2014年09月05日

steamyな写真 フレンズ8-19その6

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ソープオペラ(昼メロ)ファン向けの雑誌「ソープオペラ・ダイジェスト」のインタビューを受けていたジョーイですが、ちょっとした言い間違いなどはあったものの、とりあえず失言っぽいことを言うことなく、インタビューは終了します。
フレンズたちが口々に、「良かったよ」と褒める中、帰りかけたインタビュアーが振り向いて、
インタビュアー: (returning) Oh, wait! I almost forgot. We have to ask everybody this: Other than Days of Our Lives, what's your favorite soap opera? ([戻ってきて] あぁ、待って! 忘れるところだった。これをみんなに聞かないといけないのよ。「デイズ・オブ・アワ・ライブズ」以外で、あなたの好きなソープオペラは何?)
ジョーイ: Oh, I don't watch soap operas. Excuse me? I have a life, y'know? (あぁ、俺はソープオペラは見ないよ。もしもし? 俺には生活があるんだ。だろ?)
(The gang is disappointed.)
フレンズたちはがっかりする。
インタビュアー: Thank you. The readers at Soap Opera Digest will be happy to hear that. (ありがとう。ソープオペラ・ダイジェストの読者たちは、それを聞いて喜ぶでしょうね。)
ジョーイ: Oh, good enough. (The interviewer leaves.) So close! (あぁ、十分だね[十分にいいね]。 [インタビュアーは去る] すっごく惜しかった!)
Closing Credits
エンドクレジット
[Scene: Monica and Chandler's, everyone is reading Joey's interview.]
モニカとチャンドラーの家。みんなは(ソープオペラ・ダイジェストに掲載されている)ジョーイのインタビューを読んでいる。
レイチェル: Wow! I can't believe they didn't put in the part where you said you didn't watch soap operas. (わぉ! ジョーイが言った、俺はソープオペラは見ないよ、って部分が載ってないなんて、信じられないわ!)
ジョーイ: Yeah, I called the lady about that. I told her I was just joking. She was pretty nice about that. (そうだね、その件について、あの女性に電話したんだよ。俺はただジョークを言っただけだ、って彼女に言ったんだ。彼女はその件について親切に対応してくれたよ。)
モニカ: You slept with her, didn't you? (あなた、彼女と寝たんでしょう?)
ジョーイ: Little bit, yeah. (ちょっとね、ああ。)
ロス: Wow! This picture of you sure is steamy. (わぉ! ほんとに、ジョーイのこの写真、セクシーだね。)
ジョーイ: Oh yeah, that's just a little something for my huge gay fan base. (Winks at him.)
(あぁ、そうだね。それはただ、俺の大きなゲイファン層に対しての、ちょっとしたもの(サービス)だよ。 [ジョーイはロスにウインクする])
ロス: Did you just wink at me? (今、僕にウインクした?)
ジョーイ: Hey, you're the one that loves the picture. (ほら、お前はその写真を気に入ってるんだろ。)

コーヒーハウスの出口まで帰りかけていたインタビュアーでしたが、そこで振り向いた彼女は最後にもう1つ、質問をしています。
「もう少しで忘れるところだった」と言いながら、「私たちは(インタビュー相手)みんなに、これを尋ねないといけないの」と言っていますね。
その質問は、「”デイズ・オブ・アワ・ライブズ”の他に(以外で)、あなたの好きな・お気に入りのソープオペラは何?」というもの。

それを聞いたジョーイの返事について。
意味は、「あぁ、俺はソープオペラは見ないよ。もしもし? 俺には生活があるんだ。だろ?」ということですね。
I don't watch という「現在形」で、自分の習慣を語っていることになります。
「俺はソープオペラを見ない人間だ」という感覚ですね。
その後、ちょっとバカにしたような口調と表情で、Excuse me? 以下のセリフを言っていますが、これは「もしもし? ちょっといいかい?」みたいなニュアンスになります。
研究社 新英和中辞典に、
Excuse me.=[見知らぬ人に話しかけたり、他人に異議を唱える時などに用いて] 失礼ですが
という語義が載っていましたが、その「他人に異議を唱える時に用いる」ニュアンスに近いと思います。
「ちょっとちょっと。ちょっと待ってよ」みたいな感じでしょうか。

「俺には生活がある」とも言っていますが、人に何か時間のかかることを頼まれた場合に、「俺にも仕事があるんだ、俺にも生活ってものがあるんだ」みたいに返すことは、日本語でもありますよね。
つまりジョーイは、「俺には俺の生活ってものがあるんで、興味のないものを見たりする時間なんてないよ」と言っていることになります。

ソープオペラ・ダイジェストの読者は「ソープオペラ・ファン」なので、「俺はソープオペラは見ないよ」と言うだけでも、ちょっとした問題発言ですよね。
そこに何かしら、出演俳優としてのポリシーにまつわる理由などがあれば、また話は別だったのでしょうが、その後、「おいおい、俺にも生活ってものがあるんだから。そうだろ?」みたいに言ったことで、「そんなくだらないものを見てる時間なんか、俺にはないんだよねぇ」と、ソープオペラをバカにした、そしてそれを見ている視聴者をバカにした発言をしてしまったことになるわけです。

それを聞いて、フレンズはがっかりした様子を見せます。
インタビュアーもその発言に少し驚いた顔をして、「ソープオペラ・ダイジェストの読者たちは、それを聞いて幸せに思うでしょうね」みたいに言っていますが、これは大いなる皮肉ですね。
言葉では、「その答えを聞いたら、読者はみんな喜びますわ」と言っていますが、「読者はその発言に驚いたり怒ったりするでしょうね」を皮肉っぽく言っていることになります。

good enough は「十分に良い」ということですから、「それはいいね」というニュアンス。
その後、インタビュアーが去り、フレンズたちが、気まずい顔をしているのを見て、ジョーイも自分が失言したことにやっと気づいた様子で、So close! と言って、エンドクレジットになります。
close は「近い」ということから、ここでは「(正解に)近い、惜しい」という意味。
最後の質問で失言をしなければ、上出来だったのに、もうちょっとだったのに!というニュアンスが、ジョーイの "So close!" になります。

エンドクレジットでは、みんなが、ジョーイのインタビューが掲載されたソープオペラ・ダイジェストを読んでいます。
レイチェルは、「あなたが”俺はソープオペラを見ない”と言った部分を、彼らが(記事に)入れなかったのは信じられない」と言っています。
they というのは、出版社の人々を漠然と指すニュアンスですね。
あの大失言が掲載されてないなんてびっくりよ、ということです。

ジョーイは、「俺はその件で彼女に電話して、あれはただのジョークだったんだよ、って言ったんだ。彼女はその件についてかなり nice だったよ」と言っています。
nice だった、というのは、「よくしてくれた、親切だった」という感覚で、その件についてナイスに対応してくれた、と言っている感覚になるでしょう。
「ちゃんと説明したら、彼女はわかってくれてさ」と言っているわけですが、モニカは「あなた、彼女と寝たんでしょ?」と問うています。
ジョーイも、特に否定せず、あっさり「ちょっとね、まあね」と答えます。

ロスはジョーイの写真を見ながら、「この写真、steamy だね」と言っています。
steamy は steam 「蒸気、スチーム、湯気」の形容詞形で、「蒸気の(ような)、湯気が立ち込める」という意味ですが、「エロティックな、セクシーな」という意味にもなります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
steamy : sexually exciting and slightly shocking
例) steamy love scenes

つまり、「性的に刺激的な、そしてかすかに衝撃的な」。例は「エロティックなラブシーン」。

Macmillan Dictionary では、
steamy : (INFORMAL) sexually exciting
例) a steamy love scene


2つの英英辞典で、sexually exciting という語義が同じで、例も単複が違うだけで、どちらも "steamy love scene" なのが興味深いです。
エロティックなラブシーンの形容として、steamy という単語が使われるのは何だか納得できちゃいますね。

映画「タイタニック」で、ジャックとローズが車の中で結ばれるシーンでは、車の外から見た映像として、曇ったガラスにローズの手がバン!となって、ガラスに手形が残る、、というものがありました。
実際に、車の中で汗ばんだ二人が見つめ合ってキスする様子も映像としては見せますし、それはそれでエロティックでしたが、「壁ドン!」ならぬ「窓バン!」みたいな、「蒸気で曇った窓ガラスにローズの手」という描写の方が、映画を見ている者としては衝撃だったような気がします。
ラブシーンにはそういう「熱気」が常に伴いますが、その熱気を「蒸気で曇ったガラス」で見事に映像化した表現だと言える気がしましたし、そういう「熱い」ラブシーンを表現するのに、steamy という形容詞が最適なのも、タイタニックのあのシーンをご覧になった方なら、納得していただけるかなぁ、と^^

「ジョーイの写真は、steamy だね、性的にエキサイティング・刺激的だね」のように steamy という単語を使ったロスに対して、ジョーイは、「それは、俺の大きなゲイ・ファン・ベースに向けての、ちょっとしたものなんだよ」のように言っています。
この base は「支持母体、支持基盤」みたいなニュアンスですね。
英辞郎では、
fan base=《one's 〜》 ファン層、自分のファンの中心となる人々
と出ていますが、「ファン層」というのが訳としてしっくりくるように思います。

LAAD では、
base : PEOPLE/GROUPS [countable, usually singular] the people, money, groups etc. that form the main part of something
例) The company's customer base (= people who buy its goods) is growing.

つまり、「何かのメイン部分を形作る人々、金、グループなど」。例文は、「その会社の顧客層(=その商品を買う人々)は成長している」。

ここで、a huge gay fan base という言葉が出てきたのは、このエピソードの少し前のシーンで、以下のやりとりがあったことから来ています。
インタビュアー: So umm, now back to the show. How does it feel to have a huge gay fan base? (それで、じゃあ番組(の話)に戻るわね。大きなゲイのファン層があることはどんな感じがするの?)
ジョーイ: Really? Me? Wow! I don't even know any huge gay people! (ほんとに? 俺に? わぉ! 俺は大きなゲイの人を誰一人知ってさえいないのに!)

インタビュアーの発言から、ジョーイには、a huge gay fan base 「大きなゲイのファン層」があることがわかるのですが、それを聞いたジョーイの返事は、何かちょっと勘違いしている印象ですね。
「俺には、a huge gay fan base がいるの?」と聞き返した後に、「huge gay people を誰も知りさえしない」と言っているので、ジョーイは、a huge gay fan base を、「ゲイのファンたちの大きな・巨大な層」ではなく、「”大きな・でっかいゲイ”のファン層」だと勘違いしたように思えます。
この部分は、DVDの日本語訳でも、
デカいゲイなんて 知人にもいない/わぁ、でっかいゲイなんて、知り合いにもいないよ
と訳されていましたが、私もそういう勘違いなんだろうと思ったということです。
base という言葉を聞いて、people という別の言葉を使っているのは、「huge gay の fan base ”ファン層”」と聞いて、「ファン層というほど何人もいるの? 俺は huge gay の人(people)を一人も知らない(don't know any)のに」と対比させるために使っているんだろうな、と思うわけですね。

今回のやりとりに戻りますと、just a little something for は「〜に対する、ちょっとしたもの」という感覚。
ゲイのファン層向けにちょっとしたサービスとして、ゲイ受けするような、ゲイ好みのそそる写真を載せてみた、みたいなことでしょう。
そう言ってジョーイはロスにウインクしたので、ロスは、「今、僕にウインクした?」と驚いて尋ねていますね。
ジョーイは、「別に何も問題ないだろ」とでも言いたげに、「その写真を好きな人間が、お前なんだから」みたいに言っています。
ゲイファン層向けに特別に用意した、その steamy な写真に誰よりも反応したのは、他でもないお前(ロス)だろ?というニュアンスです。
その写真が気に入ったってことは、お前もゲイの素質があるってことだよな、という感じで、ジョーイはゲイのファンに対してサービスするように、ロスに色っぽくウインクしてみせた、ということになるわけですね。


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posted by Rach at 15:03| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月03日

フィービーが綴りを説明する方法 フレンズ8-19その5

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ジョーイのインタビューを行なっているインタビュアーは、フレンズたちに「友達として、ジョーイに関して読者が知っておくべきだと思うことが何かある?」と質問しています。
レイチェルがそれに得意気に答えますが、思ったほどウケずに、スベってしまった後、
フィービー: Umm, I... I just think that you don't expect someone so hot to be so sweet. (うーんと、私はただこう思うの。そんなにホット(セクシー)な人がそんなにスイートだって(優しいって)人は(誰も)思わないでしょう、って。)
インタビュアー: Oh! I like that. What's your name? (まぁ! それ、気に入ったわ。あなたのお名前は?)
フィービー: Umm, Phoebe Buffay. (あぁ、フィービー・ブッフェよ。)
インタビュアー: How do you spell that? So we can get it right. (それはどう綴るの?[どういうスペルを書くの?] (それを聞けば)私たちはその綴りを正しく書くことができるから。)
フィービー: Oh, okay, It's P as in Phoebe. H as in Heebie. O as in Obie. E as in Ebie. B as in Beebee. And E as in, (In an Australian accent) "'ello there, mate!" (あぁ、オッケー。P はフィービーの P。H はヒービーの H。O はオービーの O。E はイービーの E。B はビービーの B。そして、E は [オーストリア・アクセントで] 「エロー、ゼアー、メイト[or マイト]!」)

ジョーイが出演するソープオペラのタイトル "Days of our Lives" を使って、洒落たことを言って、雑誌に掲載してもらおうと思っていたレイチェルでしたが、本人が思っているほど、周りにはウケませんでした。
その後、フィービーが、I just think that you don't expect someone so hot to be so sweet. と言います。
you don't expect の you は、話を聞いているインタビュアーを指すというよりも、「一般の人々」を指すニュアンスでしょうね。
expect は「予期する」「期待する」「〜と思う」と訳されることが多いですが、ここでは「期待する」もしくは「期待する感じでそう思う」というニュアンスだろうと思います。
直訳すると、「私はただこう思うの。そんなにホット(セクシー)な誰かがそんなにスイート(優しい)だなんて、人は期待しないって」のようになるでしょうか。
もう少し自然な日本語にすると、「そんなにセクシーな人がそんなに優しいだなんて、きっと誰も思わないでしょうね」という感じだと思います。
ジョーイという名前は出していませんが、ジョーイのことを「すっごくセクシー、かつ、すっごく優しい」と表現しているわけですね。
ソープオペラの俳優として、ジョーイのことを hot だと思っている人がたくさんいるだろうけど、そんな彼はいつもとっても優しいのよ、と、「親しい友達だから言えること」っぽいことを答えていることになります。
その前のレイチェルの答えには、困った顔をしていたインタビュアーでしたが、このフィービーの答えは気に入ったようで、嬉しそうな顔をして、「それ気に入ったわ。あなたのお名前は?」とフィービーに尋ねます。

名前を答えたフィービーに、インタビュアーは、How do you spell that? 「その名前はどうやってスペルするの? どういう綴りで書くの?」と尋ねます。
get it right は「それを正しくゲットする」というところで、綴りをあなたに言ってもらえたら、その名前を正しくゲットできる、スペルを間違わずに名前を書ける、と言っている感覚になるでしょう。

そこでフィービーは、自分のスペルを説明していくことになるのですが、このフィービーの綴りの説明のしかたが、とってもフィービーっぽくって楽しいです。
フィービーっぽい独特の世界観があるものの、名前の綴りをアルファベットで説明する時の言い回しは、一般的なものですね。
P as in Phoebe のように、全て as in が使われていますが、英語では綴りを説明する際、このように「アルファベットの文字 as in そのアルファベットが最初についた単語」と表現します。
日本人が、自分の名前の漢字を電話で説明する時の感覚に近いですね。
私が自分の名前(三世)を説明する時には、「数字の三に、世界の世(せ)です。ルパン三世の三世です(← 一言、余計だw)」と説明するのがお決まりなのですが^^ 日本語でも英語でも、誰しもそういう「自分の名前の漢字・スペルの、自分なりの説明方法」というのを持っているように思います。

綴りを説明する時によく使われる単語というのは、だいたい決まっているようです。
これについては英辞郎で、"A as in" や "B as in" のように入力すると、全てのアルファベットでよく使われる単語を調べることが可能でしたので、興味のある方は是非、トライしてみて下さい。
ちなみに、フィービーの頭文字 P の場合は、"P as in Paul" または "P as in Papa" がよく使われるようです。
また、国際的な頭文字伝達の方法としては、Wikipedia 日本語版: NATOフォネティックコード
というものもあるようです。
映画の飛行機の無線のやりとりによく登場するのが、上の NATOフォネティックコードですね。

ということで、フィービーという名前の綴りを一般的に説明しようとすると、普通は、"P as in Paul/Papa, H as in hotel..." のようになるはずですが、それを「P はフィービーの P、H はヒービーの H」のように説明しているのが、ちょっとズレたフィービーっぽくて面白いわけですね。
それじゃあ、全然、スペルの説明になってないじゃん!というおかしさです。
2文字目を説明する時は、名前の2文字目から始める、という方法で、延々スペリングの説明をしていますが、一応、フィービー、ヒービー、オービー、イービー、ビー(ビー)のように「音として読める名前」になっているのも楽しいです。
最後に残った E については、E as in E では説明にならないため、無理やりな感じの説明になっているのが、このセリフのオチになっています。

"'ello there, mate!" は、挨拶の言葉のイメージですね。
'ello は、文字の見た感じと、音の感じから想像できる通り、Hello の H が落ちたもの。
"Hello there, mate!" は、アメリカ英語っぽく言うと、"Hi there, man!" のような感じでしょう。
ト書きに、「オーストラリア・アクセントで」とあるように、この "'ello there, mate!" は、オーストラリア英語のイメージのようです。
私がざっと調べてみたところ、「オーストラリア英語で、H 音が落ちる」というはっきりした記述はあまり見当たらなかったのですが、「イギリス英語のコックニーという発音(イギリス労働階級の発音と言われている)では、H 音が落ちる」という説明は見つけました。
オーストラリア英語は、イギリスのコックニーの影響を強く受けているという説明もありましたので、イギリスのコックニー、またはオーストラリア英語の傾向として、H 音が落ちる、という共通認識はあるように思います。

私はそういう「国によって異なるアクセント」を学ぶための参考書として、以下の2冊の本を持っています。
Amazon.co.jp: 4カ国の英語 リスニング強化ブック (The Japan Times)
Amazon.co.jp: ナマった英語のリスニング (The Japan Times)

オーストラリア英語の「音の脱落」については、「リスニング強化ブック」の p.56 に、以下のように説明されています。
語句や表現を短縮したものをよく使うのもオーストラリア英語独特の特徴です。こういった音の脱落、短縮はほかの国の英語でも見られますが、オーストラリアは、とくにその傾向が強いと言えるでしょう。

また、オーストラリア英語についてではなく、その元となった「コックニー」について、「ナマった英語のリスニング」の p.128 に、ブリティッシュ・アクセントを使う人のインタビューの中で、以下の説明がありました。(日本語訳も、本に書いてあった和訳を引用しています)
Q: If I were to visit London, which accents am I likely to encounter there? (私がロンドンを訪ねた場合、一番遭遇しそうなアクセントは何でしょうか?)
A: Well, primarily it would be the Cockney accent. People drop the 'h's from words, like '(H)ow'd you do that?' (そうですね、まずコックニー・アクセントだと思います。(コックニー・アクセントの)人々は、単語から「h」の音を落とします。例えば、「ハウ・ウドゥ・ヨゥー・ドゥー・ザット?」が、「アウ・ウドゥ・ヨゥー・ドゥー・ザット?」となるように。)


このように、コックニーでは「h」音を落とす、脱落させる、ということが、この本でははっきり説明されていますね。

ここで、今回のフィービーのセリフに戻ってみますと、"'ello there, mate!" の mate のように、呼び掛け語として、mate を使うのは、オーストラリア英語の特徴だとよく言われています。
同時に、オーストラリア英語は、"G'day, mate." 「グダイ、マイト」のように、[ei]音を[ai]音に発音することが多いとも言われていますね。
今回のフィービーの発音を聞いてみると、「マイト」よりは「メイト」に近い発音なので、ここを「マイト」と発音していたら、よりオーストラリア英語っぽくなっていたのかなぁ、と思ったりもします。
そういう意味では、このセリフは、「オーストラリア発音で」というよりも、「コックニー発音で」と解釈することも可能な気がしますね。

ちなみに、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」では、呼び掛け語として、主人公のジャック・スパロウは mate をよく使い、バルボッサはその mate の代わりに、matey の方を良く使う傾向がありました。
そのような mate/matey という呼び掛け語、そして、オーストラリア英語とイギリス英語の違いについて、過去記事 所有格のme (possessive me) フレンズ6-4その2 でお話させていただいたことがあります。
国の違いによる単語や発音の違いについて興味を持たれた方は、併せてお読みいただけると幸いです。

いずれにしても、Phoebe の最後の e のように「何かの文字の後についた E」を表現したくて、hello の H 音が落ちた 'ello を使って、「オーストラリア人の挨拶、エロー・ゼアー・メイト(or マイト)」の E よ、と説明したのが、今回のフィービーのセリフだった、ということですね。


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posted by Rach at 15:32| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月01日

「メントス?」「いや結構」 フレンズ8-19その4

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ジョーイは雑誌「ソープオペラ・ダイジェスト」のインタビューを受けています。
フレンズたちはジョーイが失言をしないように、すぐそばのソファで、他人のふりをしながらジョーイのインタビューを聞いていたのですが、ジョーイが「昔、雑誌のインタビューで失言してしまったこと」を話そうとし出すので、それを止めるために、さも今、ジョーイを見つけたかのように言って、彼を取り囲むことになります。
インタビュアーは、ジョーイの友達であるフレンズたちと軽く挨拶して、休憩で席を立ちます。
その間、フレンズたちはジョーイと話をしています。
モニカ: Joey! You're doing great! (ジョーイ! うまくやってるじゃない!)
ロス: Yeah, so far, nothing stupid. (そうだよ。ここまでは、バカなことは何も言ってないよ。)
チャンドラー: Mento? (メントー(メントス)?)
ジョーイ: No, thanks. (いや、(メントスは)いらないよ。)
インタビュアー: (returning) So, as Joey's friends, is there anything that you guys think our readers ought to know? ([戻ってきて] それで、ジョーイの友達として、私たちの読者が知っておくべきだとあなたたちが思うような何かがある?)
ロス: Uh no, no just-just that he is a great guy. (あぁ、いや、ただ、彼は素敵な男だ、ってことだけだね。)
レイチェル: (scoffs at him) Yeah, that's gonna get you into Soap Opera Digest. Well I-- (leans into the microphone again)... I would just like to say that Joey truly has enriched the days of our lives. ([ロスをばかにするように笑って] そうよねぇ、今のであなたはソープオペラ・ダイジェストに載るわねぇ。うーんと、私は… [またマイクに身を乗り出して] 私はただ、こう言いたいの。ジョーイは本当に「ザ・デイズ・オブ・アワ・ライブズ」(私たちの生活の日々)を豊かにしてくれてるの。)

モニカやロスは、ジョーイに対して、「うまくやってる」「今のところ、バカなことは言ってない」とジョーイのインタビューの出来を褒めています。
その次の、チャンドラーが、"Mento? " と言い、ジョーイが、"No, thanks." と答えるやりとりが面白いですね。

今回のエピソードの記事では、ジョーイが「俺は子供たちのメンター(a mentor)になってる」と言おうとして、間違って、a mento (お菓子のメントス mentos の単数形)と言ってしまったということを説明しました。
ジョーイは結局、自分が間違っていることに気づかないまま、そのインタビューのやりとりを終えたのですが、チャンドラーは、「さっき、お前、mento って言ってたよな」というニュアンスで、"Mento?" 「メントーだって?」とここで尋ねているわけです。
それに対するジョーイの返事、No, thanks. は、人に何かを薦められて、「いや、結構だ」と断るお決まりフレーズですが、この返事から、ジョーイは、チャンドラーの "Mento?" を、「(お前)メントスいる? メントスどう?」のように、メントスを薦めてきたのだと勘違いしていることがわかる、ということですね。

以前の記事でも、ジョーイが a mentor (メンター、ロールモデル)を a mento だと勘違いしたままの方が、そのネタをずっと使える、という話をしましたが、一通り、メントー/メンターのやりとりが終わったかに見えた少し後に、またこうして、「さきほどのネタをぶり返す」のが、コメディーらしくて、とても面白いと思います。

mento が食べ物だから、「メンターだって?」とチャンドラーが言ったセリフを、「メンターいる?」のように薦めてきたセリフだと勘違いできるわけで、逆に言うと、"No, thanks." という返事から、「お前、mento とか言って失言してただろ」と言いたいチャンドラーの意図が全然伝わっていない、自分が間違っていたことを指摘されたことに、ここに至ってもまだ気づいていないとわかる面白さなわけですね。

戻ってきたインタビュアーは、フレンズたちに向かって、「ジョーイの友達として、読者が知っておくべきだとあなたたちが思うような何かはあるかしら?」と尋ねています。
ロスは「ただ、彼は素敵な男だ、ってことだけだね」みたいに褒めているのですが、レイチェルはそれをバカにしたように笑って、Yeah, that's gonna get you into Soap Opera Digest. と言っています。
直訳すると、「そうね、今の(ロスの発言)は、あなたをソープオペラ・ダイジェストの中に入れる(get someone into)ことになるわね」ということになるのですが、ト書きの scoff は「あざける、ばかにする」という動詞で、その後のこのセリフは、皮肉っぽくこう表現していることになります。
ちょっとバカにした感じで、「そうねぇ〜、そんな発言なら、きっとあなたは(その発言で)ソープオペラ・ダイジェストに掲載してもらえるわねぇ」と皮肉っぽく言っているニュアンスになり、それを言ったレイチェルの本音は、「そんなありきたりな、誰にでも言えるようなことで、ソープオペラ・ダイジェストに発言を載せてもらえるわけないでしょ」と言っていることになります。

「そんなの全然だめよ」みたいにロスに言った後、レイチェルは録音マイクに身を乗り出して、「私はただこんな風に言いたいわ」と言いながら、レイチェルの意見を述べています。
ロスの発言をバカにした後のセリフですから、「私なら、こんな素敵なことを言って、絶対、掲載してもらえるんだから」みたいに満を持して言った言葉になるわけですが、その内容はと言うと、Joey truly has enriched the days of our lives. でした。
enrich は「リッチにする」、つまり「豊かにする」ということですね。
ジョーイが出演しているソープオペラのタイトル Days of our Lives を使って、「友達である”私たち”の生活・人生の日々をジョーイはほんとに豊かにしてくれたの」と、洒落て(しゃれて)みたことになります。
それを言った後、きょろきょろしてみんなの反応を見ていますが、インタビュアーは、何とも言えない顔をしています。
レイチェルは「きっとウケるはず」と思ったのに、みんなの反応は薄かった、、という、レイチェルがスベったセリフになってしまったわけですね。

このように、Days of our Lives というタイトルを使って、ちょっと洒落たことを言ってみよう、という試みは、実は、ジョーイが先にトライしていました^^
フレンズ2-11その1 で、
ジョーイ: I'm on Days of our Lives. Then I started thinking about us, and how these are the days of our lives. (俺は「デイズ・オブ・アワ・ライブズ」(愛の病院日誌)に出演するんだ。それで、俺たちのことも考え始めたんだ、俺たちの生活の日々(デイズ・オブ・アワ・ライブズ)はどんな感じだろうって。)

この 2-11 のジョーイのセリフも、特にひねりがなく、そのまんまな感じ、ですね。
days of our lives は一般的な表現なので、いろいろ応用して使えそうな感じがするけれども、逆にどう使ってもありきたりにしかならない、、ということかもしれません。
フレンズ2-11 のジョーイも、今回のレイチェルも、「タイトルをひねって、かっこいいことを言ってみたい」という試みが失敗して空回りしている感じが似ていて、面白いなと思いました。


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posted by Rach at 13:06| Comment(4) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月29日

「〜みたい」と「好き」のlike フレンズ8-19その3

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前回の続きです。
ジョーイは、「俺は子供たちのメンター(ロールモデル)でもあるんだ」と言おうとして、a mentor ではなく、間違って a mento と言っています。
a mento だと、お菓子のメントス(mentos)の単数形になってしまうので、インタビュアーは、"A mento?" 「メントーなの?」と聞き返すのですが、ジョーイは間違いに気づく様子もなく、"Right." と答えた続きのシーン。
インタビュアー: Like the candy? (キャンディーみたいなもの?)
ジョーイ: Matter of fact, I do. (実は、俺はキャンディーは好きなんだよ。)
(Chandler tries to jump over the couch but everyone stops him.)
チャンドラーはカウチを乗り越えようとするが、みんなが彼を止める。
インタビュアー: Well umm, another thing our readers always want to know is how soap stars stay in such great shape. Do you have some kind of fitness regime? (えーっと、読者がいつも知りたいと思う、もう一つのことは、ソープ(オペラ)のスターは、どうやってそんな素晴らしい体型(or 体調)を維持してるのかってことなの。何か、フィットネスの方法があるの?)
ジョーイ: Uh, we stars usually just try to eat right and get lots of exercise. (あぁ、俺たちスターはいつも、きちんと食事して、エクササイズをたくさんするようにしてるよ。)

前回からのメントー(メントス)の話の続きとなっている、"Like the candy?" "Matter of fact, I do." というやりとりはなかなか面白いですね。
これは、like という単語に2つの意味があることを利用したオチになっています。
インタビュアーが、"Like the candy?" と尋ねたのは、"A mento is (something) like the candy?" 「メントーっていうのは、キャンディーみたいなもの?」という意味。
それに対してジョーイが、"Matter of fact, I do." と答えていますが、これを省略しないで完全な文で言おうとすると、"As a matter of fact, I like the candy." と言っていることになるでしょう。
I do. という返事の do は、直前のインタビュアーが使った「一般動詞」の言い換えになりますから、そのジョーイの返事から、ジョーイは like を「(一般)動詞」だと捉えて、I do. (= I like the candy.) と答えたということになるわけです。
ですからジョーイは、インタビュアーの Like the candy? を、Do you like the candy? 「あなたはキャンディーが好き?」という質問だと勘違いした、ということですね。

ジョーイが、I do. と答える前に、もったいぶった感じで、(as a) matter of fact 「実は、実を言うと、実際のところ」という言葉が挿入されているのも、「君は意外に思うかもしれないけど、何を隠そうこの俺は、キャンディーが大好きなんだよ」のように答えた感じを出すのに一役買っていると思います。

インタビュアーは、a mento の話の続きとして、「それって、キャンディーみたいなもの?」と尋ねたわけですが、ジョーイの中では、a role model の話はすでに終わっていて、唐突に「(あなた、)キャンディーは好き?」と尋ねられたと思ったため、「そんな質問をわざわざするくらいだから、俺はキャンディーとか嫌いに見えるのかもしれないけど、実のところ俺は、キャンディーは大好きだよ」と答えた感じが、Matter of fact, I do. のニュアンスだと思われるということです。

前回の記事でも説明したように、インタビュアーは、このやりとりの中では一切、a mentor (メンター)という正しい単語を口に出してはいません。
ですが、"A mento?" と尋ねることで、「a mento っていうのはメントスってキャンディーのことで、それを言うなら、a mentor じゃないの?」というニュアンスで助け舟を出したようになっていたのに、そのヒントにも気付かない上に、「キャンディーみたいな?」と尋ねた質問を「キャンディーは好き?」だと勘違いして、トンチンカンな答えをしているジョーイが、「まだ、わかってないのか!」的に面白いわけです。
a mentor という正しい単語で訂正することなく、a mento で(脚本上)話を続けたからこそ、この Like the candy? ネタのオチを作ることもできた、ということですね。
そんなジョーイを見かねて、「あぁ、もう俺が止めてくる!」みたいにカウチを乗り越えようとするチャンドラー、それを必死に止めるフレンズたちも楽しいです。

話がちぐはぐなまま、インタビュアーは次の質問に進みます。
another thing our readers always want to know is how soap stars stay in such great shape. は長いセリフですが、とにかくこういうものは、文の最後まで待たずに、聞こえた順番でイメージしていくことが大切で、前からイメージしてみると、「もう一つ別のこと、私たちの読者がいつも知りたいと思う、は、どんな風に、ソープ(オペラ)のスターが、そんな素晴らしい shape を維持するのか」になるでしょう。
ラフに訳すと、「読者が知りたいと思っていることがもう一つあるんだけど、あなたたちスターは、どんな風に素晴らしい shape を維持してるわけ?」みたいなことですね。

stay in such great shape という表現について。
in good shape に代表されるような、shape が使われているこういうフレーズを英英辞典で調べると、もっぱら「良い体調(健康状態)」という意味で説明されています(後で詳しく述べます)。
また、英和辞典では「良い体調」という意味以外に、「良い体型」という意味も載っています。
英辞郎では、
stay in good shape=体形[体調]を保つ
体型を保つ=keep [stay] in shape [fit]

また、
研究社 新英和中辞典では、
She has a slender shape. 彼女はすらりとした体つきをしている。
という例文も出ています。

shape の基本語義は「形、かっこう」で、「姿、外見、様子」という意味もあることから、「体型」という意味で理解するのは受け入れやすいですが、「体調」を表すのにも使えるということです。
ですから、stay in great shape というフレーズ自体は、「素晴らしい体型を維持する」または「素晴らしい体調・健康状態を維持する」のどちらにも解釈できる、ということになりますね。

今回のセリフについては、DVDの日本語訳では、
(字幕)読者の関心が強いのは スターの体型維持のコツよ
(音声)それから、うちの読者が特に知りたがってるのが、昼メロのスターは、どうやって体形を維持してるのか、ってことなの。
となっていました。
その質問をしている時のインタビュアーは、ジョーイの体の方にチラッと視線を向けているような気がしますし、ファンが知りたいと思う質問としては、「どうして体調が良いのか?」よりも、「どうしてそんな体型をキープできるのか」の方がもっともらしい気はしますよね。
テレビで見ている視聴者は、体調が良いなどという内面のことはわからないから、きっと見た目の話をしているのだろう、と。
また、ファンが興味があるのも、体調管理ではなく、体型キープの方法だろうと思われるので^^

なので、このセリフの意味としては、「スターはどうやって体型を維持しているのか?」という話だと解釈するのが自然だろうと思いました。

ただ、今回はそっち(体型の話)だろうとは思うのですが、英英辞典では、stay in shape, in great shape というフレーズの意味は、「体調」の意味で説明されているので、そのことを以下で少し説明させていただきますね。
日本人は「シェイプアップ」のような言葉のイメージから、good shape, great shape と聞くと、「良い体型・スタイル」しか逆に浮かばないだろうと思うので、「体型、スタイル」という見た目の話ではない、「コンディション、健康が良い」という意味もあるということを、この機会に確認しておいた方がいいかな、と思ったわけです。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、「体調」の意味で以下のような様々なフレーズが紹介されていました。
2. in good/bad/poor etc. shape : in good, bad etc. condition, or in good, bad etc. health
3. in shape/out of shape : in a good or bad state of physical fitness
keep/stay in shape
He plays basketball to keep in shape.
in good/awful/great etc. shape
Eddie is in better shape than anyone else on the team.


つまり、2. の in good/bad shape は「体調(コンディション)や健康が良い・悪い」。
3. の in shape/out of shape は「体の健康が良い・悪い」。
例文は、「彼は体調維持のために、バスケットボールをする」。「エディーはチームの誰よりも体調・調子が良い」。

stay in shape と in great shape という例がロングマンに出ていますが、それを組み合わせると、今回のセリフの、stay in (such) great shape になるわけで、そういう意味でも今回のセリフは、英英の語義をそっくり当てはめると、「素晴らしい体調を維持する」という風に解釈することも十分可能だと思うわけです。
ただ、今回のセリフについて言うと、話の流れと内容から、「体型維持」の話をしているのだろうと判断できる、ということですね。

その後に続く質問、Do you have some kind of fitness regime? について。
fitness は「フィットネス」という日本語になっていますが、元々は「フィットすること」→「適合、適合性」という意味で、そこから「健康状態の良好・健康」という意味としても使われます。
改めて、英英辞典の語義を見ておくと、
fitness : the condition of being healthy and strong enough to do hard work or sports
つまり、「健康であり、重労働やスポーツをするのに十分に強い体調」。

regime という単語は「体制、政権」という意味で、a puppet regime なら「傀儡(かいらい)政権」、the ancient regime なら「旧制度、旧体制」という意味になります。
世界史で「アンシャン・レジーム」(ancien regime)という言葉が出てきたのですが、それも、1789年フランス革命以前の「旧社会・政治体制」を指す言葉でした。

そのように regime は政治・制度の話では「体制、政権」という意味でよく使われるのですが、今回のセリフの regime は、regimen の意味で使われています。
英和辞典でも、英英辞典でも、regime の語義説明として、= regimen という記載があります。
その regimen の意味を見てみると、研究社 新英和中辞典では、
regimen 【名】【C】 〔医〕 (ダイエット・運動などによる)摂生、養生法、食養生
keep to a prescribed regimen 処方された養生法を守る。

と出ています。

LAAD では、
regimen : (formal) a special plan for food, exercise etc. that is intended to improve your health
例) a fitness regimen

つまり、「健康を促進することを目的とする食べ物や運動(エクササイズ)の特別なプラン」。
例は、「健康養生(ようじょう)法」。

「養生(ようじょう)」と表現すると、何だか古めかしい感じがしてしまいますが、要は、健康維持・体型維持のためのフィットネスプランみたいなものはあるのか?と尋ねていることになるでしょう。

その質問に対して、we stars usually 「俺たちスターは、たいてい…」みたいに答えているのも面白いですね。
インタビュアーが、soap stars と表現したことに気を良くして、「そうだね、俺たち、ソープオペラのスターたちは」と得意げに答えたことになるでしょう。
eat right は「正しい食事をする、きちんと食べる」、get lots of exercise は「たくさんエクササイズをする」ですね。
えらく、かっこいいことを言っているのですが、その後に続く回想シーンでは、ジョーイはそれと正反対なことをしているシーンが次々と登場することになるのも、コメディーのお約束的展開で面白いなと思いました。


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2014年08月27日

メントスとメンター フレンズ8-19その2

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ジョーイは、コーヒーハウスのセントラルパークで、女性のインタビュアーから質問を受けています。
フレンズたちは、他人のふりをしながらも、すぐそばのソファに座って、ジョーイが失言しないかを心配しながら、二人の話を耳をそばだてて聞いています。
インタビュアー(The Interviewer): Okay, how about when you're not working. What do you do in your spare time? (それじゃあ、あなたが仕事をしていない時はどう? 空いた時間には何をするの?)
(ここに、過去エピソードの回想シーンが入りますが、ブログ解説では省略します)
ジョーイ: In my spare time, I uh, read to the blind. And I'm also a mento for kids. (The gang shake their heads.) ((仕事のない)空いた時間には、俺は目の見えない人に本を読んでる。それから子供たちのメントー[メントス]でもあるよ。[フレンズたちは首を振る(と、ト書きには書いてありますが、実際には「え?」という顔をする程度)])
インタビュアー: A mento? (メントー?)
ジョーイ: Y'know, a mento. A role model. (Chandler bites his fist to keep from talking.) (ほら、メントー。ロールモデル(手本・模範になる人)のことだよ。[チャンドラーはしゃべりたいのを我慢するのにこぶしを噛む])
インタビュアー: A mento? (メントーなの?)
ジョーイ: Right. (そうだ。)

spare time は「空き時間、余暇」ですね。
「仕事をしていない余暇(空き時間)には、あなたは何をするの?」ということで、「暇な時とかは、普段は何をしているのかしら?」と尋ねている感覚になります。

ジョーイは、I read to the blind. と答えています。
the blind は「盲目の人、目が見えない・目の不自由な人」ということですね。
the+形容詞で、「(形容詞の状態)の人」を指すことになります。
read to someone は「人に(何かを)読んで聞かせる」という意味で、「人に何かを読んで聞かせる」という場合には、read someone something という、SVOO の形を取ることもできます。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
read : READ AND SPEAK
to say the written words in a book, newspaper etc. so that people can hear them
read somebody something
例1) Daddy, will you read me a story?
read (something) to somebody
例2) Mom always read to us at bedtime.

つまり、「本や新聞などに書かれた文字を口に出す。そうすることで人がそれを聞くことができるように」。
例文1は、「パパ、私にお話を読んで(聞かせて)くれる?」。例文2は、「ママはいつも寝る前に、私たちに(本を)読んで聞かせてくれた」。
(ちなみに、例文2の read は過去形(発音は [red](レッド))。「いつも読んで聞かせてくれる」という現在形なら、reads のように3単現の -s がつくことになります。)

文字が読めない目の不自由な人のために、本を読み聞かせるボランティアをしている、とジョーイは言いたいのですね。
雑誌の読者に良い印象を持ってもらうために、そういう活動をしていると言っていることになります。

次の、And I'm also a mento for kids. について。
ジョーイがそう言った後、フレンズたちは「え?」という感じで固まり、インタビュアーも、「あなた、今、a mento って言った?」のように聞き返していますね。
その後、ジョーイが、"Y'know, a mento. A role model." 「ほら、メントーだよ。ロール・モデル(のこと)」と答えたことで、ジョーイが言葉を間違って使っていたことがわかる仕組みです。

ジョーイは、a mento (発音は「メントウ、メントゥ」という感じで、語尾の o は二重母音の「オウ、オゥ」[ou])と言っていますが、それだと、mentos 「メントス」というお菓子の「単数形」を指すことになってしまいます。
メントスは日本でも売っているのでご存知の方も多いでしょう。
Wikipedia 日本語版: メントス

「メントゥ?(メントスの単数形?)」みたいに聞き返されたジョーイは、その単語が間違っていることに気づかず、「a mento だよ。A role model のことだよ」と別の言葉で言い換えています。
a role model 「ロールモデル。お手本・模範となる人」という意味で、a mento と間違えそうな単語と言えば、それは、a mentor になります。
意味は「良き指導者・助言者」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
mentor : an experienced person who advises, encourages, and helps a less experienced person
つまり、「より経験の少ない人にアドバイスしたり、励ましたり、助けたりする、経験豊かな人」。

日本語でも「メンター」のようなカタカナの言葉で使われることがありますが、英語の mentor の発音は、「メントァ または メンター」のようになります。
Merriam-Webster Dictionary : mentor では、その2種類の発音記号が表示されています。

ジョーイはどこかで、a role model と同じ意味である、a mentor という言葉を聞いたことがあって、知的な感じでそれをインタビューの答えに使おうとして、間違ってお菓子の名前を言ってしまった、ということになります。

そのジョーイの発言を聞いた後の、チャンドラーのト書きが面白いですね。
keep from doing は「〜することを避ける、〜しないようにする」という感覚。
「お前が言おうとしているのは、a mentor だろ!」と言ってしまいたくなるのを我慢して、こぶしをぐぐっと噛んでいることになります。

ジョーイが言い間違いに気づかないので、インタビュアーはもう一度、「あなたが言いたいのは、本当に a mento なの?」と聞き返していますが、ジョーイはその質問を不思議に思うことなく、「そうだ」と答えます。

インタビュアーが "A mento?" と聞き返すセリフは、DVDの日本語訳では「メンターじゃなくて?」と訳されていました。
これは、訳者の方が、日本人にわかりやすいように、「情報を補足する形で訳した」ことになりますね。
今回の英語のやりとりでは、本来ジョーイが使うべき言葉だった mentor という正しい単語は、実は一度も登場しません。
"You mean a mento? Not a mentor?" 「あなたが言っているのは、メントー[メントス]? メンター(ロールモデル)じゃなくて?」のように、「正しい単語」を出して、丁寧に聞き返してしまうと、さすがのジョーイも気づいてしまう、、というか、「ジョーイはずっと、メンターをメントーだと勘違いしている」ということで笑いを取るのが難しくなってしまいます。
ずっとジョーイに勘違いさせたままにするためにも mentor という正しい単語は使えないし、また、英語圏の人は、ジョーイが、a role model だと言い換えたことで、ジョーイは本当はメンターと言いたかったことがわかるので、わざわざ説明チックに、「それって、mentor の間違いよね」とセリフで言わせる必要もないわけです。

ですが! その「あえて mentor という言葉を使わない」という英語のセリフをそのまま日本語に訳すと、role model の意味を持つ、mentor という単語を知っている人以外は、「ジョーイはメントスを何と勘違いしてるの?」となってしまいますよね。
だから、英語では「メントー?(メントス?)」みたいにおうむ返しに聞き返したセリフを、「メンターじゃなくて?」と「正しい言葉はこっちよね?」と聞き返した風に訳さないと、日本人には説明不足になってしまうわけです。
英語では一切、mentor という単語を出していないという「面白さ」は、やはり「英語で見る」ことでしか気づけないということで、そこが「英語のコメディーを英語で理解する楽しさ、面白さ」ということにもなるでしょう。

また、今回のように「よく似た音の英単語を使ったジョーク」は、日本語でカタカナ表記にするのも難しい部分です。
英語のセリフでは、a mento と a mentor とを間違っていることになっていますが、DVDの日本語訳ではそれぞれ、「メントス」「メンター」と訳されていました。
日本人は「メントス」という複数形なら、あのお菓子の名前だとわかるけれど、ジョーイの言った通りの単数形で「メントゥ(メントー)」とカタカナにしてしまうと、それが「メントス」のことだとわかりませんよね。
ただ、実際の英語のセリフでは、「メントス」の単数形である「ア・メントゥ」と言っているから、それとよく似た a mentor 「ア・メントァ」と間違っているのが瞬時にわかって面白いわけで、日本語訳の「メントス」と「メンター」ほどには、実際の英語の発音は違わない、というのがポイントでもあるわけです。
こういう英語のダジャレ的な部分は、やはり原語である英語を確認しないことには、脚本家が意図した本当の面白さはわからないのだな、ということがよくわかります。
「メントス」と複数形にしてしまうと「よく似た発音」であることがわかりにくくなる、でも「メントゥ」としてしまうと「メントス」というお菓子だとわからなくなる、、というところが、「英語のセリフの面白さを、100%、日本語訳に反映することはできない」という葛藤であるとも言えそうですね。


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posted by Rach at 14:51| Comment(4) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月25日

その単語のスペルは負け犬? フレンズ8-19その1

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シーズン8 第19話
The One With Joey's Interview (ジョーイのインタビュー大作戦!)
原題は「ジョーイのインタビューの話」


[Scene: Monica and Chandler's, everyone except Phoebe is there as Rachel enters carrying a magazine.]
モニカとチャンドラーの家。フィービー以外のみんながそこにいて、そこにレイチェルが雑誌を持って入ってくる。
レイチェル: Hi! (はーい!)
ロス: Hey! (やあ!)
モニカ: Hey! (はーい!)
レイチェル: So I'm in my apartment doing the Soap Opera Digest crossword puzzle, and guess who is the clue for three down? (She hands the magazine to Joey.) (それでね、私は自分のアパートメントで、「ソープオペラ・ダイジェスト」のクロスワードをやってるのよ。で、タテの3のカギ(ヒント)は誰だと思う? [レイチェルはその雑誌をジョーイに手渡す])
ジョーイ: (reading) Three down, "Days Of Our Lives star, blank Tribbiani." That's me!! I'm blank!! ([読んで] タテの3、「デイズ・オブ・アワ・ライブズ(愛の病院日誌)のスター、「空白」トリビアーニ」。それって俺だ! 俺が空白だ!)
モニカ: How cool is this?! We know three down! I'm touching three down! (She has her hand on his shoulder.) (これってなんてかっこいいの! 私たちは「タテの3」を知ってるのよ! 私(今)、タテの3に触ってる! [モニカは自分の手をジョーイの肩に置く])
ジョーイ: Yeah, you are, baby. (あぁ、そうだね、ベイビー。)
モニカ: Three down knows I'm married. What's three down doin'? (タテの3は私が既婚だって知ってるわよね。タテの3は(一体)何やってるの?)
ジョーイ: Sorry. (ごめん。)
レイチェル: So do they call you to tell you your name's gonna be in this? (それで、あなたの名前がこの(クロスワードの)中に入ることになるって、(出版社から)あなたに電話はあるの?)
ジョーイ: No. They really like me over there. They wanted to do a big profile on me, but I said no. (いいや(電話はないよ)。あそこの人(出版社の人たち)は、俺をほんとに気に入っててね。俺を大きく紹介する記事を書きたいって言ってたんだけど、でも、俺は断った。)
ロス: Why'd you say no? (どうして断ったの?)
ジョーイ: Remember what happened the last time I did an interview for them? I said I write a lot of my own lines, and then the writers got mad and made my character fall down the elevator shaft. So who knows what I might say this time. (ソープオペラ・ダイジェストのインタビューを、俺が前に受けた時に、何が起こったか覚えてるだろ? 俺が俺のセリフの大部分を書いてるって言ったら、脚本家が怒って、俺のキャラクター(ドクター・ラモレー)をエレベーター・シャフトに落としたんだ。だから、今回も俺がどんなことを言うかもしれないってことは誰にもわからないだろ?)
チャンドラー: If only there was something in your head to control the things you say. (Joey nods his agreement.) (お前の頭に、お前が言うことをコントロールするものがあればねぇ。[ジョーイは同意してうなずく])
レイチェル: Oh, come on, Joey! You will totally keep it in check this time. And plus, y'know the publicity would be really good for your career! And you deserve that! And if you do the interview, you can mention, oh I don't know, "gal pal Rachel Green?" (ねぇ、お願いよ、ジョーイ! あなたは今回はちゃんと制御できるわ。それに、ほら、宣伝(人に知ってもらうこと)はあなたのキャリアにとって本当に良いことになるもの! そしてあなたにはその資格があるもの! それにもし、あなたがインタビューを受けたら、こんな風に言えるでしょ、ほら、よくわからないけど、「ギャルパル(女友達)のレイチェル・グリーン」とか?)
チャンドラー: Is that "gal pal" spelled L-O-S-E-R? (その”ギャル・パル”のスペルは、LOSER(負け犬)かな?)
レイチェル: Okay, don't listen to him. Please? (もう、チャンドラーの言うことなんか聞かないで。いいでしょ?)

レイチェルは、I'm in my apartment doing... というセリフを言っています。
今、モニカとチャンドラーの家に入って来たところなので、「私は(今)自分のアパートメントで〜をしているところ」というのはちょっと不思議な感じがしますが、これは「さっき、自分のアパートでしていたことを、臨場感を持って語っている」というニュアンスになるでしょう。

guess who の guess は「推測する、推量する」なので、Guess who...? なら「誰だと思う? 誰だか当ててみて」というクイズを出している感覚になります。
そのような言葉が後から続くことからも、まるで日本語のクイズの前振りのように、「私は今、アパートでクロスワードをしています。さてそのクロスワードに出てきた人は誰でしょう?」という感じで、現在形が使われているのもわかりやすい気がしますね。

「ソープオペラ・ダイジェスト」は、ソープオペラ、つまり昼メロの情報が載っている雑誌。
クロスワードの話なので、the clue for three down は、「タテの3のカギ・ヒント」になります。タテは down で、ヨコは across になります。
それを聞いたジョーイは、ソープオペラ・ダイジェストのクロスワードを声に出して読んでいます。
blank は「空白、空欄」ですね。
「デイズ・オブ・アワ・ライブズ(愛の病院日誌)のスター、○○(空白)・トリビアーニ」と書いてあるのを読んで、「それって俺(のこと)じゃん! 俺がブランク(空白)だ!」と喜んでいるのが微笑ましいです。

自分の友人であるジョーイが、クロスワードの「タテの3」になっていることをモニカは喜んでいます。
ジョーイのことを何度も「タテの3」と表現して、「私はタテの3と知り合いで、今もこうしてタッチしてるのよ」と面白がっている様子。
ジョーイの Yeah, you are, baby. は、Yeah, you are touching three down, baby. ということで、「あぁ、そうだね、君は今、「タテの3」(=俺)に触ってるんだよ、ベイビー」と、モニカの発言を繰り返している感覚になります。
プレイボーイのジョーイっぽく、ちょっと、くどきモードでそう言ったので、モニカはまた「タテの3」という言葉を使って、「タテの3は、私が結婚してるって知ってるのに、そんな色目使って、一体何やってるのよ」とからかうことになります。

次のレイチェルの質問、So do they call you to tell you your name's gonna be in this? について。
これは、「で、あなたの名前がこのクロスワードに載ることになる、ってことを言うために、彼らはあなたに電話するの?」という感じですね。
they は「この雑誌社の人」を漠然と指す感覚になります。

ジョーイは、No. と言って、「いや、電話連絡はないんだ」と答えた後、They really like me over there. と言っています。
over there は「あそこでは、むこうでは」という感覚なので、「その出版社では、彼ら(そこで働いている人たち)が、俺のことを本当に気に入っているんだ」と言っていることになるでしょう。
They wanted to do a big profile on me の profile は日本語の「プロフィール」の感覚、つまり「人物紹介」ということですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
profile [noun] : a short description that gives important details about a person, a group of people, or a place
つまり、「ある人、人々のグループ、場所に関する重要な詳細を説明する短い記述(解説)」。

do a big profile on me を直訳すると、「俺について、大きな人物紹介をする」という感じなので、「俺を大きく紹介する(記事を書く)」ということになるでしょう。
その後ジョーイは、「でも俺はノーと言った、それを断った」と言っていますね。
ロスに理由を問われたジョーイは、「彼ら(ソープオペラ・ダイジェスト)のために、俺がインタビューを受けた時に、何が起こったか覚えてるだろ?」と言っています。
その後、続けて、その時のことを、ジョーイ自ら説明していますね。
「俺が俺のセリフの多くを書いてる、って俺は言って、そしたらライター(脚本家)が怒って、俺のキャラクター(ドクター・ラモレー)をエレベーターシャフトに落ちるようにした」ということになります。
これは、フレンズ2-18その8 に出てきたお話ですね。
脚本家が実際に、キャラを突き落すわけではないので(笑)、「そういう展開になるように脚本を書くことで、ラモレーがエレベーターシャフトに落ちるようにした」という使役の感覚になります。

Who knows...? は、「誰が…を知っているのか? 知っていると言うのか?」→「いや、誰も知らない、誰にもわからない」という修辞疑問。
「今回、俺が何を言うかもしれないかは誰にもわからない」ということで、前にあんなことがあったから、今回もマズいことを言っちゃうかもしれない、だからインタビューされる前に断っちゃったんだよ、と言っていることになります。

If only there was something... について。
この if only は、「ただ〜でありさえすればいいのに」という感覚。

LAAD では、
if only : used to express a strong wish, especially when you know what you want cannot happen
例) If only I could be 18 again!

つまり、「強い願いを表現するのに使われる。特に望むことが起こることはありえないとわかっている時」。例文は、「もう一度、18歳になれさえすればいいのに!」

ちなみに、上の語義と例文は、単語 if の欄に載っていたものですが、LAAD では、単語 only の項目にも、同じく if only の意味が載っていて、そちらの例文は、
If only I could be 15 again!
になっていました。
あの頃に戻りたい!という年齢が2つの例文で異なっているのが面白かったのと同時に、どちらも10代なのね、、ということには、妙に納得したりもします^^

語義にあるように「願っていることが起こらないとわかっている」ことから、「現実とは反対の仮定」を表す「仮定法過去」を使うことになるので、ロングマンの例文は could 、そして、チャンドラーのセリフも was という過去形が使われていることになります。

つまりチャンドラーは、「お前が言うことをコントロールするものがお前の頭にあればいいのになぁ」と言っていることになります。
「仮定法過去」で、「それがありさえすればなぁ」と言われているということは、「実際にはそれは存在しない」と言っていることになり、つまり、「お前、自分の発言を、頭でコントロールできてないぞ」とバカにされていることになるのですが、それに対して「うん、発言をコントロールするものが頭にあればいいと思う」みたいに、チャンドラーの皮肉に怒ることなく、うんうんとうなずいているのもジョーイらしいですね。

ジョーイがインタビューを断ったと聞いて、レイチェルは「ねぇ、お願いよ、ジョーイ!」みたいに言って、You will totally keep it in check this time. と言います。
check は「チェック」「検査」みたいな意味が真っ先に浮かぶかと思いますが、keep ... in check というフレーズは、「〜を抑制・防止する」という意味で、この check は「抑制、防止」というニュアンスになります。

LAAD では、
keep/hold something in check : to keep someone or something under control
例) The law is designed to keep rents in check.

つまり、「誰かや何かを、コントロールすること[制御下に置くこと]」。例文は、「その法は家賃のコントロールを目的として作られたものである」。

「発言をコントロールするものが頭にない」みたいにチャンドラーに言われてしまったことに対して、「今度はコントロールできるわよ」と言っているニュアンスですね。

publicity は「宣伝、広告」「世間の注目、広く一般に知れ渡ること」なので、そうやって雑誌に載せてもらって人に知られることは、あなたのキャリアにとっても良いことよと説得していることになります。
deserve は「〜の価値がある、〜を受けるに値する」なので、「あなたはそんな風に雑誌に掲載してもらえる価値がある、その資格は十分にあるわ」と言っていることになるでしょう。
その辺りまでは、「友人として、ジョーイの俳優としてのキャリアを思って言っている」感が出ていますが、その次のセリフは、レイチェルっぽいですね。
「もしあなたがインタビューを受けたら、こんな風に言えるわよ」と言っていますが、その内容はと言うと、gal pal Rachel Green。
gal は「ギャル」で、girl が変形した言葉ですね。pal は「友達」なので、gal pal は「女友達」ということになりますが、-al で韻を踏んだ感じはするものの、その後のチャンドラーがツッコミを入れていることからも、あまりしゃれた表現ではないように思えます。
読者は、ソープオペラ(昼メロ)好きな人なので、そういう人が使いそうな(一昔前の?)言葉みたいなことでしょうか。

それを聞いたチャンドラーの反応は、「今、レイチェルが言った、gal pal っていうのは、LOSER っていう綴りで書くのかな?」ということですね。
「A の単語のスペルは B?」と尋ねるのは、「A は B って意味?」と言っているのと同じことなので、「そのギャルパルっていうのは、負け犬のこと?」とチャンドラーは返していることになります。
友人に雑誌に載るように薦めて、そこで自分が「女友達のレイチェル」のように名前を出してもらおうとしていること、つまり「ジョーイのためになるように言っておいて、実は自分の名前を出して欲しいだけ、という本音がミエミエ」なことを、負け犬っぽい行動だと言っていることになるのでしょう。

チャチャを入れてきたチャンドラーのことを、「彼の言うことなんて聞かないで。お願いだからインタビューを受けてよ」とレイチェルが頼むので、結局、ジョーイはこの後、インタビューを受けることになります。

今回のお話は、この後、実際にインタビューされているジョーイのシーンの間に、「インタビューで質問されて、昔の自分を思い出す」という、過去エピソードの回想シーンが挿入されるパターンのエピソードになっています。
ブログの記事は、回想シーン以外の「新作」部分を解説することになりますが、実際にこのエピソードをご覧になっている方は、回想シーンも思い出して懐かしんでいただけると嬉しいなと思います。
回想シーンで表わされるような「過去の言動」の積み重ねで、今のジョーイというキャラクターが出来上がっているわけですよね。
今回取り上げたシーンも、「その雑誌のインタビューで、昔マズいことを言って、役を降ろされた」ことがネタとして使われていますが、そういう過去の経緯もひっくるめて楽しめるのが、複数のシーズンを重ねたドラマの楽しみとも言えるでしょうね。


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posted by Rach at 15:18| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月22日

それにノーというのは難しかったでしょうね フレンズ8-18その6

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[Scene: Ross and Rachel's, they're returning from the party.]
ロスとレイチェルの家。二人はパーティーから帰ってきたところ。
(二人は結婚している、とパーティー会場で嘘をついていたロスとレイチェルは、そこで話したありもしない結婚式のホラ話の続きをしています)
ロス: ...and then, we could've gone from the ceremony to the reception with you in the sidecar! (…その後、結婚式から披露宴へ、君をサイドカーに乗せて行った、というのもありえたね。)
レイチェル: Ross, it just wouldn't have been feasible. (ロス、それは、もっともらしくなかっただろうけど。)
ロス: But having a dove place the ring on your finger would've been no problem. (でも、ハトに、君の指に指輪をはめさせたってこと[はめさせたって話]だったら、何の問題もなかったんだろうにね。)
レイチェル: It was really fun being married to you tonight. (今夜、あなたと結婚していたことは本当に楽しかったわ。)
ロス: Yeah! And! And, it was the easiest 400 bucks I've ever made. (そうだね! それに! それに僕がこれまで稼いだうち、一番楽に稼げた 400ドルだったよ。)
レイチェル: Okay, Ross, can I uh, can I ask you something? (そうね、ロス。あなたに質問していい?)
ロス: Yeah. (うん。)
レイチェル: That proposal at the planetarium? (プラネタリウムでのあのプロポーズ(のこと)。)
ロス: I know, I know. It was stupid. (わかってる、わかってるよ。バカげてたよね。)
レイチェル: Are you kidding?! With the, with the lilies, and-and the song, and the stars? It was... really wonderful! Did you just make that up? (冗談でしょ? あのユリの花と、あの歌と、あの星(で書かれた言葉)よ。ほんとに素晴らしかったわ! ただ(即興で)話を作ったの?)
ロス: No, actually I thought about it when, when we were going out. That's how I imagined I uh, I would ask you to marry me. (いや、実はそれを考えてたんだよ、僕らがデートしていた頃に。あんな風に、僕は君に結婚を申し込もうと思っていたんだ。)
レイチェル: Wow. Well, that would've been very hard to say no to. (わぉ。あのプロポーズなら、それにノーと言うのはすごく難しかったでしょうね。)
ロス: It's a good thing I didn't do it, because it sounds like it would've been a very expensive wedding. (Rachel laughs) Okay, good night. (そうしなくて(そんなプロポーズしなくて)良かったよ。だってものすごくお金のかかる結婚式になっただろうって思えるからね。[レイチェルは笑う] それじゃあ、おやすみ。)
レイチェル: Good night. (おやすみ。)
(They go off to their bedrooms)
二人はそれぞれの寝室に向かう。
ロス: Even if the sidecar had a, had a windscreen so your hair wouldn't get messed up? (あのサイドカーにフロントガラス(風よけガラス)がついていて、君の髪の毛がぐしゃぐしゃにならなかったとしても?)
レイチェル: I will think about it. (考えとく。)
ロス: That's all I'm askin'. (それで十分だ。)

パーティーの会場で、他人の手前、「結婚している」と嘘をつくことになったロスとレイチェルでしたが、その時にでっちあげた様々なホラ話が面白かったようで、同じ家に戻ってきてからも、その話の続きをしています。
このシーンでは、「would/could have+過去分詞」の形が何回も登場しているのに注目したいところ。
would have+過去分詞なら「〜した・〜だっただろうに」
could have+過去分詞なら「〜できただろうに」「〜した可能性もあっただろうに」
という感覚になります。
「過去の時点でもしそうだったのなら、〜だっただろうに」というニュアンスですね。

最初の、we could've gone from the ceremony to the reception with you in the sidecar! について。
「結婚式(ceremony)から披露宴(reception)へ、君をサイドカーに乗せて(君がサイドカーに乗った状態で)行く」という話をしています。(サイドカーと聞くと、いまだに「キカイダー」のイメージしか浮かばないのですがw)

we could have gone というのは、「行くということもできただろうに」(可能)か「行ったということもありうる」(可能性)かのどちらかになるでしょうが、この場合は可能性を述べているような気がします。
「君をサイドカーに乗せて移動した」っていうのも、話としてはアリだったね、という感じだろうと思います。
ロスとレイチェルがでっちあげた偽の結婚式の話の中で、「式場から披露宴会場まで、レイチェルをサイドカーに乗せて行った、とかいうのもアリだったよね。そんな風に言っても良かったよね」みたいなことになるでしょう。

それに対して、レイチェルも、wouldn't have+過去分詞の形で返事をしています。
feasible は「ありそうな、もっともらしい」なので、「そのロスのサイドカーの話は、もっともらしくなかっただろう」と言っていることになりますね。
この場合は、「もしロスがそういうことをみんなの前で言っていたら、それはもっともらしく聞こえなかっただろう」と言っていることになるでしょう。

もっともらしくない、人に信じてもらえない、みたいにレイチェルが言ったので、ロスは、レイチェルの発言を比較として持ち出しています。
But having a dove place the ring on your finger would've been no problem. の、would've been no problem は、「主語は、問題なしだったんだろうのにね」という感覚だろうと思います。

主語は「(一羽の)ハトが指輪を君の指に place するようにさせること」という使役の意味ですね。
この place は名詞では「場所、所」で、動詞の一般的な意味は「(ものを)(…に)置く」になります。
ですから、「置く」と訳すと、「レイチェルの指の上に指輪を置く」になりそうなのですが、結婚式の指輪の話だと、place the ring on someone's finger は「人の指に指輪をはめる」という意味で使われていると考えるのが妥当な気がします。

フレンズでは過去に何度か結婚式のエピソードがありましたが、過去記事、与えられた権限によって宣言する フレンズ7-24その6 では、チャンドラーとモニカの指輪交換のシーンで、以下のト書きがありました。

(Chandler and Monica both turn, take the rings from Ross and Rachel respectively, and place them on each other's fingers.)
チャンドラーとモニカは向きを変え、それぞれ、ロスとレイチェルから指輪を受け取る。そしてお互いの指にはめる。

その記事で、指輪交換シーンの比較として、フレンズ5-1 のセリフも紹介しているのですが、それは以下のようになっていました。

司祭(Minister): Do you have the rings? (He is given the rings) Emily, place this ring on Ross' finger as a symbol of your bond everlasting. (She jams the ring onto his finger) Ross, place this ring in Emily's hand as a symbol of the love that encircles you forever. (指輪はありますか? [司祭は指輪を渡される] エミリー、あなたたちの絆が永遠に続く象徴として、この指輪をロスの指にはめなさい。[エミリーはロスの指に指輪を押し込む] ロス、あなたの周りを永遠に回る愛の象徴として、この指輪をエミリーの手にはめなさい。)

これは司祭が「相手の指に指輪をはめなさい」と言っているセリフで、
エミリーには、place this ring on Ross' finger
ロスには、place this ring in Emily's hand
という表現を使っていますね。
「ロスの指に」「エミリーの手に」という違いはありますが、どちらも動詞は place が使われていることがよくわかります。

フレンズ5-1 でも、フレンズ7-24 でも、place the ring on someone's finger の形が使われていることからも、「結婚式で相手の指に指輪をはめる」というお決まりフレーズの動詞は、place が使われると言ってよいでしょう。

ですから今回も、「ハトがレイチェルの指の”上に”指輪を”置く”」と言っているのではなくて、「ハトがレイチェルの指に(接触の on)指輪をはめる」という意味で言っていると考えるのが自然だと思いました。
ハトがパタパタ飛んできて、手の上に指輪を置く、とかだけでもかなり無理がある話なのに、あろうことか、ハトがそのくちばしを使って(?)、ロスの代わりにレイチェルに指輪をはめさせる、みたいな話を言っているという面白さだろうと思うわけです。

「サイドカーの話は非現実的で無理があるわよ」と言ったレイチェルに対して、レイチェルがロスに「こんなのはどう?」と披露した案である「ハトが指輪をはめてくれる」という話だったら、何の問題もなかっただろうにね、とロスが皮肉っぽく言っているセリフだということですね。
皮肉っぽく、というのはつまり、「何の問題もなかっただろうにねぇ、、」→「そっちの方がよほど変だと思われるんじゃない?」というニュアンスで言ったんだろう、ということです。

would have been no problem のように would have+過去分詞を使っていることから、その発言は、みんなの前で実際に話されたものではない、という気がします。
恐らく、家に帰ってくるまでの間に、「ハトが指輪をはめてくれる」みたいな案をレイチェルがロスに話していたことがあって、そんな話をしていた君が、それよりはずっとありうる話のサイドカーの話を非現実的だとか言うつもり?みたいなことだろうと思います。

その後、レイチェルは、It was really fun being married to you tonight. と言っています。
直訳すると、「今夜、あなたと結婚していたことは本当に楽しかった」。
前後の話の流れもなく、この一文だけ聞いていると、「今夜、あなたと結婚していた」という表現に、「は?」となってしまうところですが、今夜のパーティーの時だけ、「二人は結婚している」というふりをしていたというドラマの状況がわかっていると、微笑ましいと思ってしまえるセリフですね。
今夜のパーティーの間だけ、私たちは結婚しているってことになっていた、その時間がとっても楽しかったわ、と言っていることになります。

それに賛同したロスは、同時にお金の話もしています。
it was the easiest 400 bucks I've ever made. を直訳すると、「僕が今までに作った(稼いだ)最も簡単な 400ドルだった」ということになります。
結婚したということで、多くの親戚にお祝い金をもらえたことをそう表現しているのですね。
「結婚しました」ということにしただけで、何の苦労もなく、400ドルも稼げちゃったよ、ということです。

その後、レイチェルは、プラネタリウムでのプロポーズのことを質問しています。
そのことを問われて即座にロスは、「わかってるよ。ばかげてたよね」と言うのですが、レイチェルは本心から、「あの(部屋いっぱいの)ユリに、あのフレッド・アステアの歌に、あの星で書かれたプロポーズの言葉。本当に素晴らしかったわ」と言っています。
そして、「あれは、ただ(その場で)即興で作ったの?」のように尋ねていますね。
make up は、一般的に「作り上げる」という意味ですが、「作り話をする、話をでっちあげる」という意味としても使われます。
今回は「でっちあげる」というような悪い意味ではなくて、「実際にあったわけでもないプロポーズの話を、あの場で即興で作り上げたの? あの場で瞬時に作り話をしたの?」と尋ねる感覚になるでしょう。

ロスは正直に、「実は、そのこと(プロポーズ)について、前に考えていたんだよね、僕たちがデートしていた時・付き合っていた時に」と言っています。
そして、「あんな風に君に結婚してほしいと申し込もう、って僕は想像してたんだよ」とも言っています。
それを聞いたレイチェルは、that would've been very hard to say no to. と言います。
ここでもまた、would've been という、would have+過去分詞が出てきましたが、これは、「もしあなたが想像してくれていた通りに実際にプロポーズされていたら、そのプロポーズに対してノーと言うことはとても難しかったでしょうね」と言っていることになります。
「(それ)に対してノーと言う」(say no to (that))ということなので、文の最後に to が残っているのにも注目したいところ。
レイチェルは、そう言ってロスを見つめ、少し微笑んでいます。

そう言われたロスは冗談ぽく、「僕がそれをしなかった[そんなプロポーズをしなかった]ことは良いことだ」と言って、「だって、(もし実行されていたら)ものすごく高価な結婚式になっていただろうって思えるから」と言います。
sounds like は「聞いた感じからそう思う」という感想を述べる時に使うフレーズで、今回の結婚式の話は全部、「口で語られた話」であったことから、言葉で語られた結婚式の内容を考えると、随分と高価な結婚式になりそうだって思えるから、と言っていることになるでしょう。

何だかお互い、いい雰囲気になった状態で、ロスはレイチェルのお腹に手を当てて、おやすみ、と言い、レイチェルもおやすみ、と言ってそれぞれの寝室に向かいます。
部屋に入る前に、ふと思い出したようにロスは、windscreen の話をしていますね。
windscreen は一般的には「車のフロントガラス」のこと。辞書を見ると、windscreen はイギリス英語で、アメリカ英語では、windshield というようです。
ここではサイドカーの話をしているので、「フロント」ガラスというよりは、「風よけ」ガラスという感覚で使っていることになるでしょう。

Even if... は「たとえ…だとしても」なので、「君が乗るのを拒んで(笑)いるそのサイドカーに、もし風よけガラスがついていて、君の髪の毛が風で乱れなかったとしても、それでもやっぱり君は乗りたくない、って言うのかな?」とロスは言っていることになりますね。

I will think about it. /I'll think about it. は「考えておきます。考えておきましょう」という決まり文句。
文字通りに「それについて考えておくわ。これから考えてみるわ」というニュアンスにもなりますし、日本語の「考えておきます」に近いような「とりあえず、考えます、と言っておくけれど、事実上はやんわりした断り」のニュアンスにもなります。
今回の場合は、「まあ考えておくわ」のように、「ここで即答ではっきりノーとは言わないでおくわ」というニュアンスが近いように思います。

それに対するロスの返事、That's all I'm asking. について。
この ask は「求める、頼む、請う」のニュアンスでしょうね。
LAAD では、demand/expect の意味に、All I ask is というフレーズが載っていました。
ask : DEMAND/EXPECT if you ask something of someone, you expect them to do it
例) All I ask is (= the only thing I expect from you is) that you get here on time.

つまり、「要求する・期待する。誰かに何かを ask するというのは、その人にそれをするように期待すること」。例文は、「私が求めることのすべては(=私が君に期待する唯一のことは)君が時間通りにここに着くこと(だけ)だ」。

ここでは、「考えておきましょう」みたいに言ったレイチェルの返事のことを、that と表現しているので、「それが僕が君に期待していることの全てだ」と言っている感覚になるでしょう。
「話にならないと拒んでいたサイドカーの件を、考えときましょ、と言ってくれただけで、僕には十分だよ。その返事で僕は満足だ」と言っている感じになるように思います。

「あんなプロポーズされたら断れなかったわね」みたいに、いいムードになりかけていた二人ですが、最後のこのシーンは、いつもの「友達のロスとレイチェル」に戻っている感じがあります。
二人の口調も、この最後の部分だけは、あまり気持ちが入った感じではなく、「考えとく」「それで十分」とぶっきらぼうに訳す感じのイメージで、あぁ、やっぱりいつもの二人に戻ってる、、と安心させて笑わせて終わる、というエンディングが「フレンズ」らしくていいなぁ、と思いました。


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posted by Rach at 16:14| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月20日

こんな風に言っていた人もいた フレンズ8-18その5

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ロスのママに、「結婚せずに子供を持つことに抵抗がある人もいるから、二人は結婚したと言っといたわ」と言われたロスとレイチェルは、そのパーティー会場では「二人は結婚している」ということで他の人と話を合わせています。
最初は嘘をつくことに抵抗があった二人ですが、お祝い金をもらったり、素敵ねと褒められたりしているうちに、結婚式にまつわるありもしないホラ話をするようになります。
ロスとレイチェルの二人に画面がカットすると、レイチェルのまわりには人だかりができていて、レイチェルのホラ話がますますヒートアップしていることが一目瞭然な状態になっています。
レイチェル: And my veil was lace, made by blind Belgian nuns. (そして私のベールはレースだったんです。目の不自由なベルギー人の修道女たちが作ったんですよ。)
女性: Blind? (目の不自由な?)
レイチェル: Well, not at first, but it was very intricate work and they said even though they lost their sight, it was all worth it. (えぇ、最初は、目が不自由ではなかったんです。でもすごく複雑で細かい仕事で、例え視力を失うことになっても、その価値があるって、彼女たちは言っていましたわ。)
リサおばさん(Aunt Lisa): I bet you looked beautiful. (あなたはきれいだったでしょうね。)
レイチェル: Oh, well, I don't know about that. But there were some people that said I looked like a floating angel. (えぇ、まぁ、それについては何とも言えないですね。でも、私のことを、天使が浮かんでいるようだって言った人もいましたわ。)
女性: (To Ross) How did you propose? ([ロスに] あなたはどうやって(彼女に)プロポーズしたの?)
レイチェル: Oh, yeah, that's a great story. (えぇ、それは素敵な話なんです。)
ロス: Well, um, actually, I-I took her to the planetarium. That's-that's where we had our first date. Um, she walked in and I had the room filled with lilies, her favorite flower. (えーっと、実は、僕はレイチェルをプラネタリウムに連れて行ったんです。そこは僕たちが最初のデートをした場所で。彼女がそこに入って来ると、僕はその部屋をユリでいっぱいにしておいたんです、彼女のお気に入りの花なんですよ。)
リサおばさん: Oh, that is so sweet! (まぁ、それってすっごく素敵!)
レイチェル: Shhh! I want to hear the rest! (シーッ! 私は残りの(続きの)話を聞きたいの!)
ロス: Then Fred Astaire singing, "The Way You Look Tonight" came on the sound system, and the lights came down. And I got down on one knee and written across the dome in the stars, were the words: "Will you marry me?" (それから、「今宵の君は」を歌うフレッド・アステア(の声)がサウンドシステムから流れてきて、ライトが落ちるんです。それから僕が片膝をつくと、ドームいっぱいに、星でこの文字が書かれてるんです。「僕と結婚してくれる?」)
(Various oohs and ahhs)
さまざまな、おぉ、あぁ、という声(ため息)が起こる。
レイチェル: And the ring was the size of my fist! (makes a fist) (そして指輪は私のこぶしのサイズだったんですよ! [手でこぶしを作る])

レイチェルは(ありもしなかった)結婚式のベール自慢をしています。
nun は「尼僧、修道女」ということですね。
盲目の修道女たちが作った、と言うので、聞いている人は「盲目の人が作ったの?」と驚き聞き返すのですが、レイチェルは、「最初は盲目ではなかったけれど、とても複雑で入り組んだ(intricate)仕事だったから」と説明しています。
その後の文章、they said even though they lost their sight, it was all worth it. について。
they/their は nuns (そのベールを作った修道女たち)を指します。
worth it は「それだけの価値がある」。
彼女たちが言った内容を引用符でくくって表現すると、
they said, "Even though we lost our sight, it was all worth it."
になるでしょう。
「たとえ私たちが視力を失ったとしても、(ベールを作る・編むことは)それだけの価値が十分ある」と修道女たちは言った。
ということですね。
何人もの修道女がそれで目を悪くしてしまうほどの、とても細かく複雑な模様でできた、非常に手の込んだ素晴らしいベールだった、と言っていることになります。

「レイチェル、あなたはきっと美しかったでしょうね」とおばさんに言われたレイチェルは、まずは、I don't know about that. 「それについては私にはわかりませんわ。どうでしょうか?」みたいに自分ではイエスと言うのを避けています。
ですがその後に、But there were some people that said 「でも、〜だと言った人もいましたわ」と付け加えるのが、レイチェルらしいですね。
その言った内容が、I looked like a floating angel. 「私(レイチェル)は、浮かんでいる天使のように見えた」。
日本語的には「天使が浮かんでいるように見えた」の方が、表現としては美しいでしょうか。
いずれにしても、「結婚式のレイチェルはまるで天使がフワフワと浮いているようだった」と言ってくれた人もいましたわ、と自分で言っているわけですね。
先に「きれいだったかどうかは私にはわかりませんわ」みたいに言っておいて、「人には天使みたいだと言われましたけれど」などと付け加えているところに、「きれいだと褒められたい女心」が見えていて面白い、しかもこの場合は、実際に人にそう言われたわけでもないところを、自分で「天使のようだった」と表現しているのもポイントだということですね。
「自分ではよくわかりませんが、私のことをこんな風に言ってくれる人もいました」という表現は、自分の長所をアピールするのが苦手な日本人には、利用価値が高い表現かなと思います^^

女性がロスに「どうやって・どのようにして、ロスはレイチェルにプロポーズしたの?」と質問します。
ロスが説明する前にレイチェルが、「それはもう素敵な話なんですよ」みたいに言うので、ロスには変なプレッシャーがかかってしまいそうなところですが、意外にもロスは、言葉に詰まることなく、その「実際にはなかった」プロポーズの話をリアルに説明しているのも面白いです。

ロスは、「実は僕は、彼女をプラネタリウムに連れて行ったんです。そこは僕たちが最初のデートをした場所だったんです」と説明しています。
そのプラネタリウムのデートは、フレンズ2-15その18 に出てきましたね。

ここで、フレンズトリビア的な話をすると、今回のセリフで、ロスはそのプラネタリウムのデートを「二人の初デート」だと言っていますが、プラネタリウムのデートは実は2回目のデートで、本当の1回目のデートは、フレンズ2-15その11 に出てきた、「字幕付きの外国映画を見に行ったけれど、レイチェルは眼鏡をかけたくなくて、字幕が読めず、内容がわからなかった」というものです。
その後、レイチェルの部屋で良いムードになるものの、レイチェルが笑ってしまって、先に進めなかった、、というのが、本当のファーストデートでした。

とはいえ、二人が初めて結ばれたのが、その2回目のプラネタリウムだったのは間違いないので、今回ロスが「プラネタリウム」のことを言ったのは、フレンズファンにとって嬉しいことだったと言えるでしょう。

I had the room filled with lilies は、「その部屋(プラネタリウムの部屋)をユリで満たされた状態にした」という感覚ですね。
ユリ(lily, lilies)がレイチェルのお気に入りの花である、という話は、彼に手を出さないようにするのが大変だろ? フレンズ8-12その2 にも出てきましたね。
ジョーイがレイチェルをデートに誘いに来た時に、持ってきた花がユリでした。

ユリでいっぱいのプラネタリウム、、というロマンチックな話に、聞いていたおばさんは「それってすっごく素敵ね!」と感動したように言っているのですが、この話の続きが聞きたいレイチェルは、年上のおばさんに向かって、シーッ!と言い、言われたおばさんはムッとした顔をしています。

ロスはその後も話を続けています。
Then Fred Astaire singing, "The Way You Look Tonight" came on the sound system を直訳すると、「それから、”今宵の君は”を歌うフレッド・アステアがサウンド(音響)システムに出てきて」みたいな感じですね。
もっと日本語っぽく言うと、「”今宵の君は”を歌うフレッド・アステアの歌声が、スピーカーから流れてきて」ということになるでしょう。

"The Way You Look Tonight" という歌は、今宵の君は、を入れたテープ フレンズ6-17その4 にも出てきたことがあります。
チャンドラーがモニカにあげたプレゼントのカセットテープに入っていた曲ですが、実はそれは昔、ジャニスがチャンドラーに贈ったテープだった、ということが、ジャニスのメッセージが入っていたことでバレてしまう、、というものでしたね。
その曲に関して、その記事より1つ前の記事、望むものを何でも、こっちとあっちで フレンズ6-17その3 のコメント欄 で、
「この曲は映画「有頂天時代」のために書かれた曲なんですが,フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースがこの曲に乗って踊るシーンは,ミュージカル映画の中でも一,二を争うロマンチックなダンスナンバーなんです.」
という情報を教えていただいたことがありました。
過去のフレンズでもそのように「ロマンチックな曲」として使われたものが、今回もプロポーズの時に流す曲として使われたということになりますね。

アステアのロマンチックな曲が流れる中、ライトが落ちて、僕は片膝をついて、、とロスは説明を続けています。
片膝をついて、Will you marry me? と言うのは、プロポーズの定番ですね。
ロスの場合は、そのセリフを「自分の口で言った」のではなく、「文字として書かれた」のがポイントだと言えるでしょう。
その「書かれた」ことが説明されたセリフ、written across the dome in the stars, were the words: "Will you marry me?" が、長めの文章になっているので、構造の説明をさせて下さい。
これは、通常のSVの文章にすると、
The words: "Will you marry me?" were written across the dome in the stars.
になるでしょう。
それを、このセリフの最大のポイントとなる "Will you marry me?" を最後に持ってきた倒置の形が、ロスのセリフになるわけですね。

ロスのセリフを聞いたままにイメージすると、
written across the dome in the stars 「書かれていた、ドームを横切って(ドームいっぱいに)、星々で」
were the words: "Will you marry me?" 「(書かれていたのは)”僕と結婚してくれる?”という言葉だった」
になるでしょう。

途中に、across the dome という言葉が挿入されていますが、written in the stars の in は、「筆記体で書く」(write in cursive letters)のように、「〜で書く」のニュアンスだと思われます。
「星々の中に書かれていた」のではなく、「星々で(文字が)書かれていた」ということだと思うのですね。

ですから、その文全体のイメージは、
「僕は片膝をつきました。そして、ドームいっぱいに、星で書かれていたその言葉は「僕と結婚してくれる?」だったんです」
ということになり、「そこに書かれていた言葉は〜だった」と表現する倒置になっていたということです。

ト書きの Various oohs and ahhs という表現が、なかなか面白いですね。
聞いている人たちが口々に、Ooh, Ahh と言っている感じで、どよめきのようなため息があちこちから聞こえてくる様子がよく出ていると思います。

シーンのオチとして、「指輪の宝石の大きさ」のことを言っているのも面白いですね。
レイチェルの説明は文字通りの、「指輪(の宝石)は、こぶし大の大きさだった」ということで、それはいくらなんでも大げさだろ!と言いたいところですが、ロスのロマンチックなプロポーズの話に感動しつつも、「私の話も聞いてよ」的に、「金銭的な自慢話」を盛り込んで、レイチェルの見栄っ張りな部分も見せているのが、フレンズっぽくて楽しいなと思いました。


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posted by Rach at 15:23| Comment(2) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月18日

君がどれだけ聞いたかによる フレンズ8-18その4

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ロスとモニカの両親の結婚記念パーティー会場。
フィービーが連れてきたデート相手のパーカーは、何を見ても大げさに反応するので、フィービー以外のフレンズたちはすっかりうんざりしている様子。
パーカーとフィービーがお手洗いに行っている間、残ったフレンズたちがパーカーのことを話しています。
チャンドラー: Somewhere there is someone with a tranquilizer gun and a huge butterfly net looking for that man. (どこかに麻酔銃と大きな虫取り網を持って、あの男を捜しているやつが(きっと)いるな。)
ジョーイ: I have to go to the bathroom too, but I don't want him complimenting my thing. (俺もトイレに行かないといけないんだけど、でも彼に俺のモノを褒められたくないよ。)
ロス: So glad we weren't in the car! Did he ever let up? (僕と彼が同じ車でなくて良かったよ。彼(のあの勢い)が弱まることはあった?)
モニカ: He called the Long Island Expressway a "concrete miracle." (パーカーはロングアイランドの高速道路を「コンクリートの奇跡」って呼んでたわ。)
ロス: (imitating Parker) This room! This night! That waiter! His shoes! I must take a mental picture! (He backs into someone.) Ooh sorry... (He looks behind him then notices it's Phoebe then stops his impression.) ([パーカーの真似をして] この部屋! この夜! あのウェイター! 彼の靴! 僕は心の写真を撮らないといけないね! [ロスは後ろに下がって誰かにぶつかる] あぁ、すみません… [彼は自分の後ろを見て、それからそれがフィービーだと気づいて、パーカーの真似をやめる])
フィービー: Were you guys making fun of Parker? (あなたたちはパーカーをバカにしてたの?)
ロス: That depends, how much did you hear? (状況によるね、フィービーは(僕の話を)どれくらい聞いたかな?)

チャンドラーの Somewhere で始まるセリフについて。
「どこかに」を強調する感じで、somewhere が文頭に来ていますが、構造をシンプルにすると、There is someone... somewhere. 「…(する)誰かが、どこかにいる」ということですね。
a tranquilizer gun は「麻酔銃」、a butterfly net は「蝶のネット」ということですから「捕虫網、虫取り網」。
someone with A looking for that man ということで、「A を持ちながら、あの男を捜している誰か」と言っていることになります。
「麻酔銃と虫取り網を持って、あの男(パーカー)を(捕まえてやろうと)捜しているやつがどこかにいる」と言いたいわけですが、通常は文の最後に位置する somewhere をこうして文頭に出すことで、「”どこかに”必ずいる(に違いない)」という強調の感覚が出ているように思います。
「麻酔銃と網」のように、まるで猛獣か害虫みたいに言っているのが面白いわけですね。

ジョーイは「俺もトイレに行かないといけないんだけど、トイレに行きたいんだけど」と言った後、「でも彼に俺の thing を compliment してもらいたくない」みたいに言っていますね。
thing は「もの、こと」で、ジョーイがトイレでパーカーに見られたくない部分(笑)のことを、「俺のモノ」みたいに表現していることになります。
compliment は、Thank you for your compliment. 「お褒めいただきありがとうございます」の決まり文句で使われるように、名詞では「褒め言葉」、動詞では「褒める」ですね。

また、このセリフは、I don't want him doing の形になっています。
「人に〜してもらいたくない、〜しないでもらいたい」と言いたい場合には、
I don't want him to compliment my thing.
I want him not to compliment my thing.
などのように、want to を not と組み合わせることが可能ですが、「してもらいたくない」という否定文の場合には、今回のセリフのような「don't want 人 doing」の形を取ることもできるようです。

研究社 新英和中辞典では、以下のように説明されています。
want (他動詞)
(5) 〔+目+doing〕[否定文で] 〈人が〉〈人に〉〈…して〉もらいた(くな)い (注:この doing は現在分詞)
I don't want others interfering. 他人に干渉されたくない。


ただ、英英辞典には、そういう want somebody doing という形は載っていないんですよねぇ、、。(want something done という、過去分詞の例は載っていますが)

英英辞典に載っていないのは残念ですが、研究社の英和にそう出ていることと、実際にジョーイがこのように使っていることから、こういう構文もアリ、ということで良い、とは思います。

構文の説明ばかりになりましたが、要は、「パーカーとトイレで一緒になったら、”君のモノはなんてすごいんだ!”などと絶賛されそうでいやだ」という、ジョーイらしいセリフになっているということです。

ロスとレイチェルは、パーカーと一緒の車に乗りたくなくて、別のタクシーで会場に来ていました。
なので、「僕と彼が同じ車じゃなかったことは嬉しかった」のように言っているのですね。
Did he ever let up? の let up は、「やめる、休める、やむ」「静まる、弱まる、和らぐ」のような感覚。
LAAD では、
let up [phrasal verb] if something, such as bad weather or a bad situation, lets up, it stops or becomes less serious.
つまり、「悪天候や悪い状態などが let up するというのは、それが止まる、またはより深刻でなくなる、ということ」。

ですから、Did he ever let up? は、「彼のあのハイテンションで大げさな状態・勢いが、やむ・弱まることがあった?」と聞いていることになります。
それに対してモニカは、「彼はロングアイランドの高速道路を”コンクリートの奇跡”と呼んだ」と答え、車の中でもずっとあの調子で、何かを絶賛し続けていたことを言っています。

ロスはついにはパーカーの大げさな言動の真似をし始めます。
見るもの全てを褒めちぎり、「心の写真を撮らなきゃ」と言っている時に、ト書きにあるように、誰かに当たり、すみません、と謝ったところ、それがフィービーであることがわかる、という流れになっています。
ト書きの back into は「後ろに下がって・後退して〜にぶつかる」という感覚。
bump into 「人にばったり出くわす」という表現もありますが、その into と似た感じですね。
impression は「印象」と訳されることが多いですが、この場合は「(人の)物真似(ものまね)」。
フレンズ1-3 では、
チャンドラー: I'd marry him just for his David Hasselhoff impression alone. (彼(アラン)のデビッド・ハッセルホフの物真似だけで、俺は彼と結婚するね。)
というセリフもありましたね。

ロスがパーカーの物真似をしているのを見て、フィービーは気を悪くした様子で、「あなたたち、パーカーをばかにしてたの?」と怒っています。
それに対するロスの返事が、辛い立場ながらも面白いですね。
That depends, how much did you hear? の That depends. というのは「状況による、時と場合による」という決まり文句。
how much did you hear? は、「(僕がしていたこと・僕の発言を)どのくらいの量・どの程度、君は聞いた?」ということで、どこから聞いていたかによって状況は変わるね、少しだけしか聞いていないのなら、「全然ばかになんかしてないよ」ってごまかすこともできるかもしれないけど、かなりの部分を聞かれていたのなら、きっと言い訳できないよね、、みたいな、ロスの本音が見えるセリフになっているということですね。


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posted by Rach at 14:52| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月15日

私たちほど心が広くない人もいる フレンズ8-18その3

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ゲラー夫妻(ロスとモニカの両親)の結婚記念のパーティー会場。
ゲラーママ(ロスとモニカのママ): Can we talk to you for just a moment? (ちょっと二人に話せるかしら?)
レイチェル: Yeah. (はい。)
ゲラーママ: It's just a little thing. While we think it's simply marvelous that you're having this baby out of wedlock, some of our friends are less open-minded. Which is why we've told them all that you're married. (ちょっとしたことなの。あなたたちが結婚せずに子供を持つことは、ただ素晴らしいことだと私たちは思ってるんだけど、私の友達の中には、私たちより心が狭い人もいるの。だから私たちはその人全員に言ったのよ、あなたたちは結婚してる、って。)
ロスとレイチェル: What?! (何?)
ゲラーママ: Thanks for going along with this. (この件について同調してくれてありがとう。)
ロス: Dad, what, we have to pretend that we're married? (パパ、何? 僕たちは結婚してるふりをしないといけないの?)
ゲラーパパ: Son, I had to shave my ears for tonight. You can do this. (息子よ、今夜のために私は耳の毛を剃らないといけなかった。(それに比べたら)お前はこのくらいのことできるだろ(簡単だよ)。)
ロス: Can you believe that? (今の発言、信じられる?)
レイチェル: Yeah, I know. If you're going to do the ears, you may as well take a pass at the nasal [nosal] area. (そうよ、わかってる。もし耳をやる(する)のなら、鼻のエリアにも手を出した方がいいわ。)
ロス: No, no, I don't want to have to lie about us being married. (違う、違うよ。僕たちが結婚してるなんて嘘をつかないといけないなんて嫌だ、ってこと。)
レイチェル: Oh, no, I know, I don't either. But ya know what, it's their party, and it's one night. And we don't even have to lie. We just won't say anything. If it comes up again, we'll just... smile, we'll nod along.... (あぁ、そうね。私もそれは嫌だわ。でもほら、ご両親のパーティーだし、一晩だけのことよ。それに私たちは嘘をつく必要さえないわ。私たちはただ何も言わないようにするの。またその話題が出ても、私たちはただ…微笑んで、(相手の話に)合わせてうなずくの…)

ロスとモニカの両親の結婚記念パーティー会場で、ロスとレイチェルは、ママに声を掛けられます。
It's just a little thing. は「ちょっとしたことなの」というところですね。
「大した話じゃないんだけど」と最初に前置きしている感じですが、わざわざそんな前振りをする時ほど、大ごとだったりしますよね^^
ママの次のセリフ、While we think it's simply marvelous... について。
構造をシンプルにすると、while we think A, some of our friends are B ということになるでしょう。
私たち(ロスとモニカの両親)が A だと思う一方で、私たちの友人には、B である人もいる、という感覚です。
前半の文章を前から順番にイメージすると、
「私たちは思ってるの、ただ・とにかく(simply)素晴らしい(marvelous)って」。
何が「ただ素晴らしい」ことかというのが、that 以下で語られていて、それは、
「あなたたち(ロスとレイチェル)が子供を持つこと(二人に子供が生まれること)」
なのですが、「子供を持つこと」の後に、副詞句 out of wedlock が続いています。

wedlock は「結婚している状態、婚姻」という意味。
研究社 新英和中辞典では、
born in lawful wedlock 嫡出の
born out of wedlock 庶出の

という表現も出ています。
born out of wedlock を直訳すると、「婚姻(関係)の外で生まれる」ということで、法律上の婚姻関係にない男女から生まれた婚外子ということになります。
今回のセリフでは、have this baby out of wedlock となっているので、婚外子の子供を持つ、婚姻関係にない状態で子供を産む、という感覚になりますね。

英辞郎には、
Wedlock is a padlock. 《諺》婚姻は監禁。
ということわざも出ています。
padlock は「南京錠(なんきんじょう)」のこと。lock が韻を踏んでいますね。
ネットで調べてみると、Laura Lee(ローラ・リー)という人の Wedlock Is A Padlock という歌もあるようです。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
wedlock [noun, uncountable] (old use) : the state of being married
be born out of wedlock : be born to parents who are not married

つまり、wedlock は「結婚しているという状態・状況」。
be born out of wedlock は、「結婚していない両親(の家庭)に生まれる」。

ロスとレイチェルにはもうすぐ子供が生まれるけれど、二人は結婚しないことを決めたので、そのことをママは言っていることになります。

後半の some of our friends are less open-minded. について。
open-minded は「心が広い、偏見のない」なので、「私たちほど心が広くない、私たちより心が狭い友人もいる」と言っていることになりますね。
Which is why は、That's why 「だから〜なのよ。それが(why 以下のことをする・した)理由なのよ」の that の代わりに、前の文全体を受ける関係代名詞 which を使った形です。
「私がその友人たち全員に、ロスとレイチェルは結婚したと言った理由がそれよ。心の狭い人もいるから、あなたたち二人は結婚したって言ったの」ということになります。

ママに言わせると、「私たち(パパとママ)は理解があって心が広い」ということですが、「とにかく素晴らしいことだと思っているのよ」と言いながら、その後に、「婚外子の子供を持つこと」のようなダイレクトでシビアな表現を使っているところに、ママ本人もそのことについては、やはり今でもこだわりがある、抵抗があることが示されているように思います。
simply marvelous という称賛と、have this baby out of wedlock という「あなたたちがやっていることは世間から見ればこういうことなのよ」と現実を突き付けているような冷淡な表現との落差が、ママのセリフのポイントだという気がするのですね。
そういうことを受け入れている私たちはほんとに心が広いと思うわ、みたいな感じで、よく皮肉を言うママらしいセリフになっていると思います。

それを聞いたロスとレイチェルは驚くのですが、ママはしれっとした風で、Thanks for going along with this. と言いながら去って行きます。
go along with は、「〜と一緒に行く」ということですから、「〜に同調する、従う、賛成する、〜の話に乗る」という意味になります。
え?とただ驚いているばかりの二人に、「話に乗ってくれてありがとうね」と言って去って行く感覚は、「この件にちゃんと話を合わせてちょうだいね。よろしくね。助かるわ」みたいに先に言うことで、相手に有無を言わさず強引に従わせる感じですね。

ロスは隣にいるパパに、「僕たち二人は結婚してるふりをしなくちゃいけないの?」と言っています。
それに対するパパの返事がパパらしくて面白いです。
直訳すると、「息子よ、私は今夜(の結婚記念パーティー)のために、耳(の毛)を剃らないといけなかった。お前はこんなことぐらいできるよ」というところでしょうか。
日本語っぽく言うと、「私なんかパーティーのために耳の毛まで剃らないといけなかったんだぞ。それを思えば、お前がこんなことをする(結婚していると嘘をつく)なんて簡単だろ」ということになりますね。

パパの発言にあきれて「今のパパの言ったこと、信じられる?」とロスがレイチェルに言うと、レイチェルは、「ええ、そうね」と言うのですが、その後、ロスの意図とは違う、トンチンカンな返事をしているのが笑いのポイントになるでしょう。
ネットスクリプトには、the nosal area と書いてありましたが、「鼻の」という形容詞の綴りは、正確には nasal になります。
nasal の発音は、「ネイゾゥ(ネイゾル)」のようになりますが、レイチェルのセリフを聞いていると、「ノウゾゥ」と言っているように聞こえますので、それを文字にすると、nosal が近いような気はします。
日本人にとっても、nose の形容詞は nosal であってくれた方が理解しやすいのですが^^
正確には、「鼻の」という形容詞は、nasal であることを注意として書いてみました。

do the ears というのは漠然とした表現ですが、その前に「耳(の毛)を剃る」という話が出ているので、その流れから「耳をする」のようにシンプルに表現した感じですね。
may as well は「〜した方がよい・よさそうだ」。
take a pass at というフレーズは、辞書にもあまり見当たらないのですが、make a pass at というのは、「言い寄る、モーションをかける、ナンパする、ちょっかいをかける」という意味で、フレンズ1-12 でも、
フィービー: Paolo made a pass at me. (パウロが私にモーションかけてきたの。)
というセリフで登場しました。
LAAD では、
pass [noun] : SEX an attempt to kiss or touch another person with the intention of starting a sexual relationship with them
例) Her boss made a pass at her.

つまり、「ある人と性的関係を始めようという意図を持って、その人にキスしたりタッチしたりしようとすること」。例文は、「彼女の上司は彼女にモーションをかけた」。

日本人が、pass という単語を見ても、そういう連想はあまり働かないと思いますが、アカデミックな辞書である LAAD でもこのように随分と「性的な」語義になっていることからも、性的なアプローチの言葉として広く一般的に使われていることがわかります。

今回の take a pass at が make a pass at となっていたら、そういう性的なアプローチの意味で解釈することに何も問題はないのですが、take が使われていることで、何か別の意味になるのかどうか?が正直よくわかりません。
英辞郎には、
take a pass on=〜を見送る
という意味が載っているのですが、これは at ではなく、on になっていますよね。
この take a pass on の場合は、「トランプでパスをする(棄権する)」のパスに近い感覚だろうと思います。
ただ、そういう「見送る、棄権する、辞退する、遠慮する」のような意味だと考えると、「耳をしようと思うのなら、鼻のエリアは見送る方がいい」になり、セリフのつじつまが合わなくなる気がするのですね。
DVDの日本語訳も、
(字幕)耳毛を切るなら 鼻毛も切るべきよ/(音声)ええ、ほんとよねぇ、耳毛を剃るぐらいなら、鼻毛も全部、チェックすればいいのに
となっていて、「耳をするなら鼻も(同じように)すべき」の方が話の流れ的にも合っている気がするわけです。
LAAD の語義にあったように、pass という名詞に「(性的関係を期待して)キスしたりタッチしたりすること」という意味があるとしたら、そういう行為を make するでも、take するでも、どちらの動詞でも使えるような気はするのですね。
make と take を LAAD で調べると、どちらにも2番目の語義に、do something という意味が出ています。
make なら、make a decision/call など、take なら take a shower/walk などの例が載っています。
make の1番目の語義は produce、take の1番目の語義は move で、それぞれ日本語にすると「作る」と「動かす」ということになるでしょうが、make/take 以下に続く名詞の行為を「作り出す、生み出す」「動かす、行動を起こす」のように考えると、make/take a pass at はどちらも、at 以下の対象物に a pass という行為をする、という意味で、同じように使える気がするわけです。

話が長くなってしまいましたが、レイチェルのセリフの take a pass at が、make a pass at と同じニュアンスだと考えると、「鼻のエリアにちょっかいをかける、手を出す」みたいなことになるでしょう。
レイチェルが言いたいことは、「耳の毛を剃ったのなら、鼻の毛も剃った方が良かったのに」みたいなことで、「耳毛は剃ったようだけど、鼻毛の手入れができてないわ」とレイチェルが思ったらしいことがわかります。

また、このセリフで、レイチェルが、do と take a pass at という動詞と句動詞を使ったことについては、ちょっと恋愛絡みの連想も働く表現で言ってみた、という感覚があるようにも思いました。
(これも、あくまで、take a pass at が、make a pass at と同じニュアンスがある、という解釈の続きの話になりますので、その点はご了承下さいませ)

具体的な内容としては、「耳毛・鼻毛を剃る・手入れする」ということですが、その部分に手を入れる、その部分を手入れする、という意味で、do the ears のように最初は do を使い、鼻のエリアにも手を出す、という意味で take a pass at と表現したことで、do+人 「人とエッチする」、take/make a pass at 「人に言い寄る、ちょっかい・モーションをかける」という言葉のイメージと重ねている気がした、ということです。
ちょっとお下品に言うと、「耳をヤるのなら、鼻エリアにも手を出せばいいのに」みたいな感じでしょうか。
レイチェルのセリフは、「耳毛を剃るなら、まずは鼻毛を剃るべきだったんじゃない?」と鼻毛の手入れがなっていないことを指摘するという意味でも面白いのですが、それを shave という単語で表現するのではなく、わざわざ do & take a pass at というコンビネーションを使って、異性に対するアプローチのように表現しているのが、このセリフの面白さなんだろうなと思ったわけです。

ロスは「結婚したと嘘をつくくらい簡単だろ」というパパの発言にあきれていたのに、レイチェルが「耳の毛を剃る」という部分に対してのみ反応しているので、ロスは「僕たちが結婚しているって嘘をつくなんて嫌だ」と言っています。

レイチェルは、「わかるわ。私も嫌よ」と言いながらも、「でもほら、ご両親のパーティーだし、一晩だけのことだし」と言います。
それから、「私たちは嘘をつく必要さえない。私たちはただ何も言わない。その話題がまた出たら、私たちはただ微笑んで、それにうなずくのよ」と言っています。
自分から「結婚しました」と言うことなんかない、人がそのことを言ったら、ただ笑ってうなずいていれば、嘘をついたことにはならないわ、ということですね。
it comes up は「来る+上がる」ということですから、「話題に上がる、話題に出る、言及される」という感覚。
このやりとりの直後に、実際に「結婚おめでとう」と言われた二人が、「ただ微笑んで、ん〜ん〜ん、と大きくうなずいているだけ」の姿を見せるのも、コメディーっぽくて面白いですね。


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