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ギャリーと同居する約束をしたフィービー。ギャリーに、ブルックリン・ハイツ(Brooklyn Heights)で良い物件を探すように言われたのですが、新聞には1つも載ってなかったと答えます。
警官であるギャリーは、フィービーを取り調べ室(interrogation room)に連れて行き、犯人を尋問するようにフィービーを追い詰めてゆきます。
今日のニューヨークポストにブルックリンハイツの物件がたくさん載っている証拠を突きつけられ、「同居に同意したものの、実はまだ早すぎると思ってるんだろ?」と本心を見透かされ、フィービーはとうとうそれを認めることになります。
まるで犯人のように(笑)取り調べ室の机に顔を突っ伏して泣くフィービーに、
ギャリー: Phoebe, it's okay that you feel this way. I mean, it is soon and there's a lot of things we don't know about each other. I just figure that everything I know about you, I really like. And the things I don't know, I get to learn about at someplace with both our names on the mailbox. (フィービー、君がこんな風に感じてもいいんだよ。つまり、(同居するには)実際に早いし、お互いについて知らないこともたくさんある。俺はただこう思うんだ。君について知っていることすべて、俺は本当にそのすべてが好きだってね。そして、俺が知らないことは(これから)知るようになるんだ、郵便受けに俺たち二人の名前が書いてある場所でね。)
フィービー: That's so sweet. (それってすっごく素敵。)
ギャリー: Sweetheart, but none of that matters if it's too soon for you. It's fine! We don't have to move in together. I just, I want you to be happy. (ハニー、でも、もし君にとって早すぎるのなら、今の話はどれも重要じゃないよ。構わないさ! 俺たちは一緒に住む必要はない。俺はただ…俺は君に幸せになって欲しいんだ。)
フィービー: Living with you would make me happy. (あなたと一緒に住んだら私は幸せになるわ。)
ギャリー: Phoebe, you don't have to say that. (フィービー、そんなこと言わなくていいよ。)
フィービー: No, I really wanna live with you! I wanna move in with you! (いいえ、私は本当にあなたと一緒に住みたいの! あなたと一緒に引っ越すわ!)
ギャリー: Are you sure? (ほんとに?)
フィービー: Yes! Definitely, yes! Let's live in an apartment that we both live in! (Hugs him.) (ええ! もちろん、イエスよ! 私たち二人で住むアパートメントに住みましょう! [ギャリーをハグする])
ギャリー: Oh, that's great! (あぁ、それって最高だよ!)
フィービー: Oh, wait, one sec. One sec. (Goes to the mirror) Hey, you! Behind the glass! Who are you looking at! I always wanted to say that when I was in one of these rooms, (sees the look on his face) which was never! (ああ、待って、ちょっと、ちょっと待って。[鏡のところに行く] ちょっと、あなた! 鏡の後ろの(人)! 誰を見てんのよ! いつも今のセリフを言いたいと思ってたのよね、こういう部屋にいた時に… [ギャリーの顔に浮かんだ表情を見て] あ、そういう経験は今までなかったけどね!)
ギャリーとの同居に前向きになれないことを認めたフィービーは、机に顔を伏せて泣いています。
それを知ったらギャリーが悲しむことを知っているからですね。
ギャリーは泣いているフィービーに優しく、it's okay that you feel this way と声をかけます。
it は、that 以下の仮主語で、「君がこんな風に感じることはオッケーだよ」「君がこんな風に思うのはそれでいいんだよ、構わないんだよ」みたいな感覚です。
その後、I mean 「つまり(こういうことだ)」を使って、どうしてフィービーがそう思ってもいいのか、そう思うのは無理もないと思っているのかをより詳しく説明しています。
it is soon の部分は、音声では、it IS soon と is を強調してしゃべっています。
「事実、実際、(同居するには)早い」というニュアンスで、一般的な常識からすると、まだ同居するのは”実際”早いんだ、フィービーだけが早すぎると思ってるわけじゃないから、君がそう思うのは当然さ、という感じです。
I just figure that everything I know about you, I really like. は、really like の目的語にあたる部分が前に出た倒置のような形になっていると思われます。
意味としては、I really like everything I know about you. 「君について知っていることのすべてが俺はほんとに好きなんだ」ということですが、次の、the things I don't know との対比の形にするために、everything I know about you という目的語を前に出している感覚でしょう。
その前に、「お互いに知らないことがたくさんある」と言っていますので、その後に、「知っていることについては…、知らないことについては〜」のように、場合分けして語っている感覚だと思われます。
「君について知っていることすべて」については、俺はほんとに好きだ、君について知っている部分は全部好きだ、と言い、「俺が知らないこと」については、I get to learn... 以下で説明していますね。
get to learn は、get to know 「知るようになる」と同じような感覚で、「学ぶようになる、わかるようになる、知るようになる」といったニュアンスになるでしょう。
知らないことについては、ある場所で知るようになる、と言っているわけですが、その場所が、at someplace with both our names on the mailbox と表現されています。
with A on B は、「A が B の上にある状態で」という付帯状況を表しています。
ここでは、「郵便受け(メールボックス)(の上)に俺たち二人の名前が載っている状態の、ある場所」みたいなことでしょう。
つまり、これから二人が同居しようとしている部屋には、郵便受けに二人の名前を書くことになるから、その新しい場所で、まだ俺が知らない君のことを知っていこうと思ってるんだ、というセリフですね。
日本で言うと、「表札に二人の名前が並んでる場所で」みたいな感じになるでしょうか。
フィービーが同居に躊躇しているのは、付き合って日が浅く、まだまだ知らないことが多すぎるからです。
「今君について知っていることは全部好きだ、知らないことはこれから新居で知っていくんだよ」とギャリーが言ってくれたことで、「知らないことが多すぎる」ことに対するフィービーの不安が減ったわけですね。
それまで泣いていたフィービーですが、このギャリーのセリフを聞いて、本当に感動したように、That's so sweet. と言っています。
「知らないことはこれから少しずつ知っていけばいいじゃないか、その新しい場所で」…こういうセリフに女の子は実に弱いので(笑)、フィービーの嬉しい気持ち、よくわかります。
「これから一緒に住もうとしている場所で」とは言わずに、「二人の名前が郵便受けに並んでいる場所に」と表現しているのが、何ともロマンティックな気がします。
ギャリーはさらに優しくフィービーに語りかけます。
none of that matters は、「今言ったこと(知らないことはこれから新居で知っていきたいという気持ちなど)はどれも重要ではない」というニュアンス。
俺は今言ったような気持ちでいるけど、君にとって早すぎるなら、俺の言ったことなんかどうでもいいさ、ということですね。
俺はただ、君に幸せになって欲しいだけだから、とも言っています。
Living with you would make me happy. を直訳すると、「あなたと一緒に住むことは私を幸せにするでしょう」。
would に「もし一緒に住むことになったら、私は幸せになるわ」という仮定のニュアンスが感じられますね。
あんなに同居に後ろ向きだったフィービーですが、ギャリーの優しさにすっかり感動した様子で、今度は自分から進んで同居のことを口にしています。
「一緒に住みましょう!」と嬉しそうにハグした後、フィービーは、取り調べ室の鏡のところに行って叫んでいます。
この鏡は、向こうからは見えてこっちからは見えないマジックミラーですね。
目撃者があちらにいて、取り調べ室の容疑者の顔を見て犯人かどうか証言したりするためのものです。
フィービーは、まるで犯罪者のような口調で、「そこの鏡の後ろのあなた! 誰を見てんのよ!」と叫んでいます。
Who are you looking at! はキツい調子で叫んでいますので、文字通りの「あなたは誰を見ているのですか?」という疑問文ではなく、「あなた、誰を見てんのよ、あたしをジロジロ見るんじゃないわよ!」みたいな喧嘩をふっかけている風のニュアンスになります。
「見えない敵」(笑)にそう叫んだ後、「こういう部屋にいた時に、いつもそう言ってみたかったのよねー」とギャリーに説明するのですが、ギャリーが「こういう部屋にいた時、だって?」みたいな不審そうな顔をしたので、which was never 「今私が言ったようなことは、決してなかったけどね」と追加の形で、そういう経験があったことを全否定している形になるでしょう。
「こういう部屋でいつもそう言いたかったの…って、そんなの、ないない!」みたいな、慌てた付け足しの否定、という感じだと思います。
フレンズ5-16 で、フィービーの居所を突き止めるのに、警官バッジにべったりついた指紋をコンピューターで検索して住所を発見した、とギャリーが言っていました。
その時、I looked at your record and you've done some pretty weird stuff. 「君の記録(前科)を見たよ。かなり変わったことをしたんだね」とも言っていました。
警官が record と言うと、やはり、criminal record 「前科」のことだと思われるので、フィービーが前科者(!)であることをギャリーは知っていたと思うのですが、always 「いつも」そう言いたかった、という言葉から、「何度も」こういう部屋に入ったことがあるかのように聞こえるので、さすがのギャリーもギョッとした、ということなのかなぁと思います。
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2011年05月25日
2011年05月23日
同居すると切手代が減る フレンズ5-21その4
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ジョーイとチャンドラーの部屋に、フィービーとギャリーが入ってきます。
ギャリー: We have great news! (すごいニュースがあるんだ!)
フィービー: We're moving in together! Isn't it great! Yay! (私たち(引っ越して)一緒に住むのよ! それってすごくない? イェイ!)
みんな: Congratulations! Congrats! (おめでとう! おめでと!)
フィービー: I know, I'm so excited! (そうね、私はすっごく興奮してるわ!)
ギャリー: So am I! (僕もだよ!)
フィービー: Well, you're not more excited than I am! No way! I'm the most excited! (うーん、あなたは私ほど興奮してないわ! 絶対にそんなことない! 私が一番興奮してるのよ!)
ギャリー: Okay, I'll see you at the station later. (わかったよ、後で駅で会おう。)
(追記:この station は「(電車の)駅」ではなく、「警察署」(police station)のことでした。)
フィービー: Okay, yeah, I'll see you later! Don't forget about the moving-in! (いいわ、わかった。後で会いましょうね! 一緒に住むことを忘れないで!)
ギャリー: All right. (オッケー。)
(Phoebe closes the door behind him.)
フィービーは彼が出た後、ドアを閉める。
モニカ: So you're moving in with him? What happened? (それじゃあ、フィービーは彼と一緒に住むのね? 何が起こったの?)
フィービー: I couldn't tell him no. He got so sad. Maybe it'll be all right. I do really like him a lot and probably do it eventually, anyway. And plus, think of all the money I'll save on stamps. (彼にノーって言えなかったの。彼はすごく悲しんだから。多分、これでいいのよ。私はほんとに彼がすごく好きだし、多分、ゆくゆくは一緒に住むわ、どのみちね。それに、私が切手代で節約するお金を考えたら。)
モニカ: Why, do you write him a lot? (どうして? フィービーはギャリーに手紙をよく書くの?)
フィービー: No, I just heard when people live together, they split the cost of stamps, don't they? (いいえ、ただ、人は一緒に住むと切手にかかる費用を分けるって聞いたのよ。違うの?)
みんな: Yeah! That's right. Yeah-yeah! Yeah! (そうよ! それが正しいわ! そう、そう、そうだよ!)
(Rachel enters with the cat, wearing the oven mitt, and startles Phoebe.)
レイチェルは例のネコと共に入ってくる、手にオーブン用ミトンをはめて。フィービーはそれにびっくりする。
フィービー: Oh, I'm sorry, the oven mitts really freaked me out. (あぁ、ごめんなさい、そのオーブン用ミトンにすごくびっくりしちゃったのよ。)
入ってきたフィービーとギャリーは、great news を伝えます。
We're moving in together! の「現在進行形」は、「決まった近い予定を表す」ものですね。
いつかそうする、という漠然としたものでなく、かなり具体的に計画が決まっている場合に使われます。
みんなは口々に、 Congratulations! Congrats! と言っています。
Congrats! 「コングラッツ」はまさに見た目通り、 Congratulations! の略ですが、このように短く訳されても、複数形語尾の -s は省略されないことに注意しましょう。
次のフィービーとギャリーのセリフは、比較級と最上級を使って、「どっちが興奮してるか」を張り合っているかのようなやり取りになっています。
「僕も(君と同じように)興奮してるよ!」というギャリーに、「あなたは私ほど興奮していない」という比較級の否定文、さらには「私が最も・一番興奮してるの」という最上級を使っていますね。
通常、ラブラブの恋人同士なら、「あなたと私はおんなじくらい興奮してるのよねっ!」と、二人の喜びが同じレベルであることを喜び合うものですが、「あなたより私の方がワクワクしてるのよ!」と自分の方がレベルが上であることをむきになって強調しているところに、却ってフィービーが「無理して喜んでいる」ところが表れているのですね。
実際はそれほど喜んでいないけれど、喜んだふりをしているのがその不自然なセリフからわかるわけです。
幸せいっぱいのギャリーは、そういうフィービーの「不自然さ」にも気付かず、「また後でね」と言って去って行きます。
去って行くギャリーにフィービーは、Don't forget about the moving-in! 「move in (together) することについて忘れないでね! 忘れないでよ!」と声をかけていますが、ギャリーが忘れるはずのないことをわざわざ口に出して言っているところにもまた、無理に喜んだふりをしているフィービーの様子が見て取れます。
フィービーが同居に乗り気でなかったことを知っているモニカは、心境の変化をもたらしたような出来事が起こったのかを尋ねています。
フィービーは、彼が悲しんだから断れなかった、拒めなかったと答えます。そして、自分自身を納得させるように、「これでいいのよ、彼のことはすごく好きだし、どのみち最終的にはそうなるんだから」と言っています。
ちょっと時期が早まっただけで、決心そのものは間違っていないはず、と自分に言い聞かせている感じですね。
それに、と別の理由を加える形で、think of all the money I'll save on stamps と言っています。
これは直訳すると、「私が切手で節約するであろうお金を全部(お金の全額を)考えて」のような命令形、もしくは「考えてみたら」のような仮定のニュアンスになるでしょうか。
「同居することで切手代が節約できる、その金額を考えてみたら」みたいな感じでしょう。
そのフィービーの発言を聞いて、チャンドラーとモニカは、わからない、という顔をしています。
モニカは、「同居したら切手代が節約できる、って、フィービーはそんなによくギャリーに手紙を書いてたの?」と尋ねます。
フィービーは、手紙をよく書いていたわけじゃない、と否定して、「人が同居すると、切手代も分担することになるって聞いたんだけど…」みたいに言っています。
みんなは一瞬ポカンとした顔をするものの、「そうそう、フィービーの言う通りだ」と口々に言います。
切手に関するフィービーの最初のセリフ、「(同居したら)切手代が節約できる」というのは、恐らく、離れて暮らしていた恋人が同居する時によく口にする決まり文句みたいなものかなと思います。
モニカが質問したように、日頃からよく手紙を書く恋人同士であれば、一緒に住むことで郵便代としての切手代を使わなくて済むようになる、という効果が実際にありますよね。
もう少し現代風に考えるのなら、長距離恋愛をしているカップルが、同居することで電話代がかからなくなる、みたいなことでしょう。
フィービーが切手の話をするので、みんなが知らないところでフィービーもギャリーにせっせと手紙をしたためていたのかと思ったらそうではなくて、「よく聞くそういうセリフは、一緒に住んだら切手代の負担も半分になる、って話だと思ってたんだけど」みたいにフィービーは答えます。
「同居したら費用は半分になる」のは事実としても、それじゃあ別に切手代じゃなくて、食費でも光熱費でも家賃でもいいわけですよね。
わざわざ「切手」に言及しているのは、頻繁に文通している恋人のイメージがあってこその話なのに、それをフィービーは他の費用分担と同じ系列の話だと思っていた、という面白さなのでしょう。
フィービーの勘違いにフレンズたちは気づいたようですが、同居に後ろ向きなフィービーがその申し出を受け入れる覚悟を決めたことに水を差したくなかったのでしょう、「切手の話はフィービーの言う通りよ。一緒に住んだらどんな費用も半分こだもんね!」みたいに盛り上がって、切手の話を流そうとしているわけですね。
その時、部屋にまた、スフィンクスキャットを連れてレイチェルが入ってきます。
フィービーはそれを見て、えらくびっくりした顔をしていますが、ネコを見て驚いたのではなく、レイチェルが手にはめていたオーブン用ミトンを見て驚いた、と言っています。
他のフレンズのメンバーは、スフィンクスの特異な見かけに驚くのが常でしたが、フィービーはそのネコの姿には動じず、レイチェルの手が巨大になっているかのように見えた(?)そのミトンに驚いたと言っているのが、フィービーらしいおとぼけなのかな、と思いました。
一瞬、「ミトンに驚いた」→「ネコをオーブンで焼いて持ってきたように見えて驚いた」という意味で言っているのかな、とも思ったのですが、それだとまずは、動物愛護主義者的に、I can't believe you! You baked tha cat?! みたいな言葉を発する気がするのですね。
ネコのことは一切言わず、ミトンだけに言及しているところに、普通はみんなそのネコの姿に驚くものなのに、フィービーは全く動じていないのがわかって面白いのかな、と思いました。
「あー、びっくりした、(レイチェルの手が赤くでっかくなったんじゃなくて)ミトンだったのね」「そっち? 驚くのは、ネコじゃなくて、ミトンの方?」みたいな、フィービーのちょっとずれた感性による面白さなんだろうと思います。
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フィービー: I know, I'm so excited! (そうね、私はすっごく興奮してるわ!)
ギャリー: So am I! (僕もだよ!)
フィービー: Well, you're not more excited than I am! No way! I'm the most excited! (うーん、あなたは私ほど興奮してないわ! 絶対にそんなことない! 私が一番興奮してるのよ!)
ギャリー: Okay, I'll see you at the station later. (わかったよ、後で駅で会おう。)
(追記:この station は「(電車の)駅」ではなく、「警察署」(police station)のことでした。)
フィービー: Okay, yeah, I'll see you later! Don't forget about the moving-in! (いいわ、わかった。後で会いましょうね! 一緒に住むことを忘れないで!)
ギャリー: All right. (オッケー。)
(Phoebe closes the door behind him.)
フィービーは彼が出た後、ドアを閉める。
モニカ: So you're moving in with him? What happened? (それじゃあ、フィービーは彼と一緒に住むのね? 何が起こったの?)
フィービー: I couldn't tell him no. He got so sad. Maybe it'll be all right. I do really like him a lot and probably do it eventually, anyway. And plus, think of all the money I'll save on stamps. (彼にノーって言えなかったの。彼はすごく悲しんだから。多分、これでいいのよ。私はほんとに彼がすごく好きだし、多分、ゆくゆくは一緒に住むわ、どのみちね。それに、私が切手代で節約するお金を考えたら。)
モニカ: Why, do you write him a lot? (どうして? フィービーはギャリーに手紙をよく書くの?)
フィービー: No, I just heard when people live together, they split the cost of stamps, don't they? (いいえ、ただ、人は一緒に住むと切手にかかる費用を分けるって聞いたのよ。違うの?)
みんな: Yeah! That's right. Yeah-yeah! Yeah! (そうよ! それが正しいわ! そう、そう、そうだよ!)
(Rachel enters with the cat, wearing the oven mitt, and startles Phoebe.)
レイチェルは例のネコと共に入ってくる、手にオーブン用ミトンをはめて。フィービーはそれにびっくりする。
フィービー: Oh, I'm sorry, the oven mitts really freaked me out. (あぁ、ごめんなさい、そのオーブン用ミトンにすごくびっくりしちゃったのよ。)
入ってきたフィービーとギャリーは、great news を伝えます。
We're moving in together! の「現在進行形」は、「決まった近い予定を表す」ものですね。
いつかそうする、という漠然としたものでなく、かなり具体的に計画が決まっている場合に使われます。
みんなは口々に、 Congratulations! Congrats! と言っています。
Congrats! 「コングラッツ」はまさに見た目通り、 Congratulations! の略ですが、このように短く訳されても、複数形語尾の -s は省略されないことに注意しましょう。
次のフィービーとギャリーのセリフは、比較級と最上級を使って、「どっちが興奮してるか」を張り合っているかのようなやり取りになっています。
「僕も(君と同じように)興奮してるよ!」というギャリーに、「あなたは私ほど興奮していない」という比較級の否定文、さらには「私が最も・一番興奮してるの」という最上級を使っていますね。
通常、ラブラブの恋人同士なら、「あなたと私はおんなじくらい興奮してるのよねっ!」と、二人の喜びが同じレベルであることを喜び合うものですが、「あなたより私の方がワクワクしてるのよ!」と自分の方がレベルが上であることをむきになって強調しているところに、却ってフィービーが「無理して喜んでいる」ところが表れているのですね。
実際はそれほど喜んでいないけれど、喜んだふりをしているのがその不自然なセリフからわかるわけです。
幸せいっぱいのギャリーは、そういうフィービーの「不自然さ」にも気付かず、「また後でね」と言って去って行きます。
去って行くギャリーにフィービーは、Don't forget about the moving-in! 「move in (together) することについて忘れないでね! 忘れないでよ!」と声をかけていますが、ギャリーが忘れるはずのないことをわざわざ口に出して言っているところにもまた、無理に喜んだふりをしているフィービーの様子が見て取れます。
フィービーが同居に乗り気でなかったことを知っているモニカは、心境の変化をもたらしたような出来事が起こったのかを尋ねています。
フィービーは、彼が悲しんだから断れなかった、拒めなかったと答えます。そして、自分自身を納得させるように、「これでいいのよ、彼のことはすごく好きだし、どのみち最終的にはそうなるんだから」と言っています。
ちょっと時期が早まっただけで、決心そのものは間違っていないはず、と自分に言い聞かせている感じですね。
それに、と別の理由を加える形で、think of all the money I'll save on stamps と言っています。
これは直訳すると、「私が切手で節約するであろうお金を全部(お金の全額を)考えて」のような命令形、もしくは「考えてみたら」のような仮定のニュアンスになるでしょうか。
「同居することで切手代が節約できる、その金額を考えてみたら」みたいな感じでしょう。
そのフィービーの発言を聞いて、チャンドラーとモニカは、わからない、という顔をしています。
モニカは、「同居したら切手代が節約できる、って、フィービーはそんなによくギャリーに手紙を書いてたの?」と尋ねます。
フィービーは、手紙をよく書いていたわけじゃない、と否定して、「人が同居すると、切手代も分担することになるって聞いたんだけど…」みたいに言っています。
みんなは一瞬ポカンとした顔をするものの、「そうそう、フィービーの言う通りだ」と口々に言います。
切手に関するフィービーの最初のセリフ、「(同居したら)切手代が節約できる」というのは、恐らく、離れて暮らしていた恋人が同居する時によく口にする決まり文句みたいなものかなと思います。
モニカが質問したように、日頃からよく手紙を書く恋人同士であれば、一緒に住むことで郵便代としての切手代を使わなくて済むようになる、という効果が実際にありますよね。
もう少し現代風に考えるのなら、長距離恋愛をしているカップルが、同居することで電話代がかからなくなる、みたいなことでしょう。
フィービーが切手の話をするので、みんなが知らないところでフィービーもギャリーにせっせと手紙をしたためていたのかと思ったらそうではなくて、「よく聞くそういうセリフは、一緒に住んだら切手代の負担も半分になる、って話だと思ってたんだけど」みたいにフィービーは答えます。
「同居したら費用は半分になる」のは事実としても、それじゃあ別に切手代じゃなくて、食費でも光熱費でも家賃でもいいわけですよね。
わざわざ「切手」に言及しているのは、頻繁に文通している恋人のイメージがあってこその話なのに、それをフィービーは他の費用分担と同じ系列の話だと思っていた、という面白さなのでしょう。
フィービーの勘違いにフレンズたちは気づいたようですが、同居に後ろ向きなフィービーがその申し出を受け入れる覚悟を決めたことに水を差したくなかったのでしょう、「切手の話はフィービーの言う通りよ。一緒に住んだらどんな費用も半分こだもんね!」みたいに盛り上がって、切手の話を流そうとしているわけですね。
その時、部屋にまた、スフィンクスキャットを連れてレイチェルが入ってきます。
フィービーはそれを見て、えらくびっくりした顔をしていますが、ネコを見て驚いたのではなく、レイチェルが手にはめていたオーブン用ミトンを見て驚いた、と言っています。
他のフレンズのメンバーは、スフィンクスの特異な見かけに驚くのが常でしたが、フィービーはそのネコの姿には動じず、レイチェルの手が巨大になっているかのように見えた(?)そのミトンに驚いたと言っているのが、フィービーらしいおとぼけなのかな、と思いました。
一瞬、「ミトンに驚いた」→「ネコをオーブンで焼いて持ってきたように見えて驚いた」という意味で言っているのかな、とも思ったのですが、それだとまずは、動物愛護主義者的に、I can't believe you! You baked tha cat?! みたいな言葉を発する気がするのですね。
ネコのことは一切言わず、ミトンだけに言及しているところに、普通はみんなそのネコの姿に驚くものなのに、フィービーは全く動じていないのがわかって面白いのかな、と思いました。
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2011年05月20日
煮ても焼いても食えない フレンズ5-21その3
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(Rachel enters with the "cat" and the chick and the duck start to get riled up.)
レイチェルは例の「猫」(スフィンクス・キャット)と共に入ってくる。すると、ニワトリとアヒルが怒り出す。
ジョーイ: Don't worry, guys. It's not a cat. (心配するな、お前ら。猫じゃない。)
モニカ: Oh my.... Oh, good God! (まぁ、なんて…なんてこと!)
レイチェル: (she's wearing an oven mitt to protect her hand) I give up, you guys. I don't know what I'm going to do with this thing! ([レイチェルは手を守るためにオーブン用ミトンをはめている] もう降参よ、みんな。こいつをどうしたらいいかわからないの!)
ロス: Baking it didn't help, huh? (焼いても無駄だったの?[焼いても食えなかったの?])
モニカ: So, why don't you just take it back to where you got it? (それじゃあ、それを買ったところに返品してきたらどうなの?)
レイチェル: I tried! They won't take her back. (やってみたわ! 店は受け取ろうとしなかったの[受け取りを拒否したの]。)
チャンドラー: Maybe that's because she's a minion of the Antichrist. (多分それは、その猫が反キリストの[キリストの敵の]手先だからだな。)
モニカ: Rach, why won't they take it back? (レイチェル、どうして彼らは受け取ろうとしないの?)
レイチェル: Well, they said they would but they would only give me store credit. I mean, what am I going to do? Get a thousand regular cats? (そうね、店員は受け取るとは言ったんだけど、私にストア・クレジットを渡そうとするのよ。つまり、私はどうしたらいいの? 普通の猫を1,000匹もらえっての?)
レイチェルが猫を連れて入ってきたので、チャンドラーとジョーイの飼っているニワトリとアヒルが騒ぎ出します。
騒ぐ鳥たちに、「心配するな、猫じゃない」というジョーイにまた笑ってしまいますね。
フレンズ5-21その1 でも、スフィンクスのことを猫だと言うと、必ずジョーイは「猫じゃない」とツッコミを入れていましたが、ここでもまた同じセリフを、それもペットに対して(笑)言っているのが、ジョーイらしくて楽しいです。
赤い座布団の上にその猫を乗せ、引っかかれないように手にはミトンをはめた状態で入ってきたレイチェルは、「こいつをどうしたらいいかわからない」と言っています。
this thing というのは「こいつ、このもの」みたいな感じで、その言い方にもはやペットとしての愛着がなくなってしまっている感じが出ていますね。
英語では自分が可愛がっているペットのことは、人間と同じように、him/her などの人称代名詞で呼びますので、with her ではなくて、with this thing と言っている時点で、「モノ扱い」して、持て余している様子がわかるわけです。
ロスの、Baking it didn't help, huh? について。
help は他動詞では「助ける」ですが、自動詞では「助けになる、役に立つ」という意味があります。
it は the cat なので、「その猫を焼くことが助けにならなかったの?、焼いても無駄だったの?」みたいなことですね。
これは、レイチェルが座布団の上に猫を乗せ、手にはミトンをはめているので、まるで猫を料理して持ってきたみたいに見えたことから、そう言っているようです。
「こいつをどうしたらいいかわからなくて」と言ったので、「オーブンで焼いてみたけど、無駄だった、ってこと? 料理して食べることもできなかったわけだ」みたいに言って、レイチェルをからかっているのですね。
この部分、DVDの日本語訳は、「焼いても食えなかったってわけ?」となっていましたが、私もこのロスのセリフを聞いた時、その言葉が頭に浮かびました。
日本語では「煮ても焼いても食えない」という表現がありますよね。
広辞苑では
煮ても焼いても食えぬ=どうするてだてもなくもてあます。
とありますので、まさに今回の「こいつをどうしたらいいかわかんないの」とお手上げ状態になっているレイチェルに通じるものがあります。
日本語の「煮ても焼いても食えない」の場合は慣用句で、「煮ても焼いても食えないやつ」のように人間に対して使う言葉です。
英語においては、そういう慣用表現があるわけではないでしょうが、今回たまたま、手にミトンをしたレイチェルが猫を座布団の上に乗せて持ってきた姿が、オーブンから取り出したばかりの料理を持ってきた姿に重なるので、Baking it didn't help, huh? というセリフが非常にハマって聞こえた、ということだと思います。
日本語はたまたまそれが慣用句になっているために、すんなり理解できてしまう感じですね。
猫にお手上げだというレイチェルに、返品してきたらいいのにと言うモニカ。
I tried! の後に特に but はありませんが、「返品しようとしてみたけど(だめだったの)。店が受け取ろうとしないのよ」というニュアンスであることは理解できますよね。
I tried 「やってみた」と言う場合はたいてい、I tried, but.... 「やってみたのよ、でもだめだった」と続くことが予想されますが、今回もそのパターンだということです。
a minion of the Antichrist について。
研究社 新英和中辞典では、以下のように出ています。
antichrist 【名】
T 【C】 キリストの敵、キリスト反対者
U [(the) A〜] 反キリスト 《キリスト再臨前にこの世に悪を満たすとされるキリストの敵》
LAAD では、
antichrist : [noun]
the Antichrist also the antichrist the great enemy of Jesus Christ who represents the power of evil and is expected to appear just before the end of the world
つまり、「イエス・キリストの大きな敵で、悪の力を象徴するもの。この世の終わりの直前に現れると言われているもの」。
minion は「手先」なので、a minion of the Antichrist は「キリストの敵の手先」という意味になります。
非常に珍しいルックスをしているので、悪の使い、悪の使者、悪の手先みたいに見えると言いたいようです。
元々、その店で購入したので、受け取り拒否の理由が、「悪の手先みたいに見えるから」であるはずはないのですが、「店もその姿に恐れをなしたんだね」みたいに言ってみせているのですね。
チャンドラーのジョークにも構わず(笑)、モニカは本当の理由を知ろうとします。
レイチェルは、「店には引き取る意志はあったけれど、相手はストア・クレジットを渡すつもりだった、ストア・クレジットで返金するつもりだった」と説明しています。
英辞郎では、
store credit=返品した品物と同金額分の買い物
と出ています。
買った金額と同額を返金してくれるのではなくて、同額のものと交換いたしますよ、みたいなことですね。
フレンズ4-8その6 でも、ロスがあげたネックレスをレイチェルがストア・クレジットに交換していた、という話がありましたが、プレゼント交換の機会が多いアメリカでは、プレゼントをもらった後、店に同額の商品と交換しに行く、ということもよくあるようです。(特に、レイチェルはよくそれをやっている…笑)
このスフィンクス・キャットを1,000ドルで購入したレイチェルは、店で1,000ドルのものと交換できる権利をもらってもどうしろって言うの?みたいに言いたいようです。
a thousand regular cats を文字通り訳すと、「1,000匹の普通の猫、普通の猫1,000匹」というところでしょう。
猫1匹の相場がいくらぐらいかよく知らないのですが、まさか、1匹1ドル、ということもないと思います。
これは多分、レイチェルの誇張表現で、1,000匹とは言わないまでも、高級な猫を返品して、代わりに安い普通の猫を何十匹ももらっても、こっちは困っちゃうわよ、と言いたいのですね。
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(Rachel enters with the "cat" and the chick and the duck start to get riled up.)
レイチェルは例の「猫」(スフィンクス・キャット)と共に入ってくる。すると、ニワトリとアヒルが怒り出す。
ジョーイ: Don't worry, guys. It's not a cat. (心配するな、お前ら。猫じゃない。)
モニカ: Oh my.... Oh, good God! (まぁ、なんて…なんてこと!)
レイチェル: (she's wearing an oven mitt to protect her hand) I give up, you guys. I don't know what I'm going to do with this thing! ([レイチェルは手を守るためにオーブン用ミトンをはめている] もう降参よ、みんな。こいつをどうしたらいいかわからないの!)
ロス: Baking it didn't help, huh? (焼いても無駄だったの?[焼いても食えなかったの?])
モニカ: So, why don't you just take it back to where you got it? (それじゃあ、それを買ったところに返品してきたらどうなの?)
レイチェル: I tried! They won't take her back. (やってみたわ! 店は受け取ろうとしなかったの[受け取りを拒否したの]。)
チャンドラー: Maybe that's because she's a minion of the Antichrist. (多分それは、その猫が反キリストの[キリストの敵の]手先だからだな。)
モニカ: Rach, why won't they take it back? (レイチェル、どうして彼らは受け取ろうとしないの?)
レイチェル: Well, they said they would but they would only give me store credit. I mean, what am I going to do? Get a thousand regular cats? (そうね、店員は受け取るとは言ったんだけど、私にストア・クレジットを渡そうとするのよ。つまり、私はどうしたらいいの? 普通の猫を1,000匹もらえっての?)
レイチェルが猫を連れて入ってきたので、チャンドラーとジョーイの飼っているニワトリとアヒルが騒ぎ出します。
騒ぐ鳥たちに、「心配するな、猫じゃない」というジョーイにまた笑ってしまいますね。
フレンズ5-21その1 でも、スフィンクスのことを猫だと言うと、必ずジョーイは「猫じゃない」とツッコミを入れていましたが、ここでもまた同じセリフを、それもペットに対して(笑)言っているのが、ジョーイらしくて楽しいです。
赤い座布団の上にその猫を乗せ、引っかかれないように手にはミトンをはめた状態で入ってきたレイチェルは、「こいつをどうしたらいいかわからない」と言っています。
this thing というのは「こいつ、このもの」みたいな感じで、その言い方にもはやペットとしての愛着がなくなってしまっている感じが出ていますね。
英語では自分が可愛がっているペットのことは、人間と同じように、him/her などの人称代名詞で呼びますので、with her ではなくて、with this thing と言っている時点で、「モノ扱い」して、持て余している様子がわかるわけです。
ロスの、Baking it didn't help, huh? について。
help は他動詞では「助ける」ですが、自動詞では「助けになる、役に立つ」という意味があります。
it は the cat なので、「その猫を焼くことが助けにならなかったの?、焼いても無駄だったの?」みたいなことですね。
これは、レイチェルが座布団の上に猫を乗せ、手にはミトンをはめているので、まるで猫を料理して持ってきたみたいに見えたことから、そう言っているようです。
「こいつをどうしたらいいかわからなくて」と言ったので、「オーブンで焼いてみたけど、無駄だった、ってこと? 料理して食べることもできなかったわけだ」みたいに言って、レイチェルをからかっているのですね。
この部分、DVDの日本語訳は、「焼いても食えなかったってわけ?」となっていましたが、私もこのロスのセリフを聞いた時、その言葉が頭に浮かびました。
日本語では「煮ても焼いても食えない」という表現がありますよね。
広辞苑では
煮ても焼いても食えぬ=どうするてだてもなくもてあます。
とありますので、まさに今回の「こいつをどうしたらいいかわかんないの」とお手上げ状態になっているレイチェルに通じるものがあります。
日本語の「煮ても焼いても食えない」の場合は慣用句で、「煮ても焼いても食えないやつ」のように人間に対して使う言葉です。
英語においては、そういう慣用表現があるわけではないでしょうが、今回たまたま、手にミトンをしたレイチェルが猫を座布団の上に乗せて持ってきた姿が、オーブンから取り出したばかりの料理を持ってきた姿に重なるので、Baking it didn't help, huh? というセリフが非常にハマって聞こえた、ということだと思います。
日本語はたまたまそれが慣用句になっているために、すんなり理解できてしまう感じですね。
猫にお手上げだというレイチェルに、返品してきたらいいのにと言うモニカ。
I tried! の後に特に but はありませんが、「返品しようとしてみたけど(だめだったの)。店が受け取ろうとしないのよ」というニュアンスであることは理解できますよね。
I tried 「やってみた」と言う場合はたいてい、I tried, but.... 「やってみたのよ、でもだめだった」と続くことが予想されますが、今回もそのパターンだということです。
a minion of the Antichrist について。
研究社 新英和中辞典では、以下のように出ています。
antichrist 【名】
T 【C】 キリストの敵、キリスト反対者
U [(the) A〜] 反キリスト 《キリスト再臨前にこの世に悪を満たすとされるキリストの敵》
LAAD では、
antichrist : [noun]
the Antichrist also the antichrist the great enemy of Jesus Christ who represents the power of evil and is expected to appear just before the end of the world
つまり、「イエス・キリストの大きな敵で、悪の力を象徴するもの。この世の終わりの直前に現れると言われているもの」。
minion は「手先」なので、a minion of the Antichrist は「キリストの敵の手先」という意味になります。
非常に珍しいルックスをしているので、悪の使い、悪の使者、悪の手先みたいに見えると言いたいようです。
元々、その店で購入したので、受け取り拒否の理由が、「悪の手先みたいに見えるから」であるはずはないのですが、「店もその姿に恐れをなしたんだね」みたいに言ってみせているのですね。
チャンドラーのジョークにも構わず(笑)、モニカは本当の理由を知ろうとします。
レイチェルは、「店には引き取る意志はあったけれど、相手はストア・クレジットを渡すつもりだった、ストア・クレジットで返金するつもりだった」と説明しています。
英辞郎では、
store credit=返品した品物と同金額分の買い物
と出ています。
買った金額と同額を返金してくれるのではなくて、同額のものと交換いたしますよ、みたいなことですね。
フレンズ4-8その6 でも、ロスがあげたネックレスをレイチェルがストア・クレジットに交換していた、という話がありましたが、プレゼント交換の機会が多いアメリカでは、プレゼントをもらった後、店に同額の商品と交換しに行く、ということもよくあるようです。(特に、レイチェルはよくそれをやっている…笑)
このスフィンクス・キャットを1,000ドルで購入したレイチェルは、店で1,000ドルのものと交換できる権利をもらってもどうしろって言うの?みたいに言いたいようです。
a thousand regular cats を文字通り訳すと、「1,000匹の普通の猫、普通の猫1,000匹」というところでしょう。
猫1匹の相場がいくらぐらいかよく知らないのですが、まさか、1匹1ドル、ということもないと思います。
これは多分、レイチェルの誇張表現で、1,000匹とは言わないまでも、高級な猫を返品して、代わりに安い普通の猫を何十匹ももらっても、こっちは困っちゃうわよ、と言いたいのですね。
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2011年05月18日
それが唯一の取り柄なのに フレンズ5-21その2
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フィービーとラブラブのギャリーは、モニカに二人の進展具合を聞かれて、"I'm gonna ask Phoebe to move in with me." 「フィービーに俺と一緒に引っ越して欲しい(引っ越して同居して欲しい)って言うつもりなんだ」と答えます。
そんなビッグニュースを黙っていられないモニカは、早速フィービーに知らせるのですが、当人のフィービーは「まだ早すぎる、心の準備ができてない」と言って、それに乗り気ではない様子。
そこでフィービーは、コミットメント恐怖症(異性と深く真剣な付き合いをすることに恐怖を感じること)のチャンドラーに話をしてもらって、同じような恐怖心を植え付けてもらおうとします。
ですが、ギャリーと話したチャンドラーは、ギャリーが真剣にフィービーを愛していること、ずっと一緒にいたいと思っていることを痛感し、逆に同居を応援する考えに変わってしまいます。
[Scene: Central Perk, Phoebe is drinking coffee as Chandler enters.]
セントラルパーク。フィービーがコーヒーを飲んでいるところに、チャンドラーが入ってくる。
チャンドラー: Hi! (はーい!)
フィービー: Hmm, did you talk to Gary about the moving-in thing? (んー、(引っ越して)同居する件について、ギャリーに話してくれた?)
チャンドラー: Yes I did, and I think you should do it. (ああ、話したよ。で、フィービーは同居すべきだと思う。)
フィービー: What? (何ですって?)
チャンドラー: He's a great guy, y'know? And he loves you a lot. You are a very lucky lady. (ギャリーは最高の男だよ、だろ? そして君をとても愛している。フィービーはとってもラッキーな女性だよ。)
フィービー: You are useless! Freaking out about commitment is the one thing you can do! The one thing! And you can't even do that right! God! (あなたって役立たずね! コミットメント(異性と深く付き合うこと)にパニクるのが、あなたができるたった一つのことなのに[あなたの唯一の取り柄なのに]! たった一つの! そしてあなたはそれすら満足にできないのよ! なんてこと!)
チャンドラー: I'm sorry. (Pause) If he asked me, I'd move in with him. (ごめんよ。[間があって] もしギャリーが俺に頼んだのなら、俺なら彼と同居するのに。)
フィービー: Ohh!! God! (Gary enters and she sees him) Ooh! (To Chandler) Get out of here, good-for-nothing. (あー! もう! [ギャリーが入ってきて、フィービーは彼を見る] あー! [チャンドラーに] あっちに行って、この役立たず!)
チャンドラーを見たフィービーは、the moving-in thing について話してくれた?と尋ねています。
move は「動く」ですから、「引っ越す」という意味もあり、「move to+地名」だと「(地名)に引っ越す」という意味になります。
通常、move in は、「引っ越してくる、入居する」、move out だと、「引っ越して出ていく、転出する」ですね。
今回の場合は、ギャリーが最初に、move in with me 「俺と一緒に(引っ越して)入居する」という意味で使ったので、それ以降は、特に with me をつけなくても、「二人一緒にどこかに引っ越す」→「(今いる場所から引っ越して)同居する」という意味で、move in を使っています。
ですから、the moving-in thing だったら、「同居するって話、同居の件」を指すわけですね。
他に「同居する」という表現なら、live together もあります。
同居を思いとどまらせようとしたはずなのに、「ギャリーと話して、フィービーは同居すべきだと思った」とチャンドラーが言ったため、フィービーは驚きの声を上げています。
「ギャリーはすごくいい男で、君を愛してる。フィービーはラッキーだよ」と、普通なら「まあ!」と大喜びしそうなセリフをチャンドラーは言うのですが、それを聞いたフィービーは喜ぶどころか、チャンドラーを useless だと言ってののしります。
useless は、useful 「役に立つ、有用な」の反対語で、「役に立たない、無用な、使い物にならない」という意味。
You are useless! だと、「あなたは役に立たないわね、役立たずね!」とけなしていることになります。
freak out は「パニクる」という日本語が一番合いそうな感じ。
そのセリフを直訳すると、「コミットメントにパニクるのが、あなたができる一つの(唯一の)ことである」になるでしょう。
つまり、「あなたができるのはそれだけなのに、それが唯一の取り柄なのに」という感覚ですね。
And you can't even do that right! の、do 〜 right は、「〜を正しく・正確に・ちゃんと・望みどおりに行なう」という感覚。
フィービーのセリフは、「唯一できると言えるそのことを、あなたはちゃんとすることさえできないのよ」という感じで、唯一の取り柄なのに、それを失敗してくるなんて…みたいなものすごい非難のニュアンスが感じられます。
いつもなぜかジョーイには甘く、チャンドラーには厳しい、というのが、フィービーのキャラ設定ではありますが、それにしても「そこまで言うか!」的な、非常に批判的なセリフとなっているわけですね。
「たった一つの得意技なのに、あなたはそれすら満足にできないの!」という感覚で、期待して送り出したのに裏切られた、とでも言いたげな、フィービーの怒りが滲(にじ)み出ています。
そのものすごい怒りの表現が逆に、「普通の女の子なら喜びそうなことを、フィービーはこんなにもいやがっている」という事実を浮き彫りにしている感じもありますね。
この場面では、実はフィービーが一番「コミットメント恐怖症」に陥っている、ということを、やんわり示唆しているような気もします。
あまりにキャンキャン言われたので、とりあえず謝ったチャンドラーですが、その後、ぼそっとひとりごとのように、If he asked me, I'd move in with him. と言っています。
これは典型的な「仮定法」ですね。
現実には起こりえないことを仮定する時に使うものです。
「俺(チャンドラー)は男だし、もちろん恋人でもないので(笑)、ギャリーが俺に同居して欲しいと言うはずはないけれど、もし俺がギャリーにそう言われたんだったら、俺なら彼と同居するのに」みたいなことですね。
フィービーはそうやってむきになって拒むけど、ギャリーはいいやつだし、あんなに愛してくれてるんだから、俺なら断らないのにな、と言っているわけですね。
つまり、普通はそう思うだろうのに、フィービーのその絶対的な拒否のしかたは、俺には理解できないよ、と言いたいところなのでしょう。
そうこう話しているうちに、ギャリーが入ってきます。
Get out of here! 「ここから出て行って、あっちに行って!」と言うフィービーは、呼び掛け語として、good-for-nothing という言葉を使っています。
good for nothing は文字通り「何にとっても、何に対しても、グッドでない」ということなので、「何の役にも立たない」という意味になります。
それをハイフンで繋いで名詞にしたのが、good-for-nothing ですね。
(形容詞として使う場合でも、ハイフンで結ぶこともあります。)
ですから意味は、「何の役にも立たないもの、どうしようもないやつ、役立たず」ということになります。
つまり、意味としては、フィービーの最初の怒りの表現、You are useless. と同じようなことですが、 Get out of here, good-for-nothing. のように吐き捨てるように言うことで、さらに悪態をついた感覚がでている気がします。
nothing という全否定の強い言葉が入っているために、「全く、何の役にも立ちゃしない」的なニュアンスが余計に強く感じられる気がするのですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
good-for-nothing という1つの項目として、さらには、good の中の表現の1つとして、それぞれ語義が説明されています。
good-for-nothing [adjective]
a good-for-nothing person is lazy or has no skills (SYN: worthless)
good-for-nothing [noun] [countable]
つまり、「good-for-nothing な人というのは、怠惰な、またはスキル(技量)のない人。同義語:worthless 」
good for nothing : (informal) someone or something that is good for nothing is completely useless and worthless
つまり、「(インフォーマル) good for nothing な人や物は、全く役に立たなくて、価値がない」。
このように、語義説明にも、useless, worthless という言葉が使われているように、good-for-nothing は、You are useless. と同じような感覚で使われていることがわかります。
ギャリーはいいやつだから、フィービーは幸せ者だね、と応援するつもりで帰ってきたのに、「役立たず」と何度もののしられてしまったチャンドラーが何ともかわいそうですね。
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そんなビッグニュースを黙っていられないモニカは、早速フィービーに知らせるのですが、当人のフィービーは「まだ早すぎる、心の準備ができてない」と言って、それに乗り気ではない様子。
そこでフィービーは、コミットメント恐怖症(異性と深く真剣な付き合いをすることに恐怖を感じること)のチャンドラーに話をしてもらって、同じような恐怖心を植え付けてもらおうとします。
ですが、ギャリーと話したチャンドラーは、ギャリーが真剣にフィービーを愛していること、ずっと一緒にいたいと思っていることを痛感し、逆に同居を応援する考えに変わってしまいます。
[Scene: Central Perk, Phoebe is drinking coffee as Chandler enters.]
セントラルパーク。フィービーがコーヒーを飲んでいるところに、チャンドラーが入ってくる。
チャンドラー: Hi! (はーい!)
フィービー: Hmm, did you talk to Gary about the moving-in thing? (んー、(引っ越して)同居する件について、ギャリーに話してくれた?)
チャンドラー: Yes I did, and I think you should do it. (ああ、話したよ。で、フィービーは同居すべきだと思う。)
フィービー: What? (何ですって?)
チャンドラー: He's a great guy, y'know? And he loves you a lot. You are a very lucky lady. (ギャリーは最高の男だよ、だろ? そして君をとても愛している。フィービーはとってもラッキーな女性だよ。)
フィービー: You are useless! Freaking out about commitment is the one thing you can do! The one thing! And you can't even do that right! God! (あなたって役立たずね! コミットメント(異性と深く付き合うこと)にパニクるのが、あなたができるたった一つのことなのに[あなたの唯一の取り柄なのに]! たった一つの! そしてあなたはそれすら満足にできないのよ! なんてこと!)
チャンドラー: I'm sorry. (Pause) If he asked me, I'd move in with him. (ごめんよ。[間があって] もしギャリーが俺に頼んだのなら、俺なら彼と同居するのに。)
フィービー: Ohh!! God! (Gary enters and she sees him) Ooh! (To Chandler) Get out of here, good-for-nothing. (あー! もう! [ギャリーが入ってきて、フィービーは彼を見る] あー! [チャンドラーに] あっちに行って、この役立たず!)
チャンドラーを見たフィービーは、the moving-in thing について話してくれた?と尋ねています。
move は「動く」ですから、「引っ越す」という意味もあり、「move to+地名」だと「(地名)に引っ越す」という意味になります。
通常、move in は、「引っ越してくる、入居する」、move out だと、「引っ越して出ていく、転出する」ですね。
今回の場合は、ギャリーが最初に、move in with me 「俺と一緒に(引っ越して)入居する」という意味で使ったので、それ以降は、特に with me をつけなくても、「二人一緒にどこかに引っ越す」→「(今いる場所から引っ越して)同居する」という意味で、move in を使っています。
ですから、the moving-in thing だったら、「同居するって話、同居の件」を指すわけですね。
他に「同居する」という表現なら、live together もあります。
同居を思いとどまらせようとしたはずなのに、「ギャリーと話して、フィービーは同居すべきだと思った」とチャンドラーが言ったため、フィービーは驚きの声を上げています。
「ギャリーはすごくいい男で、君を愛してる。フィービーはラッキーだよ」と、普通なら「まあ!」と大喜びしそうなセリフをチャンドラーは言うのですが、それを聞いたフィービーは喜ぶどころか、チャンドラーを useless だと言ってののしります。
useless は、useful 「役に立つ、有用な」の反対語で、「役に立たない、無用な、使い物にならない」という意味。
You are useless! だと、「あなたは役に立たないわね、役立たずね!」とけなしていることになります。
freak out は「パニクる」という日本語が一番合いそうな感じ。
そのセリフを直訳すると、「コミットメントにパニクるのが、あなたができる一つの(唯一の)ことである」になるでしょう。
つまり、「あなたができるのはそれだけなのに、それが唯一の取り柄なのに」という感覚ですね。
And you can't even do that right! の、do 〜 right は、「〜を正しく・正確に・ちゃんと・望みどおりに行なう」という感覚。
フィービーのセリフは、「唯一できると言えるそのことを、あなたはちゃんとすることさえできないのよ」という感じで、唯一の取り柄なのに、それを失敗してくるなんて…みたいなものすごい非難のニュアンスが感じられます。
いつもなぜかジョーイには甘く、チャンドラーには厳しい、というのが、フィービーのキャラ設定ではありますが、それにしても「そこまで言うか!」的な、非常に批判的なセリフとなっているわけですね。
「たった一つの得意技なのに、あなたはそれすら満足にできないの!」という感覚で、期待して送り出したのに裏切られた、とでも言いたげな、フィービーの怒りが滲(にじ)み出ています。
そのものすごい怒りの表現が逆に、「普通の女の子なら喜びそうなことを、フィービーはこんなにもいやがっている」という事実を浮き彫りにしている感じもありますね。
この場面では、実はフィービーが一番「コミットメント恐怖症」に陥っている、ということを、やんわり示唆しているような気もします。
あまりにキャンキャン言われたので、とりあえず謝ったチャンドラーですが、その後、ぼそっとひとりごとのように、If he asked me, I'd move in with him. と言っています。
これは典型的な「仮定法」ですね。
現実には起こりえないことを仮定する時に使うものです。
「俺(チャンドラー)は男だし、もちろん恋人でもないので(笑)、ギャリーが俺に同居して欲しいと言うはずはないけれど、もし俺がギャリーにそう言われたんだったら、俺なら彼と同居するのに」みたいなことですね。
フィービーはそうやってむきになって拒むけど、ギャリーはいいやつだし、あんなに愛してくれてるんだから、俺なら断らないのにな、と言っているわけですね。
つまり、普通はそう思うだろうのに、フィービーのその絶対的な拒否のしかたは、俺には理解できないよ、と言いたいところなのでしょう。
そうこう話しているうちに、ギャリーが入ってきます。
Get out of here! 「ここから出て行って、あっちに行って!」と言うフィービーは、呼び掛け語として、good-for-nothing という言葉を使っています。
good for nothing は文字通り「何にとっても、何に対しても、グッドでない」ということなので、「何の役にも立たない」という意味になります。
それをハイフンで繋いで名詞にしたのが、good-for-nothing ですね。
(形容詞として使う場合でも、ハイフンで結ぶこともあります。)
ですから意味は、「何の役にも立たないもの、どうしようもないやつ、役立たず」ということになります。
つまり、意味としては、フィービーの最初の怒りの表現、You are useless. と同じようなことですが、 Get out of here, good-for-nothing. のように吐き捨てるように言うことで、さらに悪態をついた感覚がでている気がします。
nothing という全否定の強い言葉が入っているために、「全く、何の役にも立ちゃしない」的なニュアンスが余計に強く感じられる気がするのですね。
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good-for-nothing という1つの項目として、さらには、good の中の表現の1つとして、それぞれ語義が説明されています。
good-for-nothing [adjective]
a good-for-nothing person is lazy or has no skills (SYN: worthless)
good-for-nothing [noun] [countable]
つまり、「good-for-nothing な人というのは、怠惰な、またはスキル(技量)のない人。同義語:worthless 」
good for nothing : (informal) someone or something that is good for nothing is completely useless and worthless
つまり、「(インフォーマル) good for nothing な人や物は、全く役に立たなくて、価値がない」。
このように、語義説明にも、useless, worthless という言葉が使われているように、good-for-nothing は、You are useless. と同じような感覚で使われていることがわかります。
ギャリーはいいやつだから、フィービーは幸せ者だね、と応援するつもりで帰ってきたのに、「役立たず」と何度もののしられてしまったチャンドラーが何ともかわいそうですね。
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2011年05月16日
フラッフィーと呼べない猫 フレンズ5-21その1
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シーズン5 第21話
The One With the Ball (フィービーが同棲?)
原題は「ボールの話」
レイチェルは、「小さな頃からずっと欲しかったものを買ってきたの」と言って、毛のない猫(hairless cat)をロスとジョーイに見せます。
普通の猫とは全然違うその姿に、ロスとジョーイは驚いて、
ロス: What-what is it?! (何、何だ、それ?)
ジョーイ: What the hell is that? (一体、それは何なんだよ?)
レイチェル: It's a, it's a cat! (猫よ!)
ジョーイ: That is not a cat! (それは猫じゃない!)
レイチェル: Yes, it is! (いいえ、猫よ!)
ロス: Why is it inside out? (どうして、裏返し(裏表逆)になってるの?)
レイチェル: Excuse me! But this is a purebred, show-quality sphinx cat! (悪いけど、でもこれは、純血種の、ショーに出るほど質の高い、スフィンクス・キャットよ!)
ロス: How much did you pay for that? (それにいくら払ったの?)
レイチェル: Well, it was a little extravagant, but I got a pretty good deal. (そうねぇ、ちょっと高すぎる値段だったけど、でも、かなりいい買い物をしたわ。)
ロス: Yeah? How much? (そう? いくら?)
レイチェル: Thousand bucks. (1,000ドル。)
ロス: On a cat? (猫に?)
ジョーイ: It's not a cat! (猫じゃないって!)
レイチェル: All right. Listen, ball boys! My grandmother had one of these when I was a little girl and it was the sweetest thing! I mean it was so cute, it would sit in my lap and purr all day long, and I would drag a shoestring on the ground and he would chase it. (いいわ、聞いて、ボール・ボーイズ!私が小さかった頃、おばあさまがこういう猫を飼っていたの、そしてそれはすっごく素敵だったのよ! つまり、すっごく可愛くて、私の膝に座って、一日中、のどを鳴らしていたものだったわ。それから、私が地面に靴ひもを引きずると、その猫はそれを追いかけたものだったの。)
ロス: Free cats do that too, y'know. (ただの(無料の)猫もそういうことするよね。)
ジョーイ: It's not a cat! (猫じゃないって!)
レイチェル: Ugh! Look, you guys, I'm really excited about this, okay? I don't care what you think! I'm gonna set up a little litter box for Mrs. Whiskerson. (They both glare at her.) Well, what am I gonna call her? Fluffy? (あー! ねぇ、あなたたち、私は本当にこのことに興奮してるのよ、いい? あなたたちが思うことなんかどうでもいいわ! 私は、ミセス・ウィスカーソンのために、小さな砂のトイレを用意するつもりだから。[ロスとジョーイは二人とも、レイチェルをにらむ] じゃあ、この子を何て呼べばいいの? フラッフィー?)
体の表面に毛がないヘアレスキャットなので、ロスとジョーイは「それは何だ?」と驚いています。
「何、って…猫よ」と答えるレイチェルですが、ジョーイは「そんなの、猫じゃない!」と叫んでいます。
それに対するレイチェルの返事、Yes, it is! は、Yes, it is a cat! ということですね。
「猫ではない」という否定文を使ったジョーイに対して、肯定文を使って「猫である」と反論している形になります。
Yes, it is. と聞くと反射的に「はい、そうです」と訳してしまいそうになりますので注意したいところですね。
inside out は、「インサイドがアウトの状態になっている」みたいなことで、つまりは、「裏返しに、裏表(うらおもて)に(なっている)」という意味。
皮膚に毛が生えていなくて、生々しい肌になっているために、皮をはいだみたい、というか、中身をひっくり返したみたいに見える、という意味で、そう表現しているのですね。
purebred は「(動物が)純血の」。
「純血の」という意味では、pureblood, pureblooded という単語もありますが、purebred の bred は、breed 「育てる、繁殖させる」の過去分詞形。
純血の血統を保持するために、他の品種が混ざらないように繁殖させられた、ということでしょう。
show-quality は「ショーに出るようなクオリティーの」という感覚だと思います。
キャットショーに出場するような、珍しい、品質の高い猫なのよ、ということですね。
sphinx はいわゆる「(エジプトのギザにある)スフィンクス」のことですが、今回はこういう猫の品種名です。
Wikipedia 日本語版: スフィンクス (ネコ)
extravagant は、「浪費する、ぜいたくな」「高価な、(値段が)法外な」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
extravagant : spending a lot of money, especially on things that are not necessary or that you cannot afford.
つまり、「たくさんのお金を消費すること、特に、必要でないもの、または買うお金がない(とても手が出ない)ようなものに対して」。
deal は「取引」なので、good deal は「良い取引」→「良い買い物」になるでしょう。
ちなみに、a good deal (of) は「かなりたくさん(の)」という意味でも使われますね。
1,000ドル払ったと聞いて、ロスは、On a cat? と叫んでいます。
the cat ではなく、a cat になっているので、「たかが猫1匹に、1,000ドルも払ったのか?」という驚きのニュアンスが感じられます。
それに対してジョーイがまた、It's not a cat! 「猫じゃない!」と言っているのも面白いです。
「ロスは猫に大金をはたいた、って言うけど、それは猫じゃないったら!」みたいに、そのスフィンクスは絶対にネコじゃない、とまだ自説を曲げていないわけですね(笑)。
レイチェルが二人のことを、ball boys と呼んでいるのは、二人がずっとキャッチボールをしているため。
今回のエピソードタイトルは、The One With the Ball 「ボールの話」ですが、ロスとジョーイが全くボールを落とさずにキャッチボールをしていることに気付き、どこまで記録が伸ばせるかに挑戦する、というのが今回のプロットの一つになっているのですね。
レイチェルは、スフィンクスへの思い入れを語ります。
one of these は「こういうものの一つ」という感覚で、「こういう感じのスフィンクスキャットを1匹(飼っていた)」ということになります。
it would, I would, he would など、would が多用されていますが、これは、「…したものだった、よく…した」という「過去の習慣・反復動作などの回想」を表す would ですね。
「小さい頃、その猫とこういうことをしたものだったわ…」と懐かしく回想する感覚でしょう。
purr は「(猫などが)気持ちよさそうにゴロゴロとのどを鳴らす」。
ひざの上に座る、のどを鳴らす、ひもを追いかける、など、猫がよくすると思われる行動の表現が使われています。
free cat は「無料の猫」ということでしょう。
「自由な猫」と解釈すれば、「野良猫」のニュアンスも出るかもしれませんが、通常、「野良猫」だと、a stray cat (直訳は「迷った、はぐれた猫」)になりますね。
ロスは、1,000ドルも出したと聞いて、「のどを鳴らすとか、ひもを追いかけるとかなら、そんな高い猫を買わなくてもいいんじゃない。ただで手に入る猫でもそういうことはするよ」と言いたいのですね。
ただで手に入る、という意味ではもちろん「野良猫」も含まれるわけですが、人から猫をもらうとかも含まれると思いますし、1,000ドルの猫との対比として使われていることをはっきりさせるために、「ただの(無料の)猫」と訳してみました。
レイチェルの思い出話が、特に高級な猫ならではの話ではなく、どこにでもいる猫と同じような思い出だったので、そのように言ってみたわけですね。
そこにまた、「猫じゃないって!」とツッコミを入れてくるジョーイにも笑えます。
スフィンクスのことを猫だと言うと、必ずそう言いたくなるようですね。
今回のエピソードでは、この後も、ジョーイの "It's not a cat!" が何回も登場することになります。
ジョーイが注目してるのはそこだけ?みたいな面白さもありますね。
litter box は「猫のトイレ」。litter は猫のトイレに入れる砂のことですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
litter : CAT'S TOILET small grains of a dry substance that is put in a container that a cat uses as a toilet indoors (SYN: cat litter)
つまり、「猫のトイレ。猫が屋内のトイレとして使う箱に入れられた、乾燥した物質の小さな粒子。同義語:cat litter 」
Mrs. Whiskerson は、レイチェルがこの猫につけた名前。
「猫などのひげ」を whisker と言うので、それをもじった名前を付けたのですね。
日本語で言うと、「ひげ田夫人」(??)みたいな感じでしょうか。
「ミセス・ウィスカーソン」という名前には、ちょっと気取った響きが感じられるのでしょうね、たかが猫にそんなたいそうな名前をつけるのか、と言わんばかりの顔で、ロスとジョーイはレイチェルを見ます。
その非難めいた顔に対して、レイチェルは、「じゃあ、どういう名前にすればいいっての? Fluffy ってつけろとでも言うわけ?」みたいに返しています。
fluffy は「ふわふわした」という意味の形容詞なので、「フラッフィー」は猫にふさわしそうな名前ですが、今回の猫はヘアレス・キャット、つまり、毛がなくて「ふわふわではない」ので、そんな名前は似つかわしくないでしょ、とレイチェルは言いたいのですね。
フワフワ系の猫の名前は付けられないんだから、こんな名前にならざるを得ないじゃない、というところでしょう。
フレンズ1-5 で以下のセリフがありました。
レイチェルがコインランドリーに行くと聞いて、ロスは自分も行くつもりだと言うのですが、
レイチェル: Don't you have a laundry room in your building? (あなたのアパートのビルには、洗濯室(ランドリー・ルーム)があるんじゃないの?)
ロス: Yes, I do have a laundry room in my building, um, but there's a... rat problem. Apparently they're attracted to the dryer sheets, and they're goin' in fine, but they're comin' out all... fluffy. (あぁ、確かに僕のアパートには洗濯室があるよ。でも、ネズミの問題があってね。どうやら、ネズミは、乾燥機に入っている(柔軟剤)シートに引き寄せられるらしいんだ。それで、入った時はいいんだけど、出てくるとみんな、フワフワなんだ。)
自分のビルにも確かに洗濯室はあるけど…と言いながら、とっさに考えた言い訳だったために、最後にはネズミがフワフワになって出てくる…という、わかったようなわからないような話で終わってしまっているのがポイントですが、「柔軟剤の入った乾燥機から出てきたネズミは、柔軟剤のおかげでフワフワだ」という部分も面白いわけですね。
そういう「ふわふわネズミ」を想像すると、今回のスフィンクスはそういう「ふわふわ感」が全くない猫なので、そんな名前はふさわしくない、ということが納得できる気がします。
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シーズン5 第21話
The One With the Ball (フィービーが同棲?)
原題は「ボールの話」
レイチェルは、「小さな頃からずっと欲しかったものを買ってきたの」と言って、毛のない猫(hairless cat)をロスとジョーイに見せます。
普通の猫とは全然違うその姿に、ロスとジョーイは驚いて、
ロス: What-what is it?! (何、何だ、それ?)
ジョーイ: What the hell is that? (一体、それは何なんだよ?)
レイチェル: It's a, it's a cat! (猫よ!)
ジョーイ: That is not a cat! (それは猫じゃない!)
レイチェル: Yes, it is! (いいえ、猫よ!)
ロス: Why is it inside out? (どうして、裏返し(裏表逆)になってるの?)
レイチェル: Excuse me! But this is a purebred, show-quality sphinx cat! (悪いけど、でもこれは、純血種の、ショーに出るほど質の高い、スフィンクス・キャットよ!)
ロス: How much did you pay for that? (それにいくら払ったの?)
レイチェル: Well, it was a little extravagant, but I got a pretty good deal. (そうねぇ、ちょっと高すぎる値段だったけど、でも、かなりいい買い物をしたわ。)
ロス: Yeah? How much? (そう? いくら?)
レイチェル: Thousand bucks. (1,000ドル。)
ロス: On a cat? (猫に?)
ジョーイ: It's not a cat! (猫じゃないって!)
レイチェル: All right. Listen, ball boys! My grandmother had one of these when I was a little girl and it was the sweetest thing! I mean it was so cute, it would sit in my lap and purr all day long, and I would drag a shoestring on the ground and he would chase it. (いいわ、聞いて、ボール・ボーイズ!私が小さかった頃、おばあさまがこういう猫を飼っていたの、そしてそれはすっごく素敵だったのよ! つまり、すっごく可愛くて、私の膝に座って、一日中、のどを鳴らしていたものだったわ。それから、私が地面に靴ひもを引きずると、その猫はそれを追いかけたものだったの。)
ロス: Free cats do that too, y'know. (ただの(無料の)猫もそういうことするよね。)
ジョーイ: It's not a cat! (猫じゃないって!)
レイチェル: Ugh! Look, you guys, I'm really excited about this, okay? I don't care what you think! I'm gonna set up a little litter box for Mrs. Whiskerson. (They both glare at her.) Well, what am I gonna call her? Fluffy? (あー! ねぇ、あなたたち、私は本当にこのことに興奮してるのよ、いい? あなたたちが思うことなんかどうでもいいわ! 私は、ミセス・ウィスカーソンのために、小さな砂のトイレを用意するつもりだから。[ロスとジョーイは二人とも、レイチェルをにらむ] じゃあ、この子を何て呼べばいいの? フラッフィー?)
体の表面に毛がないヘアレスキャットなので、ロスとジョーイは「それは何だ?」と驚いています。
「何、って…猫よ」と答えるレイチェルですが、ジョーイは「そんなの、猫じゃない!」と叫んでいます。
それに対するレイチェルの返事、Yes, it is! は、Yes, it is a cat! ということですね。
「猫ではない」という否定文を使ったジョーイに対して、肯定文を使って「猫である」と反論している形になります。
Yes, it is. と聞くと反射的に「はい、そうです」と訳してしまいそうになりますので注意したいところですね。
inside out は、「インサイドがアウトの状態になっている」みたいなことで、つまりは、「裏返しに、裏表(うらおもて)に(なっている)」という意味。
皮膚に毛が生えていなくて、生々しい肌になっているために、皮をはいだみたい、というか、中身をひっくり返したみたいに見える、という意味で、そう表現しているのですね。
purebred は「(動物が)純血の」。
「純血の」という意味では、pureblood, pureblooded という単語もありますが、purebred の bred は、breed 「育てる、繁殖させる」の過去分詞形。
純血の血統を保持するために、他の品種が混ざらないように繁殖させられた、ということでしょう。
show-quality は「ショーに出るようなクオリティーの」という感覚だと思います。
キャットショーに出場するような、珍しい、品質の高い猫なのよ、ということですね。
sphinx はいわゆる「(エジプトのギザにある)スフィンクス」のことですが、今回はこういう猫の品種名です。
Wikipedia 日本語版: スフィンクス (ネコ)
extravagant は、「浪費する、ぜいたくな」「高価な、(値段が)法外な」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
extravagant : spending a lot of money, especially on things that are not necessary or that you cannot afford.
つまり、「たくさんのお金を消費すること、特に、必要でないもの、または買うお金がない(とても手が出ない)ようなものに対して」。
deal は「取引」なので、good deal は「良い取引」→「良い買い物」になるでしょう。
ちなみに、a good deal (of) は「かなりたくさん(の)」という意味でも使われますね。
1,000ドル払ったと聞いて、ロスは、On a cat? と叫んでいます。
the cat ではなく、a cat になっているので、「たかが猫1匹に、1,000ドルも払ったのか?」という驚きのニュアンスが感じられます。
それに対してジョーイがまた、It's not a cat! 「猫じゃない!」と言っているのも面白いです。
「ロスは猫に大金をはたいた、って言うけど、それは猫じゃないったら!」みたいに、そのスフィンクスは絶対にネコじゃない、とまだ自説を曲げていないわけですね(笑)。
レイチェルが二人のことを、ball boys と呼んでいるのは、二人がずっとキャッチボールをしているため。
今回のエピソードタイトルは、The One With the Ball 「ボールの話」ですが、ロスとジョーイが全くボールを落とさずにキャッチボールをしていることに気付き、どこまで記録が伸ばせるかに挑戦する、というのが今回のプロットの一つになっているのですね。
レイチェルは、スフィンクスへの思い入れを語ります。
one of these は「こういうものの一つ」という感覚で、「こういう感じのスフィンクスキャットを1匹(飼っていた)」ということになります。
it would, I would, he would など、would が多用されていますが、これは、「…したものだった、よく…した」という「過去の習慣・反復動作などの回想」を表す would ですね。
「小さい頃、その猫とこういうことをしたものだったわ…」と懐かしく回想する感覚でしょう。
purr は「(猫などが)気持ちよさそうにゴロゴロとのどを鳴らす」。
ひざの上に座る、のどを鳴らす、ひもを追いかける、など、猫がよくすると思われる行動の表現が使われています。
free cat は「無料の猫」ということでしょう。
「自由な猫」と解釈すれば、「野良猫」のニュアンスも出るかもしれませんが、通常、「野良猫」だと、a stray cat (直訳は「迷った、はぐれた猫」)になりますね。
ロスは、1,000ドルも出したと聞いて、「のどを鳴らすとか、ひもを追いかけるとかなら、そんな高い猫を買わなくてもいいんじゃない。ただで手に入る猫でもそういうことはするよ」と言いたいのですね。
ただで手に入る、という意味ではもちろん「野良猫」も含まれるわけですが、人から猫をもらうとかも含まれると思いますし、1,000ドルの猫との対比として使われていることをはっきりさせるために、「ただの(無料の)猫」と訳してみました。
レイチェルの思い出話が、特に高級な猫ならではの話ではなく、どこにでもいる猫と同じような思い出だったので、そのように言ってみたわけですね。
そこにまた、「猫じゃないって!」とツッコミを入れてくるジョーイにも笑えます。
スフィンクスのことを猫だと言うと、必ずそう言いたくなるようですね。
今回のエピソードでは、この後も、ジョーイの "It's not a cat!" が何回も登場することになります。
ジョーイが注目してるのはそこだけ?みたいな面白さもありますね。
litter box は「猫のトイレ」。litter は猫のトイレに入れる砂のことですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
litter : CAT'S TOILET small grains of a dry substance that is put in a container that a cat uses as a toilet indoors (SYN: cat litter)
つまり、「猫のトイレ。猫が屋内のトイレとして使う箱に入れられた、乾燥した物質の小さな粒子。同義語:cat litter 」
Mrs. Whiskerson は、レイチェルがこの猫につけた名前。
「猫などのひげ」を whisker と言うので、それをもじった名前を付けたのですね。
日本語で言うと、「ひげ田夫人」(??)みたいな感じでしょうか。
「ミセス・ウィスカーソン」という名前には、ちょっと気取った響きが感じられるのでしょうね、たかが猫にそんなたいそうな名前をつけるのか、と言わんばかりの顔で、ロスとジョーイはレイチェルを見ます。
その非難めいた顔に対して、レイチェルは、「じゃあ、どういう名前にすればいいっての? Fluffy ってつけろとでも言うわけ?」みたいに返しています。
fluffy は「ふわふわした」という意味の形容詞なので、「フラッフィー」は猫にふさわしそうな名前ですが、今回の猫はヘアレス・キャット、つまり、毛がなくて「ふわふわではない」ので、そんな名前は似つかわしくないでしょ、とレイチェルは言いたいのですね。
フワフワ系の猫の名前は付けられないんだから、こんな名前にならざるを得ないじゃない、というところでしょう。
フレンズ1-5 で以下のセリフがありました。
レイチェルがコインランドリーに行くと聞いて、ロスは自分も行くつもりだと言うのですが、
レイチェル: Don't you have a laundry room in your building? (あなたのアパートのビルには、洗濯室(ランドリー・ルーム)があるんじゃないの?)
ロス: Yes, I do have a laundry room in my building, um, but there's a... rat problem. Apparently they're attracted to the dryer sheets, and they're goin' in fine, but they're comin' out all... fluffy. (あぁ、確かに僕のアパートには洗濯室があるよ。でも、ネズミの問題があってね。どうやら、ネズミは、乾燥機に入っている(柔軟剤)シートに引き寄せられるらしいんだ。それで、入った時はいいんだけど、出てくるとみんな、フワフワなんだ。)
自分のビルにも確かに洗濯室はあるけど…と言いながら、とっさに考えた言い訳だったために、最後にはネズミがフワフワになって出てくる…という、わかったようなわからないような話で終わってしまっているのがポイントですが、「柔軟剤の入った乾燥機から出てきたネズミは、柔軟剤のおかげでフワフワだ」という部分も面白いわけですね。
そういう「ふわふわネズミ」を想像すると、今回のスフィンクスはそういう「ふわふわ感」が全くない猫なので、そんな名前はふさわしくない、ということが納得できる気がします。
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2011年05月13日
あまり道理にかなってるとは言えない フレンズ5-20その6
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警官ギャリーのパトカーに乗って、夜間パトロールに参加していたフレンズの男性陣ですが、銃声のような大きな音が聞こえた時、ジョーイはとっさにロスに自分の体をかぶせます。
実際にはそれは銃声ではなく、車のバックファイアーだったのですが、隣に座っていたチャンドラーは、「ジョーイは、ルームメイトの俺じゃなく、ロスの方を守った」と思い、それからずっとご機嫌斜めで、とうとうその不満をジョーイにぶつけてしまいます。
チャンドラー: Look, I'm very glad you saved Ross from the car backfire. But it could've been a bullet and you y'know, you didn't try to save me! (なぁ、ジョーイが車のバックファイアーからロスを救ったことは本当に嬉しいよ。でも、(バックファイアーじゃなくて)銃弾だったかもしれなかったんだ、で、ジョーイは俺を助けようとしなかった!)
ジョーイ: Ohh, you're upset because you think I chose Ross over you! No! I... knew... you could take care of yourself. Y'know? I mean, Ross, he need help. He's not "street" like us! (おぉ、俺がお前よりロスを選んだと思ってるから怒ってるんだな! 違うよ! 俺はわかってたんだ…お前は自分で自分の身を守れるってな。だろ? つまり、ロスは、彼は助けが必要なんだよ。ロスは俺たちみたいな「ストリート」(って感じ)じゃないからさ!)
チャンドラー: When it comes down to it, you would risk your life for Ross before you would for me. That's the bottom line. (結局のところ、お前は、俺を助けるより先にロスのために命を懸けるだろう。そこが大事なところなんだよ。)
ジョーイ: Well, no, not exactly! All right, look. I, I wasn't trying to save Ross. Okay? My sandwich was next to Ross. All right? I was, I was trying to save my sandwich. (うーん、違う、正確にはそうじゃないんだよ! いいか、俺はロスを助けようとしたんじゃないんだ。俺のサンドイッチがロスの隣にあったんだ。いいか? 俺は、俺はサンドイッチを救おうとしたんだよ。)
チャンドラー: From a bullet? ((救うって)銃弾から?)
ジョーイ: I know it doesn't make much sense. (それほど筋が通らないのはわかってるけど。)
チャンドラー: "Much" sense? (「それほど」だって?)
ジョーイ: Look, Chandler, it was instinct! Okay? I just went for it! (なぁ、チャンドラー、本能だったんだよ! いいか? ただそっちに(体が)向かっちゃったんだよ!)
チャンドラーは、「お前がロスを守ったことは良いことだから嬉しいけど…」と言いながら、 it could've been a bullet と言っています。
could have been は「…だった可能性がある、…だったかもしれない」。
実際には、車のバックファイアーだったわけだけど、銃弾だった可能性もあったんだ、ということで、銃弾だったかもしれないのに、その時、お前が身を挺して守ったのはロスだったじゃないか、俺を助けようとしなかったじゃないか、と言いたいのですね。
choose A over B は「BよりAのほうを選ぶ」。
over という単語に、「B よりも A の方が上に来る」感が出ていますね。
ジョーイは、チャンドラーなら自分のことは自分で面倒見られると思ったけど、ロスは助けが必要だと思った、と説明しています。
street の部分はギャング風のダミ声になっています。
「ロスは俺たちみたいに”ストリート”じゃないから」という言い方をしていますが、ストリート=いろんな人がいる物騒で乱暴なストリートにも対応できる、みたいな感じの意味で使っているようですね。
when it comes down to it について。
come down to は「結局〜になる、〜に帰着する、つまるところ…になる」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
come down to something [phrasal verb] :
if a difficult or confusing situation comes down to one thing, that thing is the most important or basic part of it
例) When it comes down to it (=used to say that you are referring to the most important or basic part of a situation), she doesn't really love him.
つまり、「もし、ある難しい、またはややこしい状況が1つのことに come down to しているのならば、そのことは、最も重要なまたは基礎的な部分である、ということ」。
例文では、when it comes down to it について、「状況の最も重要な、または基礎的な部分を言及しているということを言うために使われる」と説明されていて、例文そのものの訳は、「状況の一番重要な部分としては、彼女は彼をそんなに愛していないということだ」みたいな意味になるでしょうか。
何だかんだ言っても、「結局、一番重要な部分に話が帰結した場合は」みたいな感覚で、「結局、最終的に行き着く先は…」「最終的には…という結論に帰結するんじゃないか」みたいなニュアンスがあるように思います。
チャンドラーなら一人で大丈夫で、ロスは助けが必要、とかそういう問題じゃなくて、危険が迫った場合に、結局のところ、お前は俺じゃなくロスを助けるってことなんだろ、みたいな感じでしょう。
bottom line は「肝心なこと、かなめ、重要点」。
元々は、決算書の一番下の行を指す言葉で、そこには最終的な収支が記載されているために、それが「肝心なこと、重要点」という意味になったのですね。
チャンドラーがあんまり怒るので、ジョーイは「俺はロスを助けようとしたんじゃない」と言います。
そして、ロスの隣にあったサンドイッチを助けようとした、と言っていますね。
それを聞いて、From a bullet? と返すチャンドラーに笑えます。
銃声を聞いて、反射的にサンドイッチを守ろうとした、そのジョーイの行動が信じられない、「無生物」のサンドイッチを銃弾から守るって、どういうことだよ?みたいな感じですね。
「信じられない、ナンセンスな行動だ」と言いたそうなチャンドラーに対して、ジョーイは、I know it doesn't make much sense. と言っています。
make sense は「意味をなす、筋が通っている、道理にかなっている」という意味ですね。
not much 「それほど…ない」が使われているので、「銃弾からサンドイッチを守ろうとする行為は、それほど道理にかなっているとは言えない」みたいな意味になります。
それを聞いたチャンドラーは、"Much" sense? とあきれたように叫んでいます。
not much は「それほど…ない」なので、それはつまり「少しはある」ということも示唆しています。
ジョーイは、「まぁ、あんまり道理にかなってるとは言い切れないけどさぁ」みたいに言っているわけですが、「あんまり、それほど」なんてレベルではなくて、「全く、全然、道理にかなってないだろ!」とチャンドラーは言いたいわけです。
it doesn't make any sense か、it makes no sense なら「全然道理にかなっていない」という全否定となり、チャンドラーも納得したでしょうが、「少しは道理がある」かのように、much という言葉を使ったので、その much という言葉にあきれているわけですね。
instinct は「本能」。
go for it は「(目標に向かって)頑張ってやってみる」みたいな意味があり、Go for it! 「頑張れ!」という励ましの言葉でよく使われるフレーズです。
今回は、純粋に文字通りの意味で、「その方向に向かって行く」という感覚のようです。
そっちの方向に体が動いちゃった、みたいなことでしょうね。
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警官ギャリーのパトカーに乗って、夜間パトロールに参加していたフレンズの男性陣ですが、銃声のような大きな音が聞こえた時、ジョーイはとっさにロスに自分の体をかぶせます。
実際にはそれは銃声ではなく、車のバックファイアーだったのですが、隣に座っていたチャンドラーは、「ジョーイは、ルームメイトの俺じゃなく、ロスの方を守った」と思い、それからずっとご機嫌斜めで、とうとうその不満をジョーイにぶつけてしまいます。
チャンドラー: Look, I'm very glad you saved Ross from the car backfire. But it could've been a bullet and you y'know, you didn't try to save me! (なぁ、ジョーイが車のバックファイアーからロスを救ったことは本当に嬉しいよ。でも、(バックファイアーじゃなくて)銃弾だったかもしれなかったんだ、で、ジョーイは俺を助けようとしなかった!)
ジョーイ: Ohh, you're upset because you think I chose Ross over you! No! I... knew... you could take care of yourself. Y'know? I mean, Ross, he need help. He's not "street" like us! (おぉ、俺がお前よりロスを選んだと思ってるから怒ってるんだな! 違うよ! 俺はわかってたんだ…お前は自分で自分の身を守れるってな。だろ? つまり、ロスは、彼は助けが必要なんだよ。ロスは俺たちみたいな「ストリート」(って感じ)じゃないからさ!)
チャンドラー: When it comes down to it, you would risk your life for Ross before you would for me. That's the bottom line. (結局のところ、お前は、俺を助けるより先にロスのために命を懸けるだろう。そこが大事なところなんだよ。)
ジョーイ: Well, no, not exactly! All right, look. I, I wasn't trying to save Ross. Okay? My sandwich was next to Ross. All right? I was, I was trying to save my sandwich. (うーん、違う、正確にはそうじゃないんだよ! いいか、俺はロスを助けようとしたんじゃないんだ。俺のサンドイッチがロスの隣にあったんだ。いいか? 俺は、俺はサンドイッチを救おうとしたんだよ。)
チャンドラー: From a bullet? ((救うって)銃弾から?)
ジョーイ: I know it doesn't make much sense. (それほど筋が通らないのはわかってるけど。)
チャンドラー: "Much" sense? (「それほど」だって?)
ジョーイ: Look, Chandler, it was instinct! Okay? I just went for it! (なぁ、チャンドラー、本能だったんだよ! いいか? ただそっちに(体が)向かっちゃったんだよ!)
チャンドラーは、「お前がロスを守ったことは良いことだから嬉しいけど…」と言いながら、 it could've been a bullet と言っています。
could have been は「…だった可能性がある、…だったかもしれない」。
実際には、車のバックファイアーだったわけだけど、銃弾だった可能性もあったんだ、ということで、銃弾だったかもしれないのに、その時、お前が身を挺して守ったのはロスだったじゃないか、俺を助けようとしなかったじゃないか、と言いたいのですね。
choose A over B は「BよりAのほうを選ぶ」。
over という単語に、「B よりも A の方が上に来る」感が出ていますね。
ジョーイは、チャンドラーなら自分のことは自分で面倒見られると思ったけど、ロスは助けが必要だと思った、と説明しています。
street の部分はギャング風のダミ声になっています。
「ロスは俺たちみたいに”ストリート”じゃないから」という言い方をしていますが、ストリート=いろんな人がいる物騒で乱暴なストリートにも対応できる、みたいな感じの意味で使っているようですね。
when it comes down to it について。
come down to は「結局〜になる、〜に帰着する、つまるところ…になる」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
come down to something [phrasal verb] :
if a difficult or confusing situation comes down to one thing, that thing is the most important or basic part of it
例) When it comes down to it (=used to say that you are referring to the most important or basic part of a situation), she doesn't really love him.
つまり、「もし、ある難しい、またはややこしい状況が1つのことに come down to しているのならば、そのことは、最も重要なまたは基礎的な部分である、ということ」。
例文では、when it comes down to it について、「状況の最も重要な、または基礎的な部分を言及しているということを言うために使われる」と説明されていて、例文そのものの訳は、「状況の一番重要な部分としては、彼女は彼をそんなに愛していないということだ」みたいな意味になるでしょうか。
何だかんだ言っても、「結局、一番重要な部分に話が帰結した場合は」みたいな感覚で、「結局、最終的に行き着く先は…」「最終的には…という結論に帰結するんじゃないか」みたいなニュアンスがあるように思います。
チャンドラーなら一人で大丈夫で、ロスは助けが必要、とかそういう問題じゃなくて、危険が迫った場合に、結局のところ、お前は俺じゃなくロスを助けるってことなんだろ、みたいな感じでしょう。
bottom line は「肝心なこと、かなめ、重要点」。
元々は、決算書の一番下の行を指す言葉で、そこには最終的な収支が記載されているために、それが「肝心なこと、重要点」という意味になったのですね。
チャンドラーがあんまり怒るので、ジョーイは「俺はロスを助けようとしたんじゃない」と言います。
そして、ロスの隣にあったサンドイッチを助けようとした、と言っていますね。
それを聞いて、From a bullet? と返すチャンドラーに笑えます。
銃声を聞いて、反射的にサンドイッチを守ろうとした、そのジョーイの行動が信じられない、「無生物」のサンドイッチを銃弾から守るって、どういうことだよ?みたいな感じですね。
「信じられない、ナンセンスな行動だ」と言いたそうなチャンドラーに対して、ジョーイは、I know it doesn't make much sense. と言っています。
make sense は「意味をなす、筋が通っている、道理にかなっている」という意味ですね。
not much 「それほど…ない」が使われているので、「銃弾からサンドイッチを守ろうとする行為は、それほど道理にかなっているとは言えない」みたいな意味になります。
それを聞いたチャンドラーは、"Much" sense? とあきれたように叫んでいます。
not much は「それほど…ない」なので、それはつまり「少しはある」ということも示唆しています。
ジョーイは、「まぁ、あんまり道理にかなってるとは言い切れないけどさぁ」みたいに言っているわけですが、「あんまり、それほど」なんてレベルではなくて、「全く、全然、道理にかなってないだろ!」とチャンドラーは言いたいわけです。
it doesn't make any sense か、it makes no sense なら「全然道理にかなっていない」という全否定となり、チャンドラーも納得したでしょうが、「少しは道理がある」かのように、much という言葉を使ったので、その much という言葉にあきれているわけですね。
instinct は「本能」。
go for it は「(目標に向かって)頑張ってやってみる」みたいな意味があり、Go for it! 「頑張れ!」という励ましの言葉でよく使われるフレーズです。
今回は、純粋に文字通りの意味で、「その方向に向かって行く」という感覚のようです。
そっちの方向に体が動いちゃった、みたいなことでしょうね。
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2011年05月09日
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ロスの元妻エミリーからの留守電メッセージをロスに聞かせるかどうかでもめているモニカとレイチェル。モニカは、ロスが聞いてしまう前にメッセージを消そうと提案しますが、レイチェルは、「エミリーとよりを戻して欲しくはないけど、留守電を消す権利は私たちにはない」と主張します。
モニカ: No, look, she's obviously unstable, okay? I mean she's thinking about running out on her wedding day. (Rachel slowly turns and glares at her.) (Realizing what she just said.) Okay, fine! But I mean, look at the position she's putting him in. And what's he gonna do? Ross is gonna run over there on the wedding day and break up the marriage? I mean, who would do that? (Rachel again turns and glares at her in disgust.) Okay, fine, all right, but that's y'know, that was different! Although it did involve a lot of the same people. (だめよ、ねぇ、エミリーは明らかに不安定だわ、そうでしょ? つまり、エミリーは結婚式の日に逃げ出すことを考えているのよ。[レイチェルはゆっくり振り向いて、モニカをにらみつける] [モニカは自分がたった今言ったことに気付いて] いいわ、わかったわ! でもね、エミリーがロスをどんな立場に置こうとしているか見て。それでロスはどうするの? ロスはその結婚式の日にエミリーのところに走って行って、結婚式をぶち壊すことになるの? つまり、誰がそんなことをするって言うのよ。[レイチェルはまた顔を向け、不快そうにモニカをにらむ] いいわ、いいの、わかった、でも、あれは、ほら、あれは(事情が)違ったのよ! 実際、同じ人間がたくさん関わっていたけどね。)
レイチェル: Ugh! (あー!)
モニカ: Y'know what, this is obviously some twisted joke she's trying to play on him. (ねえ、これは明らかに、エミリーがロスにしかけようとしている、ひねくれた[ゆがんだ]ジョークよ。)
レイチェル: Okay, you are crazy. I'm sorry, but she sounded genuinely upset! I mean, listen! (She hits a button on the machine.) (ねえ、モニカはおかしいわ。ごめんなさい、でもエミリーの声は、本当に混乱している様子だったの。聞いて! [レイチェルは電話機のあるボタンを押す])
留守電(Answering Machine): Your messages have been erased. (あなたのメッセージは(たった今)消去されました。)
レイチェル: Noooooooo! (ノーーーーー!)
run out は「外に走り出る」ということですから、「飛び出して逃げる」みたいなニュアンスですね。
run out on somebody の形だと、「(人)を見捨てる」という意味になります。
今回のセリフも、run out on とはなっていますが、その on は、on+人、ではなく、on her wedding day で「自分の結婚式の日に」という意味ですね。
エミリーは心が不安定になっていて、明日の結婚式の日に逃げ出そうとしている、とモニカは言っています。
「結婚式の日に逃げ出す」というのは、レイチェルがフレンズ1-1 (Pilot)でやったことですから、「それって私に対するイヤミかしら?」みたいな意味で、レイチェルはモニカをにらんでいるわけですね。
look at the position she's putting him in を直訳すると、「エミリーがロスを置こうとしている立場、境遇を見て」みたいになるでしょう。
つまり、エミリーはロスをどういう状況に追い込もうとしてるかわかるでしょ?みたいな感じですね。
エミリーが明日の結婚式に乗り気でなく、まだロスに未練があると知ったら、ロスはどうするかしら?と言って、その後、ロスはエミリーの結婚式の場に行って、結婚を壊すことになるの?のように疑問調で語っています。
Who would do that? は「一体誰がそんなことをするっていうの?(そんなことする人はどこにもいないわ)」という修辞疑問文。
こんなもの誰が買うの? フレンズ5-20その1 で説明した、Who would buy this? と全く同じ、反語のニュアンスです。
I mean, who would do that? のように、I mean がついているのは、「エミリーの気持ちを知って、ロスが結婚式をぶち壊しに行く? つまり、そんなことをする人間がどこにいるの?(そんなことするわけないでしょ)って話よ」みたいな感じでしょう。
結婚式をぶち壊しに行くなんてこと、ロスがするはずない、だいたいそんな非常識なことをする人なんているわけないじゃない、みたいなことを言いたいわけですね。
ロスにエミリーの気持ちを伝えたところで、そこまで大胆なことをするとは思えない、だから、ロスを辛い立場や気持ちに追い込むだけにしかならない、と言いたいのでしょう。
「誰がそんな非常識なことするっていうのよ?」みたいな発言に対して、レイチェルはまたもやモニカをにらんでいます。
それは、フレンズ4-24 で、レイチェルが、ロスとエミリーの結婚式に行って、ロスを愛しているという自分の気持ちを伝えようとしたことがあったからですね。
結局、ロスに気持ちを伝えられなかったレイチェルでしたが、レイチェルの顔を見たことで、ロスはつい誓いの言葉で、エミリーの名前の代わりにレイチェルの名前を口に出してしまったのでした。
つまり、レイチェルが行ったことで「結婚式をぶち壊した」ような結果になってしまったわけなので、「それもまた、私のことを言ってるのかしら?」と、不満そうな顔でにらんでいるわけです。
また、レイチェルの機嫌を損ねる発言をしてしまったので、モニカは、あれとこれとは違うわ、という感じで、that was different と言っています。
involve は「(人)を巻き込む、関与させる」で、did はその動詞を強調しているので、Although it did involve a lot of the same people は、「たくさんの同じ人が確かに関連してたけどね」という意味になります。
別にレイチェルがやったことを持ち出してるわけでも、非難してるわけでもないわ、事情が違うもの、と否定しつつも、although で付け足す形で、「とは言っても、関係している人間、登場人物はかなりの部分同じだけどね」と言って、「まぁ、全くの無関係とも言い切れないほど、同じ人間が関与してるわけだけど。ロス、レイチェル、エミリーと役者は揃ってるけど」みたいに言いたいわけですね。
play a joke on someone は、「人にジョークをしかける」というようなことで、「人をからかう、人に悪ふざけをする」という意味。
some twisted joke she's trying to play on him は、元々、she's trying to play some twisted joke on him 「エミリーはロスにひねくれたジョークをしかけようとしている」という文章の目的語である、some twisted joke が前に出た形ですね。
ですから、「これは、エミリーがロスにしかけようとしているひねくれたジョークよ」という意味になります。
聞こえた順序でイメージしていくと、「これは明らかにひねくれたジョークよ、エミリーはそういうジョークをロスにしかけようとしてるんだわ」みたいに理解すると良いでしょう。
she sounded genuinely upset は、sound 「…に聞こえる」という動詞が使われているので、「彼女の電話の話しぶりはこういう感じだった、話し方を聞くとこういう印象を持った」というニュアンスになりますね。
音を聞いた印象では、という意味で sounded になっているわけで、これが見た目の印象を語るなら、look が使われることになります。
ネットスクリプトでは、generally となっていましたが、英語字幕と実際の音声は、genuinely でした。
genuinely は、「心から、純粋に、偽りのない」「正真正銘、本当に」という意味なので、モニカが言うように、ロスをだまそうというつもりで演技しているのではなくて、心から、本当に混乱している様子だった、そんな声に聞こえた、とエミリーを弁護していることになります。
実際にメッセージをもう一度聞いてみればわかるわ、という感じで、レイチェルは電話機のボタンを押すのですが、押した直後に聞こえてきたのは、エミリーのメッセージではなくて、「メッセージは消去されました」という留守電の声。
レイチェルは、留守電を聞くためのボタンを押したつもりが、消去ボタンを押してしまったということですね。
ト書きでも、She hits a button on the machine. と書かれています。a button 「(いくつかあるうちの)ある一つのボタン」であることを示す、不定冠詞の a が使われていることにも注目しましょう。
レイチェルが何かあるボタンを押したけど、それは消去ボタンだったんだ、ということがその後のセリフでわかる、という流れです。
Your messages have been erased. というのは留守電の決まり文句。
完了形+受動態の形になっていますね。
完了形はまさに「完了した」ニュアンスで、「たった今、メッセージが消去されました」という感覚になります。
たった今、消去されてしまったので、今はもう聞くことができません、という現在の状態をも示唆するために、「消した」という事実だけを伝える単純な過去形ではなく、現在とのつながりのある「現在完了形」が使われているわけですね。
「消しちゃだめだ」と主張していたにもかかわらず、うっかりボタンを押し間違えて大切なメッセージを消去してしまったので、レイチェルは Nooooo! と言っています。
これがいつものレイチェルの口癖の「ノー!」で、この少し前のシーンにあたる、お決まりの口癖が入れ替わる フレンズ5-20その4 で、モニカがレイチェルの真似をして Nooo! と言っていたのですが、そのシーンの最後で、本家本元が登場することになった、という面白さですね。
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ロスの元妻エミリーからの留守電メッセージをロスに聞かせるかどうかでもめているモニカとレイチェル。モニカは、ロスが聞いてしまう前にメッセージを消そうと提案しますが、レイチェルは、「エミリーとよりを戻して欲しくはないけど、留守電を消す権利は私たちにはない」と主張します。
モニカ: No, look, she's obviously unstable, okay? I mean she's thinking about running out on her wedding day. (Rachel slowly turns and glares at her.) (Realizing what she just said.) Okay, fine! But I mean, look at the position she's putting him in. And what's he gonna do? Ross is gonna run over there on the wedding day and break up the marriage? I mean, who would do that? (Rachel again turns and glares at her in disgust.) Okay, fine, all right, but that's y'know, that was different! Although it did involve a lot of the same people. (だめよ、ねぇ、エミリーは明らかに不安定だわ、そうでしょ? つまり、エミリーは結婚式の日に逃げ出すことを考えているのよ。[レイチェルはゆっくり振り向いて、モニカをにらみつける] [モニカは自分がたった今言ったことに気付いて] いいわ、わかったわ! でもね、エミリーがロスをどんな立場に置こうとしているか見て。それでロスはどうするの? ロスはその結婚式の日にエミリーのところに走って行って、結婚式をぶち壊すことになるの? つまり、誰がそんなことをするって言うのよ。[レイチェルはまた顔を向け、不快そうにモニカをにらむ] いいわ、いいの、わかった、でも、あれは、ほら、あれは(事情が)違ったのよ! 実際、同じ人間がたくさん関わっていたけどね。)
レイチェル: Ugh! (あー!)
モニカ: Y'know what, this is obviously some twisted joke she's trying to play on him. (ねえ、これは明らかに、エミリーがロスにしかけようとしている、ひねくれた[ゆがんだ]ジョークよ。)
レイチェル: Okay, you are crazy. I'm sorry, but she sounded genuinely upset! I mean, listen! (She hits a button on the machine.) (ねえ、モニカはおかしいわ。ごめんなさい、でもエミリーの声は、本当に混乱している様子だったの。聞いて! [レイチェルは電話機のあるボタンを押す])
留守電(Answering Machine): Your messages have been erased. (あなたのメッセージは(たった今)消去されました。)
レイチェル: Noooooooo! (ノーーーーー!)
run out は「外に走り出る」ということですから、「飛び出して逃げる」みたいなニュアンスですね。
run out on somebody の形だと、「(人)を見捨てる」という意味になります。
今回のセリフも、run out on とはなっていますが、その on は、on+人、ではなく、on her wedding day で「自分の結婚式の日に」という意味ですね。
エミリーは心が不安定になっていて、明日の結婚式の日に逃げ出そうとしている、とモニカは言っています。
「結婚式の日に逃げ出す」というのは、レイチェルがフレンズ1-1 (Pilot)でやったことですから、「それって私に対するイヤミかしら?」みたいな意味で、レイチェルはモニカをにらんでいるわけですね。
look at the position she's putting him in を直訳すると、「エミリーがロスを置こうとしている立場、境遇を見て」みたいになるでしょう。
つまり、エミリーはロスをどういう状況に追い込もうとしてるかわかるでしょ?みたいな感じですね。
エミリーが明日の結婚式に乗り気でなく、まだロスに未練があると知ったら、ロスはどうするかしら?と言って、その後、ロスはエミリーの結婚式の場に行って、結婚を壊すことになるの?のように疑問調で語っています。
Who would do that? は「一体誰がそんなことをするっていうの?(そんなことする人はどこにもいないわ)」という修辞疑問文。
こんなもの誰が買うの? フレンズ5-20その1 で説明した、Who would buy this? と全く同じ、反語のニュアンスです。
I mean, who would do that? のように、I mean がついているのは、「エミリーの気持ちを知って、ロスが結婚式をぶち壊しに行く? つまり、そんなことをする人間がどこにいるの?(そんなことするわけないでしょ)って話よ」みたいな感じでしょう。
結婚式をぶち壊しに行くなんてこと、ロスがするはずない、だいたいそんな非常識なことをする人なんているわけないじゃない、みたいなことを言いたいわけですね。
ロスにエミリーの気持ちを伝えたところで、そこまで大胆なことをするとは思えない、だから、ロスを辛い立場や気持ちに追い込むだけにしかならない、と言いたいのでしょう。
「誰がそんな非常識なことするっていうのよ?」みたいな発言に対して、レイチェルはまたもやモニカをにらんでいます。
それは、フレンズ4-24 で、レイチェルが、ロスとエミリーの結婚式に行って、ロスを愛しているという自分の気持ちを伝えようとしたことがあったからですね。
結局、ロスに気持ちを伝えられなかったレイチェルでしたが、レイチェルの顔を見たことで、ロスはつい誓いの言葉で、エミリーの名前の代わりにレイチェルの名前を口に出してしまったのでした。
つまり、レイチェルが行ったことで「結婚式をぶち壊した」ような結果になってしまったわけなので、「それもまた、私のことを言ってるのかしら?」と、不満そうな顔でにらんでいるわけです。
また、レイチェルの機嫌を損ねる発言をしてしまったので、モニカは、あれとこれとは違うわ、という感じで、that was different と言っています。
involve は「(人)を巻き込む、関与させる」で、did はその動詞を強調しているので、Although it did involve a lot of the same people は、「たくさんの同じ人が確かに関連してたけどね」という意味になります。
別にレイチェルがやったことを持ち出してるわけでも、非難してるわけでもないわ、事情が違うもの、と否定しつつも、although で付け足す形で、「とは言っても、関係している人間、登場人物はかなりの部分同じだけどね」と言って、「まぁ、全くの無関係とも言い切れないほど、同じ人間が関与してるわけだけど。ロス、レイチェル、エミリーと役者は揃ってるけど」みたいに言いたいわけですね。
play a joke on someone は、「人にジョークをしかける」というようなことで、「人をからかう、人に悪ふざけをする」という意味。
some twisted joke she's trying to play on him は、元々、she's trying to play some twisted joke on him 「エミリーはロスにひねくれたジョークをしかけようとしている」という文章の目的語である、some twisted joke が前に出た形ですね。
ですから、「これは、エミリーがロスにしかけようとしているひねくれたジョークよ」という意味になります。
聞こえた順序でイメージしていくと、「これは明らかにひねくれたジョークよ、エミリーはそういうジョークをロスにしかけようとしてるんだわ」みたいに理解すると良いでしょう。
she sounded genuinely upset は、sound 「…に聞こえる」という動詞が使われているので、「彼女の電話の話しぶりはこういう感じだった、話し方を聞くとこういう印象を持った」というニュアンスになりますね。
音を聞いた印象では、という意味で sounded になっているわけで、これが見た目の印象を語るなら、look が使われることになります。
ネットスクリプトでは、generally となっていましたが、英語字幕と実際の音声は、genuinely でした。
genuinely は、「心から、純粋に、偽りのない」「正真正銘、本当に」という意味なので、モニカが言うように、ロスをだまそうというつもりで演技しているのではなくて、心から、本当に混乱している様子だった、そんな声に聞こえた、とエミリーを弁護していることになります。
実際にメッセージをもう一度聞いてみればわかるわ、という感じで、レイチェルは電話機のボタンを押すのですが、押した直後に聞こえてきたのは、エミリーのメッセージではなくて、「メッセージは消去されました」という留守電の声。
レイチェルは、留守電を聞くためのボタンを押したつもりが、消去ボタンを押してしまったということですね。
ト書きでも、She hits a button on the machine. と書かれています。a button 「(いくつかあるうちの)ある一つのボタン」であることを示す、不定冠詞の a が使われていることにも注目しましょう。
レイチェルが何かあるボタンを押したけど、それは消去ボタンだったんだ、ということがその後のセリフでわかる、という流れです。
Your messages have been erased. というのは留守電の決まり文句。
完了形+受動態の形になっていますね。
完了形はまさに「完了した」ニュアンスで、「たった今、メッセージが消去されました」という感覚になります。
たった今、消去されてしまったので、今はもう聞くことができません、という現在の状態をも示唆するために、「消した」という事実だけを伝える単純な過去形ではなく、現在とのつながりのある「現在完了形」が使われているわけですね。
「消しちゃだめだ」と主張していたにもかかわらず、うっかりボタンを押し間違えて大切なメッセージを消去してしまったので、レイチェルは Nooooo! と言っています。
これがいつものレイチェルの口癖の「ノー!」で、この少し前のシーンにあたる、お決まりの口癖が入れ替わる フレンズ5-20その4 で、モニカがレイチェルの真似をして Nooo! と言っていたのですが、そのシーンの最後で、本家本元が登場することになった、という面白さですね。
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2011年05月06日
お決まりの口癖が入れ替わる フレンズ5-20その4
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ロスの部屋にブレンダー(ミキサー)を取りに来たレイチェルは、ロスの元妻エミリーがロスに電話をかけてきたのを偶然聞いてしまいます。「明日、私は他の人と結婚する予定だけれど、あなたとあんなに早く別れてしまったことは間違いだったんじゃないかと思ってるの」というメッセージが留守電に吹き込まれるのを茫然とした顔で聞いていたレイチェルは、そのメッセージをモニカにも聞かせます。
[Scene: Ross's apartment, Rachel is playing Emily's message to Monica.]
ロスのアパートメント。レイチェルはエミリーのメッセージをモニカに再生して(聞かせて)いる。
エミリー: (on answering machine) Are you thinking about me? No, of course you're not. But if you are, call me tonight. Okay, bye. ([留守電で] あなたは私のことを考えてる? いいえ、もちろん考えたりしてないわよね。でももし私のことを考えているなら、今夜電話して。それじゃあ。)
モニカ: (does Rachel's) Nooo! ([レイチェルのを真似て] ノーー!)
レイチェル: (does Monica's) I know! ([モニカのを真似て] そうでしょ!)
モニカ: Well, thank God you were here! I mean, we have to erase that! (そうね、あなたがここにいてくれて良かった! だって、私たちはそのメッセージを消さないといけないもの!)
レイチェル: What? We can't do that! (何ですって? そんなことできないわ!)
モニカ: We have to! What if Ross hears that and then calls her back and then they get back together? Is that what you want? Ross back with that controlling, neurotic, crazy Emily? The Emily that wouldn't let him see you? (そうしなくちゃいけないのよ! もしロスがそれを聞いて、それから彼女に電話をかけ直して、その後、二人がよりを戻したらどうするの? それがあなたの望みなの? ロスがあの支配的で、神経質で、クレイジーなエミリーとまた一緒になるのが(望みなの)? ロスをあなたと会わせようとしなかった、あのエミリーよ?)
レイチェル: Noo! Oh no! No! God, no! He should not get back together with her. I mean, I know that! You know that! Even Ross knows that! But that still doesn't give us the right to erase his message! (だめよ! あぁ、だめだめ! なんてこと、だめよ! ロスはエミリーとよりを戻すべきじゃないわ。だって、そんなこと私はわかってる! モニカもわかってる! ロスでさえ、そのことはわかってるわ! でも、それでもそのことが、彼のメッセージを消す権利を私たちに与えるわけじゃないのよ!)
エミリーのメッセージは、Are you thinking about me? の後、you're not や if you are のような省略形が使われていますね。これはもちろん、No, of course you're not thinking about me. But if you are thinking about me, call me tonight. ということになります。
セリフとして聞く場合には、are という be動詞だけを残すことで、その後の thinking about me が省略されていることはわかると思いますが、実際に自分がこういう言い回しを使う場合でも、このエミリーのセリフのように、thinking などを続けずに、be動詞で止めておくという感覚を使えるようになりたいところだと思います。こういうのが、自然な英語、なのですね。
明日他人と結婚するはずのエミリーが、ロスにまだ未練があるようなメッセージを送ってきたので、ロスの妹モニカも驚いています。
モニカは、Nooo! と言っていますが、そのト書きには、does Rachel's とあります。
直訳すると、「レイチェルのものをする、レイチェルのをする」みたいな感じになりますが、これは「レイチェルの口癖を真似る」というようなニュアンス。
その後の、does Monica's も、「モニカのをする」→「モニカの口癖を真似る」ということです。
勝ち誇ったように、I know! と叫ぶのは、モニカの典型的な口癖として有名ですが、レイチェルの Nooo! の言い方も、ファンの間ではよく知られているものです。
女性陣のNo!の違いの話 フレンズ3-2その32 では、No! や、I know! という口癖について詳しく触れています。
今回のやり取りでは、モニカとレイチェル、それぞれの口癖が逆転している、という面白さがあるわけですね。
このエピソードを英語で普通に見ていて、それに気付いた方は、かなりのフレンズファンだと言えるでしょう。
ネットスクリプトでは、ト書きできちんとそのことについて触れてくれているので、初見では気付かなかった人も「ああ、そう言われればそうだ!」とわかったかもしれません。
こうやって、ファン同士でその「お遊び」をシェアできるのも、人気番組の楽しみの一つですよね。
こんな風に、お決まりの口癖が入れ替わる、というパターンは、ある意味、ジョークの王道とも言えます。
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー Part 3」でも、ドクのための墓標が、自分の墓標に変わるかもしれないと知ったマーティが、
マーティ: Great Scott! (なんてこった!)
ドク: I know. This is heavy. (そうだな。これはヘビーだ。)
というやり取りがありました。
バック・トゥ・ザ・フューチャー3部作を通じて、ドクはびっくりした時にやたらと Great Scott! と叫び、マーティは大変なことが起こるとすぐに Heavy. という言葉を使っていたわけですが、完結編のパート3 で、お互い、相手の口癖を使って驚きを表現し合っている、という面白さです。
逆転していることに気付けるからこそ、笑えるわけですよね。
こういう「お決まり」「お約束」に関連したジョークは、シリーズものならではの楽しさでしょう。
Thank God! は「ありがたい。助かった」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
thank goodness/heavens/God : said to show that you are very glad about something
例) Thank goodness final exams are over.
for
例) Thank heavens for email!
つまり、「何かについて非常に嬉しいと思っていることを示す時に使われる」。
例文は、「最終試験が終わってくれて良かった!」「eメールがあって助かった!」
ロングマンの語義にも出ているように、God 以外にも、goodness や heavens も使われます。
goodness は good の名詞形で「善」という意味ですが、このような感嘆のニュアンスで God 「神」という言葉を使うのは好ましくない、という考え方があるために、よく似た goodness を God の婉曲語として使うわけですね。
Thank God! という言い回しはよく聞くのですが、アカデミックな辞書であるロングマンの例文では、God ではなく、goodness と heavens の方が使われています。God よりも、そちらの方を使っておく方が「無難」だということなのでしょうか?
レイチェルは、Thank God! を使って、「エミリーが電話してきた時、あなたがこの場所にいてくれて良かった」と言っています。
モニカはロスがそのメッセージを聞く前に消去すべきだと主張します。
「そんなことできないわ」というレイチェルに、モニカは、What if...? 「もし…したらどうするの?」を使って、メッセージを消さなかったら、どういう結果になると思う?と言っています。
What if... 以下の分では、and then というフレーズが2回出てきますが、これは、「こうして、それからその後こうなって、それからその後こうなったら、どうするの?」みたいに、次々に起こる事態を時系列でレイチェルに想像させている感覚ですね。
これを許すと、最終的にはこうなってしまうのよ、と説明している感覚です。
Is that what you want? を直訳すると、「それ(今言ったこと)があなたが望むことなの?」ということで、「それがあなたの望みなの? あなたはそんなことを望んでるの?」という決まり文句ですね。
「そんなこと、あなたが望んでるはずないわよね、そうでしょう?」みたいな気持ちが裏に込められています。
controlling は「人を支配するような」というニュアンスでしょう。
neurotic は「神経質な、神経過敏な」、さらには、crazy とまで言っていますね。
結婚式の頃までは、モニカはエミリーと仲が良かったのですが、その後、ロスが結婚式の誓いの言葉で、エミリーとレイチェルの名前を間違えてしまったために、エミリーは「もうレイチェルとは二度と会わないと約束して」などと言い始め、エミリーとフレンズたちとの関係がおかしくなってしまったのでしたね。
The Emily that wouldn't let him see you? について。
まず、wouldn't は「…しようとしなかった」という「拒絶」のニュアンス。
ロスをレイチェルを会わせようとしなかった、という感覚です。
that という関係代名詞で「レイチェルに会わせようとしなかったエミリー」という意味になっていますが、その Emily という固有名詞に the がついていますね。
エミリーというロスの元妻は、一人の人間として様々な面を持っているわけですが、その中でも特に、「レイチェルとの仲を勘ぐって、もう一生会わせないようにしようとした、”あの”エミリーよ」と限定したい感覚から、定冠詞の the がついているのでしょう。
あんなエミリーとロスが元の関係に戻ってもいいの?とモニカに問われ、レイチェルはそれを否定します。
get back together は「よりを戻す」。恋愛ドラマの頻出表現ですね。
I know that! You know that! Even Ross knows that! と that が続けて出てきますが、その that はすべて、その前の「ロスはエミリーとよりを戻すべきではないということ」を指しています。
私も、モニカも、当人のロスさえも、よりを戻すべきじゃないってことはわかってるわ、ということですね。
But that still doesn't give us the right to... は、「でも、それでも、そのことが私たちに…する権利を与えるわけではない」ということで、つまりは、「だからって、ロスへのメッセージをロス自身が聞く前に、他人の私たちが勝手に消してもいいってことにはならないわ」ということです。
レイチェルにしてみれば、「ロスがエミリーとよりを戻しちゃいけないけれど、このメッセージはやっぱり本人に聞かせるべきよ、彼にはそれを聞く権利があるんだから」というところですね。
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ロスの部屋にブレンダー(ミキサー)を取りに来たレイチェルは、ロスの元妻エミリーがロスに電話をかけてきたのを偶然聞いてしまいます。「明日、私は他の人と結婚する予定だけれど、あなたとあんなに早く別れてしまったことは間違いだったんじゃないかと思ってるの」というメッセージが留守電に吹き込まれるのを茫然とした顔で聞いていたレイチェルは、そのメッセージをモニカにも聞かせます。
[Scene: Ross's apartment, Rachel is playing Emily's message to Monica.]
ロスのアパートメント。レイチェルはエミリーのメッセージをモニカに再生して(聞かせて)いる。
エミリー: (on answering machine) Are you thinking about me? No, of course you're not. But if you are, call me tonight. Okay, bye. ([留守電で] あなたは私のことを考えてる? いいえ、もちろん考えたりしてないわよね。でももし私のことを考えているなら、今夜電話して。それじゃあ。)
モニカ: (does Rachel's) Nooo! ([レイチェルのを真似て] ノーー!)
レイチェル: (does Monica's) I know! ([モニカのを真似て] そうでしょ!)
モニカ: Well, thank God you were here! I mean, we have to erase that! (そうね、あなたがここにいてくれて良かった! だって、私たちはそのメッセージを消さないといけないもの!)
レイチェル: What? We can't do that! (何ですって? そんなことできないわ!)
モニカ: We have to! What if Ross hears that and then calls her back and then they get back together? Is that what you want? Ross back with that controlling, neurotic, crazy Emily? The Emily that wouldn't let him see you? (そうしなくちゃいけないのよ! もしロスがそれを聞いて、それから彼女に電話をかけ直して、その後、二人がよりを戻したらどうするの? それがあなたの望みなの? ロスがあの支配的で、神経質で、クレイジーなエミリーとまた一緒になるのが(望みなの)? ロスをあなたと会わせようとしなかった、あのエミリーよ?)
レイチェル: Noo! Oh no! No! God, no! He should not get back together with her. I mean, I know that! You know that! Even Ross knows that! But that still doesn't give us the right to erase his message! (だめよ! あぁ、だめだめ! なんてこと、だめよ! ロスはエミリーとよりを戻すべきじゃないわ。だって、そんなこと私はわかってる! モニカもわかってる! ロスでさえ、そのことはわかってるわ! でも、それでもそのことが、彼のメッセージを消す権利を私たちに与えるわけじゃないのよ!)
エミリーのメッセージは、Are you thinking about me? の後、you're not や if you are のような省略形が使われていますね。これはもちろん、No, of course you're not thinking about me. But if you are thinking about me, call me tonight. ということになります。
セリフとして聞く場合には、are という be動詞だけを残すことで、その後の thinking about me が省略されていることはわかると思いますが、実際に自分がこういう言い回しを使う場合でも、このエミリーのセリフのように、thinking などを続けずに、be動詞で止めておくという感覚を使えるようになりたいところだと思います。こういうのが、自然な英語、なのですね。
明日他人と結婚するはずのエミリーが、ロスにまだ未練があるようなメッセージを送ってきたので、ロスの妹モニカも驚いています。
モニカは、Nooo! と言っていますが、そのト書きには、does Rachel's とあります。
直訳すると、「レイチェルのものをする、レイチェルのをする」みたいな感じになりますが、これは「レイチェルの口癖を真似る」というようなニュアンス。
その後の、does Monica's も、「モニカのをする」→「モニカの口癖を真似る」ということです。
勝ち誇ったように、I know! と叫ぶのは、モニカの典型的な口癖として有名ですが、レイチェルの Nooo! の言い方も、ファンの間ではよく知られているものです。
女性陣のNo!の違いの話 フレンズ3-2その32 では、No! や、I know! という口癖について詳しく触れています。
今回のやり取りでは、モニカとレイチェル、それぞれの口癖が逆転している、という面白さがあるわけですね。
このエピソードを英語で普通に見ていて、それに気付いた方は、かなりのフレンズファンだと言えるでしょう。
ネットスクリプトでは、ト書きできちんとそのことについて触れてくれているので、初見では気付かなかった人も「ああ、そう言われればそうだ!」とわかったかもしれません。
こうやって、ファン同士でその「お遊び」をシェアできるのも、人気番組の楽しみの一つですよね。
こんな風に、お決まりの口癖が入れ替わる、というパターンは、ある意味、ジョークの王道とも言えます。
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー Part 3」でも、ドクのための墓標が、自分の墓標に変わるかもしれないと知ったマーティが、
マーティ: Great Scott! (なんてこった!)
ドク: I know. This is heavy. (そうだな。これはヘビーだ。)
というやり取りがありました。
バック・トゥ・ザ・フューチャー3部作を通じて、ドクはびっくりした時にやたらと Great Scott! と叫び、マーティは大変なことが起こるとすぐに Heavy. という言葉を使っていたわけですが、完結編のパート3 で、お互い、相手の口癖を使って驚きを表現し合っている、という面白さです。
逆転していることに気付けるからこそ、笑えるわけですよね。
こういう「お決まり」「お約束」に関連したジョークは、シリーズものならではの楽しさでしょう。
Thank God! は「ありがたい。助かった」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
thank goodness/heavens/God : said to show that you are very glad about something
例) Thank goodness final exams are over.
for
例) Thank heavens for email!
つまり、「何かについて非常に嬉しいと思っていることを示す時に使われる」。
例文は、「最終試験が終わってくれて良かった!」「eメールがあって助かった!」
ロングマンの語義にも出ているように、God 以外にも、goodness や heavens も使われます。
goodness は good の名詞形で「善」という意味ですが、このような感嘆のニュアンスで God 「神」という言葉を使うのは好ましくない、という考え方があるために、よく似た goodness を God の婉曲語として使うわけですね。
Thank God! という言い回しはよく聞くのですが、アカデミックな辞書であるロングマンの例文では、God ではなく、goodness と heavens の方が使われています。God よりも、そちらの方を使っておく方が「無難」だということなのでしょうか?
レイチェルは、Thank God! を使って、「エミリーが電話してきた時、あなたがこの場所にいてくれて良かった」と言っています。
モニカはロスがそのメッセージを聞く前に消去すべきだと主張します。
「そんなことできないわ」というレイチェルに、モニカは、What if...? 「もし…したらどうするの?」を使って、メッセージを消さなかったら、どういう結果になると思う?と言っています。
What if... 以下の分では、and then というフレーズが2回出てきますが、これは、「こうして、それからその後こうなって、それからその後こうなったら、どうするの?」みたいに、次々に起こる事態を時系列でレイチェルに想像させている感覚ですね。
これを許すと、最終的にはこうなってしまうのよ、と説明している感覚です。
Is that what you want? を直訳すると、「それ(今言ったこと)があなたが望むことなの?」ということで、「それがあなたの望みなの? あなたはそんなことを望んでるの?」という決まり文句ですね。
「そんなこと、あなたが望んでるはずないわよね、そうでしょう?」みたいな気持ちが裏に込められています。
controlling は「人を支配するような」というニュアンスでしょう。
neurotic は「神経質な、神経過敏な」、さらには、crazy とまで言っていますね。
結婚式の頃までは、モニカはエミリーと仲が良かったのですが、その後、ロスが結婚式の誓いの言葉で、エミリーとレイチェルの名前を間違えてしまったために、エミリーは「もうレイチェルとは二度と会わないと約束して」などと言い始め、エミリーとフレンズたちとの関係がおかしくなってしまったのでしたね。
The Emily that wouldn't let him see you? について。
まず、wouldn't は「…しようとしなかった」という「拒絶」のニュアンス。
ロスをレイチェルを会わせようとしなかった、という感覚です。
that という関係代名詞で「レイチェルに会わせようとしなかったエミリー」という意味になっていますが、その Emily という固有名詞に the がついていますね。
エミリーというロスの元妻は、一人の人間として様々な面を持っているわけですが、その中でも特に、「レイチェルとの仲を勘ぐって、もう一生会わせないようにしようとした、”あの”エミリーよ」と限定したい感覚から、定冠詞の the がついているのでしょう。
あんなエミリーとロスが元の関係に戻ってもいいの?とモニカに問われ、レイチェルはそれを否定します。
get back together は「よりを戻す」。恋愛ドラマの頻出表現ですね。
I know that! You know that! Even Ross knows that! と that が続けて出てきますが、その that はすべて、その前の「ロスはエミリーとよりを戻すべきではないということ」を指しています。
私も、モニカも、当人のロスさえも、よりを戻すべきじゃないってことはわかってるわ、ということですね。
But that still doesn't give us the right to... は、「でも、それでも、そのことが私たちに…する権利を与えるわけではない」ということで、つまりは、「だからって、ロスへのメッセージをロス自身が聞く前に、他人の私たちが勝手に消してもいいってことにはならないわ」ということです。
レイチェルにしてみれば、「ロスがエミリーとよりを戻しちゃいけないけれど、このメッセージはやっぱり本人に聞かせるべきよ、彼にはそれを聞く権利があるんだから」というところですね。
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2011年05月02日
ウチニ、デンワ フレンズ5-20その3
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前回の続きです。
まるで刑事ドラマに出てくるようなセリフを使うジョーイに対して、
ギャリー: It's a witness, not a perp. And no one talks like that. (目撃者であって、犯人じゃない。それに(警官は)誰もそんな風に話さないよ[そんな話し方はしないよ]。)
ロス: Yeah. No one talks like that. (そうだよ。誰もそんな風に話さないよ。)
ジョーイ: Oh, what, like you're Mr. Cop? (ほお、何だよ、まるで自分がミスター警官みたいに(警官ぶっちゃって)。)
ロス: Hey, I'm more cop than you two. (おい、俺は君ら二人よりは警官ぽいよ。)
チャンドラー: How do you figure that? (どうしてそう思うわけ?)
ロス: Hello! I'm in the front seat, okay? I'm Gary's partner. (もしもし! 僕は前の座席にいるんだよ、いいか? 僕はギャリーのパートナーさ。)
チャンドラー: Y'know, when you say "partner," it doesn't sound cop. It sounds gay. (ほら、ロスが「パートナー」って言うと、警官っぽく聞こえないな。ゲイっぽく聞こえるぞ。)
ロス: Umm, jealous! (He drops the cherry and it turns on.) (あー、嫉妬しちゃって! [ロスは(手に持っていた)チェリー(パトカーの屋根につけるパトライト)を落とし、スイッチが入ってしまう])
ギャリー: Hey, do you mind? We're undercover here. (おい、やめてくれよ! 俺たちは今、秘密捜査中なんだぞ。)
ロス: Oh, yeah. No problem. (Tries to turn it off.) (ああ、わかった。問題ないよ。[チェリーのスイッチを切ろうとする])
ギャリー: Ross! (ロス!)
ロス: Sorry! Sorry! Oh, (He sticks it under his shirt) there! (It's just there flashing through his shirt) Hey, Gary. Who am I? Phone home. (ごめん! ごめん! ああ、[ロスは自分のシャツの下にそれを入れる] ほら! [チェリーはロスのシャツ越しに点滅している] ほら、ギャリー。僕は誰でしょう? ウチニ、デンワ。)
(Gary just glares at him.)
ギャリーはただじっとロスをにらみつける。
[Time lapse, Ross has been demoted to the back seat with Joey and Chandler. He's not too happy about it.]
時間が経過。ロスはジョーイやチャンドラーと共に後部座席に格下げされてしまっている。ロスはあまりご機嫌ではない様子。
チャンドラー: Look at Officer Ross riding back here with the visitors. (お客さんと一緒にここの後ろに座ってるロス警官を見ろよ。)
ジョーイ: Yeah, what's up with that, Serpico? (あぁ、どうしたんだよ、セルピコ?)
警官のギャリーが「警官や刑事はそんな話し方はしないよ」と言った後、ロスも全く同じように、No one talks like that. と言っています。
警察関係者でもないのに、警察の実情をわかったかのような口のきき方をするので、「ほほぉ、まるで、自分がミスター・コップ(ミスター警官)のような言い方をするじゃないか」とジョーイは不満そうに言っています。
それに対してロスは、君ら二人に比べて、僕の方がより警官らしい、と言います。
動詞 figure は「…と思う、考える、判断する」なので、How do you figure that? を直訳すると、「どのようにして・どのような経緯で、そんな風に(ロスが他の二人より警官ぽいと)考えるのか?」ということになるでしょう。
どういう根拠で、どういう話の流れで、そういう結論が導き出せるんだ?みたいなことですね。
その質問を聞いて、ロスは、Hello! と言っていますが、これは、「ハッ、ロウ!」みたいな感じに発音されています。
相手が寝ぼけたようなことを言ったような場合に、「もしもし?!(頭ははっきりしてる?)」みたいなニュアンスで使われることが多いですね。
「こんな当たり前のことが、わかんないの?」みたいな感覚です。
僕がより警官ぽいのは、僕が前の座席に座っているからだ、とロスは説明しています。
後ろに座っているのは客みたいなもので、僕は彼とコンビだから横に座ってるのさ、みたいなことですね。
僕はギャリーの partner なんだよ、と得意げなロスにチャンドラーは、「ロスが partner って言うと、警官ぽく聞こえない。ゲイみたいに聞こえる」と言ってからかっています。
partner は「パートナー」で、いろんな場合のパートナーに使われる言葉ですが、ゲイのように同性のカップルの場合では特に、life partner 「人生の伴侶」などと言った形でよく使われます。
ロスの元妻キャロルがレズビアンであることから、ロスがその言葉を使うと、そっち系を想像しちゃうよ、そっち系の life partner みたいに聞こえちゃうよ、とからかっているのですね。
自分たちは後部座席だから、助手席の僕に嫉妬してるんだ、などと返すロスですが、ふとした拍子に手に持っていたパトライトを落っことし、そのスイッチを入れてしまいます。
このパトライトは通称 cherry と呼ばれている、という話は、この少し前のシーンで語られていますが、見た目が「赤くて丸い」ので、そんな名前がついているのでしょうね。
undercover は「潜入捜査、秘密捜査」という名詞もあり、また、「内密の、秘密捜査の」という形容詞もあります。
今回は、be undercover で、「秘密捜査中である」ということですね。
パトライトをつけずに、警察の車だとわからないように走行しているのに、車の中でそれを光らせたら、警察だってばれちゃうだろ、ということです。
ギャリーの Do you mind? について。
通常、Do/Would you mind doing...? の形は、「…してもらっても構いませんか?」という依頼文ですね。
mind (doing) に「…することをいやがる、迷惑がる」という意味があるので、「…することが迷惑ではありませんか?」→「迷惑でなければ…してもらえませんか?」というお願いになるわけです。
Do you mind if I...? だと、「私が…すると、いやだと思いますか?」ということから、「私が…しても構いませんか?」という意味になります。
Do you mind if I smoke? だと、「たばこを吸ってもいいですか? 吸っても構いませんか?」ということですね。
そのように、mind が「いやがる、いやだと思う」という意味であることを考えると、Do you mind? の文字通りの意味は、「いやだと思う? いやだと思わないなら、今やっていることをやめてもらえませんか?」というような意味になりそうな感じですが、今回のように、Do you mind! と強い調子で言った場合は、そのような「丁寧な依頼」のニュアンスは消え、「頼むからやめてくれよ」というイライラ感が出るようです。
研究社 新英和中辞典では、
Do you mind!=《口語》 [反語的に] やめてもらえないかな(やめてくれ)
例) Do you mind! We're studying. 「(図書館などで)(話などを)やめてもらいたいな。私たちは勉強中なんだ。」
と出ているのですが、通常は丁寧な依頼文で用いられる mind を使うことで、「反語的に」そういう怒りのニュアンスを出している、ということのようですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
do you mind! : used when you are annoyed at something that someone has done:
例) Do you mind! I just washed that floor!
つまり、「誰かが(たった今)したばかりのことに対して、いらだっているときに使われる」。
例文は、「やめてくれないかな! その床はたった今、掃除したばかりなんだ!」
この LAAD の例文は、Do you mind! の後に、「床を掃除したばかりだ」という言葉が続いていることから、相手が床を汚すこようなことをしている、ということが想像されますね。
こういう Do you mind のニュアンスは、単語を「文字」として見ている限りはピンと来ない部分もありますが、Do you mind! のように、mind に続く部分をあえて言わずに、さらに感嘆符をつけた感じでキツい調子で言うという「音」から、話者の苛立ちが感じられる気がします。
日本語の場合でも、猫なで声で「頼むから…」と言うのと、非難めいた調子で「頼むから!」と叫ぶのとの違いで、お願いしているのか、ほとんど命令に近いものになっているのかがわかりますよね。
ですから、辞書でも、その非難の気持ちを明確にするために、感嘆符をつけた形の Do you mind! として載っているということでしょう。
ロスも、誤ってスイッチを入れてしまって、まずいと思っているわけですから、Do you mind! だけで、ギャリーが何を非難し、何を求めているのかがわかる、つまり、潜入捜査中にライトをつけるな、今すぐ消せ、と言っていることがわかる、ということですね。
どこを触ったらスイッチがオフになるのかわからないロスは、自分のシャツの下にそのライトを押し込みます。
シャツ越しに、赤いライトが点滅した状態になっているのを見て、何かを思いついたらしいロスは、僕はだーれだ?と言った後、Phone home. と言っています。
これは、ロスの指さし仕草と、あの声で、日本人でも「あれ」だとわかった人は多いかもしれませんね。
日本でも大ヒットした、映画「E.T.」(原題:E.T: The Extra-Terrestrial)で、E.T. が何度も繰り返し言っていたセリフ、日本語訳では、「ウチニ デンワ」と訳されていたあの有名なセリフです。
一人地球に取り残された彼が、他の仲間と連絡を取るために無線機のようなものを作る際に、何度も出てきたセリフでした。
E.T. は、このシーンのロスのように(笑)、胸の部分が時々赤く光るんですよね。
いったんは死んだと思われた E.T. が、実はまだ生きていた!とわかるシーンでも、こんな風に胸が点滅していました。
こんな一発芸なら、日本人にもできそうな感じですが(笑)、元ネタを知っていれば、日本人でもネイティブと同じように笑えるという典型的な例だと思います。
そんなおふざけをするロスをにらんでいたギャリーですが、その後、画面がすぐに切り替わり、後部座席でふてくされているロスの顔が映ります。
チャンドラーが言うように、助手席のパートナーだったはずが、後ろのビジター席に座らされる羽目になってしまったわけですね。
ト書きの demote は「(人)を…に降格する、降職する、(人の)階級を落とす」。
promote 「昇進させる」の対義語です。
ジョーイは、ロスに対して、Serpico と呼び掛けていますが、これは、1973年の映画「セルピコ」(原題:Serpico)の主人公、フランク・セルピコの名前を言っているのですね。セルピコを演じていたのは、アル・パチーノ。
Wikipedia 日本語版: セルピコ
上のウィキペディアの説明にあるように、「ニューヨーク市警に蔓延する汚職や腐敗に立ち向かう警察官の実話に基づいた作品」のようです。
ロスはただ、おふざけが過ぎただけですが、それを、「警察権力に立ち向かおうとして、降格させられたのか。やはり、警察権力はお前一人の力ではどうにもならなかったようだな、セルピコ」みたいに言ってみせている、ということでしょうね。
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まるで刑事ドラマに出てくるようなセリフを使うジョーイに対して、
ギャリー: It's a witness, not a perp. And no one talks like that. (目撃者であって、犯人じゃない。それに(警官は)誰もそんな風に話さないよ[そんな話し方はしないよ]。)
ロス: Yeah. No one talks like that. (そうだよ。誰もそんな風に話さないよ。)
ジョーイ: Oh, what, like you're Mr. Cop? (ほお、何だよ、まるで自分がミスター警官みたいに(警官ぶっちゃって)。)
ロス: Hey, I'm more cop than you two. (おい、俺は君ら二人よりは警官ぽいよ。)
チャンドラー: How do you figure that? (どうしてそう思うわけ?)
ロス: Hello! I'm in the front seat, okay? I'm Gary's partner. (もしもし! 僕は前の座席にいるんだよ、いいか? 僕はギャリーのパートナーさ。)
チャンドラー: Y'know, when you say "partner," it doesn't sound cop. It sounds gay. (ほら、ロスが「パートナー」って言うと、警官っぽく聞こえないな。ゲイっぽく聞こえるぞ。)
ロス: Umm, jealous! (He drops the cherry and it turns on.) (あー、嫉妬しちゃって! [ロスは(手に持っていた)チェリー(パトカーの屋根につけるパトライト)を落とし、スイッチが入ってしまう])
ギャリー: Hey, do you mind? We're undercover here. (おい、やめてくれよ! 俺たちは今、秘密捜査中なんだぞ。)
ロス: Oh, yeah. No problem. (Tries to turn it off.) (ああ、わかった。問題ないよ。[チェリーのスイッチを切ろうとする])
ギャリー: Ross! (ロス!)
ロス: Sorry! Sorry! Oh, (He sticks it under his shirt) there! (It's just there flashing through his shirt) Hey, Gary. Who am I? Phone home. (ごめん! ごめん! ああ、[ロスは自分のシャツの下にそれを入れる] ほら! [チェリーはロスのシャツ越しに点滅している] ほら、ギャリー。僕は誰でしょう? ウチニ、デンワ。)
(Gary just glares at him.)
ギャリーはただじっとロスをにらみつける。
[Time lapse, Ross has been demoted to the back seat with Joey and Chandler. He's not too happy about it.]
時間が経過。ロスはジョーイやチャンドラーと共に後部座席に格下げされてしまっている。ロスはあまりご機嫌ではない様子。
チャンドラー: Look at Officer Ross riding back here with the visitors. (お客さんと一緒にここの後ろに座ってるロス警官を見ろよ。)
ジョーイ: Yeah, what's up with that, Serpico? (あぁ、どうしたんだよ、セルピコ?)
警官のギャリーが「警官や刑事はそんな話し方はしないよ」と言った後、ロスも全く同じように、No one talks like that. と言っています。
警察関係者でもないのに、警察の実情をわかったかのような口のきき方をするので、「ほほぉ、まるで、自分がミスター・コップ(ミスター警官)のような言い方をするじゃないか」とジョーイは不満そうに言っています。
それに対してロスは、君ら二人に比べて、僕の方がより警官らしい、と言います。
動詞 figure は「…と思う、考える、判断する」なので、How do you figure that? を直訳すると、「どのようにして・どのような経緯で、そんな風に(ロスが他の二人より警官ぽいと)考えるのか?」ということになるでしょう。
どういう根拠で、どういう話の流れで、そういう結論が導き出せるんだ?みたいなことですね。
その質問を聞いて、ロスは、Hello! と言っていますが、これは、「ハッ、ロウ!」みたいな感じに発音されています。
相手が寝ぼけたようなことを言ったような場合に、「もしもし?!(頭ははっきりしてる?)」みたいなニュアンスで使われることが多いですね。
「こんな当たり前のことが、わかんないの?」みたいな感覚です。
僕がより警官ぽいのは、僕が前の座席に座っているからだ、とロスは説明しています。
後ろに座っているのは客みたいなもので、僕は彼とコンビだから横に座ってるのさ、みたいなことですね。
僕はギャリーの partner なんだよ、と得意げなロスにチャンドラーは、「ロスが partner って言うと、警官ぽく聞こえない。ゲイみたいに聞こえる」と言ってからかっています。
partner は「パートナー」で、いろんな場合のパートナーに使われる言葉ですが、ゲイのように同性のカップルの場合では特に、life partner 「人生の伴侶」などと言った形でよく使われます。
ロスの元妻キャロルがレズビアンであることから、ロスがその言葉を使うと、そっち系を想像しちゃうよ、そっち系の life partner みたいに聞こえちゃうよ、とからかっているのですね。
自分たちは後部座席だから、助手席の僕に嫉妬してるんだ、などと返すロスですが、ふとした拍子に手に持っていたパトライトを落っことし、そのスイッチを入れてしまいます。
このパトライトは通称 cherry と呼ばれている、という話は、この少し前のシーンで語られていますが、見た目が「赤くて丸い」ので、そんな名前がついているのでしょうね。
undercover は「潜入捜査、秘密捜査」という名詞もあり、また、「内密の、秘密捜査の」という形容詞もあります。
今回は、be undercover で、「秘密捜査中である」ということですね。
パトライトをつけずに、警察の車だとわからないように走行しているのに、車の中でそれを光らせたら、警察だってばれちゃうだろ、ということです。
ギャリーの Do you mind? について。
通常、Do/Would you mind doing...? の形は、「…してもらっても構いませんか?」という依頼文ですね。
mind (doing) に「…することをいやがる、迷惑がる」という意味があるので、「…することが迷惑ではありませんか?」→「迷惑でなければ…してもらえませんか?」というお願いになるわけです。
Do you mind if I...? だと、「私が…すると、いやだと思いますか?」ということから、「私が…しても構いませんか?」という意味になります。
Do you mind if I smoke? だと、「たばこを吸ってもいいですか? 吸っても構いませんか?」ということですね。
そのように、mind が「いやがる、いやだと思う」という意味であることを考えると、Do you mind? の文字通りの意味は、「いやだと思う? いやだと思わないなら、今やっていることをやめてもらえませんか?」というような意味になりそうな感じですが、今回のように、Do you mind! と強い調子で言った場合は、そのような「丁寧な依頼」のニュアンスは消え、「頼むからやめてくれよ」というイライラ感が出るようです。
研究社 新英和中辞典では、
Do you mind!=《口語》 [反語的に] やめてもらえないかな(やめてくれ)
例) Do you mind! We're studying. 「(図書館などで)(話などを)やめてもらいたいな。私たちは勉強中なんだ。」
と出ているのですが、通常は丁寧な依頼文で用いられる mind を使うことで、「反語的に」そういう怒りのニュアンスを出している、ということのようですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
do you mind! : used when you are annoyed at something that someone has done:
例) Do you mind! I just washed that floor!
つまり、「誰かが(たった今)したばかりのことに対して、いらだっているときに使われる」。
例文は、「やめてくれないかな! その床はたった今、掃除したばかりなんだ!」
この LAAD の例文は、Do you mind! の後に、「床を掃除したばかりだ」という言葉が続いていることから、相手が床を汚すこようなことをしている、ということが想像されますね。
こういう Do you mind のニュアンスは、単語を「文字」として見ている限りはピンと来ない部分もありますが、Do you mind! のように、mind に続く部分をあえて言わずに、さらに感嘆符をつけた感じでキツい調子で言うという「音」から、話者の苛立ちが感じられる気がします。
日本語の場合でも、猫なで声で「頼むから…」と言うのと、非難めいた調子で「頼むから!」と叫ぶのとの違いで、お願いしているのか、ほとんど命令に近いものになっているのかがわかりますよね。
ですから、辞書でも、その非難の気持ちを明確にするために、感嘆符をつけた形の Do you mind! として載っているということでしょう。
ロスも、誤ってスイッチを入れてしまって、まずいと思っているわけですから、Do you mind! だけで、ギャリーが何を非難し、何を求めているのかがわかる、つまり、潜入捜査中にライトをつけるな、今すぐ消せ、と言っていることがわかる、ということですね。
どこを触ったらスイッチがオフになるのかわからないロスは、自分のシャツの下にそのライトを押し込みます。
シャツ越しに、赤いライトが点滅した状態になっているのを見て、何かを思いついたらしいロスは、僕はだーれだ?と言った後、Phone home. と言っています。
これは、ロスの指さし仕草と、あの声で、日本人でも「あれ」だとわかった人は多いかもしれませんね。
日本でも大ヒットした、映画「E.T.」(原題:E.T: The Extra-Terrestrial)で、E.T. が何度も繰り返し言っていたセリフ、日本語訳では、「ウチニ デンワ」と訳されていたあの有名なセリフです。
一人地球に取り残された彼が、他の仲間と連絡を取るために無線機のようなものを作る際に、何度も出てきたセリフでした。
E.T. は、このシーンのロスのように(笑)、胸の部分が時々赤く光るんですよね。
いったんは死んだと思われた E.T. が、実はまだ生きていた!とわかるシーンでも、こんな風に胸が点滅していました。
こんな一発芸なら、日本人にもできそうな感じですが(笑)、元ネタを知っていれば、日本人でもネイティブと同じように笑えるという典型的な例だと思います。
そんなおふざけをするロスをにらんでいたギャリーですが、その後、画面がすぐに切り替わり、後部座席でふてくされているロスの顔が映ります。
チャンドラーが言うように、助手席のパートナーだったはずが、後ろのビジター席に座らされる羽目になってしまったわけですね。
ト書きの demote は「(人)を…に降格する、降職する、(人の)階級を落とす」。
promote 「昇進させる」の対義語です。
ジョーイは、ロスに対して、Serpico と呼び掛けていますが、これは、1973年の映画「セルピコ」(原題:Serpico)の主人公、フランク・セルピコの名前を言っているのですね。セルピコを演じていたのは、アル・パチーノ。
Wikipedia 日本語版: セルピコ
上のウィキペディアの説明にあるように、「ニューヨーク市警に蔓延する汚職や腐敗に立ち向かう警察官の実話に基づいた作品」のようです。
ロスはただ、おふざけが過ぎただけですが、それを、「警察権力に立ち向かおうとして、降格させられたのか。やはり、警察権力はお前一人の力ではどうにもならなかったようだな、セルピコ」みたいに言ってみせている、ということでしょうね。
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2011年04月28日
弁護士が来るまで話さない フレンズ5-20その2
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フィービーの彼氏は警官のギャリー。その二人がパトカーで一緒にパトロールしたという話を聞いて、フレンズの男性陣たちもパトカーに乗りたいと言い出します。
[Scene: The ride along.]
一緒に車に乗っているところ。
ロス: So where are we going next? (それで、次はどこに行く予定なの?)
ギャリー: This witness won't return my calls so we're gonna see if we can surprise him coming home. (ある目撃者が俺がした電話に返事をしてこないんだ。だから、家に帰ってくるそいつを驚かすことができるかな、って。)
チャンドラー: Sur-surprise him? We're not, we're not gonna make anybody mad, are we? (お、驚かすの? 俺たち、誰かを怒らせたりすることにはならないよ、ねぇ?)
ジョーイ: Come on, man! (To Gary) Listen, so uh, are you gonna squeeze the perp's shoes a little bit before he lawyers up? (おいおい! [ギャリーに] なぁ、それじゃあ、ギャリーは犯人の靴をちょっと締め上げるつもりなんだな、そいつが弁護士を要求する前に。)
ギャリー: It's a witness, not a perp. And no one talks like that. (目撃者であって、犯人じゃない。それに(警官は)誰もそんな風に話さないよ[そんな話し方はしないよ]。)
ト書きにある The ride along というのは、the がついていることから、「車に一緒に乗ること、乗っていくこと」という名詞ですね。今回のエピソードタイトルにも使われている言葉です。
ネットスクリプトではこのように、ride along と表記されているのですが、DVD英語字幕では、ride-along のようにハイフンで繋げた表記になっています。
ハイフンなしの ride along だと、句動詞のように見えるからでしょうね。make up を名詞として使う時に、makeup や、make-up という形にするのと同じ要領でしょう。
次はどこ?と聞くロスに、ギャリーは、折り返し電話をしてこない目撃者のところに行くと言います。
see if we can surprise him... は「俺たちが彼を驚かすことができるかどうか見てみよう」みたいな感覚。急に訪ねて、そいつをびっくりさせてやろうかな、みたいな感じですね。
俺も乗りたいと名乗りをあげたものの、今回のチャンドラーは何だかビビリ気味で、相手を怒らせたりしないよね、とビクビクしています。
そんな弱気なチャンドラーにあきれたようなジョーイがギャリーに向かって言ったセリフ、これは普段の会話ではあまり聞かないような表現で、なおかつラフでワイルドな感じでしゃべっているようにも聞こえます。
perp は perpetrator の略語で「犯人、犯罪者」。動詞 perpetrate は「(悪事を)犯す、しでかす」という意味になります。
ギャリーは、「犯人じゃなくて目撃者だぞ」と訂正した後、no one talks like that と言っています。
「誰もそんな風に話さない、そんなしゃべり方はしない」ということで、本当の刑事や警官はそんな言い方はしないよ、と言っていることになります。
そのギャリーの返答からも、ジョーイがテレビでよく見るような刑事ドラマ風の言葉を使ってしゃべっていたことがわかりますね。
ジョーイのセリフに戻りますが、squeeze the perp's shoes を直訳すると、「犯人の靴を締め上げる、締め付ける」みたいな感じでしょう。
英和や英英を見てみる限り、そういうイディオムは見当たらないのですが、なぜ「靴」なのかというと、人命にかかわるほど痛めつけたりはしないけれど、相手がいやがる程度にいたぶる、みたいなニュアンスがあるのかなぁ?と思ったりします。
before he lawyers up について。
このセリフを文字で見た時、あれ?と変な感じがしたのですが、皆さんはいかがでしょう?
lawyer はご存じ「弁護士」という名詞ですよね。そのイメージで見ると、he lawyers という名詞が2つ続いているように見えるところに「違和感がある」のです。
アメリカでは犯罪者が「弁護士が来るまで一言も話さないからな」みたいなことをよく言いますので、before he lawyers up が、「弁護士が出てくる前に」みたいな意味になりそうなことは何となく想像できます。
が、それならむしろ、before his lawyer's up (his lawyer is up) だったら、「彼の弁護士が現れる前に」となって、しっくりくるかなぁ、と思ったのですね。
つまり、his lawyer's up のタイポで、he lawyers up になっているのかと思ったら、ネットスクリプトだけではなく、DVD英語字幕も、he lawyers up と表記されていたのです。
実際に、DVDの音声も確認してみましたが、he の部分は最初の h の音が消えて、ヒーではなくイーみたいに聞こえますが、確かに「ヒズ」とは言っていません。
his という所有格であれば、語尾の -z の音は結構キツい音なので、ヒーではなくちゃんとヒズ(もしくは、h- の音が消失して、イズ)と聞こえるはずだと思うからです。
ということから、ここはやはり、he lawyers up が正しいと言えそうです。
すると、lawyers の -s は、「3単現」の -s で、he が主語、lawyer(s) が動詞(lawyer up で句動詞)と解釈できそうですね。
で、"lawyer up" という表現があるかどうかを調べてみたら、やはりありました。
オンラインスラング辞典の、Urban Dictionary : lawyer up では、以下の語義が一番わかりやすいと思いました。
lawyer up : to stop answering questions during a police interrogation and request a lawyer.
つまり、「警察の取り調べの間、質問に答えるのをやめ、弁護士を要求すること」。
まさに、「弁護士が来るまでしゃべらないからな」のニュアンスですね。
他にも、msn. encarta Dictionary : laywer up では、
lawyer up intransitive verb
Definition:
U.S. request lawyer: to ask to be represented by a lawyer, especially when being questioned by the police ( slang )
つまり、「(アメリカ英語) 弁護士を要求する:弁護士に代理人になってもらうように頼むこと、特に警察に質問・尋問されている時に。(スラング)」
「スラング」だと説明されていることからも、やはりジョーイは刑事物ドラマでよく使われているスラングを、面白がって得意げに真似たことがわかります。
弁護士を要求するというニュアンスで、laywer という名詞を動詞として使うことで、その筋の人っぽい、通で玄人っぽい雰囲気が醸し出されるみたいなことでしょうね。
無理に日本語にすると、「彼が弁護士る(べんごしる)前」みたいな感じになるでしょうか。
up がついて、句動詞(phrasal verb)の形になることで、より動詞っぽさが出るわけですが、この up のニュアンスを日本語に出すのがまた難しい…。
ちなみに、こういう「名詞の動詞化」を見ると、ブライトさんの「スタンバる」を思い出すのは私だけでしょうか?(笑)
(参考:「スタンバる」=「スタンバイする」の意。例) 「スタンバっておけ!」(=「スタンバイしておけ」の意味)
英語の場合は、同じ単語が名詞にも動詞にもなることが多いので、lawyer up という言葉もあまり違和感なく感じられる、ということですね。
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フィービーの彼氏は警官のギャリー。その二人がパトカーで一緒にパトロールしたという話を聞いて、フレンズの男性陣たちもパトカーに乗りたいと言い出します。
[Scene: The ride along.]
一緒に車に乗っているところ。
ロス: So where are we going next? (それで、次はどこに行く予定なの?)
ギャリー: This witness won't return my calls so we're gonna see if we can surprise him coming home. (ある目撃者が俺がした電話に返事をしてこないんだ。だから、家に帰ってくるそいつを驚かすことができるかな、って。)
チャンドラー: Sur-surprise him? We're not, we're not gonna make anybody mad, are we? (お、驚かすの? 俺たち、誰かを怒らせたりすることにはならないよ、ねぇ?)
ジョーイ: Come on, man! (To Gary) Listen, so uh, are you gonna squeeze the perp's shoes a little bit before he lawyers up? (おいおい! [ギャリーに] なぁ、それじゃあ、ギャリーは犯人の靴をちょっと締め上げるつもりなんだな、そいつが弁護士を要求する前に。)
ギャリー: It's a witness, not a perp. And no one talks like that. (目撃者であって、犯人じゃない。それに(警官は)誰もそんな風に話さないよ[そんな話し方はしないよ]。)
ト書きにある The ride along というのは、the がついていることから、「車に一緒に乗ること、乗っていくこと」という名詞ですね。今回のエピソードタイトルにも使われている言葉です。
ネットスクリプトではこのように、ride along と表記されているのですが、DVD英語字幕では、ride-along のようにハイフンで繋げた表記になっています。
ハイフンなしの ride along だと、句動詞のように見えるからでしょうね。make up を名詞として使う時に、makeup や、make-up という形にするのと同じ要領でしょう。
次はどこ?と聞くロスに、ギャリーは、折り返し電話をしてこない目撃者のところに行くと言います。
see if we can surprise him... は「俺たちが彼を驚かすことができるかどうか見てみよう」みたいな感覚。急に訪ねて、そいつをびっくりさせてやろうかな、みたいな感じですね。
俺も乗りたいと名乗りをあげたものの、今回のチャンドラーは何だかビビリ気味で、相手を怒らせたりしないよね、とビクビクしています。
そんな弱気なチャンドラーにあきれたようなジョーイがギャリーに向かって言ったセリフ、これは普段の会話ではあまり聞かないような表現で、なおかつラフでワイルドな感じでしゃべっているようにも聞こえます。
perp は perpetrator の略語で「犯人、犯罪者」。動詞 perpetrate は「(悪事を)犯す、しでかす」という意味になります。
ギャリーは、「犯人じゃなくて目撃者だぞ」と訂正した後、no one talks like that と言っています。
「誰もそんな風に話さない、そんなしゃべり方はしない」ということで、本当の刑事や警官はそんな言い方はしないよ、と言っていることになります。
そのギャリーの返答からも、ジョーイがテレビでよく見るような刑事ドラマ風の言葉を使ってしゃべっていたことがわかりますね。
ジョーイのセリフに戻りますが、squeeze the perp's shoes を直訳すると、「犯人の靴を締め上げる、締め付ける」みたいな感じでしょう。
英和や英英を見てみる限り、そういうイディオムは見当たらないのですが、なぜ「靴」なのかというと、人命にかかわるほど痛めつけたりはしないけれど、相手がいやがる程度にいたぶる、みたいなニュアンスがあるのかなぁ?と思ったりします。
before he lawyers up について。
このセリフを文字で見た時、あれ?と変な感じがしたのですが、皆さんはいかがでしょう?
lawyer はご存じ「弁護士」という名詞ですよね。そのイメージで見ると、he lawyers という名詞が2つ続いているように見えるところに「違和感がある」のです。
アメリカでは犯罪者が「弁護士が来るまで一言も話さないからな」みたいなことをよく言いますので、before he lawyers up が、「弁護士が出てくる前に」みたいな意味になりそうなことは何となく想像できます。
が、それならむしろ、before his lawyer's up (his lawyer is up) だったら、「彼の弁護士が現れる前に」となって、しっくりくるかなぁ、と思ったのですね。
つまり、his lawyer's up のタイポで、he lawyers up になっているのかと思ったら、ネットスクリプトだけではなく、DVD英語字幕も、he lawyers up と表記されていたのです。
実際に、DVDの音声も確認してみましたが、he の部分は最初の h の音が消えて、ヒーではなくイーみたいに聞こえますが、確かに「ヒズ」とは言っていません。
his という所有格であれば、語尾の -z の音は結構キツい音なので、ヒーではなくちゃんとヒズ(もしくは、h- の音が消失して、イズ)と聞こえるはずだと思うからです。
ということから、ここはやはり、he lawyers up が正しいと言えそうです。
すると、lawyers の -s は、「3単現」の -s で、he が主語、lawyer(s) が動詞(lawyer up で句動詞)と解釈できそうですね。
で、"lawyer up" という表現があるかどうかを調べてみたら、やはりありました。
オンラインスラング辞典の、Urban Dictionary : lawyer up では、以下の語義が一番わかりやすいと思いました。
lawyer up : to stop answering questions during a police interrogation and request a lawyer.
つまり、「警察の取り調べの間、質問に答えるのをやめ、弁護士を要求すること」。
まさに、「弁護士が来るまでしゃべらないからな」のニュアンスですね。
他にも、msn. encarta Dictionary : laywer up では、
lawyer up intransitive verb
Definition:
U.S. request lawyer: to ask to be represented by a lawyer, especially when being questioned by the police ( slang )
つまり、「(アメリカ英語) 弁護士を要求する:弁護士に代理人になってもらうように頼むこと、特に警察に質問・尋問されている時に。(スラング)」
「スラング」だと説明されていることからも、やはりジョーイは刑事物ドラマでよく使われているスラングを、面白がって得意げに真似たことがわかります。
弁護士を要求するというニュアンスで、laywer という名詞を動詞として使うことで、その筋の人っぽい、通で玄人っぽい雰囲気が醸し出されるみたいなことでしょうね。
無理に日本語にすると、「彼が弁護士る(べんごしる)前」みたいな感じになるでしょうか。
up がついて、句動詞(phrasal verb)の形になることで、より動詞っぽさが出るわけですが、この up のニュアンスを日本語に出すのがまた難しい…。
ちなみに、こういう「名詞の動詞化」を見ると、ブライトさんの「スタンバる」を思い出すのは私だけでしょうか?(笑)
(参考:「スタンバる」=「スタンバイする」の意。例) 「スタンバっておけ!」(=「スタンバイしておけ」の意味)
英語の場合は、同じ単語が名詞にも動詞にもなることが多いので、lawyer up という言葉もあまり違和感なく感じられる、ということですね。
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