2012年07月16日

留守電で相手を審査中 フレンズ6-22その4

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フィービーがお客さんから美術館の券をもらったので、女性陣3人は、モーガン・チェイス美術館を訪れます。
そこでは結婚式を挙げることもできて、人気なので2年先まで予約リストはいっぱいだ、という話を職員から聞かされます。
リストに名前くらい書いといてもいいんじゃない?と言われ、モニカは名前を書くことにします。
そんなやり取りがあった後、しばらくしてからのシーン。
[Scene: Monica, Chandler, and Phoebe's, Chandler is reading the newspaper as the phone rings. He lets the machine answer it.]
モニカ、チャンドラー、フィービーの部屋。チャンドラーが新聞を読んでいると、電話が鳴る。チャンドラーはその電話を留守電に応対させる。
チャンドラー: (on machine) You've reached Monica and Chandler's. If you're listening to this message, we're probably screening. (to himself) Yeah, we are. ([留守電で] モニカとチャンドラーの家に(電話が)つながりました。もしあなたがこのメッセージを聞いているのなら、多分、僕たちが審査している[(相手と用件を)チェックしている]ところです。 [独り言で] そうだよ、(今、実際に)そうしてる。)
美術館の職員(The Museum Official): (on phone) Hi, this is Hildy from the Morgan Chase museum. I'm calling for Monica Geller. I want to let her know that there was a cancellation and if she's still interested in having the Bing-Geller wedding at our facility, it is available.... (Chandler runs to answer the phone.) ([電話で] こんにちは、こちらはモーガン・チェイス美術館のヒルディです。モニカ・ゲラー様にお電話しています。以下のことをお知らせしたく思います。キャンセルがありましたので、もしモニカ様が私たちの施設で、ビング・ゲラー両家の結婚式を行なうことにまだ興味がおありなら、利用できますので… [チャンドラーは走って行って電話に出る])
チャンドラー: (on phone) This is Chandler Bing! This is Chandler Bing! (Listens) Yes, the groom-- No! Not the groom!! ([電話で] こちらは(俺が)チャンドラー・ビングです! チャンドラー・ビングです! [電話を聞いて] そうです、その花婿です…違う! 花婿じゃない!)

新聞を読んでいるチャンドラーは、電話が鳴っても出るつもりはないらしく、そのまま留守電に応対させています。
reach は「到着する、届く」で、電話では「…と連絡する、…に連絡がつく」という意味。
この場合も、「あなたは、モニカとチャンドラーの家に電話で連絡が取れました」みたいなことなので、「あなたがかけた電話は、モニカとチャンドラーの家につながりました。こちらはモニカとチャンドラーの家です」と言っていることになります。

その後、もしあなたがこのメッセージを聞いているのなら、僕たちは多分、screen しているところです、とも言っています。
動詞の screen には「(穀物など)をふるう、ふるい分ける」という意味があり、そこから、「(志願者など)をふるいにかける、審査する、選抜する」という意味にもなります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
screen [verb] :
3. to find out information about people in order to decide whether you can trust them or whether they are the right people to work for you
例) Applicants are screened for security reasons.
5. to check things to see whether they are acceptable or appropriate
例) You can use an answering machine to screen your calls.


つまり、3. は「人が信用できるか、または自分の下で働くのに適した人かどうかを決めるために、人の情報を調査すること」。
例文は、「応募者はセキュリティーの理由のために審査される」。
5. は「物事が受け入れられるか、または、適切かどうかを見るために、物事をチェックすること」。
例文は、「電話をチェックするために、留守電を使うことができる」。

3. は申し込んで来た人を審査してふるいにかけるイメージですね。
そして、5. は、例文がまさに今回のチャンドラーのセリフと同じニュアンスなのが、非常に興味深いです。
電話に出て、くだらない電話、ややこしい電話だったらいやなので、留守電に相手が名乗って用件を伝えるのを聞いてから、大事な用事だったら電話に出ようとしているわけですね。
「この留守電のメッセージを聞いている間、俺たちはこっちで(相手が誰でどんな用件かを)チェックしてるからねぇ〜」という感じの、お遊びの留守電メッセージなわけですが、チャンドラーが、Yeah, we are. と言っているのは、「ウケ狙いのジョークだけじゃなくて、実際に今、ほんとにチェックしてるんだけどね」ということになります。
「この電話の相手と用件をただ今、チェック中です」みたいなことなので、もしそのまま電話に出なかったら「俺の電話に出るのがいやで、居留守を使ってるのか!」ということになり、電話の相手に対して何とも失礼な発言になってしまいます。
ですが、チャンドラーを知っている人であれば、「ウケ狙いでそう言っているだけの、チャンドラーっぽいジョーク」と理解し、怒ったりはしないでしょう。
それを、「メッセージだけではなく実際に、ただのジョークじゃなくて本当に、チェック中なんだよ〜ん、嫌な電話なら出ないからね〜ん」みたいに言っているのが面白いわけですね。

留守電を聞いていると、相手が名乗り、用件を伝え始めます。
チャンドラーは全く知らないことですが、観客や視聴者は、「モーガン・チェイス美術館」と言えば、さっきモニカたちが訪れた(そしてモニカがリストに名前を書いた)美術館だと気付きますね。
そういう予想通り、「モニカ・ゲラーさんへの電話で、キャンセルが出たので…」と話が続いていきます。
何も知らないチャンドラーは、cancellation 「キャンセル、取り消し」という言葉を聞いても、何のキャンセルか想像もつかなかったでしょうが、その後、「もし…するのに興味がおありなら」の後に、the Bing-Geller wedding という言葉が続くので、仰天することになります。
ビング・ゲラー・ウェディング、というのは、日本で言うところの、「ビング、ゲラー両家の結婚式」という感じ。
facility は「施設」、available は「利用できる」なので、「当施設で両家の結婚式を行なうことにまだご興味がおありなら、利用することができます…」と言っていることになります。
両家の結婚式として、自分の名字が出たので、スクリーニングしていたチャンドラーは、慌てて受話器を取ります。
まさに、screen した結果、「この電話は俺が直接、話さなきゃいけない用件だ!」と判断できたわけですね。

This is Chanlder Bing! 「こちらは(今、電話に出ている私は)、チャンドラー・ビングです!」と叫ぶチャンドラー。
ビングという名前から、the Bing-Geller wedding の新郎だと気付いた相手は、Are you the groom of the wedding? 「あなたがその結婚式の新郎(のビングさん)ですか?」とでも問い返したのでしょうね。
それで反射的に、「そうです、俺がその結婚式でビングの方、つまり、新郎です」みたいに答えたのですが、自分で新郎だと言った後、ことの重大さに気づき、「いや、違う、俺は新郎じゃない!」とも叫ぶことになります。
the Bing-Geller wedding におけるビングの方(新郎側)であるのは間違いないけど、俺は新郎なんかじゃない、だいたい、結婚するなんて話、決まってないし、聞いてもいないし!みたいな感じです。
「そうそう、俺が”その新郎”です…って、ちがーうっ!!」みたいな、ひとりボケツッコミ(ノリツッコミ)みたいなオチが楽しいですね。


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posted by Rach at 08:51| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月13日

プロテクションを持ってきた? フレンズ6-22その3

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エリザベスはロスを、森の中にある自分の祖母のキャビンに連れてきます。
付き合っている二人は、二人きりだということで、さっそくいちゃいちゃし始めるのですが、ロスが突然、動きを止めます。
エリザベス Are you okay? What's wrong? (大丈夫? どうかしたの?)
ロス: Ehh, I was just, I was just thinking about your father. (えーっと、僕はちょっと、僕はちょっと君のお父さんのことを考えてたんだ。)
エリザベス: Well, whatever works for ya.... (そうねぇ、あなたに効き目があることなら何でも…)
ロス: No. No-no uh, he just, he just really freaked me out before. (違う、違うよ。ただ君のお父さんが前に僕をすっごくびびらせたんだよ。)
エリザベス: Oh. Well, so we have to hide our relationship from one more person. Big deal. Besides, we've had fun hiding it. (ああ、それなら、私たちは、あともう一人から、私たちの関係を隠さないといけないわね。大したことないわよ。それに、関係を隠すことで楽しんできたし。)
ロス: Yeah. (そうだね。)
(They start making out again.)
二人はまた、いちゃいちゃし始める。
エリザベス: (quietly) Hey, umm, you brought protection, right? ([静かな声で] ねぇ、あの、プロテクション(守るもの・防御するもの)を持ってきたわよね?)
ロス: (loudly) Why?! Are there like bears or something?! (Looks around and then sees that Elizabeth is shaking her head no and realizes what Elizabeth meant.) Ohh. Oh, protection. Yeah-no, yeah-no, that-that-that I forgot. ([大きな声で] どうして? 熊とかそんなのがいるの? [辺りを見回して、それからエリザベスがノーと首を振っているのを見て、エリザベスの言った意味に気づく] あぁ、あぁ、プロテクション(コンドーム)ね。ああ、いや、それを僕は忘れてたよ。)
エリザベス: I'll just run to the store and get some. (私がちょっと走ってお店に行って、それを買ってくるわ。)
ロス: Oh no! Hey-hey, I'm the guy! I'll get it. (あぁ、ダメだよ! ねぇ、僕は男だ! 僕が買うよ。)

いちゃいちゃしていたのに、急に動きを止めたロスに対して、エリザベスは「どうしたの?」と尋ねています。
ロスは「ちょっと君のお父さんのことを考えていたんだ」と説明していますね。
それを聞いたエリザベスの、Well, whatever works for ya.... という戸惑ったような顔のセリフが面白いです。

work for は「〜に効き目がある、有効である」という感覚。
Whatever works for you.... とはつまり、「あなたに効き目があることなら何でも…」と言っていることになります。
この場合の「効き目がある」とは、「エッチな気持ちがより高まる」というようなことですね。
いちゃいちゃしている最中に、「ある人のことを思い出した」と言ったので、「その人のことを想像することで、余計にエッチに対する気持ちが盛り上がって燃えちゃう、って言うんなら、どんな人、どんなことを想像してもいいけれど…」みたいに言っていることになります。
ずっと憧れ続けていた女性とか、ものすごくセクシーでグラマーな女性を想像して…というのなら、その話もわからなくはないですが(笑)、何しろ、ブルース・ウィリス演じる、あのお父さんの話ですから、「あのお父さんを想像して、よりエッチな気持ちになるならそれでもいいわよ」みたいに娘のエリザベスが言っているのに笑えてしまうわけですね。

エリザベスが勘違いしているのを知って、ロスは必死に否定して、「君のお父さんが前に僕をびびらせたんだ」と説明します。
「娘と付き合うな。さもないと、大学に教え子と付き合っていることをバラすぞ」と脅迫じみたことを言われたことを言っているのですね。

それを聞いてもエリザベスは動じず、we have to hide our relationship from one more person と言います。
hide our relationship from... は「私たちの関係を…から隠す」ですね。
…から見えないように、…に知られないように隠す、ということです。
誰から隠すかというと、one more person、つまり、「あともう一人」。
ロスの勤務する大学では、「先生は生徒と交際してはいけない」という規則があるため、ロスとエリザベスは自分たちの関係を大学関係者に秘密にしています。
それにプラスする形で、関係を知られないようにと隠す対象を、あともう一人、増やせばいいだけよ、と言っているのですね。
今まで隠してきた人以外に、あともう一人、パパにも知られないようにすればいいだけのことよ、という感覚です。

Big deal. を直訳すると「おおごと、大したこと」ですが、ここでは反語的に使われています。
No big deal. 「(そんなの)大したことじゃない」というのを、皮肉っぽく、Big deal. と言っているのですね。
Besides 「それに加えて、さらに」と言って、we've had fun hiding it とも言っています。
この現在完了形は「私たちはこれまで hide it するのを楽しんできた」という感覚。
隠す人にパパを加えるだけだし、人から関係を隠すのって、楽しかったしね、みたいなことですね。
だから、全然問題ないわ、むしろ楽しいくらいだわ、という感じでしょう。

二人はまたいちゃいちゃし始めますが、今度はエリザベスが静かな声で、you brought protection, right? とロスに尋ねています。
それを聞いたロスは、大声で、「どうして(プロテクションが必要なの?) ここには熊か何かでもいるの?」みたいに叫んでいますね。
その後、エリザベスの表情を見て、ロスは自分が勘違いしていたことを悟り、「あぁ、そっちのプロテクションの方かぁ…」みたいに納得します。

プロテクションは、ほぼ日本語にもなっていますが、「プロテクトするもの、守るもの、防御・保護するもの」というのが大きな意味ですね。
ロスは、protect という言葉から、「危険や攻撃から守るもの」というイメージを連想したようです。
ここが森の中であることから、「野生動物が襲ってくるという危険」を思い描き、「そういう動物から身を守るような道具、防具が必要だった?」という意味で「ここには熊とかそういう危険な動物がいるの?」と叫んだわけです。
その後、ロスがエリザベスを見ると、「いいえ、そうじゃないわ」と首を振っているので、ようやくロスは、protection の意味を察したようですね。

エリザベスが言った protection とは、(上の訳でも、そのものズバリを書いてしまいましたが)「避妊具、コンドーム」のこと。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
protection [uncountable] : something you use to avoid getting a disease or stop a woman from getting pregnant when you have sex, especially a condom
つまり、「病気にかかるのを避けるため、またはエッチする時に女性が妊娠するのを防ぐために使うもの、特にコンドーム」。

LAAD のようなアカデミックな辞書にちゃんと載っていたのはちょっぴり驚きですが、まさにその語義の通りで、「病気や妊娠を予防するもの、病気や妊娠から守るもの」という意味での、protection なのですね。
ロングマンにもはっきり書かれているように、condom のことを protection とも言うわけです。
やはり、エリザベスは女の子なので、ダイレクトすぎる言葉を使うのを躊躇したのでしょう。
ロスは逆に、「防御するもの」という遠回しな言葉を使われたので、別の防御を連想してしまった、というジョークですね。

実際問題としては、二人でいちゃついている時に protection と言えば、「エッチ系のプロテクション」の方を連想するのが普通だと思うのですが、森の中のキャビンだと言うことと、ロスがジョーイほどのプレイボーイではないということ(笑)などから、こういう笑いも成立するわけでしょうね。
ベタと言えば、かなりベタな感じのジョークではありますが、ロスならこういうリアクションもあり得るかな、と思わせるシーンではあります。

「コンドームのことを忘れてた。(だから持って来てない)」というロスに、エリザベスは「私がちょっと行って買ってくる」と言っています。
ロスは、「僕は男なんだから、僕が買いに行くよ」みたいに男らしいところを見せていますね。
ここでは、I'll just run... や I'll get it. のように、I'll (I will) が使われていますが、このように、「今、そうしようと決めた」ことを言う場合には、I'm going to ではなく、I'll を使います。
ドアホンや電話が鳴った時に言う、I'll get it. 「僕が出るよ」と同じ感覚ですね。


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posted by Rach at 17:13| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月11日

エアフォース・ワンのテロリスト フレンズ6-22その2

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ジョーイが利用しているクリーニング店では、壁に俳優の写真が飾ってあります。
ジョーイも以前、Days of Our Lives にドクター・ラモレーとして出演していた頃は飾ってもらっていたのですが、降板になると同時に写真を外されてしまいました。
今回、テレビドラマ「マック&チーズ」で主演することになったので、また写真を飾ってもらえると、張り切ってそのクリーニング店を訪ねるのですが、「テレビガイドに載ってないからダメだ」と言われてしまいます。
放映前だから載ってないだけだ、と言って、作品のビデオテープを置いていったジョーイが、再び店を訪ねるシーン。
[Scene: The Dry Cleaners, Joey is trying to get his picture up again.]
ドライクリーニング店、ジョーイはもう一度、自分の写真を飾ってもらおうとしている。
ジョーイ: (entering) Hey! So, did you watch the tape of my show? ([入ってきて] やあ! それで、俺の番組のビデオを見てくれた?)
クリーニング屋: I did. (見たよ。)
ジョーイ: All right, let's get me back up there! (Holds out his picture.) (よし、あそこに俺(の写真)を戻そうぜ! [自分の写真を差し出す])
クリーニング屋: No! You don't go up on the wall! (だめだ! お前はあの壁には載せられない!)
ジョーイ: What? But you saw the show! (何だって? でも君はその番組を見たんだろ?)
クリーニング屋: Yes, it was very offensive to my people! (見たよ、俺たちにとって、ものすごく侮辱的だった!)
ジョーイ: Dry cleaners? (クリーニング屋に(とって侮辱的だった)?)
クリーニング屋: Russians! It showed them as terrorists and villains! (ロシア人に、だよ! その番組は、ロシア人をテロリストや悪党のように見せてる。)
ジョーイ: Okay! Okay, look! You-you-you got Harrison Ford up there! (よし、よし。見ろよ! 君は、君は、ハリソン・フォードをあそこに飾ってるじゃないか!)
クリーニング屋: That's right. Mr. Ford is a very good customer. He brings a lot of clothes. You bring us nothing! (確かにそうだよ。フォードさんはとってもいいお客さんなんだ。彼はたくさんの服を持ってきてくれる。君は全然持ってこない!)
ジョーイ: Okay, well, that may be true. But, in-in Air Force One, okay, the Russians were terrorists! And evil! And plus, he kills a bunch of them! That-that-that's offensive to Russians. (わかった、そうか、それは本当かもしれないな。でも、映画「エアフォース・ワン」では、ロシア人はテロリストだったぞ! そして悪者だった! それに、ハリソン・フォードはたくさんのロシア人を殺すんだ! それって、それって、ロシア人にとって侮辱的だろ。)
クリーニング屋: I've never seen it! (俺はその映画を見たことないんだ。)
ジョーイ: Oh you should, it's great! (おぉ、君は見るべきだよ、最高だぜ!)
(The Dry Cleaner stares at him and Joey retreats.)
クリーニング屋がジョーイをじっと見るので、ジョーイは後退する。

今度こそ、写真を飾ってもらえると、ジョーイは張り切ってやってくるのですが、ジョーイが主演する番組のビデオを見たというのに、写真は飾れない!と拒む店員。
彼は、「その番組が my people に対して、すごく offensive だった」と、拒む理由を説明しています。
offensive は「侮辱的な、無礼な」。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
offensive : very impolite or insulting, and likely to make people angry and upset (OPP: inoffensive)
to
例) Your behavior was deeply offensive (= very offensive) to me.


つまり、「非常に無礼で、侮辱的で、人を怒らせたり、憤慨させたりしそうな」。
例文は、「君の行動・態度は私にとって非常に侮辱的だった」。

上の例文にもあるように、「…にとって侮辱的である」と言う場合には、be offensive to のように、前置詞 to を使います。
上のセリフでもすべて、to が使われていますね。

my people は、「自分が属しているグループの人々」という感覚ですね。
俺たちのような人間にとって侮辱的だ、というニュアンスです。
それを聞いてジョーイは、「my people って言うのは、クリーニング屋さんのこと?」みたいに聞き返しています。
ジョーイにとっては、「彼はクリーニング屋さんだ」というイメージ・情報しかないので、「俺ら」と言われたらそれしか思い浮かばないわけです。

店員は、my people っていうのは、ロシア人、ってことだよ! と訂正しています。
この人はロシア人で、ロシア人を侮辱する番組だ、と怒っているわけですね。
彼が言うには、「その番組はロシア人をテロリストや悪党として見せている」とのこと。
「マック&チーズ」は、探偵のお話なので、敵にそういうロシア人が出てくるのでしょう。
villain は「悪者、悪党」「悪役、敵(かたき)役」。
発音は、「ヴィラン」という感じです。

怒る彼のセリフを聞いて、ジョーイは、「でも、ハリソン・フォードの写真をあそこに飾ってるじゃないか!」と指摘します。
それを聞いた店員は、「彼はいいお客さんで、たくさん洗濯物を持ってきてくれるんだ。君は全然持ってこないくせに」みたいにジョーイを非難しています。
ハリソン・フォードは大スターなので服もたくさん持っている、それに対して仕事の少ない売れない俳優のジョーイは持っている服も知れている、みたいなことでしょう。

服の話は確かにそうだろうけど、と言って、ジョーイは、ハリソン・フォードが主演していた映画「エアフォース・ワン」(原題も Air Force One)の内容について話しています。
日本語も英語と同じタイトルなので、ピンと来た方も多いでしょうね。
私もこの映画は映画館に見に行きましたので、印象深いです。

Wikipedia 日本語版: エアフォース・ワン (映画)

ジョーイの説明通り、この映画は、ロシア人テロリストが大統領専用機「エアフォース・ワン」をハイジャックする話です。
上のウィキペディアの「あらすじ」にも、「エアフォース・ワンに同乗させたロシアのテレビクルーが、実はテロリストだった」という内容が書いてあります。
その映画では、ロシア人が悪者として描かれていて、ハリソン・フォードはロシア人テロリストを殺してたのに、そっちの方がよっぽどロシア人にとって侮辱的じゃないのか?とジョーイは言いたいのですね。

ですが、店員はあっさり、「俺はその映画を見たことない」と言います。
「映画の中でハリソン・フォードがどんな役をしていようが、俺は見てないから構わない」みたいな感じです。
一方、ジョーイの方も、「あの映画のハリソン・フォードは…」と非難めいたことを言っておきながら、店員が「映画は見てない」と言うと、即座に「見てないなら見るべきだ、いい映画だぜ」と返します。
店員を説得するための例として出したのに、そのきっかけなど忘れたかのように、普通に勧めてしまうところが、ジョーイらしいですね。

そう言ってみても、店員の態度は変わらず、ジョーイはたじろいで後ずさりすることになります。

ここでちょっとトリビアネタ。
このクリーニング屋さん(The Dry Cleaner)を演じているのは、、Ilia Volok (イリア・ヴォロック)という俳優さん。
この顔に見覚えがあったので、IMDb (Internet Movie Database)を調べてみると、「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」(Burn Notice)に出ていました。
その話を少し前に見たことがあったので、私の記憶に残っていたようです。
そのエピソードは、「バーン・ノーティス」の 1-5 (パイロット版の前後編を1話とカウントすると、1-4 に当たる)「スパイの旧友」(Old Friends)。
Jan Haseck という役で、設定は、Czech hit-man 「チェコの殺し屋」。

それを調べた流れで他の出演作品のリストを見ていると、この俳優さんが、まさに上のやり取りで話題にあがっている映画「エアフォース・ワン」にも出演していたことがわかりました!
ウラジミール・クラシン(Vladimir Krasin)という名前のロシア人テロリストの一員として出演しているようです。
IMDb : Ilia Volok
の Filmography にも、今回の「フレンズ」のゲスト出演と「エアフォース・ワン」の出演が載っています。

このクリーニング屋さんは、「エアフォース・ワン」って映画は見てない、みたいに言っていたのですが、その彼は実はその映画に出ていた!という「楽屋オチ」ネタだったということです。

仮にそういう背景を知らない場合でも、「ハリソン・フォードの写真を飾っておきながら、あの大作映画の「エアフォース・ワン」を見てないだなんて、そんなことある?!」とか、「映画の中でロシア人を悪者にしていても、別に俺は見てないから問題ない、みたいに言うのってアリなの?!」という面白さを感じることはできますね。
ですが、「映画は見てない」と言っている彼自身が、その映画の出演者であり、ハリソン・フォードの敵であるロシア人テロリストを演じていた、ということがわかれば、余計にこのやり取りを面白く感じることができるでしょう。
「知ってる人ならより楽しめる、わかる人にはわかる」セリフになっているということですね。


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2012年07月09日

ところどころに置いてある フレンズ6-22その1

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シーズン6 第22話
The One Where Paul's The Man (秘密の週末旅行)
原題は「ポールが男らしい男である話」


セントラルパークにフレンズたちがいるところに、フィービーが落胆した様子で入ってきます。
レイチェル: What's the matter? (どうしたの?)
フィービー: Well, it's just-it's one of those situations that I just hate. Y'know? A massage client gave me three tickets to the Helmet Peltz Exhibit at the Morgan Chase museum. (うーん、ただ、私が嫌いな(よくある)そういう状況の一つ、ってだけよ。あるマッサージのお客さんが、モーガン・チェイス美術館のヘルメット・ペルツ展のチケットを3枚、私にくれたのよ。)
ジョーイ: (nodding knowingly) Now you're thinking you gotta sleep with him. ([わかったようにうなずいて] それで、彼と寝なきゃいけないってフィービーは考えてるんだな。)
フィービー: No! No! It's just that he gave me three tickets and there are six of us! (違う! 違うわ! ただ、彼がくれたのはチケット3枚で、私たちは6人いる、ってだけのことよ。)
チャンドラー: I'll give up my ticket. (俺の分のチケットはあきらめるよ。)
ジョーイ: Me too. (俺も。)
フィービー: Okay, that's so generous! (オッケー。それってとっても寛大ね!)
チャンドラー: And I think Ross is generous too. (そして、ロスも寛大だと思うよ。)
フィービー: Great! Okay then it's just us girls! (良かった! オッケー、それじゃあ、私たち、女性陣だけね!)
モニカとレイチェル: (less than enthused) Great. ([決して熱狂していない様子で] 最高ね。)
フィービー: Yeah. (そうね。)
レイチェル: So what-what is the exhibit? (それで、その展示はどんなものなの?)
フィービー: It's mostly just photographs of lesbian love scenes interspersed with video games and free sandwiches. (大部分は、レズビアンのラブシーンの写真で、ビデオゲーム(テレビゲーム)と無料のサンドイッチがところどころに置いてあるのよ。)
ジョーイ: Oh, man! (Hits Chandler) (ああ、全くもう! [チャンドラーを叩く])

フィービーが浮かない顔で入ってきたので、レイチェルがどうしたのか尋ねています。
one of those situations that I just hate というのは、「私が嫌な、例のそういうシチュエーションの一つ」みたいな感じ。
「私、こういうのって嫌いなのよね」と感じるような状況にあるので、どんよりしてるのよ、ということです。
それに続けて、マッサージのお客さんがチケットを3枚くれた、と説明します。
それを聞いたジョーイは、「ははーん、こういうことだな」みたいな顔をして、うなずいています。
ト書きの nod knowingly が、その彼の仕草をよく表していますね。
knowingly は「知っている、わかっていることを示すように」という副詞なので、「わかったぞ、という顔をしてうなずく」が、nod knowingly になるのですね。
わかったようにうなずきながら、「それで今フィービーは、チケットをくれたその彼と寝なきゃいけない、って思ってるところなんだな」とジョーイは言います。
「チケットをくれたはいいけど、その見返りに彼と寝るのはいやだなぁ、とかって悩んでるんだろ!」みたいに言っているわけです。
プレイボーイのジョーイらしいセリフですね。

フィービーはそれを断固否定して、It's just that he gave me three tickets and there are six of us! だと事情を説明します。
「(私が悩んでいるのは)ただ、彼が3枚チケットをくれて、私たちは6人いる、ってことよ」という意味ですね。
6人いるのにチケット3枚じゃ、誰が行くかでモメちゃうじゃない、ということです。
人数分のチケットがないことを知って、チャンドラーは真っ先に、「俺は俺のチケットをあきらめる」と手を挙げ、続いてジョーイもそれに同調します。
generous は「気前が良い、寛大な、太っ腹な」。
自分から進んでチケットを放棄するなんて、なんて太っ腹なのかしら、という感じです。

チャンドラーは、今ここにはいないロスの名前も出して、「ロスも(俺たちと同じように)寛大だと思うよ」、つまり、ロスもそのチケットの権利を辞退する、放棄すると思うよ、と言います。

男性陣3人が身を引いたので、フィービーは「オッケー、じゃあ、私たち女の子だけね!」と喜ぶのですが、モニカとレイチェルは、とりあえず言葉では、Great. とは言うものの、ト書きにもあるように、あまり喜んではいない様子。
男性陣が真っ先に身を引いたように、フィービー以外の女性陣もあまり美術館の展示には興味がないことが、二人の表情からよくわかります。

レイチェルは「で、展示って何なの? どんなものなの?」と尋ねています。
展示の内容を説明する、It's mostly just photographs... という文について。
長いので、最初から意味を取っていくと、最初の部分、It's mostly just photographs は、「大部分は写真よ」になりますね。
で、どんな写真かと言うと、photographs of lesbian love scenes、つまり、「レズビアンのラブシーンの写真」。

その次の、intersperse という単語は「散在させる、まき散らす、散らばらせる」「点在させる、ところどころに置く」という意味の他動詞。
(be) interspersed with... の形で、「…が点在する、…がところどころに置いてある」という意味になります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
intersperse [verb] [transitive usually passive] : to mix one group of things together with another group, or to put parts of one group between parts of the other group
intersperse something between/among something
例1) New homes are interspersed among the older ones.
intersperse something with something
例2) The 12-minute program was interspersed with 30-second commercials.

つまり、「1つのグループをもう1つのグループと一緒にミックスさせること、または、1つのグループの部分を別のグループの部分の間に入れること」。
例文1は、「新しい家が古い家の間に点在していた」。例文2は、「その12分の番組は、30秒のコマーシャルがところどころに入っていた」。

説明に、usually passive 「たいていは受動態で」とあるように、interspersed の形で使われることが多いようですね。
まさにフィービーのセリフでも、intersersed with の形になっていますので、video games や free sandwiches がところどころに置いてある、ということになります。
つまり、レズビアンの写真が飾られていて、そこここにゲームやサンドイッチも置いてある、という展示なのですね。
それを聞いたチャンドラーは絶句して、椅子から立ち上がっていますし、ジョーイはものすごーく渋い顔をして、Oh, man! と言いながら、隣のチャンドラーをペシッと叩いています。
ジョーイの大好物のサンドイッチが無料で食べられて、テレビゲームもできて、さらには写真の内容が(これまた)ジョーイが大好きな「レズビアンもの」ですから、そのチケットを辞退してしまった悔しさはいかばかりか、というところでしょう。
(最近のエピソードでは、ジョーイはサンドイッチが大好きという話がよく出ていますが、レズビアンものが好き、という話は何だか久しぶりですねぇ…笑)

チャンドラーが真っ先に手を挙げて、「俺、遠慮しとく」と言ったのを受けて、ジョーイも同調したことから、「お前が余計なことを言うから、俺までつられちまったじゃないか!」とチャンドラーを責めずにはいられないのでしょうね。
「そんな展示って、ほんとにあるの?」と言いたくなるような内容ですが、「ジョーイが地団駄踏んで悔しがりそうなもの」を最大限に盛り込んでみた、というところでしょう。
リアルさが売りのシリアスなドラマなら、ここまで「わざとらしいほどのベタな設定」は使いにくいでしょうが、そこはコメディということで、素直に大笑いできたらそれでオッケーということでしょうね。


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posted by Rach at 16:41| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月06日

Kids! 全く子供ってのは フレンズ6-21その6

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娘エリザベスが、年上の男性ロスと交際していることを快く思っていないパパ、ポールは、ロスとの夕食の席で、ロスに皮肉ばかり言っています。
それに我慢ができなくなったロスは、
ロス: Y'know what? I-I-I... I-I have had enough of this! Y'know, I-I-I care a great deal about your daughter and I have treated her with nothing but respect! So if-if you've got a problem with me, frankly-- (いいですか? 僕は、僕は…僕はもうたくさんです! 僕はあなたの娘さんのことをものすごく気にかけていますし、彼女には尊敬の念だけを持って接しています! だから、もしあなたが僕をいやだと言うなら、率直に言うと…)
ポール: Are you yelling at me?! (君は私に怒鳴ってるのか?)
ロス: God, no! (そんな、とーんでもありません!)
エリザベス: Y'know what, daddy? If you don't like Ross, that's fine. It doesnt matter to me. I'm gonna go out with him anyway. (ねぇ、パパ? もしパパがロスを好きじゃないなら、それでいいわ。私は構わないもの[私にはどうでもいいもの]。どのみち私は彼とこれからも付き合うわ。)
ポール: Really?! (She nods in the affirmative.) (本当か? [エリザベスは肯定してうなずく])
ロス: Well, if it doesn't matter to her, it doesn't matter to me! (to Paul) Still not yelling. (ええ、もし彼女にとってどうでもいいことなら、僕にとってもどうでもいいことです! [ポールに] 今でも怒鳴ってませんよ。)
ポール: Wow. What can I say? (Pause, pointing at Ross) This doesn't make me like you any better! (わぉ。僕は何て言える?[何と言えばいいんだ?] [間があって、ロスを指差して] 今のこのことが、前より少しでも君を好きにさせるわけじゃないぞ。)
ロス: That's okay. I'm not so crazy about myself right now either. (それで構いませんよ。まさに今は、僕もそんなに自分のことが大好きではないですから。)
ポール: Then we agree? (それじゃあ、我々は意見が一致してるんだな?)
ロス: Uh yeah, I guess. Yeah! I guess so. (ええ、そうだと思います。そうですよ! そう思います。)
ポール: Neither of us like Ross! (我々はどちらもロスが好きじゃない!)
エリザベス: I like Ross. (私はロスが好きよ。)
ロス: Ohhh! Kids! (あー! 全く、子供ってのは(これだから困りますよね)!)

I have had enough of this! を直訳すると、「僕はこのことをもう十分に持った」みたいな感覚なので、「もう(こんなことは)たくさんだ!」と、うんざりしているニュアンスになります。
Enough of this/that! や、Enough! だけでも、「もうたくさんだ!」という意味になります。
文章の形だと、I have had enough. のように現在完了形になるのがポイントですね。
過去のある時点から現在までの間に、「もうたくさん」だと思えるほど何かを持った、ので、今、ここでその我慢の限界が来て、怒りが爆発している、ということになるわけです。
過去から現在までに積もり積もったものが限界を越えちゃった、という感じが、現在完了形で表されていると言えるでしょう。

care about は「〜を気にかける、大事に・大切に思う」。
nothing but... は「…の他は何もない」ということで、treat her with nothing but respect は「彼女を尊敬の念だけで扱っている」、つまり、「尊敬の念だけを持って彼女と接している」ということになります。
だんだん語気が荒くなってきたロスに対して、ポールが「君は私に怒鳴ってるのか?」と言うと、God, no! と、急にトーンダウンするのもロスらしいです。

なかなか和解できそうにない父と彼とを見て、エリザベスは、「もしパパがロスを好きじゃないなら、それでいい。私は構わない。とにかく私は彼と付き合うもの」みたいに言っています。
If you don't... 以下のフレーズは、「もし〜でも、私は気にせず構わず、自分のやりたいようにやるわ」という気持ちを主張するのに、そのまま使えそうな言葉ですね。
fine 「(それでも)結構よ」、doesn't matter 「重要なことじゃない、構わない、どうでもいい」、I'm gonna... anyway 「とにかく私は…する」という部分に、エリザベスの気持ちがよく表れています。

エリザベスがはっきりそう宣言してくれたので、これまで押され気味だったロスも、「彼女にとってどうでもいいことなら、僕にとってもどうでもいいことです」と強気な発言をしています。
そう言った後で、また大声で叫んでしまったと気づいたロスが、「今のも、あなたに怒鳴ってるわけじゃありませんよ」とフォローするのも面白いですね。

エリザベスに「パパがどう思おうと関係ないわ」と言われたのがショックだったようで、ポールはしばらく黙りこんでいます。
その後、This doesn't make me like you any better! と言っていますね。
使役動詞 make のニュアンスを出して直訳すると、「今のこのことは、私に君を少しでもよりよく好きにはさせない」、つまり、「このことで、僕が君のことを前より少しでも好きになる、ってことはない」ということになります。
this というのは、今のこの状況、エリザベスがパパがどう言おうと私はロスと付き合うわ!と言っている状況を指すでしょう。
エリザベスがそう言ったからと言って、私は君のことを好きになるわけじゃないぞ、ということになります。
君のことを好きになることはないけれど、エリザベスがそう言っているのを止めることもできない、と、消極的にではありますが、ロスとの交際を認めざるを得ないと言っているセリフになります。

「君のことを好きになるわけじゃないが」と言われたことに対して、ロスも「僕も今はそんなに自分自身のことが大好きってわけでもないですからね」と言っています。
別にあなたに好きになってもらえなくても、交際を許してくれたらそれでいいです、僕もそんなに自分を素晴らしい男だと思っているわけではないですから、という感じの大人な発言ですね。
ロスなりの譲歩なのでしょう。
「じゃあ、我々2人は、どちらもロスが好きじゃない、ということで意見が一致してるんだな!」と言い、そういう和解した様子の2人を見て、エリザベスは横から「でも私はロスが好きだけど」みたいに言います。

それに対してロスは、Kids! と言っていますね。
この kid 「子供」というのは、エリザベスの発言が子供的発言だと言っているニュアンスになります。
ポールとロスは、「お互いロスが嫌いってことで意見が一致しましたね」と盛り上がることで、お互いを完全には認めていないながらも、ロスとエリザベスの交際を認める、という方向で話がまとまっているわけですね。
そういう「落とし所を見出して、そこで手を打つ」というような「大人のやり方」をわかっていないかのように、「でも私はロスのことが好きよ」と話に入ってきたエリザベスを、「大人の処世術をわかっていない、君はまだまだ子供だな」と言っていることになるわけです。

が! このセリフそのものは、Kids! と「複数形」になっていますね。
そういう意味では、"You're still a kid!" 「君はまだまだ子供だな!」のように、「エリザベスが子供だ」と言っているのとは、少々違ったニュアンスがあることになりますね。

この「複数形」のニュアンスを出して訳すと、「全く、子供ってやつは!」「これだから子供ってのは!」という訳が近いように思います。
エリザベスが子供(a kid)だと言っているだけではなくて、Kids 「子供全般、子供というものは」、こういうことをする・言うものだ、という「習性」を表している感覚になるでしょう。

このように、名詞の複数形だけで、Kids! のようにあきれた感じで言うセリフは、他の作品でもよく見かけます。
私の記憶に残っているものから、2つご紹介します。

まず、1つ目は、「プリズン・ブレイク」の 1-3 「セルテスト」(Cell Test)。
女医のサラ・タンクレディが、ケガをしたマイケル・スコフィールドを診察しているシーン。
マイケル: I've made some enemies. (俺は敵を作った。)
サラ: You scared? (怖い?)
マイケル: .... (…。<無言>)
サラ: Men. ((全く)男っていうのは。)

この最後のサラの、Men. というセリフは、DVDの日本語字幕では、「男の意地ね」と訳されていました。
この Men. も、「全く、男っていうのは(いつでもこんな風に意地っ張りなんだから)」みたいなニュアンスで使われていると思います。

2つ目は、「ザ・メンタリスト」の 1-5 「アカスギの森」(Red Wood)。
患者を動揺させるような行動を取ったパトリック・ジェーンを見て、同僚のテレサ・リズボンが注意しています。
リズボン: The doctor said to be gentle. ((担当の)医者は、穏やかにするように、って言ってたのに。)
ジェーン: Ah, doctors. (ああ、医者なんてもんは。)

これも、テレサが、患者の担当医である医者(ゆえに、the doctor と”特定”されている)が、be gentle であるようにと指示してたのに、と指摘したことに対して、「医者なんてものは、そういうことを言うもんだ」みたいに「医者」を複数形にしてひっくるめた形にして、「そういう職種の人たちは、概してそういうことを言う」と言っているわけですね。

つまり、"Men." "Doctors." というセリフは、「全く男ってのは」「全く医者ってのは」(どいつもこいつもみんな、そういうことをする、そういうことを言う)みたいな感覚で「複数形」を使っているということになります。
今回のロスのセリフも同様に、エリザベスの行動が子供みたいだと言うために、「子供ってのは、大人の意図を理解しないでこういうことを言うんですよね」という意味で、Kids! と言っていると考えられるでしょう。
パパのポールはちょっとあきれた顔をしていますが、ロスとしては、エリザベスの言動を「これだから子供ってのは!」と言うことで、「僕たちは大人らしく、問題を解決しましたよね?」と言いたかったようですね。


(過去記事への追記のお知らせ)
前回の記事、人に教えられるもんじゃない フレンズ6-21その5 のセリフ、
ウェイン: Yeah. Her. All of them. Anyone.
について、コメント欄でご意見を頂戴しました。
記事への追記、及び、コメント欄にて、訂正と追加説明をさせていただいておりますので、併せてご覧いただけると幸いです。


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posted by Rach at 19:27| Comment(2) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月04日

人に教えられるもんじゃない フレンズ6-21その5

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テレビドラマ「マック&チーズ」に主演する予定だったジョーイですが、ロボット「チーズ」の開発者及び操縦者である男性ウェインを怒らせてしまい、ジョーイは主役をクビになってしまいます。
着替え室で荷物を整理しているジョーイを、そのウェインが訪ねてきます。
ウェイン: Joey, Joey, I-I-I'll g-get you your job back if you help me out. (ジョーイ、ジョーイ、ぼ、僕は君に君の仕事を取り戻してあげるよ、もし君が僕を助けてくれるなら。)
ジョーイ: (incredulous) Why should I help you out?! ([懐疑的な様子で] どうして俺が君を助けてやらないといけないんだ?)
チャンドラー: (whispering in Joey's ear) The reason he just said. ([ジョーイの耳にささやいて] 彼が今言った理由だよ。)
ジョーイ: (happily) What do you need? ([幸せそうに] 何が望みだ?)
ウェイン: I-I-I saw you on stage talking to that beautiful woman, y'know Sarah? (ぼ、僕は君が現場であのきれいな女性、ほら、サラって子と、話してるのを見たんだ。)
ジョーイ: Yeah? (そうだけど?)
ウェイン: I wish I could talk to her. (僕も彼女と話せたらいいのに、と思って。)
ジョーイ: What, are you in love with her or something? (何だよ、彼女が好き[彼女に惚れてる]とか、そんなのなのか?)
ウェイン: Yeah. Her. All of them. Anyone. (そうなんだ。彼女が(好きなんだ)[彼女に(惚れてるんだ)]。全員が。誰もが(彼女に夢中なんだ)。)
チャンドラー: Yeah. I've been there, my friend. (ああ、俺にもそういう経験ある、友よ。)
ウェイン: Listen, I-I guarantee you keep your job if you can teach me how to talk to women like you do. (ねぇ、僕は君が仕事をキープできるように保証する、もし君みたいに女性に話しかける方法を君が僕に教えてくれたら。)
ジョーイ: Oh wow Wayne, it's not really something you can teach, y'know? It's pretty much something you're born with if you-- (Off Chandler's look) -You-you can teach it! I'll show you right how to do it. (あぁ、ウェイン。そういうのは、あんまり、人が教えられるようなことじゃないんだよな、だろ? そういうのは、だいたい、生まれつき持ってるもので、もし… [チャンドラーの視線から目をそらして] (もちろん)教えられるよ! 俺が君にまさにその方法を教えてやるよ。)

自分をクビにした張本人ウェインが訪ねてきたので、ジョーイは不機嫌そうな顔で応対しています。
ウェインは、「君が僕を助けてくれるなら、君の仕事を取り戻してあげる」と申し出ています。
ジョーイは不満そうな顔のままで、「なぜ、俺が君を助けないといけないんだ?」と言っていますね。
それを聞いたチャンドラーが、The reason he just said. と言っていますが、これは、「ウェインがたった今言った、その理由」という感覚。
「なぜ、ジョーイがウェインを助けないといけないかの理由は、今、ウェインが言ったろ?」ということです。
ウェインの話によると、「ウェインを助けたら、クビになったマック役が戻ってくる」、だから、ジョーイはウェインを助けるべき、助けないといけないんだ、ということですね。

自分を不幸に突き落とした相手が頼みごとをしてきた場合に、「何で(お前にひどいことをされた)この俺がお前を助けなきゃいけないんだ?!」みたいに言うのはよくあるパターンなので、ジョーイは深く考えることなく、反射的に、Why should I help you out?! と言ったのでしょう。
ウェインの申し出が、ジョーイにとって、とてもありがたい話だったことに言われた瞬間は気付かなかったということで、他のフレンズに比べて何かに気づくのがワンテンポ遅れるジョーイらしいシーンだな、と思います。

「今、ウェインが理由を言ってたじゃないか」と言われて、さすがにその意味に気づいたジョーイは、嬉しそうにニコーッと満面の笑みを浮かべて、「で、望みはなんだ?」みたいに聞いています。
ウェインは、口下手な感じで言いにくそうに、「君が撮影現場であのきれいな女性、ほら、サラって女性と話してるのを見たんだ」と説明します。

I wish I could talk to her. は典型的な「仮定法過去」ですね。
「彼女と話せたら、彼女に話しかけられたらいいのに(実際にはできない)」という感覚です。
ウェインは見るからに、女性と話すのが得意そうではない男性なので、「そうできたらいいんだけど、僕にはそんなことできないんだよなぁ」という意味で「現実とは反対の仮定」である「仮定法過去」を使っているのですね。
それを聞いてジョーイは、「彼女に惚れてるとか、そんなのなのか?」と尋ねます。

次のウェインの返事、Yeah. Her. All of them. Anyone. について。

Her は、I'm in love with her. ということですね。
恋愛下手な感じのウェインですから、自分で be in love with というフレーズを言うのもためらわれて、ただ、with の後に続く her だけを繰り返すのが精一杯だった、という感じでしょうか。

その次の、All of them. ですが、all という言葉があることから、「彼女の全て(が好き)」ということかと一瞬思ったのですが、それだと、All of her. になりそうですよね。
例えば、like という言葉を使って、「彼女の全てが好き」と言いたい場合には、I like all of her. とか、I like everything about her. のように表現する気がします。
ここでは、her ではなくて、them が使われているので、これは、撮影現場にいる男性スタッフのみんながサラに惚れている、みたいな意味の主語(主格)かな、と私は思いました。
次の anyone は「誰でも、誰もが」という意味ですよね。
つまり、「撮影現場の男性はみんな、誰もが、サラに惚れている」というのが、Her. All of them. Anyone. の意味ではないかと私は考えたということです。
「彼女に」(目的格)、「全員が」(主格)、「誰もが」(主格)ということだろうと。
自分がサラを好き、というだけではなくて、他のみんなもサラに憧れてるんだよ、と言いたいセリフだと私は解釈しました。

(2012.7.6 追記)
ウェインのセリフ、"Yeah. Her. All of them. Anyone." について、下のコメント欄でご意見をいただきました。
私は最初に投稿した記事で、
「彼女に(惚れてるんだ)。全員が。誰もが(彼女に夢中なんだ)」のように、
「彼女に」(目的格)、「全員が」(主格)、「誰もが」(主格)
と解釈したのですが、これは、コメント欄でご指摘いただいたように、
「彼女に(憧れている)。(というか)女性全般に、女性なら誰にでも(憧れている)」のような、
Her. All of them. Anyone. の3つ全てが、I'm in love with... に続く「目的格」であると解釈した方が自然だと思いました。
下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)

ウェインの想いを聞いて、チャンドラーは、Yeah. I've been there, my friend. と言っていますね。
I've been there. は、「俺もそこにいたことがある」という感覚から、「俺にも経験ある」ということ。
「みんなが憧れるマドンナに、熱烈に恋しちゃうってこと、俺にも経験あるよ」みたいに言っているようです。
「お前の気持ち、よーくわかるぞっ」という気持ちから、my friend とも言っているわけですね。

guarantee は「保証する、請け合う」。
ジョーイがその仕事(主役マックの仕事)をキープするのを保証する、と言って、もし君みたいに女性に話しかける方法を君が教えてくれるなら、とウェインは条件をつけています。
ここで、ウェインの「僕を助けて欲しい」の内容がわかったわけですね。
「全員がサラに憧れているんだ」と言っていた(らしい)ことからも、「みんなが憧れているが簡単には手を出せない、そのサラに、ジョーイが簡単に声をかけて話していたこと」に感銘を受けたことがわかりますね。
「その極意を師匠に教えてもらいたい」というような気持ちで、気まずいのを承知でやって来たのでしょう。

「話しかけ方を教えてくれたら、君にマック役を戻す」とのせっかくのオファーなのに、ジョーイはいかにもプレイボーイ的な返答をしています。
it's not really something you can teach は、「それ(女性に話しかける方法)は、教えられるようなものじゃない」という感覚。
このセリフの you は、ジョーイが話している相手の「あなた、君」であるウェインのことではなく、「一般の人」を表す you 、もしくは、ジョーイ自身のこと(I=私)を語っている感覚になります。
ジョーイに言わせると、「女性への声のかけ方、ナンパのしかた」なんてものは、人が(誰かに)教えられるようなものじゃないんだよ、ということですね。
それはつまり、「俺がそれを君に教えることなんかできない」と言っていることにもなるわけです。
そういうコツは、俺を含めて、どんな人でも、他人に教えることなんかできる類のものじゃないんだ、みたいなことになります。
次の、It's pretty much something you're born with も、「そういうのは、だいたい、人が持って生まれてくるようなものだ」というニュアンスになります。
「女性に話しかけるコツなんてものは、人が教えられるもんじゃなくて、持って生まれた才能なんだよなぁ…」と言いたいわけですね。

そう言いながら、チャンドラーが同意してくれるのを期待して、後ろを振り向いたジョーイですが、チャンドラーが「せっかくのチャンスを無駄にする気か?」みたいな顔をしているのに気づいて、急に気が変わった風に、慌てて、You-you can teach it! I'll show you right how to do it. と言い直すのが面白いです。

この you も「(自分を含めた)一般の人」を表すニュアンスですね。
「そんなの教えられない」と言ったけど、いやいや、やっぱり、「人はそういうことを教えることができるよ」と言い直して、俺がそのやり方を教えてやるよ!と申し出ている感覚になります。

このウェインとジョーイのやり取りで、
ウェイン: if you can teach me...
ジョーイ: it's not really something you can teach...
ジョーイ: you can teach it! I'll show you...
の you に注目していると、最初のウェインのセリフの you 以外は、「あなた」という意味で使われていないことは明白ですね。
ウェインが「君(ジョーイ)が教えてくれるなら」と言っているのに、ジョーイが「君(ウェイン)が教えることができる」と言うのは、話の流れとして明らかにおかしいからです。
こういう部分は、ただ、音だけでセリフを聞いていると、何となく話の流れがつかめてしまって気づけない部分でもあるでしょう。
字幕などで文字として確認することで、ウェインが you can teach と言ったのに、ジョーイも、you can teach と同じ you を使っていることに気づけるわけです。
これまでのフレンズにも、こういう you は何度も出てきましたので、いったんそれを学んだ方は、「あぁ、またあの you ね」と瞬時に納得できて、こういう you の経験がさらに積み重なり、知識がさらに確実なものになって行きます。
そのように「経験から学んで行く」ためにも、やはり学びの段階のどこかで、「こういう you が存在する」ことをあらかじめ知識として頭に入れておく必要がある、ということになるでしょうね。


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posted by Rach at 16:32| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月02日

インコースは有利な立場 フレンズ6-21その4

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ジョーイを捜して、彼の部屋にやってきたロスは、その部屋のカウチで抱き合ってキスしている、レイチェルとポール(ロスの彼女エリザベスの父)を発見します。
一人動揺するロスは、見て見ぬふりをするのですが、レイチェルとポールはまったく気にしていない様子。
「また電話するよ」と言ってポールが立ち去った後、
ロス: What-what-what the−how da-how did-what the-how did-what?! (何、何が、どうして、どうして…何が!?)
レイチェル: Well, y'know, he lost his keys. So he was looking for them.... (ほら、ポールは鍵をなくしたの。それで彼は鍵を捜していて…)
ロス: (incredulous) In your mouth?! ([懐疑的な様子で] 君の口の中で(捜していたのか)?)
レイチェル: No! Downstairs! And we got to talking y'know, for like two hours, and I really liked him. So I invited him up here for a cup of coffee. (いいえ! 下の階でよ! そして私たちは話し始めたの、2時間くらい(話したわ)。それで私はすごく彼を気に入ったの。だから、コーヒーでも、って彼をここに誘ったのよ。)
ロス: You were at the coffee house! (君(たち)はコーヒーハウスにいたのに!)
レイチェル: Ross, what's the big deal? So I kissed the guy! (ロス、何がそんなに大ごとなの? 私は彼にキスしただけよ。)
ロス: He is my girlfriend's father, okay? It's-it's, it's weird! (ポールは僕の彼女の父親だぞ、いいか? それって、それって変だよ!)
レイチェル: Wh−You dated my sister! (何、あなたは私の妹とデートしたでしょ!)
ロス: That was different! (あれは(今回のこととは)違ってたよ。)
レイチェル: What? Why?! (何が? どうして?!)
ロス: This is weird for me! (今回のことは、僕にとって変なんだ!)
レイチェル: Ross, look, look. This is good for you. Okay? Let's face it. So far the guy's not lovin' ya! But I can turn that around! I got the inside track. We can all go out to dinner, y'know? And I can talk you up! Plus the guy is a very, very successful lawyer! (ロス、ねえ。これはあなたにとって良いことなのよ、でしょ? 現実を見て。これまでのところ、その男性(ポール)はあなたのことを愛してない! でも私がそれを逆転させることができるのよ! 私は有利な立場にいるわ。私たち(4人)全員で夕食に行きましょうよ。そしてあなたを良いように話すこともできるわ! プラス、あの人はとってもとっても成功した弁護士なのよ!)
ロス: How is that important? (それがどんな風に重要なんだよ?)
レイチェル: Oh, it's important! (あぁ、(ほんとに)重要なのよ!)

レイチェルがポールとキスする現場を見てしまい、動揺しているロスは、what, how を連発して、文章にならない言葉を発しています。
レイチェルは落ち着いた様子で、「彼が鍵をなくして、彼はその鍵を捜していたの…」と冷静に状況を説明しています。
鍵はたいてい、2個以上の鍵をキーホルダーにつけた形で持ち歩くことが多いので、そういうものを指す場合には、当然、keys と複数形になります。
レイチェルのセリフでも、keys が使われており、代名詞も them と複数形になっていることに注意しておきましょう。

「ポールは鍵を捜していたの」というレイチェルのセリフに、ロスは懐疑的な様子で、"In your mouth?" と叫んでいます。
「鍵を捜してた、って言うけど、ポールは君の口の中で鍵を捜してたのか?」という意味ですね。
ロスは二人がキスしている現場を見てしまったので、「鍵を捜すことがどうしてキスに繋がるんだ? 口の中に鍵があってそれを捜してたとでも言うつもりか?」と言いたいわけです。

レイチェルは軽く否定して、鍵を捜してたのは下の階での話よ、と言った後、2時間ほど話したとも言っています。
get to talking は「話し始める」というニュアンス。
通常、get to do something という get to+動詞の原形の形で、「〜するようになる」「〜できるようになる、〜するチャンスを得る」という意味で使われますが、今回の get to doing は「〜し始める」という感覚になります。

Macmillan Dictionary では、
get to doing something : to start doing something
例) He got to thinking that it was all his fault.

つまり、「何かをし始めること」。例文は、「すべて自分のせいだったと彼は思い始めた」。

彼と話し始めて、結局2時間くらい話して、私は彼がとても好きになった、とレイチェルは言います。
それで彼にコーヒーでも、ってここに誘ったのよ、と説明しています。

You were at the coffee house! の you は、君(レイチェル)、もしくは君たち(レイチェルとポールの二人)のどちらともとれますが、「君たち二人は」とした方がこの場合はふさわしいように思います。
彼をコーヒーに誘ったって言うけど、君らはその時、まさにコーヒーを出すコーヒーハウスにいたんだろ?と言っているわけですね。
コーヒーハウスにいたくせに、どうしてわざわざ自分の部屋まで上がってくる必要があるんだよ、と言いたいわけです。

ロスが一人で大騒ぎしているので、レイチェルは、「何がそんなに大ごとなの?」とあきれた様子で言っています。
お茶に誘って、キスしただけなのに、という感じですね。
それでもロスは、「ポールは僕の彼女の父親だ。それって変だよ、妙だよ」と言っています。
それに対してレイチェルも、「あなただって、私の妹とデートしたくせに」と返します。
That was different! は「それは・あれは、今回のこの話とは違う、違ってた」という感覚。
それとこれとは別だよ、という気持ちです。
「何が違うのよ?」みたいに問うレイチェルに、ロスは、This is weird for me! と言っています。
つまり、「今回の件は僕にとって weird なんだ、その点が前回とは違う」ということ。
お互い、複雑な関係の人とデートをしたわけだけど、前回は君にとっては奇妙で居心地悪かっただけで、僕にとっては「気に入った女性とデートした」という意味では、別に奇妙でも何でもなく普通のことだった、今回は僕が気持ち悪い、変な感じがする、という意味で、前回とは違うんだよ、ということですね。
他者の目から客観的に見れば、どちらも同じように「奇妙な関係」になりますが、ロスは「自分の立場から主観的に見て、今回は weird だ」と力説していることになります。
こういう自己中な発言が、いかにもロスっぽいです。

「僕の彼女の父親と付き合うなんておかしいよ!」と主張するロスに対して、レイチェルは「あなたにとってもいいことなのよ」と言って、これまでのところ、ポールはあなたのことを好いていないけれど、私がそれを逆転させるわ、とも言っています。

I got the inside track. の the inside track は「インサイド・トラック」、つまり、「(陸上競技の)トラックのインコース(内側のコース)」のこと。
このセリフの got は、I've got つまり、have got = have の意味で、have the inside track は「インコースを走る」ことから、「有利な立場にある」という意味になります。

LAAD では、
inside track : a position that gives someone an advantage over the people they are competing against
例) Another newspaper has the inside track on the story.

つまり、「競っている相手よりも有利な点を与える立場」。
例文は、「この話については、もう1つ別の新聞が有利な立場にある」。

レイチェルにしてみれば、彼は私に夢中みたいだから、私が状況を思い通りに動かせる、と言いたいようです。
全員で食事に行って、talk you up することもできる、とも言っています。
talk ... up は、「…が良いものであるように話す」というニュアンス。
日本語で言うと、「…を持ち上げるように話す」という感覚に近いでしょうか。
イメージをアップさせる方向で話す、という感じですね。

LAAD では、
talk somebody/something up [phrasal verb] : to talk about someone or something in a way that makes them seem successful, interesting, good etc. (OPP: talk down)
例) The administration has been eager to talk up the deal.

つまり、「誰かや何かが成功している、興味深い、良いなどに見えるような方法で、誰かや何かについて話すこと」。例文は、「政権はその政策を良いものであると話すことに(ずっと)意欲的だった」。

レイチェルは、Plus と言って、「さらにまだこういうこともあるわ」と言っています。
ポールはすっごく成功した弁護士なの!とレイチェルは言うのですが、ロスにはそれがどういう関係があるのかわからないので、「それが何か重要なわけ?」みたいに尋ねます。
ロスが「そんなこと、ちっとも重要じゃない。彼が成功した弁護士だろうが何だろうが、僕には関係ないことだ」と思っていることがそのセリフからわかりますが、レイチェルは、Oh, it's important! 「ええ、重要なのよ!」と答えます。
レイチェル的には、「自分が付き合っている人が、社会的地位があり、お金持ちかどうか」は非常に重要なことなので(笑)、important だと断言しているわけですね。
そういう意味ではこのセリフは、さきほどのロスの「僕にとっては変じゃない」というのと同様の自己中発言、自分の主観のみからの発言となるでしょう。
そこでちょっと思ったのですが、このセリフも、Oh, it's important for me/to me! みたいに「私にとっては重要なのよ、重要なことなのよ!」と言った方が、ロスのセリフとの対比として、今度はレイチェルが同じような自己中発言をしたことがよりはっきりして、面白いような気がするのですが、いかがでしょう??


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posted by Rach at 17:19| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月30日

落ちたものを何個も食べられない フレンズ6-21その3

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モニカ、チャンドラー、フィービーの家にジョーイが入ってきます。
モニカ: How was your first day? ((ドラマの)初日はどうだった?)
ジョーイ: Pretty great! Except I did get a little attitude from the robot. (かなり良かったよ! ロボットから、ちょっとした(無礼な)態度をもらったってこと以外はね。)
チャンドラー: Damn those robots. They're supposed to be our faithful servants! (あのロボットめ! あいつらは我々(人間)の忠実なしもべであるはずなのに!)
ジョーイ: Anyway, it wasn't the robot, it was the guy who controls him. Yeah, he doesn't like me. He had C.H.E.E.S.E. knock over the sandwich table right when I was reaching for one! Ohh! (とにかく、(問題なのは)ロボットじゃなくて、(ロボットの)彼をコントロールする男なんだ。そうさ、彼は俺のことが好きじゃないんだよ。彼は(ロボットの)チーズにサンドイッチのテーブルをひっくり返させたんだ、ちょうど俺がサンドイッチに手を伸ばそうとした時にだぜ! ああ!)
フィービー: Well, why don't you just get him fired? (ふーん、ただ彼をクビにさせたらどうなの?)
ジョーイ: I may have to. I hate to do it. But I'm the star! Y'know? There's a limit to how many sandwiches I can eat off the floor. (そうしなくちゃいけないかもしれないな。それをするのはいやだけど。でも、俺はスターだ、だろ? 何個のサンドイッチを床から食べられるかには限度があるよ。)

ジョーイが、自分が出演するドラマ「マック&チーズ」のために出掛けていたことを知っているので、モニカはジョーイが帰ると、「初日はどうだった?」と尋ねています。
How was your first day? は、初仕事の日はどうだったかを尋ねる定番表現ですね。

ジョーイは、Pretty great! 「かなりグレイトだったよ!」と答えるのですが、その後、Except を付け足して、「…ということ以外はね」と言っています。
フレンズにはこういう except の使い方がよく登場しますね。
先に全般的な感想を言っておいて、後から付け足しのように、「ただし…ということを除いてはね」と言っている感覚になります。
ジョーイのこのセリフも、Except が聞こえた時点で、「何かグレイトとは言い切れない出来事があったんだな」ということがわかるわけです。

attitude は「態度」ですから、I did get a little attitude from the robot. を直訳すると、「俺は例のロボット(=相棒役のチーズ)から、ちょっとした態度をもらった」と言っていることになります。
a little attitude と言っているだけで、それが、good なものなのか、bad なものなのかがわかりませんが、そのように bad などの形容詞がつかない形でも、「無礼な態度」というニュアンスを出すことができます。

Macmillan Dictionary では、
attitude : (informal) a proud confident way of behaving that some people consider rude
つまり、「(インフォーマル) 無礼・傲慢だと見なす人もいるような、高慢・尊大で自信に溢れたふるまい方」。

rude という言葉が使われていることからもわかるように、この語義のポイントは、「自信満々の態度で、それを無礼だと見なす人もいる」というところですね。
今回のジョーイのセリフも、「ジョーイにとっては無礼に感じられた尊大な態度」を言っていることになるでしょう。

ロボットが俺に無礼な態度を取った、という意味と呼応するように、チャンドラーも、Damn those robots. と吐き捨てるように言っています。
このような、Damn は、日本語だと「〜め!」と憎々しげに言う感覚が近いですね。

They're supposed to be our faithful servants! の be supposed to (be) は(今回のエピソードでは、何度も出てくるフレーズですが)、「〜するはずである、〜であるということになっている」という感覚。
faithful servants は「忠実なしもべ」なので、「彼らロボットは、我々人間の忠実なしもべであるはずだ」と言っていることになります。
これはもちろん、チャンドラーが本気でロボットに怒っているわけではなく、SFなどでよく使われる「ロボット工学三原則」(Three Laws of Robotics)の第二条(の前半部分)、
「ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない(A robot must obey the orders given to it by human beings)」
という原則を持ち出して、ジョークにしているわけですね。

ロボット工学三原則については、以下のウィキペディアで。

Wikipedia 日本語版: ロボット工学三原則
Wikipedia 英語版: Three Laws of Robotics

ジョーイは、そのチャンドラーのジョークを anyway と軽く流して(笑)、it wasn't the robot, it was the guy who... と言っています。
この it wasn't A, it was B の形は、「問題となっているのは、A ではなくて、B だった」という感覚。
ロボットからそういう無礼な態度をもらったけど、実際はロボットが問題なんじゃなくて、ロボットを操る男が問題なんだよ、ということです。
(ジョーイがチーズのあまりのチープさを見て、バカにしたような発言をしたので、発明者であり操縦者の彼はジョーイを嫌っているのです。)

He had C.H.E.E.S.E. knock over の had は使役動詞で、チーズに knock over させた、ということですね。
同じ使役動詞でも、let は「許可して・許して〜させる」、make は「強制的に・むりやり〜させる」というニュアンスがありますが、この have は「許可」でも「強制」でもない中立な感覚があります。
操縦者の彼がロボットを操作しているので、make でも良いようにも思いますが、このロボット自身に自我があるわけではないので、「何らかの意思に反して〜させる」というニュアンスを出す必要もないために、中立的な have を使っているのかな、と思います。

knock over は「ひっくり返す」。
right when I was reaching for... は「…に手を伸ばそうとしたまさにその時に」という感覚ですね。
日本語だと、「サンドイッチに手を伸ばそうとした時に、テーブルをひっくり返されたんだ」という語順が自然な流れになるでしょうが、英語ではこのように、時を表す副詞節は後ろに来ることも多いですね。
その英語の語順の感覚を出して訳すと、上のような訳になるわけで、日本語だと倒置にして強調したように聞こえる感覚になるでしょうか。

Why don't you just get him fired? の get him fired は「その男をクビにされた状態にする」という感覚。
fire という他動詞は「(人)をクビにする」という意味ですが、ジョーイ自身は、彼をクビにする権限を持っていないので、Why don't you just fire him? とは表現できないわけですね。
そういう権限のある人に話して、クビにさせたら?というのが、フィービーのセリフのニュアンスになります。
ジョーイは、「そうしないといけないかもしれないな。そうするのはいやだけど」と言っています。
自分のことを嫌っているし、嫌がらせもされたわけですが、彼をクビにすることには躊躇の気持ちもあるようですね。
それでも、「でも俺はスターだ、だろ?」と言って、ロボットを使っての嫌がらせに黙ってるわけにはいかない、みたいにも言っています。
「俺にもスターとしてのプライドってもんがあるんだ!」みたいな強気な発言に聞こえるのですが、その後のセリフで、「それでもスターか?!」とツッコミたくなるような発言が出てくるところが、ここのオチになっています。

そのオチの、There's a limit to how many sandwiches I can eat off the floor. について。
There's a limit to... は「…には限界・限度がある」。
何に対して限界・限度があると言っているかと言うと、how many sandwiches I can eat off the floor、つまり、「何個のサンドイッチを、床から食べることができるか」ということになります。
eat off の off は「分離」のイメージ。床にあるものを床から取って食べる、という感覚になります。
さきほど、ロボットのチーズがサンドイッチのテーブルをひっくり返した、と言っていることからも連想されるように、その時にサンドイッチが床に落ちてしまった、その床に落ちたサンドイッチを何個食べれるかにも限界があるだろ、と言っていることがわかります。

「何個食べられるかにも限界がある」と言っていることから、「何個かは食べた」ことがわかりますね。
「俺はスターなんだ、バカにされてたまるか!」みたいな流れから、「そのスターの俺が、床に落ちたサンドイッチなんか食べられるかよ!」と言うならまだしも、「床に落ちたサンドイッチを、そう何個も何個も食べられるもんじゃないだろ(今回は(いくつか)食べたけどさ)」と言っている、その「スターらしからぬ、みみっちぃ話」が、ジョーイっぽいオチになっているわけですね。
実際のところ、本当のスターであれば、スタッフが嫌がらせをしたことを怒ったとしても、「落ちたサンドイッチ」のことをそんなにしつこく話題にはしないでしょう。

フレンズ6-20その6 では、チャンドラーがジョーイを捜すために、サンドイッチを出すあらゆる店に行った、というセリフもありました。
また、フレンズ6-18 では、以下のような、床に食べ物を落とすシーンが出てきました(残念ながら、解説では飛ばしてしまった部分ですが…)。

ジョーイの家に住むようになったレイチェルが床にスパゲティを落とした時、ジョーイは「気にすんなよ。ここはジョーイん家だぜ」と言って一緒にスパゲティを落としたりしています。
ですが、面白がってたくさんのスパゲティを床に落としたレイチェルに、
ジョーイ: All right, don't waste it. I mean, its still food. (He picks it up and eats it.) (よし、(もう)無駄にしちゃだめだ。だって、それはやっぱり(まだ)食べ物なんだから。 [ジョーイは落ちたスパゲティを拾い上げ、それを食べる])

こういう過去のエピソードから、「ジョーイはサンドイッチが大好物」で「落ちたものでも食べる」ことが視聴者にはわかっているので、「床に落ちたサンドイッチを食べる話」をするジョーイのセリフが、余計に面白く感じられるわけです。
シリーズ物ならではの「お約束」ジョークだということですね。


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posted by Rach at 10:18| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月28日

なぜ自分の年頃の彼女を選ばない フレンズ6-21その2

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ロスは今、自分が教えている大学の学生エリザベスと付き合っているのですが、そのエリザベスのパパがロスに会うため、セントラルパークにやって来ます。
エリザベス: This is my father, Paul Stevens. Dad, this is Ross Geller. (これが私の父、ポール・スティーブンズよ。パパ、こちらが、ロス・ゲラー。)
ロス: It-it's great to meet you, Paul. (お目にかかれて光栄です、ポール。)
ポール: I usually prefer Elizabeth's boyfriends to address me as Mr. Stevens. (私は通常、エリザベスの彼氏には、私をミスター・スティーブンズと呼んでもらう方を好むんだが。)
ロス: Of course, of course, Mr. Stevens. (もちろん、もちろんです、ミスター・スティーブンズ。)
ポール: So, Ross, what's your problem? (それで、ロス、君は何が問題なんだ?)
ロス: Eh-wh−Excuse me? (えー、あの、何ですって?)
ポール: Why can't you get a girlfriend your own age? (なぜ君は自分の年頃の彼女をゲットできないんだ[持たないんだ・選ばないんだ]?)
ロス: That's funny. Umm.... (Pause, then serious) It's not funny. (それは面白いですねぇ。あー [間があって、その後、真剣になり] 面白くはありませんね。)
ポール: I don't like you going out with my daughter, Ross. (君が私の娘とデートするのは好きじゃない[嬉しくない]んだが、ロス。)
ロス: Okay. I can, I can see that. Umm, but I think if you give me umm, one chance, I can, I can change your mind. (はい、わかります。あー、でも、僕が思うに、もし僕に一度チャンスを下さったら、あなたの心を変えることができます[変えてみせます]。)
ポール: Okay. (わかった。)
ロス: What? (何ですって?)
ポール: Okay. I'll give you one chance to change my mind. (Ross laughs in relief) You got one minute. (Ross suddenly gets worried.) (わかった、私の気持ちを変えるためのチャンスを一度、君に与えるよ。[ロスは安心したように笑う] 1分やろう。)
エリザベス: Daddy! (パパ!)
ポール: Fine! Two minutes. Go. (わかったよ。2分だ。さあ始めて。)
ロス: This is-you- (Ross starts laughing.) (これは…あなたが… [ロスは笑い始める])
ポール: (laughs then checking his watch) 1 minute 50 seconds. ([笑って、それから自分の腕時計を見て] 1分50秒だ。)

今回の フレンズ6-21 の日本語タイトルが「彼女のパパはブルース・ウィリス」となっていることからもわかるように、ロスの彼女エリザベスのパパを演じているのは、「ダイ・ハード」でジョン・マクレーン刑事を演じた、あの、ブルース・ウィリスです。
ブルース・ウィリスは、最近も「ダイハツ ミライース」のCMに出演したりして、見かける機会がますます増えましたね。

彼のような大物俳優のゲスト出演はフレンズではよくあることですが、今回のゲスト出演は、映画「隣のヒットマン」(原題: The Whole Nine Yards)で、チャンドラー役のマシュー・ペリーと共演したことがきっかけとなったようです。

IMDb : The Whole Nine Yards : Trivia
には以下のような情報が書いてあります。

As a result of a bet lost on the set, Bruce Willis agreed to do a guest appearance on Friends for free. He was already planning to do the guest spot, but the terms of the bet led to him giving his pay for the episode to charity.

つまり、「(映画の)撮影現場で負けた賭けの結果、ブルース・ウィリスは、無償でフレンズへのゲスト出演をすることに同意した。ブルースはすでにゲスト出演を計画していたが、賭けの条件のために、ブルースがエピソードに対する支払いをチャリティーとして差し出すことになった」。

つまり、この映画の撮影中にはすでに、ブルースがフレンズにゲスト出演する予定は決まっていたようですが、マシューとの賭けに負けたブルースが、その支払いの代わりに、フレンズに無償で出演することになった、ということのようです。
ブルースは、このフレンズへのゲスト出演で、エミー賞ゲスト男優賞コメディ部門を受賞(win an Emmy Award in the Outstanding Guest Actor category)していますが、確かに、その受賞もうなずけるようなコミカルな彼の演技は見ものです。

ブルース・ウィルスと言えばやはり「ダイ・ハード」ですが、過去記事、なかなか死なぬダイハード フレンズ4-21その2 では、ジョーイとチャンドラーが、「ダイ・ハード」のビデオを借りるぞー!と盛り上がるセリフが出てきましたし、この先のフレンズ7-6 でも、フレンズ男性陣がダイ・ハードのビデオを見るシーンが出てきます。
そんな風に「男子が大好きな映画」の代名詞ともなっている「ダイ・ハード」の主演俳優が、一般人の役として、今回さらっと登場しているのが面白いですね。
あの映画、何回も見てるのに、「マクレーン刑事に似てるなぁ」とか思わないのかよっ!とツッコミたいところです(笑)。

エリザベスは、自分の父と恋人ロスをそれぞれに紹介しています。
ロスは、「お目にかかれて光栄です」の後に、パパのファーストネーム、ポールで呼びかけていますね。
その後のポールのセリフから、娘の恋人にファーストネームで呼ばれたことに不満を持っていることがわかります。
I usually prefer は、「私は通常・通例、…の方を好む」。
何を好むかと言うと、「娘の恋人にはミスター・スティーブンズと呼んで・呼びかけてもらうこと」をより好むと言っていることになります。
このように動詞 address は、address someone as... の形で、「人を…と呼ぶ」という意味になります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
address : to use a particular title or name when speaking or writing to someone
address somebody as something
例) You should address him as "Mr. President."


つまり、「誰かに話しかけたり、文章を書いたりしている時に、ある称号・肩書きや名前を使うこと」。
例文は、「彼を「ミスター・プレジデント」と呼ぶべきだ」。

ロスは、自分がエリザベスよりかなり年上であることから、そのパパに対して「世代が少し下な程度」のような気さくな感じを出すために、そうやってファーストネームで呼びかけてみたのでしょう。
それが、パパの癇に障(さわ)ってしまったわけですね。
ロスも慌てて、Mr. Stevens と訂正しています。

ポールはいきなりロスに、「君の問題は何だ? 君は何が問題なんだ?」と尋ねています。
ロスが「え?」みたいに聞き返したように、そのポールのセリフには、「君には何か問題があるようだが、それは何かな?」→「君ってどっかおかしいんじゃないか?」のようなニュアンスが感じられます。
質問の意図がわからず口ごもるロスに、ポールは、Why can't you get a girlfriend your own age? と言います。
your own age は「君の年頃」なので、a girlfriend your own age は「君の年頃の彼女」、つまり、ロスと同年代の彼女、恋人ということになります。
「同じ年頃の彼女」と言いたい場合には、a girlfriend of your own age のように、of が必要な気がするのですが、of なしの形でも使えるようですね。

研究社 新英和中辞典には、以下のように出ています。

age 【名詞】
[叙述形容詞的に用いて] …の年齢で[の] (注:of one's age の of を略した形)
He's just my age. 彼は私と同じ年です。
when I was your age 私が君の年齢のときに(は)
a girl your age 君の年ごろの少女


用例の、a girl your age 「君の年ごろの少女」がまさに、ロスのセリフの a girlfriend your own age と同じ感覚で、「君の年ごろの彼女」という意味になるわけです。
過去記事、レイア姫の金のビキニの話 フレンズ3-1その8 では、
フィービー: Yeah, oh, Princess Leia and the gold bikini? Every guy our age loved that. (えぇ、レイア姫と金のビキニでしょ? 同世代の男はみんなあれが大好きだったのよ。)
というセリフもありました。
これも、every guy our age 「同世代の[同い年の]男性はすべて」ということですね。

若すぎる女の子を彼女にしていることをポールに指摘されて、ロスは「その冗談、面白いですね」のように、笑い話で流そうとするのですが、父ポールの顔が真剣なので「いえ、それは笑いごとではありませんね」のようにロスも真顔になっています。

「君が娘と付き合う・デートするのは嬉しくない」とはっきり言われたので、ロスは「僕にチャンスを下されば、あなたの心を変えてみせます」と宣言します。
Okay. とあっさりそれを受け入れたポールに拍子抜けしたようなロスでしたが、ポールは「チャンスをやろう」と言って、You got one minute. と言います。
ネットスクリプトでは、You got one minute. 字幕では、You've got one minutes. と書いてありますが、この got/have got は、have の意味ですね。
「君は1分持っている、君には(時間が)1分ある」→「君に1分間の時間をやろう」と言っていることになります。
娘のエリザベスが「そんなのひどいわ!」と言わんばかりに、Daddy! と叫んだので、ポールは、「わかった。(じゃあ)2分だ。Go. 」と言います。
チャンスをくれると言っても、1分や2分でどうしろっていうんだ、というところですが、Go. と言いながら、「さあ、始めて」みたいに、ロスに「どうぞ」のような指差しサインを出すのが何ともコミカルです。
ロスが、にやけながら口ごもっていると、ポールはちらっと腕時計を見て、「1分50秒」と言っています。
君が何もできないで無言でいる間に、もう10秒過ぎちゃったぞ、と言っているわけです。
ロスを受け入れるつもりが全くないのがその様子からもよくわかりますね。


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posted by Rach at 16:45| Comment(6) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月25日

ぜひ知りたいと言うのなら フレンズ6-21その1

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シーズン6 第21話
The One Where Ross Meets Elizabeth's Dad (彼女のパパはブルース・ウィリス)
原題は「ロスがエリザベスのパパに会う話」


[Scene: Central Perk, time lapse. Phoebe is now looking at the covers of two different books.]
セントラルパーク。(オープニングシーンから)時間が経過している。フィービーは今、2つの違う本の表紙を見ているところ。
チャンドラー: Are you judging them by their covers? Because you're really not supposed to do that. (表紙で本を判断してるの? だって、ほんとうにそんなことはしちゃいけないことになってるだろ。)
フィービー: No, I'm just deciding which one to use. I'm gonna start writing another book! (いいえ、ただどっちを使おうか決めてるところなの。私、別の本を書き始めようとしてるのよ。)
レイチェル: Be-because the last one was such a big seller? (最新の本がすごく売れたから?)
フィービー: Well, if you must know, I have written 14 books. And as I am the only one who has read them, I can tell you that they all have been very well received. (そうねぇ、是非知りたいと言うなら(教えてあげるけど)、私はこれまでに14冊の本を書いたのよ。そして私はそれらの本を読んだ唯一の人間だから、私はあなたたちにこう言えるのよ、その本は全部、好意的に受け止められたって。)

チャンドラーは Are you judging them by their covers? とフィービーに言っています。
cover は本の表紙のことですね。
この「表紙で本を判断する」というフレーズは慣用句になります。
外側の表紙だけを見て、中身を判断する、ということですから、「ものを見かけや外見だけで判断する」という意味になるのですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
don't judge a book by its cover : used to say that you should not form an opinion based only on the way someone or something looks
つまり、don't judge a book by its cover は、「誰かや何かがそう見える様子だけに基づいて、意見を形成すべきではないと言う時に用いられる」。

つまり、「人やものを見かけで判断しちゃいけないよ」と言う時のフレーズが、Don't judge a book by its cover. なのですね。
フィービーが、2つの本の表紙を見比べているので、「(慣用句にあるように、文字通り)君は表紙で本の中身を判断しようとしてるのか?」と言っていることになります。

Because you're really not supposed to do that. の Because は「なぜなら…だから」で、「どうして俺が”表紙で本を判断してるの?”と言ったかというと、以下の理由からだ」みたいな感覚。

be supposed to do は「〜することになっている」で、それを否定文にした be not supposed to do は「〜してはいけないことになっている」になります。
not の前に really がついて、not を強調しているので、「本当にそんなことはしてはいけないことになっている」という感覚になるのですね。
「本当にそんなことしちゃいけないんだよ」というのは、慣用句でそういう表現があるけど、ただの慣用句じゃなくて、実際、ほんとにそんなことしちゃだめなんだ、表紙で本の中身は判断できないんだよ、と言っているわけですね。

フィービーは No と否定した後、「私はただ、どっちの方を使おうか決めようとしているだけ」だと言っています。
その後、another book を書き始めるつもりなの、とも言っていますね。
another 「もう1つの」と言ったことから、それが初めての本ではなく、過去にも本を書いたかのような口振り(くちぶり)なので、レイチェルは「なぜなら、最新の本が、とってもビッグセラーだったから?」のように聞き返しています。
seller は「よく売れるもの」ですから、such a big seller は「とてもよく売れたもの」になります。
「どうして次の本を書こうとしてるかって言うと、それは、前の本がバカ売れしたからかしら?」みたいな聞き方をしているわけですね。
そこには「フィービーが書いた本が売れたって話は聞かないし、そもそも、フィービーが本を書いたってことすら知らないんだけど」みたいに、からかいの気持ちで言っているのがわかります。

そういうレイチェルの意図を察したらしいフィービーは、Well, if you must know, I have written 14 books. と言っています。
直訳すると、「そうねぇ、もしあなたが知らなければいけないのなら、私は(これまでに)14冊の本を書いたのよ」ということになるでしょう。
この if you must know というフレーズは、研究社 新英和中辞典では、以下のように説明されています。
must=[主張を表わして] ぜひ…ねばならない (注:must が通例強く発音される)
例) Talk to him yourself if you must. 「ぜひにというなら自分で彼と話してみるんだな」


つまり、「どうしても君が…しなければならないと言うのなら」という感覚ですね。

このフレーズについては、英英辞典の説明は以下のようになっています。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
if you must (do something) : used to tell someone that they are allowed to do something, but that you do not approve or agree with it
例1) All right, come with us, if you must.
例2) "Who was that girl?" "Well, if you must know, her name is Mabel."


つまり、「ある人がそれをすることを許されているが、自分はそのことを承認したり同意したりしていないことをその人に言う時に用いられる」。
例文1は、「わかったよ、俺たちと一緒に来いよ、君がぜひにと言うなら」。
例文2は、「あの女の子は誰だったの?」「うーん、君がぜひ知りたいと言うのなら、彼女の名前はマーベルだ」。

Macmillan Dictionary では、
if you must know : (spoken) used for answering someone in an annoyed way
例) He's not my boyfriend any more, if you must know.


つまり、「いらいらした様子で誰かに答えるのに用いられる」。
例文は、「彼はもう私の恋人(彼氏)じゃないわ、ぜひ知りたいって言うんなら(教えるけど)」。

if you must という形以外だと、if you must know のように know と一緒に使われるパターンが多いことが、ロングマン、マクミランを見てもわかります。
ロングマンもマクミランも、「君がぜひとも、どうしても知りたいって言うんなら、教えてあげないこともないけど(自分としては率先して進んで教えたいわけではない)」というようなニュアンスが感じられますね。

フィービーのセリフも、レイチェルがからかったようにそう言ったことに対して、「私の本のことをどうしても知りたいって言うんなら、(渋々ながら)教えてあげるけど」というようなニュアンスが感じられる気がします。
「本なんか書いてるの?」って言いたいようだけど、実際にちゃんと本を14冊も書いたんですからね、みたいなことですね。

as I am the only one who... の as は「理由を表す接続詞」。
because ほどの明白な理由のニュアンスを出さずに、軽く理由を述べたい時に使われる接続詞です。
as は「〜として」という前置詞としても用いられますが、その場合は後ろに名詞が続きますね。
「その14冊の本を読んだ唯一の人間として」と言いたいのであれば、as the only one who... のようになるでしょう。
フィービーのセリフは、「私がその14冊の本を読んだ唯一の人間だから、あなたたちに(that 以下のこと)を言うことができる」という構造になります。

have been received は、現在完了形+受動態の形。
直訳すると、「受け取られてきた」ということですね。
very well に受け取られた、ということですから、「よく・好意的に受け止められた」というような「評判が良かった」という意味になるでしょう。

LAAD では、
receive : REACTION TO SOMETHING [usually passive] to react in a particular way to a suggestion, idea, performance etc.
例) Hawke's first novel was well received by many critics.


つまり、「提案、考え、業績などに対してある様子で反応すること」。
例文は、「ホークの最初の小説は、多くの批評家に好意的に受け止められた」。
usually passive 「たいていは受動態で」とあるように、be well received の形で用いられることが多いようです。
ロングマンの例文とフィービーのセリフには非常に似たニュアンスがありますので、このような形で使われるのが一般的だということがよくわかりますね。


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posted by Rach at 19:20| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする