639 なのね?)
ジョーイ: That's it! Thanks, Pheebs! (それだよ! ありがと、フィービー!)

ラスベガスから電話してきたジョーイ。
ジョーイは、the PIN number to my ATM card を忘れたと言っています。
PIN は、personal identification number 「暗証番号」のことですね。
今回のセリフでは、the PIN number のように number という単語がついていますが、the PIN、または、my PIN という number のない形で使われることも多いようです。
実際、N = number の略であるわけですから、厳密に言うと、number をつけてしまうと、number が重複することになってしまうわけですが、より暗証「番号」であることをはっきりさせるために、PIN number という言い方もよく使われる、ということなのでしょう。

the PIN number to my ATM card のように前置詞 to が使われていますね。
これは、「…の鍵(かぎ)」と言いたい場合に、a key to something のように to が使われるのと同じような感覚だと思います。
a key to a door だと「ドアのカギ」、a key to a car だと「車のキー」ですね。
研究社 新英和中辞典では、そういう to のニュアンスを、
[付属・関連・関係を表わして] …の、…に(とっての)
と説明していますが、まさにそのような「付属しているという関係を示している」 to なのだろうと思います。紐付きになっている関係とでも言いましょうか。

Can you get it for me? の get は漠然とした動詞ですが、ここでは「入手する、手に入れる」という感覚が近いかなと思います。
番号を忘れちゃったんで、それを「探して、調べて」欲しいんだ、みたいなことでしょう。

I scratched it on the ATM machine down on the corner. について。
まずは動詞 scratch。「スクラッチくじ」という言葉があるように、scratch は「引っかく、かく、こする」という意味が基本ですね。
そこから、「引っかくように彫る」や「走り書きする、殴り書きする」という意味にもなります。

研究社 新英和中辞典では、
scratch :
1 〔+目+on+【(代)名】〕 〔…に〕〈印・名前などを〉ひっかくようにつける[書く]
scratch one's name on a wall (with a nail) (くぎで)壁に名前を彫りつける。
2 〈…を〉走り書きする, 殴り書きする
scratch one's signature さっとサインをする。
scratch a note to a friend 友人にさっと一筆手紙を書く。


と出ています。
「くぎで壁に彫りつける」というのはまさに日本語にもなっている「スクラッチ」のイメージですが、必ずしも「引っかいて傷をつける」というニュアンスばかりではなく、乱暴な感じで「書く」ことも scratch と表現するのですね。

Macmillan Dictionary では、
scratch : [transitive] (informal) to write something very quickly and carelessly
つまり、「(インフォーマル) 何かを非常に早く、ぞんざいに書くこと」。

the ATM machine down on the corner を定冠詞を忠実に訳すと、「その角にある、あの ATM 機」みたいな感覚になるでしょうか。
the という定冠詞は、話し手と聞き手が「それ」だと特定できるものに対して使われますので、いつも一緒にいるフレンズたちは、「あの隅・角の ATM 」と言えば、あぁ、いつも使ってるあれね!とピンとくるわけでしょう。
フレンズたちがよく使っているその ATM に、ジョーイは自分のカードの暗証番号を scratch したと言っているわけですが、何か硬いもので引っかいてその番号を彫った、ということもありうるし、ペンか何かで走り書き、殴り書きした、ということもあるでしょう。
彫って傷をつける方が時間がかかりそうなので(笑)、多分、忘れないようにどこかにささっと「落書きのように書き留めた」、という感じが近いのかな、とは思います。
いずれにしろ、学校の机に何かを彫ったり落書きしたりしてある、あんな感じのイメージですね。

ちなみに、ATM は、automated teller [telling] machine 「自動現金預払機」の略。
セリフでは、ATM machine と書いてありますが、これも、さきほどの PIN number と同じく、最後の machine が重複しています。
「自動現金預払機の機械」みたいな感じになるわけですが、PIN number と同様、machine を付けた方が「機械」であることをよりはっきりイメージできる、という効果もありますし、また、英語はこのような頭文字を使った略語が多いために、他の分野の同じ略語と見分けるために(紛らわしくないように)、念のため、number や machine をつけた形で使う、ということもある気がします。

いつもの ATM に書いてある、と言われたフィービーは、So you're 5-6-3-9? と驚いています。
その機械を使うと、その数字がどうしても目に入るので覚えてしまったようですね。
Your PIN number is 5-6-3-9? 「あなたの暗証番号は 5639 なの?」というような意味ですが、ここでは、be動詞 are で結ばれて、「you = 5-6-3-9」のように表現されています。
本来、「あなた(人)=暗証番号(数字)」という等式は成り立ちませんが、ATM に書かれている4桁の番号となると、それはカードの暗証番号であるに決まっている、誰の番号なんだろう?とずっと疑問に思っていたけれど、「暗証番号5639 の持ち主・正体はあなただったのね!」という感じで、「あなたが 5639 (さん)なのね」のように言っている感覚だと思います。

That's it. は「それだよ、それが求めていたものだ」というニュアンス。
that は今フィービーが言った暗証番号を指し、it はジョーイが頭の中にイメージしているもの、彼が求めているものを指しています。
「今言ったのが、俺が探していたものだ」ということですね。

ちなみに、この 5639 という番号はでたらめな数字ではありません。
この数字はアルファベットを意味しています。
正確に言うと、あるアルファベットを数字化すると、この数字になるということです。

過去記事、架空の電話番号 フレンズ3-7その3 では、お店の広告に、212-555-KING という電話番号が出てきました。
携帯電話には、数字キー(dial pad)に、アルファベットが割り振られていますよね。
この場合は、KING のアルファベットを押すと、5464 になる、という仕組みです。

今回のジョーイの暗証番号については、
5-J, K, L
6-M, N, O
3-D, E, F
9-W, X, Y, Z
と割り振られているので、5639 がどういうアルファベットから来ているかを想像してみると…なんと、JOEY という綴りを数字化したもの、だったのですね。
5639 = JOEY なわけです。

この暗証番号のやり取りが面白いのは、カードを使って引き出す機械そのものに暗証番号をメモっているという大胆さ、つまり、「人に見られるところに暗証番号をメモしてはいけない」というセキュリティーの鉄則を思いっきり破っているということがまずあります。
そこにカードを置き忘れたり、周辺に落としたりした場合に、他人にお金を引き出されてしまう可能性があるわけです。

さらに面白いのは、この暗証番号が、JOEY というアルファベットを数字化した数字になっているのに、それがわからないなんておかしいでしょ?とツッコミたくなる、ということもあるでしょう。
暗証番号に電話番号や生年月日を使わないように、という警告がよくありますが、ある意味、それよりもバレやすい暗証番号のような気もしますしね。
これもたまたま、ジョーイの綴りが4文字だったのでぴったり数字4つに収まるわけで、フレンズの中だと彼以外には、ROSS くらいしかこのパターンは使えません(ちなみにロスだと、7677 になります)。
「名前をそのまま暗証番号にした上に、それを ATM にメモっている。そんな覚えやすい番号なのに忘れてしまい、フレンズに助けを求めている」というところが、「いかにもジョーイ」という感じがして、楽しいなと思いました。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 13:38| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月11日

古代ローマがテーマのホテル フレンズ5-22その6

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は3位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


ジョーイが主演するはずの映画は、資金不足で中止になってしまいます。ですが、フレンズたちはまだそのことを知りません。
[Scene: Monica and Rachel's, the phone is ringing.]
モニカとレイチェルの部屋。電話が鳴っている。
モニカ: (answering it) Hello? ([電話に出て] もしもし?)
ジョーイ: (on phone from Vegas) Hey, Monica, it's Joey! ([ベガスからの電話] よお、モニカ。ジョーイだ!)
モニカ: Hey, Joey! Aww, you remember me even though you're a big star! (まぁ、ジョーイ! あー、私を覚えててくれてるのね、あなたは大スターだっていうのに!)
ジョーイ: Aw, come on! It'll be years before I forget you! (あー、よせよ! 俺がモニカを忘れるには、何年もかかるよ。)
モニカ: Joey, what's it like on a movie set, huh? Do you have a dressing room? Do you have a chair with your name on it? (ジョーイ、映画セットにいるってどんな感じ? あなたには楽屋があるの? あなたの名前が書いてある椅子があるの?)
ジョーイ: Uh, well yeah-yeah, I got all of that going on. Yeah, listen uh, I want you to make sure you tell Chandler that he couldn't have been more wrong! Uh-oh! I gotta go, Monica. My uh, my sushi's here! (あー、そうだな、そう、そうだよ。そういうの全部あるよ。そうだ、ねぇ、必ずチャンドラーに言っといてよ、チャンドラーはこれ以上ないくらい間違ってたって。おっとー、モニカ、俺、行かなくちゃ。俺の、俺のスシがきたんでね!)
[Cut to Joey hanging up the phone in Vegas. He's wearing a Roman gladiator's uniform and goes over to join a family to pose for a picture. You see, he's apparently taken a job at Caesars Palace.]
ジョーイがベガスで電話を切る場面に切り替わる。ジョーイはローマ時代風のグラディエーターの服[軍服]を着ていて、ある家族のところに行って、写真のためにポーズを取る。おわかりのように、ジョーイはどうやらシーザーズ・パレスでの仕事に就いたらしい。
ジョーイ: (to the family) Sorry about that. Thanks for waitin'. ([その家族に] 今のは[電話してて]ごめん。待っててくれてありがとう。)
その家族の夫: Okay! (いいよ!)
ジョーイ: Everybody smile! (The picture is taken) Okay, thanks a lot! Enjoy your stay at Caesars! We hope it's toga-rific! (The family leaves.) Kill me. Kill me now. (みんな、笑って! [写真が撮影される] よし、どうもありがとうね! シーザーズでの滞在を楽しんで! トガリフィックになるように祈ってるよ! [その家族が去る] (誰か)俺を殺して、今すぐ、殺して。)

ラスベガスから、モニカの家に電話をしてきたジョーイ。
ジョーイの映画が中止になったことを知らないモニカは、映画の主役に抜擢されたジョーイを、ビッグスター扱いしています。
even though は「…であるのに、…にもかかわらず」。
すごい大スターで有名人になったのに、昔の友達の私のことを、以前と変わらず覚えていてくれてるの?みたいなお世辞ですね。

It'll be years before I forget you! を直訳すると、「俺が君を忘れる前に[までに]、何年もあるだろう」みたいな感じですね。

研究社 新英和中辞典では、以下の例文が載っています。
It will be long before we meet again. 「今度お会いするのはずっと先のことでしょう」
(用法:before の導く節が意味上は未来に関することを表わしていても述語動詞は現在形を用いる)


これも、「私たちが再び出会う前に、長い期間があるでしょう」ということから、上のような意味になるのですね。
この例文の long を years にしたのが今回のセリフということになります。

ジョーイがこのセリフを言った時、観客の笑い声(ラフトラック)があり、モニカは「あらら」というような顔をしています。
ジョーイを大スターのように扱ってあげたのに、あまり嬉しくないセリフで返された、というような表情に見えます。
その様子から判断すると、「モニカを忘れるには何年もかかるよ」というのは、モニカという人物の印象が強烈すぎて(笑)、忘れたくても忘れられない、一日や二日で忘れられるものじゃない(→忘れるためには何年もかかる)という意味のセリフなのかな、と思います。

モニカは、一瞬そのように、妙な表情を浮かべますが、また気を取り直して、映画に関することを質問します。
What's it like on a movie set? の What's it like? は「どんな感じ?」ですね。
What's it like to do? や、What's it like doing? なら、「…するのはどんな感じ?」という意味になります。
It is like A to do. / It is like A doing. 「〜することはAのようだ」の like の後に来る部分(A)を、疑問代名詞 what で問うているわけですね。
その場合の it は、to do や doing の仮主語ということになります。

今回のセリフ What's it like on a movie set? は、「on a movie set で、どんな感じ?」と尋ねている感覚ですね。
この場合の it は「漠然とした状況」を指しているのでしょう。
on a movie set は「映画のセットの上に乗っている」ような感覚で、そういうセットの中で行動している今の状況はどんな感じ?という質問になります。

dressing room は「更衣室、支度室、着替え部屋」みたいなことですが、映画などの場合だと「楽屋」がふさわしいでしょうか。
直訳すると、「あなたは1つの楽屋を持っているの?」ということなので、他の人と一緒の大部屋に押し込められているのではなく、主演俳優として楽屋を一つ与えられてるんでしょう?と言っていることになりますね。
a chair with your name on it の with は「付帯状況」を表し、「あなたの名前がその椅子の上にある椅子」→「あなたの名前が書いてある椅子」になります。
これもまた、主演俳優専用の椅子があるんでしょう?と言っていることになります。

I got all of that going on. の got は、have のニュアンスだと思われます。
have all of that going on で、「それ(モニカが今言ったようなこと)の全部が進行中である状態を持っている」みたいなことで、モニカが言ったように、個室の楽屋もあるし、名前の書いた椅子もあると返事していることになります。

I want you to make sure you tell Chandler that の make sure (that) は「間違いなく〜するようにする、必ず〜するように計らう」ですから、「間違いなく that 以下のことをチャンドラーに伝えて欲しい」ですね。
I want you to tell Chanlder that と同じようなことですが、make sure が入ることで、「必ず、間違いなく、もれなく」チャンドラーに伝えてよ、と念押ししている感じが出ています。

he couldn't have been more wrong の he はチャンドラーで、wrong には「悪い」という意味もありますが、ここでは「間違った、誤った、正しくない」という意味で使われているようです。
couldn't... more wrong で「それ以上、間違えることができなかった」→「これ以上はないと言うくらい、最高に・絶対的に間違っていた」ということが言いたいように思います。
I couldn't agree (with you) more. が、「これ以上同意することなんてできない」→「全く同感です」という意味になるのと同じで、「これ以上…である・になることを否定する」ことで、そのレベルが最高であることを表現する方法ですね。

ここでジョーイが言いたいのは、「俺の大ブレイクじゃない、本当の映画じゃない、ってチャンドラーは言ってたけど、今言ったように俺は主役として良い待遇を受けてるんだから、チャンドラーが言ったのは大間違いだったぞ」ということでしょう。
さらに、主役のVIP待遇であることを示すために、「俺のスシが来た」とも言っています。
お寿司を高級料理のように言っているわけですから、日本人としてはちょっと嬉しいですね。

その後のト書きにあるように、電話を切った後のジョーイの姿が映りますが、古代ローマの剣闘士(gladiator)の扮装をしています。
まさに、ラッセル・クロウ主演の映画「グラディエーター」の世界ですね。
そういう衣装を着て、お客さんと写真を撮っている、その様子から、Caesars Palace での仕事に就いたらしい、というト書きもあります。
このホテル、ラスベガスに実際に存在するホテルのようです。
Caesars Palace Las Vegas
Wikipedia 英語版: Caesars Palace

ウィキペディアの枠内の説明にあるように、Theme: Roman Empire 「テーマ:ローマ帝国」なので、ジョーイはこんな恰好をしているわけです。
Caesar は、古代ローマの将軍 Julius Caesar 「ジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)」のことですね。
palace は「宮殿」。

ネットスクリプトのト書きでは、Caesar's Palace のように所有格のアポストロフィーがついており、後のジョーイのセリフも、DVD英語字幕では、Enjoy your stay at Caesar's! のようにアポストロフィーがついていますが、アポストロフィーのつかない Caesars Palace が正式名称のようです。

上のウィキペディアの History に以下の記述がありました。
It is called "Caesars" and not "Caesar's" because every guest is a Caesar.
つまり、「呼び名(ホテルの名前)は、"Caesars" であって、"Caesar's" ではない。それは、すべての客が a Caesar 「一人のシーザー」だからである」。
つまり、Caesar's としてしまうと、「あの」ジュリアス・シーザーの宮殿、ということになり、ゲストがその宮殿にお邪魔していますみたいな感じになってしまいそうだけれども(??)、このホテルは「訪れたお客様一人ひとりがシーザーである」ようにおもてなしをするのがコンセプトなので、シーザーたちが集まる宮殿という意味で、複数形の Caesars を使っている、ということのようです。
複数形で所有格にする場合は、Caesars' のように、複数形にした後、アポストロフィーをつけることもありますが、この場合は、複数形を形容詞的に使っていると考えたら良いかなぁ、と。

かなり有名なホテルのようで、ウィキペディアの Film history や Television の項目を見ると、いろいろな作品に登場していることがわかります。
Television のところでは、ちゃんと今回のフレンズのことも書いてありますね。

ローマ時代のグラディエーターの恰好をして、お客さんと一緒に写真に納まるジョーイ。
シーザーズでの滞在を楽しんでね、と言った後、We hope it's toga-rific! と言っています。
toga-rific は恐らく、terriflc 「素晴らしい、素敵な」のもじりでしょう。
toga は「トーガ」という、古代ローマ人が着ていた外衣のことですね。
Wikipedia 日本語版: トガ
Wikipedia 英語版: Toga
上のウィキペディアには、トーガの絵なども載っています。

We hope の we は、「ホテル従業員の私たちは(滞在が素敵なものとなるように祈っています)」という感覚でしょう。
ジョーイのような写真撮影用のバイトも含め、おもてなしする側の人間を we と表現しているわけですね。
写真撮影の後は、必ずお客さんにこう言うように、と命じられている感じがします。

笑いながら客を見送ったジョーイですが、その後、落ち込んだ様子で、Kill me. Kill me now. と言っています。
映画の主役だと張り切っていたのに、写真撮影用モデルのバイトでこんな恰好をしている自分がみじめになってきたのでしょう。
「誰か、今すぐ俺を殺してくれ」というのは物騒な表現ではありますが、自分の境遇に悲観した時にはつい口から出てしまう表現のようですね。

フレンズ1-10 では、大晦日を恋人なしで過ごすことに耐え切れず、ジャニスを誘ってしまったチャンドラーが、大晦日のパーティーでジャニスと一緒に写真を撮っている時に、
チャンドラー: Kill me. Kill me now.
と、今回のジョーイと全く同じフレーズを言っていました。
これも、思わず誘ってしまったけれど、やっぱりジャニスはうっとうしかった(笑)ので、そういうことをしてしまった弱い自分を嫌悪して、「もうこんなダメな俺は消えてしまいたい。誰か俺を消してくれ」のニュアンスで言っている感じですね。
今回のジョーイのセリフ、フレンズ1-10 のチャンドラーのセリフが、どちらも写真撮影の際(もしくは後)のセリフであるのは偶然とはいえ面白いです。
カメラを向けられると、それ用の顔をしてしまうものの、そのカメラに向けている顔と自分の心情とのギャップを考えると、余計に今の自分の姿がみじめになってしまう、ということかもしれませんね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 07:30| Comment(1) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月09日

試すだけの価値はある フレンズ5-22その5

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は2位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


チャンドラーと喧嘩したジョーイは、その後、ずっと一人で車を運転して、撮影現場の砂漠に到着したところ。(ドアを開けた途端に、ファストフードの入れ物が一斉にこぼれ落ちるのが、いかにもジョーイらしいです)
ジョーイ: Hey-hey! Stanley! Hey-hey! Your leading man is here! Let's get to work. (やあ、やあ! スタンレー! やあ、やあ! 君の映画の主役がここにやってきたよ! さあ仕事を始めよう。)
スタンレー: Umm, slight change of plans. We've shut down. (あー、ちょっとした計画の変更があってね。中断[停止]したんだ。)
ジョーイ: Wh-what?! Why?! (な、何? 何で?)
スタンレー: It's a money thing. We don't have any. (金のことだよ。我々は金が全くないんだ。)
ジョーイ: (laughs) You're kidding, right? ([笑って] 冗談言ってからかってるんだろ?)
スタンレー: No. (いいや。)
ジョーイ: What?! (え?)
スタンレー: It-it's probably just temporary. We're hoping to get some more money soon, so if you could just uh, hang out. (多分、ちょっと一時的なものだよ。俺たちはすぐにもっと金が入ることを願ってる。だから、ちょっとぶらぶらして時間を過ごしててくれれば。)
ジョーイ: Uh, hang out?! How long? (あ、ぶらぶらする? どのくらい(の期間)?)
スタンレー: I don't know. A week. Maybe two. The money will turn up! People always wanna invest in movies. Hey, you're not rich, are ya? (さあね。1週間。2週間かも。金はやってくるさ! 人は常に映画に投資したがるものだよ。ねえ、君は金持ちじゃないよね?)
ジョーイ: No! (金持ちじゃないよ!)
スタンレー: Eh, worth a shot. (Gets into his car.) Well, Joey. Let me know where you're staying, okay? (The car peels away.) (ま、試してみる価値はあるさ[念のため聞いてみただけだ]。[自分の車に乗り込む] なぁ、ジョーイ。君がどこに滞在するか知らせてくれよ、いいね? [その車は離れて行く])

撮影隊がいるところにやってきたジョーイ。
監督(ディレクター)らしい男性スタンリーに元気よく挨拶しています。
lead が「(映画・演劇の)主役」であることは説明しましたが、ここでは、leading man という表現が使われています。
動詞 lead は「先頭に立つ、首位を占める」という意味なので、leading は「主要な」「主役の、主演の」という意味になります。
play the leading part/role なら、「主役を演じる」「中心的な・主要な役割を務める・果たす」という意味ですね。
「一流・大手企業」という意味の a leading company は「リーディング・カンパニー」という日本語にもなっています。
ここでのジョーイのセリフは、監督に対して、「君がお待ちかねの主役がやってきたよ!」と言っているわけですね。
get to work は「仕事を始める、仕事にとりかかる」。

そんな風に張り切るジョーイに、スタンレーは、slight change of plans があるといいます。
slight は「わずかな、ちょっとした」という意味ですが、彼が言った内容は、We've shut down. でした。
shut down は「閉鎖する、活動・操業を停止する」。
つまり、映画の撮影を停止・中断した、と言っていることになります。
現在完了形が使われていますし、周囲には撮影のためのクルーや機材もありますので、たった今、撮影を取りやめたばかりだ、という感覚なのでしょう。
映画の撮影を取りやめた、というのは「超大ごと」なわけですが、それを、slight change of plan 「ちょっとしたプランの変更」と言っていた、そのギャップがジョークになっているわけです。
「いやぁー、ちょっとしたことがあってね」と言った後に、実はそれは大ごとだった、というオチは、日本でもよく見られるお笑いのお決まりパターンとも言えるでしょう。

驚いて理由を尋ねるジョーイに、スタンレーは、It's a money thing. と答えています。
thing 「こと、もの」という漠然とした単語を使っていますが、これだけで、何かお金に関することで問題があることがわかりますね。
「お金のことで、お金関係のことで」と言いたい場合には、このようにシンプルに、a money thing と表現することで十分意図が伝わる、ということです。

その後、a money thing の具体的な内容について、We don't have any. と語っています。
つまり、We don't have any money. ということで、「お金が全然ない」と言っていることになりますね。
もちろん、「1銭もない」ということはないでしょうが、とにかく映画を撮影するための資金がないんだということを大げさに言っていることになるでしょう。

「またまたぁ、俺をそうやって騙してからかおうとしちゃってぇー」みたいに、笑いながらスタンレーを指さすジョーイですが、スタンレーは真顔で No. と言うので、さすがのジョーイも冗談ではないと気づいたようです。

temporary は「一時的な」。temporary worker なら「臨時雇い(の人)」ですね。
hang out は「ぶらぶらして時を過ごす」。
shut down と言っても一時的なものだから、再開するまでどっかで時間潰しをしといてよ、と言っているわけです。

turn up は「(不意に、ひょっこり、偶然)現れる」という感覚。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
turn up [phrasal verb]
if an opportunity or situation turns up, it happens, especially when you are not expecting it.
例) I'm ready to take any job that turns up.

「機会や状況が turn up するというのは、それが起こること、特にそれを予期していない時に」。
例文は、「不意に出てくるどんな仕事も受ける準備はできている。」

invest は「投資する」。
スタンレーは、「お金は現れるさ。人間ってのは常に映画に投資したいものだからね」みたいに言っていることになりますね。
映画を作ると言うと、それに投資したがる人が必ずいるから、そのうち、お金も集まるさ、と呑気なことを言っているわけです。
自分から積極的にお金を作ろうとしている感じはなく、誰かが投資してくれるのをただ待っているような「人任せ」な感覚が彼のセリフから感じられます。

スタンリーは、Hey, you're not rich, are ya? 「ねぇ、君はリッチじゃないよね?」と何ともぶしつけな質問をしています。
当然のごとく(笑)、No! と強く否定するジョーイですが、スタンレーは、worth a shot と言っていますね。
この shot は attempt 「試み」の意味ですね。
過去記事、フレンズ1-14その6 で、give it another shot 「もう一度試してみる、もう一度やってみる」というフレーズが登場しましたが、その時の shot と同じニュアンスということになります。
つまり、worth a shot は「試すだけの価値がある」ということで、worth a try と同じ意味になります。

スタンリー自身も、ジョーイが金持ちであるはずはない、とわかっていたようですが、もしかしたら見かけによらず意外と金持ちだったりするかもしれないので(?)一応念のために聞いてみた、という感覚だと思います。
ダメ元で聞いてみただけだけど、聞いてみないことにはわからないので一応試してみた、試す価値はあったよ、というところでしょう。

Let me know where you're staying, okay? は、「君の滞在場所を僕に教えてくれ」。
この周辺に滞在するにあたっての連絡先を教えておいてくれ、ということですね。

ト書きの The car peels away. について。
peel は、「(じゃがいもなどの)皮をむく」。peeler は「ピーラー、皮むき器」ですね。
そのように、「皮がむける、皮・表面がはがれる、はがれ落ちる」という意味があるために、peel off だと、「(飛行機が)編隊から急に離れる、集団から離れる」という意味にもなるようです。
LAAD では、
peel off [phrasal verb]
to leave a moving group of vehicles, aircraft etc. and go in a different direction
例) The last two motorcycles peeled off to the left.

つまり、「車(乗り物)や飛行機などの移動しているグループから離れて、別の方向に行くこと」。
例文は、「最後の2台のオートバイは(他から)左に離れて行った」。

このト書きでは、peel off ではなく、peel away が使われていますが、「離れて」という意味の away には、off の「分離」と同じような感覚が感じられますよね。
このシーンでは、スタンレーの車以外に他のクルーの車(トレーラーなど)も駐車していますので、そのグループから離れてスタンレーの車だけ先に行ってしまった、という感じを出すために、peel away が使われているのかな、と思います。
もしくは、茫然と立ちすくむジョーイを残して、ジョーイから「はがれるように去って行く」感じを出すための peel away かもしれません。
辞書の peel off のニュアンスは、何かの「集団」から離れるイメージがありますから、このト書きの peel away もどちらかと言えば、「ジョーイ」という一人の人間よりも、「他の複数止まっている車」から離れることを指している可能性が高いのかな、とは思います。
辞書の語義を厳密に見てみると、a moving group 「移動している(車、飛行機などの)グループ」とありますから、実際には、車や飛行機が揃って「移動している最中」に、1台、1機だけが群れから「はがれるように離れていく」というニュアンスが基本だとは思うのですが、いずれにしろ、peel に他動詞「皮をむく」、自動詞「皮がむける」という意味があることから、何かから分離する、離れる様子をイメージできるようになれば、自ずと意味は想像できるだろう、ということですね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 11:31| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月07日

橋から突き落とされても良かった フレンズ5-22その4

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は4位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


ジョーイとチャンドラーは、フィービーから借りたイエローキャブでラスベガスへのロードトリップに出発します。
その車中で、フィービーに教えてもらった「質問に考えずに即答する」というゲームをやっているうちに、チャンドラーはジョーイの映画は成功しないと思っていたことがバレてしまい、二人は大ゲンカ。チャンドラーは橋の上で車から降ろされてしまい、ふてくされた様子でセントラルパークに帰ってきます。
チャンドラー: (entering) Hey! ([セントラルパークに入ってきて] やあ!)
モニカ: Chandler! What are you doing here? (チャンドラー? ここで何してるの?[どうして今ここにいるの?)]
ロス: Hey! (やあ!)
チャンドラー: Joey kicked me out of the car on the George Washington bridge! (ジョーイが俺を車から放り出したんだ、ジョージ・ワシントン・ブリッジの上で!)
みんな: Why? (どうして?)
チャンドラー: I don't know! He went crazy! Y'know, we were playing that game where you, you ask a question and you answer it really fast. (わかんないよ! ジョーイがおかしくなったんだ! ほら、俺たちはゲームをやってたんだ、質問してそれに素早く答える、ってゲームだよ。)
フィービー: That game should not be played without my supervision. (そのゲームは、私の監視下にないところですべきではないのよ。)
チャンドラー: Well, I don't know what made him so mad, y'know? All I said was that uh, I didn't think this was gonna be his big break, that this movie wasn't going to do anything for him, and that uh, y'know it didn't sound like a real movie.... Okay, he should've pushed me off the bridge. (うーん、何が彼をそんなに怒らせたのかわからないよ、だろ? 俺が言ったことはこれだけだったんだ、ほら、これ[今回のこと]はジョーイの大ブレイクにはならないと思うって。それから、この映画は彼にとっては何にもならない、って。それから、うーん、ほら、本物の映画のようには聞こえない、って…わかった、彼は俺を橋から押し出しても[突き落としても]良かったのに。)

セントラルパークに入ってきたチャンドラーを見て、モニカは驚いたように What are you doing here? と言っています。
これは文字通り、「あなたは今ここで何をしているの?」と、している内容を問うているのではなく、ジョーイと一緒に出掛けたはずのあなたがどうしてここに戻ってきたの?、ジョーイと一緒にいるはずのあなたがどうしてここにいるの?というニュアンスですね。
kick someone out of... は「人を…から追い出す」。
直訳すると、「人を(ある場所など)から蹴り出す」ということですから、乱暴にそこから追い出された感じが出ています。

ジョージ・ワシントン・ブリッジについては以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版: ジョージ・ワシントン・ブリッジ

そのブリッジに関するセリフを前から意味をとっていくと、「ジョーイが俺を車から放り出した、ジョージ・ワシントン・ブリッジの上で」になるでしょう。
英語では on the... bridge のような場所を表す副詞句は、上のセリフのように文の最後に来るのが常でそれが普通の語順ですから、特にその場所を強調しているわけではないでしょう。
ただ、普通に前から意味をとっていくと、降ろされた場所が最後に登場することになり、その場所を具体的な固有名詞を使って言うことで、「あんな大きな橋のど真ん中(?)で俺は降ろされちまったんだぞ」というチャンドラーの怒りが出ているような気はします。
降ろすにしたって、普通はそんな危険な場所で降ろさないよな、と言いたいわけでしょう。

嬉しそうに出掛けたはずなのにそんなことになったと聞いて、みんなは口々に理由を尋ねています。
どうして?って聞かれても、俺にもわかんないよ、ジョーイが(急に)おかしくなっちゃったんだ、と言いながら、車の中で二人でゲームを始めたことを説明します。
そのゲームは元々、今回のエピソードで、ベガスに行くのに北ルート、南ルートのどちらにすればいいかを決められないジョーイのために、フィービーがジョーイに教えたゲームでした。
考える間を与えないほどのスピードで質問するおかげで、答える本人さえ自覚していない答えを引き出せる効果がある、というようなものです。

そのゲームをやっていて、こんなことになってしまった、という話らしいので、フィービーは、That game should not be played without my supervision. と得意げな顔で言っています。
supervision は「監督、管理、監視」。
under someone's supervision なら「(人)の監督下に、監視下に」。
今回は、without で否定されていますので、「(人)の監視下にない状態で」という意味になります。
動詞 supervise は「監督する、管理する」で、supervisor は「監督者」。これは「スーパーバイザー」と日本語になってもいますよね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
supervision [noun] [uncountable] : the act of supervising someone or something
例) The medicine should only be taken under a doctor's supervision.

つまり、「誰かや何かを監督する行為」。
例文は、「その薬は、医師の監視下でのみ服用されるべきである」。

フィービーは、should NOT のように否定語を強調してしゃべっており、私の監視下、監督下にない状態でそのゲームは行なわれるべきではない、という意味ですね。
私の見ていないところで、そのゲームを勝手にやっちゃいけないのよ、危険なのよ、と言いたいわけです。

確かにそのゲームをやったんだけど、何が彼を怒らせることになったのかわからない、どうして彼が怒ることになったのかわからない、とチャンドラーは言っています。
All I said was that... は、「俺が言ったことのすべては(that以下)である」ということなので、「俺が言ったのは(that以下)だけだ」ということですね。
その後、長い文章が続いていて、that this movie..., and that... のように that が合計3回登場していますが、その that に続くものがすべて、チャンドラーが言った内容になります。
All I said was that A, that B, and that C. という構造で、A, B, C 全てが彼の発言であることを示すために、それぞれの前に that が必要になってくるわけです。

not do anything for は「…のために何もしない」ということですから、「ジョーイのために何もしない、ジョーイのためにならない、ジョーイに何か(良いこと)をもたらすものにはならない」という感じですね。
didn't sound like a real movie のように sound が使われているのは、ジョーイがその映画について語るのを聞く限り、とても本物の映画のようには感じられない、聞こえない、という感覚です。
映画の様子を見たわけではない、つまり、映画に関する情報は視覚情報ではなく、ジョーイから聞いた話だけなので、「その話は…のように聞こえる、思われる」というニュアンスの sound like が使われているということになるでしょう。

今回、映画で主役を演じられることは、俺にとっての大ブレイクだ!とジョーイは大喜びしていたわけですが、そのジョーイに対して、「これはジョーイの大ブレイクではないと思う」「この映画はお前のためにならない」「本物の映画のように思えない」と言っただけだ…と自分の言ったことを回想しているチャンドラーですが、自分で言った言葉を口に出して改めて繰り返したことで、自分が何ともひどいことを言ってしまった事実にようやく気付いたようです。

he should've pushed me off the bridge を直訳すると、「ジョーイは俺をその橋から突き落とすべきだったのに(そうしなかった)」という感じになるでしょうか。
push someone で「人を押す」、off the bridge で「橋から離れて」という感覚ですから、push someone off the bridge は「橋から離れるように人を押す」→「橋から押し出す、突き落とす」感じが出ていると思います。

should have+過去分詞は、「…すべきであった(のにそうしなかった)」「…すればよかったのに」というニュアンスですね。
橋の上で追い出された!と怒っていたチャンドラーでしたが、自分があまりにもひどいことを言ってしまったことに気付き、「実際は車から追い出されただけだけど、ジョーイは俺をあの橋から突き落としても良かったぐらいだよね(それくらい俺はひどいことを言っちゃったんだね)」と自分のひどすぎる発言を反省するセリフ、ということになります。

最初はとにかく車から降ろされたことに怒っていて、「だって俺が言ったのはこれだけだぜ、それのどこが悪いんだ」みたいに強気の姿勢だったのに、みんなの前でその発言を披露しているうちにだんだん自分のひどさが明るみになり、最後には「俺は橋から落とされても良かったくらいだった」と弱気な発言になってしまう、その尻つぼみ具合を、英語のセリフから感じていただけたらと思います。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 13:37| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月04日

眼圧測定で目に空気を当てる フレンズ5-22その3

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は2位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


片目がかゆいレイチェルですが、レイチェルは目に何かが触れそうになるとパニクってしまうタイプなので、眼科医に行くのをいやがります。
そんなことじゃ、目がかゆいのはいつまで経っても治らないわよ、とモニカは半強制的にレイチェルを眼科医に連れて来ました。
[Scene: Monica's eye doctor's office, Monica and Rachel are waiting in an exam room and looking at this big white thing used to check eyes.]
モニカの(主治医の)眼科医のオフィス。モニカとレイチェルは診察室で待っていて、目の検査に使われる大きな白いもの(機械)を見ている。
レイチェル: Oh, my God! What does that thing do? (まぁ! あれは何をするもの(機械)なの?)
モニカ: (looks at it more closely) Oh that's an eye removal machine. ([機械をより接近して[より念入りに]見て] あぁ、それは眼球除去装置ね。)
レイチェル: All right, I'm outta here! (わかった、ここを出る!)
モニカ: I'm kidding! I'm kidding! (冗談よ、冗談よ!)
(Rachel heads for the door but is intercepted by the doctor.)
レイチェルはドアに向かうが、医者が入ってきたのでさえぎられる。
眼科医: Hi, Rachel! (はーい、レイチェル!)
レイチェル: Hey! (はーい!)
眼科医: I'm Dr. Miller. Monica told me you were a little nervous, but don't worry, everything's gonna be just fine. (私はドクター・ミラーだ。君が少し神経質になっているってモニカが言ってたけど、でも、心配ないよ。何もかも大丈夫になるからね。)
レイチェル: So we're done then. (それじゃあ、済んだ、ってことで。)
ドクター・ミラー(眼科医): Almost, but first we gotta start. (ほとんどね、でもまずは始めなきゃ。)
レイチェル: Okay. (わかりました。)
ドクター・ミラー: This is a glaucoma test. (これは緑内障のテストだ。)
レイチェル: Uh-huh. (は、はい。)
ドクター・ミラー: Sit down. (座って。)
レイチェル: Okay. (わかりました。)
ドクター・ミラー: Put your chin here. (She does so.) Now, you'll feel a small puff of air in each eye. (あごをここに乗せて。[レイチェルはそうする] さて、それぞれの目に、少しのひと吹きの空気を[空気をちょっとひと吹き]感じるからね。)
レイチェル: (jerks back from the tester) What? ([検査装置から飛びのいて] 何ですって?)
モニカ: A small puff of air. Now, come on! (少しのひと吹きの空気よ。さあ、ぐずぐずしないで!)

眼科医のオフィスに、大きな白い機械が置いてあります。
これは何をする、何のための機械かしら?と尋ねるレイチェルに、モニカは、an eye removal machine 「目を取り除く機械」だと答えています。

What does that thing do? という「現在形」は、that thing 「目の前にある、そのもの、その機械」の習性、というか、「機能」を尋ねている感覚です。
今、その機械が稼働中であれば、「今、何をしているのか、何をしているところか?」というように現在進行形で尋ねることも可能でしょうが、現在はその機械は停止している状態なので、その機械は普段は何をするものなのか、何をするための機械なのか?と尋ねる場合には、このように「現在形」を使うことになります。

remove は「(もの)を取り除く、取り去る」で、removal は「除去」という名詞ですね。
目に触れられそうになるだけでもダメなのに、目を取り除く、目をくり抜く機械ですって?とすっかりびびってしまったレイチェルは逃げようとしますが、モニカは「冗談よ」と言って笑っています。
びびり過ぎのレイチェルをからかっているわけです。

ドアを出ようとしたところに、たまたま眼科医が入ってきて、レイチェルは逃げることもできなくなります。
don't worry, everything's gonna be just fine を直訳すると、「心配しないで、何もかも大丈夫な状態になるから」というところでしょう。
不安を感じている患者の心を落ち着かせるための定番のセリフですね。
それを聞いたレイチェルは、So we're done then. と言っています。
done は「済んだ、終わった、完了した」みたいなニュアンスで、「そういうことなら、それじゃあ、もう済んだ、ってことね」のような感じです。
医者は、be gonna (= be going to) を使って、「このまま順調に検査を進めて行けば、fine な状態になる」と言っているにもかかわらず、「大丈夫って言うんなら、もうこれで問題ないですよね、おしまいですよね」と、検査をせずに早々に立ち去ろうとしているレイチェルの気持ちがこのセリフには出ています。

医者はそのセリフを軽く受け止めて、Almost, but first we gotta start. と返します。
almost は「ほとんど、だいたい」ですから、「まぁ、だいたい済んだ、って言ってもいいけど、でもまずは、検査とかを始めないとね」と言っていることになります。
「もう済んだから帰ります」みたいに言う患者に対して、「まだ何も始めてない、何も済んでないじゃないか」などと怒って全否定したりせず、「あぁ、だいたいは済んだよね」と相手の発言をとりあえず受け止めているところに、お医者さんっぽさが出ている気がします。
検査をいやがる患者をたくさん診てきている医者は、相手のこういう物言いに慣れているということでしょう。
軽くなだめる感じで、「完全に済んだって言えるためには、まずは検査を始めないとね」と、検査をすることを促しているわけです。

逃げられないと観念したレイチェルは、医師の指示に従います。
Put your chin here. は「あごをここに乗せて」。
目を検査するための装置は、顔を固定するためのあごの台がありますから、そこに乗せて、という意味です。

Now, you'll feel a small puff of air in each eye. について。
これは、パフ・オブ・エアーという単語から、日本人にも何となく想像できる感じですが、「目に空気が当たる」感覚ですね。
コンタクトを作りに行った時などに、私もこういう機械で検査を受けますが、この機械は眼圧を測るための「空気眼圧計」で、空気を当てることで角膜の圧力を測る「非接触測定法」に当たる検査だそうです。
「目に空気を当てて眼圧を測りますので、目は閉じないで下さいね」とか言われるんですが、時々、反射的に目を閉じてしまい、「ではもう一回」などと言われてしまうこともあったりして…(笑)。
ですから、目にモノが近づくとパニくるレイチェルにとっては、拷問に近い(?)検査だと言えるかもしれません。

日本の眼医者さんでは「目に空気が当たります」という表現を使うことが多いような気が(自分の経験から)するのですが、英語では今回のセリフのように、you'll feel a small puff of air in each eye が定番表現…だと考えて良いのでしょうね。
片方ずつ検査するので、「それぞれの目に、a small puff of air を感じますよ」と言っていることになります。
puff は「プッと吹くこと」「ひと吹き、ひと吹きの量」なので、a small puff of air は、「少しのひと吹きの空気」という感覚でしょう。
実際、空気の小さな塊がポンッ!と飛んでくる感じなので、a small puff of air と表現されると、なるほどなぁ、と納得できちゃう気がします。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
puff [noun] [countable] :
2. a sudden small movement of wind, air, or smoke
of
a puff of smoke

つまり、「風、空気、煙の突然の小さな動き」。例は、「ひと吹きの煙」。

また、take a puff at/on one's cigar/cigarette だと「たばこを吹かす」になりますね。

眼科での検査でよく聞かれるような定番表現を英語では何と言うのか?を知るには、実際に英語でそういう検査が行われている様子を見るのが一番手っ取り早くて確実ですよね。
日本語で言われている表現をそのまま無理やり英語に直訳しようとするのではなく、「実際に英語が使われている現場」ではどう表現しているのかを知り、それを自分の中に蓄積していくのが、「自然な英語」を学ぶ、一番スタンダードな方法だと思えます。
今回のような「眼科での定番フレーズ」を、今後の人生で自分の実体験として聞く機会があるかどうかは別にして(笑)、実際に自分が体験したのと同じようにそういうセリフを状況と共に学べる、というのが、映像付きのDVDで学ぶ利点なのだと、今回改めて思いました。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 08:29| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月02日

問題解決!のbe動詞省略 フレンズ5-22その2

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は3位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


映画の主役に決まったと大喜びのジョーイ。
ラスベガス郊外の砂漠で撮影が行われるため、フィービーの車(イエローキャブ)を借りて、チャンドラーと二人でベガスまで road trip (車の旅)をすることにします。
[Scene: Central Perk, Joey is reading a map as Phoebe enters.]
セントラルパーク。ジョーイは地図を見ている、そこにフィービーが入ってくる。
フィービー: Oh, hey, Joey! What's up? (ああ、ジョーイ。どうしたの?)
ジョーイ: I can't decide which route to take to Vegas. Hey, you've traveled a lot, right? (ベガスに行くのにどっちのルート(道)を行けばいいか決められないんだ。ねぇ、フィービーはよく旅行するだろ?)
フィービー: Yeah, I've been around. (そうね、あちこちに行ったわ。)
ジョーイ: Okay, so, so which route should I take? The northern route or the southern route? (わかった。それで、俺はどっちのルートをとるべき? 北ルート(北回り)、それとも南ルート(南回り)?)
フィービー: Ooh, if you take the northern route, there's a man in Illinois with a beard of bees. (うー、もし北ルートをとれば、イリノイ州にミツバチの(ミツバチでできた)あごひげの男がいるわ。)
ジョーイ: Great! Problem solved! (やったね! 問題解決!)
フィービー: But on the southern route, there's a chicken that plays tic-tac-toe. (でも、南ルートには、三目並べをするニワトリがいるわ。)
ジョーイ: Well, back to square one. (ああ、振り出しに戻った。)

ジョーイは地図を見ながら、ベガスに行くのにどっちのルートを通ればいいか悩んでて決められないんだ、と言っています。
ルートをとる、道を進む・行く、という場合には、セリフのように、動詞は take が使われます。
Hey, you've traveled a lot, right? は、フィービーの経験を尋ねる現在完了形ですね。
これまで、今まで、君はたくさん旅行してきただろ?みたいなニュアンスです。
それに対する I've been around. も同じように経験を表し、around で「あちこちに、方々に(いた、行った)」というニュアンスが出ています。

そういう経験豊富なフィービーに、ジョーイは、北ルートか南ルートかどっちをとるべき?と尋ねます。
北ルートだったら、イリノイ州に、a man with a beard of bees がいるわと言っていますね。
beard は「あごひげ」で、a がついていることからわかるように可算名詞です。
あの「あごひげのエリアひとかたまり」(?)を a beard と言うようですね。
grow/wear a beard で「あごひげを生やす、たくわえる」という意味になります。
ちなみに、モニカの元カレの眼科医リチャードがはやしていた口ひげは、mustache です。

bee は「ハチ、ミツバチ」のことですから、a beard of bees は「ミツバチでできたあごひげ」のようなニュアンスですね。
単数と複数に注目すると、「複数のミツバチでできた1つのあごひげ」みたいになるでしょう。
黒っぽいミツバチがあごのあたりに密集することで、まるであごひげみたいに見える…ということで、確かにそんな「びっくり映像」みたいなのをかつてどこかで見たことあるような気はします。
ひげかと思ってよく見たらそれはミツバチだった!という見た目的なすごさに加え、「顔にミツバチが張り付いて刺されたりしないの?」という驚きもありますよね。

そのミツバチひげの男の話を聞いて、ジョーイは北ルートをとることを即決したようです(笑)。
Problem solved! は「問題解決!」というニュアンスですね。
solve は「(問題)を解決する、解く」という他動詞で、solve a problem で「問題を解決する」という意味になります。
その目的語を主語にする形の「問題が解決される」であれば、A problem is solved. のように受動態の形になるわけですが、わかりきった冠詞や be動詞を省いたものが、Problem solved! という決まり文句になったと言えそうですね。
Problem solved. を冠詞、be動詞などを補って正しい文の形にしようとすると(正直よくわからないのですが)、The problem has (just) been solved. 「その(悩んでいた)問題は、たった今、解決された」みたいになるのかなぁ、と思います。
厳密に言うとやはり「現在完了形の完了」のニュアンスが必要になってくると思うのですね。
完了形を使うことで、これで解決されたから、もう悩まなくていい、みたいな感じも出ると思うからです。
そういう「厳密に言うと現在完了形」という時制を表現するのが面倒なので、冠詞も含めた細かいニュアンスを全部取っ払って、Problem solved. 「主語+過去分詞」の形でシンプルに表現しているのかな、と私は思ったのですが…実際のところはどうなんでしょう??

このように、solved は solve の過去形でもあり、過去分詞形でもありますが、Problem solved. の場合は受け身を表す過去分詞形であるということです。
problem が solved 「解決される」状態である、状態になった、と考えると良いでしょう。
今回のエピソードでは、これより後のシーンで、Apology accepted. という表現も出てきますが、それも同様に be動詞が省略された受動態の形ですね。
誰かが自分に対して謝罪した場合に、「あなたのその謝罪は受け入れられた」と言っていることになり、つまりは「あなたのその謝罪を受け入れます」と言って、相手を罪を許す場合の決まり文句になります。

日本人は、solved や accepted のような -ed 形の動詞を見ると、過去形か過去分詞形かで迷う人が多いように思います。
もしくは、過去分詞形である可能性に思いが及ばず、過去形だと思い込んでしまうということもある気がします。
過去形と過去分詞形が同じ形である場合には特に注意が必要ですが、英語には、「過去分詞形=受動態、受け身のニュアンスがある」というイメージが強いので、過去分詞形を見たらまずは受動態のニュアンスを頭に浮かべるべきだということです。
今回の2つの例も、「問題が”何かを”解決した」わけでも、「謝罪が”何かを”受け入れた」わけでもなく、「問題が解決された」「謝罪が受け入れられた」という、主語が受け身の状態を表現している、ということに注目していただけたらと思います。

ちなみに、新聞記事の見出しなどで be動詞が省略された過去分詞形が使われている場合も、それは受動態を表します。
少々脱線になりますが、映画「ゴッドファーザー」で、ドンであるビト・コルレオーネが襲撃された後、息子マイケルが見た新聞記事の見出しには、VITO CORLEONE FEARED MURDERED と書いてありました。
この見出しも、新聞見出しの法則に則って、be動詞が省略されていると考えるとわかりやすいです。

be動詞を補うと、Vito Corleone is feared murdered. になるでしょう。
動詞 fear は、「fear+目的語+(to be)補語」の形で、「(目的語)を…だと思う」 という意味があります。
ですから、be feared dead なら「死んだと思われている、死亡したとみられる」という意味になり、be feared murdered なら「殺されたと思われる、殺害されたとみられる」という意味になります。
つまりこの見出しは、Vito Corleone is feared murdered. 「ビト・コルレオーネは殺害されたとみられる」という意味となり、DVDの日本語字幕も「コルレオーネ 暗殺か」となっていました。
feared のニュアンスが「か」という一文字で表現されているわけですね。
これが、feared のない murdered だけなら「暗殺」と言い切ることになります。
日本語ではたかが一字の「か」のあるなしで、「暗殺」と断言するか、「暗殺か」のように暗殺された可能性があることを示唆しているのかを区別しているわけですが、日英とも「新聞の見出し」という限られた文字数の中で正確に情報を伝えるための省略法が存在する、ということにもなるでしょう。
実際、この映画では、ドンは襲撃されたものの、病院で一命を取り留めることとなりました。
情報が少なく、かなりの重症のようだが死亡は確認されていなかったために、feared が見出しに使われた、ということですね。
もしこの feared がなければ、「暗殺された」と断言することになり、最終的には誤報ということになったでしょう。
この見出しも、「ビトが誰かを殺した」という「過去形」ではなく、「ビトが(誰かに)殺された」可能性を告げている「過去分詞形」の murdered だということに注目して下さい。

(フレンズのセリフに戻ります)
問題解決!と喜ぶジョーイですが、フィービーは「南ルートには、tic-tac-toe をする(tic-tac-toe というゲームをプレイする)ニワトリがいる、と余計な情報(笑)も提供してくれます。

英辞郎では、
tic-tac-toe=【名】三目並べ
と出ています。
英辞郎の和英の機能を使って逆に「三目並べ」を調べてみると、
三目並べ=noughts and crosses●tic-tac-toe●tick-tack-toe / tick-tac-toe〈米〉〔3×3の升目に○と×を並べるゲーム〕●ticktacktoe
とあります。

研究社 新英和中辞典では、
ticktacktoe=【名】【U】 《米》 三目並べ (《英》 noughts and crosses) 《○×を五目並べのように三つ続くように並べ合う子供のゲーム》
と説明されています。

詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Tic-tac-toe
上のウィキペディアには、ゲームの絵ややり方も載っています。
枠の中に○と×を書き込むゲームですから、上のウィキペディアの説明にあるように、基本的には、a pencil-and-paper game for two players 「2人のプレーヤーの鉛筆と紙を使うゲーム」になりますね。
そういうゲームをニワトリがどうやって行うの?という疑問も浮かんできそうですが、おそらく土の上に線を書いて、くちばしを使って石でも置いていく…とかそんな感じなのかなぁ、と。
「ニワトリが三目並べをするって、一体どうやってやるんだよ?!」という疑問も込みで、その話に興味津々になってしまうわけですね。

back to square one は「振り出し(出発点、初め)に戻って、一からやり直しで」。
square は「正方形、四角」で、チェスなどのボードゲームの「四角の目、マス目」も表します。
1のマス目に戻って、ということから、「振り出しに戻って」というニュアンスになるのですね。
日本語の「振り出し(ふりだし)」という言葉も、すごろくの出発点を指しますから、日英どちらも、ゲームが語源となった言葉であるところが何とも興味深いです。

せっかく、ミツバチひげ男で決まり!と思ったのに、ニワトリにも興味を持ってしまったジョーイは、どちらか決められずに、「また振り出しに戻っちゃったよ、一からやり直しだ」とボヤいていることになるのですね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 11:30| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月31日

10年間ずっとその状態 フレンズ5-22その1

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は1位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


シーズン5 第22話
The One With Joey's Big Break (ジョーイ悲願の大ブレイク)
原題は「ジョーイの大ブレイクの話」


モニカとレイチェルの部屋にジョーイが入ってきます。
ジョーイ: (entering, depressed) Hey. I just got off the phone with Estelle. Guess what? (Pause, then very excitedly) I got the lead in a movie! ([落ち込んだ様子で入ってきて] やあ、エステルとの電話を終えたところなんだ。何だと思う? [間があって、ものすごく興奮して] 俺、映画の主役をゲットしたんだ!)
チャンドラー: You got the lead in a movie? That's amazing! What's the movie about? (映画の主役をゲットしただって? それってすごいよ! 何の映画なんだ?)
ジョーイ: It's called Shutterspeed. It's really cool. Yeah, umm, I meet this girl in the subway and we fall in love in, like, a day, right? And then she disappears. But I find out where she lives and when I get there, this like old lady answers the door and I say, "Where's Betsy?" Right? And she says, "Betsy's been dead for ten years." (「シャッタースピード」っていうタイトルなんだ。すごくクールなんだよ(かっこいいんだよ)。ほら、うーんと、俺が地下鉄である女の子に出会って、俺たちは恋に落ちるんだ、ほら、一日でね? で、それから、彼女は消える。でも俺は彼女が住んでるところを見つけて、そこに行くと、おばあさん(老婦人)が応対するんで、俺は「ベッツィーはどこ?」って言うんだよ。すると、そのおばあさんはこう言うんだ。「ベッツィーは10年前に死んだよ。」)
フィービー: Ohh-oh, chilling! (うぅー、身も凍るわね。)

get off the phone は「電話を切る」。
get off the bus/train 「バス・電車から降りる」のように使うことが多いですが、基本的な意味は「〜から離れる」というニュアンスですね。
さっきまで電話で話してて(on the phone)、そこから離れた(off)という感覚が出ています。

最初、ちょっと意気消沈した暗い感じで入ってきたジョーイですが、ちょっと間を置いた後、 I got the lead in a movie! と叫んでいます。
lead は「(映画・演劇などの)主役、主演俳優」。
play the lead なら「主役を演じる」ですね。
主役という意味では今回のセリフのように、the lead と定冠詞 the がつきます。
これは、ある映画や演劇においての主役は「その人に特定される」からでしょう。
ですから、セリフでも、the lead in a movie 「(まだ特定されていない)ある映画の(その中で特定された)主役」のように、the と a が使い分けられているのですね。

何だか落ち込んだ様子で入ってきた時には、たいていびっくりするようなビッグニュースを持っている、というのがいつものジョーイのパターンですが、今回もまさにそのセオリー通りの展開、ということになります。

I got the lead in a movie! とビッグニュースを伝えたジョーイに対して、チャンドラーは主語を変えただけの、You got the lead in a movie? というセリフをオウム返しのように言っています。
I got the lead in a movie! のように相手が「俺は…した!」と言った場合は、You did? 「そうなのか?」みたいに簡単に返す場合も多いですが、今回はジョーイにとって喜ばしいビッグニュースであり、聞いた自分たちも驚いたので、省略しないフルセンテンスで返した、という感覚だと思います。
What's the movie about? を直訳すると、「その映画は何に関するものですか?」ということですから、どんなジャンルのどんなテーマの映画なんだ?と内容を尋ねていることになります。
It's called... は「…と呼ばれている」ですから、今のところ、仮題・仮タイトルは、「シャッタースピード」なんだ、みたいな感じでしょう。

その後、ジョーイは映画のあらすじを話して聞かせます。
meet this girl の this は、これまでのフレンズにも何度も出てきた「物語調で語る場合に使われる a と同じような意味の this」ですね。
ある女の子と一瞬で恋に落ちるも、その子が消え、その子の住所を訪ねるとおばあさんが出てきてこう言うんだ…と説明しています。

"Betsy's been dead for ten years." は継続を表す現在完了形ですね。
自然な日本語に訳そうとすると、「ベッツィーは10年前に死んだよ」になるでしょうが、こういうニュアンスの場合、英語では、She died ten years ago. とか、She passed away ten years ago. (pass away は die の婉曲語)のようには言わず、She's been dead for ten years. のように表現します。

以前に、フレンズ3-7その1 のコメント欄 で書いたことがあるのですが、「死んでいる」という「状態」が10年間続いているということがポイントとなっているので、現在完了形が使われているということなんだろうと思います。
日本語のように「10年前に死んだ」をそのまま英語の died ten years ago にすると、「10年前に死んだという出来事が起こった」ことに焦点が当てられ、「死ぬ」という「行為・動作」が起こったのが10年前だ、という過去の事実を述べていることになります。
ですがここでは10年前に起きたその事実を述べたいのではなくて、彼女が死んでから10年が経つ、10年前から彼女はいない、彼女は死んでいるというその「状態」が10年間続いて現在に至る、それを、has been dead という継続を表す現在完了形で表現している、ということなのだと思います。

単純に過去形で表現してしまうと、それは単に過去に起こった出来事を語っていることになり、そこに現在の状態との接点は見られません。
現在完了形(the present perfect)に「現在」(present)という言葉が使われているのは、その時制を使うことによって、現在との関連、つながりを示すことができる時制だからです。
「10年間ずっと死んだ状態である」→「だから今ここに訪ねてきても、彼女はいるはずがない」という、現在の状況と繋がっていることを示せるわけですね。

このような、英語と日本語の「視点」の違いのようなものに気づく時に、外国語を学んでるんだなぁ、ということをしみじみ実感します。
日本語を直訳した She died ten years ago. でも意味や意図は通じると思うのですが、「英語ではこういう場合、普通はこう言う」という、ネイティブが良く使う自然な表現を学んで行くのが、英語学習だと思うのです。
みんなが普通に使っている表現だからこそ、話す方と聞く方の意思疎通がスムーズにいくのだろうと。

chill は名詞では「冷え、(ひんやりする)冷たさ」「ぞっとする・ひやりとする気持ち」、動詞では「(人)をぞっとさせる、ひやりとさせる」。
そこから、chilling という形容詞は「身も凍るような、ぞっとするような」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
chilling [adjective] : something that is chilling makes you feel frightened, especially because it is cruel, violent, or dangerous.
つまり、「chiling なものは、人に恐怖を感じさせる、特にそれが残酷、暴力的、または危険だという理由で」。

ここでは、「恋に落ちたはずの女性はずっと前に死んだ人だった」という怪談めいた話を聞いたのと、ジョーイがそのセリフをいかにもおばあさんみたいな震える声で言ったので(笑)、フィービーはちょっと大げさに、「それ、(人を)ぞっとさせるわね、身の毛もよだつわね」みたいなニュアンスで chilling を使っているのですね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 11:18| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月29日

持ってけ、泥棒! フレンズ5-21その7

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は4位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


前回の続きです。
スフィンクスという高価な猫を「投資の対象にもなるわよ」と言って通りすがりの女性に売りつけようとするレイチェル。
その人は「私はただ(ペットとしての)猫が欲しいだけだから…」と言って去ろうとします。
レイチェル: (makes some unintelligible sound to stop her from leaving) Obviously, you know how to haggle, so I'm not gonna try and take you on. Okay? So $800, and I don't call the cops because you're robbing me blind! Blind! (Covers her eyes) Just take cat, leave the money, and run away! Run away! (Uncovers her eyes and sees that the woman has fled) Damn it! (To the cat) Cat, can't you at least smile or something? (The cat hisses at her again, it sounds like Rachel) Okay, did anybody just hear that? Anybody? ([彼女が行くのを止めようとして意味不明の声を出して] どうやら、あなたは値切り方を知っているようね。それなら、あなたと争うのはやめるわ。いい? それじゃあ、800ドル。それで、私は警官を呼んだりしないわ、あなたが私の見えないところで盗んでいこうとしててもね! 見えてないわよ! [目を覆う] ただ猫を持ってって、そのお金を置いて、そして走り去って! 走り去って! [目を覆っていた手を外し、その女性が逃げてしまったのを見る] くそっ! [猫に] ねぇ猫(ちゃん)、少なくとも微笑むとかくらいはできないの? [猫はレイチェルにシューという声を出す。「レイチェル」と言っているように聞こえる] オッケー、誰か今の聞いた? 誰か?)

やっと猫に興味を持つ人が現れたので、レイチェルはそのお客を逃すまいと必死です。
haggle は「値切る、値段で押し問答する」。
LAAD では、
haggle : to argue about the amount of money you will pay for something
つまり、「何かに対して支払う金額について言い争う、議論する」。

you know how to haggle は「あなたは値切り方を知っている」ということですから、「あなた、値切りの方法、わかってるじゃない、なかなかの値切り上手ね」と言っている感じでしょう。

take on は、「(競技・争いなどで)…と対戦する、対決する、争う、…を相手にする」。
LAAD では、
take on [phrasal verb] :
COMPETE/FIGHT take somebody/something ⇔ on to compete or fight against someone or something

つまり、「誰かや何かを相手にして、競争する、または戦うこと」。

try and do は、try to do 「…しようとする」の口語表現ですね。
ですから、「あなたが交渉上手だってわかったから、私はあなたと争うのはやめるわ」みたいなことになります。
で、ただで渡すのかと思ったら、まだ 800ドルの値をつけているのもレイチェルらしいですね。
それじゃあ、800ドルで、と言った後、I don't call the cops because you're robbing me blind! と言っています。
rob someone blind は、「人が blind の状態で強奪する」という感覚ですから、被害者が見ていないすきに奪っていく、という意味になるでしょう。
この文章は、主節が否定文で because が使われている形なので、「…だからといって〜ない」と訳すのが適切となります。
つまり、「あなたが私の見てない間に奪おうとしているからって私は警官を(警察を)呼ばない」ということになります。
これを「私は警官を呼ばない、なぜならあなたが私の見てない間に奪おうとしているから」と訳すと意味不明になってしまうので注意しましょう。
「…だからといって/…という理由で、〜したりしない/〜するわけではない」という感覚ですね。
この場合は、because の前にカンマがつかないことにも注目したいところです。

「ほら、私は今、見てないわよ、目が見えてないわよ」という感じで、Blind! と叫びながら、手で自分の目を覆っているレイチェル。
「猫を持って、お金を置いて、走り去って!」と言うのですが、血統書付きの高価な猫には興味のない女性は、レイチェルが目隠ししている間に立ち去ってしまいます。

ところで、この「警察を呼ばない」に続く一連のセリフは、「あなたのしようとしていることは泥棒と同じだけど、私はあなたを警察に突き出したりはしないから、さっさと持ってって」というニュアンスですね。
DVDの日本語訳では、「持ってけ 泥棒」という表現が使われていましたが、私もまさにそのニュアンスだと思いました。
「持ってけ、泥棒」を直訳したものではありませんが、I don't call the cops because you're robbing me blind! Just take cat, leave the money, and run away! という長いセリフのニュアンスを一言で言うと、日本語の「持ってけ、泥棒」がピタッとハマる、という感じがして、面白いなと思いました。

レイチェルは猫に、「少しくらい微笑むとかなんとか、そういうお愛想はできないわけ?」みたいに言っています。
猫に可愛げや愛想がないせいで、客が逃げてしまったと言いたいのですね。
その発言に対して、猫はスマイルするどころか、hiss 「シューという音を立てる」をするのですが、その声が何となく「レイチェル」と聞こえなくもない?という感じになっています。
これは、このエピソードの前半で以下のセリフを言っていたことに由来しています。

レイチェル: And I swear, I know this sounds crazy, but every time this cat hisses at me I know it's saying, "Rachel!" (それから、誓って言うわ、こんなのクレイジーに聞こえるってわかってるけど、でもこの猫が私にシューって音を立てるたびに、「レイチェル」って言ってるってわかるのよ!)

フレンズたちはこの発言に対しては全くの無反応で、そのセリフが聞こえなかったかのように淡々とキャッチボールを続けていましたが(笑)、今、フレンズたちがいないこの場所で、自分の言ったことが証明されたわ!とレイチェルは思っているのですね。
それで、「誰か、今の猫の声、聞いてない? 確かに、レイチェル、って言ったわよね、ねぇ?」と、まわりをきょろきょろしてその事実を認めてくれる人を探している、ということですね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 09:07| Comment(4) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月27日

猫よりむしろ投資物件として見る フレンズ5-21その6

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は3位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


1,000ドルも出して買ったスフィンクスキャットがちっともなつかず、店に返品もできないと知ったレイチェルは、セントラルパークの外の通りで、その猫を売ろうと叫んでいます。
ある女性が話しかけてきますが、その人は猫は嫌いだと言って去って行き…。
(Another woman approaches.)
別の女性が近づいてくる。
女性2(Woman No. 2): Wow! What an unusual cat! (わあ! なんて珍しい猫なの!)
レイチェル: Yes! Thank you! Exactly! You want it? (そうよ! ありがとう! その通りよ。欲しい?)
女性2: Maybe. I was thinking about getting a cat, I was just going to go to the shelter but... Okay, why not? (もしかしたら(多分)ね。私、猫を手に入れようと思っていたの。私はちょうどシェルター(捨てられたペットの保護施設)に行こうとしていたところだったのよ、でも…。いいわ、ぜひ買うわ!)
レイチェル: Oh, terrific! That'll be $2,000. (わぁ、すごいわ! その猫は 2,000ドルよ。)
女性2: What?! (何ですって?)
レイチェル: Okay, 1000. (いいわ、1,000ドルよ。)
女性2: I thought you wanted me to adopt your cat. (あなたは猫を引き取って欲しいと思ってるんだと思ってた。)
レイチェル: Well, I do, but you're just gonna have to actually look at this as more of an investment than a cat. (そうね、そう思ってるわよ。でも、実際には、(ただの)猫というよりはむしろ投資の対象として見ないといけないことになるわ。)
女性2: Okay, yeah, I just wanted a cat. (Starts to leave.) (いいわ、わかった、私はただ猫が欲しかっただけだから。[立ち去ろうとする])

「この猫欲しい?」と聞かれた女性は、「猫を手に入れる(入手する)ことを考えていた、これからシェルターに行こうとしていたところだった」と言っています。
シェルターは「避難所」ですが、ペットなどの動物に関して言うと、「捨てられたペットなどを保護する収容所」の意味で使われます。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
shelter : a safe place where people or animals who have no homes or are in danger can go to live and receive help (SYN: refuge)
例) We got our dog from the animal shelter.

つまり、「家がなく、危険な状態にある人々や動物が、生活し援助を受けるために行く安全な場所」。
例文は、「私たちの犬は、動物シェルターからもらったの[で手に入れたの]」

Why not? は、「どうしてだめなの?」→「いいじゃない。ぜひそうしよう」という意味ですね。
猫が欲しい?と聞かれた女性は、ちょうど猫を欲しいと思ってて、シェルターにもらいに行こうとしていたところだったんだから、ここで猫が手に入るのなら断る理由なんかないわ、ええ、是非もらうわ!というニュアンスの Why not? になります。
買い手がついて喜んだレイチェルは、That'll be $2,000. と言っています。
これは、日本語で言うところの、「そちらは 2,000ドルになります」みたいな感じと似ているでしょうか。
もっと気さくな感じにすると、「じゃあ、それは 2,000ドルになるからね」みたいなニュアンスでしょう。
元値が 1,000ドルだったのに、すました顔でその2倍の金額をふっかけているレイチェルに笑えます。

相手が驚いたので、やはり高すぎたかと思ったレイチェルは、元値の1,000ドルに下げるのですが、そもそも女性が驚いていたのは金額の高さではなかったようです。
adopt は「…を養子として引き取る」という動詞なので、この場合は、「猫をお金を出して買う」のではなく、「無料で引き取る」んだと思っていた、と言っていることになります。
それなのに、レイチェルが金額(それもべらぼうに高い金額)を言ってきたので驚いているわけですね。

レイチェルは、I do. と言うことで、「えぇ、確かに私はあなたにこの猫を引き取ってもらいたいと思ってるわ」とひとまず同意した後、「でも実際にはあなたはこの猫を…として見なければいけないことになる」と言っています。
as 以下で、その「…として見る」という見方を説明しているわけですが、more of A than B は「B というよりはむしろ A」という意味ですね。
investment は「投資」ですが、「投資物件、投資対象」という意味もあります。
「投資」という抽象的な意味の場合は、不可算名詞(具体的なものを指す場合は可算名詞になる)ですが、具体的な「投資物件」という意味になると可算名詞扱いになります。
上のセリフでも、an investment のように冠詞 an がついているのはそのためです。

一匹の猫としてよりはむしろ、投資の対象、投資物件として見なければいけなくなるのよ、と言っていることになります。
珍しい種類の貴重な猫だから、ペットとしてかわいがるだけではなく、投資目的にも使えるのよ、結局、投資物件としての価値を無視できなくなるんだから、みたいに説得していることになるでしょう。
それを聞いた女性は、「私はただ猫が欲しかっただけだから」と立ち去ろうとします。
猫が欲しかっただけ、つまり、投資の対象としての猫になんて興味はないもの、というところですね。

この続きのレイチェルのセリフがなかなか面白いので、明日か明後日に「フレンズ5-21その7」として投稿する予定です。


(Rach からのお詫びと訂正)
非公開コメントにてご指摘がありました。
同居すると切手代が減る フレンズ5-21その4 で、
ギャリー: Okay, I'll see you at the station later. (わかったよ、後で駅で会おう。)
と日本語訳を書いたのですが、「駅」という訳語は間違いです。
この場合の station は「(電車の)駅」ではなく、「警察署(police station)」でした。

私もその日本語訳を書きながら、「へぇ〜、二人は駅で待ち合わせをするのかぁ〜」とちょっと不思議な感覚を覚えていたのですが、そのまま確認することなく投稿してしまったようです。
実際、その後で、フィービーがギャリーのいる警察署を訪ねるシーンが出てきますので、ここはやはり、police station のことを言っているのは間違いありません。
ご指摘下さった方、ありがとうございました!
(細かい部分まできっちり読んでいただけているのがわかって、とても嬉しいです。)


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 12:43| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする