皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は9位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
ロスとの間の子供、エマを出産したことで、ロスとレイチェルの距離はぐっと縮まった様子。
ですが、同じ病院で同時期に赤ちゃんを出産したジャニスから、「相手の男性が他の人と家庭を持ったら、その人は離れていってしまうものよ」と言われ、レイチェルは動揺します。
そんな時、レイチェルの様子を見に、ジョーイが病室にやってきます。
ジャニスから聞いた話が頭を離れないレイチェルはそれにまつわる話をするのですが、ジャニスの話を知らないジョーイは、レイチェルの話が抽象的過ぎてわかりません。
レイチェル: I'm just saying that, y'know, someday Ross is gonna meet somebody and... he's gonna have his own life. Right? (私はただこう言ってるのよ、ほら、いつかロスが誰かと出会って、そしたら…彼は彼自身の人生を歩むことになるでしょ?)
ジョーイ: Yeah, I guess so. (あぁ、そうだろうね。)
レイチェル: I just never thought I would raise this baby all by myself. Pretty dumb, huh? (私はただ、私がたった一人でこの赤ちゃんを育てることになるなんて思いもしなかったの。(私って)かなりバカよね?)
ジョーイ: Hey, you listen to me, listen to me. You are never, ever gonna be alone. Okay? I promise I won't let that happen. (ねぇ、俺の話を聞いて、聞いてよ。君は絶対に一人になんかならない、わかった? 約束するよ、俺がそんなことさせない。)
レイチェル: Joey. Oh, sweetie, what would I do without you? (ジョーイ。あぁ、スウィーティー、あなたがいなかったら私はどうするの?[あなたがいないと私は何もできないわ])
(They hug.)
二人はハグする。
ジョーイ: You don't have to worry about that, okay? (そんなこと心配する必要はないんだよ、いいかい?)
(Pause) 間があって
レイチェル: Oh, honey, could you grab me my other box of tissues? They're right on that chair under Ross' coat. (あぁ、ハニー、私の別のティッシュの箱を取ってくれる? ロスのコートの下のその椅子のちょうど上にあるの。)
ジョーイ: Sure. (わかった。)
レイチェル: Okay. (ええ。)
(He moves Ross's coat to get the tissues and the engagement ring box Mrs. Geller gave him falls out of the pocket it was inside. Joey goes to one knee, picks up the box, opens it, and sees that it's an engagement ring.)
ジョーイはティッシュを取るためにロスのコートを動かす。すると、ロスのママがロスに渡した婚約指輪の箱が、それが入っていたポケットから落ちる。ジョーイは片膝で近づき、その箱を拾って、それを開ける。そして、それが婚約指輪であるのを見る。
ジョーイ: Oh, my God! (なんてこった。)
レイチェル: Joey? (ジョーイ?)
(He turns to face Rachel on one knee with the box open.)
ジョーイはレイチェルの方を向く、片膝をついて、その箱を開けた状態で。)
レイチェル: (seeing the ring) Oh, my God. (Pause) Okay. ([指輪を見ながら] なんてこと。[間があって] いいわ。)
(Joey is stunned.)
ジョーイは愕然とする。
[Cut to Ross getting off an elevator carrying a bouquet of flowers and walking down the hall to Rachel's room.]
ロスに画面がカット。ロスはブーケを持ちながら、エレベーターを降りている、そしてレイチェルの部屋に向かう廊下を歩いて行くところ。
[Fade to black.] フェードアウト
レイチェルは部屋に来たジョーイに、Ross is gonna meet somebody and... he's gonna have his own life. Right? と言っています。
ロスが誰かと出会って、彼自身の生活・人生を持つことになる、ということですから、いい人と出会って、その人と結婚して、その人と家庭を持つ、みたいなことですね。
今回エマという赤ちゃんが生まれたものの、ロスとレイチェルは結婚しないことを決めているので、二人は夫婦ではありません。
だから、ロスが他の誰かと結婚して家庭を持つ可能性もあるし、友達のジョーイもその可能性を否定していない、ということです。
I just never thought... を直訳すると、「私が全く・完全に一人で、この赤ちゃんを育てるだろうなんて、ただ全く思っていなかった」。
パパのロスがいる、と思っていたけれど、ロスは新しい家庭を持てば離れていくことになる、そんなこと想像もしてなかったわ、ということですね。
Pretty dumb, hun? の dumb は「バカな、間抜けな」。
pretty は形容詞 dumb にかかる副詞で、「かなり、ずいぶんと」という意味。
副詞の pretty は、pretty much 「ほとんど、だいたい」というフレーズでよく登場しますね。
「ロスが離れていく可能性を考えてもみなかったなんて、私ってかなりおバカよね、おバカだと思うでしょ?」みたいに、ちょっと自虐的に自分のことを言っていることになります。
ちなみに、この pretty dumb という表現は、過去のフレンズに出てきたこともあって、それがジョークとして使われていました。
過去記事、プリティ フレンズ3-4その27 で、ジョーイの演技を見た芝居の担当者の発言を、フィービーがジョーイに伝えているシーン。
フィービー: Um, the off-Broadway play people said that you were "pretty but dumb." (あぁ、オフ・ブロードウェイのお芝居の担当者たちは、ジョーイは「pretty だけど dumb だ(かわいいけど、おバカだ)」って言ってた。)
ジョーイ: Oh. (おぉ。)
フィービー: Oh no wait, I'm sorry. That's "pretty dumb." (あぁ、違う、待って。ごめんなさい。今のは、"pretty dumb"(かなりバカ)だった。)
「プリティ」という言葉は「かわいい」という意味ですっかり日本語化していて、「プリチー」とか言ったりもしますが(「妖怪ウォッチ」にも「プリチー族」という「かわいい妖怪」がいるそうです)、そんな風に pretty=かわいい、という連想がすぐに働く日本人だと、副詞の pretty である可能性が思い浮かばないかもしれないですよね。
上のフレンズ3-4 のセリフは、「pretty dumb だった」というのがオチになっていますが、日本人だったらそのオチを聞いてもまだ、「pretty but dumb」的なニュアンスで受け取ってしまいそうな気がする、という意味で、興味深いセリフだと思います。
「私ってバカよね」というレイチェルに、ジョーイは「ねぇ、聞いて」と言いながら、レイチェルの手を両手で握り、さすりながら、レイチェルの顔をじっと見て、「君は絶対に絶対に一人になんかならないよ」と言います。
never ever は「絶対に〜ない、何があっても〜ない」という、never をさらに強調したニュアンス。
I promise I won't let that happen. を直訳すると、「俺がそんなことが起こらないようにするって約束する」。
そんなこと、つまり、「レイチェルが一人になるようなこと、俺がそんなことさせない、そんなの俺が許さない」ということですね。
レイチェルのセリフ、what would I do without you? について。
これについては、英辞郎に、
What would I do without you?=あなたがいなくては何もできません。
と出ていましたが、まさにそういうニュアンスでしょうね。
直訳すると、「もしあなたがいなかったら、私は何をするだろう?」になるでしょうか。
「あなたがいなかったら、私はどうすればいいかわからない、何もできないわ」と表現していることになるでしょう。
二人はハグをして、ジョーイは「レイチェルはそんなこと(一人になるかもしれないなんて)心配しなくていいんだよ」と言い、レイチェルをしっかりハグして、髪の毛にキスしてあげています。
涙を拭こうと、レイチェルはジョーイに、ティッシュの箱を取ってくれる?と頼んでいます。
「〜を取ってくれる?」と言う場合、Could you get me 〜? のように get を使うこともありますが、今回は grab が使われています。
grab の基本語義は「〜をひっつかむ」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
grab : to take hold of someone or something with a sudden or violent movement (SYN: snatch, seize)
つまり、「誰かや何かをつかむ、突然の、または乱暴な動きで」。
「取る」という意味の get をラフに言った感じになりますね。
They're right on that chair under Ross' coat. を直訳すると、「ティッシュの箱(複数)は、ロスのコートの下の、その椅子のちょうど上にある」。
レイチェルの説明通り、ジョーイはロスのコートの下にあるティッシュを取ろうとするのですが、ト書きにあるように、ロスのママが「これをレイチェルに渡しなさい」と言って手渡した婚約指輪の箱が、その箱が入っていたコートのポケットから落ちます。
ロスのママがロスに指輪を渡したシーンは、先に電話してくれたら良かったのに フレンズ8-23その1 に出てきました。
ト書きでその後の様子も詳しく説明されていますね。
「ジョーイは片膝で歩んで、その箱を拾い、開け、それが婚約指輪だと知る・わかる」がト書きで説明されている内容になります。
ジョーイはロスのポケットに婚約指輪の箱が入っていたという事実に驚き、Oh, my God. と言います。
その言葉に反応したレイチェルは、「どうしたの、ジョーイ?」というようにジョーイの名前を呼んだので、ジョーイはレイチェルの方を振り向くのですが、指輪の箱が開いた状態で、片膝ついた状態のまま、レイチェルの顔を見たので、レイチェルはそのジョーイの姿を見て、「ジョーイが指輪を持って、片膝ついて、私に今プロポーズしようとしている」と「勘違い」してしまった、というシーンになっているわけです。
海外ドラマや洋画ではおなじみのシーンですが、男性が女性にプロポーズする時は、「指輪を見せて、片膝ついて」というのがお決まりポーズで、そのポーズのままレイチェルを振り向いてしまったので、レイチェルには「プロポーズ」にしか見えなかったのも無理はない、という流れです。
少し前に、「レイチェルは絶対に一人になんかならない。俺がそんなことさせない」みたいに優しくハグしてくれた、ということもあって、流れ的にも全く違和感がないことも、レイチェルが完全に誤解してしまうことに一役買っているわけでしょう。
指輪を見せながら片膝ついた状態で自分を見つめているジョーイを見て、レイチェルは、Oh, my God. と言った後、Okay. と言っています。
英会話で、Okay. というのは、実にいろんなニュアンスで使われますが、この場合はやはり、日本語の「オッケー」というニュアンスの、「いいわ。あなたのプロポーズを受けるわ」ということになります。
ト書きには、Joey is stunned. 「ジョーイは愕然とする」と説明されていますが、もう少し細かい描写をすると、Okay. とレイチェルに言われたジョーイは、もう一度、自分が手に持っている指輪を見て、それから目を大きくかっ開いて、ものすごく驚いた顔をする、という感じになっています。
レイチェルに、Okay. と言われてから、改めて自分の姿を客観的に見て、「手には指輪、片膝ついてる。レイチェルは俺がプロポーズしたと誤解した」ということに気づいた、驚きの顔ですね。
ジョーイは、何かに気づくのがいつも人より遅く(笑)、そういう時には、こういう「目をかっ開く」驚きの表情をよく見せ、それに思わず笑ってしまうのですが、今回は、緊迫した展開になっているので、そのいつもの顔に「笑ってしまう」感じにはなりませんね。
「レイチェルがオッケーって言った?!」と思っていると、今度は画面がロスにカットします。
そして、そのロスは、手にブーケを持って、エレベーターを降り、レイチェルの部屋に向かうところで、画面はフェードアウトすることになります。
この後、DVDでは、おまけのように(笑)、JANITORIAL(清掃用具室)で、子作りのためにエッチした後のチャンドラーとモニカのシーンが入っています。
レイチェルを巡って、ロスとジョーイはどうなるの?!というシーンで終わってしまうと、息が詰まりそうなので、最後にちょっと笑える、のどかなシーンを入れて「緩和」した感じでしょう。
レイチェル、ロス、ジョーイがどうなるかの話は、次のシーズン9へと続きます。
、、、ということで、今回の記事でシーズン8は終了し、次回の記事からシーズン9を始めます。
ブログを続けている時に、私が最も意識する「区切り」は、「ブログ何周年」に当たる記事と、「シーズンを終えて、次のシーズンに進む時」です。
こうして無事、そして楽しく、シーズン8を終えることができたこと、本当に嬉しく思っています。
楽しく続けることができたのは、記事を読み、コメントを下さり、ブログを応援して下さった皆様方のお蔭です。
心より感謝申し上げます。ありがとうございました!
「フレンズ」のファイナルシーズンはシーズン10です。
「ファイナルに到達することなんて無理だろう」と思いながら「とりあえず行けるところまで行こう」と続けてきたブログですが、だんだんファイナルシーズンに近づいてくると、どうしても意識してしまいますね^^
フレンズたちの人生がどんどん変化していくのを見守りながら、シーズン9も楽しく面白く、フレンズ解説を続けていきたいと思います。
どうかシーズン9でも、よろしくお願いいたします!(^^)
シーズン9も頑張れ!と応援して下さる方は、以下のランキングをクリックしていただけると嬉しいです。
2014年12月01日
2014年11月27日
壊すか望んでいた全てを手に入れるか フレンズ8-24その5
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は6位、「にほんブログ村」は10位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
名前が決まっていなかったレイチェルの赤ちゃんですが、名前はエマに決まりました。
元々、エマという名前は、モニカが自分の赤ちゃんに付けようと思って考えていた名前だったのですが、レイチェルがそれを気に入ったため、モニカはその名前をレイチェルの赤ちゃんにあげることになったのでした。
[Scene: Outside the Nursery, Ross is looking at Emma as Phoebe walks up.]
育児室の外。ロスはエマを見ている、そこにフィービーが歩いて近づいてくる。
フィービー: She in there? (彼女(エマ)はそこにいる?)
ロス: Yeah. She's putting her down now. That's her. (Points to the nurse putting Emma now.) (あぁ、あの人がエマを今、(ベッドに)寝かそうとしているところだ。あれがエマだよ。[今エマを置いている看護師を指さす])
フィービー: Oh! (あぁ!)
ロス: Look at Emma! (エマを見て!)
フィービー: I just can't decide who she looks more alike, you or Rachel? (あなたとレイチェルのどっちに似てるかわからないわ。)
ロス: Oh, what, are you kidding? She's gorgeous! It's all Rachel. (何だって? 冗談だろ? エマはすっごく美しい! 全部レイチェルだ。)
(Pause) (間があって)
フィービー: I'm sorry. For the last time, why aren't you two together again? (Silence from Ross.) No, I know. I know. Because you're not in that place. Which would be fine, except you totally are. (ごめんなさい。これで(尋ねるのは)最後にするけど、どうしてあなたたち二人はまたよりを戻さないの? [ロスから沈黙が流れる] いいえ、わかってるわ、わかってる。その理由は、あなたがその場所にいないから[彼女とそういう関係じゃないから]。それはいいと思うわ、あなたがまったくその状態であることを除いてはね。)
ロス: It's... it's complicated, okay? (複雑なんだよ、わかるだろ?)
フィービー: Yeah that's true. Yeah, you love her. You always have. You have a child together. There is no right answer. (ええ、それは事実ね。そうよ、あなたは彼女(レイチェル)を愛してる。ずっとそうだった。一緒に子供も持った。正しい答えなんかない。)
ロス: Look, we've been together. Okay? And then apart, and then together, and then apart, and now we have a baby. (Pause) It's just if-if we got together again and it didn't work out? I could never do that to Emma. I mean, she-she came into this world thinking everything-- (Starts to cry.) Oh that's... now me. What, do they put something in the water in this place? Since Rachel and I, we're doing, we're doing really well right now. (ねぇ、僕たち(僕とレイチェル)はずっと一緒にいた。だろ? そしてその後、別れて、またよりを戻して、それから別れて、そして今、僕たちには子供がいる。[間] もし僕たちがまたよりを戻して、うまくいかなかったら? 僕はエマにそんなことはできないよ。だって、エマはこの世界にやってきたんだ、全てが(…だと)思いながら… [泣き始める] あぁ、今のは…今度は僕だ。ここ(この病院)では、水の中に何か入れてる(混ぜてる)の? だって僕たちは今、すごくいい感じでやってる[いい関係でいられてる]んだから。)
フィービー: I know. I know. I know. I know, and if you try to make it more, you might wreck it. (わかる、わかる、わかる、わかるわ。そしてもしあなたがさらに何かをしようと思うと、それを壊しちゃうかもしれないのね。)
ロス: Yeah, exactly. (そうだよ、その通りだ。)
フィービー: Right. (Pause) Or you might get everything you've wanted since you were 15. (そうね。[間] もしくはあなたが15歳からずっと欲しいと望んでいた全てが手に入るかもしれないのよ。)
育児室の中にいるエマを、ロスとフィービーが見ています。
I just can't decide who she looks more alike, you or Rachel? を直訳すると、「私はただ、エマがよりどちらに似ているかを決めることができない。あなたかレイチェルか(のどちらかということを)」みたいになるでしょう。
パパとママ、どっちに似てるかしらね、私にはどっちとも言えない、決めかねるわ、というところです。
それを聞いたロスは、「何だって? 冗談だろ?」と驚きの声を上げ、She's gorgeous! It's all Rachel. と言っています。
gorgeous は日本語にもなっている「ゴージャス」で、「(人・ものが)素晴らしい、素敵な」という意味があります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
gorgeous : (informal) extremely beautiful or attractive
例) Liz is absolutely gorgeous.
つまり、「(インフォーマル) 非常に美しい、または魅力的」。例文は「リズはものすごく美しくて魅力的だ」。
It's all Rachel. の all は「全部、何もかも、まったく、すっかり」のような感覚でしょう。
She's all Rachel. ではなく、It's all Rachel. となっているのは、エマのことを gorgeous だと言った、その「ゴージャスさがレイチェルそのものって感じ」だと言っているように思います。
どっちに似てるかなんて決まってるだろ。あんなに素敵で、レイチェルの素晴らしさを全部受け継いだって感じじゃないか、とロスは興奮気味に話していることになります。
そのように言うロスを、フィービーは嬉しそうな顔で見ています。
少し間があってから、フィービーは「ごめんね、これで最後にするけど、質問していい?」みたいな感じで、「どうして二人はよりを戻さないの? また一緒にならないの?」と尋ねています。
for the last time は、for the first time と反対の意味ですね。
for the first time は「初めて」で、for the last time は「これを最後・終わりにして」というニュアンスになります。
フレンズたちがロスに、これまで何度も「どうして二人はよりを戻さないの?」と聞いていたので、もうこの質問をされるのもうんざりだろうけど、最後にもう一度、ちゃんと理由を聞かせてほしい、という気持ちでフィービーが質問したことになります。
ロスはそれに答えることなく沈黙しているので、フィービーはロスの言いたいことを汲む形で、Because you're not in that place. 以下のセリフを言っています。
you're not in that place. は「ロスはその場所にはいない」、つまり、ロスとレイチェルは今、そういう関係ではない、みたいに言っていることになるでしょう。
その後の Which would be fine, except you totally are. というのが表現的にとても面白いですね。
which は前の文を受けたもので、「ロスがその場所にいない、ロスとレイチェルがそういう関係ではないということ」を指します。
Which would be fine は「そういう関係じゃないっていうのなら、それはそれでいいのよ」というところですね。
except you totally are の except は「ただし(except 以下の内容)を除いては」という感覚になります。
are は、are in that place ということで、「あなたが全く(完全に)その場所にいるということ(事実)を除いてはね」とフィービーは言っていることになるわけです。
つまり、「僕たちはそういう関係じゃないんだ、っていうならそれでいいわ、ただしあなたたちが完全にそういう関係にいるなら話は別だけど(fine じゃないけど)」と言っていることになります。
「よりを戻すような関係にないんだ、ってロスはいまだに言い続けていて、実際によりを戻すような状態にないのならそれで問題ないけど、実際にはよりを戻してもいい、戻すべき状態にもう完全になってるんじゃないの?」とフィービーは言いたいわけです。
「A じゃないって言うんなら、それでいい。A であるという状態を除いてはね」と表現することで、先に言ったことをひっくり返す感覚、except を付け足しの形で付けることで、実際の現状は「A である」ということを強調した形になります。
この except のパターンは、加入ではなく共同設立 フレンズ8-9その5 に出てきた以下のやりとりと全く同じ流れですね。
ロス: But if you think about it, the "I Hate Rachel Club" was really the "I Love Rachel" Club. (でも考えてみたら、「レイチェル大嫌いクラブ[レイチェルを憎んでるクラブ]」は本当は「レイチェル大好きクラブ[レイチェルを愛してるクラブ])だったんだよ。)
ウィル: Uh, except that it was really the "I Hate Rachel Club." (あー、それが本当に「レイチェル大嫌いクラブ」であったということを除いてはね。)
フィービーに「もうよりを戻してもいい関係にあると思う」と言われたロスは、「複雑なんだよ、わかるだろ?」と返します。
フィービーは「それは事実ね」と言った後、Yeah, you love her. 以下のセリフを続けます。
You always have. は、You always have loved her. [You have always loved her.] という現在完了形が省略された形です。
そのフィービーのセリフは、「ロスはレイチェルを愛してる。(今に至るまで)ずっと彼女を愛してる。ロスはレイチェルとの間に子供がいる」になりますね。
そういう事実を挙げて、最後に「正しい答えはない」と締めくくっています。
「正しい答えはない」と言葉では言っていますが、フィービーの言いたいことは、「ロスはレイチェルをずっと愛していて、こうして二人の子供もできた。それでよりを戻すことは正しい答えにはならないの? こんな状況でもまだ、正しい答えはないって言うの?」ということですね。
「愛し合っていて、子供もいるのなら、よりを戻すのが自然で正しい答えでしょ」とフィービーは言いたいわけです。
それに対してロスは、これまでの二人の関係について語ります。
together と apart という単語を何度も使って、「くっつく&離れる(よりを戻す&別れる)」を繰り返してきたことを言った後、「もし二人がよりを戻して、それがうまくいかなかったとしたら?」と言っています。
そんなこと、つまり、「二人がうまくいかなくなる」ということは、決してエマに対してすることができない、というのは、エマにとってのパパとママが大ゲンカして別れるということがあってはならない、という意味ですね。
she came into this world thinking everything-- と言った後、ロスは泣き出して言葉に詰まっていますが、「全てのことはうまく行く、幸せに進む」みたいな希望を持って赤ちゃんは生まれてきたはずだ、というようなことがロスは言いたかったのでしょう。
Oh that's... now me. What, do they put something in the water in this place? について。
now me は「今度は僕だ」というニュアンスですね。
フレンズたちが出産後のレイチェルに会いに来た時に、レイチェルはすっかり涙もろくなってしまっていて、何かにつけて泣いては、
レイチェル: Oh, nothing I... Sorry, I just can't stop crying. (あぁ、なんでもないの。ごめんなさい。ただ涙が止まらないのよ。)
と言っていました。
ロスはそれを受けて、フィービーに語りながら泣いてしまった自分を「レイチェルに続いて、今度は僕だ」と言ったのですね。
What, do they put something in the water in this place? を直訳すると、「何? この場所では、彼らは水に何かを入れてるの?」ということになります。
レイチェルが泣き、今度は自分が泣いてしまっているのを、「この病院で飲んだ水に、泣き薬(?)でも混ぜてあったんじゃないの?」と言っている感覚ですね。
そういうことを語りながら、思わず泣いてしまった照れ隠しに、「この病院の水には、人を泣かせる成分が混ぜてあるんじゃないか?」と言ったことになります。
その後、僕たちは今、すごくいい状態でやっている(we're doing really well)だと説明していますね。
ロスに言わせると、「くっついたら、また別れてしまうかもしれない。そうやって別れてエマを悲しませるよりも、良好な今の関係を続けていた方がエマのためだ」ということです。
フィービーは「わかるわ」というように、ロスの背中を優しくさすっています。
wreck は「破壊する、破滅させる、つぶす」なので、「より何かをやろうと(なそうと)したら、それを壊してしまうかもしれない」とあなたは思ってるのね、とフィービーは言っていることになります。
ロスが「その通りなんだ」と言った後、フィービーは「そうね」と言いながら、Or 「もしくは、または」と別の可能性を述べています。
直訳すると、「あなたが15歳からずっと欲しいと望んできた全てを手に入れるかもしれない」。
ロスは、今の関係を進めて、よりを戻すことで、「別れ」という最悪の事態を招くかもしれないと懸念していて、フィービーもそのことを理解しているわけですが、関係を進めることで、別のこういう可能性もあるかもしれない、と or 以下の内容を言っていることになります。
ロスが学生時代からずっとレイチェルに片想いしていたことを知っているフィービーは、「あなたが一歩踏み出すことで、15歳から望んでいたことの全てが手に入るかもしれない」、つまり、「ずっと大好きだったレイチェルと結婚して、子供のいる家庭を持つことができるかもしれない」と言っているわけですね。
「別れてしまうかもしれない」ことを恐れて、欲しいものが全部手に入るかもしれない可能性をあきらめてしまうの?とフィービーは言いたいわけです。
この後、BGMが流れ、別のシーンに切り替わることになります。
ロスの背中を押そうとするフィービーの気持ちと、「また別れてしまうことになるかもしれない」という恐れから逃れられないロスの気持ち、それらを英語のセリフでじっくり味わっていただけたらと思います。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
名前が決まっていなかったレイチェルの赤ちゃんですが、名前はエマに決まりました。
元々、エマという名前は、モニカが自分の赤ちゃんに付けようと思って考えていた名前だったのですが、レイチェルがそれを気に入ったため、モニカはその名前をレイチェルの赤ちゃんにあげることになったのでした。
[Scene: Outside the Nursery, Ross is looking at Emma as Phoebe walks up.]
育児室の外。ロスはエマを見ている、そこにフィービーが歩いて近づいてくる。
フィービー: She in there? (彼女(エマ)はそこにいる?)
ロス: Yeah. She's putting her down now. That's her. (Points to the nurse putting Emma now.) (あぁ、あの人がエマを今、(ベッドに)寝かそうとしているところだ。あれがエマだよ。[今エマを置いている看護師を指さす])
フィービー: Oh! (あぁ!)
ロス: Look at Emma! (エマを見て!)
フィービー: I just can't decide who she looks more alike, you or Rachel? (あなたとレイチェルのどっちに似てるかわからないわ。)
ロス: Oh, what, are you kidding? She's gorgeous! It's all Rachel. (何だって? 冗談だろ? エマはすっごく美しい! 全部レイチェルだ。)
(Pause) (間があって)
フィービー: I'm sorry. For the last time, why aren't you two together again? (Silence from Ross.) No, I know. I know. Because you're not in that place. Which would be fine, except you totally are. (ごめんなさい。これで(尋ねるのは)最後にするけど、どうしてあなたたち二人はまたよりを戻さないの? [ロスから沈黙が流れる] いいえ、わかってるわ、わかってる。その理由は、あなたがその場所にいないから[彼女とそういう関係じゃないから]。それはいいと思うわ、あなたがまったくその状態であることを除いてはね。)
ロス: It's... it's complicated, okay? (複雑なんだよ、わかるだろ?)
フィービー: Yeah that's true. Yeah, you love her. You always have. You have a child together. There is no right answer. (ええ、それは事実ね。そうよ、あなたは彼女(レイチェル)を愛してる。ずっとそうだった。一緒に子供も持った。正しい答えなんかない。)
ロス: Look, we've been together. Okay? And then apart, and then together, and then apart, and now we have a baby. (Pause) It's just if-if we got together again and it didn't work out? I could never do that to Emma. I mean, she-she came into this world thinking everything-- (Starts to cry.) Oh that's... now me. What, do they put something in the water in this place? Since Rachel and I, we're doing, we're doing really well right now. (ねぇ、僕たち(僕とレイチェル)はずっと一緒にいた。だろ? そしてその後、別れて、またよりを戻して、それから別れて、そして今、僕たちには子供がいる。[間] もし僕たちがまたよりを戻して、うまくいかなかったら? 僕はエマにそんなことはできないよ。だって、エマはこの世界にやってきたんだ、全てが(…だと)思いながら… [泣き始める] あぁ、今のは…今度は僕だ。ここ(この病院)では、水の中に何か入れてる(混ぜてる)の? だって僕たちは今、すごくいい感じでやってる[いい関係でいられてる]んだから。)
フィービー: I know. I know. I know. I know, and if you try to make it more, you might wreck it. (わかる、わかる、わかる、わかるわ。そしてもしあなたがさらに何かをしようと思うと、それを壊しちゃうかもしれないのね。)
ロス: Yeah, exactly. (そうだよ、その通りだ。)
フィービー: Right. (Pause) Or you might get everything you've wanted since you were 15. (そうね。[間] もしくはあなたが15歳からずっと欲しいと望んでいた全てが手に入るかもしれないのよ。)
育児室の中にいるエマを、ロスとフィービーが見ています。
I just can't decide who she looks more alike, you or Rachel? を直訳すると、「私はただ、エマがよりどちらに似ているかを決めることができない。あなたかレイチェルか(のどちらかということを)」みたいになるでしょう。
パパとママ、どっちに似てるかしらね、私にはどっちとも言えない、決めかねるわ、というところです。
それを聞いたロスは、「何だって? 冗談だろ?」と驚きの声を上げ、She's gorgeous! It's all Rachel. と言っています。
gorgeous は日本語にもなっている「ゴージャス」で、「(人・ものが)素晴らしい、素敵な」という意味があります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
gorgeous : (informal) extremely beautiful or attractive
例) Liz is absolutely gorgeous.
つまり、「(インフォーマル) 非常に美しい、または魅力的」。例文は「リズはものすごく美しくて魅力的だ」。
It's all Rachel. の all は「全部、何もかも、まったく、すっかり」のような感覚でしょう。
She's all Rachel. ではなく、It's all Rachel. となっているのは、エマのことを gorgeous だと言った、その「ゴージャスさがレイチェルそのものって感じ」だと言っているように思います。
どっちに似てるかなんて決まってるだろ。あんなに素敵で、レイチェルの素晴らしさを全部受け継いだって感じじゃないか、とロスは興奮気味に話していることになります。
そのように言うロスを、フィービーは嬉しそうな顔で見ています。
少し間があってから、フィービーは「ごめんね、これで最後にするけど、質問していい?」みたいな感じで、「どうして二人はよりを戻さないの? また一緒にならないの?」と尋ねています。
for the last time は、for the first time と反対の意味ですね。
for the first time は「初めて」で、for the last time は「これを最後・終わりにして」というニュアンスになります。
フレンズたちがロスに、これまで何度も「どうして二人はよりを戻さないの?」と聞いていたので、もうこの質問をされるのもうんざりだろうけど、最後にもう一度、ちゃんと理由を聞かせてほしい、という気持ちでフィービーが質問したことになります。
ロスはそれに答えることなく沈黙しているので、フィービーはロスの言いたいことを汲む形で、Because you're not in that place. 以下のセリフを言っています。
you're not in that place. は「ロスはその場所にはいない」、つまり、ロスとレイチェルは今、そういう関係ではない、みたいに言っていることになるでしょう。
その後の Which would be fine, except you totally are. というのが表現的にとても面白いですね。
which は前の文を受けたもので、「ロスがその場所にいない、ロスとレイチェルがそういう関係ではないということ」を指します。
Which would be fine は「そういう関係じゃないっていうのなら、それはそれでいいのよ」というところですね。
except you totally are の except は「ただし(except 以下の内容)を除いては」という感覚になります。
are は、are in that place ということで、「あなたが全く(完全に)その場所にいるということ(事実)を除いてはね」とフィービーは言っていることになるわけです。
つまり、「僕たちはそういう関係じゃないんだ、っていうならそれでいいわ、ただしあなたたちが完全にそういう関係にいるなら話は別だけど(fine じゃないけど)」と言っていることになります。
「よりを戻すような関係にないんだ、ってロスはいまだに言い続けていて、実際によりを戻すような状態にないのならそれで問題ないけど、実際にはよりを戻してもいい、戻すべき状態にもう完全になってるんじゃないの?」とフィービーは言いたいわけです。
「A じゃないって言うんなら、それでいい。A であるという状態を除いてはね」と表現することで、先に言ったことをひっくり返す感覚、except を付け足しの形で付けることで、実際の現状は「A である」ということを強調した形になります。
この except のパターンは、加入ではなく共同設立 フレンズ8-9その5 に出てきた以下のやりとりと全く同じ流れですね。
ロス: But if you think about it, the "I Hate Rachel Club" was really the "I Love Rachel" Club. (でも考えてみたら、「レイチェル大嫌いクラブ[レイチェルを憎んでるクラブ]」は本当は「レイチェル大好きクラブ[レイチェルを愛してるクラブ])だったんだよ。)
ウィル: Uh, except that it was really the "I Hate Rachel Club." (あー、それが本当に「レイチェル大嫌いクラブ」であったということを除いてはね。)
フィービーに「もうよりを戻してもいい関係にあると思う」と言われたロスは、「複雑なんだよ、わかるだろ?」と返します。
フィービーは「それは事実ね」と言った後、Yeah, you love her. 以下のセリフを続けます。
You always have. は、You always have loved her. [You have always loved her.] という現在完了形が省略された形です。
そのフィービーのセリフは、「ロスはレイチェルを愛してる。(今に至るまで)ずっと彼女を愛してる。ロスはレイチェルとの間に子供がいる」になりますね。
そういう事実を挙げて、最後に「正しい答えはない」と締めくくっています。
「正しい答えはない」と言葉では言っていますが、フィービーの言いたいことは、「ロスはレイチェルをずっと愛していて、こうして二人の子供もできた。それでよりを戻すことは正しい答えにはならないの? こんな状況でもまだ、正しい答えはないって言うの?」ということですね。
「愛し合っていて、子供もいるのなら、よりを戻すのが自然で正しい答えでしょ」とフィービーは言いたいわけです。
それに対してロスは、これまでの二人の関係について語ります。
together と apart という単語を何度も使って、「くっつく&離れる(よりを戻す&別れる)」を繰り返してきたことを言った後、「もし二人がよりを戻して、それがうまくいかなかったとしたら?」と言っています。
そんなこと、つまり、「二人がうまくいかなくなる」ということは、決してエマに対してすることができない、というのは、エマにとってのパパとママが大ゲンカして別れるということがあってはならない、という意味ですね。
she came into this world thinking everything-- と言った後、ロスは泣き出して言葉に詰まっていますが、「全てのことはうまく行く、幸せに進む」みたいな希望を持って赤ちゃんは生まれてきたはずだ、というようなことがロスは言いたかったのでしょう。
Oh that's... now me. What, do they put something in the water in this place? について。
now me は「今度は僕だ」というニュアンスですね。
フレンズたちが出産後のレイチェルに会いに来た時に、レイチェルはすっかり涙もろくなってしまっていて、何かにつけて泣いては、
レイチェル: Oh, nothing I... Sorry, I just can't stop crying. (あぁ、なんでもないの。ごめんなさい。ただ涙が止まらないのよ。)
と言っていました。
ロスはそれを受けて、フィービーに語りながら泣いてしまった自分を「レイチェルに続いて、今度は僕だ」と言ったのですね。
What, do they put something in the water in this place? を直訳すると、「何? この場所では、彼らは水に何かを入れてるの?」ということになります。
レイチェルが泣き、今度は自分が泣いてしまっているのを、「この病院で飲んだ水に、泣き薬(?)でも混ぜてあったんじゃないの?」と言っている感覚ですね。
そういうことを語りながら、思わず泣いてしまった照れ隠しに、「この病院の水には、人を泣かせる成分が混ぜてあるんじゃないか?」と言ったことになります。
その後、僕たちは今、すごくいい状態でやっている(we're doing really well)だと説明していますね。
ロスに言わせると、「くっついたら、また別れてしまうかもしれない。そうやって別れてエマを悲しませるよりも、良好な今の関係を続けていた方がエマのためだ」ということです。
フィービーは「わかるわ」というように、ロスの背中を優しくさすっています。
wreck は「破壊する、破滅させる、つぶす」なので、「より何かをやろうと(なそうと)したら、それを壊してしまうかもしれない」とあなたは思ってるのね、とフィービーは言っていることになります。
ロスが「その通りなんだ」と言った後、フィービーは「そうね」と言いながら、Or 「もしくは、または」と別の可能性を述べています。
直訳すると、「あなたが15歳からずっと欲しいと望んできた全てを手に入れるかもしれない」。
ロスは、今の関係を進めて、よりを戻すことで、「別れ」という最悪の事態を招くかもしれないと懸念していて、フィービーもそのことを理解しているわけですが、関係を進めることで、別のこういう可能性もあるかもしれない、と or 以下の内容を言っていることになります。
ロスが学生時代からずっとレイチェルに片想いしていたことを知っているフィービーは、「あなたが一歩踏み出すことで、15歳から望んでいたことの全てが手に入るかもしれない」、つまり、「ずっと大好きだったレイチェルと結婚して、子供のいる家庭を持つことができるかもしれない」と言っているわけですね。
「別れてしまうかもしれない」ことを恐れて、欲しいものが全部手に入るかもしれない可能性をあきらめてしまうの?とフィービーは言いたいわけです。
この後、BGMが流れ、別のシーンに切り替わることになります。
ロスの背中を押そうとするフィービーの気持ちと、「また別れてしまうことになるかもしれない」という恐れから逃れられないロスの気持ち、それらを英語のセリフでじっくり味わっていただけたらと思います。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2014年11月25日
これがどんなに痛いか君にはわからない フレンズ8-24その4
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は6位、「にほんブログ村」は9位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
次々と別の妊婦さんに抜かされてしまったレイチェルでしたが、とうとう子宮口が10cmになり、分娩室に来ました。
レイチェルの出産を、担当医のロング先生と、ロスが見守っています。
ロス: No! Come on, let's go. One more time! One final push! Ready? 1... 2... 3! (Rachel pushes so hard her head snaps up head-butting Ross and knocking him down.) (だめだよ! ほら、行こう。もう一度だ! 最後にいきむんだよ。いいかい? 1、2、3! [レイチェルは思い切りいきんで、レイチェルの頭が勢いよく動き、ロスを頭突きして、ロスが倒れる])
ロング先生: Good! (いいわよ!)
ロス: (from the floor) Keep pushing! ([(倒れた)床から] いきみ続けて!)
レイチェル: Are you okay? (大丈夫?)
ロス: You have no idea how much this hurts. (All of the women in the room turn and glare at him.) Keep going! Keep going! (これがどんなに痛いか、君にはわからないだろうね。[その部屋にいる女性は全員、振り向いてロスをにらむ] 続けて。続けて。)
ロング先生: Here we go! (いくわよ!)
ロス: Oh! Oh! She's upside down, but she's coming! She's coming! (あぁ、この子は逆さまになってる、でも出てきてるよ、出てきてるよ!)
レイチェル: Oh God! (ああ!)
ロス: Oh! Oh, my God oh! Oh, my God, she's here. (あぁ、なんてことだ! なんてことだ! 彼女が(今)ここにいる。)
(The newest friend cries.)
最も新しいフレンドが泣く。
ロス: Oh she's... she's perfect. (彼女は…彼女は完璧だ。)
レイチェル: Oh, wow! Oh, she's so tiny. (Starts crying) Where'd she go? (あぁ、まあ! あぁ、すっごくちっちゃいわ。[泣き始める] 彼女はどこに行くの?)
ロス: Oh it's okay. They're just-they're just wrapping her up. (あぁ、大丈夫だよ。ただ彼女をくるむだけだから。)
レイチェル: Okay. Well, be careful with her, she's really tiny. (いいわ、でも彼女に気を付けてね、彼女はほんとにちっちゃいのよ。)
ロング先生: Here she is! (ほら、彼女よ。)
(Dr. Long hands her to Rachel.)
ロング先生は、赤ちゃんをレイチェルに手渡す。
レイチェル: Oh hey you. Thanks for coming out of me. (The baby cries.) I know. Oh. Yeah. Oh, she's looking at me. Hi! I know you. (あぁ、あなた。私から出てきてくれてありがとう。[赤ちゃんが泣く] わかってるわ。あぁ、彼女が私を見てる。はーい。私はあなたを知ってるわよ。)
ロング先生: Do we have a name yet? (もう名前はあるの?)
レイチェル: No, not yet. (いいえ、まだないの。)
ロング先生: That's fine. For now we'll just call her Baby Girl Green. (それでいいわ。差し当たり、彼女をグリーンちゃん[ベイビーガール・グリーン]と呼びましょう。)
レイチェル: Oh, no. Baby Girl Geller-Green. (あぁ、いいえ、ゲラー・グリーンちゃん[ベイビーガール・ゲラー・グリーン]よ。)
(Ross and Rachel look into each other's eyes and kiss.)
ロスとレイチェルはお互いの目を見つめ、キスする。
レイチェル: Hello, Baby Girl. (こんにちは、赤ちゃん。)
レイチェルの出産を励ましているロスは、push という言葉を何度も使っています。
フレンズのこれまでの出産シーンでも何度も出てきましたが、出産における「いきむ」ということですね。
日本語の「いきむ」は漢字で書くと「息む」で、広辞苑では「息を込めて腹に力をいれる」と出ています。
出産の「いきむ」という行為は「押し出す」感じがあるので、push という動詞はなるほどなぁ、と思えますね。
「最後にもう一度いきんで!」みたいに言われたレイチェルは、その勢いでそばにいたロスに頭突き(head butt)をしてしまいます。
その衝撃でロスは床に倒れるのですが、カメラからは姿が見えない状態のまま、床から Keep pushing! 「いきみ続けて!」と叫んでいるのが楽しいです。
頭をぶつけてしまったレイチェルはロスに「大丈夫?」と尋ねます。
ロスは、You have no idea how much this hurts. と答えるのですが、その答えを聞いて、まずは女医のロング先生、その後レイチェルが、「なんてこと言うの?」みたいな顔でにらんでいるのが面白いです。
ロスのセリフは、「これがどんなに痛いか君にはわからないだろう」ということで、普通の場合なら、「もう君には想像できないだろうと思うくらい、めちゃくちゃ痛い」ということになるのですが、いくら頭突きが痛かったといっても、目の前のレイチェルは今、人生で一番痛い(笑)出産中なわけで、出産中の妊婦さんを前にして、「君にこの痛さは想像できないだろうと思うよ」と言ったことが、あまりにもKY発言だったので女性陣ににらまれた、ということになります。
出産=痛い、という図式は誰の頭の中にもあるので、出産ではこのように「痛いネタ」のジョークが使われることも多いですね。
「この痛さは君にはわからないだろう」というジョークは、出産シーンのお約束ネタとも言えそうです。
ロスは出てくる赤ちゃんを見て、She's coming! 「彼女が出てきてる、出てくるよ」と言っています。
そうして、she's here. 「彼女はここにいる」は、今目の前に入る、ママのお腹から出てきた、無事生まれた、ということですね。
ト書きの、The newest friend cries. というのがちょっとホロっとしてしまうのですが、この今、生まれたばかりの赤ちゃんを「フレンズたち6人の新しい仲間」と呼んでいることになるでしょう。
その後のセリフでも、この生まれたばかりの女の子の赤ちゃんは、常に she と表現されています。
生まれる前から性別がわかっていたので、生まれる前から女性の代名詞(she, her など)で呼ばれていましたし、無事生まれた後も当然、she/her で呼ぶことになるのですね。
日本語で「彼女」と訳すと、赤ちゃんよりもっと年齢が上の女の子をイメージしてしまいそうで、この見た目性別がわからない生まれたての赤ちゃんの形容としては、日本語的には少々違和感があるのですが、「英語では、she/her と表現している」ことを明確にするために、日本語訳もあえて「彼女」で通してみました。
パパであるロスがその赤ちゃんを見て「完璧だ(perfect)」と言うのも、ママであるレイチェルが「すっごくちっちゃい(tiny)」と言うのも、親の実感がこもっていて感動的ですね。
(入院中、そういう「ちっちゃい赤ちゃん」をずっと見ていた私は、お見舞いに来てくれた姪っ子(1歳)を見た時、小学生かと思いましたw)
tiny は「とても小さい、ちっちゃな」という意味で、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
tiny: extremely small
と出ています。「きわめて・とても小さい」ということですね。
例にも、a tiny little baby と出ていて、赤ちゃんの形容にぴったりの言葉ですが、PCにインストールしている LAAD では、象の写真とハツカネズミの写真が載っていて、
象 huge ネズミ tiny と書いてありました(←なるほど、よくわかる!)。
看護師さんがその赤ちゃんを連れて行くので、レイチェルは「彼女はどこに行くの?」と言っています。
They're just wrapping her up. の they はそこにいる病院スタッフのことですね。
wrap up の wrap は「サランラップ」などのラップで、wrap up で「包む、くるむ」。
裸の赤ちゃんをブランケットみたいなものでくるんでくれるだけだから心配しないで、とロスは言っていることになります。
それを聞いてレイチェルが、「気を付けてね、彼女はとってもちっちゃいんだから」とまた tiny を連発しているところに、母になったレイチェルの部分がよく見えていると思います。
向こうは赤ちゃんを扱うプロですから任せて安心なわけですが、ちっちゃくて、プルプル震えている赤ちゃんを見ていると「気を付けてね」と言ってしまう気持ちもわかる気がします。
くるんでもらった赤ちゃんをロング先生から手渡されて、レイチェルは Oh hey you. と呼び掛けています。
Thanks for coming out of me. の後、観客の笑い声(ラフトラック)が起こっていますね。
「私から出てきてくれてありがとう」という「めったに聞かない言葉」の珍しさと、母親しか言えないセリフであるという感動に加え、「なかなか生まれてくれず、何人もの妊婦さんに先を越されてしまった」という「長時間待たされた」感からの「やっと生まれてくれたわね、ありがとう」という発言であることも、観客の笑いに繋がったのだろうと思います。
I know you. というのもいいセリフですね。
出産後、初めてこうしてご対面したわけだけど、お腹の中にいた頃からずっとあなたを知ってるわ、お腹をポコポコ蹴っていたあなたにようやく会えて嬉しいわ、みたいな気持ちでしょう。
ロング先生は、Do we have a name yet? と言っています。
この we は、私の新刊「読むだけ なるほど! 英文法」の p.88 にも書いた(宣伝すみません)、「親身の we」ですね。
レイチェルの主治医として、一緒に出産を体験したという連帯感もありますし、主語を自分(I)も含めた we と表現することで、親身の気持ちを表していることになるでしょう。
名前はまだない、決めてない、と答えたレイチェルに、「じゃあ、差し当たり・当分は、彼女をベイビーガール・グリーンと呼びましょう」と言っています。
baby girl は「女の赤ちゃん」ということですね。
baby boy なら「男の赤ちゃん」ということで、日本語なら「グリーン坊や」というところですが、baby girl を「グリーン嬢ちゃん」というのも何だかヘンなので、とりあえずは「グリーンちゃん」にしてみました。
名前がないので、レイチェルの名字で「グリーンちゃん」と名付けたわけですが、レイチェルは即座に、「いいえ(グリーンちゃんじゃなくて)ゲラー・グリーンちゃんと呼んで下さい」と言っています。
血縁的に父親であることはもちろん、妊娠中、そして今の出産時も、ロスがこの子のためにいっぱい頑張ってくれた、応援してくれた、という思いが、実際にこの子を目にした時に、どっと溢れてきたのでしょうね。
迷わず「ゲラー・グリーンちゃんと呼んで下さい」と言ったレイチェルの想いがとても感動的だと思います。
その後、ト書きでは、ロスとレイチェルが目を見つめ合ってキスする、と書いてありますが、実際の様子をもう少し細かく描写すると、「ロスは最初、レイチェルのおでこにキスしようとするけれど、レイチェルはそうじゃない、というように顔をまっすぐロスに向けて、二人は見つめ合ってキスをする」という感じでした。
このレイチェルの態度も、「ゲラー・グリーンちゃんと呼んで下さい」というレイチェルのセリフと同じ気持ちから来たものでしょうね。
今回のシーンでは、母になったレイチェル、ロスに対する気持ちの変化などがセリフの端々に表れていて、そういうものを感じながら英語のセリフを味わっていただけたらな、と思います。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
次々と別の妊婦さんに抜かされてしまったレイチェルでしたが、とうとう子宮口が10cmになり、分娩室に来ました。
レイチェルの出産を、担当医のロング先生と、ロスが見守っています。
ロス: No! Come on, let's go. One more time! One final push! Ready? 1... 2... 3! (Rachel pushes so hard her head snaps up head-butting Ross and knocking him down.) (だめだよ! ほら、行こう。もう一度だ! 最後にいきむんだよ。いいかい? 1、2、3! [レイチェルは思い切りいきんで、レイチェルの頭が勢いよく動き、ロスを頭突きして、ロスが倒れる])
ロング先生: Good! (いいわよ!)
ロス: (from the floor) Keep pushing! ([(倒れた)床から] いきみ続けて!)
レイチェル: Are you okay? (大丈夫?)
ロス: You have no idea how much this hurts. (All of the women in the room turn and glare at him.) Keep going! Keep going! (これがどんなに痛いか、君にはわからないだろうね。[その部屋にいる女性は全員、振り向いてロスをにらむ] 続けて。続けて。)
ロング先生: Here we go! (いくわよ!)
ロス: Oh! Oh! She's upside down, but she's coming! She's coming! (あぁ、この子は逆さまになってる、でも出てきてるよ、出てきてるよ!)
レイチェル: Oh God! (ああ!)
ロス: Oh! Oh, my God oh! Oh, my God, she's here. (あぁ、なんてことだ! なんてことだ! 彼女が(今)ここにいる。)
(The newest friend cries.)
最も新しいフレンドが泣く。
ロス: Oh she's... she's perfect. (彼女は…彼女は完璧だ。)
レイチェル: Oh, wow! Oh, she's so tiny. (Starts crying) Where'd she go? (あぁ、まあ! あぁ、すっごくちっちゃいわ。[泣き始める] 彼女はどこに行くの?)
ロス: Oh it's okay. They're just-they're just wrapping her up. (あぁ、大丈夫だよ。ただ彼女をくるむだけだから。)
レイチェル: Okay. Well, be careful with her, she's really tiny. (いいわ、でも彼女に気を付けてね、彼女はほんとにちっちゃいのよ。)
ロング先生: Here she is! (ほら、彼女よ。)
(Dr. Long hands her to Rachel.)
ロング先生は、赤ちゃんをレイチェルに手渡す。
レイチェル: Oh hey you. Thanks for coming out of me. (The baby cries.) I know. Oh. Yeah. Oh, she's looking at me. Hi! I know you. (あぁ、あなた。私から出てきてくれてありがとう。[赤ちゃんが泣く] わかってるわ。あぁ、彼女が私を見てる。はーい。私はあなたを知ってるわよ。)
ロング先生: Do we have a name yet? (もう名前はあるの?)
レイチェル: No, not yet. (いいえ、まだないの。)
ロング先生: That's fine. For now we'll just call her Baby Girl Green. (それでいいわ。差し当たり、彼女をグリーンちゃん[ベイビーガール・グリーン]と呼びましょう。)
レイチェル: Oh, no. Baby Girl Geller-Green. (あぁ、いいえ、ゲラー・グリーンちゃん[ベイビーガール・ゲラー・グリーン]よ。)
(Ross and Rachel look into each other's eyes and kiss.)
ロスとレイチェルはお互いの目を見つめ、キスする。
レイチェル: Hello, Baby Girl. (こんにちは、赤ちゃん。)
レイチェルの出産を励ましているロスは、push という言葉を何度も使っています。
フレンズのこれまでの出産シーンでも何度も出てきましたが、出産における「いきむ」ということですね。
日本語の「いきむ」は漢字で書くと「息む」で、広辞苑では「息を込めて腹に力をいれる」と出ています。
出産の「いきむ」という行為は「押し出す」感じがあるので、push という動詞はなるほどなぁ、と思えますね。
「最後にもう一度いきんで!」みたいに言われたレイチェルは、その勢いでそばにいたロスに頭突き(head butt)をしてしまいます。
その衝撃でロスは床に倒れるのですが、カメラからは姿が見えない状態のまま、床から Keep pushing! 「いきみ続けて!」と叫んでいるのが楽しいです。
頭をぶつけてしまったレイチェルはロスに「大丈夫?」と尋ねます。
ロスは、You have no idea how much this hurts. と答えるのですが、その答えを聞いて、まずは女医のロング先生、その後レイチェルが、「なんてこと言うの?」みたいな顔でにらんでいるのが面白いです。
ロスのセリフは、「これがどんなに痛いか君にはわからないだろう」ということで、普通の場合なら、「もう君には想像できないだろうと思うくらい、めちゃくちゃ痛い」ということになるのですが、いくら頭突きが痛かったといっても、目の前のレイチェルは今、人生で一番痛い(笑)出産中なわけで、出産中の妊婦さんを前にして、「君にこの痛さは想像できないだろうと思うよ」と言ったことが、あまりにもKY発言だったので女性陣ににらまれた、ということになります。
出産=痛い、という図式は誰の頭の中にもあるので、出産ではこのように「痛いネタ」のジョークが使われることも多いですね。
「この痛さは君にはわからないだろう」というジョークは、出産シーンのお約束ネタとも言えそうです。
ロスは出てくる赤ちゃんを見て、She's coming! 「彼女が出てきてる、出てくるよ」と言っています。
そうして、she's here. 「彼女はここにいる」は、今目の前に入る、ママのお腹から出てきた、無事生まれた、ということですね。
ト書きの、The newest friend cries. というのがちょっとホロっとしてしまうのですが、この今、生まれたばかりの赤ちゃんを「フレンズたち6人の新しい仲間」と呼んでいることになるでしょう。
その後のセリフでも、この生まれたばかりの女の子の赤ちゃんは、常に she と表現されています。
生まれる前から性別がわかっていたので、生まれる前から女性の代名詞(she, her など)で呼ばれていましたし、無事生まれた後も当然、she/her で呼ぶことになるのですね。
日本語で「彼女」と訳すと、赤ちゃんよりもっと年齢が上の女の子をイメージしてしまいそうで、この見た目性別がわからない生まれたての赤ちゃんの形容としては、日本語的には少々違和感があるのですが、「英語では、she/her と表現している」ことを明確にするために、日本語訳もあえて「彼女」で通してみました。
パパであるロスがその赤ちゃんを見て「完璧だ(perfect)」と言うのも、ママであるレイチェルが「すっごくちっちゃい(tiny)」と言うのも、親の実感がこもっていて感動的ですね。
(入院中、そういう「ちっちゃい赤ちゃん」をずっと見ていた私は、お見舞いに来てくれた姪っ子(1歳)を見た時、小学生かと思いましたw)
tiny は「とても小さい、ちっちゃな」という意味で、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
tiny: extremely small
と出ています。「きわめて・とても小さい」ということですね。
例にも、a tiny little baby と出ていて、赤ちゃんの形容にぴったりの言葉ですが、PCにインストールしている LAAD では、象の写真とハツカネズミの写真が載っていて、
象 huge ネズミ tiny と書いてありました(←なるほど、よくわかる!)。
看護師さんがその赤ちゃんを連れて行くので、レイチェルは「彼女はどこに行くの?」と言っています。
They're just wrapping her up. の they はそこにいる病院スタッフのことですね。
wrap up の wrap は「サランラップ」などのラップで、wrap up で「包む、くるむ」。
裸の赤ちゃんをブランケットみたいなものでくるんでくれるだけだから心配しないで、とロスは言っていることになります。
それを聞いてレイチェルが、「気を付けてね、彼女はとってもちっちゃいんだから」とまた tiny を連発しているところに、母になったレイチェルの部分がよく見えていると思います。
向こうは赤ちゃんを扱うプロですから任せて安心なわけですが、ちっちゃくて、プルプル震えている赤ちゃんを見ていると「気を付けてね」と言ってしまう気持ちもわかる気がします。
くるんでもらった赤ちゃんをロング先生から手渡されて、レイチェルは Oh hey you. と呼び掛けています。
Thanks for coming out of me. の後、観客の笑い声(ラフトラック)が起こっていますね。
「私から出てきてくれてありがとう」という「めったに聞かない言葉」の珍しさと、母親しか言えないセリフであるという感動に加え、「なかなか生まれてくれず、何人もの妊婦さんに先を越されてしまった」という「長時間待たされた」感からの「やっと生まれてくれたわね、ありがとう」という発言であることも、観客の笑いに繋がったのだろうと思います。
I know you. というのもいいセリフですね。
出産後、初めてこうしてご対面したわけだけど、お腹の中にいた頃からずっとあなたを知ってるわ、お腹をポコポコ蹴っていたあなたにようやく会えて嬉しいわ、みたいな気持ちでしょう。
ロング先生は、Do we have a name yet? と言っています。
この we は、私の新刊「読むだけ なるほど! 英文法」の p.88 にも書いた(宣伝すみません)、「親身の we」ですね。
レイチェルの主治医として、一緒に出産を体験したという連帯感もありますし、主語を自分(I)も含めた we と表現することで、親身の気持ちを表していることになるでしょう。
名前はまだない、決めてない、と答えたレイチェルに、「じゃあ、差し当たり・当分は、彼女をベイビーガール・グリーンと呼びましょう」と言っています。
baby girl は「女の赤ちゃん」ということですね。
baby boy なら「男の赤ちゃん」ということで、日本語なら「グリーン坊や」というところですが、baby girl を「グリーン嬢ちゃん」というのも何だかヘンなので、とりあえずは「グリーンちゃん」にしてみました。
名前がないので、レイチェルの名字で「グリーンちゃん」と名付けたわけですが、レイチェルは即座に、「いいえ(グリーンちゃんじゃなくて)ゲラー・グリーンちゃんと呼んで下さい」と言っています。
血縁的に父親であることはもちろん、妊娠中、そして今の出産時も、ロスがこの子のためにいっぱい頑張ってくれた、応援してくれた、という思いが、実際にこの子を目にした時に、どっと溢れてきたのでしょうね。
迷わず「ゲラー・グリーンちゃんと呼んで下さい」と言ったレイチェルの想いがとても感動的だと思います。
その後、ト書きでは、ロスとレイチェルが目を見つめ合ってキスする、と書いてありますが、実際の様子をもう少し細かく描写すると、「ロスは最初、レイチェルのおでこにキスしようとするけれど、レイチェルはそうじゃない、というように顔をまっすぐロスに向けて、二人は見つめ合ってキスをする」という感じでした。
このレイチェルの態度も、「ゲラー・グリーンちゃんと呼んで下さい」というレイチェルのセリフと同じ気持ちから来たものでしょうね。
今回のシーンでは、母になったレイチェル、ロスに対する気持ちの変化などがセリフの端々に表れていて、そういうものを感じながら英語のセリフを味わっていただけたらな、と思います。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2014年11月21日
スプーンするフォークする フレンズ8-24その3
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は9位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
エレベーターホールで素敵な男性と知り合ったフィービー。
医者のふりをしたジョーイが、その彼(クリフ)にいろいろ質問した結果、感じの良い男性らしいとわかったので、フィービーは彼の病室を訪れます。
[Scene: Room 816, Phoebe is making her move on Cliff.]
816号室。フィービーはクリフにアプローチ中[言い寄っている・ちょっかいをかけているところ]。
フィービー: Okay I've got one for you. If you had to, which would you rather eat? A Seeing Eye dog or a talking gorilla? (オッケー、あなたに一つ質問があるの。もしそうしなければならないとしたら、あなたはどっちを食べる? 盲導犬か、しゃべるゴリラか。)
クリフ: I'd have to say... the talking gorilla, because at least I coud explain to him that you're making me eat him. (僕ならこう言わないといけないだろうね… しゃべるゴリラだ。だって少なくとも、君が僕にゴリラを食べさせようとしているってことを、ゴリラに説明することができるからね。)
フィービー: Oh. Somebody went to college. Wow. (Cliff gets uncomfortable) What is it? I'm sorry. (She moves her arm, which was resting on the same pillow his leg is.) (あぁ、誰かさんは大学に行ってたわね[大学を出ているようね]。まぁ。[クリフは居心地悪そうにする] 何? ごめんね。[フィービーは腕を動かす、その腕は彼の脚と同じ枕の上にあった])
クリフ: No, I'm sorry. It's just my foot itches like crazy. (違うんだ、ごめん。ただ僕の足がむちゃくちゃかゆいんだよ。)
フィービー: Oh, I'll get it. (She gets up and grabs a spoon.) (まぁ、私がやってあげるわ。[フィービーは立ち上がって、スプーンを掴む])
クリフ: Wow! I usually get to know a girl a little better before I let her spoon me. (わぉ! 僕が女の子に僕をスプーンさせる前には、もう少しよく彼女を知ることになるのが普通なんだけど[よく知らないうちは、女の子に僕をスプーンさせたりしないんだけど]。)
フィービー: Relax. It's not like we're forking. (安心して。私たちはフォークしてるわけじゃないんだから。)
which would you rather eat? には、would rather が使われています。
would rather は「(むしろ)〜する方がよい」なので、which would you rather eat? は、それ以下で述べる選択肢2つのうち、食べるならどちらの方を食べたい? どちらの方を食べることを選ぶ?と言っている感覚になります。
If you had to と had が過去形になっているのは、仮定法過去ですね。
その後の質問が、現実にはありえないことを問うているので、現在の事実とは反対の仮定を表す仮定法過去が使われていることになります。
質問の選択肢は、A Seeing Eye dog or a talking gorilla? となっていますね。
その選択肢をよく見てみると、どちらも -ing 形が使われていますが、前半は A Seeing Eye dog のように大文字が使われていることから、固有名詞っぽく使われていることがわかります。
A Seeing Eye dog は「盲導犬」のことですね。
なぜ大文字になっているのかは、以下の研究社 新英和中辞典の説明でわかりました。
Seeing Eye, Seeing Eye dog 【名】【C】 盲導犬 《米国 New Jersey州の慈善団体 Seeing Eye の供給する犬》
seeing eye を直訳すると「見ている目」ですから、「飼い主の目の代わりに見ている目」としての犬、だと考えると、盲導犬かな、という見当も付くのですが、上の研究社の辞典の説明にあるように、盲導犬を供給している慈善団体の名称が Seeing Eye という名前なので、固有名詞扱いで大文字になっている、ということになります。
後半の a talking gorilla は、そのまま、「話しているゴリラ、話すゴリラ」ということですね。
質問されたクリフは、「僕は、話すゴリラ(の方を食べる)と言わなければならないだろうね」と言って、その後、理由を説明しています。
理由の部分を直訳すると、「君が僕に彼(ゴリラ)を食べさせようとしていることを、少なくとも僕は彼(ゴリラ)に説明することができるだろうから」。
クリフがなかなか洒落た答えを返して来たので、フィービーは、「誰かさんは大学に行っていたのね」と言っています。
大学出のようね、大学を出ているようね、みたいなことですね。
クリフが居心地悪そうにしているので、フィービーは自分の腕が邪魔だったのかと動かしますが、クリフは「君のせいとかじゃなくて、ただ、僕の足がむちゃくちゃかゆいんだ」と説明しています。
itch は「かゆい」ですね。like crazy は「クレイジーのように」ということですから、「クレイジーなくらい、むちゃくちゃ」というニュアンスになります。
そう聞いたフィービーは立ち上がり、食事用のスプーンを使って、包帯の巻かれている足を、包帯の上からスプーンでこすってあげています。
包帯越しだから、手ではかゆみが取れないと思ったのでしょう、「孫の手」みたいな感じで、手でかいてあげる代わりに、もう少し固いスプーンでしっかりかいてあげている感覚になります。
次のクリフのセリフについて。
直訳すると、「僕はたいてい、女の子をもう少しよく知ることになる。僕が彼女に僕をスプーンさせる前に」になるでしょう。
つまり、「僕が女の子に”スプーンさせる”のは、もう少し相手をよく知ってから、っていうのが普通なんだけどね」ということです。
このセリフは、spoon という動詞がポイントです。
今、フィービーがスプーンでクリフの足をこすりこすりしていることを「スプーンする」と表現しているのはもちろんですが、実は spoon という動詞には「いちゃつく」という意味もあるのですね。
研究社 新英和中辞典にも、
spoon=【自】《口語》〈男女が〉愛撫(あいぶ)し合う、いちゃつく
と出ています。
Merriam-Webster Dictionary では、
Merriam-Webster Dictionary: spoon
spoon
intransitive verb
[perhaps from the Welsh custom of an engaged man's presenting his fiancée with an elaborately carved wooden spoon] : to make love by caressing, kissing, and talking amorously : neck
つまり、「(恐らく、婚約した男性が、精巧に彫刻された木製のスプーンを自分の婚約者に贈るというウェールズの伝統から) 愛撫したり、キスしたり、色っぽく語り合うなどして愛を交わすこと。類義語: neck」。
語義にあるように、neck と似たニュアンスのようですね。
neck は「首」ということですが、動詞として使うと「(首を抱いて)愛撫する」という意味があります。
上のように、「語源」の説明もしてくれているのがありがたいですね。
愛の証として木のスプーンを贈るから、愛情表現の行為を指す動詞として使われている、ということのようです。
ですから、クリフのセリフは、ダブルミーニングということになります。
そのセリフで、「知り合って間もない、まだ君のことをよく知らない状態なのに、こんな風にスプーンでかいてもらって(悪いね)」と言いつつ、「僕が女の子に愛撫してもらうのは、いつもならもっとよく相手のことを知った後なんだけどね」みたいにも言っている、という面白さですね。
「スプーンでかゆいところをかいてもらっている」という行為と、「(愛する人に)愛撫してもらっている」という行為をかけた表現になっているわけです。
それを聞いたフィービーのセリフは「安心して。私たちはフォークしているわけじゃないから」という感じ。
スプーンに対して、フォークを使っていることは明白ですが、この fork にもそういう「エッチ系」の意味があることから、ジョークのオチになっています。
英辞郎には、
fork=【2-自他動】f*ck の婉曲語
(f*ck は卑語なので、アスタリスクは私がつけましたw)
と出ています。
確かに、音的にも文字の見た目も、fork と f*ck は似ている気がしますね。
こういう俗語、卑語系ジャンルに強い(笑)、Urban Dictionary で調べてみると、以下の fork の項目で、確かに to have sexual intercourse という意味が出ていました。
Urban Dictionary: fork
また、その動詞に -ing をつけて動名詞にした、以下の forking の項目では、forking の詳しい説明の語義が載っていました。
Urban Dictionary: forking
詳細に訳すと恥ずかしい感じの内容(笑)なので、引用は避けますが、その説明によると「女性の広げた脚とその間にある男性の脚でフォークのような形になるから」(←引用を避けたわりには、結構ダイレクトに書いてしまいましたね^^)みたいなことのようです。
Urban Dictionary は、投稿された語義に、thumb up 「いいね!(みたいなもの)」と、thumb down 「だめね!(or ダメよ〜ダメダメ?w)」みたいな評価がつくのですが、現在のところ、いいねが3,000強、だめねが2,000強くらいで、「いいねも多いけど、だめねも多い」みたいな評価になっています。
また、その語義説明の例文が、Spooning leads to forking. となっています。
「スプーンする(愛撫する)という行為が、”フォークする”になる(つながる)」ということになりますね。
いいね:だめね=3:2 という比率は、多くの人が「そういう意味だと言い切れないんじゃない?」と思っている印象を受けるのです。
そういう空気(笑)を踏まえて、私なりに考えてみると、
やはり、
ウェールズの習慣から生まれた「愛撫する」という意味の動詞 spoon が先にあって、スプーンとフォークというペアの食器であること、プラス、fork が、f*ck に似ていることもあって、f*ck の意味で使われるようになった
ということかなと思うのですね。
その後、fork がそういう意味で使われる、ということから、フォークの形を連想させるような体位のエッチのことを、「このカタチがまさにフォークだよね」みたいな感じで、fork と表現する人も出てきたのかなぁ、と思うわけです。
Urban Dictionary で、いいねに対してだめねが 3分の2もいる、ということは、それが元々の意味じゃない、本来の意味じゃない、「フォークの形の f*ck」とまで限定してしまってはいけない、という意見の表れであると私は捉えました。
ということで、このフィービーのセリフでは、fork が f*ck の婉曲語として使われているのは間違いないと思います。
「愛撫する」というレベルを越えて、もっと先の行為まで進んでるわけじゃないから、そんなに緊張・動揺しなくていいわ、みたいなことですね。
フィービーが実際にスプーンを使って、足をかいてあげていることを、「愛撫する」という意味にかけてジョークを言ったクリフに対して、フィービーも「スプーンと来たらフォーク」みたいに、同じようなエッチ系の意味で返した、ということになるでしょう。
Urban Dictionary に出ていた「フォークのカタチのエッチ」という話は、面白がってそんな意味で使ったりする人もいるけれど、それが一般的な意味とは言えない気がする、というのが私の見解だ、ということですね(^^)
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
エレベーターホールで素敵な男性と知り合ったフィービー。
医者のふりをしたジョーイが、その彼(クリフ)にいろいろ質問した結果、感じの良い男性らしいとわかったので、フィービーは彼の病室を訪れます。
[Scene: Room 816, Phoebe is making her move on Cliff.]
816号室。フィービーはクリフにアプローチ中[言い寄っている・ちょっかいをかけているところ]。
フィービー: Okay I've got one for you. If you had to, which would you rather eat? A Seeing Eye dog or a talking gorilla? (オッケー、あなたに一つ質問があるの。もしそうしなければならないとしたら、あなたはどっちを食べる? 盲導犬か、しゃべるゴリラか。)
クリフ: I'd have to say... the talking gorilla, because at least I coud explain to him that you're making me eat him. (僕ならこう言わないといけないだろうね… しゃべるゴリラだ。だって少なくとも、君が僕にゴリラを食べさせようとしているってことを、ゴリラに説明することができるからね。)
フィービー: Oh. Somebody went to college. Wow. (Cliff gets uncomfortable) What is it? I'm sorry. (She moves her arm, which was resting on the same pillow his leg is.) (あぁ、誰かさんは大学に行ってたわね[大学を出ているようね]。まぁ。[クリフは居心地悪そうにする] 何? ごめんね。[フィービーは腕を動かす、その腕は彼の脚と同じ枕の上にあった])
クリフ: No, I'm sorry. It's just my foot itches like crazy. (違うんだ、ごめん。ただ僕の足がむちゃくちゃかゆいんだよ。)
フィービー: Oh, I'll get it. (She gets up and grabs a spoon.) (まぁ、私がやってあげるわ。[フィービーは立ち上がって、スプーンを掴む])
クリフ: Wow! I usually get to know a girl a little better before I let her spoon me. (わぉ! 僕が女の子に僕をスプーンさせる前には、もう少しよく彼女を知ることになるのが普通なんだけど[よく知らないうちは、女の子に僕をスプーンさせたりしないんだけど]。)
フィービー: Relax. It's not like we're forking. (安心して。私たちはフォークしてるわけじゃないんだから。)
which would you rather eat? には、would rather が使われています。
would rather は「(むしろ)〜する方がよい」なので、which would you rather eat? は、それ以下で述べる選択肢2つのうち、食べるならどちらの方を食べたい? どちらの方を食べることを選ぶ?と言っている感覚になります。
If you had to と had が過去形になっているのは、仮定法過去ですね。
その後の質問が、現実にはありえないことを問うているので、現在の事実とは反対の仮定を表す仮定法過去が使われていることになります。
質問の選択肢は、A Seeing Eye dog or a talking gorilla? となっていますね。
その選択肢をよく見てみると、どちらも -ing 形が使われていますが、前半は A Seeing Eye dog のように大文字が使われていることから、固有名詞っぽく使われていることがわかります。
A Seeing Eye dog は「盲導犬」のことですね。
なぜ大文字になっているのかは、以下の研究社 新英和中辞典の説明でわかりました。
Seeing Eye, Seeing Eye dog 【名】【C】 盲導犬 《米国 New Jersey州の慈善団体 Seeing Eye の供給する犬》
seeing eye を直訳すると「見ている目」ですから、「飼い主の目の代わりに見ている目」としての犬、だと考えると、盲導犬かな、という見当も付くのですが、上の研究社の辞典の説明にあるように、盲導犬を供給している慈善団体の名称が Seeing Eye という名前なので、固有名詞扱いで大文字になっている、ということになります。
後半の a talking gorilla は、そのまま、「話しているゴリラ、話すゴリラ」ということですね。
質問されたクリフは、「僕は、話すゴリラ(の方を食べる)と言わなければならないだろうね」と言って、その後、理由を説明しています。
理由の部分を直訳すると、「君が僕に彼(ゴリラ)を食べさせようとしていることを、少なくとも僕は彼(ゴリラ)に説明することができるだろうから」。
クリフがなかなか洒落た答えを返して来たので、フィービーは、「誰かさんは大学に行っていたのね」と言っています。
大学出のようね、大学を出ているようね、みたいなことですね。
クリフが居心地悪そうにしているので、フィービーは自分の腕が邪魔だったのかと動かしますが、クリフは「君のせいとかじゃなくて、ただ、僕の足がむちゃくちゃかゆいんだ」と説明しています。
itch は「かゆい」ですね。like crazy は「クレイジーのように」ということですから、「クレイジーなくらい、むちゃくちゃ」というニュアンスになります。
そう聞いたフィービーは立ち上がり、食事用のスプーンを使って、包帯の巻かれている足を、包帯の上からスプーンでこすってあげています。
包帯越しだから、手ではかゆみが取れないと思ったのでしょう、「孫の手」みたいな感じで、手でかいてあげる代わりに、もう少し固いスプーンでしっかりかいてあげている感覚になります。
次のクリフのセリフについて。
直訳すると、「僕はたいてい、女の子をもう少しよく知ることになる。僕が彼女に僕をスプーンさせる前に」になるでしょう。
つまり、「僕が女の子に”スプーンさせる”のは、もう少し相手をよく知ってから、っていうのが普通なんだけどね」ということです。
このセリフは、spoon という動詞がポイントです。
今、フィービーがスプーンでクリフの足をこすりこすりしていることを「スプーンする」と表現しているのはもちろんですが、実は spoon という動詞には「いちゃつく」という意味もあるのですね。
研究社 新英和中辞典にも、
spoon=【自】《口語》〈男女が〉愛撫(あいぶ)し合う、いちゃつく
と出ています。
Merriam-Webster Dictionary では、
Merriam-Webster Dictionary: spoon
spoon
intransitive verb
[perhaps from the Welsh custom of an engaged man's presenting his fiancée with an elaborately carved wooden spoon] : to make love by caressing, kissing, and talking amorously : neck
つまり、「(恐らく、婚約した男性が、精巧に彫刻された木製のスプーンを自分の婚約者に贈るというウェールズの伝統から) 愛撫したり、キスしたり、色っぽく語り合うなどして愛を交わすこと。類義語: neck」。
語義にあるように、neck と似たニュアンスのようですね。
neck は「首」ということですが、動詞として使うと「(首を抱いて)愛撫する」という意味があります。
上のように、「語源」の説明もしてくれているのがありがたいですね。
愛の証として木のスプーンを贈るから、愛情表現の行為を指す動詞として使われている、ということのようです。
ですから、クリフのセリフは、ダブルミーニングということになります。
そのセリフで、「知り合って間もない、まだ君のことをよく知らない状態なのに、こんな風にスプーンでかいてもらって(悪いね)」と言いつつ、「僕が女の子に愛撫してもらうのは、いつもならもっとよく相手のことを知った後なんだけどね」みたいにも言っている、という面白さですね。
「スプーンでかゆいところをかいてもらっている」という行為と、「(愛する人に)愛撫してもらっている」という行為をかけた表現になっているわけです。
それを聞いたフィービーのセリフは「安心して。私たちはフォークしているわけじゃないから」という感じ。
スプーンに対して、フォークを使っていることは明白ですが、この fork にもそういう「エッチ系」の意味があることから、ジョークのオチになっています。
英辞郎には、
fork=【2-自他動】f*ck の婉曲語
(f*ck は卑語なので、アスタリスクは私がつけましたw)
と出ています。
確かに、音的にも文字の見た目も、fork と f*ck は似ている気がしますね。
こういう俗語、卑語系ジャンルに強い(笑)、Urban Dictionary で調べてみると、以下の fork の項目で、確かに to have sexual intercourse という意味が出ていました。
Urban Dictionary: fork
また、その動詞に -ing をつけて動名詞にした、以下の forking の項目では、forking の詳しい説明の語義が載っていました。
Urban Dictionary: forking
詳細に訳すと恥ずかしい感じの内容(笑)なので、引用は避けますが、その説明によると「女性の広げた脚とその間にある男性の脚でフォークのような形になるから」(←引用を避けたわりには、結構ダイレクトに書いてしまいましたね^^)みたいなことのようです。
Urban Dictionary は、投稿された語義に、thumb up 「いいね!(みたいなもの)」と、thumb down 「だめね!(or ダメよ〜ダメダメ?w)」みたいな評価がつくのですが、現在のところ、いいねが3,000強、だめねが2,000強くらいで、「いいねも多いけど、だめねも多い」みたいな評価になっています。
また、その語義説明の例文が、Spooning leads to forking. となっています。
「スプーンする(愛撫する)という行為が、”フォークする”になる(つながる)」ということになりますね。
いいね:だめね=3:2 という比率は、多くの人が「そういう意味だと言い切れないんじゃない?」と思っている印象を受けるのです。
そういう空気(笑)を踏まえて、私なりに考えてみると、
やはり、
ウェールズの習慣から生まれた「愛撫する」という意味の動詞 spoon が先にあって、スプーンとフォークというペアの食器であること、プラス、fork が、f*ck に似ていることもあって、f*ck の意味で使われるようになった
ということかなと思うのですね。
その後、fork がそういう意味で使われる、ということから、フォークの形を連想させるような体位のエッチのことを、「このカタチがまさにフォークだよね」みたいな感じで、fork と表現する人も出てきたのかなぁ、と思うわけです。
Urban Dictionary で、いいねに対してだめねが 3分の2もいる、ということは、それが元々の意味じゃない、本来の意味じゃない、「フォークの形の f*ck」とまで限定してしまってはいけない、という意見の表れであると私は捉えました。
ということで、このフィービーのセリフでは、fork が f*ck の婉曲語として使われているのは間違いないと思います。
「愛撫する」というレベルを越えて、もっと先の行為まで進んでるわけじゃないから、そんなに緊張・動揺しなくていいわ、みたいなことですね。
フィービーが実際にスプーンを使って、足をかいてあげていることを、「愛撫する」という意味にかけてジョークを言ったクリフに対して、フィービーも「スプーンと来たらフォーク」みたいに、同じようなエッチ系の意味で返した、ということになるでしょう。
Urban Dictionary に出ていた「フォークのカタチのエッチ」という話は、面白がってそんな意味で使ったりする人もいるけれど、それが一般的な意味とは言えない気がする、というのが私の見解だ、ということですね(^^)
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2014年11月19日
無意識にエキスを盗まれた人間 フレンズ8-24その2
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は5位、「にほんブログ村」は11位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
レイチェルの陣痛室の隣で、エッチしようとしていたチャンドラーとモニカは、レイチェルのいる部屋から、ジャニスの声らしきもの(笑)が聞こえてきたので、レイチェルの部屋に来てそれを確認しようとしています。
チャンドラー: Weirdest thing. Did I hear-- (A nurse opens the privacy screen and Chandler sees Janice)-Mother of God, it's true! (最高に変なことがあったんだ。俺は聞いたのかな… [看護師が相部屋を分けるための幕を開ける。チャンドラーはジャニスを見る] なんてこった。本当だ!)
ジャニス: Chandler Bing! (チャンドラー・ビング!)
チャンドラー: Jan-Janice! (ジャン・ジャニス!)
ロス: Not just Janice. Janice in labor. Contracting and everything. (ただのジャニスじゃないんだ。陣痛中のジャニスだよ。収縮とかそういうの全部の。)
ジャニス: Oh, this should be easy. I have a very wide pelvis. You remember, Chandler. (あぁ、これは楽に違いないわ。私はとっても広い骨盤を持ってるの。覚えてるでしょ、チャンドラー。)
チャンドラー: Janice, I didn't even know you were pregnant! Who's the unwitting human whose essence you've stolen? (ジャニス、君が妊娠してたなんて知りもしなかったよ! 君がエキスを盗んだ、その無意識の人間は誰なんだ?)
ジャニス: It's you. This is yours. (あなたよ。これはあなたの子なの。)
チャンドラー: What?! (何だって?)
ジャニス: (laughs) Look how nervous he gets! We haven't slept together in years! (Laughs again.) ([笑って] 彼がナーバスになってるの見て[彼の動揺ぶりったら]! 私たちはもう何年も寝てないのに! [また笑う])
チャンドラー: That's funny. Does it-does it hurt? Does the labor hurt? (それって面白いね。それって痛い? 陣痛って痛いのかな?)
チャンドラーが「すっごく変なことがあって」みたいに話し始めようとした時に、看護師さんが相部屋の仕切りの幕を開けたため、チャンドラーとジャニスがご対面、となります。
元恋人同士のチャンドラーとジャニスは、お互いの名前を呼び合うのですが、ロスが「ただのジャニスじゃないよ。陣痛中のジャニスだ。収縮とかそういうの全部の」と言うのが面白いですね。
普通の状態でも、大音量でうるさい人なのに、それが痛いと騒いだりするような陣痛中だということで、さらにパワーアップしてるんだよ、とロスは警告している感じです。
contract は「契約を結ぶ、請け負う」という意味もありますが、ここでは「筋肉を引き締める、収縮させる」という意味で使われています。
出産の時の、contract, contraction というのは「子宮の収縮」のことですね。
また、contract には「語・句などを縮める、短縮する」という意味があり、don't や can't などの短縮形、縮約形のことを contraction といいます。
そういう陣痛に伴う子宮の収縮などについて、ジャニスは「楽に違いない」と言っています。
pelvis は「骨盤」で、このセリフを聞くと、「骨盤が大きいとお産が楽」というような話はアメリカでもよく言われることなんだな、というのがわかりますね。
チャンドラーは元カレだということで、「私の骨盤が大きいの、あなた知ってるでしょ」みたいにいやらしい顔で笑いながら言うジャニスに対して、チャンドラーはものすごーくいやそうな顔をしているのが面白いです。
君が妊娠してたなんて知らなかったと言った後の、チャンドラーのセリフが面白いですね。
Who's the unwitting human whose essence you've stolen? の essence は「エキス、エッセンス」。
unwitting は「無意識の、知らずに(〜)した、うっかりして(〜)した」というニュアンス。
man ではなくて、human 「人間」という表現を使っているのは、「無意識のうちに君にエキスを盗まれた人間」のように表現することで、まるで「宇宙人に拉致されて、知らない間にエキスを抜かれた」かのように言っている面白さになるでしょう。
「その相手は何の同意もなしに、勝手に遺伝子の入ったエキスを盗まれてしまった」みたいに言って、「恋に落ちて、愛を交わして、その結果としてできた子供」というロマンチックな過程が全くなかったに違いない、みたいに言っていることになります。
現在の妻モニカがすぐそばにいるというのに、「私の骨盤が大きいの、知ってるでしょう?」みたいな下品なことを、下品な笑い付き(笑)で言ったため、それに対する仕返しの気持も込めて、「君との間に進んで子供を作ろうとする男なんかいるわけないもんね」「誰かの遺伝子をこっそり盗んで子供を作ったんだな?」的な、かなり辛辣な表現を言ったことになるでしょう。
その男性を human と表現することで、ジャニスが human 以外のモノであるかのように言った面白さなわけですね。
「知らない間にエキスを盗まれた人間は誰?」との質問に、ジャニスは「あなたよ。これはあなたのものよ」と答えます。
yours 「あなたのもの」というのはすなわち、「あなたの子」ということですね。
驚くチャンドラーに、ジャニスは「彼がどんなにナーバスになってるか見て!」と言っています。
こなれた日本語で言うと、「彼のあの動揺ぶりったら(どうよ)!」みたいな感じになるでしょうか。
「私たちは何年も(一緒に)寝ていなかった」というのは、別れて何年も経つんだから、私たちは別れて以来全然寝てない、エッチしていない、ということですね。
「エッチもしてないのに、これがあなたの子供なわけないでしょ〜!」ということで、一瞬本気で驚きの声を出したチャンドラーを、「考えればそんなことわかるじゃない」と笑ったことになります。
チャンドラーはさらにジャニスに対する憎しみを強めたようで(笑)、憎々しい顔で、Does it-does it hurt? Does the labor hurt? と言っています。
言葉としては、「その陣痛って痛い?」ということですが、「その君の陣痛がものすごく痛くて、君がもっともっと苦しめばいいのに」みたいな気持ちですね。
「痛い? ね、痛い?」と痛い人に聞きまくることで、余計にその痛みを自覚させて苦しませよう、みたいなことでしょう。
そうやって意地悪なことを言っているチャンドラーではありますが、ジャニスのペースに巻き込まれてしまっているのは明白で、ジャニスの前ではいつもこんな感じw のチャンドラーが、見ていて楽しいですね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
レイチェルの陣痛室の隣で、エッチしようとしていたチャンドラーとモニカは、レイチェルのいる部屋から、ジャニスの声らしきもの(笑)が聞こえてきたので、レイチェルの部屋に来てそれを確認しようとしています。
チャンドラー: Weirdest thing. Did I hear-- (A nurse opens the privacy screen and Chandler sees Janice)-Mother of God, it's true! (最高に変なことがあったんだ。俺は聞いたのかな… [看護師が相部屋を分けるための幕を開ける。チャンドラーはジャニスを見る] なんてこった。本当だ!)
ジャニス: Chandler Bing! (チャンドラー・ビング!)
チャンドラー: Jan-Janice! (ジャン・ジャニス!)
ロス: Not just Janice. Janice in labor. Contracting and everything. (ただのジャニスじゃないんだ。陣痛中のジャニスだよ。収縮とかそういうの全部の。)
ジャニス: Oh, this should be easy. I have a very wide pelvis. You remember, Chandler. (あぁ、これは楽に違いないわ。私はとっても広い骨盤を持ってるの。覚えてるでしょ、チャンドラー。)
チャンドラー: Janice, I didn't even know you were pregnant! Who's the unwitting human whose essence you've stolen? (ジャニス、君が妊娠してたなんて知りもしなかったよ! 君がエキスを盗んだ、その無意識の人間は誰なんだ?)
ジャニス: It's you. This is yours. (あなたよ。これはあなたの子なの。)
チャンドラー: What?! (何だって?)
ジャニス: (laughs) Look how nervous he gets! We haven't slept together in years! (Laughs again.) ([笑って] 彼がナーバスになってるの見て[彼の動揺ぶりったら]! 私たちはもう何年も寝てないのに! [また笑う])
チャンドラー: That's funny. Does it-does it hurt? Does the labor hurt? (それって面白いね。それって痛い? 陣痛って痛いのかな?)
チャンドラーが「すっごく変なことがあって」みたいに話し始めようとした時に、看護師さんが相部屋の仕切りの幕を開けたため、チャンドラーとジャニスがご対面、となります。
元恋人同士のチャンドラーとジャニスは、お互いの名前を呼び合うのですが、ロスが「ただのジャニスじゃないよ。陣痛中のジャニスだ。収縮とかそういうの全部の」と言うのが面白いですね。
普通の状態でも、大音量でうるさい人なのに、それが痛いと騒いだりするような陣痛中だということで、さらにパワーアップしてるんだよ、とロスは警告している感じです。
contract は「契約を結ぶ、請け負う」という意味もありますが、ここでは「筋肉を引き締める、収縮させる」という意味で使われています。
出産の時の、contract, contraction というのは「子宮の収縮」のことですね。
また、contract には「語・句などを縮める、短縮する」という意味があり、don't や can't などの短縮形、縮約形のことを contraction といいます。
そういう陣痛に伴う子宮の収縮などについて、ジャニスは「楽に違いない」と言っています。
pelvis は「骨盤」で、このセリフを聞くと、「骨盤が大きいとお産が楽」というような話はアメリカでもよく言われることなんだな、というのがわかりますね。
チャンドラーは元カレだということで、「私の骨盤が大きいの、あなた知ってるでしょ」みたいにいやらしい顔で笑いながら言うジャニスに対して、チャンドラーはものすごーくいやそうな顔をしているのが面白いです。
君が妊娠してたなんて知らなかったと言った後の、チャンドラーのセリフが面白いですね。
Who's the unwitting human whose essence you've stolen? の essence は「エキス、エッセンス」。
unwitting は「無意識の、知らずに(〜)した、うっかりして(〜)した」というニュアンス。
man ではなくて、human 「人間」という表現を使っているのは、「無意識のうちに君にエキスを盗まれた人間」のように表現することで、まるで「宇宙人に拉致されて、知らない間にエキスを抜かれた」かのように言っている面白さになるでしょう。
「その相手は何の同意もなしに、勝手に遺伝子の入ったエキスを盗まれてしまった」みたいに言って、「恋に落ちて、愛を交わして、その結果としてできた子供」というロマンチックな過程が全くなかったに違いない、みたいに言っていることになります。
現在の妻モニカがすぐそばにいるというのに、「私の骨盤が大きいの、知ってるでしょう?」みたいな下品なことを、下品な笑い付き(笑)で言ったため、それに対する仕返しの気持も込めて、「君との間に進んで子供を作ろうとする男なんかいるわけないもんね」「誰かの遺伝子をこっそり盗んで子供を作ったんだな?」的な、かなり辛辣な表現を言ったことになるでしょう。
その男性を human と表現することで、ジャニスが human 以外のモノであるかのように言った面白さなわけですね。
「知らない間にエキスを盗まれた人間は誰?」との質問に、ジャニスは「あなたよ。これはあなたのものよ」と答えます。
yours 「あなたのもの」というのはすなわち、「あなたの子」ということですね。
驚くチャンドラーに、ジャニスは「彼がどんなにナーバスになってるか見て!」と言っています。
こなれた日本語で言うと、「彼のあの動揺ぶりったら(どうよ)!」みたいな感じになるでしょうか。
「私たちは何年も(一緒に)寝ていなかった」というのは、別れて何年も経つんだから、私たちは別れて以来全然寝てない、エッチしていない、ということですね。
「エッチもしてないのに、これがあなたの子供なわけないでしょ〜!」ということで、一瞬本気で驚きの声を出したチャンドラーを、「考えればそんなことわかるじゃない」と笑ったことになります。
チャンドラーはさらにジャニスに対する憎しみを強めたようで(笑)、憎々しい顔で、Does it-does it hurt? Does the labor hurt? と言っています。
言葉としては、「その陣痛って痛い?」ということですが、「その君の陣痛がものすごく痛くて、君がもっともっと苦しめばいいのに」みたいな気持ちですね。
「痛い? ね、痛い?」と痛い人に聞きまくることで、余計にその痛みを自覚させて苦しませよう、みたいなことでしょう。
そうやって意地悪なことを言っているチャンドラーではありますが、ジャニスのペースに巻き込まれてしまっているのは明白で、ジャニスの前ではいつもこんな感じw のチャンドラーが、見ていて楽しいですね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2014年11月17日
彼女が二人いれば世界の終わり フレンズ8-24その1
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は10位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
シーズン8 第24話
The One Where Rachel Has A Baby - Part 2 (ママにプロポーズを - part 2)
原題は「レイチェルが子供を産む話 パート2」
レイチェルの出産のために、フレンズたちも病院に来ています。
チャンドラーとモニカは、新生児室にいるたくさんの赤ちゃんを見ているうちに、自分たちもそろそろ子供を持ってもいい時期に来たんじゃないか、と意見が一致します。
「レイチェルの出産を待つ間、時間はたっぷりあるし、ここには清潔なベッドもたくさんあるし!」と言って、病院でエッチすることにした二人は…
[Scene: Another Hospital Room, Chandler and Monica enter and start making out.]
病院の別の部屋。チャンドラーとモニカは部屋に入って、いちゃつき始める。
チャンドラー: Should we tell Rachel there's an empty private room right next door to hers? (レイチェルの部屋の真隣に、空いている個室があるって、俺たちはレイチェルに言うべき?)
モニカ: We could. Or we can have sex in it. (言うことは可能ね。もしくは私たちがその部屋でエッチすることも可能よ。)
チャンドラー: Well, let me think about that. While I remove my pants! (うーん、その件について考えさせて。俺がパンツ(ズボン)を脱いでる間にね!)
(They start making out again.)
二人はまた、いちゃつき始める。
モニカ: (lying down on the bed) Okay, mister! Fertilize me! ([ベッドに横たわりながら] いいわ、ミスター! 私を受胎させて!)
(Suddenly they hear Janice laughing, and it ruins the moment.)
突然、二人はジャニスが笑うのを聞き、それでその瞬間が台無しになる。
モニカ: Does that sound like Janice? (今の声、ジャニスみたいじゃない?)
チャンドラー: If it's not, then there's two of them. And that would mean it's the end of the world! (もしそうじゃないなら、そしたらジャニスが2人いることになる。そしてそれは世界の終わりを意味するぞ!)
オープニングクレジット
[Scene: The Semi-Private Labor Room, Chandler and Monica are entering to see if they in fact did hear Janice.]
相部屋の陣痛室。チャンドラーとモニカは、実際にジャニスの声を聞いたのかどうかを確かめるために、部屋に入ってくる。
モニカ: I can't believe this is taking so long. How are you doing? (この出産がそんなに長くかかるなんて信じられないわ。気分はどう?)
レイチェル: Oh, not bad. Do you know that feeling when you're trying to blow a Saint Bernard out your ass? (あぁ、悪くないわ。セントバーナードを尻(ケツ)から吹き出そうとする時の感じってわかる[知ってる]?)
チャンドラーとモニカが、エッチしようと入った部屋が、ちょうどレイチェルの部屋の隣だったので、チャンドラーは「個室がないからと言われて相部屋になっているレイチェルに、隣に個室が空いてるよ、って教えてあげるべきかな」とモニカに言っています。
モニカは、We could. Or we can... のように、「(言おうと思えば、言うつもりなら)言ってあげることもできるけど、またはこんな風にもできるわよ」と、レイチェルに言う以外の選択肢を挙げています。
二人は元々、エッチをするために空き部屋を探していたので、「レイチェルに言ってもいいけど、本来の目的をすることだって可能なのよ」と言っていることになるでしょう。
2つの選択肢を示された形なので、チャンドラーも一応、「じゃあ考えさせて」と口では言っているのですが、While I remove my pants! 「俺がパンツを脱いでいる間に(考えさせて)!」と言っていることからわかる通り、選択肢に悩むこともなく、早速エッチの準備に取り掛かっている、という面白さですね。
Fertilize me の fertilize はここでは「…を受精させる、受胎させる」という意味。
形容詞 fertile が、生物であれば「繁殖力のある、子を多く産む」、土地であれば「肥えた、肥沃な」という意味があり、何かを fertile な状態にする、というのが動詞 fertilize になります。
fertilize は「土地を肥沃にする、肥やす、肥料をやる」という意味もあり、fertilizer は「(化学)肥料」という意味。
そんなことを言っている時、突然ジャニスの笑い声が聞こえたので、二人は固まってしまっています。
前回の記事で説明したように、フレンズ8-23 のラストでジャニスが登場し、そのジャニスの笑い声が隣の部屋にいる二人にも今聞こえてきた、ということですね。
「今の、ジャニスみたいな声だったわね?」というモニカに対しての、チャンドラーのセリフが面白いです。
直訳すると、「もしそうじゃなかったら(あれがジャニス本人の声じゃなかったら)、そしたらジャニスが2人いることになる。そしてそれは、世界の終わりを意味するんだ!」になるでしょう。
あれがジャニスじゃないなら、ジャニスのそっくりさんがもう1人いることになる、と言っているだけでも面白いのですが、ジャニスみたいな人が2人いるとしたらそれはそれで大問題、世界の破滅だ、みたいに言っているのもさらに面白いわけで、そのオチでオープニング、となります。
さっきの声がジャニスかどうかを確かめるべく、二人は隣のレイチェルの陣痛室に入ります。
気分はどう?と尋ねるモニカにレイチェルは、not bad 「悪くない」と言いながら、「〜する時の感じってわかる?」みたいに尋ねています。
どういう時かと言うと、セントバーナード(犬)を尻から blow out しようとする時、だと説明していますね。
フレンズで「お尻」と言う場合には、たいてい butt という単語が使われます。
ass というのは「尻を意味する卑語」なので、どちらかというと「ケツ」みたいに訳した方がニュアンスは近いですね。
blow out の blow という単語は「吹く」が基本語義です。
風が吹く、爆発する、笛を吹く、鼻をかむ、などの動詞で使われますが、どれも「勢いよく吹く」共通したイメージがあると言えるでしょう。
blow off だと俗語で「おならをする」という意味にもなりますので、おならに blow という動詞を使うのなら、今回の「大型犬を blow out する」というのも(ちょっとイメージがお下品になりますが)「尻から大型犬をおならのように吹き出す」イメージで言っているような気がしました。
not bad だと言いながらも、そんな時の気分だと言っているので、気分は最悪ということなわけですね。
ちなみに、子供を出産する時の例えには、過去にも以下のようなものがありました。
フレンズ1-16 で、ロスの元妻キャロルが、母親学級で出産ビデオを見た後、パニクっていた時のセリフ。
ロス: Carol, honey, shhh. Everything's gonna be all right. (キャロル、ハニー。[なだめるように]シー。何もかも大丈夫だよ。)
キャロル: What do you know? No one's come up to you and said, "Hi, is that your nostril? Mind if we push this pot roast through it?!" (あなたに何がわかるの? 誰もあなたのところに来て、こんなこと言ったりしなかったでしょ? 「やあ、それが君の鼻の穴? このポットロースト(鍋焼きローストビーフ)をその鼻の穴に押し通しても構わない?」)
たまたま、11月13日(こないだの木曜日)の「VS嵐」を見ていたら、ゲストが「ママチーム」、つまり出産経験のある女性タレントさんチームでした。
冒頭、大野君がそのママさんチームに、「”鼻からスイカ”というのは本当ですか?」みたいに質問していたのを見て、私はフレンズ1-16 のこのキャロルのセリフを思い出し、「(小さな)鼻の穴から何か大きなものを出す」という例えって日英共通なのね、、と一人でウケておりました。
今回のフレンズ8-24 では、鼻ではなく尻でしたが、フレンズ1-16 の「鼻からローストビーフ」の方が、表現としてはよりユニークで面白いように思ったので、併せて紹介してみました。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
シーズン8 第24話
The One Where Rachel Has A Baby - Part 2 (ママにプロポーズを - part 2)
原題は「レイチェルが子供を産む話 パート2」
レイチェルの出産のために、フレンズたちも病院に来ています。
チャンドラーとモニカは、新生児室にいるたくさんの赤ちゃんを見ているうちに、自分たちもそろそろ子供を持ってもいい時期に来たんじゃないか、と意見が一致します。
「レイチェルの出産を待つ間、時間はたっぷりあるし、ここには清潔なベッドもたくさんあるし!」と言って、病院でエッチすることにした二人は…
[Scene: Another Hospital Room, Chandler and Monica enter and start making out.]
病院の別の部屋。チャンドラーとモニカは部屋に入って、いちゃつき始める。
チャンドラー: Should we tell Rachel there's an empty private room right next door to hers? (レイチェルの部屋の真隣に、空いている個室があるって、俺たちはレイチェルに言うべき?)
モニカ: We could. Or we can have sex in it. (言うことは可能ね。もしくは私たちがその部屋でエッチすることも可能よ。)
チャンドラー: Well, let me think about that. While I remove my pants! (うーん、その件について考えさせて。俺がパンツ(ズボン)を脱いでる間にね!)
(They start making out again.)
二人はまた、いちゃつき始める。
モニカ: (lying down on the bed) Okay, mister! Fertilize me! ([ベッドに横たわりながら] いいわ、ミスター! 私を受胎させて!)
(Suddenly they hear Janice laughing, and it ruins the moment.)
突然、二人はジャニスが笑うのを聞き、それでその瞬間が台無しになる。
モニカ: Does that sound like Janice? (今の声、ジャニスみたいじゃない?)
チャンドラー: If it's not, then there's two of them. And that would mean it's the end of the world! (もしそうじゃないなら、そしたらジャニスが2人いることになる。そしてそれは世界の終わりを意味するぞ!)
オープニングクレジット
[Scene: The Semi-Private Labor Room, Chandler and Monica are entering to see if they in fact did hear Janice.]
相部屋の陣痛室。チャンドラーとモニカは、実際にジャニスの声を聞いたのかどうかを確かめるために、部屋に入ってくる。
モニカ: I can't believe this is taking so long. How are you doing? (この出産がそんなに長くかかるなんて信じられないわ。気分はどう?)
レイチェル: Oh, not bad. Do you know that feeling when you're trying to blow a Saint Bernard out your ass? (あぁ、悪くないわ。セントバーナードを尻(ケツ)から吹き出そうとする時の感じってわかる[知ってる]?)
チャンドラーとモニカが、エッチしようと入った部屋が、ちょうどレイチェルの部屋の隣だったので、チャンドラーは「個室がないからと言われて相部屋になっているレイチェルに、隣に個室が空いてるよ、って教えてあげるべきかな」とモニカに言っています。
モニカは、We could. Or we can... のように、「(言おうと思えば、言うつもりなら)言ってあげることもできるけど、またはこんな風にもできるわよ」と、レイチェルに言う以外の選択肢を挙げています。
二人は元々、エッチをするために空き部屋を探していたので、「レイチェルに言ってもいいけど、本来の目的をすることだって可能なのよ」と言っていることになるでしょう。
2つの選択肢を示された形なので、チャンドラーも一応、「じゃあ考えさせて」と口では言っているのですが、While I remove my pants! 「俺がパンツを脱いでいる間に(考えさせて)!」と言っていることからわかる通り、選択肢に悩むこともなく、早速エッチの準備に取り掛かっている、という面白さですね。
Fertilize me の fertilize はここでは「…を受精させる、受胎させる」という意味。
形容詞 fertile が、生物であれば「繁殖力のある、子を多く産む」、土地であれば「肥えた、肥沃な」という意味があり、何かを fertile な状態にする、というのが動詞 fertilize になります。
fertilize は「土地を肥沃にする、肥やす、肥料をやる」という意味もあり、fertilizer は「(化学)肥料」という意味。
そんなことを言っている時、突然ジャニスの笑い声が聞こえたので、二人は固まってしまっています。
前回の記事で説明したように、フレンズ8-23 のラストでジャニスが登場し、そのジャニスの笑い声が隣の部屋にいる二人にも今聞こえてきた、ということですね。
「今の、ジャニスみたいな声だったわね?」というモニカに対しての、チャンドラーのセリフが面白いです。
直訳すると、「もしそうじゃなかったら(あれがジャニス本人の声じゃなかったら)、そしたらジャニスが2人いることになる。そしてそれは、世界の終わりを意味するんだ!」になるでしょう。
あれがジャニスじゃないなら、ジャニスのそっくりさんがもう1人いることになる、と言っているだけでも面白いのですが、ジャニスみたいな人が2人いるとしたらそれはそれで大問題、世界の破滅だ、みたいに言っているのもさらに面白いわけで、そのオチでオープニング、となります。
さっきの声がジャニスかどうかを確かめるべく、二人は隣のレイチェルの陣痛室に入ります。
気分はどう?と尋ねるモニカにレイチェルは、not bad 「悪くない」と言いながら、「〜する時の感じってわかる?」みたいに尋ねています。
どういう時かと言うと、セントバーナード(犬)を尻から blow out しようとする時、だと説明していますね。
フレンズで「お尻」と言う場合には、たいてい butt という単語が使われます。
ass というのは「尻を意味する卑語」なので、どちらかというと「ケツ」みたいに訳した方がニュアンスは近いですね。
blow out の blow という単語は「吹く」が基本語義です。
風が吹く、爆発する、笛を吹く、鼻をかむ、などの動詞で使われますが、どれも「勢いよく吹く」共通したイメージがあると言えるでしょう。
blow off だと俗語で「おならをする」という意味にもなりますので、おならに blow という動詞を使うのなら、今回の「大型犬を blow out する」というのも(ちょっとイメージがお下品になりますが)「尻から大型犬をおならのように吹き出す」イメージで言っているような気がしました。
not bad だと言いながらも、そんな時の気分だと言っているので、気分は最悪ということなわけですね。
ちなみに、子供を出産する時の例えには、過去にも以下のようなものがありました。
フレンズ1-16 で、ロスの元妻キャロルが、母親学級で出産ビデオを見た後、パニクっていた時のセリフ。
ロス: Carol, honey, shhh. Everything's gonna be all right. (キャロル、ハニー。[なだめるように]シー。何もかも大丈夫だよ。)
キャロル: What do you know? No one's come up to you and said, "Hi, is that your nostril? Mind if we push this pot roast through it?!" (あなたに何がわかるの? 誰もあなたのところに来て、こんなこと言ったりしなかったでしょ? 「やあ、それが君の鼻の穴? このポットロースト(鍋焼きローストビーフ)をその鼻の穴に押し通しても構わない?」)
たまたま、11月13日(こないだの木曜日)の「VS嵐」を見ていたら、ゲストが「ママチーム」、つまり出産経験のある女性タレントさんチームでした。
冒頭、大野君がそのママさんチームに、「”鼻からスイカ”というのは本当ですか?」みたいに質問していたのを見て、私はフレンズ1-16 のこのキャロルのセリフを思い出し、「(小さな)鼻の穴から何か大きなものを出す」という例えって日英共通なのね、、と一人でウケておりました。
今回のフレンズ8-24 では、鼻ではなく尻でしたが、フレンズ1-16 の「鼻からローストビーフ」の方が、表現としてはよりユニークで面白いように思ったので、併せて紹介してみました。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2014年11月13日
4は3より1大きい数字 フレンズ8-23その6
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は6位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
[Scene: The Semi-Private Labor Room, they're brining in yet another woman.]
相部屋の陣痛室。病院の人は別の女性を部屋に入れようとしているところ。
看護師: (calling to the woman) This room's available. ([その女性に声をかけながら] この部屋は空いていますよ。)
レイチェル: Okay! Okay wait! You listen to me! You listen to me! Since I have been waiting four women, that's four, one higher than the number of centimeters that I am dilated, have come and gone with their babies! I'm next! It's my turn! It's only fair! And if you bring in one woman and she has her baby before me I'm going to sue you! Not this hospital. I'm gonna sue you! And my husband (Points at Ross) he's a lawyer! (わかった! わかった、待って! 私の言うことを聞きなさい! 聞きなさい! 私はずっと4人の女性を待っていたんだから、それって4よ。私(の子宮口)が開いているセンチメートルの数字(3)より1多い、その4人の女性がやってきて、赤ちゃんと共に去って行った! 私が次よ! 私の番よ! それがフェアだわ! そしてもしあなたが1人の女性をこの部屋に連れてきて、その人が私より先に赤ちゃんを産んだら、私はあなたを訴えるわ! この病院を、じゃない。あなたを訴える! そして私の夫[ロスを指さす]、彼は弁護士よ!)
ロス: Uh Rach.... (あの、レイチェル…)
レイチェル: You get back on that case, honey! (あなたはあの訴訟に戻りなさい、ハニー!)
看護師: I don't think the next patient is very far along. (次の患者はそんなに(お産が)進行してないと思いますよ。)
レイチェル: Okay. Well, then bring her in. (わかった。じゃあ、彼女を中に入れて。)
(Another nurse wheels the next pregnant woman in.)
別の看護師が次の女性を車椅子で押してくる。
女性: OH... MY... GAWD!!! (Uh-huh, it's Janice.) (オー、マイ、ゴッド! [おっとー、ジャニスだ])
(Ross and Rachel are, needless to say, stunned at the arrival of Janice.)
ロスとレイチェルは、言うまでもなく、ジャニスの登場に固まっている。
[Scene: The Semi-Private Labor Room, continued from earlier.]
相部屋の陣痛室。少し前の続き。
ジャニス: I....can't... believe this! (こんなこと、信じられないわ!)
ロス: And yet, somehow, it's true! (それなのに、どうしたわけか、真実だ!)
ジャニス: I mean, this is so great! We're gonna be baby buddies! (Does the laugh.) (だって、これって最高よ! 私たちはベビー友達になるんだもの! [あの笑いをする])
ロス: (To Rachel) Squeeze your legs together and cover the baby's ears! ([レイチェルに] 脚をしっかり締めて、赤ちゃんの耳を覆うんだ!)
男性: (entering, carrying a pillow) Hi, sweetie! ([入ってくる、枕を持って] はーい、スイーティ!)
ジャニス: Hi! Hi, sweetheart! This is my husband, Sid. I don't think you've met him. Ross, Rachel, this is Sid. I nabbed him a year ago at the dermatologist's office. Thank God for adult acne, huh? (Does the laugh.) (はーい、はーい、スイートハート! これが私の夫、シドよ。あなたは彼に会ったことないわよね。ロス、レイチェル、これがシドよ。皮膚科の診察室で、1年前、彼を捕まえたの。大人のにきびに感謝よね? [あの笑いをする])
出産が進まないレイチェルは、相部屋である陣痛室にまた新たな女性が運び込まれようとしているのを知って、すっかりキレてしまいます。
レイチェルの長いセリフ、Since I have been waiting four women, that's four, one higher than the number of centimeters that I am dilated, have come and gone with their babies! について。
この文章は、長いだけではなく、ちょっと構造が複雑なので、以下に「私はこう解釈しました」という内容を書いてみます。
語尾が断言調になっている部分も、全て「私はそう思います」ということで書いているとご理解下さい。
この文章をもう少しシンプルな形にすると、
Since I have been waiting four women have come and gone with their babies! ということになるでしょう。
文頭の since は「〜だから」という理由を表す since だと思います。
「4人の女性がやってきて、赤ちゃんと共に去って行くのを私はずーっと(ここで)待っているんだから!」→「私が次よ、私の番よ」(I'm next! It's my turn!)と繋がっているということです。
間に入っている that's four, one higher than the number of centimeters that I am dilated, は、挿入句的に入っていると考えられます。
それを直訳すると、「(4人の女性)それって4よ、私(の子宮口)が広がっているセンチメートルの数(数値)よりも1大きい」と言っていることになるでしょう。
このセリフは、過去記事、バカなメートル法 フレンズ8-23その4 に出てきた、「レイチェルの子宮口は今3センチ開いている」という話を受けてのものだと考えられます。
そのやりとりを以下に示しておくと、
レイチェル: Dr. Long, I've been at this for 17 hours! Three women have come and gone with their babies. You gotta give me some good news! How many centimeters am I dilated? Eight? Nine? (ロング先生、私は17時間もずっとこの状態でいるのよ! 3人の女性がやってきて、赤ちゃんと共に去って行った。何かいいニュースをちょうだい! 私は何センチ広がってる? 8センチ? 9センチ?)
ロング先生: Three. (3センチよ。)
ロス: Just 3?! I'm dilated 3! (たったの3センチ? 僕だって3センチ(くらい)広がってるよ。)
というものでしたね。
「子宮口が10センチになったら、分娩室に行って出産できる」というのが決まりになっているのですが、レイチェルの出産の進行は遅く「3センチ」だと言われてしまったことで、レイチェルは「3」という数字に怨念(笑)のような感情を抱き始めたように思われます。
その4 のやりとりでは「3人の女性が赤ちゃんと共に去って行った」と3人の女性に抜かされてしまったこと、先を越されてしまったことを恨みがましく言っていたわけですが、その4 のシーンの最後では、陣痛室に入ることなく、分娩室に入る直前の廊下で(!)出産した女性までいて、もう「4人」に抜かされてしまったことになるわけですね。
レイチェルは自分の状況を測る数値として、「自分の子宮口の大きさ(センチ)」と「自分を追い抜いて出産した女性の人数(○人)」という2つの数値が常に頭から離れない状態であるため、「4人の女性が私を追い抜いた。4よ、4! 私の子宮口は今3センチしか開いていないんだから、4っていう人数は、私の子宮口が開いたセンチの3よりも1大きい数字なのよ!」みたいに言ってみせたのだろうと思うわけです。
one higher than the number of centimeters that I... 「私が〜するセンチメートルの数値よりも1多い・大きい」という回りくどい言い方は、「人数の4と子宮口の開いたセンチ3」という「数字、数値」を比べていることになる、と思うわけですね。
人数と長さ(センチ)という、本来単位が全く違うものの「数字」を比較して騒いでいるところに、そして「何でその数字を比較するわけ?」と言いたくなるような理不尽なレイチェルの言い分に、レイチェルの尋常ではないキレ具合(笑)がよく出ているように思うのです。
「4人、って言ったら、私の子宮口の3センチよりも1も数字が大きいじゃない。それだけの人を待ったんだから、今度は私の番よ!」と言っているのが、今回のレイチェルのセリフだということですね。
「私が次よ! 私の番よ! それがただフェアーだわ!」と言った後、「もしある女性をこの部屋に入れて(連れてきて)、その人が私よりも先に子供を産んだら、私はあなたを訴えるわ!」と、訴訟の多いアメリカの国民(笑)っぽいセリフを言っています。
「この病院を(訴えるん)じゃないわ、私はあなたを訴える!」と、看護師個人を脅すように言っているのも面白いですね。
「この看護師は判断を誤って、私に精神的苦痛を与えた」とでも訴えるつもりでしょうか。
そして、「私の夫」と隣にいるロスを指さして、「彼は弁護士よ!」と言っています。
普段なら「私たちには二人の子供が生まれるけれど、夫婦ではないんです」と必要以上に説明するのに、こんな時だけ「夫は弁護士よ」と利用するのも、レイチェルっぽくて楽しいですね。
その次の、You get back on that case, honey! について。
これが「なにげに」w 難しい、というか、少々判断に困る文章なのですが、get back on を普通に訳すとすると「〜に戻る」が自然でしょうか。
弁護士の話で case というと「訴訟」ですから、「あなたはあの(or その)訴訟に戻りなさい、ハニー!」と言っていることになるでしょう。
この部分、DVDの日本語訳では、
(字幕)訴訟の準備して/(音声)あんたは訴訟の準備しといて。
となっていました。
話の流れ的には、それでしっくり来るのですが、そういう日本語の意味を英語にした場合には、get back on を使わないような気がするんですよねぇ、、、。
You get ready for the case. とか、あるいは、back という言葉を使うのであれば、You back up for the case. とかなら可能かなと思うのですが、get back on というのはやはり「何かに”戻る”」ニュアンスがあるように思うため、このレイチェルのセリフは、「来たるべき訴訟の準備をして」と言っているのではなくて、「(ロスが弁護士として抱えている)例の訴訟にあなたは戻って」と言っている気がしました。
ロスが「僕は弁護士なんかじゃないよ、、」と看護師の前で本当のことを言ってしまいそうだったので、その嘘を突き通すために、「ほら、あなたは弁護士の仕事で忙しいんでしょ、そんなところでゴニョゴニョ言ってないで、さっさと自分が抱えている例の案件に戻って仕事をしなさいよ!」と、「嘘がバレる元になりそうなロス」を会話から外させようとした発言なのかな、と思うわけです。
You get back on that case, honey! の that case の that には「距離感」があって、この後、訴えようとしている訴訟を指す指示語としても、どこか違和感を感じます。
「あの訴訟に戻りなさい」みたいに言うことで、看護師にはわからないけれど、ロスとレイチェルには「あの訴訟」だとわかる「ロスが今、取り組んでいる訴訟」が存在するかのように思わせることが可能だという気がするわけです。
「次は私の番よ!」と騒ぐレイチェルに、看護師は「次の患者はそれほど進行していないと思います」的なことを言っています。
be far along は「(遠くに・ずっと)進む、進捗する」というニュアンスですね。
それを I don't think で否定しているので、「今から来る患者は、すぐに産まれそう、というほど出産が進行していない」と言っていることになります。
それを聞いたレイチェルは安心した様子で、「じゃあ、その女性を中に入れて(もいいわ)」と言うのですが、、、
女性: OH... MY... GAWD!!! (Uh-huh, it's Janice.) という部分を読んだだけで笑ってしまいますね。
ほんとにジャニスという人は、いつもおいしいところで出てくるというか(笑)、シーズン8も今回がラスト2の23話ですし、そのエピソードの終わり近くにこんな形で出てくるところが、準レギュラーとも言えるジャニスの真骨頂という気がします。
ロスとレイチェルが固まっているところで、エンドクレジットとなるのですが、せっかくなので、ジャニスのシーンの説明をもう少し続けます。
意外なところで、ロスとレイチェルに再会したジャニスは「信じられない」と言い、ロスはそれを受けて、And yet, somehow, it's true! と言っていますね。
上で訳した通りの「それなのに、どうしたわけか、真実だ!」ということですが、ロスにしてみれば I can't believe this! と言いたいのはこっちの方だよ、というところでしょう。
ジャニスは「これって超最高よ! 私たち、ベビー友達になるのね!」と言って、ジャニス特有の「あの笑い」をするのですが、ト書きでも Does the laugh 「例の笑いをする」と書いてあるのが楽しいです。
「ジャニス笑い」w を聞いたロスが、Squeeze your legs together and cover the baby's ears! と言うのが面白いですね。
直訳通り、「君の(両)脚を締めて、赤ちゃんの耳を覆え!」と言っていることになります。
今、子宮口がいつもより開いていることもあるので、そこを通して、中にいる赤ちゃんがあのジャニスの笑い声を聞いてしまわないように、脚を締めることで、音が入るその穴をふさぐんだ!みたいなことを言っていることになるわけです。
「その部分」(笑)を通して音が聞こえる、という発想は、以前にもフレンズのジョークで使われたことがありました。
フレンズ1-9その4 で、元妻のキャロルの家で、お腹の赤ちゃんに話しかけようとするロス。
ロス: Where am I talking to here? (どこに話しかけたらいいの?)
There is one way that seems to offer a certain acoustical advantage, but... (音響学的な効果を生みそうな方法がひとつあるんだけど…)
普通、お腹の赤ちゃんに話しかける場合には、お腹に顔を近づけて話すものですが、ロスは「中にいる赤ちゃんに通じる出入り口」を通して話した方が音響学的にいいんじゃない?と言っているセリフなわけですね。
フレンズ8-23 に戻ります。
そこに一人の男性が枕を持って入ってきます。
ジャニスはその男性にスイートハートと呼び掛けて、「これが私の夫なの。シドよ」と説明し、「あなたは彼に会ったことないわよね」と言ってロスとレイチェルにシドを紹介しています。
I nabbed him a year ago at the dermatologist's office. について。
nab は「(人を)捕らえる、逮捕する」「(ものを)ひっつかむ、(人を)急いでつかまえる」。
dermatologist は「皮膚科(専門)医」なので、「1年前、皮膚科で彼を(ひっ)つかまえた」と言っているニュアンスになるでしょう。
日本語でも、「いい人、つかまえたわねぇ〜」みたいにいうことがありますので、ニュアンスは似ていますね。
acne は医学用語では「ざ瘡」(ざそう)と呼ばれるもので、にきび(pimples)などの皮膚病を指します。
ですからジャニスは「大人のにきび」みたいなもので皮膚科に行った時に、そこでシドと出会った、シドをつかまえた、と説明していることになります。
ちなみに、ニキビ治療クリームのことを「アクネクリーム」と言うことがありますが、そのアクネがこの acne のことのようですね。
英語の発音は「アクネ」と言うよりは「アクニ」という感じになります。
ト書きにまた Does the laugh と出てきますが、そのト書きだけで「ジャニスの例の笑い」が思い出されて笑ってしまう、、というのがシリーズものの楽しさというところですね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
[Scene: The Semi-Private Labor Room, they're brining in yet another woman.]
相部屋の陣痛室。病院の人は別の女性を部屋に入れようとしているところ。
看護師: (calling to the woman) This room's available. ([その女性に声をかけながら] この部屋は空いていますよ。)
レイチェル: Okay! Okay wait! You listen to me! You listen to me! Since I have been waiting four women, that's four, one higher than the number of centimeters that I am dilated, have come and gone with their babies! I'm next! It's my turn! It's only fair! And if you bring in one woman and she has her baby before me I'm going to sue you! Not this hospital. I'm gonna sue you! And my husband (Points at Ross) he's a lawyer! (わかった! わかった、待って! 私の言うことを聞きなさい! 聞きなさい! 私はずっと4人の女性を待っていたんだから、それって4よ。私(の子宮口)が開いているセンチメートルの数字(3)より1多い、その4人の女性がやってきて、赤ちゃんと共に去って行った! 私が次よ! 私の番よ! それがフェアだわ! そしてもしあなたが1人の女性をこの部屋に連れてきて、その人が私より先に赤ちゃんを産んだら、私はあなたを訴えるわ! この病院を、じゃない。あなたを訴える! そして私の夫[ロスを指さす]、彼は弁護士よ!)
ロス: Uh Rach.... (あの、レイチェル…)
レイチェル: You get back on that case, honey! (あなたはあの訴訟に戻りなさい、ハニー!)
看護師: I don't think the next patient is very far along. (次の患者はそんなに(お産が)進行してないと思いますよ。)
レイチェル: Okay. Well, then bring her in. (わかった。じゃあ、彼女を中に入れて。)
(Another nurse wheels the next pregnant woman in.)
別の看護師が次の女性を車椅子で押してくる。
女性: OH... MY... GAWD!!! (Uh-huh, it's Janice.) (オー、マイ、ゴッド! [おっとー、ジャニスだ])
(Ross and Rachel are, needless to say, stunned at the arrival of Janice.)
ロスとレイチェルは、言うまでもなく、ジャニスの登場に固まっている。
[Scene: The Semi-Private Labor Room, continued from earlier.]
相部屋の陣痛室。少し前の続き。
ジャニス: I....can't... believe this! (こんなこと、信じられないわ!)
ロス: And yet, somehow, it's true! (それなのに、どうしたわけか、真実だ!)
ジャニス: I mean, this is so great! We're gonna be baby buddies! (Does the laugh.) (だって、これって最高よ! 私たちはベビー友達になるんだもの! [あの笑いをする])
ロス: (To Rachel) Squeeze your legs together and cover the baby's ears! ([レイチェルに] 脚をしっかり締めて、赤ちゃんの耳を覆うんだ!)
男性: (entering, carrying a pillow) Hi, sweetie! ([入ってくる、枕を持って] はーい、スイーティ!)
ジャニス: Hi! Hi, sweetheart! This is my husband, Sid. I don't think you've met him. Ross, Rachel, this is Sid. I nabbed him a year ago at the dermatologist's office. Thank God for adult acne, huh? (Does the laugh.) (はーい、はーい、スイートハート! これが私の夫、シドよ。あなたは彼に会ったことないわよね。ロス、レイチェル、これがシドよ。皮膚科の診察室で、1年前、彼を捕まえたの。大人のにきびに感謝よね? [あの笑いをする])
出産が進まないレイチェルは、相部屋である陣痛室にまた新たな女性が運び込まれようとしているのを知って、すっかりキレてしまいます。
レイチェルの長いセリフ、Since I have been waiting four women, that's four, one higher than the number of centimeters that I am dilated, have come and gone with their babies! について。
この文章は、長いだけではなく、ちょっと構造が複雑なので、以下に「私はこう解釈しました」という内容を書いてみます。
語尾が断言調になっている部分も、全て「私はそう思います」ということで書いているとご理解下さい。
この文章をもう少しシンプルな形にすると、
Since I have been waiting four women have come and gone with their babies! ということになるでしょう。
文頭の since は「〜だから」という理由を表す since だと思います。
「4人の女性がやってきて、赤ちゃんと共に去って行くのを私はずーっと(ここで)待っているんだから!」→「私が次よ、私の番よ」(I'm next! It's my turn!)と繋がっているということです。
間に入っている that's four, one higher than the number of centimeters that I am dilated, は、挿入句的に入っていると考えられます。
それを直訳すると、「(4人の女性)それって4よ、私(の子宮口)が広がっているセンチメートルの数(数値)よりも1大きい」と言っていることになるでしょう。
このセリフは、過去記事、バカなメートル法 フレンズ8-23その4 に出てきた、「レイチェルの子宮口は今3センチ開いている」という話を受けてのものだと考えられます。
そのやりとりを以下に示しておくと、
レイチェル: Dr. Long, I've been at this for 17 hours! Three women have come and gone with their babies. You gotta give me some good news! How many centimeters am I dilated? Eight? Nine? (ロング先生、私は17時間もずっとこの状態でいるのよ! 3人の女性がやってきて、赤ちゃんと共に去って行った。何かいいニュースをちょうだい! 私は何センチ広がってる? 8センチ? 9センチ?)
ロング先生: Three. (3センチよ。)
ロス: Just 3?! I'm dilated 3! (たったの3センチ? 僕だって3センチ(くらい)広がってるよ。)
というものでしたね。
「子宮口が10センチになったら、分娩室に行って出産できる」というのが決まりになっているのですが、レイチェルの出産の進行は遅く「3センチ」だと言われてしまったことで、レイチェルは「3」という数字に怨念(笑)のような感情を抱き始めたように思われます。
その4 のやりとりでは「3人の女性が赤ちゃんと共に去って行った」と3人の女性に抜かされてしまったこと、先を越されてしまったことを恨みがましく言っていたわけですが、その4 のシーンの最後では、陣痛室に入ることなく、分娩室に入る直前の廊下で(!)出産した女性までいて、もう「4人」に抜かされてしまったことになるわけですね。
レイチェルは自分の状況を測る数値として、「自分の子宮口の大きさ(センチ)」と「自分を追い抜いて出産した女性の人数(○人)」という2つの数値が常に頭から離れない状態であるため、「4人の女性が私を追い抜いた。4よ、4! 私の子宮口は今3センチしか開いていないんだから、4っていう人数は、私の子宮口が開いたセンチの3よりも1大きい数字なのよ!」みたいに言ってみせたのだろうと思うわけです。
one higher than the number of centimeters that I... 「私が〜するセンチメートルの数値よりも1多い・大きい」という回りくどい言い方は、「人数の4と子宮口の開いたセンチ3」という「数字、数値」を比べていることになる、と思うわけですね。
人数と長さ(センチ)という、本来単位が全く違うものの「数字」を比較して騒いでいるところに、そして「何でその数字を比較するわけ?」と言いたくなるような理不尽なレイチェルの言い分に、レイチェルの尋常ではないキレ具合(笑)がよく出ているように思うのです。
「4人、って言ったら、私の子宮口の3センチよりも1も数字が大きいじゃない。それだけの人を待ったんだから、今度は私の番よ!」と言っているのが、今回のレイチェルのセリフだということですね。
「私が次よ! 私の番よ! それがただフェアーだわ!」と言った後、「もしある女性をこの部屋に入れて(連れてきて)、その人が私よりも先に子供を産んだら、私はあなたを訴えるわ!」と、訴訟の多いアメリカの国民(笑)っぽいセリフを言っています。
「この病院を(訴えるん)じゃないわ、私はあなたを訴える!」と、看護師個人を脅すように言っているのも面白いですね。
「この看護師は判断を誤って、私に精神的苦痛を与えた」とでも訴えるつもりでしょうか。
そして、「私の夫」と隣にいるロスを指さして、「彼は弁護士よ!」と言っています。
普段なら「私たちには二人の子供が生まれるけれど、夫婦ではないんです」と必要以上に説明するのに、こんな時だけ「夫は弁護士よ」と利用するのも、レイチェルっぽくて楽しいですね。
その次の、You get back on that case, honey! について。
これが「なにげに」w 難しい、というか、少々判断に困る文章なのですが、get back on を普通に訳すとすると「〜に戻る」が自然でしょうか。
弁護士の話で case というと「訴訟」ですから、「あなたはあの(or その)訴訟に戻りなさい、ハニー!」と言っていることになるでしょう。
この部分、DVDの日本語訳では、
(字幕)訴訟の準備して/(音声)あんたは訴訟の準備しといて。
となっていました。
話の流れ的には、それでしっくり来るのですが、そういう日本語の意味を英語にした場合には、get back on を使わないような気がするんですよねぇ、、、。
You get ready for the case. とか、あるいは、back という言葉を使うのであれば、You back up for the case. とかなら可能かなと思うのですが、get back on というのはやはり「何かに”戻る”」ニュアンスがあるように思うため、このレイチェルのセリフは、「来たるべき訴訟の準備をして」と言っているのではなくて、「(ロスが弁護士として抱えている)例の訴訟にあなたは戻って」と言っている気がしました。
ロスが「僕は弁護士なんかじゃないよ、、」と看護師の前で本当のことを言ってしまいそうだったので、その嘘を突き通すために、「ほら、あなたは弁護士の仕事で忙しいんでしょ、そんなところでゴニョゴニョ言ってないで、さっさと自分が抱えている例の案件に戻って仕事をしなさいよ!」と、「嘘がバレる元になりそうなロス」を会話から外させようとした発言なのかな、と思うわけです。
You get back on that case, honey! の that case の that には「距離感」があって、この後、訴えようとしている訴訟を指す指示語としても、どこか違和感を感じます。
「あの訴訟に戻りなさい」みたいに言うことで、看護師にはわからないけれど、ロスとレイチェルには「あの訴訟」だとわかる「ロスが今、取り組んでいる訴訟」が存在するかのように思わせることが可能だという気がするわけです。
「次は私の番よ!」と騒ぐレイチェルに、看護師は「次の患者はそれほど進行していないと思います」的なことを言っています。
be far along は「(遠くに・ずっと)進む、進捗する」というニュアンスですね。
それを I don't think で否定しているので、「今から来る患者は、すぐに産まれそう、というほど出産が進行していない」と言っていることになります。
それを聞いたレイチェルは安心した様子で、「じゃあ、その女性を中に入れて(もいいわ)」と言うのですが、、、
女性: OH... MY... GAWD!!! (Uh-huh, it's Janice.) という部分を読んだだけで笑ってしまいますね。
ほんとにジャニスという人は、いつもおいしいところで出てくるというか(笑)、シーズン8も今回がラスト2の23話ですし、そのエピソードの終わり近くにこんな形で出てくるところが、準レギュラーとも言えるジャニスの真骨頂という気がします。
ロスとレイチェルが固まっているところで、エンドクレジットとなるのですが、せっかくなので、ジャニスのシーンの説明をもう少し続けます。
意外なところで、ロスとレイチェルに再会したジャニスは「信じられない」と言い、ロスはそれを受けて、And yet, somehow, it's true! と言っていますね。
上で訳した通りの「それなのに、どうしたわけか、真実だ!」ということですが、ロスにしてみれば I can't believe this! と言いたいのはこっちの方だよ、というところでしょう。
ジャニスは「これって超最高よ! 私たち、ベビー友達になるのね!」と言って、ジャニス特有の「あの笑い」をするのですが、ト書きでも Does the laugh 「例の笑いをする」と書いてあるのが楽しいです。
「ジャニス笑い」w を聞いたロスが、Squeeze your legs together and cover the baby's ears! と言うのが面白いですね。
直訳通り、「君の(両)脚を締めて、赤ちゃんの耳を覆え!」と言っていることになります。
今、子宮口がいつもより開いていることもあるので、そこを通して、中にいる赤ちゃんがあのジャニスの笑い声を聞いてしまわないように、脚を締めることで、音が入るその穴をふさぐんだ!みたいなことを言っていることになるわけです。
「その部分」(笑)を通して音が聞こえる、という発想は、以前にもフレンズのジョークで使われたことがありました。
フレンズ1-9その4 で、元妻のキャロルの家で、お腹の赤ちゃんに話しかけようとするロス。
ロス: Where am I talking to here? (どこに話しかけたらいいの?)
There is one way that seems to offer a certain acoustical advantage, but... (音響学的な効果を生みそうな方法がひとつあるんだけど…)
普通、お腹の赤ちゃんに話しかける場合には、お腹に顔を近づけて話すものですが、ロスは「中にいる赤ちゃんに通じる出入り口」を通して話した方が音響学的にいいんじゃない?と言っているセリフなわけですね。
フレンズ8-23 に戻ります。
そこに一人の男性が枕を持って入ってきます。
ジャニスはその男性にスイートハートと呼び掛けて、「これが私の夫なの。シドよ」と説明し、「あなたは彼に会ったことないわよね」と言ってロスとレイチェルにシドを紹介しています。
I nabbed him a year ago at the dermatologist's office. について。
nab は「(人を)捕らえる、逮捕する」「(ものを)ひっつかむ、(人を)急いでつかまえる」。
dermatologist は「皮膚科(専門)医」なので、「1年前、皮膚科で彼を(ひっ)つかまえた」と言っているニュアンスになるでしょう。
日本語でも、「いい人、つかまえたわねぇ〜」みたいにいうことがありますので、ニュアンスは似ていますね。
acne は医学用語では「ざ瘡」(ざそう)と呼ばれるもので、にきび(pimples)などの皮膚病を指します。
ですからジャニスは「大人のにきび」みたいなもので皮膚科に行った時に、そこでシドと出会った、シドをつかまえた、と説明していることになります。
ちなみに、ニキビ治療クリームのことを「アクネクリーム」と言うことがありますが、そのアクネがこの acne のことのようですね。
英語の発音は「アクネ」と言うよりは「アクニ」という感じになります。
ト書きにまた Does the laugh と出てきますが、そのト書きだけで「ジャニスの例の笑い」が思い出されて笑ってしまう、、というのがシリーズものの楽しさというところですね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2014年11月10日
エンター・ザ・ドラゴンのenter フレンズ8-23その5
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は7位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
レイチェルの出産を病院で待っている間、フィービーはエレベーターホールで脚を骨折した男性と知り合います。いい感じになったのに、部屋番号を聞きそびれてしまったフィービーは、医者のふりをしたジョーイの助けも借りて、彼の部屋番号を受付の人から聞き出すことに成功。
ですが、フィービーは、彼がどんな人がまだわからないという理由で、彼の部屋に入ることに躊躇しています。
そこで、ジョーイに医者を演じてもらって、彼がどんな人かを先に探ってもらうという作戦を取ることに。
[Scene: Room 816, Dr. Drake Remoray is entering.]
816号室、ドクター・ドレイク・ラモレーが入ってくる。
ジョーイ: Hi! I'm Dr. Drake Remoray and I have a few routine questions I need to ask you. (やあ。私はドクター・ドレイク・ラモレーだ。君に尋ねなければならない、いくつかのお決まりの[定例の]質問があるんだ。)
男性: Really? I've been dealing with Dr. Wells. (本当に? 僕はずっとドクター・ウェルズが相手をしてくれてたんですけど。)
ジョーイ: I know, but I'm a neurologist. And just to be on the safe side, Dr. Wells wanted a more comprehensive overview of your status. So he sent me. (わかってるよ、でも僕は神経科医なんだ。そしてただ大事をとって、ドクター・ウェルズは君の状況をもっと総合的に概観することを求めていたんだよ。だから彼は私をここに寄こした。)
男性: Dr. Wells is a woman. (ドクター・ウェルズは女性です。)
ジョーイ: That was a test. Good response. All right. Full name. (今のはテストだ。いい反応だ。よし。フルネームは?)
男性: Clifford Burnett. (クリフォード・バネット。)
ジョーイ: Date of birth? (生年月日は?)
クリフ: November 16th, 1968. (1968年11月16日。)
ジョーイ: Age? (年齢は?)
クリフ: Can't you figure that out based on my date of birth? (僕の生年月日からそれを計算することできません?)
ジョーイ: I'm a doctor, Cliff, not a mathematician. (私は医者だよ、クリフ、数学者じゃない。)
クリフ: I'm 33. (僕は33歳です。)
ジョーイ: Okay. And uh, are you married. (わかった。それで君は結婚してるのか?)
クリフ: No. (いいえ。)
ジョーイ: Oh, really? So 33 and single? Would you say you have commitment issues? (おや、ほんとに? それじゃあ33歳で独身? コミットメント(人と深い関係になること)に問題を抱えてるとでも言うつもり?)
クリフ: Are all the questions this personal? (全ての質問はこんなに個人的なことなんですか?)
ジョーイ: (checking the list) Yes. ([リストをチェックしながら] そうだ。)
クリフ: Well uh if you must know, I'm a widower. (もしあなたがそれを知る必要があるのなら、、僕は男やもめですよ[妻を亡くしたんです]。)
ジョーイ: Oh, that's terrible. I'm-I'm really sorry. (おぉ、それは残念だな。ほんとに同情するよ。)
クリフ: Yeah. (ええ。)
ジョーイ: Hmm. Do you sleep with women and never call them again? (ふーん。君は女性と寝た後、その人たちに二度と電話はしないタイプ?)
クリフ: No. (そんなことしません。)
ジョーイ: Excellent! Excellent! And uh, finally, are you into any weird stuff, y'know, sexually? (最高だよ! 最高だ! それで、最後になるけど、君は何か変わったことに興味がある? ほら、性的なことで。)
クリフ: No! (そんなの、ないよ!)
ジョーイ: Oooh, wrong answer. (Exits.) (うー、その答えは間違いだな。[出て行く])
[Scene: Outside Room 816, Joey is briefing Phoebe on Cliff.]
816号室の外。ジョーイは、クリフのことを手短に説明中。
フィービー: What else? What else? (他に何か? 他に何か[わかった]?)
ジョーイ: Uh, well he's 33. (あぁ、彼は33歳だって。)
フィービー: Oh. Ah-uh. (あぁ、なるほど。)
ジョーイ: A widower. (男やもめだ。)
フィービー: Oh. (そうなの。)
ジョーイ: He seemed like a standup guy. Oh, and he's not into anything weird sexually. (彼は正々堂々とした[ちゃんとした]男のようだよ。あぁ、それから彼は性的に変なことには何も興味がないって。)
フィービー: Enter Pheebs! (フィービー登場!)
病室に入ったジョーイは、「君に尋ねる必要がある、2、3のルーティンの質問がある」と言っています。
「ルーティン(ルーチン)ワーク」のように日本語化しているのでイメージも湧きやすいですが、routine question は「お決まりの・決まりきった質問」ということですね。
それを聞いた患者の男性は驚いた様子で、「僕はずっと、ドクター・ウェルズと deal with してきていますが」みたいに答えています。
deal with は「〜を扱う、取り扱う」という意味で使うことが多いですが、この場合は「人と取引する」「〜を相手にする、〜に対応・応対する」というニュアンスが近いでしょう。
つまり、「ここの病院に入院してから、僕はずっとドクター・ウェルズを相手にしていた」ということですから、「ずっと僕の担当はウェルズ先生だった」と言っていることになります。
ジョーイは「それはわかってるが、僕は神経科医だ」と説明します。
be on the safe side は「大事をとって」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be on the safe side : to do something in order to be certain to avoid a bad situation
例) Just to be on the safe side, drink bottled water.
つまり、「悪い状況を確実に避けるために何かをすること」。例文は「ただ大事をとって、ボトルに入った水(ミネラルウォーター)を飲みなさい」。
comprehensive overview of your status は「君の状況の総合的な概観」で、要は「違う医師が違う視点で診ることで、君の状況をもっと総合的に判断できるようにとドクター・ウェルズは求めているんだ」と言っていることになるでしょう。
So he sent me. は「それで彼は私を(ここに)送った」ですから、「私をここに寄こした」ということですね。
ジョーイが he と言うのを聞いて、男性は「ウェルズ先生は女性です」と言っています。
基本的な間違いを突っ込まれてしまったジョーイは慌てることなく、「今のはテストだった。良い反応だね」と、わざと間違ったことをさりげなく盛り込んで、その間違いに気づくのを試すテストだったかのようなふりをしています。
ジョーイにしては、なかなかうまい切り返しですね。
ジョーイは名前と生年月日を聞いた後に年齢(age)を尋ねています。
今、生年月日を言ったんだから、それから計算したらわかるでしょう?とばかりに、男性(クリフ)は「僕の生年月日に基づいて、それ(僕の年齢)を計算することはできませんか?」と尋ねています。
figure out は「〜だとわかる」という意味でよく使われますが、この場合はもう少し限定された意味の「計算して答えを出す」ということですね。
「生年月日を言ったんだから、年齢は自動的にわかりますよね」的なことを言われたわけですが、ジョーイはそれに動じることもなく、「私は医者だ、クリフ、数学者じゃない」と答えています。
数学者であることが必要なほどの複雑な計算でもなく、ただ引き算するだけなのに、「私は医学が専門で、計算は専門外だ」と言っている面白さですね。
ちなみに、全くの余談ですが、"I'm a doctor, not a ..." という表現は、スタートレックでよく出てくる言い回しで、そのことについては過去記事、フレンズ2-22その11 で触れています。
参考までにそこで引用したセリフは、
(スタートレックTOS:宇宙大作戦より) 石のような宇宙生物を治療しろと言われて、
ドクター・マッコイ: I'm a doctor, not a bricklayer. (私は医者だ、レンガ(積み)職人[石屋]じゃない。
(映画「スタートレック ファーストコンタクト」より) ボーグという敵が部屋に入ろうとしているため、足止めのためにやつらの気をそらすように言われて、
EMH: I'm a doctor, not a doorstop. (私は医者ですよ。ドアのストッパーじゃない。)
スタートレックシリーズの中では、下のセリフは明らかに上のセリフへのオマージュだと思われますが、今回のジョーイのセリフはたまたまそれに似た感じだっただけで、スタートレックとは無関係だと思います(笑)。
I'm A, not B. 「俺は A だ。B じゃない」みたいなセリフは、よくあるパターンですし、たまたま、A = a doctor だったので、それを同じセリフをトレッキーの私が思い出してしまっただけ、ということです^^
スタートレックの場合は、「そうおっしゃるのもごもっとも」という感じのセリフですが、「生年月日から年齢は計算できますよね」と言われて、「私は医者だ。数学者じゃない」と答えるところに、ジョーイのズレ具合が出ていて面白いということですね。
年齢を聞いた後、ジョーイは既婚かどうかを尋ねています。
既婚じゃないと答えたクリフに、「33歳で独身? 君はコミットメント・イシューを持ってるとでも言うつもりか?」みたいに返します。
「33歳で独身?」と驚いたように言っていますが、似たような年齢のジョーイだって独身じゃないか、とツッコミたいところでもありますね^^
commitment はフレンズで何度も出てきた単語ですが、「特定の異性と深くかかわること、深い付き合いになること」という意味。
have commitment issues というのはそういう「コミットメントの問題を抱えている」ということで、軽いお遊び的に付き合うことはしても、長い期間付き合ってゆくゆくは結婚を考えるような深く真剣な付き合いは苦手、そういう関係からは逃げ腰になってしまう様子を言っています。
Would you say...? は「…だとかって言うつもり?」みたいなニュアンスですね。
恋愛関係のことを聞かれたので、クリフは「全ての質問はこんな風にパーソナル・個人的なんですか?」と尋ねています。
ジョーイは医者っぽく手元のリストを見るふりをして、「そうだ」と答えるのも面白いですね。
クリフは自分が a widower だと言っています。
widow だと「未亡人、寡婦(かふ)」で夫を亡くした女性のことですね。
widower はその男性版で、「妻を亡くした男性、男やもめ」ということになります。
奥さんを亡くしたと聞いて同情の言葉を述べた後、ジョーイは、Do you sleep with women and never call them again? と質問しています。
直訳すると、「君は女性(たち)と寝て、それからその人たちにもう一度電話することは決してない?」みたいなことですね。
Do you...? という「現在形」は、その人の習慣・習性を表していて、「君は女性と寝た後、その人たちに二度と電話したりはしないタイプ?」と尋ねている感覚になります。
クリフは No. と言って、僕はそんなことはしたりしない、そんなことはしないタイプだと答えます。
are you into any weird stuff, y'know, sexually? について。
この場合の into は「〜に関心・興味があって、〜に入れ込んで、〜にはまって」というニュアンス。
weird stuff は「ヘンなこと」ということで、それだけだと何とも漠然としていますが、その後に sexually と付け加えたことで、「君って、性的にヘンなこと(アブナイこと)に興味ある?」と尋ねていることになります。
「エッチの時に、アブノーマルなことしたりするの好きかな?」みたいな質問ですね。
お医者さんの質問がそれ?!みたいな、まさに「ヘンな」質問で、そんなことを聞かれて驚いた様子のクリフは即座にノーと否定します。
wrong answer は「間違った答え」ということですから、そんな風に答えるのは間違いだね、よくないね、とそれが期待外れの答えだったと言っていることになるでしょう。
ジョーイ的にはそういう趣味の人であれば楽しかったのに、、ということみたいですね^^
ジョーイは質問を終えた後、外で待っていたフィービーに結果報告をしています。
He seemed like a standup guy. の standup はここでは「正々堂々とした」というニュアンス。
LAAD では a stand-up guy として載っていて、
a stand-up guy : (approving) a man who other people like because he is honest and admits when he is wrong
つまり、「(賛成的な(つまり褒め言葉)) 他の人が好きだと思う男性、その人が正直で、間違っている時には認めるという人だからという理由で」。
質問に正直に答える、偽らない正々堂々とした感じの男だった、と言っていることになります。
そして「性的にヘンなことには興味がないって」とも言っています。
それを聞いたフィービーは満足げな顔をして、Enter Pheebs! と言って、部屋に入ることになります。
そのEnter Pheebs! という表現について。
「動詞の原形+人物名」という一見、妙なカタチをしていますが、意味としては「フィービー登場!」というニュアンスになります。
研究社 新英和中辞典では、
enter=【動】【自】[Enter で] 〔演劇〕 登場する (注:脚本のト書きではしばしば3人称命令法で用いる ⇔exit)
例) Enter Hamlet. ハムレット登場。
その説明にあるように、対義語は exit になります。
同じく、研究社 新英和中辞典で、exit の方の説明を見てみると、
exit=【動】【自】[Exit で] 〔演劇〕 退場する (注:脚本の卜書きで単数の主語の前に用いる ⇔enter 参照: exeunt)
例) Exit Hamlet. ハムレット退場。
どちらの例文にもシェークスピアのハムレットが使われていることから、二つが対義語であることも、脚本のト書きに使われる演劇用語であることも、よくわかる気がしますね。
実際、上で取り上げた今回のシーンの冒頭のト書きにも、Dr. Drake Remoray is entering のように enter という動詞が使われていますね。
このように「誰々が入ってくる」という形で、[entering] というト書きもよく出てきますが、「ここで(このタイミングで)誰々、登場!」という「(脚本家または監督からの)役者に対する指示」的な感覚の「登場」が、今回の「Enter+人物名」なのだろうと思います。
ちなみに、この「Enter+人物名」が英語の原題になっている有名な映画があります。
原題が Enter the Dragon であるその映画の邦題は、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」です。
英語学習者的には、"Don't Think. Feel!" 「考えるな、感じろ!」というセリフも有名ですね^^
原題の Enter the Dragon というのが、辞書の例文にあるような、Enter Hamlet. とか、今回のフレンズのセリフの、Enter Pheebs! などと同じ流れである「(人物)登場」という意味であることを学ぶのも、「生きた英語」を学ぶ楽しさだという気がしました。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
レイチェルの出産を病院で待っている間、フィービーはエレベーターホールで脚を骨折した男性と知り合います。いい感じになったのに、部屋番号を聞きそびれてしまったフィービーは、医者のふりをしたジョーイの助けも借りて、彼の部屋番号を受付の人から聞き出すことに成功。
ですが、フィービーは、彼がどんな人がまだわからないという理由で、彼の部屋に入ることに躊躇しています。
そこで、ジョーイに医者を演じてもらって、彼がどんな人かを先に探ってもらうという作戦を取ることに。
[Scene: Room 816, Dr. Drake Remoray is entering.]
816号室、ドクター・ドレイク・ラモレーが入ってくる。
ジョーイ: Hi! I'm Dr. Drake Remoray and I have a few routine questions I need to ask you. (やあ。私はドクター・ドレイク・ラモレーだ。君に尋ねなければならない、いくつかのお決まりの[定例の]質問があるんだ。)
男性: Really? I've been dealing with Dr. Wells. (本当に? 僕はずっとドクター・ウェルズが相手をしてくれてたんですけど。)
ジョーイ: I know, but I'm a neurologist. And just to be on the safe side, Dr. Wells wanted a more comprehensive overview of your status. So he sent me. (わかってるよ、でも僕は神経科医なんだ。そしてただ大事をとって、ドクター・ウェルズは君の状況をもっと総合的に概観することを求めていたんだよ。だから彼は私をここに寄こした。)
男性: Dr. Wells is a woman. (ドクター・ウェルズは女性です。)
ジョーイ: That was a test. Good response. All right. Full name. (今のはテストだ。いい反応だ。よし。フルネームは?)
男性: Clifford Burnett. (クリフォード・バネット。)
ジョーイ: Date of birth? (生年月日は?)
クリフ: November 16th, 1968. (1968年11月16日。)
ジョーイ: Age? (年齢は?)
クリフ: Can't you figure that out based on my date of birth? (僕の生年月日からそれを計算することできません?)
ジョーイ: I'm a doctor, Cliff, not a mathematician. (私は医者だよ、クリフ、数学者じゃない。)
クリフ: I'm 33. (僕は33歳です。)
ジョーイ: Okay. And uh, are you married. (わかった。それで君は結婚してるのか?)
クリフ: No. (いいえ。)
ジョーイ: Oh, really? So 33 and single? Would you say you have commitment issues? (おや、ほんとに? それじゃあ33歳で独身? コミットメント(人と深い関係になること)に問題を抱えてるとでも言うつもり?)
クリフ: Are all the questions this personal? (全ての質問はこんなに個人的なことなんですか?)
ジョーイ: (checking the list) Yes. ([リストをチェックしながら] そうだ。)
クリフ: Well uh if you must know, I'm a widower. (もしあなたがそれを知る必要があるのなら、、僕は男やもめですよ[妻を亡くしたんです]。)
ジョーイ: Oh, that's terrible. I'm-I'm really sorry. (おぉ、それは残念だな。ほんとに同情するよ。)
クリフ: Yeah. (ええ。)
ジョーイ: Hmm. Do you sleep with women and never call them again? (ふーん。君は女性と寝た後、その人たちに二度と電話はしないタイプ?)
クリフ: No. (そんなことしません。)
ジョーイ: Excellent! Excellent! And uh, finally, are you into any weird stuff, y'know, sexually? (最高だよ! 最高だ! それで、最後になるけど、君は何か変わったことに興味がある? ほら、性的なことで。)
クリフ: No! (そんなの、ないよ!)
ジョーイ: Oooh, wrong answer. (Exits.) (うー、その答えは間違いだな。[出て行く])
[Scene: Outside Room 816, Joey is briefing Phoebe on Cliff.]
816号室の外。ジョーイは、クリフのことを手短に説明中。
フィービー: What else? What else? (他に何か? 他に何か[わかった]?)
ジョーイ: Uh, well he's 33. (あぁ、彼は33歳だって。)
フィービー: Oh. Ah-uh. (あぁ、なるほど。)
ジョーイ: A widower. (男やもめだ。)
フィービー: Oh. (そうなの。)
ジョーイ: He seemed like a standup guy. Oh, and he's not into anything weird sexually. (彼は正々堂々とした[ちゃんとした]男のようだよ。あぁ、それから彼は性的に変なことには何も興味がないって。)
フィービー: Enter Pheebs! (フィービー登場!)
病室に入ったジョーイは、「君に尋ねる必要がある、2、3のルーティンの質問がある」と言っています。
「ルーティン(ルーチン)ワーク」のように日本語化しているのでイメージも湧きやすいですが、routine question は「お決まりの・決まりきった質問」ということですね。
それを聞いた患者の男性は驚いた様子で、「僕はずっと、ドクター・ウェルズと deal with してきていますが」みたいに答えています。
deal with は「〜を扱う、取り扱う」という意味で使うことが多いですが、この場合は「人と取引する」「〜を相手にする、〜に対応・応対する」というニュアンスが近いでしょう。
つまり、「ここの病院に入院してから、僕はずっとドクター・ウェルズを相手にしていた」ということですから、「ずっと僕の担当はウェルズ先生だった」と言っていることになります。
ジョーイは「それはわかってるが、僕は神経科医だ」と説明します。
be on the safe side は「大事をとって」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be on the safe side : to do something in order to be certain to avoid a bad situation
例) Just to be on the safe side, drink bottled water.
つまり、「悪い状況を確実に避けるために何かをすること」。例文は「ただ大事をとって、ボトルに入った水(ミネラルウォーター)を飲みなさい」。
comprehensive overview of your status は「君の状況の総合的な概観」で、要は「違う医師が違う視点で診ることで、君の状況をもっと総合的に判断できるようにとドクター・ウェルズは求めているんだ」と言っていることになるでしょう。
So he sent me. は「それで彼は私を(ここに)送った」ですから、「私をここに寄こした」ということですね。
ジョーイが he と言うのを聞いて、男性は「ウェルズ先生は女性です」と言っています。
基本的な間違いを突っ込まれてしまったジョーイは慌てることなく、「今のはテストだった。良い反応だね」と、わざと間違ったことをさりげなく盛り込んで、その間違いに気づくのを試すテストだったかのようなふりをしています。
ジョーイにしては、なかなかうまい切り返しですね。
ジョーイは名前と生年月日を聞いた後に年齢(age)を尋ねています。
今、生年月日を言ったんだから、それから計算したらわかるでしょう?とばかりに、男性(クリフ)は「僕の生年月日に基づいて、それ(僕の年齢)を計算することはできませんか?」と尋ねています。
figure out は「〜だとわかる」という意味でよく使われますが、この場合はもう少し限定された意味の「計算して答えを出す」ということですね。
「生年月日を言ったんだから、年齢は自動的にわかりますよね」的なことを言われたわけですが、ジョーイはそれに動じることもなく、「私は医者だ、クリフ、数学者じゃない」と答えています。
数学者であることが必要なほどの複雑な計算でもなく、ただ引き算するだけなのに、「私は医学が専門で、計算は専門外だ」と言っている面白さですね。
ちなみに、全くの余談ですが、"I'm a doctor, not a ..." という表現は、スタートレックでよく出てくる言い回しで、そのことについては過去記事、フレンズ2-22その11 で触れています。
参考までにそこで引用したセリフは、
(スタートレックTOS:宇宙大作戦より) 石のような宇宙生物を治療しろと言われて、
ドクター・マッコイ: I'm a doctor, not a bricklayer. (私は医者だ、レンガ(積み)職人[石屋]じゃない。
(映画「スタートレック ファーストコンタクト」より) ボーグという敵が部屋に入ろうとしているため、足止めのためにやつらの気をそらすように言われて、
EMH: I'm a doctor, not a doorstop. (私は医者ですよ。ドアのストッパーじゃない。)
スタートレックシリーズの中では、下のセリフは明らかに上のセリフへのオマージュだと思われますが、今回のジョーイのセリフはたまたまそれに似た感じだっただけで、スタートレックとは無関係だと思います(笑)。
I'm A, not B. 「俺は A だ。B じゃない」みたいなセリフは、よくあるパターンですし、たまたま、A = a doctor だったので、それを同じセリフをトレッキーの私が思い出してしまっただけ、ということです^^
スタートレックの場合は、「そうおっしゃるのもごもっとも」という感じのセリフですが、「生年月日から年齢は計算できますよね」と言われて、「私は医者だ。数学者じゃない」と答えるところに、ジョーイのズレ具合が出ていて面白いということですね。
年齢を聞いた後、ジョーイは既婚かどうかを尋ねています。
既婚じゃないと答えたクリフに、「33歳で独身? 君はコミットメント・イシューを持ってるとでも言うつもりか?」みたいに返します。
「33歳で独身?」と驚いたように言っていますが、似たような年齢のジョーイだって独身じゃないか、とツッコミたいところでもありますね^^
commitment はフレンズで何度も出てきた単語ですが、「特定の異性と深くかかわること、深い付き合いになること」という意味。
have commitment issues というのはそういう「コミットメントの問題を抱えている」ということで、軽いお遊び的に付き合うことはしても、長い期間付き合ってゆくゆくは結婚を考えるような深く真剣な付き合いは苦手、そういう関係からは逃げ腰になってしまう様子を言っています。
Would you say...? は「…だとかって言うつもり?」みたいなニュアンスですね。
恋愛関係のことを聞かれたので、クリフは「全ての質問はこんな風にパーソナル・個人的なんですか?」と尋ねています。
ジョーイは医者っぽく手元のリストを見るふりをして、「そうだ」と答えるのも面白いですね。
クリフは自分が a widower だと言っています。
widow だと「未亡人、寡婦(かふ)」で夫を亡くした女性のことですね。
widower はその男性版で、「妻を亡くした男性、男やもめ」ということになります。
奥さんを亡くしたと聞いて同情の言葉を述べた後、ジョーイは、Do you sleep with women and never call them again? と質問しています。
直訳すると、「君は女性(たち)と寝て、それからその人たちにもう一度電話することは決してない?」みたいなことですね。
Do you...? という「現在形」は、その人の習慣・習性を表していて、「君は女性と寝た後、その人たちに二度と電話したりはしないタイプ?」と尋ねている感覚になります。
クリフは No. と言って、僕はそんなことはしたりしない、そんなことはしないタイプだと答えます。
are you into any weird stuff, y'know, sexually? について。
この場合の into は「〜に関心・興味があって、〜に入れ込んで、〜にはまって」というニュアンス。
weird stuff は「ヘンなこと」ということで、それだけだと何とも漠然としていますが、その後に sexually と付け加えたことで、「君って、性的にヘンなこと(アブナイこと)に興味ある?」と尋ねていることになります。
「エッチの時に、アブノーマルなことしたりするの好きかな?」みたいな質問ですね。
お医者さんの質問がそれ?!みたいな、まさに「ヘンな」質問で、そんなことを聞かれて驚いた様子のクリフは即座にノーと否定します。
wrong answer は「間違った答え」ということですから、そんな風に答えるのは間違いだね、よくないね、とそれが期待外れの答えだったと言っていることになるでしょう。
ジョーイ的にはそういう趣味の人であれば楽しかったのに、、ということみたいですね^^
ジョーイは質問を終えた後、外で待っていたフィービーに結果報告をしています。
He seemed like a standup guy. の standup はここでは「正々堂々とした」というニュアンス。
LAAD では a stand-up guy として載っていて、
a stand-up guy : (approving) a man who other people like because he is honest and admits when he is wrong
つまり、「(賛成的な(つまり褒め言葉)) 他の人が好きだと思う男性、その人が正直で、間違っている時には認めるという人だからという理由で」。
質問に正直に答える、偽らない正々堂々とした感じの男だった、と言っていることになります。
そして「性的にヘンなことには興味がないって」とも言っています。
それを聞いたフィービーは満足げな顔をして、Enter Pheebs! と言って、部屋に入ることになります。
そのEnter Pheebs! という表現について。
「動詞の原形+人物名」という一見、妙なカタチをしていますが、意味としては「フィービー登場!」というニュアンスになります。
研究社 新英和中辞典では、
enter=【動】【自】[Enter で] 〔演劇〕 登場する (注:脚本のト書きではしばしば3人称命令法で用いる ⇔exit)
例) Enter Hamlet. ハムレット登場。
その説明にあるように、対義語は exit になります。
同じく、研究社 新英和中辞典で、exit の方の説明を見てみると、
exit=【動】【自】[Exit で] 〔演劇〕 退場する (注:脚本の卜書きで単数の主語の前に用いる ⇔enter 参照: exeunt)
例) Exit Hamlet. ハムレット退場。
どちらの例文にもシェークスピアのハムレットが使われていることから、二つが対義語であることも、脚本のト書きに使われる演劇用語であることも、よくわかる気がしますね。
実際、上で取り上げた今回のシーンの冒頭のト書きにも、Dr. Drake Remoray is entering のように enter という動詞が使われていますね。
このように「誰々が入ってくる」という形で、[entering] というト書きもよく出てきますが、「ここで(このタイミングで)誰々、登場!」という「(脚本家または監督からの)役者に対する指示」的な感覚の「登場」が、今回の「Enter+人物名」なのだろうと思います。
ちなみに、この「Enter+人物名」が英語の原題になっている有名な映画があります。
原題が Enter the Dragon であるその映画の邦題は、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」です。
英語学習者的には、"Don't Think. Feel!" 「考えるな、感じろ!」というセリフも有名ですね^^
原題の Enter the Dragon というのが、辞書の例文にあるような、Enter Hamlet. とか、今回のフレンズのセリフの、Enter Pheebs! などと同じ流れである「(人物)登場」という意味であることを学ぶのも、「生きた英語」を学ぶ楽しさだという気がしました。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2014年11月06日
バカなメートル法 フレンズ8-23その4
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は6位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
破水したので病院にやってきたレイチェルは、陣痛室で待機中。
[Scene: The Semi-Private Labor Room, Dr. Long is checking on Rachel again.]
相部屋の陣痛室。ロング先生が再びレイチェルを診察しているところ。
レイチェル: Dr. Long, I've been at this for 17 hours! Three women have come and gone with their babies. You gotta give me some good news! How many centimeters am I dilated? Eight? Nine? (ロング先生、私は17時間もずっとこの状態でいるのよ! 3人の女性がやってきて、赤ちゃんと共に去って行った。何かいいニュースをちょうだい! 私は何センチ広がってる? 8センチ? 9センチ?)
ロング先生: Three. (3センチよ。)
ロス: Just 3?! I'm dilated 3! (たったの3センチ? 僕だって3センチ(くらい)広がってるよ。)
ロング先生: We are moving along, just slowly. (Rachel lies back and sighs.) Don't worry, you're doing great. I'll be back soon. (Exits.) (前に進んでるわ、ただゆっくりとね。[レイチェルは仰向けになり、ため息をつく] 心配しないで、よくやってるわ。すぐに戻るわね。[部屋を出て行く])
ロス: Thank you. (ありがとう。)
レイチェル: Hey, y'know what? I'm not waiting! I'm gonna push this baby out! I'm doing it! I mean it's what? Three centimeters? That's gotta be like this, right? (Holds her hands a couple inches apart.) (ねぇ。私は待たないわ! 私はこの赤ちゃんを押し出すわよ! そうするわ! だってそれって何? 3センチ? それってこのくらいでしょ? [2、3インチの幅に手を広げる])
ロス: Actually it's more like this. (Pushes her hands to less than an inch apart.) (実際には、もっとこういう感じだ。[レイチェルの手を1インチ以下になるように押す])
レイチェル: Oh, stupid metric system! (あぁ、バカなメートル法[メーター法]め!)
(Another woman with a nurse and doctor enter, the woman is screaming.)
別の女性が看護師と医者と一緒に入ってくる、女性は叫んでいる。
医者: Oh my. We're gonna need to take you straight to the delivery room. (なんてことだ。君を直接、分娩室に連れて行かなければ。)
レイチェル: Oh, for the love of God! (もう、なんてこと!)
レイチェルは、I've been at this for 17 hours! と言っています。
こういう状態を17時間も続けてるのよ、ということですね。
そして、「3人の女性がやってきて、赤ちゃんと共に去って行った」とも言っています。
レイチェルが17時間ずっとこうしている間に、3人の女性が出産を済ませて出て行った、と言っていることになりますね。
気持ちが折れかけているレイチェルは、「何かいいニュースをくれなければいけない」みたいに言っています。
何か朗報があれば頑張る気力も湧いてくるから、みたいなことですね。
How many centimeters am I dilated? について。
ここでの dilate は「(体の一部を)広げる」という他動詞。
直訳すると、「私は何センチ、広げられている?」と尋ねていることになります。
今は出産の過程ですから、広げるというと、分娩室に行く目安となる「子宮口が何センチ広がっているか」という話をしていることになります。
出産の話では、子宮口が何センチ開いているか、という話題がよく出てきます。
過去記事、フレンズ1-23その5 でも、
ジョーイ: Relax! You're only at nine centimeters, and the baby's at zero station. (落ち着けよ! 子宮口はまだ9cmだぞ。赤ちゃんはまだ出発地点だよ。)
というセリフがありました。
実は、dilate という単語については、フレンズ8-15 The One With The Birthing Video (訳すと「出産ビデオの話」)に出てきていました。(やっぱり、出産がらみの話ですね^^)
ブログの解説では(ちょっと話が生々しかったこともありw)飛ばしてしまったのですが、dilate という単語は、以下のセリフで登場しました。
レイチェルが出産間近ということで、フィービーが参考のために自分の友達の出産ビデオを持ってきて、それを「モニカがプレゼントとしてくれたエッチビデオ」だと勘違いして見てしまったチャンドラーが、モニカにその映像のことを語っているシーンでした。
チャンドラー: It's yelling... bleeding... dilating. Oh, the dilating... (叫んでた…出血してた…広がってた…あぁ、広がってた…)
She's yelling (または She was yelling)だったら、「(そのビデオの中の)女性は叫んでた」になるでしょうが、ここでは、It's yelling となっていますので、英語のニュアンス的には、このセリフは、「それ(俺が見たもの)は叫ぶこと、出血すること、広がること」みたいな動名詞の感覚だと思います。
とにかく、そのビデオの中で起きていた出来事を、動名詞で箇条書きのように並べるしかできないところに、チャンドラーのショック具合がよく出ていると思えるわけで、「叫び、出血、広がり」みたいに名詞っぽく訳してもいいかもしれません。
挙げた3つの項目それぞれに対してショックを受けているようですが、dilating という言葉を3つ目に言った後、自分の言葉にはっとしたように「そうだ、広がってた」と繰り返していることからも、それがチャンドラーにとって一番強烈な映像だったことがわかりますね。
普段はエッチな視点(笑)でしか見ていない場所が、そのように広がっていたことに茫然としてしまっているということです。
子宮口は何センチ開いてる? 8センチ? 9センチ?と尋ねたレイチェルに、先生の答えは「3センチ」。
聞いたレイチェルもがっくりだったと思いますが、そこでロスが Just 3?! I'm dilated 3! と叫ぶのが面白いですね。
男の僕でも、どっかそのあたり(?)が3センチくらいなら開いてるんじゃないの?と思えるくらい、「出産間近のはずなのに、まだたったの3センチなのか?」と驚きあきれていることになるでしょう。
先生は「出産の過程は進行しているわ、ただゆっくりだけどね」と言って、「あなたはよくやってるわよ」と励まし、部屋を出て行きます。
まだ3センチと聞いたレイチェルは「私は(赤ちゃんが出てくるのを、ただ)待ったりしないわ。私がこの赤ちゃんを(力づくで)押し出してやる!」みたいに言っています。
そして、「だって、3センチって言ったら、もうこのくらいは開いてるってことでしょ?」みたいに言って、手を2、3インチ(1インチ=2.54センチなので、5センチから7.6センチくらい)広げてみせます。
それを見たロスは、「3センチって言ったら、実際にはもっとこれくらいの幅だよ」というように、レイチェルが広げた手を押してせばめます。
その後、レイチェルが Oh, stupid metric system! と憎々しげに言うのが面白いですね。
まさに「バカなメートル法!」ということで、これは、インチ、フィート、ヤードを使うアメリカならではの(メートル法が基本の日本ではまず聞かれない)セリフだと言えるでしょう。
さきほど上でリンクした、フレンズ1-23その5 でも、「アメリカはあまりセンチメートルという単位を使わず、身長もインチで表すことが多いですが、医学的なことはやはり国際単位系のメートル法で表すようですね」と書いたのですが、そんな時だけ「センチ」を使う、というのは、アメリカ人にとって少し不思議な感覚なのかもしれませんね。
そういう意識がみんなの中にあるから、レイチェルの「バカなメートル法!」というセリフにも笑えてしまうんだろうと思います。
メートル法だろうが、ヤード・ポンド法だろうが、今のレイチェルの子宮口の広がっている長さは何も変わらないわけですが(笑)、「3」という数字を聞くと、「3センチ」じゃなくて「3インチ」くらいの長さを想像してしまうので、それなら結構開いてるじゃない、とレイチェルとしては思ってしまう、でも、メートル法で言うと「3センチ」というのは「3インチ」よりもかなり小さいので、「もう、そんな変な測り方しないでよ! メートル法っておかしいんじゃないの?!」と、メートル法に八つ当たりしてしまう、ということなわけですね。
そんな風に怒っているところに、また別の女性が入ってきます。
そしてその女性は、かなり産気づいていたので、医者は「このまま直接、分娩室に向かうぞ」と言って、レイチェルの部屋に入ることもなく、分娩室に向かうことになります。
さきほど、「私が全然産気づかないで苦しんでいる間に、3人の女性が出産するために去って行った」と言っていたばかりなのに、今度の人はそれよりさらにすごくて、この部屋に立ち寄ることもなかった、というところに、レイチェルのショックはいかばかりかと思うわけです。
日本語版DVD では、ここでシーンが終わっているのですが、ネットスクリプトにはこの後、続きがありました。
日本語版ではカットされてしまったシーンということになりますね。
ちょっと面白いので、そのカットされた部分のスクリプトをご紹介させていただくと、以下のようになっていました。
出産しようとしている女性(Woman Giving Birth): (yelling from the hallway) It's coming! It's coming! ([廊下から叫び声] 来るわ、来るわ!)
医者: And here it is! (The baby cries.) (さぁ、来たよ! [赤ちゃんが泣く])
レイチェル: Oh come on!!(もう、勘弁して!)
ト書きの「赤ちゃんが泣く」からわかるように、分娩室に行く前の廊下にいる間に、その女性は出産してしまった、ということですね。
レイチェルのいる陣痛室に入ることもなく分娩室に直行しただけでもすごいのに、分娩室に入るまでの廊下で赤ちゃんが生まれてしまったわけですから、17時間もこんな状態が続いているレイチェルにしてみれば、彼女のあまりのスピーディー出産に、理不尽さを感じずにはいられない、というところですね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
破水したので病院にやってきたレイチェルは、陣痛室で待機中。
[Scene: The Semi-Private Labor Room, Dr. Long is checking on Rachel again.]
相部屋の陣痛室。ロング先生が再びレイチェルを診察しているところ。
レイチェル: Dr. Long, I've been at this for 17 hours! Three women have come and gone with their babies. You gotta give me some good news! How many centimeters am I dilated? Eight? Nine? (ロング先生、私は17時間もずっとこの状態でいるのよ! 3人の女性がやってきて、赤ちゃんと共に去って行った。何かいいニュースをちょうだい! 私は何センチ広がってる? 8センチ? 9センチ?)
ロング先生: Three. (3センチよ。)
ロス: Just 3?! I'm dilated 3! (たったの3センチ? 僕だって3センチ(くらい)広がってるよ。)
ロング先生: We are moving along, just slowly. (Rachel lies back and sighs.) Don't worry, you're doing great. I'll be back soon. (Exits.) (前に進んでるわ、ただゆっくりとね。[レイチェルは仰向けになり、ため息をつく] 心配しないで、よくやってるわ。すぐに戻るわね。[部屋を出て行く])
ロス: Thank you. (ありがとう。)
レイチェル: Hey, y'know what? I'm not waiting! I'm gonna push this baby out! I'm doing it! I mean it's what? Three centimeters? That's gotta be like this, right? (Holds her hands a couple inches apart.) (ねぇ。私は待たないわ! 私はこの赤ちゃんを押し出すわよ! そうするわ! だってそれって何? 3センチ? それってこのくらいでしょ? [2、3インチの幅に手を広げる])
ロス: Actually it's more like this. (Pushes her hands to less than an inch apart.) (実際には、もっとこういう感じだ。[レイチェルの手を1インチ以下になるように押す])
レイチェル: Oh, stupid metric system! (あぁ、バカなメートル法[メーター法]め!)
(Another woman with a nurse and doctor enter, the woman is screaming.)
別の女性が看護師と医者と一緒に入ってくる、女性は叫んでいる。
医者: Oh my. We're gonna need to take you straight to the delivery room. (なんてことだ。君を直接、分娩室に連れて行かなければ。)
レイチェル: Oh, for the love of God! (もう、なんてこと!)
レイチェルは、I've been at this for 17 hours! と言っています。
こういう状態を17時間も続けてるのよ、ということですね。
そして、「3人の女性がやってきて、赤ちゃんと共に去って行った」とも言っています。
レイチェルが17時間ずっとこうしている間に、3人の女性が出産を済ませて出て行った、と言っていることになりますね。
気持ちが折れかけているレイチェルは、「何かいいニュースをくれなければいけない」みたいに言っています。
何か朗報があれば頑張る気力も湧いてくるから、みたいなことですね。
How many centimeters am I dilated? について。
ここでの dilate は「(体の一部を)広げる」という他動詞。
直訳すると、「私は何センチ、広げられている?」と尋ねていることになります。
今は出産の過程ですから、広げるというと、分娩室に行く目安となる「子宮口が何センチ広がっているか」という話をしていることになります。
出産の話では、子宮口が何センチ開いているか、という話題がよく出てきます。
過去記事、フレンズ1-23その5 でも、
ジョーイ: Relax! You're only at nine centimeters, and the baby's at zero station. (落ち着けよ! 子宮口はまだ9cmだぞ。赤ちゃんはまだ出発地点だよ。)
というセリフがありました。
実は、dilate という単語については、フレンズ8-15 The One With The Birthing Video (訳すと「出産ビデオの話」)に出てきていました。(やっぱり、出産がらみの話ですね^^)
ブログの解説では(ちょっと話が生々しかったこともありw)飛ばしてしまったのですが、dilate という単語は、以下のセリフで登場しました。
レイチェルが出産間近ということで、フィービーが参考のために自分の友達の出産ビデオを持ってきて、それを「モニカがプレゼントとしてくれたエッチビデオ」だと勘違いして見てしまったチャンドラーが、モニカにその映像のことを語っているシーンでした。
チャンドラー: It's yelling... bleeding... dilating. Oh, the dilating... (叫んでた…出血してた…広がってた…あぁ、広がってた…)
She's yelling (または She was yelling)だったら、「(そのビデオの中の)女性は叫んでた」になるでしょうが、ここでは、It's yelling となっていますので、英語のニュアンス的には、このセリフは、「それ(俺が見たもの)は叫ぶこと、出血すること、広がること」みたいな動名詞の感覚だと思います。
とにかく、そのビデオの中で起きていた出来事を、動名詞で箇条書きのように並べるしかできないところに、チャンドラーのショック具合がよく出ていると思えるわけで、「叫び、出血、広がり」みたいに名詞っぽく訳してもいいかもしれません。
挙げた3つの項目それぞれに対してショックを受けているようですが、dilating という言葉を3つ目に言った後、自分の言葉にはっとしたように「そうだ、広がってた」と繰り返していることからも、それがチャンドラーにとって一番強烈な映像だったことがわかりますね。
普段はエッチな視点(笑)でしか見ていない場所が、そのように広がっていたことに茫然としてしまっているということです。
子宮口は何センチ開いてる? 8センチ? 9センチ?と尋ねたレイチェルに、先生の答えは「3センチ」。
聞いたレイチェルもがっくりだったと思いますが、そこでロスが Just 3?! I'm dilated 3! と叫ぶのが面白いですね。
男の僕でも、どっかそのあたり(?)が3センチくらいなら開いてるんじゃないの?と思えるくらい、「出産間近のはずなのに、まだたったの3センチなのか?」と驚きあきれていることになるでしょう。
先生は「出産の過程は進行しているわ、ただゆっくりだけどね」と言って、「あなたはよくやってるわよ」と励まし、部屋を出て行きます。
まだ3センチと聞いたレイチェルは「私は(赤ちゃんが出てくるのを、ただ)待ったりしないわ。私がこの赤ちゃんを(力づくで)押し出してやる!」みたいに言っています。
そして、「だって、3センチって言ったら、もうこのくらいは開いてるってことでしょ?」みたいに言って、手を2、3インチ(1インチ=2.54センチなので、5センチから7.6センチくらい)広げてみせます。
それを見たロスは、「3センチって言ったら、実際にはもっとこれくらいの幅だよ」というように、レイチェルが広げた手を押してせばめます。
その後、レイチェルが Oh, stupid metric system! と憎々しげに言うのが面白いですね。
まさに「バカなメートル法!」ということで、これは、インチ、フィート、ヤードを使うアメリカならではの(メートル法が基本の日本ではまず聞かれない)セリフだと言えるでしょう。
さきほど上でリンクした、フレンズ1-23その5 でも、「アメリカはあまりセンチメートルという単位を使わず、身長もインチで表すことが多いですが、医学的なことはやはり国際単位系のメートル法で表すようですね」と書いたのですが、そんな時だけ「センチ」を使う、というのは、アメリカ人にとって少し不思議な感覚なのかもしれませんね。
そういう意識がみんなの中にあるから、レイチェルの「バカなメートル法!」というセリフにも笑えてしまうんだろうと思います。
メートル法だろうが、ヤード・ポンド法だろうが、今のレイチェルの子宮口の広がっている長さは何も変わらないわけですが(笑)、「3」という数字を聞くと、「3センチ」じゃなくて「3インチ」くらいの長さを想像してしまうので、それなら結構開いてるじゃない、とレイチェルとしては思ってしまう、でも、メートル法で言うと「3センチ」というのは「3インチ」よりもかなり小さいので、「もう、そんな変な測り方しないでよ! メートル法っておかしいんじゃないの?!」と、メートル法に八つ当たりしてしまう、ということなわけですね。
そんな風に怒っているところに、また別の女性が入ってきます。
そしてその女性は、かなり産気づいていたので、医者は「このまま直接、分娩室に向かうぞ」と言って、レイチェルの部屋に入ることもなく、分娩室に向かうことになります。
さきほど、「私が全然産気づかないで苦しんでいる間に、3人の女性が出産するために去って行った」と言っていたばかりなのに、今度の人はそれよりさらにすごくて、この部屋に立ち寄ることもなかった、というところに、レイチェルのショックはいかばかりかと思うわけです。
日本語版DVD では、ここでシーンが終わっているのですが、ネットスクリプトにはこの後、続きがありました。
日本語版ではカットされてしまったシーンということになりますね。
ちょっと面白いので、そのカットされた部分のスクリプトをご紹介させていただくと、以下のようになっていました。
出産しようとしている女性(Woman Giving Birth): (yelling from the hallway) It's coming! It's coming! ([廊下から叫び声] 来るわ、来るわ!)
医者: And here it is! (The baby cries.) (さぁ、来たよ! [赤ちゃんが泣く])
レイチェル: Oh come on!!(もう、勘弁して!)
ト書きの「赤ちゃんが泣く」からわかるように、分娩室に行く前の廊下にいる間に、その女性は出産してしまった、ということですね。
レイチェルのいる陣痛室に入ることもなく分娩室に直行しただけでもすごいのに、分娩室に入るまでの廊下で赤ちゃんが生まれてしまったわけですから、17時間もこんな状態が続いているレイチェルにしてみれば、彼女のあまりのスピーディー出産に、理不尽さを感じずにはいられない、というところですね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2014年10月31日
人の死に責任がある フレンズ8-23その3
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は10位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
フィービーは、エレベーターホールで足を骨折して車椅子に乗った男性と知り合います。いいムードになったのに、相手の名前や部屋番号を聞き損ねてしまったフィービーは、受付に行って、彼の情報を聞き出そうとしているところ。
フィービー: (to the nurse) Excuse me? Could you help me with something? The patient I'm looking for has a broken leg and he's in a wheelchair. And umm, he's like early to mid-30s, very attractive. ([看護師に] すみません。ちょっと助けてもらえますか? 私が捜している患者さんは、足を骨折してて、車椅子に乗ってるの。それから、彼は30代前半から半ばくらいで、とっても魅力的なのよ。)
看護師: I think I know who you're talking about. (あなたが誰のことを言っているのかわかりますよ。)
フィービー: Oh yay! Great! Okay, what room number is he in? (あぁ、やったー。最高! で、彼がいる部屋番号は何番?)
看護師: I'm sorry. That information is restricted to hospital staff.... (申し訳ありません。その情報は病院スタッフに制限されていまして…)
ジョーイ: (walks up) Uh, she's with me. (Introduces himself) Dr. Drake Remoray. ([歩いて近づいてきて] あぁ、彼女は私の連れなんだ。[自己紹介する] ドクター・ドレイク・ラモレーだ。)
看護師: Dr. Drake who? (ドクター・ドレイク・誰、ですって?)
ジョーイ: Remoray. It's Portuguese. We need that information. I'm a doctor. (ラモレーだ。ポルトガル系だよ。我々にはその情報が必要なんだ。私は医者だ。)
看護師: A doctor at this hospital? (この病院の医師ですか?)
ジョーイ: Damn it, woman! We're losing precious time! Now do you want this man's blood on your head? (おい、君! 我々は貴重な時間を失いつつあるんだ! さあ、この男の血を君の頭の上に欲しいかね?)
フィービー: Hands. (手よ。)
ジョーイ: Hands! It is absolutely essential that you tell me what room the man my assistant described is staying in. He's a patient of mine, I've been treating him for years! (手、だ! 私の助手が言った男性がどの部屋に滞在しているかを君が私に話すことは絶対的に不可欠なことだ。彼は私の患者だ。彼を何年も診てきているんだぞ。)
看護師: He's in room 816. (彼は816号室です。)
ジョーイ: 816. Thank you! (816号室ね。ありがとう!)
フィービー: Thank you. (Starts to exit.) (ありがとう。[出て行こうとする])
(Joey starts to leave, but stops.)
ジョーイは行こうとして、立ち止まる。
ジョーイ: And what is his name? (それで、彼の名前は何?)
フィービー: (coming back for Joey) No! (Grabs Joey and drags him away.) ([ジョーイのために戻ってきて] だめよ! [ジョーイを掴んで、彼を向こうに引っ張って行く])
せっかく素敵な男性とお知り合いになったのに、部屋番号などを聞きそびれたため、フィービーは受付に直接尋ねる手段を取っています。
The patient I'm looking for has a broken leg and he's in a wheelchair. は少し長めのセリフですが、The patient I'm looking for / has a broken leg という切れ目になりますね。
「私が捜しているその患者は、折れた・骨折した脚を持っている」ということですから、「私が捜している患者は、脚を骨折している」と言っていることになります。
wheelchair は「車椅子」ですね。
he's like early to mid-30s (mid-thirties) というのは、30(歳)代前半から半ば、ということですね。
英辞郎には、
mid to late thirties=《one's 〜》(人)の30(歳)代半ばから後半
というフレーズが載っていましたが、前半から半ばなら、early to mid で、半ばから後半なら、mid to late になるということですね。
フィービーの説明で、受付の看護師は誰のことだかわかったようで、「あなたが誰のことを言っているのかわかると思う」と言います。
それを聞いたフィービーは喜び、「彼がいる部屋番号は何番?」と尋ねるのですが、看護師は「その情報は、病院のスタッフに制限されている」と答えます。
規則で患者の個人情報は教えられない、というところですが、そこにジョーイが近づいてきて、「ドクター・ドレイク・ラモレーだ」と自己紹介して、医者のふりをしているのに笑えます。
自分が出演しているソープオペラ Days of Our Lives での役柄、医師のドレイク・ラモレーの演技をして、ここの病院のスタッフであるふりをしようとしているわけです。
受付の人は、Remoray という名前(英語の発音的には「ラモォレィ」という感じ)になじみや聞き覚えがなかったようで、その部分を、「ドクター・ドレーク・誰、ですって?」と who を使って聞き返しています。
It's Portuguese. というのは「ポルトガル系」ということで、「ポルトガル系の名前だ」と言いたいわけですね。
ジョーイはすっかり、ドレイク・ラモレー役になりきって、「我々にはその情報(彼の部屋番号)が必要だ」と言いますが、看護師はジョーイに見覚えがないと思ったのでしょう、「(あなたは)この病院の医師ですか?」と、結構、ダイレクトに尋ねています。
それを聞いたジョーイは、ばかなことを言うな、今はそれどころじゃない、とでも言うように、We're losing precious time! と怒った様子で言っています。
「貴重な時間を失う」が、現在進行形になっていますが、「失っている」と訳すよりも、「失いつつある」と訳した方がニュアンスが出る気がします。
その次のジョーイのセリフ、Now do you want this man's blood on your head? について。
そう言った直後に、フィービーに Hands. と訂正されていることから、ジョーイがイディオムか何かを言い間違えたらしいことが想像できます。
辞書で blood の項目を調べてみると、それらしいものがありました。
研究社 新英和中辞典では、
have a person's blood on one's hands=人の死[不幸]に責任がある
と出ています。
直訳すると、「ある人の血が、その人の手の上にある」ということで、似た感じの日本語で言うと、「誰かの生死がその人の手中にある、その人の手にかかっている」ということになるでしょう。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
have somebody's blood on your hands : to have caused someone's death
つまり、「誰かの死を引き起こしてしまうこと」。
フィービーに訂正されたようにジョーイのセリフを正しいものにすると、want this man's blood on your hands? ということになりますね。
このセリフでは、have ではなくて、want になっていますが、いわば、want to have this man's blood on your hands ということで、「この男の死の責任を君は持ちたいのかね?」と言っている感覚になるでしょう。
私が早く処置をしないと彼は死ぬかもしれない。部屋番号を教えないことで、君は彼の死の責任を持ちたいのかね?ということですね。
It is absolutely essential that... は「(that 以下が)絶対的に不可欠である」。
ジョーイがドクター・ラモレー役で使っているであろう、医者っぽい言い回しを多用している感じが出ていますね。
you tell me what room the man my assistant described is staying in. というのはちょっと長い文章ですが、こういうものはとにかく聞こえた順番にイメージして、その次に来る言葉を待ち構える気持ちで聞けるようになるといいですね。
you tell me what room は、「どの部屋かを私に言う」で、その後、その部屋を説明する言葉が続きます。
the man (my assistant described) is staying in. ということで、私のアシスタント(フィービーのこと)が述べた[言った]その男が(どの部屋に)現在滞在中であるか、ということになります。
I've been treating him for years! は継続を表す現在完了進行形ですね。
「ずーっと何年も私は彼を治療してきたんだ」と言っていることになります。
フィービーが言っていたように、その彼は「脚を骨折して車椅子に乗っている患者」ですから、何年間も医者が診察しないといけないような長期療養が必要な患者ではなさそうですし、長年彼を診ていたのなら、部屋番号を知らないのはおかしいし、、など、いろいろツッコミどころ満載(笑)なのですが、そういうつじつまの合わないことを飛び越えて、医者っぽい威圧的な態度でまくしたてているところに、昼メロで医者を演じてきたジョーイの熱演が見える気がして、面白いわけでしょう。
もっともらしいことを言わずにめちゃくちゃなことを言っているのがジョーイっぽい、ということですね。
ジョーイの権幕に押されてか、あるいは胡散臭いと思いつつもこんなめんどくさい人の相手をするのはいやだと思ったのか(笑)、看護師はその患者の部屋番号を教えることになります。
とにかくその情報だけが知りたかったフィービーは、ありがとう、と言って、これ以上怪しまれないうちにその場を立ち去ろうとするのですが、ジョーイはわざわざ立ち止まって、「それで彼の名前は何?」と受付の女性に尋ねます。
長年彼を診てきた医者が彼の名前を知らないのはあまりにもおかしいわけで、フィービーは慌ててジョーイを引っ張って行くことになります。
「普段、医者役を演じていることから、医者っぽい言い方で医者のふりをすることはできても、話の内容がどっか”ぬけている”」というところにジョーイっぽさが出ていて、それがこのシーンのポイントになっていることが、この最後のセリフから改めてわかる気がします。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
フィービーは、エレベーターホールで足を骨折して車椅子に乗った男性と知り合います。いいムードになったのに、相手の名前や部屋番号を聞き損ねてしまったフィービーは、受付に行って、彼の情報を聞き出そうとしているところ。
フィービー: (to the nurse) Excuse me? Could you help me with something? The patient I'm looking for has a broken leg and he's in a wheelchair. And umm, he's like early to mid-30s, very attractive. ([看護師に] すみません。ちょっと助けてもらえますか? 私が捜している患者さんは、足を骨折してて、車椅子に乗ってるの。それから、彼は30代前半から半ばくらいで、とっても魅力的なのよ。)
看護師: I think I know who you're talking about. (あなたが誰のことを言っているのかわかりますよ。)
フィービー: Oh yay! Great! Okay, what room number is he in? (あぁ、やったー。最高! で、彼がいる部屋番号は何番?)
看護師: I'm sorry. That information is restricted to hospital staff.... (申し訳ありません。その情報は病院スタッフに制限されていまして…)
ジョーイ: (walks up) Uh, she's with me. (Introduces himself) Dr. Drake Remoray. ([歩いて近づいてきて] あぁ、彼女は私の連れなんだ。[自己紹介する] ドクター・ドレイク・ラモレーだ。)
看護師: Dr. Drake who? (ドクター・ドレイク・誰、ですって?)
ジョーイ: Remoray. It's Portuguese. We need that information. I'm a doctor. (ラモレーだ。ポルトガル系だよ。我々にはその情報が必要なんだ。私は医者だ。)
看護師: A doctor at this hospital? (この病院の医師ですか?)
ジョーイ: Damn it, woman! We're losing precious time! Now do you want this man's blood on your head? (おい、君! 我々は貴重な時間を失いつつあるんだ! さあ、この男の血を君の頭の上に欲しいかね?)
フィービー: Hands. (手よ。)
ジョーイ: Hands! It is absolutely essential that you tell me what room the man my assistant described is staying in. He's a patient of mine, I've been treating him for years! (手、だ! 私の助手が言った男性がどの部屋に滞在しているかを君が私に話すことは絶対的に不可欠なことだ。彼は私の患者だ。彼を何年も診てきているんだぞ。)
看護師: He's in room 816. (彼は816号室です。)
ジョーイ: 816. Thank you! (816号室ね。ありがとう!)
フィービー: Thank you. (Starts to exit.) (ありがとう。[出て行こうとする])
(Joey starts to leave, but stops.)
ジョーイは行こうとして、立ち止まる。
ジョーイ: And what is his name? (それで、彼の名前は何?)
フィービー: (coming back for Joey) No! (Grabs Joey and drags him away.) ([ジョーイのために戻ってきて] だめよ! [ジョーイを掴んで、彼を向こうに引っ張って行く])
せっかく素敵な男性とお知り合いになったのに、部屋番号などを聞きそびれたため、フィービーは受付に直接尋ねる手段を取っています。
The patient I'm looking for has a broken leg and he's in a wheelchair. は少し長めのセリフですが、The patient I'm looking for / has a broken leg という切れ目になりますね。
「私が捜しているその患者は、折れた・骨折した脚を持っている」ということですから、「私が捜している患者は、脚を骨折している」と言っていることになります。
wheelchair は「車椅子」ですね。
he's like early to mid-30s (mid-thirties) というのは、30(歳)代前半から半ば、ということですね。
英辞郎には、
mid to late thirties=《one's 〜》(人)の30(歳)代半ばから後半
というフレーズが載っていましたが、前半から半ばなら、early to mid で、半ばから後半なら、mid to late になるということですね。
フィービーの説明で、受付の看護師は誰のことだかわかったようで、「あなたが誰のことを言っているのかわかると思う」と言います。
それを聞いたフィービーは喜び、「彼がいる部屋番号は何番?」と尋ねるのですが、看護師は「その情報は、病院のスタッフに制限されている」と答えます。
規則で患者の個人情報は教えられない、というところですが、そこにジョーイが近づいてきて、「ドクター・ドレイク・ラモレーだ」と自己紹介して、医者のふりをしているのに笑えます。
自分が出演しているソープオペラ Days of Our Lives での役柄、医師のドレイク・ラモレーの演技をして、ここの病院のスタッフであるふりをしようとしているわけです。
受付の人は、Remoray という名前(英語の発音的には「ラモォレィ」という感じ)になじみや聞き覚えがなかったようで、その部分を、「ドクター・ドレーク・誰、ですって?」と who を使って聞き返しています。
It's Portuguese. というのは「ポルトガル系」ということで、「ポルトガル系の名前だ」と言いたいわけですね。
ジョーイはすっかり、ドレイク・ラモレー役になりきって、「我々にはその情報(彼の部屋番号)が必要だ」と言いますが、看護師はジョーイに見覚えがないと思ったのでしょう、「(あなたは)この病院の医師ですか?」と、結構、ダイレクトに尋ねています。
それを聞いたジョーイは、ばかなことを言うな、今はそれどころじゃない、とでも言うように、We're losing precious time! と怒った様子で言っています。
「貴重な時間を失う」が、現在進行形になっていますが、「失っている」と訳すよりも、「失いつつある」と訳した方がニュアンスが出る気がします。
その次のジョーイのセリフ、Now do you want this man's blood on your head? について。
そう言った直後に、フィービーに Hands. と訂正されていることから、ジョーイがイディオムか何かを言い間違えたらしいことが想像できます。
辞書で blood の項目を調べてみると、それらしいものがありました。
研究社 新英和中辞典では、
have a person's blood on one's hands=人の死[不幸]に責任がある
と出ています。
直訳すると、「ある人の血が、その人の手の上にある」ということで、似た感じの日本語で言うと、「誰かの生死がその人の手中にある、その人の手にかかっている」ということになるでしょう。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
have somebody's blood on your hands : to have caused someone's death
つまり、「誰かの死を引き起こしてしまうこと」。
フィービーに訂正されたようにジョーイのセリフを正しいものにすると、want this man's blood on your hands? ということになりますね。
このセリフでは、have ではなくて、want になっていますが、いわば、want to have this man's blood on your hands ということで、「この男の死の責任を君は持ちたいのかね?」と言っている感覚になるでしょう。
私が早く処置をしないと彼は死ぬかもしれない。部屋番号を教えないことで、君は彼の死の責任を持ちたいのかね?ということですね。
It is absolutely essential that... は「(that 以下が)絶対的に不可欠である」。
ジョーイがドクター・ラモレー役で使っているであろう、医者っぽい言い回しを多用している感じが出ていますね。
you tell me what room the man my assistant described is staying in. というのはちょっと長い文章ですが、こういうものはとにかく聞こえた順番にイメージして、その次に来る言葉を待ち構える気持ちで聞けるようになるといいですね。
you tell me what room は、「どの部屋かを私に言う」で、その後、その部屋を説明する言葉が続きます。
the man (my assistant described) is staying in. ということで、私のアシスタント(フィービーのこと)が述べた[言った]その男が(どの部屋に)現在滞在中であるか、ということになります。
I've been treating him for years! は継続を表す現在完了進行形ですね。
「ずーっと何年も私は彼を治療してきたんだ」と言っていることになります。
フィービーが言っていたように、その彼は「脚を骨折して車椅子に乗っている患者」ですから、何年間も医者が診察しないといけないような長期療養が必要な患者ではなさそうですし、長年彼を診ていたのなら、部屋番号を知らないのはおかしいし、、など、いろいろツッコミどころ満載(笑)なのですが、そういうつじつまの合わないことを飛び越えて、医者っぽい威圧的な態度でまくしたてているところに、昼メロで医者を演じてきたジョーイの熱演が見える気がして、面白いわけでしょう。
もっともらしいことを言わずにめちゃくちゃなことを言っているのがジョーイっぽい、ということですね。
ジョーイの権幕に押されてか、あるいは胡散臭いと思いつつもこんなめんどくさい人の相手をするのはいやだと思ったのか(笑)、看護師はその患者の部屋番号を教えることになります。
とにかくその情報だけが知りたかったフィービーは、ありがとう、と言って、これ以上怪しまれないうちにその場を立ち去ろうとするのですが、ジョーイはわざわざ立ち止まって、「それで彼の名前は何?」と受付の女性に尋ねます。
長年彼を診てきた医者が彼の名前を知らないのはあまりにもおかしいわけで、フィービーは慌ててジョーイを引っ張って行くことになります。
「普段、医者役を演じていることから、医者っぽい言い方で医者のふりをすることはできても、話の内容がどっか”ぬけている”」というところにジョーイっぽさが出ていて、それがこのシーンのポイントになっていることが、この最後のセリフから改めてわかる気がします。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。