2012年05月04日

今宵の君は、を入れたテープ フレンズ6-17その4

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[Scene: Monica and Chandler's, Monica is getting ready for Chandler's arrival. He enters and finds the place lit with candles and dinner on the table.]
モニカとチャンドラーの部屋。モニカはチャンドラーが帰宅するので(食事の)準備中。チャンドラーが部屋に入ると、その場所にはキャンドルが灯され、テーブルにはディナーが置いてある。
チャンドラー: Oh, my good God. (あぁ、なんてことだ。)
モニカ: Hey! Continuing the countdown of your favorite meals. Tonight, No. 3, macaroni and cheese with cut-up hot dogs. (はーい! あなたのお気に入りの食事のカウントダウンは継続中よ。今夜は、第3位、切り刻んだソーセージ入りのマカロニ&チーズよ。)
チャンドラー: Look, you have done enough! Okay? You have to stop this now. (ねぇ、君はもう十分してくれたよ、だろ? もうこんなことやめないといけないよ。)
モニカ: I will! But not tonight. For dinner music, I thought we could listen to that tape that you made me. (やめるわよ! でも今日はまだやめない。ディナーの音楽として、あなたが私に作ってくれた、あのテープを聞くことができるんじゃないか、って思ってたの。)
チャンドラー: Oh, the mixed tape. (あぁ、例の編集テープね。)
(Monica pushes play and The Way You Look Tonight starts to play.)
モニカはプレイボタンを押すと、The Way You Look Tonight が流れ始める。
モニカ: "The Way You Look Tonight" is on here! Dance with me? (ここに、The Way You Look Tonight が入ってるのね! 私と踊る?)
(He hesitates, then goes over to dance with her.)
チャンドラーは躊躇し、それから踊ろうとモニカのところに行く。
モニカ: You are just the sweetest. (They kiss.) (あなたって最高に素敵ね。[二人はキスする])
(Suddenly, a strange and familiar voice comes out of the tape player. Here's a hint, OH... MY... GAWD!! That's right, it's Janice!)
突然、奇妙で、また聞き覚えのある声がテーププレーヤーから聞こえてくる。これがヒント、オー、マイ、ゴッド! その通り、ジャニスだ!
ジャニス: I love the way you look every night, Chandler! (Monica breaks the kiss and Chandler freezes in terror.) That's why I made you this tape! Happy Birthday! Love, Janice! (毎晩のあなたの姿[様子]を愛してるわ、チャンドラー! [モニカはキスをやめ、チャンドラーは恐怖で凍りつく] だから私はあなたにこのテープを作ったの! お誕生日おめでとう! 愛してるわ、ジャニスより!)
チャンドラー: No! You're the sweetest! (He tries to kiss her but Monica backs away with a look that could kill on her face.) (いやいや! 君が最高に素敵だよ! [チャンドラーはモニカにキスしようとするが、モニカは殺しかねないような表情を顔に浮かべながら、後ずさりする]

チャンドラーが帰宅すると、部屋にはロマンティックなキャンドルが灯され、夕食の用意もされています。
モニカは、「あなたの好きな食事のカウンドダウンが続いてるのよ」と言いながら、今夜は第3位の、macaroni and cheese with cut-up hot dogs だと説明します。
cut up は「切り刻む」。
hot dog は日本語の「ホットドッグ」のように、パンにソーセージを挟んだものを想像しがちですが、その「パンにソーセージを挟んだもの」だけではなく、ソーセージそのものも、hot dog と言います。
今回は cut-up hot dogs なので、「小さく切り刻まれたソーセージ」を指しているわけです。

マカロニ&チーズは、フレンズ5-8その2 にも出てきたように、手軽に作れる料理の代表選手みたいなメニュー。
それに、切ったソーセージを加えただけなので、シェフであるモニカにしては、腕の振るい甲斐がないような料理なのですが、それを豪華な肉料理でも入っているかのようにものものしく、金属のドーム型の蓋をあけてジャジャーン!と見せているのに笑えます。そのギャップが面白い、って感じですね。

You have done enough. の完了形のニュアンスを出そうとすると、「君はもうこれまでに十分なことをしてきた」という感じになるでしょうか。
埋め合わせをすると言っていろいろとしてくれたけど、もう十分だから、もうこんなことはやめないといけない、やめてくれたらいいんだよ、と言っているわけですね。
自分の手作りではないものを、「君のために作ったテープだ」と言って渡したことが後ろめたくて、モニカが尽くしてくれればくれるほど、申し訳ない気持ちになっているわけです。

I will! But not tonight. は、「こういうことは(いつか近い将来)やめるわ、でも、今日はやめない[やめるのは今日じゃない]」という感覚。
そして、ディナーの音楽として、あなたが作ってくれたあのテープを聞くことができるかな、って思ってたの、と言います。

テープを再生すると、流れてきたのは、The Way You Look Tonight という曲。
Wikipedia 英語版: The Way You Look Tonight
を見ると、さまざまな人にカバーされているスタンダードだということがわかります。
邦題では「今宵の君は」というタイトルがつけられているようですね。

手作りのものが見つからず、寝室で見つけたカセットテープをとっさに手作りだと偽ってプレゼントした時、以下のようなやり取りがありました。
モニカ: Oh, what a great gift! Is "The Way You Look Tonight" on it? (まぁ、何て素敵なプレゼントなの! "The Way You Look Tonight" は入ってる?)
チャンドラー: (momentarily terrified) Maybe we'll have to listen and see! ([一瞬、怯えて] 多分、聞いてみたらわかるよ!)

モニカが、「このテープにその曲は入ってる?」と真っ先に尋ねた曲が入っていたので、モニカは感動しているわけです。と同時にチャンドラーも、「良かった、この曲、入ってて…」と安心しているだろうこともわかります。

ロマンティックなムードになって、二人はゆっくり踊り始めます。
You are just the sweetest. は、フレンズでよく出てくる、You're (so) sweet. の最上級の形で、「あなたってほんとに、最高に優しいのね、素敵ね」というニュアンス。
そんな感じでいい雰囲気になる二人ですが、次のト書きを読むと、笑ってしまいますね。
「奇妙で聞き覚えのある声がプレーヤーから聞こえてくる」という部分が、声が特徴のキャラ、ジャニスの説明として絶妙な感じ。

The Way You Look Tonight の曲の合間に、ナレーションのようにジャニスの声が入っており、「私は the way you look every night が好き、だから、"The Way You Look Tonight" というタイトルの、この曲をテープに入れたのよ」というようなメッセージが入っています。
改めてその曲のタイトル the way you look tonight を直訳してみると、「今夜、あなたがどのように見えているかという様子」みたいな感じになるでしょうか。
「今夜のあなたの様子、姿」みたいな意味なので、曲の邦題も「今宵の君は」と訳されているわけですね。
それと同じ感覚で、ジャニスは「今夜だけではなくて、毎晩のあなたの様子、あなたの姿を私は愛してる、だからこの曲を選んだの」と曲選択の理由を説明していることになります。

こういう the way は、ビリー・ジョエルの名曲、Just The Way You Are のニュアンスと同じですね。
この曲の邦題は「素顔のままで」ですが、原題のニュアンスが「君が今あるそのままの状態で」という感覚なので、そういう邦題になったわけです。
その「素顔のままで」の歌詞に、"I love you just the way you are" というフレーズがありますが、それは「そのままの君を愛している」ということになります。
the way you look や、the way you are などのフレーズは、そういう恋人同士でのロマンティックな会話によく登場するということですね。

「誕生日おめでとう、Love, Janice」というメッセージから、このテープはジャニスがチャンドラーの誕生日にプレゼントしたものであることも、モニカにバレてしまったわけです。
チャンドラーの手作りだと思って感激していたモニカは、真実を知って驚きあきれた顔をしています。
その様子に気づいたチャンドラーは、そのテープのナレーションなど聞かなかったかのように、さきほどの You are just the sweetest. と言ったモニカに返事する形で、「いや、(僕じゃなくて)最高に素敵なのは君だよ!」とごまかそうとするのですが、モニカは「もうだまされないわ」という怖い顔で、キスしようとするチャンドラーから逃げるように後ずさりするのにも笑えますね。

ジャニスの強烈キャラにはいつも笑ってしまいますが、絶妙なタイミングで登場した彼女の「声」だけでも、ここまでのインパクトを与えられるところに、見事にキャラ立ちしたジャニスというキャラの完成度(?)を見る気がして、面白いなと思いました。
こういうところが、シリーズものの醍醐味、というところですね。


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posted by Rach at 08:43| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月01日

望むものを何でも、こっちとあっちで フレンズ6-17その3

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今年のバレンタインデー当日はモニカが忙しかったため、2週間遅れで祝うことにしたチャンドラーとモニカ。
それぞれが相手のために手作りの贈り物をする、と約束したのですが、チャンドラーはプレゼントを手作りすることができません。
二人の寝室で、適当なものを探していたチャンドラーは、a mixed tape (音楽や音声をミキシングした編集テープ)を発見し、それを手作りギフトとしてモニカに贈ることにします。
手作りカセットテープ(カセットテープ、って時代を感じさせますが…笑)に感動したモニカは、自分のプレゼントをチャンドラーに渡すのですが、
(He opens his present to find Phoebe's sock bunny from earlier.)
チャンドラーが自分へのプレゼントを開けると、先のシーンで出てきたフィービーの(手作り)靴下バニー(ソックスで作ったウサギ)であることがわかる。
チャンドラー: It's a sock bunny. (靴下バニーだ。)
モニカ: Yeah-yeah, remember how I call you bunny? (そう、そうよ、私があなたをバニーって呼ぶのを覚えてるでしょ?)
チャンドラー: Not really. (いや、あんまり。)
モニカ: Well, I did one time, and-and I want to start doing it more. See, that's what this is about. (そうねぇ、一度、そうした[あなたをそう呼んだ]わ、そして、もっとそうするように始めたいと思うの。ほら、これは、そういうことなのよ。)
チャンドラー: I see. Y'know umm, Phoebe makes sock bunnies. (わかったよ。ほら、うーんと、フィービーは靴下バニーを作るよね。)
モニカ: No! No, she doesn't. Uh Phoebe, what she makes- that's uh- they're sock rabbits. They are completely different-- Okay! Okay! Okay! I didn't make it! I'm sorry! I totally forgot about tonight and the fact that we're supposed to make the presents! (いいえ! いいえ、フィービーは作らないわ。あー、フィービー、彼女が作るのは、それは…靴下ラビットよ。それって全く違う…。わかった、わかった、わかった! 私はそれを作ってない。ごめんなさい! 今夜のことと、私たちがプレゼントを作ることになっていたって事実を、私はすっかり忘れてたの!)
チャンドラー: Oh, it's okay. I don't-- (ああ、いいんだよ、俺も…してないし…)
モニカ: No-no, it's not okay! It's not! I mean you were just.... You're so incredible! You went through all this time and effort to make this tape for me! Y'know I'm just gonna- I, I am gonna make this up to you! I will! I-I am going to cook anything you want in here (points to the kitchen), and I am going to do anything you want in there! (Points to the bedroom.) (いいえ、よくないわ! よくない! だって、あなたはただ… あなたってすごいわ! あなたはこんな時間と努力をかけて、私のためにこのテープを作ってくれたんだもん! ほら、私はあなたにこの埋め合わせをするわ! きっとよ! 私はあなたが望むものを何でも料理してあげるわ、こっちで[台所を指差す] そして、あなたが望むことを何でもしてあげるわ、そっちで[寝室を指差す]。)
チャンドラー: (thinking it over) Well, I did put a lot of thought into the tape. (They both run into the bedroom.) ([その件について思いを巡らせて] そうだな、そのテープのことはほんとにいろいろと考えたんだよなぁ。 [二人は寝室に走って入る])

部屋で偶然見つけた編集テープを「俺の手作りなんだ」とプレゼントしたチャンドラーでしたが、モニカからのプレゼントは、ソックスでできたウサギ(a sock bunny)。
これより前のシーンで、「何か手作りのものを持ってない?」と、チャンドラーがフレンズたちに相談していた時に、フィービーが見せていたのがこれと全く同じものでした。
だから、チャンドラーは、そのバニーを見て、唖然としているのですね。

モニカは自分の手作りだとごまかそうと必死で、「私があなたをバニーって呼ぶの、覚えてるでしょ?」と言います。
Not really. は「あんまり覚えてない、よく覚えてない」みたいなニュアンスで、完全否定ではありませんが、はっきり完全否定すると角が立つので、こんな風に軽く否定してみた、というところでしょう。
チャンドラーにバレているとも知らず、モニカはまだ、嘘を続けます。
I did one time. は、I called you bunny one time. 「私は過去に一度、あなたをバニーと呼んだ」という意味。
その後の文章を直訳すると、「あなたをもっとたくさんバニーと呼ぶことを始めたいと思っている」ということで、「過去に一度あなたをバニーと呼んだけど、これからはもっとそう呼びたいと思ってるの」という感じですね。
See, that's what this is about. の that は、直前のモニカ自身のセリフ、「あなたを過去にバニーと呼んで、これからもっとそう呼びたいと思っていること」を指します。
this は、チャンドラーへのプレゼントの靴下バニー、もしくは、「チャンドラーに靴下バニーをプレゼントすること」を指すでしょう。
日本語では、「ね、これはそういうことなのよ」と訳しましたが、それはつまり、「こんな風にあなたにバニーちゃんのプレゼントをあげたのは、あなたをこれからもっとバニーと呼びたいと思っているからなのよ」と言っていることになります。

ついにチャンドラーは、「フィービーが靴下バニーを作る」ことをモニカに告げます。
このセリフについては、makes という「現在形」が使われているのに注目すべきですね。
チャンドラーは、「モニカが作ったと主張している、その靴下バニーは、フィービーが作った(ものだ)」と言っているわけではありません。
目の前の靴下バニーの作者が誰かを言っているのではなくて、「フィービーが(フィービーも)、靴下バニーを作るんだ、作るよ」と言っているだけです。
いきなり、モニカのプレゼントを「それはフィービーの作ったもんだろ!? モニカは嘘をついてるんだろ?!」と否定するのではなく、「俺はフィービーがそれと同じような靴下バニーを作ることを知ってるんだけど」と先にやんわり伝えることで、「俺はそれがフィービー作だとわかってるんだけどな」と言外に示唆しているわけですね。
これまでのフレンズで何度も出てきたように、現在形は「習慣、習性」を表しますので、チャンドラーのセリフはあくまでも、「フィービーは靴下バニーを作る」という彼女が日常行う行為を語っているだけであって、決して、Phoebe made the sock bunny. 「フィービーが”その”靴下バニーを作った」と直接的にモニカの嘘を糾弾しているわけではない、ということです。

現在形を使ったチャンドラーに対して、モニカも現在形の否定文で、「フィービーは靴下バニーを作らないわ」と否定します。
その後も、「フィービーが作るのは靴下ラビットで、靴下バニーとは全然違うわよ…」みたいに、理由にならない理由を言っているところに、追い込まれてしまっている様子がよくわかりますね。
ついに意を決して、「私は靴下バニーを作っていない」と自分の手作りでないことをモニカは認め、「今夜のこと、プレゼントを手作りすることになってたこと、をすっかり忘れてたの!」と正直に謝ります。

チャンドラーも偶然部屋で見つけた音楽テープを「俺の手作り」と嘘をついて渡しただけなので、謝るモニカを見て、「いや、いいんだよ、俺もこのテープを作ってないんだ(I don't make this tape.)」と告白しようとしたのですが、I don't-- まで言ったところでモニカがセリフをかぶせてきて、「よくないわ! あなたはほんとに素晴らしいんだもの!」と言って、チャンドラーが自分のために手間をかけて音楽テープを編集してくれたことを賞賛します。

You went through all this time and effort to make this tape for me! の go through は「耐える、切り抜ける、終える」みたいな「やり遂げる」感覚ですね。
「私にこのテープを作るために、このすべての時間と努力をかけてやり遂げてくれた」みたいな感謝の気持ちです。
あなたは手間暇かけて私に手作りのプレゼントを作ってくれた、だから、(他人のプレゼントを使ってごまかそうとした)私にどうか埋め合わせをさせて、みたいにも言っています。

モニカは、I am going to 「私は…するつもりである」を使って、埋め合わせの内容を説明しています。
前半は、「あなたが欲しいものを何でも料理してあげる、ここで」と言って、here のところで台所を指差しています。
後半は、「あなたが(して)欲しいことを何でもしてあげる、あそこで」と言って、there のところで寝室を指差していますね。
シェフであるモニカが、「あなたの好きな料理を何でも作ってあげる」というのは、埋め合わせとしてまず想定される話ですが、in the kitchen の部分をあえて、in here と言って指で場所を示しているのがポイントですね。
同様に、後半では、「あなたの望むこと、何でもしてあげるわ、あっちでね」と寝室を指差すことで、「え? あっち、つまりベッドルームで何でも好きなことをしてくれるの?!」とチャンドラーが喜び、寝室とはっきり言うよりも「あそこで」と言う方が余計にエッチな雰囲気が増す、という効果があるわけです。
どちらも同じように、anything you want 「あなたが望むもの・ことを何でも」という表現が使われているのもポイントですね。
動詞は、cook と do のように異なってはいますが、場所に関しては、台所と寝室、という具体的な場所の単語は出さずに、here と there を指で示すことで、「こっちであなたの望むもの(を料理する)、あっちでもあなたの望むこと(をする)」と言っているところに、よりセリフとしての面白さが出ていることになるでしょう。

そのテープは自作じゃない、と告白しかけていたチャンドラーでしたが、「あっちで何でも望むことをしてあげる」と言われて、急に表情が変わるのも面白いです。
put thought into を直訳すると、「考え、思考を…に入れる、注入する」という感覚になるでしょうか。
今回は、put a lot of thought into ですから、「多くの考えを…に注入する」みたいな感じで、「…のことをいろいろとよく考えた、時間をかけて考えた」というニュアンスになるでしょう。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
put time/energy/work/enthusiasm etc. into something : to use a lot of time, energy etc. when you are doing an activitiy.
例) The kids have put a lot of energy into planning the trip.

つまり、「何かの活動をしている時に、多くの時間やエネルギーなどを使うこと」。
例文は、「その子供たちは、旅行の計画に多くのエネルギーを費やした」。

ロングマンの英文では、「時間、エネルギー、仕事、情熱」などが使われていますが、今回のチャンドラーのセリフでは、thought になっているので、「そのテープを作るのに、あれやこれやといっぱい悩んで考えたんだ」みたいなニュアンスで使っていることになります。

少し前にモニカが、You went through all this time and effort to make this tape for me! と言ってくれたことを、別の表現で言い変えた感じです。
I did put のように、強調のための did が入っていますので、put a lot of thought をさらに強調した感じで、「そのテープ作成に当たっては、ほんと、いろんなことを考えに考えたんだよ〜」と、自分がそのテープを作るのにどれだけの努力をしたか、ということを主張しているわけですね。

そのまま、寝室に走って行く二人に笑ってしまいますが、最初は「俺も自作じゃない」と言おうとしていたのに、モニカのセクシーなお誘いにつられて、「いやぁ、それを作るのには、随分苦労したんだよ」と、ころっと変わる様子をセリフから感じていただければと思います。


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posted by Rach at 16:19| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月28日

ケトル・オブ・フィッシュ フレンズ6-17その2

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護身術のクラスを受講して、すっかり安心しているレイチェルとフィービーに対して、不意の攻撃にも対処できないと意味がない、と説くロス。
ロスは、空手には、日本語で言うところの「ウナギ」という概念があるんだ…と説明するのですが、「それってスシネタ、淡水魚のウナギのことでしょ?とバカにされてしまいます。
ロス: Y'know, fine, get attacked. I don't even care. (ほら、もういいよ。襲われなよ。僕は構わないし。)
フィービー: (deadpan) Come on, Ross, we're sorry. Please tell us what it is. ([無表情で] お願いよ、ロス。ごめんなさい。それ[ウナギ]が何なのかを、どうか話して。)
ロス: Unagi is a state of total awareness. Okay? Only by achieving true unagi can you be prepared for any danger that may befall you! (ウナギは、完全な認識した状態(完全な気づき、の状態)のことだ。いいかい? 真のウナギを獲得することによってのみ、降りかかるかもしれないどんな危険に対しても、心構えできるんだ。)
フィービー: You mean in case someone is trying to steal your bamboo sleeping mat or your kettle of fish? (つまり、誰かが、ござとか、魚料理の調理容器(or それとは全く別のもの)を盗もうとする場合に、ってこと?)
(Rachel laughs and Ross mocks her.)
レイチェルは笑い、ロスはレイチェルの笑い声をばかにしたように真似る。

ウナギという言葉を使ったせいで、スシネタでからかわれてしまったロスは、すっかりすねてしまい、Fine. 「(それなら別に)いいよ」と言って、Get attacked. とも言っています。
get attacked は、「攻撃される(という状態になる)」という感覚で、それを命令形として使うことで、「(攻撃されたけりゃ)攻撃されてなよ、攻撃されちゃえよ」みたいなニュアンスで使っているのですね。
I don't even care. は「僕は構いさえしない」ですから、「君らが誰かに攻撃されても、僕は別に構わないし、どうでもいいし」みたいな感じです。
僕がせっかく有用なアドバイスをしてあげようとしてるのに、それを聞こうとしないなら、簡単に攻撃されちゃうよ、そうなっても僕は知らないからね、みたいなニュアンスでしょう。

そういう投げやりな言葉を返しているロスが、見るからに機嫌を損ねてすねている様子なので、フィービーは、「ごめんなさい、お願いだから、そのウナギっていうのが何なのかを話してちょうだい」と言っています。
言葉ではそのように「丁寧なお願い」を言っているのですが、ただ、ト書きに deadpan とあるように、「無表情で」そう言っているので、彼女たちの本音としては、「別に聞きたくはないけど、しょうがないから形だけ聞いてあげるわ」という気持ちが入っていることもわかります。

フィービーたちの表情や態度から、「ウナギ」にそんなに興味がないのはミエミエなのですが、ロスは、少しの間があってから、「そうか、そんなに聞きたいなら教えてあげる」みたいに身を乗り出して話し始めます。
こういうところが、いかにもロスらしいですね。

ロスの説明によると、Unagi is a state of total awareness. だそうです(笑)。
aware は「…に気づいている、知っている、承知している」、その名詞形の awareness は「意識、認識、自覚、気づいていること」という感覚ですね。
完全に何かに気づき、知っている、という状態、みたいなニュアンスでしょう。
「何もかもわかっている状態」みたいな感覚ですね。

Only by achieving true unagi can you be prepared for... という文章について。
文頭の、only by doing は「…することによってのみ」という意味ですね。
その後の文章が、can you be prepared for という語順になっていますが、これは「倒置」のようです。

間違った方と友達になっちまった フレンズ6-13その2 で、
"Boy, did we make friends with the wrong sister." (なんてこった、俺たちは(姉妹のうち)間違った方と友達になっちまったよ。)
というセリフが出てきた時にも説明させていただきましたが、大西泰斗先生の ハートで感じる英文法(会話編) の「倒置の呼吸」で語られている「感情を乗せる倒置」に近いものかな、と思います。

今回のロスのセリフの場合は、「…することによって」という副詞句を前に出し、さらに後の文を倒置にすることで、「より強調のニュアンスを出している」ということかなぁ、と。
ロスはここで、「概念」の話をしているので、「通常とは違う形」を取ることで、もったいつけたような感じを出しつつ、その概念に重みや高尚さを感じさせようとしているのかな、という気がしました。

その倒置になっている部分について。
be prepared for は「…に対して準備・用意ができている、心構えができている」、befall は「(災い・災難などが)(人)に起こる、降りかかる」。
つまり、「自分に降りかかるかもしれないどんな危険にも準備可能となる、心構えができる」ということになります。

大真面目に「ウナギ」の概念を語るロスに、フィービーはまた、からかうようなセリフを言っています。
You mean in case someone is trying to... は、「つまり、あなたが言う危険、っていうのは、誰かが…しようとするような場合のこと?」という感覚。
誰かが何をしようとしているかの例として、 steal your bamboo sleeping mat or your kettle of fish というフレーズが続いています。
まずは前半の bamboo sleeping mat は、「竹の眠る(睡眠用)マット」なので、日本の「ござ」のイメージのようです。
「ござ」は、竹製ではないですが、「竹」と付けることで、日本風、和風のニュアンスがより出るからそう言っている、という気がします。

そして、後半の (your) kettle of fish について。
kettle は一般的には「ケトル、やかん」なので、直訳すると「魚のやかん」みたいな意味になるのですが…。
ちょっとここから話が長くなるのですが、実は、kettle of fish というイディオムが存在します。
先に簡単に(私なりの)結論を言っておくと、レイチェルはそういうイディオムがあるのを踏まえた上で、そのイディオムとちょっぴり「かけてみた」感覚で、文字通りの kettle of fish という意味で使っている、という気がします。

まずはイディオム kettle of fish の話から。
研究社 新英和中辞典には、以下の意味が載っています。

a different kettle of fish=《口語》 別問題、別の事柄
a pretty [fine, nice] kettle of fish=《口語》 困った事、いざこざ、紛糾 (注:pretty, fine, nice は反語)


LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
a different/another kettle of fish : (informal) used to say that a situation is very different from one that you have just mentioned

つまり、a different/another kettle of fish は、「(インフォーマル) 人がたった今言及したばかりのこととは、状況が非常に異なることを言うために用いられる」。

Macmillan Dictionary では、
a different kettle of fish : (INFORMAL) a situation or subject that is not related to the one you are talking about
例) Of course their economic policy is a different kettle of fish altogether.


つまり、「その人が話していることとは関係ない、状況または話題」。
例文は、「もちろん、彼らの経済政策は、全く関係ないことだ」。

そういう形で使われるイディオムがあると頭に隅に置いた状態で、今度は、kettle の意味をもう少し詳しく見てみます。
上にも書いたように、日本語となっている「ケトル」、つまり、「やかん」の意味があるのですが、それ以外にも、「鍋、釜」みたいな意味もあるようですね。

LAAD では、
kettle : a large pot, used especially for making soup
つまり、「大きな鍋、特にスープを作るのに使われる」。

Macmillan Dictionary では、
kettle : a metal container, usually with a cover, used for cooking
例) a fish kettle

つまり、「金属の容器で、たいていは蓋付きで、料理に使われる」。
例は「フィッシュ・ケトル」。

上のマクミランの例に、a kettle of fish とよく似たニュアンスの、a fish kettle が登場していますね。
英辞郎には、
fish kettle=長円形の魚鍋
と出ています。

Wikipedia 英語版: Kettle の Similar devices の項目に、以下の説明があります。

A fish kettle is a long slim metal cooking vessel with a tight fitting lid to enable cooking of whole large fish such as salmon.
つまり、「フィッシュ・ケトルは、サーモンのような大きな魚全体を料理するために、かたくフィットする蓋の付いた、長い金属の料理容器」。

実際、fish kettle で「Google 画像検索」をしてみると、そういう金属製の蓋付き容器の画像がたくさんヒットします。

ということで、a different kettle of fish 「(話している内容とは)全く別の事柄」というイディオムがあることと、a fish kettle という「サーモンなどを丸ごと一匹調理するための金属製蓋付き容器」が存在するという2つのことを頭に置いて、再度、フィービーのセリフを見てみます。

different という単語はついていないものの、a kettle of fish が、a different kettle of fish の形でよく使われることを考えると、聞いた瞬間にそういうイディオムを頭に浮かべることを想定して、steal your bamboo sleeping mat or another stuff of yours 「あなたのござ、またはそれとは全く別のもの」という感じで使っている可能性もあるのかなぁ、と。
そして、そのイディオムには fish という言葉が使われているので、a kettle of fish と同じイメージの a fish kettle はそういう「サーモンなどを丸ごと調理するための料理器具」なので、そこでまた「魚ネタ」を出して、ロスをからかっている、ということなのかなぁ、と思ったのですね。

もしかすると、a (different) kettle of fish というイディオムはここでは全く関係なく、純粋に「魚用調理器具」の話をしているだけなのかもしれません。
ただ、どの辞書にもそのイディオムが載っていることから、ネイティブにはおなじみのフレーズだと言うことで、多少はそのイディオムの意味も「乗っけて」使っているような気が個人的にはするわけです。

イディオムの意味もかけている、込めているのかどうかは確信は持てませんが、いずれにしろ、「降りかかるかもしれないいかなる危険でも対処できる」みたいに大袈裟に言ったロスに対して、「その危険ってのは、(日本製の)ござを盗まれる、とか、魚の調理器具を盗まれるとか、そういう危険なのかしらねぇ」と言ってみせることで、「日本」「魚」をことさら強調し、「日本産の魚であるウナギ」ネタで、ロスが言う「ウナギ」という概念をここでもまたバカにしている、ということなんだと思いました。

また、仮にそのイディオムは今回のセリフに関係なかったとしても、英和にも英英にも載っている、a different kettle of fish というイディオムをこのタイミングで覚えておくことも、英語学習においては無駄ではない、という気がします(ので、しつこく説明させていただきました…笑)。


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posted by Rach at 11:27| Comment(6) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月25日

来るとわかっている攻撃から身を守る フレンズ6-17その1

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シーズン6 第17話
The One With Unagi (バレンタインは手作りギフトで)
原題は「ウナギの話」


セントラルパークに、レイチェルとフィービーが帰ってきます。
護身術のクラスを受講してきたところで、これでもう不審者が襲いかかって来ても大丈夫、と自信満々の二人に、
ロス: Well, of course you can defend yourself from an attack you know is coming. That's not enough. Look, I studied kara-tay for a long time. And there's a concept you should really be familiar with. It's what the Japanese call (he holds two fingers up to his temple, and he does this every time he says this word) unagi. (そうだな、もちろん、来るとわかっている攻撃から自分の身を守ることはできるだろうね。(でも)それでは十分じゃない。ほら、僕は空手を長い間習ってただろ。それで、(空手には)知っておくべきある概念があるんだ。それは、日本人が言うところの… [ロスは2本の指を自分のこめかみに当てる、そして、ロスはこの言葉を言うたびに毎回こうする(このしぐさをする)] ウナギだ。)
レイチェル: Isn't that a kind of sushi? (それって、スシの種類じゃないの?)
ロス: No, it's a concept! (違うよ、概念なんだ!)
フィービー: Yeah it is! It is! It's freshwater eel! (そうよ(スシの種類よ)! 淡水魚の eel (ウナギ)だわ。)
ロス: All right, maybe it means that too. (わかったよ、多分、そういう意味もあるだろうけど。)
レイチェル: Ohh! I would kill for a salmon skin roll right now. (ああ! 今すぐ、サーモン・スキン・ロールをものすごく食べたいわ。)

護身術を学んだのでもうバッチリ!みたいに言う二人に、ロスは、of course you can defend yourself from an attack you know is coming と言っています。
an attack you know is coming は「これから来るだろうということがわかっている攻撃」というニュアンスですね。
来るとわかっている攻撃から身を守ることは当然できるけどね、ということで、その後、「それでは十分ではない」と言っていることから、不意の攻撃、思いがけない攻撃にも対処できないと意味がない、とロスが言いたいことがわかります。

ロスは「空手を長い間、習っていた」と言っていますね。
前のエピソード、6-15, 6-16 でも、ロスの空手の話が出てきましたが、その時と同じように、「カラーテイ」と発音しているので、ネットスクリプトも前回と同様に、kara-tay という表記になっています(普通は、karate という綴りになります)。

そして、君が be familiar with すべきコンセプト・概念がある、と言っていますね。
familiar with は「…をよく知っている、熟知している」なので、「よく知っておくべき概念がある」ということになります。
その次のセリフは、ロスのしぐさを表すト書きが長い文章で挿入されているのでわかりにくいですが、セリフそのものは、It's what the Japanese call unagi. となっています。
call は、「call+目的語+補語」の形を取った場合、「(目的語)を(補語)と呼ぶ、称する」という意味になりますね。
このロスのセリフでは、the Japanese call something unagi 「日本人が(…を)ウナギと呼ぶ」の目的語(この例では something に当たる部分)が、what として前に出た形になっており、what the Japanese call unagi は、「日本人がウナギと呼ぶもの」という意味になります。
知っておくべき概念がある、と言っておいて、その概念とは何かというと、「日本人がウナギと呼んでいるもの」だと説明しているのですね。

ウナギ、と言う時に、ト書きの説明にあるように、ロスは人差し指と中指を揃えてこめかみに当て、ちょっとひねってみせています。
そういうしぐさをすることで、何か高尚な概念の言葉っぽく見せようとしている感じですね。

ウナギという言葉を聞いたレイチェルは、それは a kind of sushi じゃないの?と聞き返しています。
アメリカでもすっかりポピュラーになった、スシ(寿司)の1つの種類じゃないの? スシネタじゃないの?ということですね。
「ウナギって、スシネタの名前じゃない」と言われたので、ロスは「違うよ、概念だよ」と必死に否定するのですが、フィービーにまで、「ウナギって、freshwater eel よ!」と言われてしまいます。
freshwater は「淡水の、淡水産の」、eel はまさに「ウナギ」という意味の英単語です。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
eel : BIOLOGY a long thin fish that looks like a snake and can be eaten
つまり、「ヘビのように見える長くて細い魚で、食べられる(食用可能)」。

ちなみに、一昨日の 4/23(月)の日経新聞夕刊の1面に、
「海外産ウナギ 新顔続々」「天然 NYから空輸」
という見出しが出ていました。
養殖用のシラスウナギの不漁により、ウナギの価格が高騰している、というニュースを最近よく耳にしますが、そのために、海外産のウナギを輸入する動きが起こっている、という話題です。
記事の中でも、「週に1度ニューヨークから空輸され、生きたまま樽に入れられた米国産ウナギ」のように言及されています。
ちょうど、今回、「ウナギの話」のエピソードを取り上げる時期に、米国産ウナギの話が新聞記事に出ていたのが、何だかとてもタイムリーだな、と思って嬉しかったので、ちょっと紹介してみました(笑)。

ロスは日本の空手という武術の概念の名前を言う時に、とっさに知っている日本語を口にしたのでしょうが、「それってスシよね、魚よね」とツッコミを入れられてしまい、「まぁ、そういう魚の意味もあるけどさ」と言わざるを得ません。
さらには、ウナギという名前から、スシを思い出したレイチェルが、「サーモン・スキン・ロール」という別のスシの名前を挙げてからかっています。

kill for は「…のためなら何でもする」というニュアンス。
オンライン辞書の、The Free Dictionary では、
kill for something
Sl. to be willing to go to extremes to get something that one really wants or needs. (An exaggeration.)
例) I could kill for a cold beer.

つまり、「スラング。人が本当に欲しい、必要だと思う何かをゲットするために、極端なことをするつもりがあること。誇張表現」。
例文は、「冷たいビールのためなら何でもする、冷たいビールがすっごく欲しい」。

「…のためなら何でもする」なので、「…が、ものすごく欲しい」というニュアンスとしても使われるわけですね。

フレンズ3-21その2 にも、
モニカ: I mean I would kill for this job. (この仕事のためならどんなことでもするわ。)
というセリフが出てきました。

ということで、ロスがウナギの名前を出したので、「ウナギで思い出したけど、私はスシのサーモン・スキン・ロールを、今、超〜食べたい気分!」と言って、引き続きスシネタでからかっている、ということですね。


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posted by Rach at 18:00| Comment(3) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月23日

翌朝、友達の君がそばにいた フレンズ6-16その6

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少し前の記事、フレンズ6-16その3 で、「もしもの世界」のチャンドラーとモニカの間で「エッチをする、しない」のやり取りがあった後、結局、二人は一晩を共にすることになります。
お互い、相性がいいと思ったようですが(笑)、その後、「また今晩もどう?」と誘ってきたチャンドラーに、モニカは「今晩はロジャーが来るの。もう初体験をチャンドラーと経験済みだから、ロジャーとの初エッチも緊張しないわ」と、ロジャーとのエッチを楽しみにしている様子。
そのしばらく後のシーン。
[Scene: Monica and Phoebe's, Monica is blowing out a candle as Chandler enters.]
モニカとフィービーの部屋。モニカがキャンドルを吹き消している時に、チャンドラーが入ってくる。
チャンドラー: (sticking his head in the door) Okay to come in? ([ドアに頭を突き出して] 入ってもいい?)
モニカ: Yeah, come in, eat, whatever you want. Dr. Roger got beeped again. (ええ、入って、食べて、何でもあなたが好きなものを。ドクター・ロジャー[ロジャー先生]は、またポケベルで呼び出されたわ。)
チャンドラー: Yeah, I know. Guess who beeped him? (あぁ、知ってるよ。彼をポケベルで呼び出したのは誰だと思う?)
モニカ: What? (何ですって?)
チャンドラー: I'm the ruptured spleen. (Laughs.) (俺がその脾臓破裂(の患者)なんだ。 [笑う])
モニカ: Why would you do that? (どうしてそんなことしたりしたの?)
チャンドラー: Because you shouldn't be with him. (Pause.) You should be with me. (だって、君は彼といるべきじゃないから。[少しの間] 君は俺といるべきなんだよ。)
モニカ: Really? (ほんとに?)
チャンドラー: Yeah! When you were talking about Roger, that was killing me. Look, things like last night they don't just happen. Y'know? Or at least not to me. Or with the other two women, in the morning y'know I was just lying there and I couldn't wait to just go hang out with my friends, but with you... I was, y'know, already with a friend. (そうだよ! 君がロジャーのことを話している時、俺は死ぬほど苦しかった。ねぇ、昨日の晩のようなことって、ただ起こったんじゃないんだよ。だろ? もしくは少なくとも俺にはそうじゃなかった。他の2人の女性と一緒だった時は、その朝、俺はただそこに寝転んで、自分の友達と遊びに行きたくてたまらなかった。でも、君との時は、俺は、ほら、すでに友達といたんだよ。)
モニカ: Chandler! ([感動したように] チャンドラー!)

チャンドラーがひょこっと頭を出し、「入ってもいい?」と聞くので、モニカは「どうぞ入って、好きなものを何でも食べて」と言います。
beep は過去のフレンズに何度も出てきましたが、「ポケベルで人を呼び出す」という動詞。
ですから、Dr. Roger got beeped again. は、「ドクター・ロジャーは、またポケベルで呼び出された」という意味になります。
モニカとロジャーは現在、お付き合い中、ということなので、いつもは Roger と呼んでいるのですが、このようにわざわざ Dr. をつけたのは、「お医者様であるロジャー先生」みたいなニュアンスを込めているのでしょう。
医者である彼は忙しく、すぐに病院から呼び出しを受ける、それでいつもデートが中断されるのを残念に思うモニカが、「彼はお医者様だから、また呼び出されちゃった」という感覚で、Dr. をわざと付けた、ということになるでしょう。

「ロジャーのために用意した料理も無駄になっちゃったから、チャンドラーが好きなものを食べてくれていいわ」と説明したわけですが、チャンドラーは驚く様子もなく、「ああ、ロジャーが呼び出されたのは知ってるよ。誰が彼のポケベルを鳴らしたと思う?」と返します。
それを聞いて、観客から、歓声やざわめきが起こっていますね。
直後にチャンドラー自身のセリフからもわかるように、その呼び出しは、本当の病院からのものではなく、それを騙(かた)ったチャンドラーがしたことだった、とわかったからですね。

spleen は「脾臓(ひぞう)」、rupture は「破裂させる、破る、裂く」という動詞なので、ruptured spleen は「破裂させられた脾臓」、すなわち、「脾臓破裂」になります。

「どうして嘘のポケベルでロジャーを呼び出したりしたの?」と尋ねるモニカに、チャンドラーは自分の正直な気持ちとして、「君はロジャーといるべきじゃない。俺といるべきだ」と言います。

When you were talking about Roger, that was killing me. について。
kill は「殺す」ですが、この場合は「(死ぬほどの)ひどい苦痛を与える、苦しめる」という感覚ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
kill : ANNOYED/SAD [transitive] (informal) to make someone feel extremely unhappy, tired, angy etc.
つまり、「人を非常に不幸にする、疲れさせる、怒らせること」。

LAAD の語義では、extremely unhappy にする、という感覚が、今回のセリフに一番近いと思います。
「君がロジャーのことを話している時、そのことが俺を死ぬほど苦しめていた、俺は不幸のどん底だった」みたいなことですね。

チャンドラーは、「昨日の夜のようなこと」、つまり、「モニカと自分がエッチした夜のこと」は、ただそういうことが起こった、ってだけじゃないんだ、みたいに言っています。
その後、「少なくとも俺にとっては、”ただ起こっただけのこと”じゃない」と言い変えていますね。
何となく流れでそうなっただけのささいな出来事じゃなくて、もっと意味のあることだったんだ、みたいなことです。

チャンドラーは、with the other two women, in the morning と言って、「俺が経験した他の2人の女性と一緒の時の朝には」みたいに話を続けています。
the other two women のところで、モニカが「ん?」みたいな顔をしていますが、それは「俺が過去に経験した女性は3人」と以前は言っていたのに、それがさりげなく(笑)「2人」に減っているからですね。
過去記事、フレンズ6-16その3 では、最初は「4人」と言っていたのに、それを「3人」と訂正した、というやり取りがありました。
今回はそれが「2人」になり…とだんだん減ってきているのに笑ってしまう、ということです。
今は2人となってしまった(笑)、過去の女性とエッチした翌朝の話として、チャンドラーは、「俺はそこ(ベッドの上)にただ横たわって・寝転んで、友達と遊びに行くのが待ちきれなかった」と説明しています。
can't wait to は「…するのを待つことができない」なので「…するのが待ち遠しい、待ちきれない、早く…したい」という意味になるんでしたね。

「でも君とは…」と対比の形を取って、「君と迎えた朝は、僕はすでに(君という)友達と一緒にいたんだ」と言っています。
昔の俺は、女性と寝た翌朝、すぐに友達と遊びに行きたくなったけれど、モニカの場合は、友達と遊びに行きたいって思わなくて済む、だって「ガールフレンド、かつ、友達」であるモニカがすでに俺と一緒にいるんだもん、ということですね。
友達から恋人に発展したカップルとして、こんな風に相手が思ってくれているのは最高!な気がします。
シーズン6の現実の話で、深い絆で結ばれたカップルとなっている二人なので、こういう「もしもの世界」において、こんなセリフが登場しても、それを観客もすんなり受け入れられるのかな、と思います。

正直な気持ちを言ってくれたチャンドラーに感動して、モニカは自分から抱きつき、キスをするのですが、その後にこんなセリフも出てきます。

モニカ: There was just one woman, wasn't there? ((過去に経験したのって)1人の女性だけだったんでしょ?)
チャンドラー: No, there were two. (違うよ、2人いたよ。)
モニカ: Including me? (私も含めて?)
チャンドラー: Oh yeah. (ああ、そうだ。)

「最初の話からどんどん数が減っていって、さっきは「2人」って言ってたけど、本当はたった1人いただけじゃないの?」とモニカは尋ねています。
チャンドラーは、「いや、2人いたよ」と、それを否定していますね。
モニカはさらに、「2人、っていうのは、私も含めて2人ってこと?」と問い返し、ついにはチャンドラーもそれを認めることになります。
結局、「今夜が初めての夜になるの」というモニカの発言にえらく驚いていたチャンドラーでしたが、結局チャンドラーも、過去に経験した女性は1人だけだった、お互い、数はそんなに変わらない似た者同士だった、ということがここでわかるわけですね。
そういうことも含め、何とも微笑ましいシーンだと思いました。


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posted by Rach at 16:36| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月20日

それを見るたびに思い出して フレンズ6-16その5

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前回からの続きです。
「私は既婚者でありながら、ジョーイと関係を持つためにこの部屋にやってきた…」と自己嫌悪に陥っているレイチェル。
ジョーイは、ドラマに登場した指輪のことを話した後、
ジョーイ: Wow! Uh okay, well uh... (He gets up, opens a drawer, and pulls out the ring.) (わぉ! いいや、それで、その… [ジョーイは立ち上がり、引き出しを開け、指輪を取り出す])
レイチェル: (seeing the ring and gasping) Oh, my God! They let you keep that stuff?! ([その指輪を見て息を呑み] なんてこと! スタッフはそんなものをあなたに持たせてるの?)
ジョーイ: Sure! As long as they don't find out, you can keep whatever you want! And I want you to have it. (もちろん! 彼らが気付かない限りは、欲しいものを何でも持っとけるんだ! それで、俺はそれを君に持ってて欲しい。)
レイチェル: No! No-no-no... (だめよ! だめだめだめ…。)
ジョーイ: Yes! Yes!! And every time you look at it, I want you to remember that you are a good person. Okay, now, you had the chance to cheat, and with me. But you didn't. And that's what this ring stands for. (いいんだよ! いいんだ! そして君がそれを見るたびに、君に思い出して欲しいんだ。君はいい人間だってことを。いいか、ほら、君には浮気をするチャンスがあった、それも俺とだぜ。でも君は(浮気)しなかった。そしてそのことを、この指輪が象徴してるんだ。)
レイチェル: But I thought that ring stood for Capri's undying love for her brother. (でもその指輪はカプリの、兄への不滅の愛を象徴するものだと思ってたけど。)
ジョーイ: Look, you want the ring or not?! (なぁ、その指輪を欲しいの、それとも欲しくないの?)
レイチェル: Yeah! (欲しいわ!)

指輪の話をした後、ジョーイは引き出しからその指輪を出してきます。
They let you keep that stuff?! の they は、番組制作者、スタッフを指すでしょう。
本来の管理者である彼らが、あなたにそれを keep させている、つまり「あなたにそれを持たせている」の?と驚いた顔で尋ねていますね。
keep は「(ものを)(ずっと)持っている、持っておく」という意味ですね。
「君がこれを持っとけよ」と何かを手渡す時に、Keep it. と言いますし、「おつりは取っといて」とチップ代わりに渡す時には、Keep the change. と言いますよね。

ジョーイは Sure! 「そうさ!」と言いながら、「彼らが気付かない限りは、なんでも好きなものを持っておける・取っておけるんだ」と言っています。
そのセリフから、実際には、「スタッフがジョーイにその指輪を持たせている(持つことを許している)」のではなくて、「ジョーイがこっそり黙って指輪を持ち去って、今のところ誰も気付いてないだけ」なのだということがわかります。
as long as は「…である限りは、…であるならば」ですから、後に否定文が続けば「…しない限りは、…でないならば」ということになりますね。
you can keep whatever you want の you は、これまでのフレンズに何度も出てきた、「一般の人を表し、回り回って自分をも示す you 」です。
「スタッフに知られることがなければ、君も、誰でも、もちろん俺も、好きなものを取っておくことができる」という感覚になります。
I can keep whatever I want だと自分の場合だけを言っている感じに聞こえますが、一般の人を表す you を使うことで、相手に共感を持って聞いてもらうことができる、という効果があるわけです。

ジョーイは、I want you to have it. と言って指輪を手渡そうとします。
つまり、I want you to keep it. ということですね。
every time you look at it, I want you to remember that... は「君がそれを見るたびに、…だということを君に思い出してほしい」。
恋人同士の会話でも使えそうな便利なフレーズだと思います。

You had the chance to cheat, and with me. But you didn't. というセリフが面白いですね。
cheat はここでは「浮気する」という意味で、「君は浮気するチャンスがあった、それも俺と。でも君は(浮気を)しなかった」と言っていることになります。
「浮気するチャンスや可能性もあったのに、君はそれをこらえた、だから君はひどい人間なんかじゃない、いい人間なんだよ」と言っているわけですが、and with me には「浮気のチャンスがあった、それも”この俺様”との浮気だぜ」みたいなニュアンスが感じられますよね。
「有名俳優の俺、こんなにイイ男の俺との浮気のチャンスがあったのに誘惑に負けなかった君は、a good person なんだよ」と言っているのが、プレイボーイのジョーイらしいセリフで笑ってしまいました。

stand for は「…を表す、…を象徴する」。
that's what this ring stands for の that は、その前にジョーイが言った内容「君は俺との浮気のチャンスがあったのに浮気しなかった」ことを表していて、「それが、この指輪が象徴することだ」という意味になります。
この指輪が、「君が俺と浮気しなかったこと、君はいい人間だってこと」を象徴してるんだよ、ということですね。
ジョーイにしては、なかなかシャレたことを言っているのですが(笑)、番組のファンであるレイチェルは、「でもその指輪は、カプリの兄への不滅の愛を象徴するものだと思ってた」と言います。
undying は前回の記事に出てきた dying に否定の接頭辞 un- がついたもので、「不死の、不滅の、永遠の」という意味になります。
ですから、undying love は「死なない愛、不滅の愛、永遠の愛」ということですね。
カプリが自分の兄に誓った永遠の愛、指輪はそれを象徴してたんじゃなかったっけ?と、番組のファンであるレイチェルは、ストーリーを思い出しながら言ったわけです。
ジョーイは「カプリが俺にその指輪を渡した」と言っていましたので、恐らく、カプリは(ジョーイ演じる)兄のドクター・ラモレーに「あなたへの永遠の愛を誓うわ」と言いながら死んでいった…というようなストーリーであっただろうことも想像できます。
いかにもソープオペラにありそうな設定で、クスっと笑ってしまえる感じですね。

ジョーイとしては、落ち込むレイチェルを励まそうと、「これを見て自分が浮気しなかったことを思い出してくれ」と言いながら指輪を渡そうとしているのに、レイチェルが「でもこれは、カプリの愛の証でしょ?」などと、いかにもファン的なツッコミを入れてくるので、いらいらしたように、You want the ring or not?! と問うています。
「で、その指輪をいるのかいらないのか? ごちゃごちゃ言ってないで受け取ったらどうだ」という感じで、レイチェルも慌てて受け取ることにします。
この一連のシーンでは、ソープオペラの人気俳優っぽい言動のジョーイと、昼メロファンの典型みたいな主婦レイチェルという、「もしもの世界では、ほんとにこうだったかも」と思えるようなやり取りが、ファンとしてとても楽しいと思いました。


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posted by Rach at 16:34| Comment(6) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月18日

彼女が瀕死の状態の時 フレンズ6-16その4

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「もしもの世界」ではバリーと結婚して主婦になっているレイチェル。
俳優のジョーイのファンであるレイチェルは、ジョーイのアパートに招かれ、お酒を飲みながらいい雰囲気になるのですが、キスした後、飲み過ぎで吐き気を催してしまいます。
翌朝、ジョーイの部屋で目覚めたレイチェルは、昨晩ジョーイとは寝なかったことを知るのですが、自己嫌悪に陥っています。
レイチェル: God, I'm just a horrible person. (なんてこと、私はひどい人間だわ。)
ジョーイ: Wh-why? (どうして?)
レイチェル: Because I'm married. That's right, I am a married woman! And I came to a TV star's apartment to have an affair! Uck! (だって私は結婚してるのよ。そうよ、私は既婚者なのよ! そして(既婚者でありながら)私は関係を持つためにテレビスターのアパートメントに来た! あー!)
ジョーイ: That's ridiculous! I'm not a "star." Just a regular famous actor. (そんなのばかげてるよ! 俺は”スター”じゃない。普通の有名な俳優ってだけさ。)
レイチェル: Yeah and I'm a horrible, horrible person. (そうね、そして私はひどい、ひどい人間よ。)
ジョーイ: Rachel, would you stop saying that?! Hey-hey, look. Remember on the show when-when Capri was dying? And she gave me-- (レイチェル、そんなこと言うのやめてくれよ。ねぇ、ほら。番組でカプリが死にそうになっていた時のこと覚えてる? そして彼女は俺にくれたんだ…)
レイチェル: The ring from the cave, yeah. (あの、洞窟の[洞窟で見つけた]指輪ね、ええ。)

レイチェルは自分のことを、a horrible person だと言っています。
前回と前々回の記事、フレンズ6-16その2、その3 でも、horrible は「ひどい」という意味で使われていました。
レイチェルは「私は結婚してる、私は既婚者(既婚女性)なのよ」と言った後、And I came to a TV star's apartment to have an affair! と言います。
And は前の「自分は既婚者である」ということを受けて、「そして私は既婚者でありながら」というニュアンスが感じられる気がします。
to have an affair は「性的関係を持つために」という目的を表します。
「私は既婚者なのにエッチするためにテレビスターのアパートにやってきた」ということを悔いて自己嫌悪に陥っているわけですね。
その発言を聞いたジョーイは、「そんなのばかげてるよ」と言って、「俺は a star じゃなくて、a regular famous actor なだけだ」と言っています。
star を「スターーァ」と大げさに発音しながら、ジョーイは両手の指をチョキにしてちょっと曲げていますね。
このしぐさは、これまでのフレンズにも何度も登場しましたが、" "= double quotation marks (クオーテーションマーク、引用符)を表しています。
まさに言葉を引用符やかぎかっこでくくったようなニュアンスで、「いわゆる…ってやつ」みたいな感覚になります。
このジョーイのセリフも、「レイチェルは俺のことをテレビスターだと言うけど、俺は世間一般で言われてるような「スター」なんてもんじゃない」と言っていることになるでしょう。
それでセリフが終わっていれば、ジョーイなりに謙遜したんだなぁ…ということになるのですが、その後にもセリフは続いていて、Just a regular famous actor. だと言っています。
Just a regular actor. なら「普通の俳優なだけだ、ただの普通の俳優だ」ですが、そこに famous が挟まれているのが面白いですね。
「俺はスターなんかじゃないよ」とか言いながら、「有名な俳優だ」とは言っているわけで、最初は謙遜しているようで、「有名だということは自分で認めてるんかいっ」とツッコミたくなるところです。
(まぁ、この「もしもの世界」では、レイチェルがジョーイを見た時、大喜びしていたわけですから、確かに famous と言ってもいいわけですが…)
謙遜のようで謙遜でないセリフがジョーイらしい、ということですね。

「俺はただの普通の有名な俳優さ」と言うジョーイに、レイチェルは続けて「そして私はひどい、ひどい人間よ」と言います。
「そう、あなたは俳優、そして私は最低の人間」と対比することで、自分のしたことへの嫌悪をより強めている感じですね。
ネガティブなことばかり言うので、ジョーイは「そんなこと言うのはやめろよ」と言い、「覚えてる?」と言いながら、ドラマのシーンを思い出させようとしています。

Capri was dying について。
dying は、動詞 die 「死ぬ」の -ing 形ですね。
die と dying は見たところ、全く別の単語に見えてしまいそうにも思うので、-ing 形を作るのに注意したい単語の一つと言えるでしょう。
そして、be dying は「死にかかっている、瀕死の状態である」という感覚になります。
be doing という現在進行形は、まずは最初に「…している(ところである)」という日本語訳で習いますが、この場合は、die という行為が進行中である、die する状態に向かっている、という感覚になるでしょう。
コナン・ドイル原作の「シャーロック・ホームズ」シリーズに、「瀕死の探偵」というタイトルのものがありますが、この原題は、The Dying Detective (The Adventure of the Dying Detective) です。
このように形容詞として名詞の前につけると、dying は「瀕死の」という意味になるわけですね。
a dying swan なら「瀕死の白鳥」になります。

「番組(ジョーイが出演している Days of Our Lives)で、カプリが死にそうになって、俺に渡そうとしたのを覚えてる…?」と言いかけると、レイチェルはすかさず、"The ring from the cave, yeah." と答えます。
ジョーイが Wow! と驚いているのは、エピソードの内容を事細かに覚えているファンのレイチェルに驚いているわけですね。
「ああ、あの指輪ね!」と瞬時に答えてしまえるところに、主婦レイチェルがソープオペラ(お昼のメロドラマ)にどっぷりハマっていることがわかるということです。
the ring from the cave を訳すと「洞窟からの指輪」ですから、おそらく「洞窟で見つけた指輪」みたいなものなのでしょう。
なぜに洞窟?と思いたくもなりますが、ちょっとリアルとはかけ離れた感じの内容が、ソープオペラっぽさを醸し出しているのかな、とも思います。


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posted by Rach at 16:04| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月16日

比較対象がないからわからない フレンズ6-16その3

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[Scene: Monica and Phoebe's, continued from earlier. Monica and Chandler are still discussing the previous question.]
モニカとフィービーの部屋、少し前のシーンからの続き。モニカとチャンドラーはまだ先ほどの問題(自分たち二人がエッチするかしないか)について議論中。
チャンドラー: We can't do this. (私たち、こんなことできないわ。)
モニカ: No! (They both laugh.) Oyster? ((そうよ)できないわ! [二人とも笑う] オイスター(いる)?)
チャンドラー: Yeah! (Takes it.) If-if-if we did do this, there would be a lot of pressure on me, y'know? Because you've been waiting a very long time and I wouldn't want to disappoint you. (ああ! [オイスターを取る] もし、もし、もし、俺たちがこんなことをするとしたら、俺にものすごいプレッシャーがかかるだろうね。だって君はものすごく長い時間待ってたし、俺は君を失望させたくないからね。)
モニカ: Yeah but see I have nothing to compare it to. So even if you're horrible, how would I know? (ええ、でもほら、私には比較の対象になるものがないから。だからたとえあなたがひどかったとしても、どうやってそれがわかるっていうの?)
チャンドラー: I do like that. (それっていいねえ。)
モニカ: It's harder for me! I have those four other women to compete with! (私にとっての方がもっと大変よ! 私には争うべき、そういう他の4人の女性がいるんだもの!)
チャンドラー: Well, if it helps, there were only three. So it would just be for tonight, right? (うーんと、もし気が楽になるのなら、(他の女性っていうのは)3人いただけなんだ。それで、今夜だけだよね?)
モニカ: Absolutely! It would just be one friend (Points at Chandler) helping out another friend. (Points at herself.) (もちろん! ただ、一人の友達が [チャンドラーを指差す] もう一人の友達[モニカ自身を指差す]を助けるってだけのことよ。 )
チャンドラー: Stop it! We're not doing this! Let's do it! (やめろよ! 俺たちこんなことしないぞ! よし、やろう!)
モニカ: Noo!! Okay!! (だめよ! オッケー!)

「私とエッチしたい?」「いいよ」「冗談で言ったのよ」「俺もだよ」という前回のやり取りの後、二人はまだ「エッチするかしないか」という問題について引き続き話し合っています。
We can't do this. に対するモニカの、No! は、No, we can't (do this, of course). みたいな感覚ですね。
チャンドラーの言ったことを「いいえ違うわ」と否定するノーではなく、チャンドラーの否定文に同意する感覚になります。
モニカが「オイスターでも食べる?」と食べ物をすすめてみたりしているのも、きまずい空気を変えたいため、という感じですね。
(2017.6.13 追記)
このオイスターについて、コメント欄にて「モニカがチャンドラーを誘っている」というご意見を頂戴しました。
ブログ記事では省略してしまったのですが、このエピソードの最初にオイスターのことを話すシーンもありましたので、「オイスターをすすめることで、モニカがチャンドラーを誘っている」ことになります。
下のコメント欄に追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)

お互いに「できないよね」と言いながらも、その話題をやめないところに二人の気持ちがすでに出ているわけですが(笑)、チャンドラーは、if we did... there would be... という仮定法を使って、「もし…したら…だろう」と言っています。
「友達同士なのにエッチなんかできない」という大前提の元で話しているので、「二人がエッチすることは、現実的にはあり得ない」という感覚から、if we did という「仮定法過去」が使われているのですね。
「もし…したら、〜だろうね」という、あり得る軽い仮定なら、if we do... there will be... になるでしょうが、ここで仮定法過去を使っていることで、チャンドラーは「そういうことが起こり得るとは思ってないけど、もし仮にそういうことになったと仮定すると」と、実現の可能性がかなり低いことを前提に話している感じが出るわけです。

there would be a lot of pressure on me を直訳すると、「たくさんのプレッシャーが俺の上にあるだろう」になるでしょうか。
つまり、「ものすごいプレッシャーが俺にのしかかる」みたいなことですね。
その理由として、「君はものすごく長い間、初体験を待っていたんだし、俺は君を失望させたくないから」と言っています。
理想の人を長い間待っていた、その期待を裏切ることになるのは避けたい、ということですね。

モニカの気持ちを気遣うチャンドラーの言葉に対して、モニカは「そんなことにはならない」ということを説明しています。
I have nothing to compare it to. は「それを比較する(対象となる)ものが私にはない」。
compare A to B は「AをBと比較する」。
上のセリフは、compare it to B の B に当たる部分が前に出た形で、it (チャンドラーとのエッチ)と比較すべきものがない(nothing)と言っていることになります。
to の後ろに付くべき部分が前に移動したので、to は文の最後に残ります。
What are you talking about? の about などと同様に、こういう文尾に残る前置詞は、ノンネイティブは忘れがちになることが多いので注意したいところです。

モニカは「私は未経験だから、比較する対象がない。だからもしあなたがひどかったとしても、どうやって(あなたがひどいってことが)わかるっていうの?」みたいに言っています。
これが初体験になるから、それがいいものか悪いものかわからない、ということですね。

I do like that. の do は強調の do で、つまり、I like that. 「それっていいよね、その意見・考えは好きだ・気に入った」をさらに強調した形になります。
チャンドラー自身、あまりモテないキャラで、そういうことには自信がない、だから「君を失望させたくない」と自ら言っているわけですが、「比較対象がいないから、良い悪いがわからないわよ、私なら」みたいなモニカの意見を「それって(俺にとっても)すごくいい、比較されないで済むんなら」と喜んでいる感覚です。

It's harder for me! の比較級 harder は「より大変・困難・難しい」という感じ。
さきほどは、I have nothing to... でしたが、今度は、I have those four other women to... という形になっていますね。
前の文は「…すべきものがない」だったのが、今度は「…すべきものが他に4人もいる」という感覚になります。
compete with は「…と張り合う、競争する」。
compete の名詞形は competition 「競争」「試合、コンペ」「競争相手」ですね。
「私には競争すべき・張り合うべき、そういう他の4人の女性がいる」と言っているわけですが、これは少し前にチャンドラーが、過去の経験を聞かれて、Four different women! 「4人の違う女性(とした)!」と言ったことを踏まえて、「その、あなたが言っていた別の4人の女性」と表現しているわけですね。
私は比較対象がない、逆にあなたには比較対象が4人もいるわけだから、プレッシャーを感じるとしたら私の方よ、と言っていることになります。

if it helps の help は「助けになる、役に立つ」という自動詞なので、it if helps は「もし何かの役に立つのなら、何かの助けになるとしたら」というニュアンス。
そう言って、「(4人じゃなくて)(過去にいたのは)3人だけだったんだ」と言います。
「4人じゃなくて、3人に減ったら、ちょっとは気が楽になる?」みたいなことですね。

「今夜だけだよね?」と確認するチャンドラーに、モニカも「一人の友達がもう一人の友達を助けるってだけのことよ」と言います。
ちなみに、one friend helping out another friend は動名詞で、one friend が helping という動名詞の意味上の主語になります。
フレンズでは何度も登場していますが、このように口語では、動名詞の主語は所有格(one friend's)ではなくて、目的格(one friend)になることが多いですね。
ですから、直訳すると、「それはただ、”一人の友達がもう一人の友達を助けること”になるだけである」という感じになるでしょう。

その後の、チャンドラーとモニカのセリフは、どちらも同じパターンになっています。
ひとまずは「こんなことできない」と否定しておいて、すぐさま「やろう、オッケー」と正反対のことを瞬時に言う、という構成になっています。
一応、口では「やめよう」と言っておいて、その直後、特に何の葛藤も見せずにあっさり(笑)「よしやろう」と言うのに笑える、ということですね。

上の会話の流れをずっと見ていると、「だめだよな、無理だよな」と口では言いながらも、お互いに「でもこういう風に考えたら問題ないんじゃない?」みたいに、二人で前向きな解決策を考えている(笑)様子がよくわかりますよね。
「何だかんだ言いながら、する方向に話を持って行ってるじゃん」みたいな二人の様子を、英語のセリフから感じられるようになれば「いい感じ」かなと思います。


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posted by Rach at 16:17| Comment(2) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月12日

die+補語「〜として・の状態で死ぬ」 フレンズ6-16その2

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前回の続きです。
今夜、人生初めてのエッチをするはずだった、と言うモニカ。
驚くチャンドラーに、今日までエッチをしなかった理由をモニカは説明しています。
モニカ: I was just waiting for the perfect guy. (私はただ、理想の(完璧な)男性を待っていただけよ。)
チャンドラー: Well good, good for you. You really think that Roger is the perfect guy? (そうか、良かったね。モニカは本当にロジャーが理想の男性だと思うのか?)
モニカ: No. He's not a horrible guy. (いいえ、(でも)彼はひどい男じゃないもの。)
チャンドラー: Hey, that's what I tell girls about me. (ほら、それって俺が自分について女の子に言ってることだよ[俺も自分のことを女の子にそう言ってる]。)
モニカ: Chandler, I'm gonna die a virgin! (チャンドラー、私はバージンのまま死んでいくんだわ!)
チャンドラー: No, you are not! You are sweet and wonderful and this is gonna happen for you. (違うよ、そんなことないよ! 君は優しくて素敵なんだから、こういうことが君にも起こるよ。)
モニカ: Oh, really? When? Do you wanna do it with me? (あら、ほんと? いつ? あなた、私と(エッチ)したい?)
チャンドラー: Okay. (They both realize what he just said.) (いいよ。 [チャンドラーが言ったこと(の意味)に、二人は気付く]
モニカ: I was kidding. (私は冗談で言ったのよ。)
チャンドラー: So was I. (俺もだよ。)

the perfect guy は「完璧な男性」なので、「理想の男性」ということですね。
とすると、ロジャーがその「理想の男性」なわけ?とチャンドラーは尋ねています。
本当なら、Yes!! と答えたいところでしょうが、やはりモニカにとってもロジャーはそれほど魅力的な男性ではなかったらしく(笑)、はっきり、No. と否定した後、「でも彼は、a horrible guy ではないもの」と言っています。
horrible は「ひどい、ぞっとするほどいやな」というニュアンス。
名詞 horror 「恐怖、嫌悪、ぞっとするもの」から来た形容詞であることを考えると、その「ぞっとする感」は想像できますね。
ロジャーは理想の男性ではないけど、「ぞっとするようなひどい男」ではないから、毛嫌いする理由もないの、みたいな、消極的選択だったことがわかります。

次のチャンドラーのセリフ、Hey, that's what I tell girls about me. について。
that は、その直前にモニカが言った、(He's) not a horrible guy. を指すでしょう。
what I tell girls about me を直訳すると、「俺について、俺が女の子に言うこと」になるでしょうか。
つまり、「ひどい男じゃない」という発言を受けて、「あぁ、俺も自分のことを女の子に言う時に、「俺はひどい男じゃないぞ」と言ってるよ」と言っていることになると思います。
今モニカが言った言葉は、俺が自分のことを女の子に語る時に言っているフレーズとおんなじだぁ〜、と言っている感覚になるでしょう。
「あ、それ、俺のキャッチフレーズ(と同じだ)!」みたいな感覚にも繋がるようにも思います。

チャンドラーが自虐的なジョークを言っても、モニカの嘆きは収まる様子がなく、I'm gonna die a virgin! と叫んでいます。
die a virgin は「バージン・処女(のまま・の状態)で死ぬ」。
このように、die という動詞(自動詞)は、後ろに補語を取って、「(補語)の状態で死ぬ」という形を取ることができます。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、そのような補語の例として、以下のものが出ています。

die young/happy/poor etc.
例) Franklin died young, at only 32.

つまり、「若死にする(若くして死ぬ)、幸せに死ぬ、貧しく死ぬ」。
例文は、「フランクリンは若くして死んだ、わずか32歳で」。

die a hero/martyr/pauper etc.
例) Windrich died a hero in World War II.

つまり、「英雄として死ぬ、殉教者として死ぬ、貧困者として(貧乏なまま)死ぬ」。
例文は、「ウィンドリッチは、第二次世界大戦で英雄として死んだ」。

die young のように、補語に形容詞が来る場合と、die a hero のように補語に名詞が来る場合がある、ということですね。
そして、今回のモニカのセリフは、die a virgin と名詞が補語になっているパターンだということです。
「英雄として死ぬ」を英訳しようとする時に、日本人の感覚だと何となく、die 'as' a hero のように、as を入れたくなってしまう気がするのですが(私だけ?)、そういう前置詞は不要で、die の後ろに直接、死ぬ時の状態を補語として置けば、それで完璧な形になる、というところが、個人的には面白いなと思います。

「私は誰ともエッチしないまま、死んでいくのね!」みたいに嘆くモニカを、チャンドラーは必死に慰めています。
「こういうことが君にも起こる」というのは、将来的には、誰かと恋愛して、そういう関係を結ぶようになる、という意味ですね。
せっかく慰めてくれているのに、モニカは「あら、そう。いつか、っていつよ!?」みたいに挑戦的な態度を取っています。
「他人事だと思って、無責任なこと言わないでよ」とでも言いたげに、「(じゃあ)あなたは私とエッチしたいと思ってる?」と、流れと勢いでそういう質問をチャンドラーにぶつけてしまうのですが、チャンドラーは反射的に、それもすごく軽い感じで、Okay. と答えます。
その返事にモニカは驚き、チャンドラーの方もしばらく経ってから、自分自身の発言に驚いているのが面白いですね。
現実の世界ではカップルになっている二人が、「もしもの世界」でもそんな風に「いい感じ」になりかけているので、観客からは軽い拍手と歓声も起こっています。
チャンドラーの何気ない発言に、凍りついたようになっている二人ですが、モニカは何とか冷静さを装い、I was kidding. 「私は冗談を言った、冗談で言ったのよ」と言っています。
So was I. は、I was kidding too. ということで、「俺の方がオッケーと言ったのも、もちろん冗談だよ」ということです。
お互いに言ってはいけないことを言ってしまった時のフォローとして、"I was kidding." "So was I." (「冗談よ」「俺もだよ」)と言ってアハハと笑ってごまかす、というのは、よくあるパターンだと言えるでしょう。


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posted by Rach at 16:32| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月10日

way more times フレンズ6-16その1

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シーズン6 第16話
The One That Could Have Been Part 2 (空想世界でつかまえて Part 2)
原題は「こうだったこともありえた話 パート2」


前回のエピソードに続き、今回も「もしもの世界」でのお話です。
「もしもの世界」では激太り状態のモニカ。
モニカは、今付き合っている彼氏のロジャー(職業は医者)にごちそうを作り、セクシーなことを言って誘おうとするのですが、病院から呼び出しがあり、ごちそうも食べずにロジャーは帰ってしまいました。
その残ったディナーを、モニカがチャンドラーと一緒に食べているところ。
彼氏ロジャーのことを茶化すチャンドラーに、「やめてよ、そんなの面白くないわ」と言った後、
モニカ: I'm sorry, okay? It just... tonight was supposed to be y'know, it was supposed to be a big deal. (ごめんなさい。ただ…今夜は、ほら、大切なものになるはずだったから。)
チャンドラー: What was tonight? (今夜は何だったの?)
モニカ: You don't want to know what tonight was. (今夜が何だったかなんてあなたは知らない方がいいわ。)
Chandler: Okay. (Pause.) What was tonight? (わかった。 [間があって] 今夜は何だったの?)
モニカ: Well, tonight was, was going to be my first time. (うーんと、今夜は、私の初めて(の夜)になる予定だったの。)
チャンドラー: With Roger? (Monica shyly looks away.) Not just with Roger?! (Monica shrugs.) Oh, my God! (ロジャーとの? [モニカは恥ずかしそうに視線をそらす] ロジャーとだけじゃなくて? [モニカは肩をすくめる] なんてこった!)
モニカ: All right, relax, Mr. I've-Had-Sex-Four-Times! (ねえ、大騒ぎしないでよ。「俺は4回エッチした」さん!)
チャンドラー: Four different women! I've had sex way more times! (4人の違う女性とだ! 俺はもっとずっとたくさんの回数エッチしたぞ!)
モニカ: How many? (何回?)
チャンドラー: Nine. (9回。)

モニカは、 it (tonight) was supposed to be a big deal. と説明しています。
be supposed to は「…することになっている、…するはずである」で、フレンズ頻出フレーズですね。
今回は過去形の was supposed to be の形なので、「…であるはずだった」という感覚になります。
a big deal は「大ごと、一大事、大事なこと、重大なこと」ですから、「(予定では)今夜は、大切な大事な重大なことになるはずだった、重大なものとなるはずだった(のに、実際にはそうならなかった)」というニュアンスになります。

a big deal になるはずだったのに…とだけ説明するモニカに、チャンドラーは、その内容を詳しく聞こうとして、What was tonight? 「今夜が何だったわけ?」と質問します。

モニカは、You don't want to know を使って、「あなたは今夜が何かなんて知りたくないわよ、知りたいとは思わないわ」みたいに言っています。
この You don't want to... は「あなたは…したくない」と表現していることになりますが、暗に「あなたには教えない、教えたくない」と言っている感覚になるでしょう。
「そんなことあなたには興味がないでしょ、きっと」みたいに言って、「それ以上は聞かないで」と答えを拒んでいるニュアンスになると思います。

フレンズによく出てくるのは、You want to... のパターンで、これも「あなたは…したいでしょ」というよりも、「あなたは…すべきだ」というニュアンスですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
want : SHOULD
ought or should
you (may/might) want to do something
You might want to install antivirus software.

つまり、「…すべき」という意味で、例文は「君はアンチウイルスのソフトウェアをインストールすべきだ」。

you want to が「君は…すべきである」という意味であるならば、今回の you don't want to は「君はすべきではない」という意味になる、と考えられるでしょう。
「どうせあなたはそんなこと知りたくないわよ」と「相手の意向を話者が一方的に決めつけるような感覚」が、「あなたは…を知るべきじゃない」という感覚に繋がるわけでしょうね。

You don't want to know... つまり、You shouldn't know と言われたので、いったんは、Okay. 「わかった」と言って引き下がるのですが、しばらくの沈黙の後、また、What was tonight? と尋ねてくるチャンドラーも面白いです。
「今夜は重大なものになる予定だったの」とまで言われて、その後の説明がなしでは、確かにチャンドラーでなくても追及したくなるところではあります。
モニカ自身も、そのことを追及して欲しいような、でもそれを言うのは恥ずかしいような、そういう複雑な気持ちから、断片的な情報を小出しにしている、という感じもしますね。

2度も聞かれたので、覚悟を決めたらしいモニカは、 tonight was going to be my first time と説明しています。
「今夜は私の初めて(の時)[1回目、初回]になる予定だった」ということですね。
「今夜が初めて、初めての夜」となると、日本人でも「初めてのエッチ」を指すことは想像できる気がします。
モニカの発言に対して、「ロジャーと初めての夜になるはずだったの?」と聞き返したチャンドラーですが、モニカは恥ずかしそうに視線をそらしています。
それですべてを悟ったチャンドラーは、Not just with Roger? と驚いた顔で再度聞き返します。
「ロジャーと初めて、ってだけじゃないのか?」みたいな感じで、「ロジャーとだけじゃなくて、人生初めてってこと?」と問い返していることになります。

驚くチャンドラーに、モニカも負けじと、「(そんなに驚いてみせてるけど)落ち着いてよ。”ミスター・俺は4回エッチした”さん!」と返しています。
かつて、何かの話の流れで、I've had sex four times. とチャンドラーが言ったことがあったのでしょう、それを持ち出して、「私が未経験なのを驚いたように言うけど、あなただって4回だけじゃない!」みたいに言い返しているのですね。
それを聞いたチャンドラーは、いやそうな顔をして、「(回数が4回なんじゃなくて)、4人の違う女性とエッチした、って言ったんだ!」と言います。
I've had sex way more times! の way は「道、方法」の名詞 way ではなく、副詞の way です。
この副詞の way は、前置詞や他の副詞を強める働きがあり、「ずっと、うんと、はるかに」という意味になります。
フレンズでは、way too 「あまりに…すぎる」という形で出てくることが多いですが、今回は way more で「ずっともっとたくさん」というニュアンスになります。

LAAD では、
way [adverb] (informal) : by a large degree

LAAD では、その副詞 way を使ったフレーズの例として、way above/below/over etc. や、way too much/long/early etc. などの例が挙げられていますが、今回と同様に比較級が続いた、以下の形も挙がっています。

way heavier/smarter/bigger etc.
例) Tickets were way more expensive than I thought.

例文の意味は、「チケットは私が思っていたよりも、もっとずっと高かった」。
想像をはるかに超えた、想定外の高額だった、みたいな感じですね。

ちなみに、エッチ体験・経験を語っているわけなので、やはり時制は現在完了形の「経験」が使われているところも(当然と言えば当然ですが)意識しておきたいところです。
way more times と強調の way までつけて、「4回とは比べものにならないほど、よりもっとたくさんの回数」みたいに言ったので、モニカは「(具体的には)何回?」と尋ねます。
それに対して、Nine. と答えるチャンドラーに笑ってしまいますね。
それで、'way' more times と言えるのかぁ?とツッコミを入れたいところです。


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posted by Rach at 16:45| Comment(3) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする