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モニカを捜しに、自宅に戻って来たチャンドラーは、廊下でゴミを出しに行こうとしているジョーイに会います。
ジョーイは、「モニカはカバンを持って出て行った。両親のところに行った」とチャンドラーに告げます。チャンドラーは口を両手で押さえて、泣きそうな声で、
チャンドラー: I can't believe I ruined this. (俺が今回のことをダメにしたなんて信じられないよ。)
ジョーイ: I am so sorry, man. (ほんとに残念だな。)
(He walks dejectedly into his apartment to find it lit with about a thousand candles and Monica standing in the living room.)
チャンドラーが落胆してアパートメントに入ると、約1000個もの(たくさんの)キャンドルが灯っていること、モニカがリビングに立っているのに気づく。
モニカ: You wanted it to be a surprise. (あなたは驚かせたかったんでしょ。)
(He turns to look at Joey who smiles slyly and closes the door leaving them alone.)
チャンドラーは振り返ってジョーイを見る、ジョーイはいたずらっぽく微笑んで、彼ら二人だけを残してドアを閉める。
チャンドラー: Oh, my God. (なんてことだ。)
(Monica gets down on one knee.)
モニカが、片膝をつく(ひざまづく)。
モニカ: Chandler... In all my life... I never thought I would be so lucky... (Starting to cry) as to... fall in love with my best... my best.... There's a reason why girls don't do this! (チャンドラー… 私の今までの人生の中で…私がそんなにもラッキーだなんて思ったことなかった、[泣き出す] 恋に落ちるほどに(ラッキーだなんて)…私の一番の…一番の…。女の子がこれ(プロポーズ)をしないのには理由があるのよ!)
チャンドラー: Okay! (He joins her on one knee) Okay! Okay! I'll do it. I thought... (Starting to cry, pauses) Wait, I-I can do this. (Pause) I thought that it mattered what I said or where I said it. Then I realized the only thing that matters is that you, (Pause) you make me happier than I ever thought I could be. (Starting to cry again.) And if you let me, I will spend the rest of my life trying to make you feel the same way. (Pause as he gets out the ring.) Monica, will you marry me? (わかった! [チャンドラーは片膝をついて彼女に加わる] わかった、わかった! 俺がするよ。俺は思ってたんだ… [泣きそうになって、少しの間があって] ちょっと待って。俺はこれをちゃんとできるから。[間があって] 俺は、俺が言うこととか、俺がそれをどこで言うかとかが重要なんだと思ってた。そして気付いたんだ。重要なのはこのことだけだって、君が [間があって] 俺が可能だと思っていた幸せ以上に、君が俺を幸せにしてくれるってことがね。[また泣きそうになる] そして、もし君が俺にそうさせてくれるなら、君を俺と同じような気持ちにさせるように残りの人生を過ごすつもりだ。[間があって、チャンドラーは指輪を取り出す] モニカ、俺と結婚してくれる?)
モニカ: Yes. (はい。)
(The crowd goes wild as he puts the ring on her finger. They hug and kiss this time as an engaged couple.)
チャンドラーがモニカの指に指輪をはめた時、聴衆(観客)は熱狂する。二人はハグしてキスする、今回は婚約したカップルとして。
モニカ: I knew you were likely to take a wife! (あなたが妻を迎えるだろうって、私にはわかってたわ!)
(They hug again.)
二人はまたハグをする。
モニカが出て行ったとジョーイから聞いたチャンドラーは、泣きそうな顔をしています。
自分がくだらない計画を立てたせいで、すべてをめちゃくちゃにしてしまったなんて…と後悔していますが、自宅のドアを開けると、そこにはたくさんのキャンドルが灯っていて、出て行ったはずのモニカが立っていました。
You wanted it to be a surprise. は、あなたは、今回のプロポーズを a surprise 「驚き、驚くべきこと」にしたかったんでしょ、と言っている感覚になるでしょう。
あなたが驚かせようとして、いろいろお芝居をして嘘をついてたこと、私にはわかってるわ、と言っているわけですね。
モニカが出て行った、というのは嘘だったとわかったチャンドラーは、「ジョーイ、お前はこのことを知ってたんだな」と言うように、後ろのジョーイを振り返ります。
ト書きにある slyly は、この場合は「いたずらっぽく」という感覚ですね。
sly (発音はスライ)という形容詞は、「ずるい、悪賢い」という意味もありますが、「いたずらな、茶目っ気のある」という意味もあり、今回の場合はジョーイの表情を見てもわかる通り、いたずらっぽく茶目っ気たっぷりに微笑んだ、ということになります。
まだ状況が信じられないチャンドラーは、Oh, my God. としか言えませんが、その後のト書きにある、Monica gets down on one knee. の瞬間は、フレンズの中でも、感動的な名シーンだと言えるでしょう。
このシーンは何度見ても泣けてしまいますね。
アメリカのドラマや映画を見ていると、プロポーズのシーンでは、「男性が片膝をついて、指輪の箱を取り出して、Wiil you marry me? とプロポーズの言葉を述べる」のが、定番となっていますが、今回は驚きのあまり絶句しているチャンドラーに対して、女性であるモニカから、プロポーズの言葉を述べようとしていることが「片膝をつく」という仕草でわかるからです。
特にそれを、「結婚願望が強い、結婚に対する憧れが人一倍強い」モニカがそうやってプロポーズの言葉を言おうとした、ということに、ものすごい意味がある気がしますよね。
モニカとしては、男性から素敵な言葉でプロポーズして欲しい、それを一生の思い出にしたい、という思いが強かったでしょうが、もう二人はダメなのかも…と思った後に、それまでの理不尽な出来事が「モニカを驚かせたい、より感動させたい」というチャンドラーのお芝居だと知ったモニカは、「男性からプロポーズするのが決まり」とかそんなことはもうどうでもいい、と、世間体や決まりみたいなものを超越した次元で、自分の素直な気持ちを伝えようとしていることが、この仕草から伝わってくるように思いました。
モニカが泣きそうになりながら話しているセリフの、as to... の部分。
これは、so 〜 as to... 「…するほど〜である」の意味だと思います。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
so cold/heavy/quick etc. as to... or such an idiot/a disaster etc. as to... :
(formal) used to show the reason that makes something happen or not happen
例) The water was so cold as to make swimming impossible.
つまり、「何かが起こるようにする、または起こらないようにする理由を示す時に使われる」。
例文は、「水泳が不可能なほど、その水は冷たかった」。
ネットスクリプトでは、I would be so lucky. As to... のように2文に分けて書いてありましたが、DVDの英語字幕では、途切れ途切れに言っているこのモニカのセリフは、
...in all my life... I never thought I would be so lucky... as to fall in love with my best... my best...
のように、まるで1つの長い文であるかのように書かれています。
ちなみに、my best の後は、friend 「私の親友」が続くことも想像できますね。
そのことからも、I would be so lucky as to fall in love with my best (friend) 「親友と恋に落ちるほど[恋に落ちるという出来事が起こるほど]私がラッキー(な人間)だなんて(昔は思いもしなかった)」と言っているのだろうと思います。
There's a reason why girls don't do this! を直訳すると、「女の子がこれをしない理由が1つある」。
this とは、今モニカがやっている「プロポーズ(の言葉を述べること)」ですね。
つまり、モニカからプロポーズしようと言葉を言い始めるものの、泣いてしまってうまく話せない、女の子がプロポーズしようとすると、こんな風に泣いてしまって言えなくなるから、だから(一般的に)プロポーズは男性がすることになってるのよ!と言っている感覚になるでしょう。
泣いて続きが言えないモニカに、チャンドラーは、男らしく、Okay! I'll do it. 「わかった。俺が(プロポーズを)やるよ」と言います。
そう言うチャンドラーも、涙ぐんでしまいなかなか言葉が出てきませんが、モニカは、頑張って、と言うように、チャンドラーの手を握っていますね。
チャンドラーは、「(プロポーズの言葉で)何を言うか、(プロポーズの言葉を)どこで言うか、が大事だと思ってたけど」と言いながら、唯一大事なことはこれだって気付いたんだ、と言って、その後、you make me happier than I ever thought I could be と言います。
これは、happy の度合いを比較している文ですね。
自分がこれまでに思っていた、可能な限りの happy というものがあるとして、君は俺を、その思っていた可能な happy よりももっと happy にしてくれる、という意味になります。
君は、俺が自分で想像もできなかったほどの幸せな気持ちにしてくれるんだ、ということですね。
if you let me は、「もし君が俺に(そうすることを)許してくれるなら」。
「君を(俺と)同じような気持ちにしようとトライすることで、俺の残りの人生を過ごしたい」というのは、「俺の残りの人生をずっと、君を(君が思っている以上に)幸せにすることに努力しながら過ごしたい」という感覚ですね。
君が俺をこんなにも幸せにしてくれるから、君にも同じ気持ちになってもらえるように、残りの人生を頑張っていきたいんだ、ということになります。
感動的なセリフを述べた後、Will you marry me? と言って、指輪を差し出すチャンドラー。
モニカも素直に Yes. と答えます。
ト書きにあるように、まさに The crowd goes wild という感じの観客の熱狂ですね。
シーズン最後のエピソードのラストシーンですし、ここまで来るとほぼもう、言うのがわかっているセリフではあるのですが、やはり実際に二人がそう言い合っているのを聞くと、ファンとしては拍手喝采に口笛と、熱狂せざるを得ないでしょう。
I knew you were likely to take a wife! の be likely to は「〜しそうである」という意味ですね。
take a wife は「妻を迎える、妻を娶(めと)る」という感覚で、直訳すると、「あなたが妻を迎えそうだって[迎えるだろうって]私にはわかってたわ」ということですが、これは、チャンドラーがモニカを驚かせようと、ずっと「結婚制度に懐疑的な男」を演じていたことに対して言っているのですね。
「結婚のけの字も考えてないみたいに言ってたけど、私にはこうなるってわかってたわ」みたいな意味になります。
ちなみに、ト書きに as an engaged couple 「婚約したカップルとして」というフレーズが出てきましたが、婚約した(engaged)と言えば…レイチェル役のジェニファー・アニストンが婚約した、というニュースが1ヵ月ほど前にありましたね。
IMDb : Biography for Jennifer Aniston にも、
Became engaged to her boyfriend of 15 months Justin Theroux on his 41st birthday. [August 10, 2012]
つまり、「15カ月交際していた恋人のジャスティン・セローと、彼の41歳の誕生日に婚約した。(2012年8月10日)」ということです。
ジェニファーは1969年生まれで、私と同い年なんですよねぇ〜。
同い年の人間として、そして、フレンズ、レイチェルファンとして、ジェニファーの幸せを心から祈っています! どうかお幸せに!!
チャンドラーとモニカのプロポーズの直後、廊下で待っていたフレンズたち(ロスはいないのですが)がなだれ込んで来て、みんなで二人の婚約を祝うところでエンドクレジットになります。
エンドクレジットは、チャンドラーとモニカが静かにダンスをするシーンで終わります。
フレンズの各シーズンの最後は「次はどうなっちゃうの?!」というクリフハンガーで終わることが多いですが、シーズン6はクリフハンガーではなかった、ということになりますね。
次のシーズン7では、無事、婚約を果たしたチャンドラーとモニカの今後に注目です。
今回のエピソードの「チャンドラーがモニカにプロポーズする」というのは、フレンズ全シーズンの中でも、ビッグイベントであることは間違いないですね。
このブログを書いている私の中では、「チャンドラーとモニカが婚約するシーズン6のラストまで、このブログは続いているだろうか?」というのが常に頭のどこかにありました。
今回無事、シーズン6を終えることができて、とても嬉しく思っています。
今後、どこまで続けられるかはわかりませんが、読者の皆様と一緒に、フレンズの楽しさと面白さをもっともっとシェアしていけたら幸せです。
シーズン7以降も、どうかよろしくお願いします!
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2012年09月07日
2012年09月05日
赤い糸で結ばれている フレンズ6-25その5
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チャンドラーは、リチャードの家を訪れます。
そこにモニカの痕跡を感じ取って、モニカはどこだ?と問い詰めるチャンドラーに、「モニカはここに来ていたけれど、出て行った」と告げるリチャード。
チャンドラーは、リチャードに怒りをぶつけています。
チャンドラー: It was working till you showed up, you big tree! I mean, this isn't fair. You had your chance with her! You had your chance and you blew it! And this is my chance and I am not going to blow it because we are meant for each other! And this has all just been one stupid mistake! (Sits down heavily.) I was gonna propose tonight. (あんたが現れるまでは、うまくいってたんだよ、この巨木(ノッポ)め! だって、こんなのフェアじゃないよ。あんたはモニカとのチャンスがあったんだ! そのチャンスがあったのに、それをダメにした! そして、これは俺のチャンスなんだ、俺はこのチャンスを逃したりしない、だって俺たちは(お互いのために生まれてきた、赤い糸で結ばれた)最高のパートナーだからだ! ただ、ずっと、バカな間違いが一つあっただけなんだよ! [どっしりと座り込む] 今夜プロポーズする予定だったのに。)
リチャード: You were gonna propose? (Sits on the arm of the couch.) (君はプロポーズするつもりだったのか? [カウチの腕に座る])
チャンドラー: Yeah, I even (pause) got a ring. (Puts in on the center cushion.) Did you get a ring? (そうさ、俺は [間があって] 指輪を買いさえしたんだ[指輪だって買ったんだ]。[センタークッションの上に指輪を置いて] あんたは指輪を買ったか?)
リチャード: No, I don't have a ring! (Pause) You go get her, Chandler. (Pause) And can I give you a piece of advice? If you do get her, don't let her go. Trust me. (いや、僕は指輪は持ってない。[間があって] 彼女を掴まえに行け、チャンドラー。[間があって] そして、1つアドバイスをしてもいいか? 彼女を手に入れたら、彼女を行かせるな[彼女を離すな]。本当だぞ[僕を信じろ]。)
チャンドラー: Y'know, Richard... you are a good guy. (なぁ、リチャード…。あんたはいいやつだな。)
リチャード: I know. (Pause) I hate that! (知ってる[そうだな]。[間があって] それがいやなんだよ[いやになるよ]!)
(Chandler gets up and runs out, but as soon as the door closes behind him he opens it, runs back in, picks up his ring Richard is holding up for him, and runs back out.)
チャンドラーは立ち上がり、走って出て行くが、彼の後ろでドアが閉まるやいなや、チャンドラーはドアを開け、走って戻ってきて、リチャードがチャンドラーのために掲げている指輪を取って、また外に走って行く。
「あんたが現れる前はうまくいってたんだ!」とチャンドラーは言っています。
you big tree は、「この、big tree め」みたいな感じで、背が高くて大柄なリチャードのことを、そう言っているようですね。
少し前のシーンで、モニカがジョーイに、「私と結婚したがってる人もいるんだから。リチャードよ」と言った時に、ジョーイは、自分の頭より少し上の方に手を上げて、「リチャードって、あの背の高いリチャードのことか?」みたいな仕草もしていました(ちなみに、IMDb によると、リチャード役のトム・セレックの身長は、192cm だそうです)。
そして、「こんなのフェアじゃない。あんたはモニカとのチャンスがあったのに、それをダメにしたんだぞ」とも言っています。
blow は自動詞では「風が吹く」「息を吹く」「爆発する」などの意味があり、他動詞だと「〜を吹き飛ばす」「〜を爆破する」という意味がありますね。
そこから、目的語に chance が来た場合には、「(好機・チャンス)を逸する、棒に振る」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
blow : RUIN/LOSE OPPORTUNITY [transitive] (informal) to miss a good opportunity or ruin something, by making a mistake or by being careless
例) We've blown our chance of getting that contract.
つまり、「良い機会(好機)を逃すこと、または何かを台無しにすること、間違いを犯すことや注意不足であることによって」。
例文は、「その契約を取るチャンスを逃してしまった」。
リチャードはチャンスがあったのにそれを逃した、と言った後、「これは俺のチャンスで俺はそれを逃さない、なぜなら…」と続けています。
その理由として言った、we are meant for each other! について。
LAAD では、
be meant for somebody/something : to be intended for a particular person or purpose
例) a book meant for children
つまり、「ある人やある目的のために意図されていること」。例は、「子供向けの本」。
be meant for each other : if two people are meant for each other, they are very good partners for each other
例) Judith and Eric were meant for each other.
つまり、「2人の人間が be meant for each other ということは、その二人はお互いにとって、非常に良いパートナーである、ということ」。
例文は、「ジュディスとエリックは、良いパートナーである」。
Macmillan Dictionary では、
be meant for : if two people are meant for each other, they are suitable for each other as romantic partners
つまり、「2人の人間が be meant for each other ということは、ロマンティックな関係(恋愛関係)のパートナーとして、お互いにふさわしい(適している)ということ」。
mean が「意図する」という意味であることから、それを受動態にした、be meant for は「〜のために意図されている」というような意味になり、「〜のために作られている、〜のために生まれてきた」のような意味にもなるわけです。
そういう意味では、このチャンドラーのセリフは、「俺たち(俺とモニカ)は、お互いのために作られている、お互いのために生まれてきた」のような訳にすることも可能なようですが、
マーク・ピーターセンさんの 続・日本人の英語 (岩波新書) によると、そのような日本語訳ほど大袈裟なニュアンスではないようです。
「続 日本人の英語」の p.8 小指に結んだ赤い糸 という項目で、映画「雨に唄えば」の "You Were Meant For Me" という歌の日本語訳についてのお話をされています。
そのお話の中で、日本人の学生に、実験的に you were meant for me を和訳してもらったところ、
「君は僕のために生まれてきたんだ」
「あなたは私と出会うために現われた」
という訳になった、という話が出てきます。
その訳に対するピーターセンさんの見解は以下のようになっていました。
いずれも、実際問題として、日本の男性が真面目な顔をして言えるような台詞ではなさそうだが、英語の原文は、むしろあっさりした言い方で、和訳に比べたら、はるかに口にしやすい。
つまり、mean の意味を汲んで訳すと、「〜のために生まれてきた、〜と出会うために現われた」というような意味になるけれど、You are meant for me. や、We are meant for each other. というような言い回しそのものは、和訳の日本語から感じられるほどの大仰しさ(おおぎょうしさ)はなく、もっと普通の言い回しだということのようです。
映画「雨に唄えば」の(日本語の)字幕スーパーでは、
「ふたりは結ばれていた、小指を赤い糸で」
と訳されていたそうで、それに対して、ピーターセンさんも、
確かに、"meant for" は、前から縁があったという意味である。
とおっしゃっています。
だとすると、上のチャンドラーのセリフも、「俺たちはお互いのために作られている、生まれてきた」と訳すよりも、「俺たちは赤い糸で結ばれてるんだ」と訳す方がしっくりくる、とピーターセンさんならおっしゃるのかなぁ?と思ったりもします。
説明が長くなりましたが、be meant for の元々のニュアンスはやはり、「〜のために意図されている、作られている」という感覚ではあるけれども、We are meant for each other. のような決まり文句を訳す場合は、上のロングマンやマクミランの語義のように、「お互いにとって非常に良いパートナーである、ふさわしい・適している」のような感覚で訳せばそれで良いのであって、あまり大袈裟に訳すと「訳しすぎ」ということになる、ということかなと思いました。
ちなみに、過去記事、隠れた主語の神が前面に出てくる フレンズ3-16その13 でも、meant について、ピーターセンさんのご意見を参考にして、記事を書いていますので、興味のある方は併せてご覧下さい。
次の、this has all just been... について。
これは、has been という現在完了形になっていますが、シンプルな現在形にすると、This is one stupid mistake. になります。
これ、つまり、今回のことは、1つのバカな間違いだ、と言っているわけですが、それを現在完了形にして、「今回のことは(それが始まった時から今までずっと)すべてただ、1つのバカな間違いであっただけなんだ」と言っている感覚になるでしょう。
ちょっとしたバカな手違い、勘違いで、こんなことになっちゃってるだけなんだ、と言いたいのでしょうね。
チャンドラーは、I was gonna 「俺は〜する予定だった(のに)」を使って、今夜モニカにプロポーズする予定だったことをリチャードに告げます。
それまでは、「僕だってモニカを愛しているんだ」と、簡単には譲る気配のなかったリチャードですが、「今夜プロポーズするつもりだったのに」と言われて、やっと、チャンドラーの真剣さに気づいたようですね。
「俺は指輪を買った。あんたは指輪を買ったか?」とまで言われて、リチャードもようやく身を引く決心が出来たようです。
You go get her. は、Go and get her. または、Go to get her. という意味。
口語的に and や to が省略され、go get の形になり、さらに命令文を強調するニュアンスで、主語の You がついた形ですね。
Can I give you a piece of advice? は「僕が君に一つアドバイスをあげてもいいかな?」。
advice は不可算名詞(Uncountable)なので、一つのアドバイスは、an advice ではなく、a piece of advice になることも、ここで一緒に覚えておきましょう。
If you do get her, don't let her go. の do は、get を強調するニュアンス。
彼女をゲットしたら、掴まえたら、彼女を行かせるな、と言った後、Trust me. と言うのに泣けますね。
彼女を手に入れたのに、僕(リチャード)はそれを手離してしまった、僕はそのことをすごく後悔してるから、君もそうならないように気をつけろよ、彼女を絶対に離すなよ、と彼女に未練がある元カレらしいアドバイスをしているわけですね。
すごく後悔してる元カレの言うことだから、信じろ、絶対間違いないから、みたいな感覚が、Trust me. に出ているように思います。
チャンドラーの本気度を知って、身を引き、さらには激励するようなアドバイスもしたリチャード。
チャンドラーも、彼に対して怒っていたことは忘れ、素直に「あんた、いい人だね」と言っています。
これは、チャンドラーがリチャードの部屋に来た直後に言っていたセリフ、
チャンドラー: Oh, my God. I can't believe this. Y'know, I thought... I thought you were a good guy. (なんてこった。こんなの信じられないよ。俺は…俺はあんたはいい人だと思ってたのに。)
と対照的なセリフですね。
モニカに愛を告白して、モニカを悩ませる結果となった、あんたはいい人だと俺は思っていたのに、そんなことをするなんて…(あんたは何てひどい人間なんだ)、というのが、I thought と言った時の気持ちですね。
それがまたここで、「やっぱり、あんたはいい人だな」と、最初の頃の印象に戻ったということです。
リチャードの I know. I hate that! も面白いですね。
「君の言う通り、僕はいい人間で、それがいやなんだよ」という感覚。
チャンドラーがプロポーズすると聞いて、身を引いた自分のことを、「もっといやな人間になって、モニカを奪っても良かったのに、自分の人の良さがいやになるよ」みたいに自虐的に言っているのですね。
その後、チャンドラーは慌ててモニカを捜しに行きますが、ト書きにあるように、いったんドアが閉まった後、また戻ってきて、部屋の中ではリチャードが手を高く挙げて、指輪の箱を持っています。
モニカに今夜プロポーズするんだ!と決意表明をしたのに、肝心の指輪の箱を忘れて行った、というドジっぷりが、シリアスなシーンの後の笑いとなっていて、何だかフレンズらしくてホッとしますね。
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チャンドラーは、リチャードの家を訪れます。
そこにモニカの痕跡を感じ取って、モニカはどこだ?と問い詰めるチャンドラーに、「モニカはここに来ていたけれど、出て行った」と告げるリチャード。
チャンドラーは、リチャードに怒りをぶつけています。
チャンドラー: It was working till you showed up, you big tree! I mean, this isn't fair. You had your chance with her! You had your chance and you blew it! And this is my chance and I am not going to blow it because we are meant for each other! And this has all just been one stupid mistake! (Sits down heavily.) I was gonna propose tonight. (あんたが現れるまでは、うまくいってたんだよ、この巨木(ノッポ)め! だって、こんなのフェアじゃないよ。あんたはモニカとのチャンスがあったんだ! そのチャンスがあったのに、それをダメにした! そして、これは俺のチャンスなんだ、俺はこのチャンスを逃したりしない、だって俺たちは(お互いのために生まれてきた、赤い糸で結ばれた)最高のパートナーだからだ! ただ、ずっと、バカな間違いが一つあっただけなんだよ! [どっしりと座り込む] 今夜プロポーズする予定だったのに。)
リチャード: You were gonna propose? (Sits on the arm of the couch.) (君はプロポーズするつもりだったのか? [カウチの腕に座る])
チャンドラー: Yeah, I even (pause) got a ring. (Puts in on the center cushion.) Did you get a ring? (そうさ、俺は [間があって] 指輪を買いさえしたんだ[指輪だって買ったんだ]。[センタークッションの上に指輪を置いて] あんたは指輪を買ったか?)
リチャード: No, I don't have a ring! (Pause) You go get her, Chandler. (Pause) And can I give you a piece of advice? If you do get her, don't let her go. Trust me. (いや、僕は指輪は持ってない。[間があって] 彼女を掴まえに行け、チャンドラー。[間があって] そして、1つアドバイスをしてもいいか? 彼女を手に入れたら、彼女を行かせるな[彼女を離すな]。本当だぞ[僕を信じろ]。)
チャンドラー: Y'know, Richard... you are a good guy. (なぁ、リチャード…。あんたはいいやつだな。)
リチャード: I know. (Pause) I hate that! (知ってる[そうだな]。[間があって] それがいやなんだよ[いやになるよ]!)
(Chandler gets up and runs out, but as soon as the door closes behind him he opens it, runs back in, picks up his ring Richard is holding up for him, and runs back out.)
チャンドラーは立ち上がり、走って出て行くが、彼の後ろでドアが閉まるやいなや、チャンドラーはドアを開け、走って戻ってきて、リチャードがチャンドラーのために掲げている指輪を取って、また外に走って行く。
「あんたが現れる前はうまくいってたんだ!」とチャンドラーは言っています。
you big tree は、「この、big tree め」みたいな感じで、背が高くて大柄なリチャードのことを、そう言っているようですね。
少し前のシーンで、モニカがジョーイに、「私と結婚したがってる人もいるんだから。リチャードよ」と言った時に、ジョーイは、自分の頭より少し上の方に手を上げて、「リチャードって、あの背の高いリチャードのことか?」みたいな仕草もしていました(ちなみに、IMDb によると、リチャード役のトム・セレックの身長は、192cm だそうです)。
そして、「こんなのフェアじゃない。あんたはモニカとのチャンスがあったのに、それをダメにしたんだぞ」とも言っています。
blow は自動詞では「風が吹く」「息を吹く」「爆発する」などの意味があり、他動詞だと「〜を吹き飛ばす」「〜を爆破する」という意味がありますね。
そこから、目的語に chance が来た場合には、「(好機・チャンス)を逸する、棒に振る」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
blow : RUIN/LOSE OPPORTUNITY [transitive] (informal) to miss a good opportunity or ruin something, by making a mistake or by being careless
例) We've blown our chance of getting that contract.
つまり、「良い機会(好機)を逃すこと、または何かを台無しにすること、間違いを犯すことや注意不足であることによって」。
例文は、「その契約を取るチャンスを逃してしまった」。
リチャードはチャンスがあったのにそれを逃した、と言った後、「これは俺のチャンスで俺はそれを逃さない、なぜなら…」と続けています。
その理由として言った、we are meant for each other! について。
LAAD では、
be meant for somebody/something : to be intended for a particular person or purpose
例) a book meant for children
つまり、「ある人やある目的のために意図されていること」。例は、「子供向けの本」。
be meant for each other : if two people are meant for each other, they are very good partners for each other
例) Judith and Eric were meant for each other.
つまり、「2人の人間が be meant for each other ということは、その二人はお互いにとって、非常に良いパートナーである、ということ」。
例文は、「ジュディスとエリックは、良いパートナーである」。
Macmillan Dictionary では、
be meant for : if two people are meant for each other, they are suitable for each other as romantic partners
つまり、「2人の人間が be meant for each other ということは、ロマンティックな関係(恋愛関係)のパートナーとして、お互いにふさわしい(適している)ということ」。
mean が「意図する」という意味であることから、それを受動態にした、be meant for は「〜のために意図されている」というような意味になり、「〜のために作られている、〜のために生まれてきた」のような意味にもなるわけです。
そういう意味では、このチャンドラーのセリフは、「俺たち(俺とモニカ)は、お互いのために作られている、お互いのために生まれてきた」のような訳にすることも可能なようですが、
マーク・ピーターセンさんの 続・日本人の英語 (岩波新書) によると、そのような日本語訳ほど大袈裟なニュアンスではないようです。
「続 日本人の英語」の p.8 小指に結んだ赤い糸 という項目で、映画「雨に唄えば」の "You Were Meant For Me" という歌の日本語訳についてのお話をされています。
そのお話の中で、日本人の学生に、実験的に you were meant for me を和訳してもらったところ、
「君は僕のために生まれてきたんだ」
「あなたは私と出会うために現われた」
という訳になった、という話が出てきます。
その訳に対するピーターセンさんの見解は以下のようになっていました。
いずれも、実際問題として、日本の男性が真面目な顔をして言えるような台詞ではなさそうだが、英語の原文は、むしろあっさりした言い方で、和訳に比べたら、はるかに口にしやすい。
つまり、mean の意味を汲んで訳すと、「〜のために生まれてきた、〜と出会うために現われた」というような意味になるけれど、You are meant for me. や、We are meant for each other. というような言い回しそのものは、和訳の日本語から感じられるほどの大仰しさ(おおぎょうしさ)はなく、もっと普通の言い回しだということのようです。
映画「雨に唄えば」の(日本語の)字幕スーパーでは、
「ふたりは結ばれていた、小指を赤い糸で」
と訳されていたそうで、それに対して、ピーターセンさんも、
確かに、"meant for" は、前から縁があったという意味である。
とおっしゃっています。
だとすると、上のチャンドラーのセリフも、「俺たちはお互いのために作られている、生まれてきた」と訳すよりも、「俺たちは赤い糸で結ばれてるんだ」と訳す方がしっくりくる、とピーターセンさんならおっしゃるのかなぁ?と思ったりもします。
説明が長くなりましたが、be meant for の元々のニュアンスはやはり、「〜のために意図されている、作られている」という感覚ではあるけれども、We are meant for each other. のような決まり文句を訳す場合は、上のロングマンやマクミランの語義のように、「お互いにとって非常に良いパートナーである、ふさわしい・適している」のような感覚で訳せばそれで良いのであって、あまり大袈裟に訳すと「訳しすぎ」ということになる、ということかなと思いました。
ちなみに、過去記事、隠れた主語の神が前面に出てくる フレンズ3-16その13 でも、meant について、ピーターセンさんのご意見を参考にして、記事を書いていますので、興味のある方は併せてご覧下さい。
次の、this has all just been... について。
これは、has been という現在完了形になっていますが、シンプルな現在形にすると、This is one stupid mistake. になります。
これ、つまり、今回のことは、1つのバカな間違いだ、と言っているわけですが、それを現在完了形にして、「今回のことは(それが始まった時から今までずっと)すべてただ、1つのバカな間違いであっただけなんだ」と言っている感覚になるでしょう。
ちょっとしたバカな手違い、勘違いで、こんなことになっちゃってるだけなんだ、と言いたいのでしょうね。
チャンドラーは、I was gonna 「俺は〜する予定だった(のに)」を使って、今夜モニカにプロポーズする予定だったことをリチャードに告げます。
それまでは、「僕だってモニカを愛しているんだ」と、簡単には譲る気配のなかったリチャードですが、「今夜プロポーズするつもりだったのに」と言われて、やっと、チャンドラーの真剣さに気づいたようですね。
「俺は指輪を買った。あんたは指輪を買ったか?」とまで言われて、リチャードもようやく身を引く決心が出来たようです。
You go get her. は、Go and get her. または、Go to get her. という意味。
口語的に and や to が省略され、go get の形になり、さらに命令文を強調するニュアンスで、主語の You がついた形ですね。
Can I give you a piece of advice? は「僕が君に一つアドバイスをあげてもいいかな?」。
advice は不可算名詞(Uncountable)なので、一つのアドバイスは、an advice ではなく、a piece of advice になることも、ここで一緒に覚えておきましょう。
If you do get her, don't let her go. の do は、get を強調するニュアンス。
彼女をゲットしたら、掴まえたら、彼女を行かせるな、と言った後、Trust me. と言うのに泣けますね。
彼女を手に入れたのに、僕(リチャード)はそれを手離してしまった、僕はそのことをすごく後悔してるから、君もそうならないように気をつけろよ、彼女を絶対に離すなよ、と彼女に未練がある元カレらしいアドバイスをしているわけですね。
すごく後悔してる元カレの言うことだから、信じろ、絶対間違いないから、みたいな感覚が、Trust me. に出ているように思います。
チャンドラーの本気度を知って、身を引き、さらには激励するようなアドバイスもしたリチャード。
チャンドラーも、彼に対して怒っていたことは忘れ、素直に「あんた、いい人だね」と言っています。
これは、チャンドラーがリチャードの部屋に来た直後に言っていたセリフ、
チャンドラー: Oh, my God. I can't believe this. Y'know, I thought... I thought you were a good guy. (なんてこった。こんなの信じられないよ。俺は…俺はあんたはいい人だと思ってたのに。)
と対照的なセリフですね。
モニカに愛を告白して、モニカを悩ませる結果となった、あんたはいい人だと俺は思っていたのに、そんなことをするなんて…(あんたは何てひどい人間なんだ)、というのが、I thought と言った時の気持ちですね。
それがまたここで、「やっぱり、あんたはいい人だな」と、最初の頃の印象に戻ったということです。
リチャードの I know. I hate that! も面白いですね。
「君の言う通り、僕はいい人間で、それがいやなんだよ」という感覚。
チャンドラーがプロポーズすると聞いて、身を引いた自分のことを、「もっといやな人間になって、モニカを奪っても良かったのに、自分の人の良さがいやになるよ」みたいに自虐的に言っているのですね。
その後、チャンドラーは慌ててモニカを捜しに行きますが、ト書きにあるように、いったんドアが閉まった後、また戻ってきて、部屋の中ではリチャードが手を高く挙げて、指輪の箱を持っています。
モニカに今夜プロポーズするんだ!と決意表明をしたのに、肝心の指輪の箱を忘れて行った、というドジっぷりが、シリアスなシーンの後の笑いとなっていて、何だかフレンズらしくてホッとしますね。
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2012年09月03日
蹴られても解決にはならない フレンズ6-25その4
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リチャードがモニカに「結婚して欲しい」と言ったことをジョーイから聞いて、チャンドラーは激怒しています。
チャンドラー: He's not supposed to ask my girlfriend to marry him! I'm supposed to do that! (リチャードは俺の彼女に結婚してくれなんて言っちゃいけないことになってるんだ[言うべきじゃないんだ]! 俺がそれをすることになってるんだよ!)
ジョーイ: I know! (そうさ!)
チャンドラー: Well what-- Y'know what I'm gonna do? I'm gonna go over there and I'm gonna kick his ass! (Pause) Will you help me?! (うーん、俺がどうしたらいいかわかるか? 俺はこれからあそこ(リチャードの家)に行って、リチャードのケツを蹴り飛ばしてやる! [間があって] 俺を助けてくれるよな?)
ジョーイ: Look, Chandler, I don't think us getting our asses kicked is a solution. Okay? Look, just go and find Monica! (なぁ、チャンドラー、俺たちのケツが蹴られてもそれは解決にはならないと思うぞ。だろ? なぁ、とにかく出かけて、モニカを捜すんだ。)
チャンドラー: You're right. (お前が正しいよ。)
ジョーイ: Yeah! (そうだよ!)
チャンドラー: Okay. (Starts running for the bedroom) I'm gonna get the ring! I'm gonna get the ring! (Does so) I'm gonna go find her and (starts running for the door) I'm just going to propose! (よし。[寝室に走って行く] 指輪を取ってくる! 指輪を取ってくる! [チャンドラーはそうする(実際に指輪を取る)] 俺はこれから彼女を捜しに行って、それから [ドアの方に走って行く] ただプロポーズするんだ!)
ジョーイ: Okay. (よし!)
チャンドラー: Okay great. (よし、いいぞ。)
ジョーイ: Dude-dude-dude! (おい、おい、おい!)
チャンドラー: What?! (何だ?)
ジョーイ: Let me know about that coconut phone, it might be good for the boat. (さっきのココナッツ電話のことを俺に教えてくれよな。ボートで役立つかもしれないから。)
チャンドラーは、フレンズ頻出の be supposed to を使って、「リチャードは俺の彼女(モニカ)に結婚を申し込むべきじゃない、俺がそうするべきなんだ」と言っています。
そして、「俺はこれから彼の家に言って、彼のケツを蹴ってやる!」みたいに強気な発言をしていますね。
ですが、少しの沈黙の後、「俺を助けてくれる?」みたいに、すぐ弱気なことを言ってしまうのが、チャンドラーらしいです。
その次のジョーイのセリフですが、これがちょっと面白いですね。
I don't think us getting our asses kicked is a solution. の構造が少しわかりにくいかもしれませんが、構造を単純化すると、I don't think (something) is a solution. と言っていることになります。
something を仮に A とすると、A が解決(解決法、解決策)であるとは思えない、ということなので、A では(A をしたところで)何の解決にもならないぞ、と言っているわけです。
その A が、us getting our asses kicked になるのですが、これは getting... という動名詞で、動名詞の主語が、us という目的格になっているパターンですね。(これまで何度も出てきましたが、口語では、動名詞の主語が目的格になることが多いです)。
この動名詞を文の形にすると、We get our asses kicked. 「俺たちは自分たちのケツを蹴られる」になります。
(ass は卑語なので、「尻」(butt)よりも、「ケツ」と訳す方がしっくりくると思うので、この後も「ケツ」という言葉が頻出しますが、お許し下さい…笑)
自分たちのお尻がキックされる状態を被る(こうむる)という感覚ですね。
この会話をなにげなく聞いていると、「リチャードのケツを蹴り飛ばしてやる」「そんなことしても(リチャードの尻を蹴っても)、何の解決にもならないぞ」と言っているように思ってしまいそうですが、もしそう言いたい場合なら、I don't think (us) kicking his ass is a solution. 「(俺たちが)彼のケツを蹴っても、何の解決にもならない」という文章になるはずです。
実はジョーイが言っているのは、「リチャードのケツを蹴ること」ではなく、「俺たちのケツが蹴られること」であって、それがこのセリフの笑いのポイントになっているわけですね。
「一緒にリチャードのケツを蹴り飛ばしに行ってくれるよな?」と弱気なチャンドラーに、「二人で行ったところで、逆に、頑強で大柄(おおがら)の彼にケツを蹴り飛ばされてしまうのがオチだ」と言っているのでしょう。
喧嘩しに行ったところで、逆に俺たちがヤラれるだけで、それじゃあ何の解決にもならないだろ、と言っているのです。
その後、勝てるはずのないリチャードに挑む前に、まずはモニカを捜せよ、とジョーイにしては冷静なアドバイスをしていることになるわけですね。
このジョーイのセリフの「ひねり」みたいなものは、聞き流してしまいがちな部分ですが、シットコム特有の「ラフトラック(laugh track、笑い声)」を意識していると、気付ける部分のように思います。
チャンドラーが、Will you help me? と情けないことを言った時にも、観客のラフトラックが入っていましたが、ジョーイが ... is a solution. と言った後には、それと同じ、もしくはそれを上回るようなラフトラックが入っていました。
「リチャードのケツを蹴りに行くぞ」「そんなことしても何の解決にもならないと思うぞ」だとすると、結構、常識的な当たり前の指摘で、そこで笑い声が入るのは違和感がありますよね。
この笑い声は、「(逆に)俺たちのケツが蹴られることになる」ことを当然のように想定しているジョーイのセリフに笑ってしまう、ということで、そのセリフの意味に気づき、ネイティブと同じように、このタイミングで笑うことができる、ということが、英語力を測る良いバロメーターになると言えるでしょう。
その後、モニカを捜しに行くことを決めたチャンドラーは、指輪を持って出掛けようとします。
それを引き留めるジョーイ。
最後に何か、良いアドバイスでもするのかと思いきや、Let me know about that coconut phone と言っているのに笑ってしまいますね。
前回の記事、教授とココナッツ電話を作ってた フレンズ6-25その3 で解説させていただいたように、船長のかっこうをしているジョーイを見て、チャンドラーがココナッツ電話のジョークを言ったのですが、ジョーイはそのことをまだ覚えていて、ボートで役立つかもしれないから、つまり、無人島で遭難して連絡が取れない時に、それが作れたりすると便利だから、みたいなことを言って、後で詳しくココナッツ電話のこと、教えてくれよな、と言っているのですね。
そのジョークを言った後、大変な事態になってしまって、チャンドラー本人もそんなジョークを言ったことを忘れているだろうというこの時に、「ここでそれを持ち出す?」的な面白さが、ジョーイらしくて楽しいです。
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リチャードがモニカに「結婚して欲しい」と言ったことをジョーイから聞いて、チャンドラーは激怒しています。
チャンドラー: He's not supposed to ask my girlfriend to marry him! I'm supposed to do that! (リチャードは俺の彼女に結婚してくれなんて言っちゃいけないことになってるんだ[言うべきじゃないんだ]! 俺がそれをすることになってるんだよ!)
ジョーイ: I know! (そうさ!)
チャンドラー: Well what-- Y'know what I'm gonna do? I'm gonna go over there and I'm gonna kick his ass! (Pause) Will you help me?! (うーん、俺がどうしたらいいかわかるか? 俺はこれからあそこ(リチャードの家)に行って、リチャードのケツを蹴り飛ばしてやる! [間があって] 俺を助けてくれるよな?)
ジョーイ: Look, Chandler, I don't think us getting our asses kicked is a solution. Okay? Look, just go and find Monica! (なぁ、チャンドラー、俺たちのケツが蹴られてもそれは解決にはならないと思うぞ。だろ? なぁ、とにかく出かけて、モニカを捜すんだ。)
チャンドラー: You're right. (お前が正しいよ。)
ジョーイ: Yeah! (そうだよ!)
チャンドラー: Okay. (Starts running for the bedroom) I'm gonna get the ring! I'm gonna get the ring! (Does so) I'm gonna go find her and (starts running for the door) I'm just going to propose! (よし。[寝室に走って行く] 指輪を取ってくる! 指輪を取ってくる! [チャンドラーはそうする(実際に指輪を取る)] 俺はこれから彼女を捜しに行って、それから [ドアの方に走って行く] ただプロポーズするんだ!)
ジョーイ: Okay. (よし!)
チャンドラー: Okay great. (よし、いいぞ。)
ジョーイ: Dude-dude-dude! (おい、おい、おい!)
チャンドラー: What?! (何だ?)
ジョーイ: Let me know about that coconut phone, it might be good for the boat. (さっきのココナッツ電話のことを俺に教えてくれよな。ボートで役立つかもしれないから。)
チャンドラーは、フレンズ頻出の be supposed to を使って、「リチャードは俺の彼女(モニカ)に結婚を申し込むべきじゃない、俺がそうするべきなんだ」と言っています。
そして、「俺はこれから彼の家に言って、彼のケツを蹴ってやる!」みたいに強気な発言をしていますね。
ですが、少しの沈黙の後、「俺を助けてくれる?」みたいに、すぐ弱気なことを言ってしまうのが、チャンドラーらしいです。
その次のジョーイのセリフですが、これがちょっと面白いですね。
I don't think us getting our asses kicked is a solution. の構造が少しわかりにくいかもしれませんが、構造を単純化すると、I don't think (something) is a solution. と言っていることになります。
something を仮に A とすると、A が解決(解決法、解決策)であるとは思えない、ということなので、A では(A をしたところで)何の解決にもならないぞ、と言っているわけです。
その A が、us getting our asses kicked になるのですが、これは getting... という動名詞で、動名詞の主語が、us という目的格になっているパターンですね。(これまで何度も出てきましたが、口語では、動名詞の主語が目的格になることが多いです)。
この動名詞を文の形にすると、We get our asses kicked. 「俺たちは自分たちのケツを蹴られる」になります。
(ass は卑語なので、「尻」(butt)よりも、「ケツ」と訳す方がしっくりくると思うので、この後も「ケツ」という言葉が頻出しますが、お許し下さい…笑)
自分たちのお尻がキックされる状態を被る(こうむる)という感覚ですね。
この会話をなにげなく聞いていると、「リチャードのケツを蹴り飛ばしてやる」「そんなことしても(リチャードの尻を蹴っても)、何の解決にもならないぞ」と言っているように思ってしまいそうですが、もしそう言いたい場合なら、I don't think (us) kicking his ass is a solution. 「(俺たちが)彼のケツを蹴っても、何の解決にもならない」という文章になるはずです。
実はジョーイが言っているのは、「リチャードのケツを蹴ること」ではなく、「俺たちのケツが蹴られること」であって、それがこのセリフの笑いのポイントになっているわけですね。
「一緒にリチャードのケツを蹴り飛ばしに行ってくれるよな?」と弱気なチャンドラーに、「二人で行ったところで、逆に、頑強で大柄(おおがら)の彼にケツを蹴り飛ばされてしまうのがオチだ」と言っているのでしょう。
喧嘩しに行ったところで、逆に俺たちがヤラれるだけで、それじゃあ何の解決にもならないだろ、と言っているのです。
その後、勝てるはずのないリチャードに挑む前に、まずはモニカを捜せよ、とジョーイにしては冷静なアドバイスをしていることになるわけですね。
このジョーイのセリフの「ひねり」みたいなものは、聞き流してしまいがちな部分ですが、シットコム特有の「ラフトラック(laugh track、笑い声)」を意識していると、気付ける部分のように思います。
チャンドラーが、Will you help me? と情けないことを言った時にも、観客のラフトラックが入っていましたが、ジョーイが ... is a solution. と言った後には、それと同じ、もしくはそれを上回るようなラフトラックが入っていました。
「リチャードのケツを蹴りに行くぞ」「そんなことしても何の解決にもならないと思うぞ」だとすると、結構、常識的な当たり前の指摘で、そこで笑い声が入るのは違和感がありますよね。
この笑い声は、「(逆に)俺たちのケツが蹴られることになる」ことを当然のように想定しているジョーイのセリフに笑ってしまう、ということで、そのセリフの意味に気づき、ネイティブと同じように、このタイミングで笑うことができる、ということが、英語力を測る良いバロメーターになると言えるでしょう。
その後、モニカを捜しに行くことを決めたチャンドラーは、指輪を持って出掛けようとします。
それを引き留めるジョーイ。
最後に何か、良いアドバイスでもするのかと思いきや、Let me know about that coconut phone と言っているのに笑ってしまいますね。
前回の記事、教授とココナッツ電話を作ってた フレンズ6-25その3 で解説させていただいたように、船長のかっこうをしているジョーイを見て、チャンドラーがココナッツ電話のジョークを言ったのですが、ジョーイはそのことをまだ覚えていて、ボートで役立つかもしれないから、つまり、無人島で遭難して連絡が取れない時に、それが作れたりすると便利だから、みたいなことを言って、後で詳しくココナッツ電話のこと、教えてくれよな、と言っているのですね。
そのジョークを言った後、大変な事態になってしまって、チャンドラー本人もそんなジョークを言ったことを忘れているだろうというこの時に、「ここでそれを持ち出す?」的な面白さが、ジョーイらしくて楽しいです。
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2012年08月29日
教授とココナッツ電話を作ってた フレンズ6-25その3
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モニカにプロポーズのことを悟らせないために、「結婚制度に否定的な男」をモニカの前で演じ続けるチャンドラー。
リチャードに「君と結婚したい」と告白された後に、そういうチャンドラーの姿を見たことで、モニカはすっかり失望してしまい、ジョーイにそのことをグチります。
モニカがジョーイに「リチャードにプロポーズされた」ことを告げたので、ジョーイは「チャンドラーは本当は結婚したがってるんだ」と必死に本当のことを説明しようとするのですが、モニカはそれを信じる様子がありません。
ジョーイが未だに船長(キャプテン)スタイルのまま、電話の受話器を握っているところに、チャンドラーが帰ってきます。
ジョーイ: Where the hell have you been?! (お前は一体今までどこにいたんだよ?!)
チャンドラー: I was making a coconut phone with the professor. (俺は教授と一緒にココナッツ電話を作ってたんだよ。)
ジョーイ: Richard told Monica he wants to marry her! (リチャードがモニカに、結婚したい、って言ったんだぞ!)
チャンドラー: What?! (何だって?)
ジョーイ: Yeah! Yeah, I've been trying to find ya to tell to stop messing with her. And maybe I would have if these (lifts a leg) damn boat shoes wouldn't keep flying off! (そうさ、そうなんだよ。彼女を混乱させるのをやめろってお前に言うために、俺はずっとお前を捜そうとしてたんだ。そして多分、お前を見つけただろうな、もし、この [脚を持ち上げる] バカなボートシューズが脱げまくることがなかったらな!)
チャンドラー: My-Oh, my God! (あぁ、なんてこった!)
ジョーイ: I know! They suck!! (そうだろ! このシューズは最低だよ!)
受話器を持っていたジョーイは、チャンドラーの顔を見るなり、「お前、どこ行ってたんだよ?」と怒ったように言っています。
「君は(今)どこにいますか?」という疑問文だと、Where are you? になりますが、それを現在完了形にした Where have you been? は「君は今まで(ここに姿を現すまで)どこにいたの?」と、それまでいた場所を尋ねる疑問文になります。
the hell という強意語がついているので、「全く、お前は、一体全体、今までどこにいたんだよ?」という怒りのニュアンスが出るのですね。
ジョーイがカリカリしているのは、その前にモニカから「リチャードにプロポーズされた」という衝撃発言を聞いたためなのですが、そんなことになっているとは夢にも思っていないチャンドラーは、キャプテンのかっこうをしているジョーイを見て、キャプテンがらみのジョークを言っているようです。
I was making a coconut phone with the professor. は直訳通り、「俺はプロフェッサー(教授)と一緒にココナッツ電話を作っていたんだ」ということ。
「一体どこで何してたんだよ?」みたいに怒っているので、そんなに怒ることないじゃんか、みたいに軽いジョークで返している感覚になります。
船の船長みたいなかっこうをしているジョーイに対して、「教授とココナッツ電話を作っていた」と言っていることになりますが、いつものフレンズのパターンから考えると、そんな設定が当てはまるようなドラマや映画が存在するような気がしてきますよね?
このセリフだけからでも、船長や教授が登場する作品で、ココナッツ電話を作るという話から、「ココナッツはあるけれど、通常の電話は存在しない」…つまり、無人島の話?みたいな見当がつけられる気がします。
で、試しに Google の検索ボックスに、coconut phone と入力してみると、Google サジェスト機能で、
coconut phone with the professor
coconut phone gilligan's island
などの候補が提示されました。
island という言葉からも関連性がある気がする、gilligan's island というフレーズ、これは実は、過去の記事で解説したことのある、海外ドラマのタイトルなんですよね。
過去記事、映画スターのジンジャーって誰? フレンズ3-14その7 で、ジンジャーという人物名が出てきて、それは有名なドラマ「ギリガンズ・アイランド」の登場人物だとわかった、ということを解説しています。
そのドラマについての情報は以下。
Wikipedia 英語版: Gilligan's Island
IMDb : Gilligan's Island (1964–1967) TV Series
IMDb の説明にもあるように、
Seven men and women are stranded on an uncharted island following a torrential storm.
「7人の男女が、激しい嵐の直後に、地図にない島に(船が座礁し)取り残されてしまう」
というお話のようです。
設定だけだと、LOST みたいですが、こちらのギリガンズ・アイランドは、カテゴリーで言うとシットコムに属するので、コメディーなんですね。
グーグル・サジェスト機能で、gilligan's island が表示されたからと言って、これが元ネタだとは言い切れないかも…と思いながら、内容を確認していると、登場人物の中に、
Professor Roy Hinkley
という人がいるのを発見!
「教授とココナッツ電話を作っていた」というその「教授」が実際にこの作品に登場するので、元ネタはやはりこの作品であったことはほぼ間違いないと、この時点で確信しました。
そして、ウィキペディアのその教授のことを説明している以下のページにジャンプしてみると…
The Professor (Gilligan's Island)
以下の「決定的証拠」を見つけました!
Many of his inventions (including a method for recharging the batteries in the ubiquitous radio) utilized coconuts and bamboo, both of which were in plentiful supply.
訳させていただきますと、
「彼の発明の多くは、ココナッツと竹を利用した。そういうココナッツや竹は、豊富な供給があった。」
つまり、島にココナッツや竹が豊富にあるので、それを利用していろんな発明品を作った、ということですね。
また、以下の興味深い記述もあります。
A running joke about the Professor was his ability to build anything from coconuts and bamboo, yet he was somehow unable to create a raft or other means to leave the island. This was parodied in the sitcom Roseanne, ... (以下略)
つまり、
「プロフェッサーに関して繰り返し出てくるジョーク(ランニング・ジョーク)は、ココナッツと竹から何でも作るという能力だったが、どういうわけか彼は、いかだや、島を出るための他の方法などを生み出すことはできなかった。このことはシットコム「ロザンナ」でパロディーにされて… (以下略)」
つまり、このウィキペディアの説明は、「ココナッツと竹から何でも作ることができるなら、どうして教授はいかだのような「島を脱出するための道具」を作らなかったの?」という、ドラマによくある矛盾をつくようなツッコミですね。
「そんなものを作っちゃったら、話が終わってしまうから」(笑)が理由でしょうが、ウィキペディアでは、その矛盾をパロディにした他のシットコムやパロディ映画があるという説明が続いていますので、「教授はココナッツや竹からあらゆる発明を作り出す」ということは、パロディにしても笑いが取れるほど有名な設定だと言えるでしょう。
アメリカ人なら、coconut, professor だけで、「ギリガンズ・アイランド」というドラマがすぐに頭に浮かぶ、ということですね。
船長のかっこうをしているジョーイを見て、無人島のシットコムの設定を使ったジョークを言ったチャンドラーですが、ジョーイは単刀直入に、「リチャードがモニカに結婚したいと言った」と説明します。
驚くチャンドラーに、「モニカを mess with するのをやめるように言うために、お前をずっと捜そうとしてたんだぞ」とジョーイは言います。
mess with は「干渉する、手を出す」などと訳されることが多いですが、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には、mess with として、4つの意味が出ており、以下のものが今回のニュアンスに近いと思います。
3. mess with somebody/something : to try to deceive or confuse someone
つまり、「誰かを騙そう、または混乱させよう[惑わせよう]とすること」。
プロポーズのことをモニカに悟られないように、いろいろ惑わせるようなことを言ってたけど、そんなことやってる場合じゃないぞ、って言おうと思ってお前を捜してた、みたいなことですね。
ずっと捜そうとしていた、と言って、その結果を、I would have if these... wouldn't と表現しています。
I would have if these... wouldn't は仮定法ですね。
I would have は、I would have found you 「お前を見つけていただろう」ということ。
if these... wouldn't は「これらの…が〜しなければ」という仮定で、そういうことがなければお前を見つけてたのに、…が〜したせいで見つけられなかった、と言っていることになります。
で、ジョーイは何のせいにしているかと言うと、脚を上げてチャンドラーに見せた these damn boat shoes 、つまり、「このバカな・最低なボートシューズ」。
見たところ、ビーチサンダルのようなものですね。
fly off は「飛ぶ」+「分離」なので、「飛んで行く、飛び去る」みたいなことですが、シューズが fly off し続ける、ということはつまり、走るたびに飛んでっちゃう、脱げちゃう、ということでしょう。
走るのに不向きなサンダルのせいで、お前を捜しに行けなかったんだ、ということですね。
ジョーイの話を聞いて、チャンドラーは、Oh, my God! と言っています。
これはもちろん、「リチャードがモニカにプロポーズした。お前は下手な芝居を打ってる場合じゃなかったのに」みたいな話に対しての言葉ですが、ジョーイは、I know! 「そうだろ」と言いながら、They suck!! と言っています。
この they は、these (damn) boat shoes のことですね。
ジョーイはチャンドラーの「なんてこった」を、「このバカシューズめ」みたいに言ったジョーイの発言に同意したものと受け取って、「そうだろ、お前があきれるように、このシューズは最低なんだよ」と言っているわけです。
チャンドラー一世一代のプロポーズが危機に瀕している時に、まだシューズの話をしているジョーイが、いかにもという感じですね。
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モニカにプロポーズのことを悟らせないために、「結婚制度に否定的な男」をモニカの前で演じ続けるチャンドラー。
リチャードに「君と結婚したい」と告白された後に、そういうチャンドラーの姿を見たことで、モニカはすっかり失望してしまい、ジョーイにそのことをグチります。
モニカがジョーイに「リチャードにプロポーズされた」ことを告げたので、ジョーイは「チャンドラーは本当は結婚したがってるんだ」と必死に本当のことを説明しようとするのですが、モニカはそれを信じる様子がありません。
ジョーイが未だに船長(キャプテン)スタイルのまま、電話の受話器を握っているところに、チャンドラーが帰ってきます。
ジョーイ: Where the hell have you been?! (お前は一体今までどこにいたんだよ?!)
チャンドラー: I was making a coconut phone with the professor. (俺は教授と一緒にココナッツ電話を作ってたんだよ。)
ジョーイ: Richard told Monica he wants to marry her! (リチャードがモニカに、結婚したい、って言ったんだぞ!)
チャンドラー: What?! (何だって?)
ジョーイ: Yeah! Yeah, I've been trying to find ya to tell to stop messing with her. And maybe I would have if these (lifts a leg) damn boat shoes wouldn't keep flying off! (そうさ、そうなんだよ。彼女を混乱させるのをやめろってお前に言うために、俺はずっとお前を捜そうとしてたんだ。そして多分、お前を見つけただろうな、もし、この [脚を持ち上げる] バカなボートシューズが脱げまくることがなかったらな!)
チャンドラー: My-Oh, my God! (あぁ、なんてこった!)
ジョーイ: I know! They suck!! (そうだろ! このシューズは最低だよ!)
受話器を持っていたジョーイは、チャンドラーの顔を見るなり、「お前、どこ行ってたんだよ?」と怒ったように言っています。
「君は(今)どこにいますか?」という疑問文だと、Where are you? になりますが、それを現在完了形にした Where have you been? は「君は今まで(ここに姿を現すまで)どこにいたの?」と、それまでいた場所を尋ねる疑問文になります。
the hell という強意語がついているので、「全く、お前は、一体全体、今までどこにいたんだよ?」という怒りのニュアンスが出るのですね。
ジョーイがカリカリしているのは、その前にモニカから「リチャードにプロポーズされた」という衝撃発言を聞いたためなのですが、そんなことになっているとは夢にも思っていないチャンドラーは、キャプテンのかっこうをしているジョーイを見て、キャプテンがらみのジョークを言っているようです。
I was making a coconut phone with the professor. は直訳通り、「俺はプロフェッサー(教授)と一緒にココナッツ電話を作っていたんだ」ということ。
「一体どこで何してたんだよ?」みたいに怒っているので、そんなに怒ることないじゃんか、みたいに軽いジョークで返している感覚になります。
船の船長みたいなかっこうをしているジョーイに対して、「教授とココナッツ電話を作っていた」と言っていることになりますが、いつものフレンズのパターンから考えると、そんな設定が当てはまるようなドラマや映画が存在するような気がしてきますよね?
このセリフだけからでも、船長や教授が登場する作品で、ココナッツ電話を作るという話から、「ココナッツはあるけれど、通常の電話は存在しない」…つまり、無人島の話?みたいな見当がつけられる気がします。
で、試しに Google の検索ボックスに、coconut phone と入力してみると、Google サジェスト機能で、
coconut phone with the professor
coconut phone gilligan's island
などの候補が提示されました。
island という言葉からも関連性がある気がする、gilligan's island というフレーズ、これは実は、過去の記事で解説したことのある、海外ドラマのタイトルなんですよね。
過去記事、映画スターのジンジャーって誰? フレンズ3-14その7 で、ジンジャーという人物名が出てきて、それは有名なドラマ「ギリガンズ・アイランド」の登場人物だとわかった、ということを解説しています。
そのドラマについての情報は以下。
Wikipedia 英語版: Gilligan's Island
IMDb : Gilligan's Island (1964–1967) TV Series
IMDb の説明にもあるように、
Seven men and women are stranded on an uncharted island following a torrential storm.
「7人の男女が、激しい嵐の直後に、地図にない島に(船が座礁し)取り残されてしまう」
というお話のようです。
設定だけだと、LOST みたいですが、こちらのギリガンズ・アイランドは、カテゴリーで言うとシットコムに属するので、コメディーなんですね。
グーグル・サジェスト機能で、gilligan's island が表示されたからと言って、これが元ネタだとは言い切れないかも…と思いながら、内容を確認していると、登場人物の中に、
Professor Roy Hinkley
という人がいるのを発見!
「教授とココナッツ電話を作っていた」というその「教授」が実際にこの作品に登場するので、元ネタはやはりこの作品であったことはほぼ間違いないと、この時点で確信しました。
そして、ウィキペディアのその教授のことを説明している以下のページにジャンプしてみると…
The Professor (Gilligan's Island)
以下の「決定的証拠」を見つけました!
Many of his inventions (including a method for recharging the batteries in the ubiquitous radio) utilized coconuts and bamboo, both of which were in plentiful supply.
訳させていただきますと、
「彼の発明の多くは、ココナッツと竹を利用した。そういうココナッツや竹は、豊富な供給があった。」
つまり、島にココナッツや竹が豊富にあるので、それを利用していろんな発明品を作った、ということですね。
また、以下の興味深い記述もあります。
A running joke about the Professor was his ability to build anything from coconuts and bamboo, yet he was somehow unable to create a raft or other means to leave the island. This was parodied in the sitcom Roseanne, ... (以下略)
つまり、
「プロフェッサーに関して繰り返し出てくるジョーク(ランニング・ジョーク)は、ココナッツと竹から何でも作るという能力だったが、どういうわけか彼は、いかだや、島を出るための他の方法などを生み出すことはできなかった。このことはシットコム「ロザンナ」でパロディーにされて… (以下略)」
つまり、このウィキペディアの説明は、「ココナッツと竹から何でも作ることができるなら、どうして教授はいかだのような「島を脱出するための道具」を作らなかったの?」という、ドラマによくある矛盾をつくようなツッコミですね。
「そんなものを作っちゃったら、話が終わってしまうから」(笑)が理由でしょうが、ウィキペディアでは、その矛盾をパロディにした他のシットコムやパロディ映画があるという説明が続いていますので、「教授はココナッツや竹からあらゆる発明を作り出す」ということは、パロディにしても笑いが取れるほど有名な設定だと言えるでしょう。
アメリカ人なら、coconut, professor だけで、「ギリガンズ・アイランド」というドラマがすぐに頭に浮かぶ、ということですね。
船長のかっこうをしているジョーイを見て、無人島のシットコムの設定を使ったジョークを言ったチャンドラーですが、ジョーイは単刀直入に、「リチャードがモニカに結婚したいと言った」と説明します。
驚くチャンドラーに、「モニカを mess with するのをやめるように言うために、お前をずっと捜そうとしてたんだぞ」とジョーイは言います。
mess with は「干渉する、手を出す」などと訳されることが多いですが、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には、mess with として、4つの意味が出ており、以下のものが今回のニュアンスに近いと思います。
3. mess with somebody/something : to try to deceive or confuse someone
つまり、「誰かを騙そう、または混乱させよう[惑わせよう]とすること」。
プロポーズのことをモニカに悟られないように、いろいろ惑わせるようなことを言ってたけど、そんなことやってる場合じゃないぞ、って言おうと思ってお前を捜してた、みたいなことですね。
ずっと捜そうとしていた、と言って、その結果を、I would have if these... wouldn't と表現しています。
I would have if these... wouldn't は仮定法ですね。
I would have は、I would have found you 「お前を見つけていただろう」ということ。
if these... wouldn't は「これらの…が〜しなければ」という仮定で、そういうことがなければお前を見つけてたのに、…が〜したせいで見つけられなかった、と言っていることになります。
で、ジョーイは何のせいにしているかと言うと、脚を上げてチャンドラーに見せた these damn boat shoes 、つまり、「このバカな・最低なボートシューズ」。
見たところ、ビーチサンダルのようなものですね。
fly off は「飛ぶ」+「分離」なので、「飛んで行く、飛び去る」みたいなことですが、シューズが fly off し続ける、ということはつまり、走るたびに飛んでっちゃう、脱げちゃう、ということでしょう。
走るのに不向きなサンダルのせいで、お前を捜しに行けなかったんだ、ということですね。
ジョーイの話を聞いて、チャンドラーは、Oh, my God! と言っています。
これはもちろん、「リチャードがモニカにプロポーズした。お前は下手な芝居を打ってる場合じゃなかったのに」みたいな話に対しての言葉ですが、ジョーイは、I know! 「そうだろ」と言いながら、They suck!! と言っています。
この they は、these (damn) boat shoes のことですね。
ジョーイはチャンドラーの「なんてこった」を、「このバカシューズめ」みたいに言ったジョーイの発言に同意したものと受け取って、「そうだろ、お前があきれるように、このシューズは最低なんだよ」と言っているわけです。
チャンドラー一世一代のプロポーズが危機に瀕している時に、まだシューズの話をしているジョーイが、いかにもという感じですね。
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2012年08月27日
テニールがあなたを捜してた フレンズ6-25その2
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[Scene: Central Perk, Rachel is bringing Phoebe some coffee.]
セントラルパーク、レイチェルはフィービーにコーヒーを持ってきているところ。
レイチェル: Isn't it incredible?! Monica and Chandler, gettin' married. (すごくない? モニカとチャンドラーが結婚するのよ。)
フィービー: I know. They're gonna be so happy together. (そうね。二人は一緒にすごく幸せになるわ。)
レイチェル: Ohh.... I mean two best friends falling in love. How often does that happen? (あぁ…だって、2人の親友が恋に落ちるのよ。そんなこと、どれほど頻繁に起こる?)
フィービー: Not that often! (そんなに頻繁には起こらないわ。)
レイチェル: No! I'm so happy for them! (起こらないわよね! 二人のことで私はとっても嬉しいわ。)
フィービー: Me too! So happy for them. (私もよ! 二人のことでとても嬉しい。)
レイチェル: I'm so happy and not at all jealous. (私はとっても幸せで、全然ジェラシーは感じてない。)
フィービー: Oh, no! No God, definitely not jealous! (あぁ、私も感じてない! 感じてないわ、絶対にジェラシーの気持ちはない!)
(They both take a drink of coffee.)
二人はコーヒーを一口飲む。
レイチェル: I mean I'm probably 98% happy, maybe 2% jealous. And I mean what's 2%? That's nothing. (つまり、多分私は、98% 幸せで、多分 2% がジェラシーね。そして、2% って何?ってことよ。そんなの、ゼロと同じだわ。)
フィービー: Totally. I'm like 90-10. (全くね。[しばらく間があって] 私は、9割1割って感じかな。)
レイチェル: Yeah. Me too. (そうね。私も。)
(Joey enters looking like Captain Stubing from the Love Boat.)
ジョーイは「ラブ・ボート」のキャプテン・スタビングのようなかっこうで入ってくる。
ジョーイ: Hey, uh, have you guys seen Chandler? (なぁ、二人はチャンドラーを見た?)
レイチェル: (staring at him) Wh-no. But y'know who did stop in here looking for ya, Tennille. ([ジョーイを見つめて] えっと、見てないわ。でも、あなたを捜してここに立ち寄ったのが誰だかわかる? テニールよ。)
チャンドラーがモニカにプロポーズすることを知っているレイチェルとフィービーは、チャンドラーとモニカの結婚について話し合っています。(二人は、リチャードがモニカに告白し、モニカが動揺していることをまだ知りません)。
レイチェルは、two best friends falling in love. How often does that happen? と言っていますね。
親友が恋に落ちることなんて、そんなこと、どれくらい頻繁に(どれくらいの頻度で)起こるかしら?ということですね。
実際には、「どのくらいの頻度で起こることか」を純粋に尋ねる質問ではなくて、言っているレイチェルの気持ちには、「そんなこと、めったに起こらないわよねぇ?」というニュアンスがすでに入っています。
それに対して、Not that often! 「そんなに頻繁には起こらない」みたいな、中途半端な答えをしているのもフィービーらしいですね。
Never! 「絶対にそんなこと起こらない!」とは言えないので、「確かに、そんなにしょっちゅう起こるものじゃないわよね」と言うしかない、みたいな感じです。
しかし、考えてみれば、それを言い出したレイチェル自身も、親友であったロスと恋に落ちた当人なので、わりと頻繁に起こることと言えるような気もします(笑)。
レイチェルとフィービーは口々に、モニカたちに対しては、おめでとうという幸せな気持ちでいっぱいで、ジェラシーなんか感じてない、みたいに言っています。
jealous という気持ちに対しては、not at all, defenitely not と、完全否定していた二人ですが、口ではそう言いながらも、その後、黙りこくってしまって、ただコーヒーをズズーっと飲んでいる様子を見ると、それが本心ではないことは明らかです。
やっぱり、ちょっと嘘ついてるかも、みたいな感じで、レイチェルは、98% が happy、2% が jealous の気持ちだと訂正します。
2% はジェラシーの気持ちがある、と言いながらも、what's 2%? That's nothing. と言うのが面白いですね。
「2% って何? そんなの「無、ゼロ」よ」と言っている感覚で、確かに 2% くらいはそういう気持ちがあるけど、2% なんて数のうちに入らない、そんなの、ないのも同然よね、と自分で言っているわけです。
2% なんて、ゼロと同じよ、と言うレイチェルに、フィービーは、Totally. 「全くその通り」と同意しますが、その後、しばらく沈黙した後で、I’m like 90-10. 「私は、90 と 10 って感じかな」と言っています。
これは、90% happy, 10% jealous ということで、私は 2% よりもう少しジェラシーの気持ちが強くて、まぁ、9割1割って比率になるかしら、と言っていることになります。
結局、レイチェルもその発言に同意することになり、二人とも1割くらいはジェラシーの気持ちがあることをお互いに認めることになるのですね。
ジェラシーなんて、全然そんな気持なんかない!と言いながら、だんだんと本音が出て行くさまを、彼女たちの英語のセリフから感じ取れれば「いい感じ」だと思います。
そんな風に二人が話しているところに、ジョーイが「船長」のようなかっこうをして入ってきます。
これは、前回のエピソードで船を買うことになったジョーイが、すっかり船長気取りで、船長のコスプレみたいなものをしているのですね。
(前回のエピソード解説では、チャンドラー&モニカのなりゆきにポイントを置いたため、その部分は割愛してしまったので、以下に簡単に、経緯を説明させていただきます。)
レイチェルの上司が主催するパーティーの入札制オークションで、「船の値段を当てる」ゲームだと勘違いしたジョーイが、船に一番高値を付けてしまい、彼が買い取ることになってしまいます。
2位の人に譲って差額を払う、という案もあったのですが、レイチェルが2位の人を説得するのを聞いているうちに、ジョーイは手離すのが惜しくなり(笑)、万年金欠状態にもかかわらず、船を購入することを決めたのでした。
ト書きには、Captain Stubing from the Love Boat のようなかっこう・様子で入ってくる、とありますね。
「人名 from 大文字で始まるタイトル」なので、ドラマか映画にそういう人物がいるだろうことは容易に想像できますが、参考までに紹介しておきます。
Wikipedia 英語版: The Love Boat
1977年から1986年にかけてアメリカで放映されていた、クルーズ・シップを舞台にしたシットコムのようです。
Cast に、
Gavin MacLeod as Captain Merrill Stubing, "Your Captain"
とあるように、The Love Boat の主役のキャプテンが、Captain Stubing なのですね。
日本でも「ラブ・ボート」というタイトルで放映されていたようですが、残念ながら私は全く知りません。
この後も、ト書きで何度も、Captain Stubing from the Love Boat というフレーズが登場しますので、ネットスクリプトのト書きを書いた方(ドラマをディクテーションした方)にとっては、「船長と言えば、これを思い出さずにはいられない」というほどの有名なドラマだった、ということでしょうね。
ジョーイは「チャンドラーを見た?」と尋ねるのですが、そのジョーイの姿をじーっと見つめていたレイチェルは、「チャンドラーは見なかったけど、あなたを捜してここに立ち寄った人がいるわ。それは誰だかわかる?」みたいに逆に質問しています。
You know who did..., Tennille. の形で、「…した人は誰だか知ってる? テニールよ」ということになります。
ここで、テニールという固有名詞が出てきたので、これまた、フレンズによくあるサブカルネタだということがわかりますが、このネタは以前にも使われたことがあるので、記憶にある方もおられるかもしれませんね。
フレンズたちがタッチフットボールをするエピソード、キャプテンと言えば… フレンズ3-9その7 で、
ジョーイ: All right, we have to pick captains. (よし、キャプテンを選ばないとな。)
チャンドラー: And then "Tennilles." (そして、それから、テニールもね。)
というセリフがあったのですが、その時にセリフに出て来たテニールが、今回と同じテニールだということです。
Wikipedia 日本語版: キャプテン&テニール
Wikipedia 英語版: Captain & Tennille
70年代後半から80年代前半にかけてヒットしたアメリカのデュオで、”キャプテン”・ダリル・ドラゴンと、トニー・テニールのコンビ。二人は夫婦でもあります。
日本語版ウィキペディアの説明にあるように、
ドラゴンが「キャプテン」のニックネームになったのは、彼がいつも船長のような帽子をかぶっていた事に由来する。
とのこと。
英語版の写真でも、確かに、キャプテン帽をかぶっていますね。
レイチェルは、「テニールがあなたを捜していた」と言うことで、ジョーイの姿が、テニールの相方(かつ夫)である、”キャプテン” ダリル・ドラゴンみたいだ、と言って、キャプテン姿のジョーイをからかっているわけです。
フレンズで二度もネタに使われたところを見ると、それだけアメリカ人にとっては、誰でも知ってる有名人、ということになるでしょう。
日本人英語学習者としては、特に必要ない知識(笑)かもしれませんが、「あえて、キャプテンという単語を出さずに、キャプテンという言葉を連想させるジョーク」なのが面白いなと思いますし、そういう「ちょっとひねったジョーク」の仕組みに慣れておくことは、英語学習にとっても有用なことだと思います。
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[Scene: Central Perk, Rachel is bringing Phoebe some coffee.]
セントラルパーク、レイチェルはフィービーにコーヒーを持ってきているところ。
レイチェル: Isn't it incredible?! Monica and Chandler, gettin' married. (すごくない? モニカとチャンドラーが結婚するのよ。)
フィービー: I know. They're gonna be so happy together. (そうね。二人は一緒にすごく幸せになるわ。)
レイチェル: Ohh.... I mean two best friends falling in love. How often does that happen? (あぁ…だって、2人の親友が恋に落ちるのよ。そんなこと、どれほど頻繁に起こる?)
フィービー: Not that often! (そんなに頻繁には起こらないわ。)
レイチェル: No! I'm so happy for them! (起こらないわよね! 二人のことで私はとっても嬉しいわ。)
フィービー: Me too! So happy for them. (私もよ! 二人のことでとても嬉しい。)
レイチェル: I'm so happy and not at all jealous. (私はとっても幸せで、全然ジェラシーは感じてない。)
フィービー: Oh, no! No God, definitely not jealous! (あぁ、私も感じてない! 感じてないわ、絶対にジェラシーの気持ちはない!)
(They both take a drink of coffee.)
二人はコーヒーを一口飲む。
レイチェル: I mean I'm probably 98% happy, maybe 2% jealous. And I mean what's 2%? That's nothing. (つまり、多分私は、98% 幸せで、多分 2% がジェラシーね。そして、2% って何?ってことよ。そんなの、ゼロと同じだわ。)
フィービー: Totally. I'm like 90-10. (全くね。[しばらく間があって] 私は、9割1割って感じかな。)
レイチェル: Yeah. Me too. (そうね。私も。)
(Joey enters looking like Captain Stubing from the Love Boat.)
ジョーイは「ラブ・ボート」のキャプテン・スタビングのようなかっこうで入ってくる。
ジョーイ: Hey, uh, have you guys seen Chandler? (なぁ、二人はチャンドラーを見た?)
レイチェル: (staring at him) Wh-no. But y'know who did stop in here looking for ya, Tennille. ([ジョーイを見つめて] えっと、見てないわ。でも、あなたを捜してここに立ち寄ったのが誰だかわかる? テニールよ。)
チャンドラーがモニカにプロポーズすることを知っているレイチェルとフィービーは、チャンドラーとモニカの結婚について話し合っています。(二人は、リチャードがモニカに告白し、モニカが動揺していることをまだ知りません)。
レイチェルは、two best friends falling in love. How often does that happen? と言っていますね。
親友が恋に落ちることなんて、そんなこと、どれくらい頻繁に(どれくらいの頻度で)起こるかしら?ということですね。
実際には、「どのくらいの頻度で起こることか」を純粋に尋ねる質問ではなくて、言っているレイチェルの気持ちには、「そんなこと、めったに起こらないわよねぇ?」というニュアンスがすでに入っています。
それに対して、Not that often! 「そんなに頻繁には起こらない」みたいな、中途半端な答えをしているのもフィービーらしいですね。
Never! 「絶対にそんなこと起こらない!」とは言えないので、「確かに、そんなにしょっちゅう起こるものじゃないわよね」と言うしかない、みたいな感じです。
しかし、考えてみれば、それを言い出したレイチェル自身も、親友であったロスと恋に落ちた当人なので、わりと頻繁に起こることと言えるような気もします(笑)。
レイチェルとフィービーは口々に、モニカたちに対しては、おめでとうという幸せな気持ちでいっぱいで、ジェラシーなんか感じてない、みたいに言っています。
jealous という気持ちに対しては、not at all, defenitely not と、完全否定していた二人ですが、口ではそう言いながらも、その後、黙りこくってしまって、ただコーヒーをズズーっと飲んでいる様子を見ると、それが本心ではないことは明らかです。
やっぱり、ちょっと嘘ついてるかも、みたいな感じで、レイチェルは、98% が happy、2% が jealous の気持ちだと訂正します。
2% はジェラシーの気持ちがある、と言いながらも、what's 2%? That's nothing. と言うのが面白いですね。
「2% って何? そんなの「無、ゼロ」よ」と言っている感覚で、確かに 2% くらいはそういう気持ちがあるけど、2% なんて数のうちに入らない、そんなの、ないのも同然よね、と自分で言っているわけです。
2% なんて、ゼロと同じよ、と言うレイチェルに、フィービーは、Totally. 「全くその通り」と同意しますが、その後、しばらく沈黙した後で、I’m like 90-10. 「私は、90 と 10 って感じかな」と言っています。
これは、90% happy, 10% jealous ということで、私は 2% よりもう少しジェラシーの気持ちが強くて、まぁ、9割1割って比率になるかしら、と言っていることになります。
結局、レイチェルもその発言に同意することになり、二人とも1割くらいはジェラシーの気持ちがあることをお互いに認めることになるのですね。
ジェラシーなんて、全然そんな気持なんかない!と言いながら、だんだんと本音が出て行くさまを、彼女たちの英語のセリフから感じ取れれば「いい感じ」だと思います。
そんな風に二人が話しているところに、ジョーイが「船長」のようなかっこうをして入ってきます。
これは、前回のエピソードで船を買うことになったジョーイが、すっかり船長気取りで、船長のコスプレみたいなものをしているのですね。
(前回のエピソード解説では、チャンドラー&モニカのなりゆきにポイントを置いたため、その部分は割愛してしまったので、以下に簡単に、経緯を説明させていただきます。)
レイチェルの上司が主催するパーティーの入札制オークションで、「船の値段を当てる」ゲームだと勘違いしたジョーイが、船に一番高値を付けてしまい、彼が買い取ることになってしまいます。
2位の人に譲って差額を払う、という案もあったのですが、レイチェルが2位の人を説得するのを聞いているうちに、ジョーイは手離すのが惜しくなり(笑)、万年金欠状態にもかかわらず、船を購入することを決めたのでした。
ト書きには、Captain Stubing from the Love Boat のようなかっこう・様子で入ってくる、とありますね。
「人名 from 大文字で始まるタイトル」なので、ドラマか映画にそういう人物がいるだろうことは容易に想像できますが、参考までに紹介しておきます。
Wikipedia 英語版: The Love Boat
1977年から1986年にかけてアメリカで放映されていた、クルーズ・シップを舞台にしたシットコムのようです。
Cast に、
Gavin MacLeod as Captain Merrill Stubing, "Your Captain"
とあるように、The Love Boat の主役のキャプテンが、Captain Stubing なのですね。
日本でも「ラブ・ボート」というタイトルで放映されていたようですが、残念ながら私は全く知りません。
この後も、ト書きで何度も、Captain Stubing from the Love Boat というフレーズが登場しますので、ネットスクリプトのト書きを書いた方(ドラマをディクテーションした方)にとっては、「船長と言えば、これを思い出さずにはいられない」というほどの有名なドラマだった、ということでしょうね。
ジョーイは「チャンドラーを見た?」と尋ねるのですが、そのジョーイの姿をじーっと見つめていたレイチェルは、「チャンドラーは見なかったけど、あなたを捜してここに立ち寄った人がいるわ。それは誰だかわかる?」みたいに逆に質問しています。
You know who did..., Tennille. の形で、「…した人は誰だか知ってる? テニールよ」ということになります。
ここで、テニールという固有名詞が出てきたので、これまた、フレンズによくあるサブカルネタだということがわかりますが、このネタは以前にも使われたことがあるので、記憶にある方もおられるかもしれませんね。
フレンズたちがタッチフットボールをするエピソード、キャプテンと言えば… フレンズ3-9その7 で、
ジョーイ: All right, we have to pick captains. (よし、キャプテンを選ばないとな。)
チャンドラー: And then "Tennilles." (そして、それから、テニールもね。)
というセリフがあったのですが、その時にセリフに出て来たテニールが、今回と同じテニールだということです。
Wikipedia 日本語版: キャプテン&テニール
Wikipedia 英語版: Captain & Tennille
70年代後半から80年代前半にかけてヒットしたアメリカのデュオで、”キャプテン”・ダリル・ドラゴンと、トニー・テニールのコンビ。二人は夫婦でもあります。
日本語版ウィキペディアの説明にあるように、
ドラゴンが「キャプテン」のニックネームになったのは、彼がいつも船長のような帽子をかぶっていた事に由来する。
とのこと。
英語版の写真でも、確かに、キャプテン帽をかぶっていますね。
レイチェルは、「テニールがあなたを捜していた」と言うことで、ジョーイの姿が、テニールの相方(かつ夫)である、”キャプテン” ダリル・ドラゴンみたいだ、と言って、キャプテン姿のジョーイをからかっているわけです。
フレンズで二度もネタに使われたところを見ると、それだけアメリカ人にとっては、誰でも知ってる有名人、ということになるでしょう。
日本人英語学習者としては、特に必要ない知識(笑)かもしれませんが、「あえて、キャプテンという単語を出さずに、キャプテンという言葉を連想させるジョーク」なのが面白いなと思いますし、そういう「ちょっとひねったジョーク」の仕組みに慣れておくことは、英語学習にとっても有用なことだと思います。
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2012年08月24日
言わなければ一生後悔する フレンズ6-25その1
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シーズン6 第25話
The One With The Proposal - Part 2 (チャンドラーのプロポーズ大作戦! Part 2)
原題は「プロポーズの話 パート2」
前回のエピソード、フレンズ6-24 の最後で、モニカが働くレストランにやってきたリチャードは、I still love you. 「まだ君を愛している」と告白します。
驚いて、しばらく言葉が出ないモニカでしたが…
モニカ: What uh-What did you-What?! (何? あの、あなたは何て… 何?)
リチャード: I still love you. And I know I probably shouldn't even be here telling you this, I mean, you're with Chandler, a guy I really like, and if you say he's straight, I'll believe you! After seeing ya the other night, I knew if I didn't tell ya, I'd regret it for the rest of my life. Letting you go was the stupidest thing I ever did. (僕はまだ君を愛している。そして、多分、こんなことを言いながらこんなところにいるべきじゃなってこともわかってる。だって、君はチャンドラーと付き合っているんだからね。チャンドラーは僕が実に好きな男だし、もし彼はストレートだって君が言うのなら、僕は信じるよ! あの晩、君を見た後、わかったんだ。もし君に言わなければ、今後の人生ずっと(死ぬまで)、そのことを後悔するだろう、って。君を行かせてしまったこと[君を手離したこと]は僕が今までした最もバカなことだったんだ。)
モニカ: Y'know you're really not supposed to be back here! (あなたは本当にこんなところ(レストランの舞台裏であるキッチン・厨房)にいるべきじゃないのに!)
リチャード: Well yeah, I'm sorry. I know this is the wrong time and the wrong place but I had to tell ya! I wanna spend my life with you. I wanna marry you. I wanna have kids with you. (そうだね、ごめんよ。これが最悪の時で最悪の場所だってわかってる。でも君に言わないといけなかったんだ! 僕は君と一緒に人生を過ごしたい。君と結婚したい。君と子供を持ちたいんだ。)
モニカ: Oh God.... (Starts looking around.) Why don't they put chairs back here?! (まぁ、なんてこと… [あたりを見回し始める] どうしてここに椅子を置かないの[置いておいてくれないの]?)
突然のリチャードからの告白に、言葉にならないことしか言えないモニカ。
リチャードは、自分の今の気持ちを何とか説明しようとしています。
「僕がここにいるべきじゃないってわかってる」と言って、you're with Chandler... とその後、言葉を続けていますね。
you're with Chandler は、「君はチャンドラーと一緒にいる」ですから、「君とチャンドラーは付き合ってる」ということですね。
a guy I really like は、その前の Chanlder をカンマで区切って、チャンドラーという人を言い換えた感覚の同格のニュアンス。
チャンドラー、(その彼は)僕が本当に好きな男なんだけどね、という感じです。
その後のセリフが、このシリアスな状況とはちょっと異なるジョークになっているのがフレンズらしいですね。
「もしチャンドラーがストレート(同性愛者ではない異性愛者)だとモニカが言うのなら、僕はそれを信じるよ」と言っているわけですが、それはつまり、「僕はチャンドラーがゲイだと思っていたけど、君が彼をゲイじゃないと言うのなら、君の言葉を信じるよ」と言っているのですね。
別にチャンドラーに対する悪意からそんなことを言っているわけではないでしょうが、このどさくさに紛れて、「僕は彼をゲイだと思っていたんだが、君と付き合ってるっていうことはゲイじゃなかったんだね」みたいな言葉を挟んでいるのが、コメディっぽいと言えるでしょう。
I knew if I didn't tell ya, I'd regret it for the rest of my life. について。
for the rest of my life は「僕の人生の残りの期間」ということですから、「今後の僕の人生、死ぬまでずっと」という意味になります。
こんなことを言うべきじゃないってわかってる、君はチャンドラーと付き合ってるんだし、でも言わないと、これから先の人生で言わなかったことを後悔するって思ったんだ、ということです。
そして、let you go したことが、これまででもっとも愚かなことだった、とも言っています。
let you go は文字通り、「君を行かせる」ということで、この場合は、君が去るのを引き留めなかった、君を手離してしまった、と言っていることになるでしょう。
次から次へと衝撃発言が続く中、モニカは、「あなたはこんなところにいるべきじゃないのに」というのが精一杯。
back here の back は、前回も説明したように、「レストランの奥の舞台裏であるキッチン、厨房」のニュアンスですね。
客であるあなたは、関係者以外立ち入り禁止の場所にいちゃいけないのよ、と言っている感覚になります。
リチャードもその back here という場所のニュアンスを受けて、「不適切な時(タイミング)、不適切な場所だってわかってる」と言って謝っています。
君の仕事中に、君の仕事場に押しかけて、こんなことを言うことがよくないことはわかってるんだ、ということですね。
そう言いながらも、「でも僕は言わなきゃならないんだ」と言って、以下のような、決め台詞となるようなセリフを3つも続けて言っています。
I wanna spend my life with you. I wanna marry you. I wanna have kids with you.
つまり、「君と一緒に人生を過ごしたい」「君と結婚したい」「君と子供を持ちたい[作りたい]」という、ダイレクトでストレートすぎる言葉です。
前回のエピソードでは、プロポーズを延期したチャンドラーが、モニカを驚かすためにわざと「結婚する気なんか毛頭ない」ふりをすることを決めて、「結婚制度に否定的な男」をモニカの前で演じていました。
そういうチャンドラーを見た後に、元カレであるリチャードから、こうもはっきり、「結婚したい、子供も持ちたい」と言われたモニカの衝撃は、ものすごいものがあるでしょう。
シーズン2の後半に付き合っていたモニカとリチャードですが、その二人が別れることになったのは、子供を持つことに対する二人の考え方の違いでした。
過去記事、フレンズ2-24その27 で、二人の意見の相違が明白になっていましたね。
孫のいる年齢で今さら子供を持つことに抵抗があるという理由からモニカとリチャードは別れた、という経緯があるために、今度は子供を持つことをも容認した告白であったことも、モニカにとっては驚きだったのですね。
モニカはその告白にさらに動揺してしまって、まわりを見回しながら、「どうしてここには椅子がないの?」みたいなことを言っています。
they というのは、このレストランの関係者のことですね。
厨房に、シェフが一休みするための椅子をどうして置いておいてくれないの?みたいな感じです。
常に椅子が用意してあればいいのに、とても立ってはいられないようなこんな時に、腰掛ける椅子さえないじゃない、と、椅子を用意すべき人たちに怒りをぶつけることで、何とか気持ちを保っているニュアンスになるでしょう。
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シーズン6 第25話
The One With The Proposal - Part 2 (チャンドラーのプロポーズ大作戦! Part 2)
原題は「プロポーズの話 パート2」
前回のエピソード、フレンズ6-24 の最後で、モニカが働くレストランにやってきたリチャードは、I still love you. 「まだ君を愛している」と告白します。
驚いて、しばらく言葉が出ないモニカでしたが…
モニカ: What uh-What did you-What?! (何? あの、あなたは何て… 何?)
リチャード: I still love you. And I know I probably shouldn't even be here telling you this, I mean, you're with Chandler, a guy I really like, and if you say he's straight, I'll believe you! After seeing ya the other night, I knew if I didn't tell ya, I'd regret it for the rest of my life. Letting you go was the stupidest thing I ever did. (僕はまだ君を愛している。そして、多分、こんなことを言いながらこんなところにいるべきじゃなってこともわかってる。だって、君はチャンドラーと付き合っているんだからね。チャンドラーは僕が実に好きな男だし、もし彼はストレートだって君が言うのなら、僕は信じるよ! あの晩、君を見た後、わかったんだ。もし君に言わなければ、今後の人生ずっと(死ぬまで)、そのことを後悔するだろう、って。君を行かせてしまったこと[君を手離したこと]は僕が今までした最もバカなことだったんだ。)
モニカ: Y'know you're really not supposed to be back here! (あなたは本当にこんなところ(レストランの舞台裏であるキッチン・厨房)にいるべきじゃないのに!)
リチャード: Well yeah, I'm sorry. I know this is the wrong time and the wrong place but I had to tell ya! I wanna spend my life with you. I wanna marry you. I wanna have kids with you. (そうだね、ごめんよ。これが最悪の時で最悪の場所だってわかってる。でも君に言わないといけなかったんだ! 僕は君と一緒に人生を過ごしたい。君と結婚したい。君と子供を持ちたいんだ。)
モニカ: Oh God.... (Starts looking around.) Why don't they put chairs back here?! (まぁ、なんてこと… [あたりを見回し始める] どうしてここに椅子を置かないの[置いておいてくれないの]?)
突然のリチャードからの告白に、言葉にならないことしか言えないモニカ。
リチャードは、自分の今の気持ちを何とか説明しようとしています。
「僕がここにいるべきじゃないってわかってる」と言って、you're with Chandler... とその後、言葉を続けていますね。
you're with Chandler は、「君はチャンドラーと一緒にいる」ですから、「君とチャンドラーは付き合ってる」ということですね。
a guy I really like は、その前の Chanlder をカンマで区切って、チャンドラーという人を言い換えた感覚の同格のニュアンス。
チャンドラー、(その彼は)僕が本当に好きな男なんだけどね、という感じです。
その後のセリフが、このシリアスな状況とはちょっと異なるジョークになっているのがフレンズらしいですね。
「もしチャンドラーがストレート(同性愛者ではない異性愛者)だとモニカが言うのなら、僕はそれを信じるよ」と言っているわけですが、それはつまり、「僕はチャンドラーがゲイだと思っていたけど、君が彼をゲイじゃないと言うのなら、君の言葉を信じるよ」と言っているのですね。
別にチャンドラーに対する悪意からそんなことを言っているわけではないでしょうが、このどさくさに紛れて、「僕は彼をゲイだと思っていたんだが、君と付き合ってるっていうことはゲイじゃなかったんだね」みたいな言葉を挟んでいるのが、コメディっぽいと言えるでしょう。
I knew if I didn't tell ya, I'd regret it for the rest of my life. について。
for the rest of my life は「僕の人生の残りの期間」ということですから、「今後の僕の人生、死ぬまでずっと」という意味になります。
こんなことを言うべきじゃないってわかってる、君はチャンドラーと付き合ってるんだし、でも言わないと、これから先の人生で言わなかったことを後悔するって思ったんだ、ということです。
そして、let you go したことが、これまででもっとも愚かなことだった、とも言っています。
let you go は文字通り、「君を行かせる」ということで、この場合は、君が去るのを引き留めなかった、君を手離してしまった、と言っていることになるでしょう。
次から次へと衝撃発言が続く中、モニカは、「あなたはこんなところにいるべきじゃないのに」というのが精一杯。
back here の back は、前回も説明したように、「レストランの奥の舞台裏であるキッチン、厨房」のニュアンスですね。
客であるあなたは、関係者以外立ち入り禁止の場所にいちゃいけないのよ、と言っている感覚になります。
リチャードもその back here という場所のニュアンスを受けて、「不適切な時(タイミング)、不適切な場所だってわかってる」と言って謝っています。
君の仕事中に、君の仕事場に押しかけて、こんなことを言うことがよくないことはわかってるんだ、ということですね。
そう言いながらも、「でも僕は言わなきゃならないんだ」と言って、以下のような、決め台詞となるようなセリフを3つも続けて言っています。
I wanna spend my life with you. I wanna marry you. I wanna have kids with you.
つまり、「君と一緒に人生を過ごしたい」「君と結婚したい」「君と子供を持ちたい[作りたい]」という、ダイレクトでストレートすぎる言葉です。
前回のエピソードでは、プロポーズを延期したチャンドラーが、モニカを驚かすためにわざと「結婚する気なんか毛頭ない」ふりをすることを決めて、「結婚制度に否定的な男」をモニカの前で演じていました。
そういうチャンドラーを見た後に、元カレであるリチャードから、こうもはっきり、「結婚したい、子供も持ちたい」と言われたモニカの衝撃は、ものすごいものがあるでしょう。
シーズン2の後半に付き合っていたモニカとリチャードですが、その二人が別れることになったのは、子供を持つことに対する二人の考え方の違いでした。
過去記事、フレンズ2-24その27 で、二人の意見の相違が明白になっていましたね。
孫のいる年齢で今さら子供を持つことに抵抗があるという理由からモニカとリチャードは別れた、という経緯があるために、今度は子供を持つことをも容認した告白であったことも、モニカにとっては驚きだったのですね。
モニカはその告白にさらに動揺してしまって、まわりを見回しながら、「どうしてここには椅子がないの?」みたいなことを言っています。
they というのは、このレストランの関係者のことですね。
厨房に、シェフが一休みするための椅子をどうして置いておいてくれないの?みたいな感じです。
常に椅子が用意してあればいいのに、とても立ってはいられないようなこんな時に、腰掛ける椅子さえないじゃない、と、椅子を用意すべき人たちに怒りをぶつけることで、何とか気持ちを保っているニュアンスになるでしょう。
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2012年08月22日
シェフに賛辞の言葉を述べる フレンズ6-24その6
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[Scene: Monica's Restaurant's kitchen, she's cooking as a waitress sticks her head in.]
モニカのレストランのキッチン。モニカが調理していると、ウェイトレスが(ひょいと)顔を出す。
ウェイトレス: Hey, Monica, there's a customer who wants to compliment the chef. Shall I let him in? (ねぇ、モニカ、シェフを賞賛したいっていうお客さんがいるの。彼を中に入れましょうか?)
モニカ: Sure! I love this part! (Starts to look busy.) (もちろん! この時が大好きなのよ! [忙しそうに見えるようにする])
ウェイトレス: (to the customer) Come on in. ([その客に] どうぞ中に入って。)
(The customer turns out to be...)
その客は…(だとわかる)。
リチャード: Hi! (やあ!)
モニカ: Richard! (リチャード!)
リチャード: Actually, I'm not here to compliment the chef. (実際には、シェフを賞賛するためにここに来たんじゃないんだ。)
モニカ: Ohh.... Oh, that's okay. I hate when people come back to compliment the chef. Like I have nothing better to do! So what's up? (あぁ…。そんなの構わないわ。人がシェフを賞賛しに(裏まで)来るのは嫌いだもの。まるで私が他にすべきことが何もないみたいに(仕事の邪魔しに来るんだから)。それで、どうしたの?)
リチャード: Well, it was great seeing you the other night. (うーんと、先日の夜に君に会えたのは良かった。)
モニカ: Oh, good to see you too. Did you come down here to tell me that? (ええ、私もあなたに会えて良かったわ。そのことを言うためにここに来たの?)
リチャード: No! I came here to tell you something else. (Pause) Came here (Pause) to tell you I still love you. (違うよ! 別のことを君に言うためにここに来た。[沈黙] ここに来たのは [沈黙] 君に言うためだ、まだ君を愛してる、って。)
キッチンで仕事中のモニカのところに、ウェイトレスが顔を出し、compliment the chef したいお客さんがいるの、と知らせます。
compliment は名詞では「賛辞、ほめ言葉」、動詞では「賛辞を述べる、ほめる」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
compliment [verb, transitive] : to say something nice to someone in order to praise them
つまり、「ある人を褒めるために、その人に良いこと(ナイスなこと)を言うこと」。
Thank you for the compliment. 「お褒めのお言葉ありがとうございます」は、誰かが褒めてくれたことに対する決まり文句ですね。
ですから、compliment the chef は、「(料理を担当した)シェフをほめる、そのシェフに賛辞の言葉を述べる」ということになります。
今日の料理がとてもおいしかったので、シェフに一言お礼と賞賛の言葉を述べたい、ということですね。
ちなみに、ネットスクリプトでは、complement という綴りで書かれていましたが、complement は名詞で「補足物」、動詞で「補足する」という意味になる、別の単語です。
i と e の違いだけなので、この2つは間違いやすい単語です。注意しましょう。
それを聞いたモニカは、Sure! I love this part! と喜んでいますね。
I love this part. は、少し前の記事、フレンズ6-24その4 に出てきたロスのセリフ、I hate this part. の正反対の意味の言葉です。
ロスは、別れ話をするのが一番いやなんだ、という意味で、I hate this part. と言っていましたが、モニカの場合は、「お客さんが料理を褒めてくれる瞬間が、シェフは一番嬉しいのよ、シェフとして一番大好きな部分がこれなのよね」みたいな意味で言ってるわけですね。
モニカの場合も、ロスの場合も、それぞれが一連の行動の中で、この部分が好き、嫌いと言っていることになります。
「ここがいいとこなのよ」「ここがいやなとこなんだ」みたいな感覚ですね。
ウェイトレスが招き入れた客は何とリチャード。
彼は、「実は、シェフを賞賛しに来たんじゃないんだ(賞賛するためにここにいるんじゃないんだ)」と言います。
「この瞬間が大好きなのよね」みたいに言っていたモニカですが、「褒めに来たんじゃない」と言われ、「それでいいわ。人がシェフを賞賛しにくるのは嫌いだし」みたいな負け惜しみを言っています。
come back to の back は「もう一度来る」という意味ではなく、back つまり、レストランの舞台裏である奥のキッチンまでやってくる、というニュアンスかなと思います。
お客さんがシェフを褒めるために、わざわざこの奥までやってくるのが、いやなのよね、と言っている感覚だと思います。
Like I have nothing better to do! は、「まるで私がすべき、より良いことがないみたいに!」と訳せば良いでしょうか。
私は台所でシェフとしてやるべき大切な仕事がたくさんある、それを、私がここで暇を持て余してるみたいに、ちょろちょろと挨拶に来られても迷惑なだけなのよね、と言っている感覚になるでしょう。
「まるで私がすることのない暇人みたいに、仕事を邪魔しに来るんだから…」とボヤいているわけですね。
リチャードは、「先日の夜、君に会えたのは良かった」と言い、モニカも同じように返します。
そんなことを言うために、わざわざここまで来たの?という怪訝なモニカに、リチャードは、something else 「(それとは)他の何か、あること」を言うために来たと言って、躊躇するように何度も沈黙を挟みながらも、ついには、I still love you という告白の言葉を述べることになります。
腕を組んでリチャードの話を聞いていたモニカは、そのまま固まってしまって、驚いた様子でどう言えばいいかわからない、という顔をしています。
今回のエピソード(フレンズ6-24)は、このまま画面が暗転し、続きは次回(6-25)ということになります。
通常のシーズンは、1シーズン24回ということが多いですが、ファイナルシーズン(シーズン10)の18話を除くと、1シーズンが24回でないのは(1シーズン25回あるのは)、シーズン3と今回のシーズン6だけになります。
通常よりも1話多い状態でのシーズンフィナーレに、期待も高まってしまいますね。
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[Scene: Monica's Restaurant's kitchen, she's cooking as a waitress sticks her head in.]
モニカのレストランのキッチン。モニカが調理していると、ウェイトレスが(ひょいと)顔を出す。
ウェイトレス: Hey, Monica, there's a customer who wants to compliment the chef. Shall I let him in? (ねぇ、モニカ、シェフを賞賛したいっていうお客さんがいるの。彼を中に入れましょうか?)
モニカ: Sure! I love this part! (Starts to look busy.) (もちろん! この時が大好きなのよ! [忙しそうに見えるようにする])
ウェイトレス: (to the customer) Come on in. ([その客に] どうぞ中に入って。)
(The customer turns out to be...)
その客は…(だとわかる)。
リチャード: Hi! (やあ!)
モニカ: Richard! (リチャード!)
リチャード: Actually, I'm not here to compliment the chef. (実際には、シェフを賞賛するためにここに来たんじゃないんだ。)
モニカ: Ohh.... Oh, that's okay. I hate when people come back to compliment the chef. Like I have nothing better to do! So what's up? (あぁ…。そんなの構わないわ。人がシェフを賞賛しに(裏まで)来るのは嫌いだもの。まるで私が他にすべきことが何もないみたいに(仕事の邪魔しに来るんだから)。それで、どうしたの?)
リチャード: Well, it was great seeing you the other night. (うーんと、先日の夜に君に会えたのは良かった。)
モニカ: Oh, good to see you too. Did you come down here to tell me that? (ええ、私もあなたに会えて良かったわ。そのことを言うためにここに来たの?)
リチャード: No! I came here to tell you something else. (Pause) Came here (Pause) to tell you I still love you. (違うよ! 別のことを君に言うためにここに来た。[沈黙] ここに来たのは [沈黙] 君に言うためだ、まだ君を愛してる、って。)
キッチンで仕事中のモニカのところに、ウェイトレスが顔を出し、compliment the chef したいお客さんがいるの、と知らせます。
compliment は名詞では「賛辞、ほめ言葉」、動詞では「賛辞を述べる、ほめる」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
compliment [verb, transitive] : to say something nice to someone in order to praise them
つまり、「ある人を褒めるために、その人に良いこと(ナイスなこと)を言うこと」。
Thank you for the compliment. 「お褒めのお言葉ありがとうございます」は、誰かが褒めてくれたことに対する決まり文句ですね。
ですから、compliment the chef は、「(料理を担当した)シェフをほめる、そのシェフに賛辞の言葉を述べる」ということになります。
今日の料理がとてもおいしかったので、シェフに一言お礼と賞賛の言葉を述べたい、ということですね。
ちなみに、ネットスクリプトでは、complement という綴りで書かれていましたが、complement は名詞で「補足物」、動詞で「補足する」という意味になる、別の単語です。
i と e の違いだけなので、この2つは間違いやすい単語です。注意しましょう。
それを聞いたモニカは、Sure! I love this part! と喜んでいますね。
I love this part. は、少し前の記事、フレンズ6-24その4 に出てきたロスのセリフ、I hate this part. の正反対の意味の言葉です。
ロスは、別れ話をするのが一番いやなんだ、という意味で、I hate this part. と言っていましたが、モニカの場合は、「お客さんが料理を褒めてくれる瞬間が、シェフは一番嬉しいのよ、シェフとして一番大好きな部分がこれなのよね」みたいな意味で言ってるわけですね。
モニカの場合も、ロスの場合も、それぞれが一連の行動の中で、この部分が好き、嫌いと言っていることになります。
「ここがいいとこなのよ」「ここがいやなとこなんだ」みたいな感覚ですね。
ウェイトレスが招き入れた客は何とリチャード。
彼は、「実は、シェフを賞賛しに来たんじゃないんだ(賞賛するためにここにいるんじゃないんだ)」と言います。
「この瞬間が大好きなのよね」みたいに言っていたモニカですが、「褒めに来たんじゃない」と言われ、「それでいいわ。人がシェフを賞賛しにくるのは嫌いだし」みたいな負け惜しみを言っています。
come back to の back は「もう一度来る」という意味ではなく、back つまり、レストランの舞台裏である奥のキッチンまでやってくる、というニュアンスかなと思います。
お客さんがシェフを褒めるために、わざわざこの奥までやってくるのが、いやなのよね、と言っている感覚だと思います。
Like I have nothing better to do! は、「まるで私がすべき、より良いことがないみたいに!」と訳せば良いでしょうか。
私は台所でシェフとしてやるべき大切な仕事がたくさんある、それを、私がここで暇を持て余してるみたいに、ちょろちょろと挨拶に来られても迷惑なだけなのよね、と言っている感覚になるでしょう。
「まるで私がすることのない暇人みたいに、仕事を邪魔しに来るんだから…」とボヤいているわけですね。
リチャードは、「先日の夜、君に会えたのは良かった」と言い、モニカも同じように返します。
そんなことを言うために、わざわざここまで来たの?という怪訝なモニカに、リチャードは、something else 「(それとは)他の何か、あること」を言うために来たと言って、躊躇するように何度も沈黙を挟みながらも、ついには、I still love you という告白の言葉を述べることになります。
腕を組んでリチャードの話を聞いていたモニカは、そのまま固まってしまって、驚いた様子でどう言えばいいかわからない、という顔をしています。
今回のエピソード(フレンズ6-24)は、このまま画面が暗転し、続きは次回(6-25)ということになります。
通常のシーズンは、1シーズン24回ということが多いですが、ファイナルシーズン(シーズン10)の18話を除くと、1シーズンが24回でないのは(1シーズン25回あるのは)、シーズン3と今回のシーズン6だけになります。
通常よりも1話多い状態でのシーズンフィナーレに、期待も高まってしまいますね。
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2012年08月20日
お前であることが報われる フレンズ6-24その5
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リチャードに出くわして、婚約指輪を渡し損ねたチャンドラー。
それを知らないフィービーとジョーイが、モニカを見た途端、「(指輪をはめている)手を見せて!」と騒いだことにチャンドラーは怒っています。
モニカは変に思いながらも、指輪のことだとは気付かず立ち去りますが、プロポーズを明日に延期したチャンドラーは、モニカにプロポーズのことを悟られないようにするにはどうすればいいか悩んでいます。
チャンドラー: This is terrible. What am I going to do? (こんなの最低だよ。俺はどうすればいい?)
フィービー: Look, she only suspects something, okay? She doesn't know for sure, so just throw her off the track. (ねぇ、モニカはただ何かをうすうす怪しいと思ってるだけよ、でしょ? 彼女は確実に知ってるわけじゃない、だからただモニカが手掛かりから離れるようにすれば(モニカをまけば)いいだけよ。)
チャンドラー: That's right, I can throw her off. I can make her think marriage is the last thing on my mind. (その通りだ、俺は彼女を混乱させることができるぞ。結婚なんて全く考えてないんだって彼女に思わせることができる。)
フィービー: Yeah! Yeah! Convince her that-that you're scared of commitment! (そうよ! そうよ! あなたはコミットメントを恐れてるって確信させるのよ!)
チャンドラー: I can do that. I've had 30 years of practice. (それならできるよ。俺は30年間実行してきたんだから[30年の実践経験があるから]。)
ジョーイ: Hey, being you is finally gonna pay off! (They give each other fives.) (おい、”お前であること”がついに報われることになるな! [二人はお互いにハイファイブをする])
she only suspects something の suspect は、「〜を怪しいと思う、〜にうすうす気づく」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
suspect : to think that something bad or secret is probably happening, true, or likely
つまり、「何か悪いことや秘密が恐らく起こっている、真実である、あり得ると思うこと」。
モニカの場合も、何か妙なことが起こっているとは感じるものの、それが何がははっきりわかっていない、という感覚ですね。
for sure は「確実に、確かに」なので、She doesn't know for sure は「確実に知ってる・わかってるわけじゃない」。
ぼんやりとした疑念を持っているだけで、何のことかははっきりしていないから、ただ、throw her off the track すればいい、とフィービーはアドバイスしています。
track は「足跡」「進路」「軌道」のような意味で、off the track は off の「離れる、分離」のニュアンスから、「軌道からはずれて」という意味になります。
throw off は「投げる、捨てる」+「分離」のニュアンスで「〜を投げ捨てる、振り捨てる」ことから、「(追っ手)から逃れる、(追っ手)をまく」という意味にもなります。
ですから、throw her off the track は、「モニカを軌道からはずれるように振り捨てる」という感覚で、「秘密が何かを掴もうとしている軌道(手掛かり)から離れるようにモニカをまく」というようなことになるでしょう。
そう言われてチャンドラーも、「その通りだ。俺はモニカを throw off することができる」と言っています。
I can make her think... つまり、「モニカに…だと思わせることができる」とも言っています。
モニカに思わせる内容は、marriage is the last thing on my mind と表現されています。
the last thing は「最後のこと」ですから、「最もしそうにないこと、最もやりたくないこと」という意味になります。
LAAD では、
the last person/thing : used for emphasizing that a particular person or thing etc. is much less likely, appropriate, or desirable than all others
つまり、the last person や the last thing とは、「ある人やあることなどが、他のものに比べてずっと可能性がないこと、適切でないこと、望ましくないことを強調するために使われる」。
そして、セリフにあった表現、be the last thing on somebody's mind も、LAAD に載っていました。
be the last thing on somebody's mind : to be the thing that someone is least likely to be thinking about
例) Marriage is the last thing on my mind right now.
つまり、「人がそれについて考える可能性が最も少ないことであること」。例文は、「今は、結婚のことは全く考えていない」。
この例文がチャンドラーのセリフとほぼ同じなのが興味深いですね。
「そんなことこれっぽっちも思っちゃいない」みたいな例文を作る場合に、「結婚」という言葉がイメージされやすいんですねぇ。
convince は「納得させる、確信させる」。
commitment 「男女の真剣で深い付き合い」をチャンドラーは恐れてると、モニカに確信させるのよ、ということです。
チャンドラーは「俺にはそれができる」と言って、I've had 30 years of practice. とも言っています。
practice は「練習」という訳語で覚えることが多いですが、この場合は、「実行、実践」「(実地の)経験」みたいな意味ですね。
つまり、「俺には30年の実践経験があるから」と言っていることになり、「深い付き合い恐怖症、結婚恐怖症ってやつをこの30年間ずっと経験してきたから、そういうふりをするのは慣れてるよ」と自虐的に言っていることになります。
それに対するジョーイの言葉も面白いですね。
pay off は「うまくいく、成功する、報われる」という意味。
LAAD では、
pay off: if something you do pay off, it brings success, especially after a lot of effort or after a long time.
つまり、「自分のする何かが pay off するとは、それが成功をもたらす、特にたくさんの努力の後、または長い時間の後に」。
being you は「お前である、ということ」という動名詞で、「お前であるということが、ついに報われることになる」と言っていることになります。
これまでずっと、コミットメント恐怖症で何もいいことなかったけど、そういうお前であることが、今回やっと報われるんだな、コミットメント恐怖症であったことが、やっと役に立つんだな、と言っているわけです。
「お前であることが、お前でいることがやっと報われる」とまで言われてるチャンドラーって…と同情したくなりますね。
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リチャードに出くわして、婚約指輪を渡し損ねたチャンドラー。
それを知らないフィービーとジョーイが、モニカを見た途端、「(指輪をはめている)手を見せて!」と騒いだことにチャンドラーは怒っています。
モニカは変に思いながらも、指輪のことだとは気付かず立ち去りますが、プロポーズを明日に延期したチャンドラーは、モニカにプロポーズのことを悟られないようにするにはどうすればいいか悩んでいます。
チャンドラー: This is terrible. What am I going to do? (こんなの最低だよ。俺はどうすればいい?)
フィービー: Look, she only suspects something, okay? She doesn't know for sure, so just throw her off the track. (ねぇ、モニカはただ何かをうすうす怪しいと思ってるだけよ、でしょ? 彼女は確実に知ってるわけじゃない、だからただモニカが手掛かりから離れるようにすれば(モニカをまけば)いいだけよ。)
チャンドラー: That's right, I can throw her off. I can make her think marriage is the last thing on my mind. (その通りだ、俺は彼女を混乱させることができるぞ。結婚なんて全く考えてないんだって彼女に思わせることができる。)
フィービー: Yeah! Yeah! Convince her that-that you're scared of commitment! (そうよ! そうよ! あなたはコミットメントを恐れてるって確信させるのよ!)
チャンドラー: I can do that. I've had 30 years of practice. (それならできるよ。俺は30年間実行してきたんだから[30年の実践経験があるから]。)
ジョーイ: Hey, being you is finally gonna pay off! (They give each other fives.) (おい、”お前であること”がついに報われることになるな! [二人はお互いにハイファイブをする])
she only suspects something の suspect は、「〜を怪しいと思う、〜にうすうす気づく」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
suspect : to think that something bad or secret is probably happening, true, or likely
つまり、「何か悪いことや秘密が恐らく起こっている、真実である、あり得ると思うこと」。
モニカの場合も、何か妙なことが起こっているとは感じるものの、それが何がははっきりわかっていない、という感覚ですね。
for sure は「確実に、確かに」なので、She doesn't know for sure は「確実に知ってる・わかってるわけじゃない」。
ぼんやりとした疑念を持っているだけで、何のことかははっきりしていないから、ただ、throw her off the track すればいい、とフィービーはアドバイスしています。
track は「足跡」「進路」「軌道」のような意味で、off the track は off の「離れる、分離」のニュアンスから、「軌道からはずれて」という意味になります。
throw off は「投げる、捨てる」+「分離」のニュアンスで「〜を投げ捨てる、振り捨てる」ことから、「(追っ手)から逃れる、(追っ手)をまく」という意味にもなります。
ですから、throw her off the track は、「モニカを軌道からはずれるように振り捨てる」という感覚で、「秘密が何かを掴もうとしている軌道(手掛かり)から離れるようにモニカをまく」というようなことになるでしょう。
そう言われてチャンドラーも、「その通りだ。俺はモニカを throw off することができる」と言っています。
I can make her think... つまり、「モニカに…だと思わせることができる」とも言っています。
モニカに思わせる内容は、marriage is the last thing on my mind と表現されています。
the last thing は「最後のこと」ですから、「最もしそうにないこと、最もやりたくないこと」という意味になります。
LAAD では、
the last person/thing : used for emphasizing that a particular person or thing etc. is much less likely, appropriate, or desirable than all others
つまり、the last person や the last thing とは、「ある人やあることなどが、他のものに比べてずっと可能性がないこと、適切でないこと、望ましくないことを強調するために使われる」。
そして、セリフにあった表現、be the last thing on somebody's mind も、LAAD に載っていました。
be the last thing on somebody's mind : to be the thing that someone is least likely to be thinking about
例) Marriage is the last thing on my mind right now.
つまり、「人がそれについて考える可能性が最も少ないことであること」。例文は、「今は、結婚のことは全く考えていない」。
この例文がチャンドラーのセリフとほぼ同じなのが興味深いですね。
「そんなことこれっぽっちも思っちゃいない」みたいな例文を作る場合に、「結婚」という言葉がイメージされやすいんですねぇ。
convince は「納得させる、確信させる」。
commitment 「男女の真剣で深い付き合い」をチャンドラーは恐れてると、モニカに確信させるのよ、ということです。
チャンドラーは「俺にはそれができる」と言って、I've had 30 years of practice. とも言っています。
practice は「練習」という訳語で覚えることが多いですが、この場合は、「実行、実践」「(実地の)経験」みたいな意味ですね。
つまり、「俺には30年の実践経験があるから」と言っていることになり、「深い付き合い恐怖症、結婚恐怖症ってやつをこの30年間ずっと経験してきたから、そういうふりをするのは慣れてるよ」と自虐的に言っていることになります。
それに対するジョーイの言葉も面白いですね。
pay off は「うまくいく、成功する、報われる」という意味。
LAAD では、
pay off: if something you do pay off, it brings success, especially after a lot of effort or after a long time.
つまり、「自分のする何かが pay off するとは、それが成功をもたらす、特にたくさんの努力の後、または長い時間の後に」。
being you は「お前である、ということ」という動名詞で、「お前であるということが、ついに報われることになる」と言っていることになります。
これまでずっと、コミットメント恐怖症で何もいいことなかったけど、そういうお前であることが、今回やっと報われるんだな、コミットメント恐怖症であったことが、やっと役に立つんだな、と言っているわけです。
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2012年08月15日
今年は結婚できないかもしれないぞ フレンズ6-24その4
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エリザベスをお芝居に誘おうとしたロスですが、大学生のエリザベスは同級生たちと水風船を投げ合って遊んでいました。
子供っぽい遊びをするエリザベスを見て、ロスは違和感を感じ始めている様子。
このまま付き合うべきか悩むロスに、モニカは、彼女と付き合うことについて、長所(良いこと)と短所(悪いこと)を挙げて比較してみたら?と助言します。
ロス: Okay umm, bad stuff. Well, I'm-I'm 12 years older than she is. (わかった。うーんと、短所は、僕は彼女より12歳も年上だ。)
モニカ: If the school finds out, you're fired. (もし大学が(二人の関係を)知ったら、あなたはクビよ。)
ロス: Hmm. (うーん。)
モニカ: She's leaving for three months. (彼女は3カ月ここを離れるし。)
チャンドラー: For camp! (キャンプのためにね。)
ロス: Okay, good stuff. Umm, well she's-she's sweet and pretty and.... (よし、長所だ。うーんと、そうだな、彼女は優しくて可愛くて…)
モニカ: Look, Ross, the only question you need to ask is, do you see a future? I mean like, do you see yourself marrying her? (Ross pauses in consideration.) Oh, my God! You did it already! You married her, didn't you?! (ねぇ、ロス、あなたが問う必要がある唯一の質問は、あなたには未来が見える?ってことよ。つまり、あなた自身が彼女と結婚しようとしている姿が見える?ってこと。[ロスは考えて、しばらく沈黙する] まあ、なんてこと! ロスはすでに(それを)したのね! ロスはエリザベスと結婚したんでしょう?)
ロス: No! No! I... didn't do that. It's just.... Okay, honestly, no. I don't, I don't see a big future with her. (いや、いや、僕はそんなことはしてないよ。ただ…よし、正直に言うと、ノーだ。僕には彼女との大きな未来が見えない。)
モニカ: Okay, well, I think... that's your answer. (わかった、じゃあ、私は…それがあなたの答えだと思うわ。)
ロス: I've got to talk to her. Ugh, I hate this part. (彼女に話さなきゃ。あー、こういうのっていやなんだよな。)
チャンドラー: Hey, you have to forget about Elizabeth. I mean if you're not careful, you may not get married at all this year! (なぁ、ロスはエリザベスを忘れないといけないんだ。だって、気をつけないと、ロスは今年、全然結婚できないかもしれないぞ。)
エリザベスとの交際についての、bad stuff と good stuff を挙げて、それを比べようとしているロス。
悪い点として、ロスが12歳も年上であることを挙げると、モニカはそれに付け加えるように、「もし学校が知ったら、あなたはクビよ」とも言っています。
「教師と生徒は交際してはならない」という大学の規定があるために、それに違反しているロスは解雇されてしまうということですね。
エリザベスはキャンプに行くために長期間不在であることも悪い点に挙げられています。
何とか良い部分も探そうとするロスは、エリザベスは sweet で pretty だと言いますが、モニカはロスに、一番大切な問題が何かを教えようとしています。
the only question you need to ask is, do you see a future? は、ask までが主語で、「あなたが訪ねる必要がある唯一の質問は」ということですね。
その質問とは、"Do you see a future?" 「あなたは(ある)未来が見える?」だと言っていることになります。
a future という表現が漠然としているので、モニカは、I mean と言い換える形で、Do you see yourself marrying her? と問うています。
ここでの marry は「(人)と結婚する」という他動詞で、-ing と進行形になっているのは、「結婚しようとしている自分の姿があなたには見える?」と問うている感覚だと思います。
言い換えると、Do you see yourself getting married to her? と同じようなことでしょう。
-ing は日本語で「〜している」と訳される傾向にありますが、「彼女と結婚している(状態)」を表現したい場合は、be marrying her ではなく、be married to her の形を取ることにも注意したいところです。
「エリザベスと結婚しようとしている自分の姿がロスには見えてる?」みたいに言われて、ロスはしばらく黙って考え込んでいます。
それを見て、モニカは驚いたように、「ロスはすでにそれをしたのね? ロスはエリザベスと結婚したんでしょう?」みたいに言っているのがおかしいですね。
ロスが沈黙したのは、すでに実行してしまった事実を指摘されたから、みたいにモニカは考えたわけですが、「彼女との結婚をイメージできる? まさか、もうすでに結婚しちゃってるの?」みたいに言われるのは、ロスは何度も(通算3回)結婚している、というフレンズお約束のネタを使ったジョークですね。
普通の人ならそんな話の展開にはなりませんが、「ロスならすでにこっそりエリザベスと結婚しちゃってるってことありうるわ」みたいにフレンズたちが思っているという面白さになるでしょう。
ロスは、すでに結婚したという話は否定して、「正直に言うと、彼女との未来は見えない」と言います。
ロスはただ、エリザベスとの結婚をイメージできるかをしばらく頭の中で考えていて返答が遅れただけだったのですね。
「彼女との未来が見えない」「なら、それがあなたの答えね」というやり取りから、ロスはエリザベスとの結婚はあり得ないとはっきり認識することになります。
彼女と話さなきゃ、というのは、彼女に重要な話、ここでは別れ話をしなくちゃ、という意味ですね。
I hate this part. を直訳すると、「僕はこの部分が嫌いだ」ということで、その part というのは、I've got to talk to her. という部分ですね。
つまりは、人との恋愛関係の中で、別れ話をする時が一番いやなんだ、と言っていることになります。
嫌だと言っても、ロスはエリザベスを忘れなきゃいけない、とチャンドラーは言っています。
彼女との未来が描けないなら、忘れるしかないだろ、というアドバイスのようですが、その続きを聞いてみると、チャンドラーらしいジョークになっているのがポイントですね。
チャンドラーは、「彼女を忘れないと。だってもしお前が気をつけなければ(油断してると)、今年は全く結婚できないかもしれない」と言っています。
つまり、「エリザベスのことを忘れられなくてウダウダ時を過ごしてると、今年は結婚するチャンスを逃しちゃうかもしれないぞ」みたいなことですね。
これもまた、「ロスは毎年のように結婚している」という結婚ネタを使ってからかっていることになります。
別にロスは好き好んで何回も結婚しているわけではないでしょうが、フレンズたちは、ロスを「結婚したがりの結婚マニア」か何かのようにからかう傾向があって、このチャンドラーのセリフも、「さっさと忘れて次を探さないと、毎年の連続結婚記録が途切れるぞ」みたいに言っているというジョークになるわけですね。
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エリザベスをお芝居に誘おうとしたロスですが、大学生のエリザベスは同級生たちと水風船を投げ合って遊んでいました。
子供っぽい遊びをするエリザベスを見て、ロスは違和感を感じ始めている様子。
このまま付き合うべきか悩むロスに、モニカは、彼女と付き合うことについて、長所(良いこと)と短所(悪いこと)を挙げて比較してみたら?と助言します。
ロス: Okay umm, bad stuff. Well, I'm-I'm 12 years older than she is. (わかった。うーんと、短所は、僕は彼女より12歳も年上だ。)
モニカ: If the school finds out, you're fired. (もし大学が(二人の関係を)知ったら、あなたはクビよ。)
ロス: Hmm. (うーん。)
モニカ: She's leaving for three months. (彼女は3カ月ここを離れるし。)
チャンドラー: For camp! (キャンプのためにね。)
ロス: Okay, good stuff. Umm, well she's-she's sweet and pretty and.... (よし、長所だ。うーんと、そうだな、彼女は優しくて可愛くて…)
モニカ: Look, Ross, the only question you need to ask is, do you see a future? I mean like, do you see yourself marrying her? (Ross pauses in consideration.) Oh, my God! You did it already! You married her, didn't you?! (ねぇ、ロス、あなたが問う必要がある唯一の質問は、あなたには未来が見える?ってことよ。つまり、あなた自身が彼女と結婚しようとしている姿が見える?ってこと。[ロスは考えて、しばらく沈黙する] まあ、なんてこと! ロスはすでに(それを)したのね! ロスはエリザベスと結婚したんでしょう?)
ロス: No! No! I... didn't do that. It's just.... Okay, honestly, no. I don't, I don't see a big future with her. (いや、いや、僕はそんなことはしてないよ。ただ…よし、正直に言うと、ノーだ。僕には彼女との大きな未来が見えない。)
モニカ: Okay, well, I think... that's your answer. (わかった、じゃあ、私は…それがあなたの答えだと思うわ。)
ロス: I've got to talk to her. Ugh, I hate this part. (彼女に話さなきゃ。あー、こういうのっていやなんだよな。)
チャンドラー: Hey, you have to forget about Elizabeth. I mean if you're not careful, you may not get married at all this year! (なぁ、ロスはエリザベスを忘れないといけないんだ。だって、気をつけないと、ロスは今年、全然結婚できないかもしれないぞ。)
エリザベスとの交際についての、bad stuff と good stuff を挙げて、それを比べようとしているロス。
悪い点として、ロスが12歳も年上であることを挙げると、モニカはそれに付け加えるように、「もし学校が知ったら、あなたはクビよ」とも言っています。
「教師と生徒は交際してはならない」という大学の規定があるために、それに違反しているロスは解雇されてしまうということですね。
エリザベスはキャンプに行くために長期間不在であることも悪い点に挙げられています。
何とか良い部分も探そうとするロスは、エリザベスは sweet で pretty だと言いますが、モニカはロスに、一番大切な問題が何かを教えようとしています。
the only question you need to ask is, do you see a future? は、ask までが主語で、「あなたが訪ねる必要がある唯一の質問は」ということですね。
その質問とは、"Do you see a future?" 「あなたは(ある)未来が見える?」だと言っていることになります。
a future という表現が漠然としているので、モニカは、I mean と言い換える形で、Do you see yourself marrying her? と問うています。
ここでの marry は「(人)と結婚する」という他動詞で、-ing と進行形になっているのは、「結婚しようとしている自分の姿があなたには見える?」と問うている感覚だと思います。
言い換えると、Do you see yourself getting married to her? と同じようなことでしょう。
-ing は日本語で「〜している」と訳される傾向にありますが、「彼女と結婚している(状態)」を表現したい場合は、be marrying her ではなく、be married to her の形を取ることにも注意したいところです。
「エリザベスと結婚しようとしている自分の姿がロスには見えてる?」みたいに言われて、ロスはしばらく黙って考え込んでいます。
それを見て、モニカは驚いたように、「ロスはすでにそれをしたのね? ロスはエリザベスと結婚したんでしょう?」みたいに言っているのがおかしいですね。
ロスが沈黙したのは、すでに実行してしまった事実を指摘されたから、みたいにモニカは考えたわけですが、「彼女との結婚をイメージできる? まさか、もうすでに結婚しちゃってるの?」みたいに言われるのは、ロスは何度も(通算3回)結婚している、というフレンズお約束のネタを使ったジョークですね。
普通の人ならそんな話の展開にはなりませんが、「ロスならすでにこっそりエリザベスと結婚しちゃってるってことありうるわ」みたいにフレンズたちが思っているという面白さになるでしょう。
ロスは、すでに結婚したという話は否定して、「正直に言うと、彼女との未来は見えない」と言います。
ロスはただ、エリザベスとの結婚をイメージできるかをしばらく頭の中で考えていて返答が遅れただけだったのですね。
「彼女との未来が見えない」「なら、それがあなたの答えね」というやり取りから、ロスはエリザベスとの結婚はあり得ないとはっきり認識することになります。
彼女と話さなきゃ、というのは、彼女に重要な話、ここでは別れ話をしなくちゃ、という意味ですね。
I hate this part. を直訳すると、「僕はこの部分が嫌いだ」ということで、その part というのは、I've got to talk to her. という部分ですね。
つまりは、人との恋愛関係の中で、別れ話をする時が一番いやなんだ、と言っていることになります。
嫌だと言っても、ロスはエリザベスを忘れなきゃいけない、とチャンドラーは言っています。
彼女との未来が描けないなら、忘れるしかないだろ、というアドバイスのようですが、その続きを聞いてみると、チャンドラーらしいジョークになっているのがポイントですね。
チャンドラーは、「彼女を忘れないと。だってもしお前が気をつけなければ(油断してると)、今年は全く結婚できないかもしれない」と言っています。
つまり、「エリザベスのことを忘れられなくてウダウダ時を過ごしてると、今年は結婚するチャンスを逃しちゃうかもしれないぞ」みたいなことですね。
これもまた、「ロスは毎年のように結婚している」という結婚ネタを使ってからかっていることになります。
別にロスは好き好んで何回も結婚しているわけではないでしょうが、フレンズたちは、ロスを「結婚したがりの結婚マニア」か何かのようにからかう傾向があって、このチャンドラーのセリフも、「さっさと忘れて次を探さないと、毎年の連続結婚記録が途切れるぞ」みたいに言っているというジョークになるわけですね。
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2012年08月13日
居心地悪いと冗談言っちゃう フレンズ6-24その3
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チャンドラーがモニカにプロポーズの言葉を述べ始めた直後に、そのレストランの入り口にリチャードの姿が見えます。
元カレの登場に驚いたモニカは、思わず「リチャード!」と声をかけてしまい、チャンドラーのプロポーズの言葉は中断されてしまいました。
モニカ: Hey, it's good to see you! (まぁ、あなたに会えて嬉しいわ!)
リチャード: You too, you let uh, your hair grow long. (僕も君に会えて嬉しいよ。君は髪の毛を長く伸ばしてるんだね。)
モニカ: Yeah. Oh, that's right. You, you always wanted me to. Hey, I see you got your mustache back. (ええ。その通りよ。あなたはいつも私にそうして欲しいって言ってたものね。ねぇ、あなたはヒゲをまた生やしてるのね。)
リチャード: Well, my nose got lonely. (あぁ、僕の鼻が寂しくなってね。)
チャンドラー: (to Richard's date) And uh, you don't have a mustache, which is good. (She just smiles.) I'm Chandler. I make jokes when I'm uncomfortable. ([リチャードのデート相手に] それで、あなたにはヒゲがないですね、それは良かった。[彼女はただ笑うだけ] 僕はチャンドラーです。僕はジョークを言っちゃうんですよ、居心地の悪い時に。)
リチャードのデート相手: Hi, I'm Lisa. (こんにちは、私はリサよ。)
チャンドラー: Hi. (こんにちは。)
リチャード: Oh, I'm sorry. (Introduces them.) Lisa, (nodding at each) Monica, Chandler. We used to date. (ああ、ごめん。[彼らを紹介する] リサ、[それぞれにうなずいて(それぞれをあごで示して)] モニカ(と)、チャンドラーだ。僕たちはかつてデートしていた[付き合っていた]んだよ。)
チャンドラー: Richard! No one's supposed to know about us! (Richard just smiles at him.) See I, did it again. (リチャード! 誰も僕ら[私たち]のことを知っちゃいけないことになってるだろ[でしょ]! [リチャードはただチャンドラーに微笑む] ほら、僕はまたやっちゃいました。)
チャンドラーがプロポーズしようとしていたことにも気づかず、モニカは元カレとの再会を喜んでいる様子。
You let your hair grow long. を直訳すると、「君は君の髪の毛を長く伸ばすことを許している」という感覚。
髪の毛は放っておくと自然に伸びるものなので、ヘアカットするなどして短くすることなしに、自然に伸びるままに任せている、という感覚から、let 「〜の状態になることを許す、〜の状態にさせる」が使われているのですね。
grow は Hair grows. 「髪の毛が伸びる」という自動詞でも使えますし、He grows his hair. 「彼は髪の毛を伸ばす」の形で、人が主語、髪の毛が目的語の形でも使えます。
そういう意味では、let がない形の、You grow your hair long. / You've grown your hair long. なども使えそうですが、あえて let を入れることで、「髪の毛が伸びるのを、あえて許している」というような感覚が感じられる気がします。
You always wanted me to. は、You always wanted me to grow my hair long. が省略された形。
リチャードの「(今は)髪を伸ばしてるんだね」というセリフから、リチャードが昔、モニカに「君は髪の毛が長い方が似合うから、長く伸ばしたら?」と勧めていたことを思い出したのですね。
「長い髪の毛と言えば、あなたはいつも、伸ばせ伸ばせ、って言ってたわよねぇ」みたいに懐かしそうに思い出話をしているわけです。
つまり、リチャードと付き合っていた当時は、リチャードが伸ばせと言っても髪の毛を短く切っていた、だからリチャードはあえて「今は長く伸びるのを”許している”、前みたいに伸びたからってすぐに切ったりしないんだね」という意味で let your hair grow long と言った、ということにも繋がるわけですね。
見た目の変化を言われたモニカは、リチャードにも同じようなことを返します。
「あなたがヒゲを取り戻したのが私には見える、わかる」みたいなことで、「あら、あなたのヒゲは復活したのね」みたいなことですね。
get lonely は「寂しくなる」ですから、鼻の下にヒゲがないと、鼻が寂しがったんでね、みたいに言っていることになります。
ヒゲの話が出たので、チャンドラーは話に割り込んできて、リチャードと一緒にいる女性に対して、「あなたにはヒゲがないですね、それは良かった(それはいいことです)」みたいに言っています。
女性だからヒゲがないのは当たり前なのですが、リチャードと同じような豊かなヒゲを生やした男性を同伴していたとすると、リチャードがゲイのカップルみたいになってしまうので、「あなたがヒゲの生えていない女性で良かった、リチャードのデート相手が女性で良かった」と言っているようにも思います。
妙なジョークにどう反応したらよいか判断しかねる同伴の女性は、ただ微笑むしかありません。
チャンドラーは遅ればせながら、という感じで名前を名乗って、「僕はジョークを言うんです、uncomfortable な時に」と説明しています。
つまり、今はちょっと居心地が悪くて、そういう時にはいつも、こんなつまらない冗談を言ってしまうんですよね、僕って…みたいにちょっと自虐的な自己紹介をしているわけですね。
自分の彼女が元カレと親しそうに話しているのを見て、チャンドラーは面白いはずもありません。
「あなたは長い髪の毛の方がいいって言ってたものね」みたいに言われたらなおさらです。
そういう「ちょっと今僕は気分・機嫌が悪い」というところを、さりげなく盛り込んで、「そういう時にジョークを言うような人間なんですよ、僕は」と、「習慣・習性を表す現在形」を使って、説明していることになります。
チャンドラーが自ら名乗って、それに答える形でリサも名乗るのですが、それを見てリチャードは「おっと、申し訳ない」みたいに謝っています。
普通はこんな風に、初対面の人がいる場合には、両方を知っている人がそれぞれを紹介するのが礼儀ですよね。
モニカとリチャードがそれぞれの同伴相手をほったらかして、紹介するのを忘れていたことを詫びる感覚になるでしょう。
逆に I'm sorry. と言ってしまうことで、「モニカとの再会に驚いて、モニカと話すのに夢中になって、紹介するのをすっかり忘れてたよ、ごめんごめん」と言っている形になり、ほっとかれた人にしてみたら、「君たちのこと、忘れてた」みたいにはっきり認められた形になるようで、あまり良い気はしない気がします。
そういう部分に、モニカだけでなく、リチャードもモニカとの再会に驚き喜んでいる様子が伺えるわけですね。
リチャードはそれぞれを紹介して、「私たちはかつてデートしていたんだ、付き合っていたんだ」と説明します。
それを聞いたチャンドラーが即座に、リチャード!と言うので、「俺たちが今付き合っているのに、そんなことをわざわざ初対面の人に言うんですかぁ?」と抗議でもするのかと思いきや、ちょっと違った方向の抗議に変えて、それをジョークにしているところが、チャンドラーらしいです。
No one's supposed to know about us! の be supposed to はフレンズ頻出フレーズで、「〜することになっている」。
ここでは主語が否定語の No one 「誰も〜ない」になっていますので、つまりは、be not supposed to 「〜してはいけないことになっている」という意味になります。
「私たちのことについて、誰も知ってはいけないことになっている!」と叫んでいることになりますが、ここでの us とは、「リチャードとチャンドラー」のことですね。
モニカとチャンドラーを紹介した後、リチャードは「私たちはデートしていた」と説明しました。
つまり、具体的に「モニカと私は」とは言わなかったので、「私たち」と言った場合、「モニカとリチャード」か「チャンドラーとリチャード」かの2通りが考えられるわけですね。
リチャードはゲイではないと同伴女性も知っているでしょうし、いかにも元カップルっぽい会話を交わしていたので、その付き合っていた相手がモニカであることは、リサも瞬時にわかったはずですが、リチャードが we と言ったのを利用する形で、「そう、リチャードが言ったように、リチャードと僕はかつてデートしていた仲だったけど、誰もそれを知っちゃいけないことになっていたはずだ、僕らの仲を他の人に話しちゃいけないってことになってただろ?」と抗議しているかのようなセリフを言ったのですね。
こういうセリフは、「だめよ、リチャード、私たちが付き合ってたことは内緒にするって約束でしょ!?」みたいに、「チャンドラーがまるで女性(リチャードの元カノ)になったような気持ちで言っているセリフ」のように訳すと、雰囲気がつかみやすい気がします。
「モニカと僕は昔付き合っていてねぇ」みたいに嬉しそうに話すリチャードに対して、真正面から抗議できないチャンドラーは、ジョークのようにそう言うことが精一杯だった、という感じになるでしょう。
リチャードもそういうチャンドラーのジョークにどう反応していいかわからずただ微笑んでいるだけ。
チャンドラーは、See I, did it again. と言っています。
「もう一度それをした」というのは、さきほど言ったヒゲのジョークと同じで、I make jokes when I'm uncomfortable. 「居心地の悪い時にジョークを言ってしまう」というのを、またやっちゃった、ということですね。
とにかく、この場の気まずさをジョークでごまかすしかできない、チャンドラーのつらい立場に大いに同情してしまうシーンです。
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チャンドラーがモニカにプロポーズの言葉を述べ始めた直後に、そのレストランの入り口にリチャードの姿が見えます。
元カレの登場に驚いたモニカは、思わず「リチャード!」と声をかけてしまい、チャンドラーのプロポーズの言葉は中断されてしまいました。
モニカ: Hey, it's good to see you! (まぁ、あなたに会えて嬉しいわ!)
リチャード: You too, you let uh, your hair grow long. (僕も君に会えて嬉しいよ。君は髪の毛を長く伸ばしてるんだね。)
モニカ: Yeah. Oh, that's right. You, you always wanted me to. Hey, I see you got your mustache back. (ええ。その通りよ。あなたはいつも私にそうして欲しいって言ってたものね。ねぇ、あなたはヒゲをまた生やしてるのね。)
リチャード: Well, my nose got lonely. (あぁ、僕の鼻が寂しくなってね。)
チャンドラー: (to Richard's date) And uh, you don't have a mustache, which is good. (She just smiles.) I'm Chandler. I make jokes when I'm uncomfortable. ([リチャードのデート相手に] それで、あなたにはヒゲがないですね、それは良かった。[彼女はただ笑うだけ] 僕はチャンドラーです。僕はジョークを言っちゃうんですよ、居心地の悪い時に。)
リチャードのデート相手: Hi, I'm Lisa. (こんにちは、私はリサよ。)
チャンドラー: Hi. (こんにちは。)
リチャード: Oh, I'm sorry. (Introduces them.) Lisa, (nodding at each) Monica, Chandler. We used to date. (ああ、ごめん。[彼らを紹介する] リサ、[それぞれにうなずいて(それぞれをあごで示して)] モニカ(と)、チャンドラーだ。僕たちはかつてデートしていた[付き合っていた]んだよ。)
チャンドラー: Richard! No one's supposed to know about us! (Richard just smiles at him.) See I, did it again. (リチャード! 誰も僕ら[私たち]のことを知っちゃいけないことになってるだろ[でしょ]! [リチャードはただチャンドラーに微笑む] ほら、僕はまたやっちゃいました。)
チャンドラーがプロポーズしようとしていたことにも気づかず、モニカは元カレとの再会を喜んでいる様子。
You let your hair grow long. を直訳すると、「君は君の髪の毛を長く伸ばすことを許している」という感覚。
髪の毛は放っておくと自然に伸びるものなので、ヘアカットするなどして短くすることなしに、自然に伸びるままに任せている、という感覚から、let 「〜の状態になることを許す、〜の状態にさせる」が使われているのですね。
grow は Hair grows. 「髪の毛が伸びる」という自動詞でも使えますし、He grows his hair. 「彼は髪の毛を伸ばす」の形で、人が主語、髪の毛が目的語の形でも使えます。
そういう意味では、let がない形の、You grow your hair long. / You've grown your hair long. なども使えそうですが、あえて let を入れることで、「髪の毛が伸びるのを、あえて許している」というような感覚が感じられる気がします。
You always wanted me to. は、You always wanted me to grow my hair long. が省略された形。
リチャードの「(今は)髪を伸ばしてるんだね」というセリフから、リチャードが昔、モニカに「君は髪の毛が長い方が似合うから、長く伸ばしたら?」と勧めていたことを思い出したのですね。
「長い髪の毛と言えば、あなたはいつも、伸ばせ伸ばせ、って言ってたわよねぇ」みたいに懐かしそうに思い出話をしているわけです。
つまり、リチャードと付き合っていた当時は、リチャードが伸ばせと言っても髪の毛を短く切っていた、だからリチャードはあえて「今は長く伸びるのを”許している”、前みたいに伸びたからってすぐに切ったりしないんだね」という意味で let your hair grow long と言った、ということにも繋がるわけですね。
見た目の変化を言われたモニカは、リチャードにも同じようなことを返します。
「あなたがヒゲを取り戻したのが私には見える、わかる」みたいなことで、「あら、あなたのヒゲは復活したのね」みたいなことですね。
get lonely は「寂しくなる」ですから、鼻の下にヒゲがないと、鼻が寂しがったんでね、みたいに言っていることになります。
ヒゲの話が出たので、チャンドラーは話に割り込んできて、リチャードと一緒にいる女性に対して、「あなたにはヒゲがないですね、それは良かった(それはいいことです)」みたいに言っています。
女性だからヒゲがないのは当たり前なのですが、リチャードと同じような豊かなヒゲを生やした男性を同伴していたとすると、リチャードがゲイのカップルみたいになってしまうので、「あなたがヒゲの生えていない女性で良かった、リチャードのデート相手が女性で良かった」と言っているようにも思います。
妙なジョークにどう反応したらよいか判断しかねる同伴の女性は、ただ微笑むしかありません。
チャンドラーは遅ればせながら、という感じで名前を名乗って、「僕はジョークを言うんです、uncomfortable な時に」と説明しています。
つまり、今はちょっと居心地が悪くて、そういう時にはいつも、こんなつまらない冗談を言ってしまうんですよね、僕って…みたいにちょっと自虐的な自己紹介をしているわけですね。
自分の彼女が元カレと親しそうに話しているのを見て、チャンドラーは面白いはずもありません。
「あなたは長い髪の毛の方がいいって言ってたものね」みたいに言われたらなおさらです。
そういう「ちょっと今僕は気分・機嫌が悪い」というところを、さりげなく盛り込んで、「そういう時にジョークを言うような人間なんですよ、僕は」と、「習慣・習性を表す現在形」を使って、説明していることになります。
チャンドラーが自ら名乗って、それに答える形でリサも名乗るのですが、それを見てリチャードは「おっと、申し訳ない」みたいに謝っています。
普通はこんな風に、初対面の人がいる場合には、両方を知っている人がそれぞれを紹介するのが礼儀ですよね。
モニカとリチャードがそれぞれの同伴相手をほったらかして、紹介するのを忘れていたことを詫びる感覚になるでしょう。
逆に I'm sorry. と言ってしまうことで、「モニカとの再会に驚いて、モニカと話すのに夢中になって、紹介するのをすっかり忘れてたよ、ごめんごめん」と言っている形になり、ほっとかれた人にしてみたら、「君たちのこと、忘れてた」みたいにはっきり認められた形になるようで、あまり良い気はしない気がします。
そういう部分に、モニカだけでなく、リチャードもモニカとの再会に驚き喜んでいる様子が伺えるわけですね。
リチャードはそれぞれを紹介して、「私たちはかつてデートしていたんだ、付き合っていたんだ」と説明します。
それを聞いたチャンドラーが即座に、リチャード!と言うので、「俺たちが今付き合っているのに、そんなことをわざわざ初対面の人に言うんですかぁ?」と抗議でもするのかと思いきや、ちょっと違った方向の抗議に変えて、それをジョークにしているところが、チャンドラーらしいです。
No one's supposed to know about us! の be supposed to はフレンズ頻出フレーズで、「〜することになっている」。
ここでは主語が否定語の No one 「誰も〜ない」になっていますので、つまりは、be not supposed to 「〜してはいけないことになっている」という意味になります。
「私たちのことについて、誰も知ってはいけないことになっている!」と叫んでいることになりますが、ここでの us とは、「リチャードとチャンドラー」のことですね。
モニカとチャンドラーを紹介した後、リチャードは「私たちはデートしていた」と説明しました。
つまり、具体的に「モニカと私は」とは言わなかったので、「私たち」と言った場合、「モニカとリチャード」か「チャンドラーとリチャード」かの2通りが考えられるわけですね。
リチャードはゲイではないと同伴女性も知っているでしょうし、いかにも元カップルっぽい会話を交わしていたので、その付き合っていた相手がモニカであることは、リサも瞬時にわかったはずですが、リチャードが we と言ったのを利用する形で、「そう、リチャードが言ったように、リチャードと僕はかつてデートしていた仲だったけど、誰もそれを知っちゃいけないことになっていたはずだ、僕らの仲を他の人に話しちゃいけないってことになってただろ?」と抗議しているかのようなセリフを言ったのですね。
こういうセリフは、「だめよ、リチャード、私たちが付き合ってたことは内緒にするって約束でしょ!?」みたいに、「チャンドラーがまるで女性(リチャードの元カノ)になったような気持ちで言っているセリフ」のように訳すと、雰囲気がつかみやすい気がします。
「モニカと僕は昔付き合っていてねぇ」みたいに嬉しそうに話すリチャードに対して、真正面から抗議できないチャンドラーは、ジョークのようにそう言うことが精一杯だった、という感じになるでしょう。
リチャードもそういうチャンドラーのジョークにどう反応していいかわからずただ微笑んでいるだけ。
チャンドラーは、See I, did it again. と言っています。
「もう一度それをした」というのは、さきほど言ったヒゲのジョークと同じで、I make jokes when I'm uncomfortable. 「居心地の悪い時にジョークを言ってしまう」というのを、またやっちゃった、ということですね。
とにかく、この場の気まずさをジョークでごまかすしかできない、チャンドラーのつらい立場に大いに同情してしまうシーンです。
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