2013年07月05日

お礼に俺のゲストとして出席してほしい フレンズ7-20その1

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シーズン7 第20話
The One With Rachel's Big Kiss (レイチェルとウィノナ・ライダーの秘密)
原題は「レイチェルの重大なキスの話」


[Scene: Ralph Lauren, Rachel is showing Chandler the selection of tuxedos.]
(レイチェルの職場である)ラルフ・ローレン。レイチェルはチャンドラーに、タキシードのセレクションを見せているところ。
レイチェル: (motioning to a rack) So now, these are all the tuxedos that we make and if there's anything that you like, we can make you a deal. Anything at all. (Grabs a few) But these are the three that Monica pre-approved. ([ラックを調べながら] それで、私たち(うちの会社)が作るすべてのタキシードがここにある。あなたが好きなものがなにかあれば、あなたと取引することが可能よ。とにかくどれでもいいの。[2、3個掴んで] でも、ここにあるのが、モニカが事前に承認した3つよ。)
チャンドラー: Well, thanks a lot for hookin' me up, Rach. I want you to know that I want you to attend our wedding as my guest. (俺に服を見立ててくれてほんとにありがとう、レイチェル。君に知っておいてほしいんだ、俺は、君に俺のゲストとして式に出席してほしいと思ってることを。)
レイチェル: I'm Monica's maid of honor. Okay? Don't try to blue-pin me. (私はモニカの花嫁付添役よ。いい? 私をブルーピンしようとしないで。)
チャンドラー: (sees another rack) Well, what's the deal with these? These-these look nice. ([別のラックを見て] これらはどうなの? 素敵に見えるよ。)
レイチェル: Oh, they are nice. We-we custom-make tuxedos for celebrities and then when they're done with them they just send ‘em back. (ええ、それらは素敵よね。うちは、セレブにカスタムメイドでタキシードを作るの。それで、彼らがそれを使い終えた時、ただそれを送り返してくるのよ。)

結婚式間近のチャンドラーは、ラルフ・ローレンで働いているレイチェルに、自分が着るタキシードを見立ててもらっているところ。
we make の we は、ラルフ・ローレン全体、会社を指すニュアンスですね。
「わが社、うちの会社が作るタキシードが全部ここにあるから、好きなものがあれば、どれでも貸せるわよ(取引・契約できるわよ)」と言っていることになります。
どれでもいいのよ、と言いながら、2、3着の服を掴んで、「でもこれがモニカが事前承認した3つよ」というのが面白いですね。

pre-approve 「事前に承認する」という単語は、過去記事、フレンズ2-18その22 にも出てきました。
ジョーイ: I got this credit card application and I was pre-approved! (クレジットカードを申請したら、俺は事前承認されたんだ!)
というセリフで、そんな風にクレジットカードがらみの話でも使われる単語ですね。

thanks a lot for hookin' me up について。
hook はいわゆる「フック、ホック、留め金」のことで、hook up は「ひっかける、つるす、ホックで留める」「つなぐ、接続する、結合する」のような意味になります。
そういう「つながる、結合する」という感覚から、人間同士の話だと「友達になる、仲間になる」、それが恋愛面の話になると「人と性的関係を持つ」という意味としても使われます。
「引っかける」という意味があることから、hooker だと「売春婦」という意味にもなりますね。

では、今回のセリフでの hook me up のニュアンスは何か?についてですが、恋愛系のことを言っているのではなく、「俺と、俺が着ることになるタキシードを結びつけてくれてありがとう」みたいなことを言いたいのかな?と私は思いました。
英辞郎には、
hook someone up with=〈俗〉(人)に〜を与える
のように出ていますが、そんな風に、「人に物を結びつける」→「人に物を与える」ということになるのだろうと。
俺に似合う服を探してくれていることに感謝、という意味で、上では「タキシードを見立ててくれてありがとう」と訳してみたということです。
唐突な感じのお礼の言葉ですが、感謝の気持ちで素直にお礼を言っただけ…でないところが、チャンドラーらしいですね。
ありがとう、と言った後で、「君に俺のゲストとして出席してほしいと思ってることを知っていてほしい」と言っています。
服選びを手伝ってくれたお礼に、是非俺のゲストとして式に出席して、みたいなことですね。

レイチェルはチャンドラーの意図を察し、「私はモニカの付添役よ。私を blue-pin しようとしないで」と言います。
blue-pin というのは、オープニング直後のシーンで、結婚式の座席表(the seating chart)を相談していた二人のやりとりと関係があります。
その表には、出席者の目印に、赤と青のピンが刺してあり、
モニカ: (To Chandler) Okay, the red ones are my guests, and the blue ones are yours. ([チャンドラーに] いいわ、赤いピンが私のゲストで、青いピンがあなたのよ。)
チャンドラー: This is so sad. I mean, I only have like 10 pins. (これってすっごく悲しい。だって、俺はほら、10個くらいしかピンがないんだぞ。)

「私を”ブルーピン”しようとしないで」というのは、「私をチャンドラーのゲストとして、青いピン扱い・青ピン化(笑)しないで」ということで、本来は名詞である、blue pin という言葉を、blue-pin と動詞化して使っているのがポイントとなります。
ありがとう、とか言いながら、どさくさに紛れて、あなたのゲスト側に入れようとしないでちょうだいね、私はモニカの付添人なんだから、とまさに「釘を刺している」感じになるでしょう。

what's the deal with these? は「こっちにあるこれらのタキシードは、どうしたの?どうなってるの?」という感覚。
こっちにもあるのに、こっちはだめなわけ?みたいなことですね。
素敵に見えるのに、何が問題なんだろう、どうして候補じゃないんだろう、みたいなことです。

レイチェルはその別の棚にあるタキシードのことを説明しています。
we custom-make tuxedos for celebrities は「うち(わが社)は、セレブのために、タキシードを注文に応じて作る、オーダーメイド・カスタムメイドで作る、特注であつらえて作る」という感覚。
custom-made clothes 「カスタムメイドの服」のように、カスタムメイドという言葉はほぼ日本語になってしまっていますが、「作られた」という意味の過去分詞形(受動態)の made を、本来の「作る」という能動形で使っているのが、custom-make になるわけです。

be done with は「〜を済ます、終える」という感覚なので、そのタキシードを使い終えた後、自分の服として保管しておくとかいうことをせずに、ただ送り返してきちゃうのよ、と言っていることになります。
わざわざ、オーダーメイドで作ったのに、1回、もしくは数回着た後で、返品してくる、だからこうしてここにある、と説明しているわけですね。


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posted by Rach at 13:17| Comment(5) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月03日

これを悪化させるような言葉なんてない フレンズ7-19その6

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ロスは自分の部屋で、いとこのキャシーと映画を観ています。デニス・リチャーズ演じるセクシーなキャシーを意識しまくりのロス。
ロス: (in his head) She's your cousin. She's your cousin! If she knew what was going on in your head, she'd think you were sick! (She grabs some popcorn.) Or would she? Let's back up a second. She was the one who suggested opening a bottle of wine. She was the one who turned down the lights. She was the one that wanted to rent Logan's Run, the sexiest movie ever. (She grabs the blanket from behind him and looks at him.) Oh, I know that look. Forget it. I want it. She wants it. I'm going in. ([頭の中で] 彼女は僕のいとこだ。彼女は僕のいとこなんだ! もしお前の頭の中で何が起こっているかを彼女が知ったら、彼女はお前を病気だと思うぞ! [キャシーはポップコーンを掴む] いや、彼女はそう思うか? 少し戻ってみよう。ワインのボトルを開けるのを勧めたのは彼女だ。明かりを落としたのは彼女だ。「ローガンズ・ラン」を借りたいと言ったのは彼女だ。これまでで最高にセクシーな映画を、だぞ。[キャシーはロスの後ろからブランケットを掴み、彼を見る] あぁ、あの表情、僕にはわかる。忘れろ。僕は求めてる。彼女は求めてる。行くぞ。)
(They exchange looks, smile, and shrug their shoulders before Ross suddenly lunges forward in an attempt to kiss her, but she expertly backs away.)
二人は、目つき、微笑みを交わし、肩をすくめる、その後に、ロスは突然、彼女にキスをしようと突進するが、彼女は巧妙に後ろに下がる。
キャシー: Hey! What the hell are you doing?! (They sit back up.) (ちょっと! 一体あなた何やってるのよ?! [二人は椅子に深く座る])
ロス: (in his head) Say something clever! (Pause.) Okay, doesn't have to be clever, it just has to be words. Say some words. (Pause) Any words will do. (Pause) Oh, my God! This is the longest that anyone has not talked ever! (Pause) There is nothing you can say to make this worse!! So just say something!! (Pause.) (To her) I-I, I uh haven't had sex in a very long time. (She leaves.) (In his head) Yeah, you really shouldn't have said anything. ([頭の中で] 何か気の利いたことを言え! [間があって] よし、気の利いたことでなくてもいい、ただ言葉であればいい。何か言葉を言え。[間] どんな言葉でもいい。[間] なんてこった! これは、これまで人が話さなかった最長だ! [間] これを悪化させるように言えることなんてない[これを悪化させるような言葉なんてない]! だからただ何か話せよ! [間] [キャシーに] 僕は、すっごく長い間、エッチしてないんだ。[キャシーは去る] [頭の中で] そうだよ、ほんとに何も言うべきじゃなかったのに。)

セクシーないとこのキャシーを自分の家に泊めることになったロスは、映画を観ながら、頭の中で独り言を言っています。
「キャシーは僕のいとこなんだ」と自分に言い聞かせて、If she knew what was going on in your head, she'd think you were sick! と言っています。
これは、典型的な仮定法過去ですね。
you が使われているのは、ロスが自分の頭の中で自分自身に呼び掛けているニュアンスで、what was going on in your head は、「お前の頭の中で進行中のこと」。
人の頭の中で起こっている出来事を他人が知ることはできませんが、もしそれを知ったら、という「現実では不可能な仮定」なので、仮定法過去の knew が使われているわけです。
もし、お前(ロス自身のこと)の頭の中で進行中の出来事を知ったら、キャシーはお前を病気だと思うだろう、というのが、そのセリフの意味になります。
つまり、「あなた、ビョーキ?」と言われてしまいそうなこと、この場合は頭の中でキャシーとエッチなことをしているのを連想していること、がロスの独り言のセリフからわかるのですね。
Or would she? というのは、前の文、she'd think you were sick! を受けてのもので、「彼女はお前を病気だと思うぞ! いや、ほんとにそう思うか?」と自問自答していることになります。
病気だと思われそう…と自分で思ってしまったけど、そう思われるとは限らない、別の可能性もあるんじゃないか?みたいなことですね。

Let's back up a second. は「1秒戻ってみよう」という感じで、ちょっと戻って、振り返って、改めて考えてみようじゃないか、というところ。
その後、She was the one who... という文章が3回続いていますね。
「ワインのボトルを開けようと勧めたのも、明かりを落としたのも、「ローガンズ・ラン」を借りたいと言ったのも彼女だ」というニュアンスになります。
彼女が A した、B した、C した、と表現するのではなく、「彼女が、A をした人、B をした人、C をした人(その人)じゃないか」みたいな強調のニュアンス。
今、ムーディな雰囲気になっているけど、その状況にしたのは、僕じゃなくて、彼女自身じゃないか、僕はエッチな想像を頭の中でしてるけど、そういう雰囲気に持ってきたのは彼女なんだぞ、というところです。

そのキャシーが見たいと言った映画は、1976年のアメリカ映画「Logan's Run」(邦題:2300年未来への旅)。
私はこの作品を見たことないのですが、以下のアマゾンのレビューを見ていると、ヒロイン役の女優ジェニー・アガターの美貌、セクシーさがかなり魅力的なようです(笑)。
Amazon.co.jp: 2300年未来への旅 [DVD]

SF作品なんだけど、女優さんのセクシーさに目が入ってしまう、という意味で、Logan's Run, the sexiest movie ever とロスは言ったわけですね。
そういう感じの映画だと知っていると、余計に笑えるセリフ、ということになるのでしょう。

ブランケットを取ったキャシーが自分を見るので、ロスは、I know that look. と言っています。
あの顔つき、目つきを僕は知ってるぞ、みたいなことで、ロスはその表情、目つきを見て、彼女も自分と同じ気持ちだ、と感じたようです。
Forget it. は、今まで自分があれこれ悩んでいたことを忘れろ、という感じ。
I want it. She wants it. は、僕はそれを欲してる。彼女もそれを欲してる、というところで、it というのは、ロスが頭に描いているエッチなことを指していることになります。
I'm going in. は「行くぞ」というところでしょう。

二人は顔を見合わせ、肩をすくめたりするのですが、その後、ロスは急に、キャシーにキスしようと突進します。
ト書きの、lunge というのは、「〜を突く」「〜に向かって突進する」。
過去記事、フレンズ3-2その28 では、ジョーイがチャンドラーの服を着れるだけ着込んで、
ジョーイ: Yeah. Whew, it's hot with all of this stuff on. I ah, I better not do any, I don't know, lunges. (starts doing lunges) (あぁ。ふぅ。こんなの全部着てたら暑いな。こんなことしない方がいいんだろうな、ほら、ランジ[突き出し運動]とか。)
というセリフを言いながら、足を突き出す運動をしていましたが、その「ランジ(突き出し運動)」という単語が、lunge でした。

彼女も僕と同じようにしたいと思ってるんだ、と思い、キスをしようとしたロスですが、キャシーに巧妙に(expertly)避けられた上、「一体何やってるの?」みたいに怒られてしまいます。
その後の、ロスの困った独り言が、実にロスっぽくて面白いですね。
clever は「利口な、賢い」ということで、今回だと「冴えた、気の利いた」ことを何か言え、と自分自身に言っている感覚。
何か気の利いたことを…と思っても思いつかないので、「気の利いたことである必要はない。言葉であればいい」みたいに思い直して、「何か言葉を言え」と自分を促します。
Any words will do. は、「どんな言葉でもいい、足りる、役に立つ、間に合う」。

This is the longest that anyone has not talked ever! は「これは、誰かがこれまで話さなかった、最長だ」という感覚。
今、僕は言葉が出て来なくて長い間沈黙してるけど、こんな沈黙は人類最長だ、みたいに言っていることになるでしょう。

There is nothing you can say to make this worse!! を直訳すると、「これ(この状況)をより悪くする(悪化する)ために言えることはない」みたいになるでしょうか。
つまり、今の状況は最悪で、何を言っても、この状況が悪化することないんだから、内容なんか気にせずとにかく沈黙を破って何か言えよ、と自分自身に言い聞かせているわけですね。

そしてやっとのことで出た言葉が、I haven't had sex in a very long time. つまり、「僕はすっごく長い間、エッチしてないんだ」。
キャシーはあきれた顔をして、部屋を立ち去ることになります。

you really shouldn't have said anything. は、「お前は本当に、何も言うべきじゃなかったのに・何も言わないべきだったのに(余計なことを言ってしまって)」という感じですね。
相手にその気がないのに、勝手に誤解して迫ってしまい、相手にあきれられた…そんなひどい状況は、何を言っても悪化しないんだからとにかく何か一言を…と思って口から出た言葉が、よりにもよって、「超長い間、エッチしてなくて」。
それでは「長らくエッチしてないから、誰でもいいからエッチしたくて」みたいに聞こえてしまうわけで、悪化できないと思っていたこの状況をさらに悪化してしまったことになります。

shouldn't have said は「言うべきじゃなかった(のに言ってしまった)」というニュアンス。
「とにかく何か言え」と自分を促してみたものの、何も言わない方がいいことだってある、今の言葉なら何も言わない方がましだった…という反省の言葉が、you really shouldn't have said anything. 「何も言うべきじゃなかったのに、余計なことを言ってしまった」になるわけですね。


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posted by Rach at 13:47| Comment(2) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月01日

ウエハース並みの薄氷 フレンズ7-19その5

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ロスとモニカのいとこである、キャシー(演じるは、ボンドガールのデニス・リチャーズ)を、いやらしい目で見ていたと、モニカに非難されたチャンドラーは、必死に弁解しているところ。
チャンドラー: I was not staring at her. Okay? I was just listening intently. It's called being a good conversationalist. Watch. (Stares at Monica's eyes.) Say something. (俺は彼女を見つめたりしてないよ。いいか? 俺はただ、熱心に聞いてただけだ。会話上手な人だってことだよ。見てて。[モニカの目を見つめる] 何か言ってよ。)
モニカ: You were staring about eight inches south of there. (あなたは(キャシーの時は)、今のより約8インチ南[下]くらいを見てたわよ。)
ロス: Fine, she can stay at my place. By the way, what-what does Cassie even look like now? (いいよ、キャシーは僕のところに泊まればいい。ところで、今のキャシーの見かけはどんな感じなの?)
モニカ: She looks exactly like Aunt Marilyn. (まさに、マリリンおばさんそっくりよ。)
チャンドラー: Umm, so this Aunt Marilyn, is-is-is-is she coming to the wedding? (うーん、それじゃあ、このマリリンおばさんって人、彼女は結婚式に来る予定なの?)
モニカ: Wafer-thin ice. (極薄の氷よ[あなたは今、ものすごく危険な状態よ]。)

「俺は、キャシーをじっと見てた、凝視してたんじゃない、ただ熱心に話を聞いてただけだ」とチャンドラーは言っています。
It's called being a good conversationalist. の conversationalist は、conversation 「会話」の関連語で、「話し好きな人、話し上手な人、座談家」という意味。
今回のセリフのように、a good conversationalist の形で使われることが多いです。
It's called は「〜と呼ばれている」という感覚ですね。
人の話を熱心に聞く、それが、会話上手な人であると言われていることだろ?みたいなニュアンスでしょう。

俺はただこんな風にしていただけだ、というように、モニカに、Watch. 「見てて」と言って、モニカの目を見つめるのですが、モニカが反応しないので、何か言ってよ、とチャンドラーは言います。

モニカの、You were staring about eight inches south of there. について。
You were staring のように「過去進行形」になっているのは、「今、あなたが私を見ているのとは違って、あなたがキャシーと話していたというあの過去の時点では、あなたは(こんな風に)見つめていた」と言っていることになります。
about eight inches south of there は「そこの約8インチ南」という感覚。
この「南」というのは「下(方向)」のことですね。
上が北の地図だと、南は下に当たることから、下のことを south と表現することが英語ではよくあります。
過去記事、フレンズ7-4その3 でも、「南」=「下」を意味する以下のやりとりがありました。
モニカ: Oh, my God. He threw up? (なんてこと。ロスは吐いたの?)
チャンドラー: No, he visited a town a little south of throw up. (いや、ロスは「吐く」の少し南の町を訪れたんだよ。)
このセリフも、「口からじゃなくて、下から出ちゃった」「吐く代わりに、大の方をおもらししちゃった」と言っているわけですね。

今回のモニカのセリフは、モニカの目をじっと見ているチャンドラーに対して、「キャシーの時は、目よりも8インチ下を見てたけど」と表現することで、「キャシーの胸に視線が釘付けになってたくせに」と、a good conversationalist だなんて聞いてあきれるわ、みたいに言ってみせたことになります。

ロスは、「キャシーは僕の家に泊まればいいよ」と快諾した後、what does Cassie even look like now? と尋ねています。
Cassie looks like ○○ now. 「キャシーは今、○○のように見える、○○のような見かけである、(見た目が)○○に似ている」の○○を what で尋ねた形の疑問文ですね。
ずっと昔に会ったきり、最近は会っていないので、「今の彼女の見た目はどんな感じなのかな?」と尋ねているわけです。
look exactly like は「〜と全く同じに見える」。exactly 「正確に、ぴったり」が使われているので、ただ似ているだけではなく、「非常にそっくり、瓜二つ」的なほどよく似ている感じを表します。
キャシーはいとこということなので、そのマリリンおばさんはキャシーのお母さんなのでしょう。
そのおばさんがキャシーに瓜二つと聞いて、チャンドラーは「そのおばさんも結婚式に来るのかな?」と言っています。

キャシーをいやらしい目で見たことを非難されたのに、さらに「キャシーにそっくりっていうそのおばさんも式に来るの?」とおばさんにまで興味津々のチャンドラーに、モニカはカチンと来たようで、親指と人差し指で、狭い幅を示しながら、Wafer-thin ice. と言います。
wafer は日本語で「ウエハース」と呼ばれている、薄い焼き菓子のこと。
カタカナではそんな風に「ウエハース」と書きますが、英語の発音は「ウェイファー」です。
ですから、wafer-thin は「ウエハースのように薄い」ということで「非常に薄い」という意味になります。
また、thin ice は文字通り、「薄い氷、薄氷(はくひょう)」ですね。
thin ice という言葉は、be skating on thin ice の形でよく使われます。
「薄い氷の上をスケートする」ということから、「薄氷を踏む、危険な状態にある」という意味になるのですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be (skating) on thin ice : to be in a situation in which you do something risky that is likely to upset someone or cause trouble
つまり、「誰かを怒らせたり、トラブルを起こしたりしそうな危険なことをする状況にあること」。

まさに日本語の「薄氷を踏む」と同じニュアンスですよね。
広辞苑では以下のように出ています。
薄氷を履(ふ)む[詩経]=極めて危険な場合にのぞむことのたとえ。「薄氷を履む思い」。
(ちなみに、三省堂の新明解国語辞典では、「薄氷を踏む」のように「踏む」という漢字が使われていて、私もそちらが標準だと思っていたのですが、広辞苑では「履む」の漢字が使われていて、おや?と思いました。また、出典は四書五経の1つである詩経だったんですね。)

ということで、thin ice は be (skating) on thin ice の形でよく使われ、「危険な状態である」ことを示す言葉になります。
今回はその thin が「ウエハース並みに薄い、超薄、極薄」のような wafer-thin と表現されていますので、モニカが指の幅で示したような非常に薄い幅、「そんな超薄い氷の上にあなたは今いる状態ね」という意味で、しぐさをまじえて、wafer-thin ice と言ったわけです。
キャシーに色目を使うだけではなく、似てるおばさんにも興味を示すって、婚約者である私をそんなに怒らせたいの? あなたはいつ落っこちてもおかしくない、極薄の氷の上にいるんだからね!と言ってみせたということですね。


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posted by Rach at 13:30| Comment(10) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月26日

ベイウォッチとバリー・ホワイト フレンズ7-19その4

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ロスとモニカのいとこにあたるキャシーという女性が、モニカとチャンドラーの家に数日泊まることになります。
キャシーを演じるのは、今回のゲスト、デニス・リチャーズ。
ピアース・ブロスナン主演の『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』(The World Is Not Enough)では、ソフィー・マルソーと共にボンドガールを演じました。
それで、今回のエピソードの邦題が、”いとこはボンド・ガール”になっているわけですね。
キャシー: I thought I heard voices. You must be Chandler. (声が聞こえたと思った。あなたがチャンドラーね[チャンドラーに違いないわね]。)
チャンドラー: (transfixed) Hi! Nice to meet you! ([立ちすくんで] はーい。こんにちは!)
キャシー: Nice to meet you too. (こんにちわ。)
モニカ: So, are you ready to go? (それじゃあ、行く準備はいい?)
キャシー: Yeah. (ええ。)
(She lets her hair down and whips her hair around in Baywatch-esque slow motion with a Barry White song in the background. Chandler needless to say can't help but stare along with the rest of the male and lesbian population of North America.)
キャシーは(アップにしていたピンを外して)髪の毛を下ろし、髪をさっと動かしてふりほどく。「ベイウォッチ」風のスローモーションで、バックにバリー・ホワイトの歌が流れている。言うまでもなくチャンドラーは、彼以外の北米の男性及びレズビアンの人々と共に、(彼女を)凝視しないではいられない。
モニカ: (catching him) Chandler! ([彼に気付いて] チャンドラー!)
チャンドラー: I'll be right with you. (すぐに行くよ。)
[Scene: Central Perk, Ross is there as Chandler and Monica enters.]
セントラルパーク。ロスがいて、チャンドラーとモニカが入ってくる。
モニカ: (To Ross) Cassie needs to stay at your place. ([ロスに] キャシーはあなたのところに泊まらないといけないの。)
ロス: What-why? (何、どうして?)
モニカ: Because "Pervie Perverson" over here can't stop staring at her. (なぜなら、ここにいる「パーヴィー・パーヴァーソン」が、彼女を見つめるのをやめることができないからよ。)
ロス: What?! Chandler, she's our cousin! (何だって? チャンドラー、彼女は僕らのいとこだぞ!)

初めに、ボンドガール経験者である、デニス・リチャーズ(Denise Richards)について簡単に説明しましたが、詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版: デニス・リチャーズ

ボンドガールとしての 007 への出演以外では、チャーリー・シーンとの結婚・離婚問題でも、いろいろと話題になりました。
チャーリー・シーンは、フレンズ2-23 に、フィービーの恋人ライアン役でゲスト出演していましたね。

今回取り上げた最初の部分、会話はありきたりなものですが、チャンドラーが、セクシーなキャシーに見とれてしまうシーンのネットスクリプトのト書きが面白いですね。
後半部分の説明は、北米の男性、そして、女性を愛するレズビアンの人たちも見とれずにはいられない、という感じで、キャシーのセクシーさにみんな目が釘付けになる様子が語られていますが、ポイントは前半の in Baywatch-esque slow motion with a Barry White song in the background の部分。

Baywatch-esque の -esque は「〜風の、〜的な、〜のような」。
picturesque (ピクチャレスク)は「絵のような」、arabesque (アラベスク)は「アラビア風の」という意味になります。
ですから、in Baywatch-esque slow motion は、ドラマ「ベイウォッチ」風のスローモーションで、ということ。
「ベイウォッチ」は、ジョーイとチャンドラーが大好きなドラマで、これまでに何度もフレンズ内で言及されてきました。
その番組の一番の見どころは、水難救助隊の女性隊員ヤスミン・ブリースらが、ビキニ姿で砂浜を走るシーン…それがいつもスローモーションになっていて、それがベイウォッチのお約束ともなっているわけです。
ボンドガールになったこともあるようなデニス・リチャーズの魅力を画面で表現するために、「ベイウォッチお約束のスローモーション」にすることで、そのセクシーさを存分に見せているわけです。
ちなみに、「フレンズ」と共に英語学習者の間で人気が高いドラマ「アリー my Love」(Ally McBeal)でも、「ベイウォッチ風のスローモーション」が使われたことがあります。
それについては、過去記事、フレンズ2-17その7 で説明しています。

さらに、ト書きには、with a Barry White song in the background とも書いてあります。
つまり、「バックに(BGMとして)バリー・ホワイトの歌を伴って」という感じですね。
バリー・ホワイト(Barry White)は、「愛の伝道師」とも呼ばれる歌手で、その名の通り、この場面では、その低音ボイスが、画面にセクシーさを加味しています。
今回のフレンズで使われているのは、「つのりゆく愛」(原題:I'm Gonna Love You Just A Little More Baby)という曲です。

ところで、バリー・ホワイトと言えば、先ほども言及した「アリー my Love」に登場したことでご存じの方も多いのではないでしょうか?
アリーの同僚のジョン・ケイジ(演じるのはピーター・マクニコル)は、自分をバリー・ホワイトだと思い込むことで、自分を奮い立たせる、という癖があり、バリーをイメージするためのテーマソングとして、「マイ・エヴリシング」(原題:You're The First, The Last, My Everything)が、アリーの劇中で何度もかかっていました。
ジョン・ケイジの英語版ウィキペディアにも、バリー・ホワイトに関する記述があります。
Wikipedia 英語版: John Cage (character) / John's eccentricities / Barry White
以下の説明がわかりやすいですね。
Barry White is John's idol and he cannot perform properly in court or in the bedroom if he cannot draw inspiration from the persona of White.
つまり、「バリー・ホワイトはジョン・ケイジのアイドル(偶像)で、バリー・ホワイトのペルソナ(仮面・人格)からインスピレーションを受けることができない場合には、裁判所や寝室で適切に活動することができない」。

アリー2-18 の「愛しくて虚しくて」(原題:Those Lips, That Hand)では、バリー・ホワイトご本人が登場して歌うシーンも出てきます。
また、アリー4-19 のタイトルは「バリーにおまかせ」(原題:In Search Of Barry White)というもので、ジョンが自信の源であるバリー・ホワイトの幻影を呼び出そうと頑張る話になっています。
ちなみに、さきほど、「アリーでも、ベイウォッチ風のスローモーションが使われたことがある」と書きましたが、それが使われた回がまさにこの、アリー4-19 「バリーにおまかせ」なのですね。

「フレンズ」と「アリー my Love」は、どちらも英語学習者に人気のある作品ですが(私はどちらも全シーズン見ました)、どちらの作品にも「ベイウォッチ風のスローモーション」「バリー・ホワイト」が使われたことになります。
フレンズ7-19 とアリー4-19 の共通点は?と聞かれたら、"Baywatch-esque slow motion & Barry White" が答えになるわけですね。

スローモーションとバリー・ホワイト(の曲)が、どちらも「セクシーさ」をイメージさせる材料となっているわけですが、そういうサブカル的なネタも、アメリカの複数の作品を見ることで、「あれに出てたのがここにも出てる!」という発見をすることができるのです。
もちろん、そんなことを覚えても、英語の資格試験には絶対に出ませんが(笑)、「そういうことがわかると、英語のドラマがもっと面白くなる」のは間違いないし、そういう気持ちが英語学習を続けて行く原動力になると私は思っています。

フレンズのセリフに戻ります。
モニカは兄のロスに、「キャシーは(うちじゃなくて)ロスの家に泊まらなくちゃいけないの」みたいに言っています。
理由を問うロスに、モニカは、ここにいる Pervie Perverson が、キャシーを見つめることを止めることができないの、と説明します。
Pervie Perverson は、モニカが皮肉を込めてチャンドラーにつけたあだ名ですね。

pervert は「性的倒錯者、変質者」のことで、perv と略されることもあります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
pervert : someone whose sexual behavior is considered unnatural and unacceptable
つまり、「その人の性行動が不自然(異常)で受け入れがたい、そういう人のこと」。

その perv を名前に入れて、Pervie Perverson という名前を創作したわけですね。
これと似たようなあだ名の、Smokey Smokerson というのが、過去記事、フレンズ5-18その3 に出てきたことがありました。
その時は、「タバコばかり吸っている女性」を「スモーキー・スモーカーソン」と呼んだのですね。
今回の「パーヴィー・パーヴァーソン」も音的に同じ感覚で、婚約者のいとこをいやらしい目つきで見ていたチャンドラーのことを、「エロ田エロ男くん」みたいなニックネームで呼んだ感覚になります。
Pervie Perverson と聞いて、Smokey Smokerson という名前を思い出した方もおられるかと思いますが、そういうネーミングの法則みたいなものに気づけると、いい感じ!ですね。


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posted by Rach at 18:08| Comment(4) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月24日

自腹なら両方なし フレンズ7-19その3

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レイチェルとフィービーが二人で話しているのを見て、「私のためのブライダル・シャワー(結婚する女性のために開かれるパーティー)を計画してくれてるのね!」と勘違いしたモニカ。
ブライダル・シャワーの予定を考えていなかった二人は、今、フィービーの部屋で慌てて計画を立てているところ。結婚前のモニカが多忙なため、2日後の金曜日しかできる日がないと分かった後で…。
レイチェル: Okay. Okay. (They sit down.) I think we can do this if we just get organized. All right? We have two days to plan this party. We just need to make fast decisions! Okay? All right, where are we gonna have it? (わかった、わかった。[二人は座る] 整理したらこのブライダル・シャワーを私たちでできると思うの。でしょ? このパーティーを計画するのに私たちには2日ある。ただ素早い決断をする必要があるわ! いい? よし、どこでそのシャワーをする?)
フィービー: Uh, here. What time? (あぁ、ここで。何時に?)
レイチェル: 4 o'clock. Food? (4時に。食べ物は?)
フィービー: Finger sandwiches and tea. (フィンガー・サンドイッチ[一口サイズのサンドイッチ]と紅茶。)
レイチェル: Ooh great! Very Monica. (あぁ、素敵ね! まさにモニカね。)
フィービー: And chili! (それに、チリ!)
レイチェル: Ah you went one too far. Uh, flowers or balloons? (あぁ、それは行きすぎ[やりすぎ]ね。花と風船は?)
フィービー: Both! (両方とも!)
レイチェル: We're paying for this y'know. (これは私たちがお金を払うのよ。)
フィービー: Neither. (両方とも、なし!)

「○○シャワー」という言葉は、これまで何度もフレンズに登場しましたが、ここで改めて説明すると、bridal shower は「花嫁になる人へ贈り物をするパーティー」のことです。
baby shower なら「出産前の母親にベビー用品を贈るパーティー」になります。

LAAD では、
bridal shower also shower : a party for a woman who is going to be married, given by her friends and family
つまり、「結婚する予定の女性に対して、友達や家族によって催されるパーティー」。

get organized は「準備する、整理する」。
この場合は、何をすべきか頭の中を整理すれば、という感覚でしょう。
このパーティーを計画するのに2日しかないから、make fast decisions する必要がある、と言っています。
いろんなことを素早く決めちゃいましょ、ということですね。
その後、make fast decisions と言った通り、レイチェルは「どこでこのシャワーをする?」と素早く質問しています。
スピーディーに質問されると、答える方も反射的に答えられるようになるもので、フィービーも瞬時に「(場所は)ここ」、つまり、フィービーの部屋だと答えます。
時間もすぐに4時と決まり、食べ物は?と質問されたフィービーは、Finger sandwiches and tea 、つまり、「指でつまめる一口サイズのサンドイッチと紅茶」と答えます。
Very Monica. は「まさにモニカ、まさしくモニカ」という感じで、「そのメニューなら、いかにもモニカって感じで、イメージぴったり、ばっちりよ」と褒めていることになります。

気をよくしたフィービーは、「それからチリ」と言うのですが、唐辛子系香辛料料理のチリは、ちょっとイメージと違うんじゃない?と言うように、レイチェルは、you went one too far. と言っています。
go too far は「度を超す、行き過ぎる、やり過ぎる」という感覚。
直訳すると、「あまりにも遠くに行き過ぎる」ということですね。
チリまでいっちゃうのは、ちょっと調子に乗ってのやり過ぎじゃない? そこまでいったら、ちょっと違っちゃうんじゃない?みたいに指摘していることになります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
go too far : to go beyond the limits of what is reasonable or acceptable
例) This time you've gone too far!

つまり、「道理にかなう、または受け入れられることの限界を越えて行くこと」、例文は「今回は、君はやり過ぎた!」

レイチェルは、パーティーの装飾として、花や風船はどうする?と聞いています。
フィービーは、「花も風船も両方使う!」という意味で、Both! と言うのですが、レイチェルが「この花とか風船とかは、私たちがお金を払うのよ、自腹を切ることになるのよ」ということに気付かせると、あっさり、Neither! と意見を翻すのが面白いですね。
上に書いた日本語訳だと、「両方(とも)なし」みたいになりますが、英語の場合は、「両方(とも)あり」が both で、「両方(とも)なし」が neither という、それぞれ1単語で表すことができます。
そのおかげで、この Both. Neither. という一言の返事が、余計に面白く聞こえるわけですね。
全肯定しておいて、自腹だと聞くと、途端に全否定に走る(笑)、という面白さを、both & neither という単語のペアから感じていただければと思います。


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posted by Rach at 15:23| Comment(8) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月20日

アメリカ女性全員とそういう契約をしてる フレンズ7-19その2

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フィービー: Hey, the wedding is so close! Are you getting nervous? (ねぇ、結婚式はもうすぐね! ナーバスになってきてる?)
モニカ: Yeah. But a part of me also can't wait ‘til it's over. Chandler and I have this pact not to have sex again until the wedding. (そうね。でも、私の一部は、結婚式が終わるまで待ちきれないでもいるの。チャンドラーと私は契約したのよ、結婚式までエッチは(二度と)しない、って。)
ロス: A "no sex" pact, huh? I actually have one of those going on with every woman in America. (”エッチなし”の契約かい? 実際、僕もそういう契約の1つを実行中なんだ、アメリカの全ての女性との間でね。)
モニカ: Hey Phoebe, will you give me a hand? (ねぇ、フィービー、手伝ってくれる?)
フィービー: Sure. (もちろん。)
モニカ: I gotta make up the guest bedroom. (To Ross) Hey, Cousin Cassie is coming to stay with us for a few days. (ゲストルームを準備しないといけないの。[ロスに] ねぇ、いとこのキャシーが、2、3日、うちに泊まりにくる予定なのよ。)
ロス: Cassie? (キャシーだって?)
モニカ: Uh-hmm. (ええ。)
ロス: Wow, I haven't seen her in, like, forever. I wonder if she still carries that Barbie everywhere she goes. (わぉ、僕は彼女をもう、ほら、全くと言っていいほど見てないよ。彼女はまだあのバービーをどこに行くにも持ってるのかな、って思っちゃうね。)
モニカ: Ross, she's 25 years old. (ロス、彼女は(もう)25歳よ。)
ロス: So what! I still have-- No, you're probably right. (それが何だよ? 僕はまだ持ってるんだぞ… いいや、多分、モニカが正しいね。)

close は「近い」。
研究社 新英和中辞典では、
close=(時間・空間・程度など)接近した、類似した
と出ていて、いろんな意味で「接近した」というニュアンスを表します。
ですから、時期的な話だと「もうすぐだ」という意味になりますし、人との関係においては「親しい、親密な」という意味になるわけですね。a close friend なら「親友」です。
「近い」ということから、「正解に近い、惜しい、いい線行っている」という意味にもなります。
get nervous 「ナーバスになる、神経質になる」を現在進行形にした疑問文なので、Are you getting nervous? は「(式が近づいてくるにつれて)だんだんナーバスになってきてる?」みたいなニュアンス。

モニカは、少しナーバスになってきているのを認めつつも、can't wait 「待ちきれない、待ち遠しい」とも言っています。
can't wait は直訳通り、「待つことができない」わけですが、これは物理的に可能かどうかの話ではなくて、「早くその時が来てほしくてうずうずしてる」という感覚ですね。
結婚式が終わるまで待つことができない、つまり、「早く結婚式が終わって欲しい」と言っていることになります。
a part of me also という表現が面白いですね。
「私の一部はこんな風にも思ってる、感じてる」といったところで、式が近づいてナーバスになっている私、式が近づいてくるのが怖いと思っている私がいる反面、別の部分の私は早く式が終わって欲しいと、式を待ちきれないでいる、という感じ。
日本語でも、「でも私の中には、〜する私もいるのよ」みたいな表現をすることがありますが、それがまさに、a part of me also (do) みたいに表現できるということです。
その後、「終わるのが待ちきれない」と言っている理由が説明されています。
チャンドラーと私はある契約をした、と言っていて、その内容とは、「結婚式まで再度エッチをしない」。
結婚式が終わるまで、エッチはお預けにしようね、という約束をしたわけですね。

その契約内容を聞いたロスは、横から一言、挟んできます。
「エッチなしの契約かい?」と言って、「実際僕も、そういう契約の一つを、every woman in America との間で実行中なんだ」みたいに言います。
つまり、「僕はアメリカにいる全ての女性と、”エッチなし”の契約を結んで、それを実行しているところだ」みたいなことですね。
「ロスは長らくエッチをしていない」というネタで、フレンズたちにロスはちょくちょくからかわれています。
最近のエピソード、フレンズ7-15その1 でも、
ジョーイ: Well, I think it's ridiculous that you haven't had sex in three and a half months. (ふーん、ロスが3ヶ月半もエッチしてないこと(の方)が、ばかげてると俺は思うけどね。)
みたいなご指摘(笑)があったりもしました。
そういうからかいのネタを自虐ネタとして使っているわけです。
チャンドラーはモニカとエッチなしの契約かぁ、僕はアメリカ中の女性とそういう契約してるんだよ…と言って、誰とも全くエッチができそうな気配がない(笑)ことを自らジョークにしているのですね。

その後、モニカはフィービーにちょっと手伝ってくれるかしら?と頼んでいます。
モニカが説明しているように、いとこのキャシーが泊まりにくるから、ゲストルームを準備・用意しないといけないの、ということですね。

I haven't seen her in, like, forever. の forever は「永遠に、永久に」ということですが、フォーエバーと表現してもいいくらい、長い間、彼女に会ってないなぁ〜、という感覚になります。
ロスは、I wonder if 「〜かどうかなと思ってる」という表現を使い、キャシーはあのバービー(人形)を、彼女の行くところどこでも、持ち歩いているかな?みたいに言っていますね。
「どこに行くにも持ち歩く、肌身離さず持っている」というような英語が、carries 〜 everywhere she goes になるわけです。
バービー人形って、キャシーはもう25歳の大人の女性よ、とモニカは言うのですが、ロスは一瞬それに反論したように、「それが何だよ? 僕はまだ…を持ってる」と言いかけた後、「いや、モニカが正しいね」と自分の意見を修正しています。
「僕だって大人だけど、まだ子供の時持ち歩いてた○○を、どこにでも持って行ってるよ」みたいに言いかけて、恥ずかしいから訂正した、ということが、英語のセリフで聞いた時にもわかれば、いい感じ!ですね。


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posted by Rach at 15:39| Comment(0) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月18日

フル・フロンタル フレンズ7-19その1

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シーズン7 第19話
The One With Ross and Monica's Cousin (いとこはボンド・ガール)
原題は「ロスとモニカのいとこの話」


映画のオーディションがいい感じだった、とご機嫌のジョーイは、エージェントのエステルからの電話に出ているところ。
エステル: Joey! It's Estelle! I just talked to the casting people. They loved you! (ジョーイ! エステルよ! ちょうどキャスティングの人たちと話したところなの。みんなあなたが気に入ったって!)
ジョーイ: (to Monica and Phoebe) They loved me! ([モニカとフィービーに] みんな俺を気に入ったって!)
エステル: Yeah, they wanna see you again tomorrow. (そうよ、また明日、もう一回会いたいって。)
ジョーイ: (on phone) Oh my God! ([電話で] なんてこった!)
エステル: There's just one thing. Do you have a problem with full-frontal nudity? (ただちょっと1つだけあるんだけど。正面まる見えのヌードに問題ある?)
ジョーイ: Are you kidding me? I never rent a movie without it! (Listens) Oh. (Listens) Uh, okay uh let me call you back. (Hangs up.) (冗談でしょ? 俺はヌードのない映画は絶対借りないよ! [聞く] あぁ。[聞く] わかった、後で電話をかけ直させて。[電話を切る])
フィービー: What's the matter? (どうしたの?)
ジョーイ: They want me to be totally naked in the movie! (映画で俺に素っ裸になってくれ、って。)
モニカ: Wow! (わお!)
ジョーイ: I know! My grandmother's gonna see this! (そうだよ! 俺のおばあちゃんがこれを見ることになる!)
フィービー: Grandma's gonna have to get in line. (おばあちゃんは列に並ばないといけないことになるわよ。)

エージェントのエステルは、キャスティング担当の人たちとちょうど話したところだ、と言って、その人たちがジョーイを気に入ったとも言っています。
もう1回会いたいと言われて大喜びのジョーイは、エステルからの電話を聞いて、驚きの声を上げます。
エステルのセリフで、その驚きの内容が伝えられていますね。
There's just one thing. は「ただ1つのことがある」という感覚。
ちょっと1つ問題があるんだけどね、というニュアンスですね。
Do you have a problem with...? は「あなたは…に問題ある?」
full-frontal は「フル・フロントの」というカタカナからも何となくイメージできますが、「真正面を向いた、正面まる見えの」という意味で、今回のような full-frontal nudity はまさに「正面まる見えの全裸(オールヌード)」という意味になります。
また、nudity のような単語なしの full-frontal だけでもそういう全裸のニュアンスで使われますし、ヌード以外の言葉と結びついた場合は「あけっぴろげの、隠すものがない」という意味でも使われます。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
full frontal nudity : the fact of showing the front of people's bodies with no clothes on, in movies, pictures etc.
つまり、「映画や写真などで、服を全く着ていない人の体の前面を見せているという事実」。

Macmillan Dictionary では、
full-frontal :
1. shown or seen from the front, wearing no clothes
例) a full-frontal view of a nude model
2. direct and violent
例) a full-frontal attack/assault

つまり、1. は「服を着ないで、前から見せられること、見られること」、例は「ヌードモデルの全裸の姿(光景)」、2. は「単刀直入(直接的)で暴力的な」、例は「直接的な攻撃」。

ちなみに少々脱線しますが、「フル・フロンタル」と言うと、福井晴敏さん原作の小説・及びアニメ「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」に、まさにその「フル・フロンタル」という名前のキャラが出てきます。
「赤い彗星の再来」(the Second Coming of Char Aznable, the Red Comet)と呼ばれている人物なのですが(声も池田秀一さん^^)、ガンダムUCのウィキペディアの説明でも、
「丸裸」を意味するその名とは裏腹に、真意を窺い知れぬ謎めいた言動で
と書かれており、意図的にそのような名前がつけられているようです。
ガンダムお約束のw「仮面の男」に、そのような名前をつけているのが面白いわけですね。
顔に仮面をつけている、つまり、「identify するのに一番重要な前面を隠している」わけですから、その人の名前がフル・フロンタル(full-frontal、前面まる見え)だと知ったときは、さすがに笑ったよ(by キシリア)状態の私でした。
ちなみに私は、アニメ版(OVA)の episode5 「黒いユニコーン」まで見ました。ですから、まだフル・フロンタルの正体は知りません。小説を読んだ方は彼の正体を内緒にしてて下さいね!…ということで、脱線終わり!

「素っ裸で正面がまる見えになってる裸って大丈夫?」みたいなエステルの質問だったわけですが、それを聞いたジョーイの答えが面白いです。
「冗談だろ? 正面まる裸のない映画は俺は借りない」ということなので、オールヌードが出てくるような映画なら俺しょっちゅう借りてるから(笑)、問題なんかあるわけない、全然オッケーだよ、と言っていることになります。
ですが、少し後に、Oh. と何かに気付いたような声を出して、「また折り返し電話させて」と言って電話を切ることになります。
エステルが「オールヌードに問題ある?」と言ったのは、ジョーイの映画の嗜好の話(笑)ではなく、俳優のジョーイがオールヌードになることに抵抗はないか?という質問だったことに、改めて気づいたわけですね。
エステルが full-frontal nudity と表現したのを、ジョーイは be totally naked 「完全に裸、素っ裸」と表現しているのにも注目しましょう。

ジョーイが映画で素っ裸になるかも、という話の流れから、次のセリフはどちらも、be gonna (be going to) を使った文になっています。
その流れで行くと、こういうことになるわね、なりそうね、ということですね。
映画の中で俺がヌードになったら、おばあちゃんに見られることになっちゃうじゃん!と焦っているジョーイですが、フィービーは「おばあちゃんは get in line しないといけないことになる」と返しています。
get in line は「列に並ぶ」。
それを見るためにはおばあちゃんは行列しないといけないわ、ということで、おばあちゃんに見られるってジョーイは心配してるようだけど、見るのはおばあちゃんだけじゃない、もっとたくさんの人が列をなして、あなたの裸を見に来ることになるってわかってる?みたいな、からかいの混じったセリフになっているわけですね。


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posted by Rach at 12:20| Comment(2) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月12日

これを悪化させなかったら、評価Cをあげる フレンズ7-18その6

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ロスは、自分が教えているクラスの男子生徒に、「ロス先生に恋してるから、テストに集中できなかったんだ」と言われ、落第だった彼の点を上げてやることにします。
が、「その生徒はゲイではなく、彼女もいて、他の先生にも同じやり方を使って点数を上げてもらっていた」ことを他の生徒から聞いたロスは、その生徒に話しかけています。
[Scene: Ross's classroom, he has just finished his lecture and the students are filing out.]
ロスの教室。ちょうど講義を終えたところで、生徒がぞろぞろと出て行っているところ。
ロス: Uh Mr. Morse? Can I speak to you for a moment? (モース君? ちょっと話せるかな?)
モース: (walking up) That was a great lecture today. Did you get a little haircut? ([歩いて近づいてきて] 今日、さっきのは素晴らしい講義でした。ちょっと髪の毛切りました?)
ロス: Uh-hmm, yeah-yeah do you like it? Do-do you looove it? I just want you to know that I'm changing your grade back. (あぁ、そうだよ、君はそれが好きかな? だーい好きかな? 僕はただ君に知ってもらいたいんだよ、君の評価を元に戻そうとしてる、ってことをね。)
モース: What?! Why? (何? どうして?)
ロス: ‘Cause I know what you're trying to pull here. Okay? It's not gonna work. (それは、君が何をしでかそうとしてるかってことを僕が知ってるからだ、いいかい? そんなのうまく行かないよ。)
モース: I'm not trying to pull anything. Look, I love you, dude. (僕は何もしでかそうとしてませんよ。ねぇ、あなたを愛してるんだ。)
ロス: Y'know what? I-I'm not even gonna talk about this. Okay? This little "thing" is over. I know you have a girlfriend! Okay-(Ned looks shocked)-Yeah! And I know about the other professors! How do you think that makes me feel, Ned?! You used me! You don't love me and you never did! (Ross turns around to make a grand exit but runs into two colleagues.) Ah Professor Winston. Professor Fredrickson. I'll be right with you. (To Ned) Don't make this worse and I'll give you a "C." (To the professors) Shall we? (They leave.) (いいかい? このことについてはもう話すつもりさえない。いいか? このちょっとした関係は終わったんだ。君には彼女がいるって知ってるんだぞ! いいか [ネッドはショックを受けた様子] そうだよ! 他の教授のことも知ってるぞ! それが僕をどんな気持ちにしたと思う、ネッド? 君は僕を利用したんだ! 君は僕を愛していないし、今までも愛してなかった! [ロスが堂々と退場しようと振り向くが、二人の同僚にばったり出くわす] あぁ、ウィンストン教授、フレドリクソン教授。すぐにそちらに行きます。[ネッドに] これを今以上に悪くしないでくれ、そうしたら君には評価「C」をあげるよ。[教授たちに] 行きましょうか? [ロスと教授は去る])

自分が騙されていたことを知ったロスは、その学生(モース君)に話しかけています。
ロスが気付いているとは知らないモース君は、「今日のさっきの講義は素晴らしかった。ちょっと髪の毛切りました?」みたいに、相変わらず「僕は先生にぞっこんですよ」みたいなセリフを言ってみせています。
ロスは、like や love という単語、それも皮肉っぽく、love を looove みたいに伸ばして発音したりして、「この髪型、気に入ってるかな? 大好きかな?」みたいに言っています。
like や love のふりをしても、もうこっちはお見通しなんだよ、と言いたい感じがありありと出ています。
君が何て僕を褒めようと、僕はただ君に知っておいて欲しいんだよね、君の評価(grade)を元通りに戻したことを、とロスが言うので、生徒は驚いた様子。
ちなみに grade はいわゆる「グレード」のことで、これまでのフレンズでは「学年」の意味で使われることが多かったですね。
ロス: I've been in love with you since the ninth grade. (9年生の時から君のことがずっと好きだった。)
などが学年の意味の grade の使用例の典型でしょう。
今回は「成績の評価」のことで、以下の研究社 新英和中辞典の説明が大変わかりやすいと思います。

grade 【C】 《米》 (生徒の)成績(点), 評点, 評価 (解説 次の5段階評価が普通: A (Excellent 秀), B (Good 優), C (Fair, Average, Satisfactory 良), D (Passing 可), F (Failure 不可); D 以上が合格)

ロスは、君がここで何を pull しようとしているか僕は知ってるんだぞ、のように言っています。
pull の基本的な意味は「引っぱる」ですが、ここでの意味は、「何か悪いことを行う」というニュアンス。
研究社 新英和中辞典では、
pull 【動】【他】《口語》
1 〈犯罪などを〉やってのける
pull a bank robbery 銀行強盗をやってのける.
2 〔+目(+on+【(代)名】)〕〔人に〕〈詐欺などを〉行なう
pull a dirty trick (on a person) (人に対して)汚い手を使う.


などと出ています。上の例にあるような、a bank robbery や a dirty trick のような悪いことを目的語に取って、「そういう悪事を働く、やってのける」という意味で使われるわけですね。
what you're trying to pull のように動詞に pull を使うことで、その pull しようとしていること、が「悪いこと、悪事、悪だくみ」であることがわかるわけです。
こういう pull については、過去記事、悪いニュアンスのpull フレンズ3-9その13 で詳しく解説しています。

「何か悪いことたくらんでるだろ」的なことを言われたので、「僕は何も pull しようとしてないですよ」とモース君は言うのですが、ロスにはもう通じません。
その後、ロスは、騙された恨みを晴らすかのように、「君には彼女がいるって知ってるんだぞ。君が他の教授にも同じようなことをしたことも知ってるんだぞ」とまくし立てています。

How do you think that makes me feel, Ned?! You used me! You don't love me and you never did! を訳すと、「そのこと(君が僕にしたこと)が僕をどんな気持ちにしたと思う? 君は僕を利用したんだ! 君は僕を(今)愛してないし、過去にも僕を一度も愛したことはなかった」になるでしょう。
日本語訳からも想像できますが、何だか「悪いやつに騙されて、フラれようとしている人」(笑)的なセリフになっているのが面白さのポイントですね。
「あなたの仕打ちで、私がどんな気持ちになったと思ってるの? 私をいいように利用して! あなたは私を愛してないし、これまでだって一度も私を愛してくれたことなんてないのよ!」という感じの、「悪い男にだまされていたとわかって、怒り悲しんでいる女」みたいな雰囲気が出てしまっています。
落第しないために、先生が好きなふりをしていた学生に、「もう僕は騙されないぞ」と言いたいだけのはずなのに、ロスの方が未練がましく相手に怒っている、みたいな構図になっているのが面白いわけです。

そんな捨て台詞を残して、その場を去ろうとしたロスは、他の教授二人に今のセリフを聞かれていたと知って、愕然とします。
「ちょっと待ってて下さい、すぐにご一緒しますから」と同僚に言って、モース君の方を向き、Don't make this worse and I'll give you a "C." と言うのが面白いですね。
訳すと、「これをさらに悪くしないでくれ。そうすれば、君に「C」をあげるよ」ということ。
記事の前半で、grade の意味を紹介した時にも出てきましたが、
C (Fair, Average, Satisfactory 良)
ですね。
とりあえず不可ではない可(D)じゃなく、もう少し上の C をあげちゃうよ、と餌を見せて、「同僚の教授が見てる前で変なことを言って、さらに僕の立場を悪くしないでね、お願い」とこっそり頼んでいるわけですね。


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posted by Rach at 18:24| Comment(3) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月10日

わざわざ取りに来るほどには気にかけていない フレンズ7-18その5

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Days of Our Lives (愛の病院日誌)というソープオペラ(昼メロ)に出演中のジョーイは、ソーピー賞(Soapie)という賞にノミネートされ大喜び。
ですが、受賞を逃し、会場で不機嫌な顔をみんなに見せてしまいます。
同じドラマの共演者ジェシカが受賞した「最優秀助演女優賞」を彼女の代わりに受け取ったジョーイは、自分の用意してきたスピーチを話し始め、会場をドン引きにしてしまいました。
その後のシーン。
[Scene: Joey and Rachel's, Joey and Rachel are entering.]
ジョーイとレイチェルの家。ジョーイとレイチェルが入ってくる。
レイチェル: Joey! Why did we have to rush out of there so fast?! (ジョーイ! どうして私たちは、そんなに素早くあそこを急いで出てこないといけなかったの?)
ジョーイ: Rach, we had to get out of there because-- Look what I won! (He whips out the award for Best Supporting Actress that he accepted for Jessica.) (レイチェル、あそこから出ないといけなかったのは、それは…俺が勝ち取った[獲得した]ものを見ろよ! [ジョーイは、彼が(共演者の)ジェシカのために受け取った、最優秀助演女優賞(の盾)をサッと取り出す])
レイチェル: Oh, my God. You stole her award! (なんてこと! あなたは彼女の賞を盗んだの!)
ジョーイ: No-no! No, I'm accepting it on her behalf. (He puts it up above the TV to display it.) (違う、違うよ。俺は彼女の代わりにそれを受け取ってるんだよ。[ジョーイはその賞を飾るために、テレビの上に置く])
レイチェル: Joey, I don't think you know what "behalf" means. (ジョーイ、あなたが behalf の意味をわかってるとは思えないけど。)
ジョーイ: Sure I do! It's a verb! As in "I be half-in' it"! (もちろんわかってるさ! 動詞だよ! 「俺はそれを半分にしてる(半分こしてる)」みたいな。)
レイチェル: Joey, you have got to take this back! (ジョーイ、あなたはこれを返さないとだめよ!)
ジョーイ: But why?! I should've won one and I really want it and she didn't even care enough to come to the thing! It could also be a Grammy. (でも、どうして? 俺は賞を勝ち取るべきだったのに(ゲットできなかった)、それに俺は本当にそれが欲しいんだ。彼女はそれのために来るほどには賞のことを気にしてさえなかったんだよ! それにこれはグラミー賞にもなるかもしれないんだぜ。)
レイチェル: (looking at the award) No! Joey! ([その賞を見ながら] だめよ! ジョーイ!)

レイチェルは、授賞式の会場を慌てて出てきたジョーイに質問をぶつけています。
rush out は「急いで出る」という感覚ですね。
ジョーイは、「急いで出ないといけなかった理由はね…」と言った後、Look what I won! と言って、服の下に隠していたものをレイチェルに見せます。
ト書きにあるように、同じドラマの共演者ジェシカが受賞した「最優秀助演女優賞」の盾、ですね。
あなた、彼女の賞を盗んだの?と非難するレイチェルに、ジョーイは、I'm accepting it on her behalf. と言っています。
on someone's behalf は「〜に代わって、〜の代理として」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
behalf [noun] :
on somebody's behalf : instead of someone, or as their representative

つまり、「誰かの代わりに、または誰かの代理人として」。

代わりに受け取る、っていうのは、こんな風に自宅に持ち帰ることとは違うでしょ、ジョーイは「代わりに受け取る」って言う意味を勘違いしてるんじゃないの? 意味がわかってないんじゃないの?というように、レイチェルは、I don't think you know what "behalf" means. 「behalf という言葉が何を意味するかを、あなたがわかってるとは私には思えない。あなたはその意味をわかってないと思う」のように言っています。
それに対しての、Sure I do! は、Sure I know what "behalf" means. ということですね。「もちろん、意味はわかってるさ」という感じです。
その後、behalf は動詞(verb)で、as in 「〜にあるような」という表現を使って、"I be half-in' it"! みたいな意味で使ってるんだよ、と説明しています。

behalf は上のロングマンで紹介したように「名詞」ですが、ジョーイはそれを、be+
half-in' の形に分けることで、「動詞」だと言ってみせているようです。
DVDの英語字幕では、I be half-in' it と表記されていて、half-in' のように、in の後に、' (アポストロフィー)がついています。
これは、How you doin'? みたいに、ing の -g が省略される時につく「 ' 」 だと思われるので、強引に half を動詞化して、I'm halfing it. 「俺はそれを半分にしてる」のような意味で、I be half-in' it. と言ってみせたのかなぁ、と。
最初、I am half in it. 「俺もその中に半分入ってる」→「俺にもその賞をもらう権利が半分ある」という意味かな、とも思ったのですが、そうすると、-in' のように「ハイフンがついていること、省略を意味するアポストロフィーがついていること」の説明がつかないので、やはり、half-in' は、half を動詞として扱った -ing 形、ということなんだろうなぁ、と私は思いました。
もちろん、文法的に正しい言葉ではないですが、ジョーイが behalf という単語に half という言葉が含まれているのを利用して、「半分こ」的な意味に無理やりこじつけた、というジョークになっているのだと思います。

そんなジョーイの言い分を聞いても、レイチェルは、「これは彼女に返さないとだめよ」と説得します。
ジョーイは、「どうして返さないとだめなんだ?」と言って、その理由を説明していますね。
I should've won one の one は、an award 「賞、賞品」のことで、「俺は賞を勝ち取るべきだったのに(実際には勝ち取ることができなかった)」。
「俺が賞を取るべきだったのに取れなくて、俺はほんとにその賞が欲しかったんだ」と言った後、she didn't even care enough to come to the thing! と言っています。
the thing はこの賞の盾のことで、「この賞、この盾」のために来るほどには十分に、care してさえいなかった、と言っていることになります。
つまり、「わざわざこれをもらいに来るほど、この賞のことを気にかけていなかった、彼女にとってはわざわざ取りにくるほどのものでもなかった」ということですね。
盗んだみたいに言うけど、彼女がこの賞のことをどうでもいいと思ってるんだから、本当に欲しいと思ってる俺がもらっちゃってもいいじゃんか、みたいなことです。

It could also be a Grammy. は、「それ(この賞の盾)は、グラミー賞にもなりうる」という感覚。
これは、ジョーイがこっそりと受賞した時のスピーチの練習をしていたのをレイチェルが目撃した時に、「私だって、シャンプーのボトルでスピーチの練習してるわよ。グラミー賞の最優秀新人賞(Grammy. For Best New Artist.)の」と言ったことを踏まえてのものです。
「俺がこの盾を持ってたら、レイチェルも、グラミー賞の気分をもっとリアルに味わえるんだぜ」と言って、レイチェルを味方につけようとしているわけです。
そう言われて、一瞬、盾を見つめたレイチェルですが、やっぱり盗むのはいけないことよ、と我に返った様子で、No! Joey! と叫ぶことになります。
そんな風に、グラミー賞の話を持ち出され、一瞬、心が揺れ動いてしまうところが、レイチェルっぽくて面白いですね。


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posted by Rach at 16:07| Comment(0) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月07日

俺の指を引っ張って フレンズ7-18その4

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フィービーは、コーヒーハウスで知り合った男性ジェイクとラブラブ中。
ドアのところで二人はさよならを言っています。
フィービー: Bye! (Phoebe goes over and joins Monica on the couch.) We said goodbye at the door so as not to flaunt our new love. (バーイ! [フィービーはカウチに座っているモニカに合流する] 私たちはドアのところでさよならを言うのよ。私たちの新しい恋を見せびらかさないようにね。)
モニカ: Phoebe, it's okay. You don't have to tiptoe around me. I-I've been thinking about it and umm, y'know what? I'm okay about not having that new-relationship feeling.... (フィービー、いいのよ。私を避けて忍び足で歩かなくてもいいのよ。私はそのことについてずっと考えてたの。でね、新しい関係の気持ちを持たないことについて、構わないと思ってるの…)
ジェイク: (yelling through the window to Phoebe) I miss you already!! ([フィービーに向かって窓越しに] もう恋しくなっちゃった!)
フィービー: (yelling back) I miss you too!!!! (He walks away.) ([叫び返して] 私もあなたが恋しいわ! [ジェイクは歩いて去る])
モニカ: See? That's what I mean. I mean that, that's great! But I wouldn't trade in what I have for that. I mean I'm gonna be with Chandler for the rest of my life, and that's what makes me happy. (Chandler approaches.) Hey sweetie, come here! Come sit down. Hey, Phoebe and I were just talking about how our relationship's deep and meaningful. It really is, don't you think? (ね? それが私の言いたいことよ。つまり、今のは最高よ! でも、私が持っているものをそれとトレードしようとは思わないの。だって、私は残りの人生をチャンドラーと一緒にいるのよ、そしてそれは私を幸せにしてくれるの。[チャンドラーが近づいて来る] ねぇ、ハニー、こっちに来て! 来て座って。ねぇ、フィービーと私は話してたところなの、私たちの関係がどんなに深くてどんなに意味があるか、ってことを。本当にそうよね、思わない?)
チャンドラー: Oh, totally! (Holds up his finger.) Pull my finger. (あぁ、全くその通りだよ。[指を出して] 俺の指を引っ張って。)

知り合ったばかりの彼ジェイクとラブラブのフィービーは、ジェイクとさよならした後、モニカの横に来て、「私たちの新しい愛を flaunt しないように、ドアのところでさよならを言ったの」みたいに言っています。
flaunt は「見せびらかす、誇示する」。
モニカのそばでラブラブしてると、何か見せつけてるみたいになっちゃうから、わざと離れたところでさよならを言ってるのよ、ということです。
つまりは、モニカに遠慮してそうしてる、と言ったわけなので、モニカは、tiptoe around me する必要なんかないのよ、と言います。
tiptoe は「つま先」、動詞では「つま先で歩く」という意味になります。
英辞郎では、
tiptoe around=〜を避けてつま先で歩く
と出ていて、今回のセリフだと、me の周りを迂回するような形でつま先で・忍び足で歩く、というような感覚になるでしょう。
相手に気付かれないように、足音を忍ばせて歩く、ということですが、モニカはそんな風に私に気を遣ってこそこそしてくれなくてもいいわ、と言っているわけですね。
私はそのことについてずっと考えてたの、と言って、「新しい関係の気持ち」を持たないことはオッケーよ、みたいに言っています。
私はもう婚約してるから、フィービーとジェイクみたいに、新しい恋に落ちた時のときめきみたいな気持ちをもう持つことはないけれど、それでもオッケーなのよ、みたいなことですね。

「いいの、私は」と納得したような発言をしようとしているところに、ジェイクは窓越しに I miss you already! と叫んでいます。
I miss you. は「君がいなくて寂しく思う」という意味なので、今さっき、さよならを言ったばかりなのに、もう君が恋しくて寂しくなっちゃった、と窓の向こうで言っていることになります。
そうやって叫ぶジェイクに、フィービーも I miss you too! と叫び返していますね。
「恋に落ちたばかりの時のときめきを感じなくてももういいの」と言いかけた時に、まさにそういう超ラブラブの様子を見せつけられたみたいな形になってしまったわけです。

それでもモニカは、「やっぱり恋に落ちたばかりの頃っていいわよねぇ〜」みたいにうらやましがることなく、「今みたいな初期のラブラブは great よ。でも私はそれと引き替えに、私が今持っているものをトレードしたりはしないわ」と言います。
残りの人生をチャンドラーと一緒にいること、それが私を幸せにするの、とも言っていますね。
そして、隣にやってきたチャンドラーに、「私たちの関係がどれほど深くて意味があるかを、フィービーと話し合ってたところなの、本当に深くて意味がある、ってあなたも思うでしょ?」みたいに言って、チャンドラーも、Totally! 「全くその通りだよ」と完全同意します。

その後、チャンドラーは指を出して、Pull my finger. 「俺の指を引っ張って」と言い、観客の笑い声(ラフトラック)が起きています。
つまり、この Pull my finger. というセリフが、このシーンのオチになるわけですが…。
この部分、DVDの日本語字幕では「引くと屁(へ)が出る」と訳されていて、実際に、この英語のセリフはまさにそういう意味なのです。
意味が意味なので(笑)、手持ちの英英辞典には載っていなかったのですが、ウィキペディア英語版に載っていました。
Wikipedia 英語版: Pull my finger
その説明を以下に引用させていただきます。

Pull my finger is a joke or prank regarding flatulence in which a mark is asked to pull the finger of the joker, who simultaneously farts so as to suggest a causal relationship between the pulling of the finger and the subsequent expulsion of gas.

つまり、「”俺の指を引っ張って”は、flatulence (腹にガスがたまること)についてのジョークまたはいたずらで、そのジョークでは、(ジョークを仕掛けられる)標的(相手)がジョークを行う人の指を引っ張るよう求められ、その人は(指を引っ張られると)同時に、おならをする。指を引っ張ることと、それに続いておならを放出することの間の因果関係を示唆するために」。

何だか堅苦しい説明ですが(笑)、要は、指を引っ張られておならをする、ということで、おならをしても平気な仲なんだよ、ということがそのしぐさでわかるわけですが、このタイミングでこれを出してくるところが脚本的に絶妙ですね。
男性側からすると、「そういうみっともない部分も見せられる相手と一緒にいられる幸せ」というのがあって、それをこの Pull my finger. で示してみせたわけですが、今のモニカは、恋に落ちたばかりのラブラブのフィービーたちを見せつけられて、そういうときめきやドキドキはもう感じられないのかなぁ〜とちょっと残念に思ってる気持ちがあるわけですよね。
それでチャンドラーに、「私たちの愛も、深くて意味があるわよね」と言って、恋愛初期じゃなくても、ときめき度は負けてないわ、というところを見せたかったのに、チャンドラーが見せたものは「目の前でおならができちゃうような深い仲」という方向性だったので、余計にフィービーとの差が歴然としてしまい、口あんぐり、げんなりすることになってしまう…というオチになっているわけです。
男女の恋愛観の違いが出ている、実にフレンズらしい面白いオチだと思いました。


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posted by Rach at 16:14| Comment(6) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする