2014年08月12日

歴史が深くしみ込んでいる フレンズ8-18その2

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前回のエピソードの終わり近く、ドライクリーニング店で、フィービーはパーカーという男性と知り合いました。
演じているのは、アレック・ボールドウィン。「レッド・オクトーバーを追え!」などで有名な俳優さんですね。
フレンズは、大物がゲスト出演することで有名ですが、今回のアレック・ボールドウィンのゲスト出演もその一つだと言えるでしょう。
フレンズたちは、ロスとモニカの両親の結婚記念パーティーに出掛けようとしているところ。
そこにフィービーがパーカーと一緒に入ってきて、フィービーはフレンズたちに、パーカーを紹介しようとしています。
フィービー: Everybody, this is Parker. Parker, this is-- (みんな、こちらがパーカーよ。パーカー、こちらが…)
パーカー: No, no, no, wait! Don't tell me. Let me guess: (Points as he says their names) Joey, Monica, Ross, Rachel and... I'm sorry, Phoebe didn't mention you. (Chandler makes a face) Chandler, I'm kidding! Already you're my favorite! (いやいやいや、待って! 僕に言わないで。当てさせて。[名前を言って指差す] ジョーイ、モニカ、ロス、レイチェル、それから…ごめん、フィービーは君のことを言ってなかった。[チャンドラーはいやな顔をする] チャンドラー、冗談だよ! すでに君は僕のお気に入りだ!)
チャンドラー: Ha! (はは!)
パーカー: Why don't each of you tell me a little about yourselves? (君たち一人一人が、自分のことについてちょっと話してくれるかな?)
ロス: Ah, actually, I'm sorry we-we probably should get going. (あ、実は、申し訳ない、多分、僕たちはもう行かなきゃならないんだ。)
パーカー: (laughs) Classic Ross! Rachel, Rachel, look how you glow! May I? (Puts hand on her stomach) ([笑って] 典型的なロスだ[いかにもロスだ]! レイチェル、レイチェル、君はどんなに輝いているか! よろしいかな[いいかな]? [レイチェルのお腹に手を置く])
レイチェル: I, uh, think you already are. (すでに触ってるみたいだけど。)
パーカー: Rachel, you have life growing inside you. Is there anything in this world more miraculous than-- Oh, a picture of a dog! Whose is this? (レイチェル、君の中で命が育ってるんだね。この世でこれ以上、奇跡的なことがあるだろうか… あぁ、犬の写真だね。これは誰の犬?)
モニカ: That's my old dog. He, he passed away years ago. (それは私の昔の[昔、飼ってた]犬よ。彼は数年前に亡くなったわ。)
パーカー: Oh well, at least you were lucky to have him. Bow-wow, old friend, bow-wow. So where's the party? (あぁ、少なくとも君は彼がいてラッキーだったね。バウワウ、古き友よ、バウワウ。それで、パーティーはどこであるの?)
モニカ: It's out on the island. It's in Massapequa. (ロングアイランドの端よ。マサピクアであるの。)
パーカー: Maaaassapequa, sounds like a magical place. Tell me about Massapequa, is it steeped in Native American history? {Transcriber's Note: Interestingly Alec Baldwin was born in Massapequa.} (マーサピークアー、魅惑的な場所のように聞こえるね。マサピクアについて教えてよ、ネイティブ・アメリカンの歴史が深くしみ込んでる?)
ロス: Well, there is an Arby's in the shape of a tepee. (そうだな、ティーピー(ネイティブアメリカンのテント)の形をしたアービーズ(ファーストフードチェーン)があるよ。)

フィービーが5人のフレンズたちの名前をパーカーに紹介しようとすると、パーカーはそれをとどめて、「待って。(名前を)言わないで。僕に当てさせて」と言ってから、フレンズを一人一人指さして、名前を言っています。
すでにフィービーからいろんな話を聞いていて、紹介されなくても名前を当てることができる、ということを見せているわけですね。
4人のフレンズの名前を続けて言った後、チャンドラーを見たパーカーは、「ごめん、フィービーは君のことを言ってなかったんだよ」みたいに言って、チャンドラーの名前だけ当てられない様子。
それを聞いたチャンドラーはがっかりした顔をするのですが、パーカーはころっと様子を変えて、「チャンドラー、冗談だよ! すでに君は僕のお気に入りだ!」と言っています。
パーカーは「いやぁ、君のことはフィービーから聞いてなかったなぁ〜」と言って、ちょっとからかってみせたわけですね。
Already you're my favorite! というのは、チャンドラーの話をフィービーからいろいろ聞いていて、君に会う前からすでに僕の中では、チャンドラーが一番のお気に入りになってるよ、みたいなことになります。

それぞれが自分のことを話してくれるかな?みたいに言うパーカーですが、これからロスとモニカの両親の結婚記念パーティーに行かないといけないので、ロスは「実はね、申し訳ないんだけど、多分僕らはそろそろ行かないといけないから」みたいに言っています。
それを聞いたパーカーは面白そうに笑って、Classic Ross! と言っています。
この classic は「典型的な」というニュアンスですね。
つまりパーカーは、ロスの今の言葉が「ロスっぽい典型的な発言」だと言ったことになります。
「自分のことを話してくれる?」というお願いを、「申し訳ないんだけど、僕らは出かけなきゃならないんだ」みたいにお堅いことを言って断る様子を、「ロスの典型」だと言っている感覚ですね。
知り合ったばかりなのに、「今のセリフって、いかにもロスって感じだね」と言ったようなことで、「どんだけ長い付き合いやねん」とツッコみたくなるような、馴れ馴れしい感じがよく出ていると思います。

ロスに「今のはロスの典型だね」みたいに言った後、その会話も終わらないうちに、今度はレイチェルに話しかけています。
glow は「輝く」が基本語義ですが、ここでは「人が光り輝く」というイメージですね。
お腹の大きな妊婦さんであるレイチェルに対して、今の君は輝いているね、と褒めていることになります。
少し後に、grow 「育つ」という単語が出てきますので、それとの区別を意識しておくようにもしましょう。

May I? は「〜してもよろしいですか?」という丁寧な言葉で、レイチェルのお腹に触れながらそう言っているので、「君の大きなお腹を触ってもいいかな?」と言っていることになります。
普通は、「触れようとするそぶり」を見せて、「こんな風に触ってもいいかな?」と言うものですが、パーカーの場合は、May I? と言いながら、すでにレイチェルのお腹に手を触れているので、触られた方のレイチェルも、「(いいかな?と許可をもらうように言いながら)あなたはもうすでに触ってるみたいだけど」と言うことになります。

パーカーは感動した様子で、「君の中で生命・命(life)が育っている。この世でそれ以上、奇跡的なことがあるだろうか…」と言っているのですが、今度は、モニカが持っていた犬の写真に気づいて、急に犬の話題に話を変えています。
何かの話題に大げさに笑ったり感動したりしつつ、そんなことをすっかり忘れたかのように、次々と別の人と新しい会話を始める、というパーカーの一風変わった様子が印象的ですね。

「これは誰の犬?」と聞かれたモニカは、「私が昔飼っていた犬よ。何年も前に亡くなったの」と答えます。
パーカーが犬の写真を見ながら、bow-wow と言っているのも面白いです。
bowwow は「バウワウ」というような音で、英語での犬の鳴き声、つまり「ワンワン」の英語版。

それからまた急に、「パーティーはどこであるの?」と話題を変えるパーカーに、モニカは「マサピクア(Massapequa)」だと答えています。
パーカーはマサピクアを大げさに発音してみせて、マジカルな場所みたいな響きだねぇ、と言っていますが、Transcriber's Note 「(セリフを)筆記した人のメモ」に、「興味深いことに、アレック・ボールドウィンはマサピクアで生まれた」という注意書きがありますね。
珍しい名前だねぇ、と感心した様子を見せている彼の出身地がマサピクアだ、という楽屋落ちだったということになります。

パーカーのセリフ、Tell me about Massapequa, is it steeped in Native American history? について。
最初の部分は、「マサピクアについて話してよ」ということですが、後半の be steeped in という表現に注目したいところ。
steep は「急勾配(こうばい)の、険(けわ)しい」という形容詞で覚えている方も多いと思いますが、今回の steep は動詞で、「〜を液体に浸す(ひたす)、つける」という意味。
研究社 新英和中辞典では、
steep tea in boiling water お茶の葉を湯に入れる。
steep vegetables in vinegar 野菜を酢につける。

という例文が出ています。
そのように「液体に浸す」という意味から、「深くしみ(染み・浸み)込ませる」という意味にもなり、be steeped in だと「〜が深くしみ込んでいる」という意味になります。
同じく、研究社 新英和中辞典では、
steeped in evil 悪に染まった
a university steeped in tradition 伝統が深くしみ込んだ大学

という例が出ています。

steeped in tradition が「伝統が深くしみ込んだ」という意味だとすると、steeped in Native American history は、「ネイティブアメリカンの歴史が深くしみ込んだ」ということになりますね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be steeped in history/tradition/politics etc. : to have a lot of a particular quality
例) The town is steeped in history.

つまり、「あるクオリティーを多く持っていること」。例文は「その町は歴史がしみ込んでいる」。

ロングマンの英文語義の to have a lot of a particular quality という表現があまりにも漠然としているのですが、要は「それにどっぷり浸かっているから、それがしみ込んでいる」→「(歴史や伝統についての話であれば)主語には多くの歴史や伝統がある」と言っていることになるでしょう。
今回のパーカーのセリフも、「ネイティブアメリカンの歴史が深くしみ込んでる?」→「その町には、ネイティブアメリカンにまつわる歴史が多く存在する?」と言っている感覚になりますね。
それに対してのロスの答えについて。
まず、Arby's というのは、アメリカのファーストフードチェーンの名前。
Wikipedia 日本語版: アービーズ
そして、tepee (発音はティーピー)は、ネイティブアメリカンの円錐形をしたテントのこと。
LAAD にも、以下のように出ています。
tepee, teepee, tipi [noun] : a round tent with a pointed top, used by some Native Americans
つまり、「ネイティブアメリカンによって使われる、尖った先端を持つ、まるいテント」。

ロスは「マサピクアには、ネイティブアメリカンのテントの形をしたアービーズがある」と答えたことになります。
ネイティブアメリカンの歴史と関係の深い場所であることから、そういう形状をした店舗が存在する、ということでしょうが、「ネイティブアメリカンの歴史が深くしみ込んでいる?」という問いに対しての答えとしては、かなり「軽い」答えになっていますね。

自分の知識を披露する(ひけらかすw)のが好きなロスのことですから、相手によっては、ネイティブアメリカンの歴史におけるマサピクアの役割みたいなことを大いに語ることもあり得た気もするのですが、「ファーストフードの店舗がそういう形」的な、おおよそ「歴史」とは言い難い、かる〜い話で済ましたところに、ロスはパーカーとあまり話をしたくないと思っている、パーカーが各話題に大げさに反応しては、話題をコロコロと変えることにロスもうんざりしている、、ということがありありと出ている気がしました。


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posted by Rach at 15:32| Comment(2) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月07日

できる俳優はキューで泣ける フレンズ8-18その1

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シーズン8 第18話
The One in Massapequa (ロスはスピーチ上手)
原題は「マサピクアでの話」


ロスとモニカの両親の結婚記念パーティーについて話しているところ。
モニカ: (To Ross) Oh, by the way. Would it be okay if I give the toast to Mom and Dad this year? ([ロスに] あぁ、ところで。今年は私がパパとママに乾杯の挨拶をしてもいい?)
ロス: Uh, yeah, you sure you want to after what happened at their 20th? (あぁ、いいよ。パパとママの20周年にあんなことがあった後で、モニカは本当に乾杯の挨拶をしたいの?)
モニカ: Yeah, I'd really like to. (えぇ、ほんとうにやりたいの。)
ロス: Okay, hopefully this time Mom won't boo you. (わかったよ。うまくいけば、今回はママがモニカにブーイングしないだろうね。)
モニカ: Yes! Every year Ross makes the toast, and it's always really moving, and always makes them cry. Well, this year I'm gonnna make them cry. (そうよ! 毎年ロスが乾杯の挨拶をするの。そしてその挨拶はいつもほんとに感動的なのよ、いつもみんなを泣かせるの。今年は私がみんなを泣かせるわ。)
チャンドラー: And you, you wonder why Ross is their favorite? (それで君は、どうしてロスが親のお気に入りなんだろう、って思ってるわけ?)
モニカ: No! Really! Any time Ross makes a toast, everyone cries, and hugs him, and pats him on the back and they all come up to me and say, "God, your brother." Know what they're gonna say this year? "God, you." (いいえ! ほんとに! ロスが乾杯の挨拶をする時はいつでも、みんな泣いて、ロスにハグするの。そしてロスの背中を叩いて、みんな私にところに来てこう言うの、「まぁ、あなたのお兄さんたら」。今年はみんなが何て言うかわかる? 「まぁ、あなたったら」)
ジョーイ: Well, I can promise you, at least one person will be crying. (Points to himself) I'm an actor, and any actor worth his salt can cry on cue. (snaps fingers) (モニカに約束するよ。少なくとも一人は泣くだろう、ってね。[自分自身を指さし] 俺は俳優だ、そして有能な(できる)俳優は誰でもキューで泣くことができるんだよ。[指を鳴らす])
モニカ: Really? You can do that? (ほんとに? そんなことできるの?)
ジョーイ: Oh, you kidding me? Watch! (Makes funny faces trying to cry) Well, I can't do it with you guys watching me! (あぁ、冗談言うなよ。見てろ! [泣こうとして変な顔を作る] あぁ、できないじゃないか、お前らが俺を見てたら!)

toast は「乾杯、乾杯の挨拶」のことで、モニカは「今年は私がパパとママに乾杯の挨拶をしてもいい?」と言っています。
ロスは、Uh, yeah 「あぁ、そうだね」という感じで肯定した後、you sure you want to after what happened at their 20th? と尋ねています。
直訳すると、「モニカは間違いなく、乾杯の挨拶をしたいと思ってるの? 両親の20周年パーティーで起こったことの後で?」みたいになるでしょう。
つまり、「20周年のパーティーであんなことが起こったのに、それでもまだ、今回のパーティーで乾杯の挨拶をしたいわけ? それって本気?」みたいな感じですね。
20周年のパーティーで起こった出来事が何であるかは語られていませんが、その時も乾杯で何か失敗した、それなのにまた懲りずにやるつもりなの?とロスが言っていることが想像できます。

その次の hopefully this time Mom won't boo you. について。
hopefully は「うまくいけば、願わくは(〜だとよいのだが)」というニュアンス。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hopefully [sentence adverb] (spoken) a word used when you are saying what you hope will happen, which some people consider incorrest
例) Hopefully, I'll be home by nine tonight.

つまり、「(文を修飾する副詞。口語) 起こるだろうと自分が願っていることを言っている時に使われる単語、それが正しくないと考える人もいるようなこと」。
例文は、「うまくいけば、今夜は9時までに帰宅できるだろう」。
語義を直訳しすぎましたが、要は、「そんな風にならないんじゃないか、と思う人もいるようなことを、自分がそうなるように願っている」と表現したい場合に、hopefully を使う、ということですね。

その語義を当てはめると、「ママがブーイングすると思う人もいるかもしれないけど、僕は今回はそうならないように願ってるよ」みたいなことになるでしょう。
そのロスのセリフから、20周年の時には、モニカが乾杯の挨拶をして、ママがモニカにブーイングした、ということが想像されるわけです。
招かれた他の客からのブーイングならまだしも、お祝いパーティーの主役であるママ本人からブーイングされた、って、一体どんな挨拶だったのか、、とさらに想像は膨らみますね。

モニカは「毎年、ロスが乾杯の挨拶をして、いつもとっても感動的で、いつもみんなを泣かせるの」と説明しています。
その後、「今年は私がみんなを泣かせるわ(みんなを泣かせることになるわ)」と宣言していますね。

その次のチャンドラーのセリフ、And you, you wonder why Ross is their favorite? について。
直訳すると、「それで君は、君は、なぜ・どうしてロスが両親のお気に入りなんだろう?って思ってるの?」というところ。
wonder why は「なぜ・どうして〜なんだろう? 〜なのかな?と(不思議に)思う」という感覚なので、このセリフでは、「モニカは、ロスが両親のお気に入りである理由をよくわかっていない」ことを言っていることになります。
これは、チャンドラーっぽい皮肉表現のようですね。
毎年のロスの乾杯の挨拶は感動的でみんなを泣かせる。それに対して、モニカが20周年の時に行なった乾杯の挨拶はママ本人からブーイングされるようなものだった。
そんな状態で、「今年は私がみんなを泣かせるわ」と、負けず嫌いのモニカらしく、兄に対する対抗意識丸出しの発言をしているのを聞いて、「モニカはそんな調子だから、両親はロスばっかり可愛がるんだよ。ロスが親のお気に入りになってるのはある意味当然だろ」とチャンドラーは言いたいのだろうと思います。
and you wonder why の and に、「そういう状態で、その上で君は、どうして親はロスばっかり可愛がるの?とか思ってるわけ?」みたいなニュアンスが感じられるように思うわけです。
自分の言動を振り返ってみれば、モニカよりもロスをひいきしたがる親の気持ちもわかるだろ、ということですね。

ですがモニカは、そんなチャンドラーの皮肉に気付かない様子で、「違うわ! ほんとなのよ!」みたいに言っています。
ロスが親のお気に入りかどうかは関係ない、つまり、挨拶をする人の問題じゃなくて、スピーチの中身の問題なのよ、とモニカは言いたいようです。

ロスがスピーチすると、必ずみんなが泣く。そしてロスをハグして、ロスの背中をポンポンして、それからみんなが私のところに来てこう言うの、と続けています。
みんながモニカに言う言葉、それは、"God, your brother." 「もう、あなたのお兄さんったら」。
感動して何と表現していいかわからず、「あなたのお兄さん(のスピーチ)ときたらもう、、」という感じの言葉を妹のモニカはかけられる、ということですね。
毎回、「あなたのお兄さんったら(本当にすごいわ)」みたいに言われ続けていたけれど、今年は何て言われると思う?と言ってから、モニカは、"God, you." 「もう、あなたったら」と言っています。
このあたりにも、負けず嫌いで勝ち気なモニカの性格がよく出ていますが、みんなが私のところに来ては兄のロスのことばかりを褒め、絶賛するのはもううんざりよ、今度こそ、私自身が褒められる番よ!とモニカは考えているのですね。

それを聞いていたジョーイは、「モニカに約束できるよ。少なくとも一人の人間が泣いていることになるだろう、って」と言って、自分自身を指さしています。
俺は俳優だから、と言った後の、and any actor worth his salt can cry on cue. について。
まず、cue は「きっかけ、合図」という意味で、演劇の分野では「俳優の登場やセリフのきっかけ」を指します。
研究社 新英和中辞典では、
cue=〔演劇〕 きっかけ、キュー 《せりふの最後の文句またはしぐさ。他の俳優の登場または発言の合図となる》
LAAD では、
cue : a word or action that is a signal for someone to speak or act in a play, movie etc.
つまり、「演劇や映画で、誰かが話す、または演技するためのシグナルである、言葉や行動」。

worth one's salt について。
直訳すると、「自分の塩の価値がある」というところですね。
研究社 新英和中辞典の説明がわかりやすいので引用させていただくと、
worth one's salt=[しばしば否定文で] 給料分だけの働きはある、有能な、役に立つ (由来:昔は給料として塩が支給されたことから)

やはり、「給料として支給された塩に見合った価値がある」というような意味だということですね。
LAAD では、
worth your salt : doing your job well or deserving respect
例) A cop with his salt wouldn't take a bribe.

つまり、「自分の仕事をよく(うまく)やっている、または、尊敬を受けるに値する」。
例文は、「有能な(尊敬に値する)警官は、賄賂を受け取ろうとはしない」。

ジョーイのセリフも、「(仕事の)できる有能な俳優は、キューの合図で泣くことができる」ということになります。
こんな風に指パッチンの合図で、すぐに泣けちゃうよ、ということですね。
「できるの?」と言われ、「冗談言うなよ(当たり前じゃないか)」という感じで、見てろ!と言ったジョーイですが、泣こうとして変な顔になるばかりで、全然涙は出てきません。
with you guys watching me は、「お前らが俺を(じっと)見ている状態で」という付帯状況を表しています。
actor worth his salt などと言っておいて、「お前らが見てるから泣けない」などと「できる俳優」とは程遠いことを言っているのが、ジョーイらしくて面白いですね。


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posted by Rach at 15:39| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月05日

PhDを持っていると自慢 フレンズ8-17その6

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ジムという男性と知り合って、レストランでデート中のフィービー。ジムはフィービーに対して、いやらしい目つきで「君は素敵な目をしてるね。それに君のその胸!」のように、下心ミエミエの雰囲気で話をしてくるので、フィービーも少し困っている様子。
フィービー: Okay. Umm look, you're coming on a little strong. But I'm going to give you the benefit of the doubt, because it seems the universe really wants us to be together. So, why don't we just start over, okay? And you can just tell me about yourself. (よし。ねぇ、あなたは、あからさまに迫(せま)りすぎよ。でも私はあなたに対して「疑わしきは罰せず」とするわね。だって、宇宙が本当に私たちを一緒にしたがっているように思えるから。だから、もう一度始めからやり直しましょ、いいでしょ? そしてあなたが自分のことを私に話すの。)
ジム: All right. (いいよ。)
フィービー: Okay. (オッケー。)
ジム: I write erotic novels, for children. (僕はエロ小説を書くんだ、子供向けの。)
フィービー: What?! (何ですって?)
ジム: They're wildly unpopular. (その小説はものすごく不人気なんだ。)
フィービー: Oh, my God! (まぁ、なんてこと。)
ジム: Oh also, you might be interested to know that I have a Ph.D. (あぁ、それに、君は興味があるかもしれないね、僕は、Ph.D.(博士号)を持ってるんだ。)
フィービー: Wow! You do? (わぉ! そうなの?)
ジム: Yep. (looks at his crotch) A pretty huge-- (そうだよ。[自分の股間を見て] かなり巨大な…)
フィービー: All right. (Gets up and walks out.) (もういいわ。[立ち上がり、歩き去る])

you're coming on a little strong. について。
a little は「少し」ということで、「あなたは、少し・ちょっと、come on strong している」と言っていることになるのですが、come on strong は、研究社 新英和中辞典には以下のように出ています。
come on strong=《口語》 積極的[強引]にふるまう
直訳すると、「強く来る」みたいなことですから、「強引に来る」という感覚になるわけですが、英英辞典で調べてみると、この come on strong というフレーズは、特に「性的なアプローチ」で使われる言葉のようです。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
come on strong/fast : (informal) to make it very clear to someone that you think they are sexually attractive
つまり、「(インフォーマル) 自分が相手のことを性的に魅力的だと思っていることを、その相手に非常にはっきりと明らかにすること」。

Macmillan Dictionary では、
come on strong: (informal) to show very clearly that you are determined to do something, especially to start a sexual relationship with someone
つまり、「自分が何かをしようと決意していることを非常にはっきり示すこと、特に誰かとの性的関係を始めようと決意していることを」。

ロングマンもマクミランも同じようなことを言っていますが、つまりは、「相手を性的に魅力的だと感じ、その相手と性的関係を始めたいと思っていることをはっきり示すこと」という意味なのですね。
「君とエッチしたいと思っている、ということを露骨なほど見せる」みたいなことになりそうです。

私は come on strong という表現を、今回、辞書できちんと調べるまで知らなかったのですが、フィービーの you're coming on a little strong. というセリフを聞いた時には、直訳したままのような「強く来すぎよ、強く出過ぎよ」みたいなイメージは頭に浮かびました。
ですが、英英辞典の語義に、sexual/sexually という言葉が使われているのを見ると、「強く来る」という幅の広い意味よりは、もっとはっきり「性的アプローチ」に限定したイメージの強い言葉だということになりそうですね。

「あなたはあからさまに迫りすぎよ」と言った後、でも、私はあなたに、the benefit of the doubt を与えることにするわ、と言っています。
この give someone the benefit of the doubt というのは、これ全体が決まり文句で、
研究社 新英和中辞典では、
give a person the benefit of the doubt=疑わしい点を〈相手に〉有利に解釈してやる
英辞郎では、
give someone the benefit of the doubt=容疑はあるが証拠不十分で(人)を無罪にする、(人)に対して「疑わしきは罰せず」とする、疑わしいときは(人)を罰しない、疑わしい点を(人)に有利[善意・好意的]に解釈する、(人)を大目に見る
と出ています。

LAAD では、
the benefit of the doubt : the act of accepting what someone tells you even though you think they may be lying
例) I was willing to give her the benefit of the doubt.

つまり、「その人が嘘を言っているかもしれないと思っていても、その人が自分に言うことを受け入れるという行為」。
例文は、「私は、彼女の言うことが嘘だとしても、それを受け入れる意思がある」。

直訳すると、「疑いの利益を相手に与える」みたいなことなので、疑ってはいるがとりあえず相手に有利なように対応してやる、みたいなことですね。

because it seems the universe really wants us to be together. は、「なぜなら、宇宙が本当に私たちを一緒にしたいと思っているように見えるから」。
何度も出くわしたりするのは運命だと思うから、みたいなことですね。
start over は「もう一度やり直す」。
ジョン・レノンの楽曲に、(Just Like) Starting Over というタイトルの歌もありますし、宇多田ヒカルの Distance という曲にも、We can start over という歌詞がありましたよね。

あなたのことを話して、と言われたジムは、自分のことを話し始めるのですが、いきなり「僕はエロティックな小説を書いてる」と言い、さらには for children 「子供向けの」とまで言っています。
誰もが「何ですって?」と返すしかない発言ですが、その小説について、wildly に不人気だ、と言っています。
この wildly は「激しく、ものすごく」というニュアンスですね。
前回の記事の中のやりとりで、
ジム: You're wild, aren't ya? (君ってワイルドなんだろ?)
フィービー: Yeah I guess. A little. (えぇ、そうね。ちょっとはね。)
ジム: Ain't no thing. I'm wild too. (いいんだよ。僕もワイルドだ。)
というのがあったように、ジムは、wild という言葉が好きらしい(笑)ので、何かを強調する副詞も、very や so の代わりに、wildly を使っていることになるでしょう。
「荒れた、乱れた、激しい、乱暴な、興奮した」のようなイメージの言葉なので、やらしい雰囲気のジムが多用したがる言葉としてはぴったりということですね。

フィービーはその発言にあきれた様子ですが、ジムが、you might be interested to know that I have a Ph.D. と言ったことに対しては、「あら、そうなの?」と反応しています。
ジムのセリフを直訳すると、「君は僕が Ph.D. を持っていると知ることに興味があるかもしれない」というところ。
もっと自然な日本語で言うと、「君は興味があるかもしれないね。僕は Ph.D. を持ってるんだよ」という感じになります。
Ph.D. というのは、Doctor of Philosophy のことで「博士号」のこと。
古生物学者のロスは、自分が博士号を持っていることをいつも自慢しているので、「フレンズ」ファンの方にはおなじみの単語ですね。
"Wow! You do?" 「わぉ! あなた、博士号持ってるの」のように興味を示したフィービーですが、ト書きにあるように、ジムは自分の crotch 「股(また)」を見て、A pretty huge-- と言葉を途中まで言いかけ、そこまで聞いたフィービーは、「もういいわ!」と怒ったように立ち上がっています。
pretty は「プリティ、かわいい」という訳語が浮かぶ方も多いでしょうが、今回の pretty は、「かなり、ずいぶん」という副詞。
この場合も、huge 「巨大な」という形容詞を強めていることになります。
ですから、A pretty huge-- は、「(1つの)かなり巨大な…」何かを言いかけたことになるのですが、自分の股を見て、大きいことを自慢していることからも、(はっきり書いてしまいますと^^)penis を指していることがわかりますね。

ただ、penis という言葉が続くのだとしたら、Ph.D. という略語になりません。
penis の意味で使われる d で始まる単語と言えば、、それは dick になります。
アカデミックな辞書である、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には載っていませんでしたが、Macmillan Dictionary には以下のようにはっきり出ていました。
dick : (impolite) a man's penis (=sex organ)

ですから、ジムは自分が、Doctor of Philosophy 「博士号」を持っているように思わせておいて、実は、A pretty huge dick 「かなり巨大な penis」を持ってるんだ、と自慢したことになるわけです。
エロ小説を書いているというジムの「自己紹介の時のつかみのネタ」(笑)みたいなものでしょうね^^

このやりとりでは、ジムが、d が何の略かを言う前に、フィービーが席を立っています。
ネイティブは、ジムが自分の股間を見た瞬間に、d は dick の略だとピンと来る、ということでもあります。
今回のセリフでは、あえて dick だと言っていないので、そこで笑えるかどうかは、dick = penis という俗語を知っているかどうかで決まるわけですね。
「〜を持ってるんだ」という「持っているもの自慢」として、「博士号」のような高尚なものだと思わせておいて、その実、penis だった、、というその落差が、このジムという変質者っぽいキャラにあまりにもハマっていたので、お下品ネタを承知で^^ 解説させていただきました。


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posted by Rach at 16:06| Comment(2) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月01日

二重否定でも否定の意味 フレンズ8-17その5

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紅茶占いで「素敵な男性に会える」という結果が出たフィービーは、行く先々で見かける男性ジム・ネルソンと仲良くなります。
[Scene: A restaurant, Phoebe and Jim are on their date.]
レストラン。フィービーとジムはデート中。
フィービー: Isn't it funny how we kept running into each other? It's as if someone really wants us to be together. (私たちがばったり出くわしてばかりなのって面白くない?[面白いわよね?] まるで誰かが私たちを一緒にしたがってるみたい。)
ジム: Someone does. Me. (誰かがそうしたがってるよ。(それは)僕。)
フィービー: Oh, witty banter. Well done. Good. (まぁ、しゃれた冗談ね。よくできました。グッドよ。)
ジム: So, tell me a little bit about yourself. (それで、君のこと、ちょっと教えてよ。)
フィービー: Oh okay, well I'm a masseuse. And I used to work at this place-- (えぇ、いいわ。そうね、私はマッサージ師なの。それから、私は以前、ここで働いてたんだけど…)
ジム: Do you like to party? (盛り上がって騒ぐの、好き?)
フィービー: I-I-I like, I like parties. (私、私はパーティーは好きよ。)
ジム: You're wild, aren't ya? (君ってワイルドなんだろ?)
フィービー: Yeah I guess. A little. (えぇ、そうね。ちょっとはね。)
ジム: Ain't no thing. I'm wild too. (いいんだよ。僕もワイルドだ。)
フィービー: (a little freaked out) So! Umm, anyway I-I, I've lived in New York, somewhat wildly, I guess, for umm-Well since I was fourteen. ([ちょっとビビって] それで! うーん、とにかく、私はずっとニューヨークに住んでるの、いくらか、ワイルドにね、そう、私が14歳の頃から。)
ジム: I'm sorry. I'm staring. It's just that you have the most beautiful eyes. (ごめんね。僕、見つめてたんだ。ただ君が、一番きれいな目をしてるから。)
フィービー: Oh, stop it. (まぁ、やめてよ。)
ジム: And your breasts! Hmm!!! (それに君の胸! んー!)

まず最初に、セリフとは関係のない話なのですが、ジム・ネルソンを演じている俳優さんは、
James LeGros(ジェームズ・レグロス)という人で、この俳優さんは、アリーmy Love(原題:Ally McBeal)で、マーク・アルバート役で28エピソードに登場していました。
いわば、準レギュラーですね。
アリーへの出演が、2000年から2001年にかけてで、今回のフレンズは2002年放映ですから、アリーに出演していたわりとすぐ後に、フレンズにゲスト出演した感じになるでしょう。
過去記事、きれいな歯 アリー3-17+フレンズ1-1その4 で、マーク・アルバートとアリーの会話を取り上げたこともあったので、アリーとマークをご存知の方は、その過去記事も併せてお読みいただけると幸いです。

run into は「ばったり出くわす、偶然出会う」という感覚なので、「私たちがお互いにばったり出くわしてばかりなのって面白くない?(面白いわよね?)」と言っているニュアンスになります。
そして、「まるで誰かが私たちを一緒にしたがってるみたい」とも言っていますね。
それに対してジムは、Someone does. Me. と言っていますが、それは、「確かに誰かが、僕たち(君と僕)を一緒にしたがってるよ。その誰かっていうのは僕だ」と言っていることになります。
フィービーは、「誰かが私たちを一緒にさせるために、何度も出会うように仕向けている」のような言い方をしていて、運命が、もしくは神様が、私たち二人を一緒にさせたがってるみたいね、と言ってみせたわけですが、ジムはそれを「二人が一緒になってほしいと願っているのは、この僕自身なんだよ」と言って、フィービーと一緒にいたい、一緒にいると嬉しいということを表現していることになります。
それを聞いたフィービーは嬉しそうに、witty banter と言っていますね。
witty は wit 「ウィット」の形容詞形で、「ウィット(機知)に富んだ、気の利いた、しゃれた」という意味。
banter は「(悪意のない、才気のある)冗談」。
Macmillan Dictionary では、
banter: friendly conversation in which people tell jokes and laugh at eath other
つまり、「人が冗談を言い、お互い笑い合うような会話」。

ジムが「ちょっと君のこと教えてよ」というので、フィービーは自分のことを話しています。
I used to work at this place-- と言っていますが、そう言いながら、左手で店の奥の方を指さすようなしぐさをしているように思います。
なので、この at this place は、文字通り、「この場所で、この店で」という意味のようですね。
自分の体験を物語調に語る時に、a の意味で this を使うことがあるのですが、今回の場合は、「ある場所」ではなく、「この場所」を指しているような気がした、ということです。
今フィービーがいるのはレストランなので、「私はマッサージ師で、かつてはこの店でウェイトレス(など)として働いていたこともある」みたいなことを言いたかったんだろうと思いました。

ジムは、話をさえぎるようにして、Do you like to party? と尋ねています。
ちょっと口をゆがめて、何となくいやらしい感じ(笑)でそう言っているので、観客からも笑い声(ラフトラック)が起きています。
ジムは、Do you like to party? と質問し、フィービーはその質問に戸惑ったように、I-I-I like, I like parties. と答えていますが、この質問と答えでは、party の品詞が違っていることに注目しましょう。
ジムの方は、like to party なので、party が動詞として使われていて、フィービーの方は普通にパーティーという名詞になっています。
party を動詞として使うと、文字通り「パーティーをする or パーティーへ出かける」という意味になるのですが、それ以外にも、「(パーティーなどで)盛り上がる、騒ぐ」という意味でも使われます。
唐突に「パーティーで騒ぐの好き?」みたいに言われたので、「盛り上がって騒ぐの大好きよ」と答えるのではなく、「パーティー? ええ、パーティーは好きよ」とわざと名詞で普通のパーティーっぽく答えたことになるでしょう。
さらにジムが、「君はワイルドなんだろ?」(ワイルド、、って、スギちゃんみたいですが^^)とも尋ねるので、フィービーもちょっと質問が変な方向に行っているのを感じたのでしょうね、「ええ、そうね。少しはね」と、軽くかわす感じの返事をしています。

Ain't no thing. の ain't は、am not, aren't などさまざまな否定形の非標準用法ですが、ここでは、(It) isn't no thing. ということになるでしょう。
「えぇ、まあ(ワイルドよ)。ちょっとだけね」と言った後に、「僕もワイルドだ」と言っていることから、この Ain't no thing. は「大したことはない、問題ない、気にすることはない」的な意味だと想像できるわけですが、この英文を直訳しようとすると、「no thing ではない」と言っている、つまり、「否定の否定」で肯定の意味として「thing である」と言っていることになりそうなのですが、、、。

これはラフな会話で使われる二重否定で、not と no のように2つ否定語を使っているけれども、その二つが「否定×否定」で打ち消し合って「肯定」になるわけではなく、「否定を強調」した感覚になります。
「否定の意味になる二重否定」は、「フレンズ」ではあまり出て来ませんが、映画「インデペンデンス・デイ」(ID4)では、グランド・キャニオンでのエイリアンとのチェイスシーンで、
0:58:57 They ain't got nothin' for us! (字幕:追いつかれるな!)
1:00:24 You can't hit nothin'! (字幕:当たってねえぞ!)
というセリフも出てきました。
どちらも、ウィル・スミス演じるスティーブン・ヒラー大尉のセリフでした。

このような「二重否定で否定を強調」するニュアンスは、黒人英語でよく使われる用法のようです。
私がそのことを初めて知ったのは、ジャパンタイムズの「週刊ST 2002年5月17日号」の「STシネ倶楽部」で、映画「アリ」(原題: Ali)のセリフをとりあげている記事を読んだ時。
「アリ」は、ボクサー「モハメド・アリ」のことで、アリを演じていたのはウィル・スミス。(上でとりあげた ID4 のセリフも、ウィル・スミスのものでしたね^^)

私はその映画そのものは見ていなかったのですが、翻訳家の岡山徹さんが解説されているその記事の中で、以下の興味深い記述がありました。
英語難易度は☆3つ。ain't の連発、二重、三重否定は当たり前のかなり文法無視の黒人英語と、文化背景がやや複雑。
そこで紹介されていたセリフは以下のようなものでした。
I ain't never shot nothing in my life. 俺は生まれてこの方、鉄砲のテの字も撃ったことはないね。
I ain't got no quarrel with them Vietcong. 俺はべトコンに別に恨みは持っちゃいないね。

上のセリフは、ain't, never, nothing の三重否定、下のセリフは、ain't, no で二重否定になりますね。
どちらも否定の意味で、否定語を二重、三重と重ねることで、否定を強調していることになります。
今回のジムの Ain't no thing. は、アリの下のセリフに似た感じだと言えるでしょう。

上の例に出したのは、たまたまどちらも、ウィル・スミスが演じる役のセリフになってしまいましたが、「ウィル・スミスみたいな感じのキャラクターが使いそうな言い回し」だと言うこともできそうですね。
そういう英語には「ラフな感じ」が漂っていますが、今回のフレンズでも、変な質問ばかりしてニヤニヤしているジムのセリフとして、「ラフでワイルドな感じ」を出すために、ain't no という二重否定が(脚本上)使われているのだろうと思いました。

フィービーは、ジムのおかしな様子にビビりながらも、14歳の頃からニューヨークに住んでるの、と言っています。
さきほどのワイルドの話も、lived in New York, somewhat wildly のように、ちょっと盛り込んでみせているのが面白いですね。

話を聞いていなかった様子のジムは、「ごめん、見つめてたんだ。君が一番きれいな目をしてるから」みたいに言っています。
それまでちょっとビビっていたフィービーも、「一番きれいな目を持つ人」みたいに言われるとやはり嬉しいようで(笑)、「やめてよ」と言いながらも嬉しそうな顔をしていますね。
それで終わっていたら良かったのですが、その後、「それに君の(その)胸!」みたいに言って、「もーぉ、たまんない!」みたいな表情と声で、Hmm!!! と言うので、またフィービーはヒイてしまうことになります。

このジムの「変な人ぶり」は、映像を見ているだけでよくわかりますが、セリフも含めて、「わぁ、この人、ちょっとヤバそう」とわかるといい感じですね。
特に最後の「目と胸」のセリフのギャップが英語で聞き取れると、より楽しめると思います。


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posted by Rach at 17:30| Comment(2) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月30日

そのほうがシンプルだったろうに フレンズ8-17その4

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チャンドラーとモニカの家にジョーイが入ってきます。
ジョーイ: (entering) Hey! ([入ってきて] よぉ!)
レイチェル: Hi. (はーい。)
モニカ: Uh, I really don't know what to tell you, Rach, I really don't. I mean, maybe Joey could help you out with your, with your big work problem. (あぁ、ほんとに、あなたに何て言ったらいいかわからないわ、レイチェル。ほら、多分、ジョーイがあなたを助けてくれるかも、あなたの仕事の大問題のことでね。)
レイチェル: What? (何?)
モニカ: Yeah, Joey, she's... Rachel's got this really big work problem, and it is a head-scratcher. Wow! (To Chandler) Y'know what, if we're gonna make dinner, we're gonna have to leave. Yeah. (She and Chandler exit.) (そうなのよ、ジョーイ、彼女は…レイチェルは本当に大きな仕事の問題を抱えてるの。頭を悩ますものよ。ワォ! [チャンドラーに] ねぇ、私たちが夕食を作るなら、私たちは行かないと。そうよね。[モニカとチャンドラーは部屋を出る])
ジョーイ: So you uh, have a... big work problem? (それじゃあ、レイチェルは…仕事の大問題を抱えてるの?)
レイチェル: Yeah. It's umm... Yeah, it's uh... It-it's y'know-It's nothing. (えぇ。それは…そうなの、それは…大したことじゃないわ。)
ジョーイ: Huh. Okay. (Awkward silence.) So uh, I think I'm gonna take off. (そうか。わかった。[気まずい沈黙] それじゃあ、俺は行くことにするね。)
レイチェル: Yeah-No, wait! Joey, no, wait, it is. It's something. It's-it's umm... it's my boss. (そうね、いえ、待って! ジョーイ、違うの、待って。重要なことなの。それは… 私の上司(ボス)なの[私の上司のことなの]。)
ジョーイ: Yeah? (そうなの?)
レイチェル: Yeah, and umm my baby. (そうよ、そして私の赤ちゃんのこと。)
ジョーイ: Yeah? (そうなの?)
レイチェル: My boss wants to buy my baby! (私の上司が私の赤ちゃんを買いたがってるの!)
ジョーイ: What?! Oh my-oh my God! (何? なんて、なんてこった!)
レイチェル: I know, I told you, it's a really big problem! (そうなのよ、言ったでしょ、本当に大問題だ、って!)
ジョーイ: What, he wants to buy your baby?! (何? 君の上司は君の赤ちゃんを買いたい、って?)
レイチェル: Can you believe that?! (信じられる?)
ジョーイ: That's crazy! (そんなのクレイジーだよ!)
レイチェル: That's what I told him! (私も上司にそう言ったのよ!)
ジョーイ: Okay, how did this even happen? (わかった、で、どうして[どんな風にして]こんなことが起こったの?)
レイチェル: Well, I'll tell ya! (Pause) See, uh my-my boss and his wife-They-they can't have children. So umm, and that-we were at the Christmas party, and he got drunk and he said to me, "Rachel, I want to buy your baby." (そうね、今から言うわね! [間があって] ほら、私の上司とその奥さんは…二人には子供ができないの。それで、私たちはクリスマスパーティーにいて、上司が酔っぱらって、彼は私に言ったのよ。「レイチェル、君の赤ちゃんを買いたい」って。)
ジョーイ: Man! When you said it was a problem about your boss and the baby I figured it was something about maternity leave. (なんてこった! レイチェルが、君の上司と君の赤ちゃんのことで問題があるって言った時、俺は産休の話かと思ったのに。)
レイチェル: Ohh! Yeah! (Pause) Yeah, that-that would've been a much simpler problem. (ああ! そうねぇ〜! [(かなり長い)間(ま)があって] そうね、それならもっとずっとシンプルな問題だっただろうにね。)

ジョーイが入って来たのを見たモニカは、少し前に自分がレイチェルに言ったアドバイス「ジョーイに仕事の件で相談したら?」を実行しています。
ジョーイが入ってくる前に、レイチェルが仕事の問題をモニカに相談していたかのようなふりをして、「何て言ったらいいか私にはわからないわ」と言った後、今気づいたかのように、「そうだ、今来たジョーイなら助けてくれるかも」みたいに話を進めています。
help you out with... は、「…の件であなたを助ける」という感覚。
ちょっとわざとらしい感じながらも、your big work problem 「あなたの大きな、仕事の問題」のように表現することで、その話題を続けてジョーイとの会話を始めさせようとしているわけです。
ですが、レイチェルは、モニカがさっきくれたアドバイスをすっかり忘れているようで、間の抜けた声(笑)で、What? と返していますね。
せっかく話を振ったのに、それに合わせてくれないことにいらいらした感じで、モニカは「レイチェルは仕事での大問題を抱えてるのよ」のように言った後、it is a head-scratcher. と言っています。
まず、scratch という動詞は、スクラッチというカタカナ英語にもなっていますが、「かく、ひっかく」ということですね。
そして、scratch one's head だと「頭をかく」になりますが、これは「困って頭をかく、途方に暮れる」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
scratch your head : (informal) to not know the answer or solution to something, and to have to think hard about it
例1) The last question really left us scratching our heads.
例2) Budget directors are scratching their heads about how to deal with the shortfall.

つまり、「何かに対する解答や解決策がわからないこと、そして、それについてよく考えないといけないこと」。
例文1は、「最後の質問は本当に私たちを途方に暮れさせた」。
例文2は、「予算管理者(予算担当役員)たちは、不足額をどう扱うかで途方に暮れている(困っている・悩んでいる)」。

scratch your head が「困って頭をかく」ということですから、head scratcher は「頭をかくという状態にさせるもの」ということで、「頭を悩ませるもの」という意味になるでしょう。
実際、英辞郎には、
head scratcher=難問、難題
と出ていました。
英英辞典では、Merriam-Webster Dictionary: head-scratcher で以下のように説明されています。
head-scratcher [noun] : something hard to understand or explain
例) why he chose to sink all of his money into a failing business is a real head-scratcher

つまり、「理解したり説明したりするのが難しい何か」。
例文は、「彼がなぜ、自分の金の全て(全財産)を、業績が悪化しているビジネスにつぎ込む[投資する]ことを選んだのかは、本当に難問だ(説明も理解もできない)」。

モニカはとりあえず、「レイチェルがジョーイに相談しなければいけないような仕事上の大問題がある」ということだけを、大袈裟に言ってみせているわけですね。
具体的な内容は、レイチェルが考えるとして、その会話を始めるきっかけだけをモニカが与えた感じになります。

その後、モニカは「夕食を作るのに、ここを出なくちゃ」みたいに言って、チャンドラーと共に部屋を出て行きます。
ここはチャンドラーとモニカの家なので、夕食を作るならなおさら、自宅のキッチンにいないといけないわけですが、何か理由をつけて、ジョーイとレイチェルの二人きりにしてあげないといけないために、トンチンカンな理由を言って部屋を出て行った感じですね。

「仕事で大問題を抱えてるの?」と、ジョーイは予定通りの反応をしてくれていますが、レイチェルは何を相談したらいいか決めていなかったらしく、「たいしたことないの」と言っています。
それを聞いたジョーイが、「大問題じゃないなら、俺は行くね」みたいに出て行こうとするので、レイチェルは nothing ではなく、something 「大したこと、重要なこと」だと言って、とりあえず、it's my boss. 「(その問題っていうのは)ボスなの。ボスのことなの」と言っています。
その後、and my baby 「そして、私の赤ちゃん(のこと)」と言ってから、「私の上司(ボス)が私の赤ちゃんを買いたがってるの、買いたいって言ってるの!」と言っています。
非現実的で突拍子もない話ですが、どんな問題を相談するか考えておらず、またジョーイと話すチャンスをつかめずに終わってしまいそうと焦ったレイチェルの様子がよく出ていますね。

思いがけない話に、ジョーイも oh, my God! と言い、口から出まかせに適当なことを言ってしまったレイチェルも、「そうでしょ! 私はあなたに言ったでしょ、本当に大きな問題だって!」と言っています。
how did this even happen? は、「この件・このことは一体どんな風にして起こったの?」というところ。
why で理由を問うのではなく、how 「どのようにしてそれは起こったか?」という顛末(てんまつ)を聞いていることになるので、聞かれたレイチェルは、because 「なぜなら〜だから」というような「理由」を答えるのではなく、そういうことになった事情を順序立てて説明することになるのですね。

I'll tell ya! は、「これから言うわね」的なニュアンスで、普通は何か言いたいことがある場合の前振りの言葉として使うものなので、I'll tell ya の後には、すぐに言いたい内容が続くのが自然です。
ですが、今回の場合は、レイチェルが「とにかく何かジョーイに相談できるような問題を考えなきゃ」ととっさに口から出た話だったので、「どうしてこんなことになったわけ?」と聞かれても、その事情まで詳しく練っていなかったので、言葉に詰まっていることになります。
しばらく沈黙した後、レイチェルなりに何とか話を考えて、「上司夫妻には子供ができなくて、パーティーで酔っぱらった上司に、”君の赤ちゃんを買いたい”って言われたの」と説明しています。

その後のジョーイのセリフ、When you said it was a problem about your boss and the baby I figured it was something about maternity leave. について。
まず、maternity leave は「産休、出産休暇」のことですね。
このジョーイのセリフを直訳すると、「君の上司と(君の)赤ちゃんについての問題だと君が言った時、産休に関する何かだと思ったのに」みたいになります。
I figured 「俺は…だと思った」という「過去形」は、聞いた瞬間はそうだと思ったんだけど、実際には違ってたんだね、本当はそんな問題だったんだね、というニュアンスになります。
それを聞いたレイチェルは、あぁ、そうねぇ〜みたいに言葉を伸ばした感じで、自分でも何度か軽くうなずいています。

そしてかなり長い間沈黙した後、that would've been a much simpler problem. と言っていますね。
would have been は「(もしそうなら)…だっただろう」という感覚。
ジョーイが「産休の話かと思ってた」と言ったのを受けて、「もし今回の問題が、赤ちゃんを買いたい、ではなく、産休の話だったなら、問題はもっとずっとシンプルだっただろうに」ということになります。
つまりレイチェルは、仕事上の大問題を何か思いつこうとする時に、「上司と赤ちゃん」にまつわる問題として「上司が私の赤ちゃんを買いたがってる」という問題をでっち上げたわけですが、「上司と赤ちゃん」の問題であれば、産休の話をすればそっちの方がもっと普通でずっとシンプルだったのに、、ということに、ジョーイの発言で気づいたということですね。
「あぁ、そうか、そう言えば良かったんだ、そうよね、うんうん」みたいに、かすかにうなずいているレイチェルも面白いですね。
ジョーイは普段は「人より何かに気付くのが遅い」という描写が多いキャラですが、そんなジョーイに、「産休の問題かと思ってたら、そんな思いがけない問題だったんだね」と言われてしまった面白さ、今回はジョーイの方がまともなことを言っている面白さ、ということですね。


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posted by Rach at 14:02| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月28日

配ってた、金と引き換えに フレンズ8-17その3

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レイチェルはまだ、ジョーイと気まずい状態が続いています。
どうしたらいい?とレイチェルがモニカやチャンドラーに相談するものの、いいアイデアも浮かびません。
そんな会話の後、
モニカ: Honey, why is the Bruce Springsteen CD in the Kat Stevens case? (ハニー、どうしてブルース・スプリングスティーンのCDが、キャット・スティーブンズのケースに入ってるの?)
チャンドラー: Let's just say if I can't find the right CD case I just put it in the nearest one. (とりあえずこう言っておこう。俺はもし正しいCDケースが見つからなかったら、一番近くにあるケースに(ただ)CDを入れるんだ。)
モニカ: Okay, where is the Cat Stevens CD? (わかった、で、キャット・スティーブンズのCDはどこにあるの?)
チャンドラー: In the James Taylor case. (ジェームズ・タイラーのケースの中。)
モニカ: Where is the James Taylor CD? (ジェームズ・タイラーのCDはどこにあるの?)
チャンドラー: Honey, I'm gonna save you some time. 200 CDs, not one of them in the right case. (ハニー、君の時間を節約してあげるよ[無駄な時間を省いてあげるよ]。200枚のCD、その中のどの1つも正しいケースの中にはない。)
モニカ: Okay. No need to panic. Deep breaths, everyone. Okay umm uh, we're just gonna have to spend some time and put the CDs in the right cases. (いいわ。パニクる必要はない。深呼吸して、みんな。よし、私たちは時間をかけて、そのCDを正しいケースに入れないといけないことになるわ。)
チャンドラー: Well, if we're gonna do that, we should come up with some kind of order. Y'know alphabetically or by genre? (うーん、もし俺たちがそうすることになるのなら、ある種の順番を考えるべきだよ。ほら、アルファベット順? それともジャンルで?)
モニカ: Hmm, I don't know. We really have to talk this through. (うーん、わからないわ。このことについては、本当にじっくり話し合わないといけないわね。)
レイチェル: Oh, my God!! You guys have such problems!! I feel so terrible for you! (なんてこと! あなたたちはそんな問題を抱えてるのね! 本当にあなたたちに同情するわ!)
モニカ: Okay, I-I'm sorry. Look, you and Joey, you're both focusing on this uncomfortable thing. What you need to do is change the subject. Next time you see him, try to get him talking about something else. (わかった、ごめんなさい。ねぇ、あなた(レイチェル)とジョーイ、あなたたち二人は、この居心地が悪いことばかり考えてるわ。あなたがすべきことは、話題を変えることよ。次に彼に会う時は、彼が何か別のことを話すように仕向けてみるのよ。)
レイチェル: Oh, yeah. That makes sense. (あぁ、そうね。それは言えてる。)
モニカ: Yeah, like I don't know, maybe you have a work problem that you need his advice on. (そうね、わからないけど、多分、彼のアドバイスが必要になるような仕事の問題があるでしょ。)
レイチェル: Ooh, I could do that. (うー、それならできそうね。)
モニカ: Good. (To Chandler) Uh honey, the Miami Vice soundtrack? Really? (よし。[チャンドラーに] あ、ハニー、マイアミ・バイスのサントラ? ほんとに?)
チャンドラー: They were just giving those away at the store (off Monica's look) in exchange for money. (店でただ、そのCDを配っていたんだよ、[モニカの視線から外れるようにして] 金と引き換えにね。)

モニカは、CDケースと中身のCDが不一致になっていることに気付き、その理由をチャンドラーに尋ねています。
Let's just say 「とりあえず…とだけ言っておこう」と言って、チャンドラーは、「もし俺が正しいCDケース(本来収納すべきケース)を見つけられなかったら、俺はただCDを一番近いケースに入れるんだ」と説明しています。
CDをしまおうと思って、そのケースが見当たらない時は、近くにある適当な別のケースに入れちゃうんだ、ということですね。
その後、このCDはどのケースに? じゃあ、そのケースに入っているはずのCDはどのケースに?と、モニカは矢継ぎ早に質問しています。
こんな質問が延々続きそうに思えたのでしょう、チャンドラーは、I'm gonna save you some time. と言っていますね。
この save は「save+人+時間」の形で、「人に時間を省かせる」という意味になります。
直訳すると、「俺は君に(いくらかの)時間を省かせてあげるよ」ということで、つまりは、「君が(無駄な)時間を費やすのを俺が省いてあげよう」と言っていることになりますね。
そして、200 CDs, not one of them in the right case. 「200枚のCD、そのうちのどれ一つも正しい(本来の)ケースの中にない」と説明しています。
どれ一つとして、正しいケースに入っているものはない、中身とケースはどれも一致していない、ということですね。

それを聞いた後、No need to panic. Deep breaths, everyone. 「パニックになる(パニクる)必要はない。みんな、深呼吸して」と言っているのが、モニカらしいですね。
整理整頓好きで、几帳面なモニカにとっては、よほどショックな事実だったようです。
モニカ以外は誰もパニクっていないのですが(笑)、「みんな、心配いらないわ。まずは深呼吸しましょう」と言っているのは、みんなに対して言っているようで、実は自分自身に対して言い聞かせているニュアンスです。
そして、「(ある程度の)時間をかけて、正しいケースに入れなくちゃ」とも言っています。

入れ替えるなら、some kind of order、つまり「ある種の順番」を考え出す(come up with)べきだとチャンドラーは言っています。
alphabetically は「アルファベット順」、by genre は「ジャンルで、ジャンル別に」ということですね。genre の英語の発音は「ジャーンラ」みたいな感じになります。

「この件について私たち話し合わないと」などと言っているモニカたちを見て、レイチェルは「あなたたちはそんな問題を抱えてるのね! あなたたちに同情するわ」みたいに大袈裟に言っていますが、これは皮肉ですね。
レイチェルはジョーイに告白されて以来、ずっと気まずい状態が続いていて、真剣に悩んでいるというのに、バラバラになったCDとケースをどうやって正しい状態に直すかについての、くだらないw 議論を繰り広げている二人を見て、イライラしたことによる皮肉です。

「私の気も知らないで、そんなささいなことをさも大問題みたいに言って」という感じのレイチェルに、モニカは素直に謝り、アドバイスを言っています。
focus on は「〜に焦点を合わせる」ということで、「〜に(注意・関心・意識を)集中させる」という感覚ですね。
つまり、you're both focusing on this uncomfortable thing. は、「快適でない、居心地が悪い、っていうことばかりに意識を向けすぎよ」と言っていることになります。
二人に必要なのは、話題を変える(change the subject)ことよ、と言って、次に彼に会う時には、彼に何か別のことを話すようにさせなさい、とアドバイスすることになります。
try to get him talking about something else を厳密に直訳すると、「ジョーイが何か別のことについて話している(という)状態にさせるように、頑張りなさい(トライしてみなさい、やってみなさい)」という感覚になるでしょうか。
レイチェルに対して、「あなたが何か違う話題を話しなさいよ」と言っているのではなく、「ジョーイが別の話題を話すような状態になるように仕向けなさい」と言っている「使役」のニュアンスですね。

That makes sense. 「言えてる。なるほどと思える。道理にかなっている」とその意見に賛同したレイチェルに、モニカはその話題についてのヒントを与えてあげています。
you have a work problem that you need his advice on. の that は関係代名詞で、直訳すると、「(その問題に対して)ジョーイのアドバイスが必要なような、(ある)仕事の問題をあなたは持っている(でしょ)」みたいなことになるでしょう。
関係代名詞で補足説明した感じを、和訳にも出そうとすると、「あなたも仕事の問題とか1つぐらいあるでしょ。ジョーイのアドバイスを必要とするような仕事の問題よ」みたいになるかなと思います。
告白された後、気まずくなってしまったので、恋愛とは無関係の仕事の話題を持ち出して、アドバイスが欲しいの、、と相談する感じで話のきっかけをつかんでみたら?ということですね。
レイチェルが、それならできそうね、と納得した後、モニカはチャンドラーに「あなた、マイアミ・バイスのサントラを持ってるの? まじで?」みたいな調子で尋ねています。
その言い方から、「チャンドラーはそんなCDまで持ってるの?」とあきれているのがわかりますね。

そんな風にモニカはあきれた様子ですが、Wikipedia 日本語版: 特捜刑事マイアミ・バイス には、「異例とも言えるテーマソングの大ヒット」の項目で、サントラが大ヒットとなった話が載っています。
Amazon の「ミュージック」カテゴリーで「マイアミ・バイス」を検索してみたところ、サントラが何枚もヒットしましたし、チャンドラーが持っているのも不思議ではない、むしろ、チャンドラーの世代の人間が持っているのは、いかにもそれっぽい、という描写なのかな、とも思います。
過去記事、マイアミ・バイスの真似 フレンズ5-8その4 では、ロスとチャンドラーがマイアミ・バイスの登場人物のような服装をして登場するシーンもありましたね。

モニカとしてはあまり興味がなかったのでしょうね、「こんなの持ってるんだ、、」みたいに言われたチャンドラーは、言い訳のようなセリフを言っているのですが、それがなかなか面白いです。
そのセリフ、They were just giving those away at the store in exchange for money. について。
give away は「(ただで)人に与える、贈る」という感覚。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
give something away (or give away something)
to give something to someone without asking for any money, rather than selling it to them.
例) The store is giving away a toaster to the first 50 customers.

つまり、「何かを誰かに売るというよりもむしろ、お金を求めることなく、誰かに何かを与えること」。
例文は、「その店は、最初の50人の客(先着50人の客)に、トースターを1個(ずつ)配る(無料配布する)予定である」。

ですから、They were just giving those away at the store. だと、「ただ、そのCDを店で(無料で)配ってたんだ」みたいなことになりますね。
they というのは、お店の定員さんを漠然と指す感覚になります。
store. で文章が終わっていたなら、まさにそういう意味になりますが、その後、モニカの視線を外すようにして、in exchange for money と付け加えていますね。
in exchange for... は「…と引き換えに、交換に」。
ですから、「店で配ってたんだよ、お金と引き換えにね」と言っていることになります。

最初の部分だけだと、「モニカは文句があるみたいだけど、これは店で(無料)配布してたもんだったんだよ」ということになり、無駄使いしたわけじゃない、という言い訳になりそうなわけですが、「配ってたんだよね、金と引き換えに」と付け加えたことで、「金と引き換えに配っていた」、つまりは「商品として(普通に)売っていた。それをチャンドラーは買った」ことを認めたことになる、というオチになります。
日本語でそういうオチをつけようとすると、上に書いたように「店で配ってたんだよ、お金と引き換えにね」のように、ちょっとわざとらしい感じで文の最後にオチを持ってくる風になりますが、英語では、in exchange for money のような副詞句は、元々、この位置に配置される言葉なので、「わざとらしく付け加えた」感じにはならず、「最後まで話を聞いたら結局そういうことだった」という自然なオチになるわけですね。


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posted by Rach at 17:20| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月24日

昇進か非業の死か フレンズ8-17その2

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[Scene: Central Perk, Phoebe is holding a book as she, Rachel, and Monica drink some tea as Chandler looks on.]
セントラルパーク。フィービーは本を持っていて、フィービー、レイチェル、モニカは紅茶を飲んでいる。それをチャンドラーが見ている。
フィービー: Okay, so when you're done with your tea I'll look at your leaves and tell you your fortune. (よし、それじゃあ、あなたたちが紅茶を飲み終わったら、紅茶の葉を見て、運勢を占ってあげる。)
チャンドラー: I didn't know you read tea leaves. (君が紅茶の葉を読める(茶葉で占いできる)なんて知らなかったよ。)
フィービー: Oh yeah, I've done it for years. I actually stopped because I was so accurate. Y'know, and-and y'know, one of the great joys of life is its-its wondrous unpredictability, y'know? And also, tea tends to give me the trots. (ええ、そうよ、私は何年も、その占いをしてきたの。実はやめてたんだけどね、ものすごく当たるから。ほら、人生の最も素晴らしい喜びの一つは、驚くほどの予測不可能さでしょ。それに、私、紅茶を飲むと下痢になりがちなの。)
モニカ: Okay, I'm done. Read mine. (よし、飲み終わったわ。私のを読んで[占って]。)
フィービー: Okay. (Looks at the leaves.) Ooh, I see a ladder. (Checks the book) Which can mean either a promotion or a violent death. (オッケー。[茶葉を見る] あぁ、はしごが見えるわ。[本をチェックして] それは、昇進か、または非業の死かのどちらかね。)
モニカ: (stunned) I-I'm the head chef. I-I can't get promoted. ([驚いて] 私はヘッドシェフ(料理長、コック長)よ。(これ以上)昇進することはできないわ[昇進はありえないわ]。)
フィービー: Uh-hmm. Uh-hmm, who's next? (ふーん、ふーん。次は誰?)
レイチェル: Okay, I'm done. Do mine. (オッケー、飲み終わった。私のを見て。)
フィービー: Okay. (Reads the leaves) Umm, oh! Okay, I see a circle. (わかった。[茶葉を読む] まぁ! 円が見えるわ。)
レイチェル: Ah. (あぁ。)
フィービー: Oh! (Checking the book) Which can either mean you're having a baby or you're gonna make a scientific discovery! (まぁ! [本をチェックして] それはあなたに子供が生まれるか、または科学的発見をするか、って意味ね。)
レイチェル: Well, I have been spending a lot of time in the lab. (そうねぇ、私はラボで長い時間を過ごしてきたから。)
チャンドラー: What does yours say, Pheebs? (君のは何て出てるの、フィービー。)
フィービー: Umm.... Wow, all right. (Checks the book.) Wow! Yay! Ooh, I'm gonna meet a guy! And really soon! And he's gonna be the man of my dreams. Probably not the guy I had a dream about last night. (Points at Chandler.) (うーんと、まぁ! [本をチェックする] ワオ! イェイ! あぁ、私はある男性に会うの! それもほんとにすぐに! そして、その人は、私の夢の人になるのね。多分、昨日夢に出てきた人じゃないけどね。[チャンドラーを指さす])

コーヒーハウスのセントラルパークで、フィービーは本を手に持ちながら、「紅茶を飲み終えたら、茶葉を見て、運勢を占ってあげる」というようなことを言っています。
この後も、be done (with...) という言葉が何度も出て来ますが、これは「済んで、終了して。〜を済ませて、〜(の用事)を終えて」という意味ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
done : someone who is done has finished doing or using something
例1) Well, I'm done. I'm going home.
be done with something
例2) Do you want to read this magazine? I'm done with it.

つまり、「be done する人というのは、何かをする、または何かを使うのを終えたばかり、ということ」。
例文1は、「よし、終わった。家に帰ろう」。例文2は、「この雑誌、読みたい? 僕は読み終わったから」。

こういう done の使い方は、フレンズ1-1 に既に出てきていました。
ロスのために本棚を組み立てているチャンドラーとジョーイの会話で、
ジョーイ: What's this? (この部品、何?)
チャンドラー: I have no idea. (さっぱりわかんない。)
(JOEY CHECKS ROSS IS NOT LOOKING AND DUMPS IT IN A PLANT POT)
ジョーイはロスが見ていないのを確認して、部品を植木鉢に放り込む。
ジョーイ: Done with the bookcase. (本棚(を組み立てる仕事)、終わり!)
チャンドラー: All finished. (全部完了した。)

このジョーイのセリフは主語が省略されていますが、We're done with the bookcase. ということですね。

この後、フィービーが行う紅茶占いですが、映画「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」でも、紅茶占いの授業のシーンがありました。
トレローニー教授(Professor Trelawney)という先生が、その担当で、
教授: Together we shall cast ourselves into the future. This term, we'll focus on Tasseomancy, the art of reading tea leaves. (皆さん一緒に、自分を未来に投じましょう[向けましょう]。今学期は、占い術(tasseomancy)、紅茶の葉を読むという技術(技)に取り組みます。)
というセリフもありました。
その教授の言葉にある、tasseomancy というのは、ちょっと聞き慣れない単語ですが、tasseography とも呼ばれる、占い法(fortune-telling method)のことで、以下のウィキペディアにも詳しい説明があります。
Wikipedia 英語版: Tasseography
つまり、ハリポタの世界の専門用語ではなく、一般的に通用する言葉、ということですね^^
フィービーはまさに今、the art of reading tea leaves を行なおうとしているということになります。

「フィービーが紅茶の葉を読める[紅茶の葉で占いできる]なんて知らなかった」というチャンドラーに、フィービーは、I've done it for years. と答えています。
ここでもまた、done が出てきましたが、これは、I have done it for years. 「私は今までそれを何年もやってきた」という現在完了形ですね。
I actually stopped because I was so accurate. を直訳すると、「実は私は(その占いをするのを)ストップしてた。なぜなら私はとても正確・的確だったから」。
つまり、占いがあまりにも当たりすぎちゃうので、ちょっとやめてた時期があったのよね、と言っていることになります。

one of the great joys of life is its wondrous unpredictability について。
これも直訳すると、「人生の最も素晴らしい喜びの一つは、その驚くほどの予測不可能さである」。
unpredictability という名詞をそのまま訳すと、何ともいかつい日本語になってしまいますが、要は、「予測できないっていうことが、人生の素晴らしい喜びの一つでしょ」ということですね。
何でもかんでも占いで予測できちゃったらつまんない、何が起こるかわからない、それが人生の喜びであり楽しみってもんじゃないの、みたいなことをフィービーは言いたいわけです。
なるほど、、と思えるようなことを言ったフィービーですが、その後に、ちょっとしたオチがついてくるのもフレンズっぽいところですね。
tea tends to give me the trots の tend to は「〜する傾向がある、〜しがちである」、the trots はここでは「下痢」という意味。
have the trots なら「お腹をこわしている、下痢である」ということ。
元々、trot は「(馬の)速足(はやあし)」という意味なのですが、それに関連して、英辞郎に面白い語源が載っていました。
trot=【名-2】《trots》〈俗〉下痢になること◆小走りでトイレに行く様子から
LAAD にも、
the trots [plural] : (informal, humorous) diarrhea
つまり、「(インフォーマル、ユーモラス) 下痢」と出ていますので、おトイレに駆け込む様子を馬の速足のようだと例えている、ユーモラスな表現だということですね。

「当たり過ぎる占いなんてつまらない。だって人生は予測不可能なところがいいんだから」とポジティブな人生論を語った後に、「それに私、紅茶を飲み過ぎると下痢になりがちなのよね」みたいなおトイレネタになってしまっているところが、ここでのオチとなるわけです。

フィービーは、まずはモニカの紅茶占いをしています。
はしごが見えるわ、と言った後、紅茶占いの本をチェックして、Which can mean either A or B. という文章で、その意味を説明しています。
あとで、レイチェルの占いをする時も、Which can either mean A or B と同じような表現が出てきますが、この which はそれそれ、前文の、I see a ladder/circle. 「はしごが/円が見える」ということを指しています。
「はしごや円が見えるということは、A または B という意味になりうる」という感覚になります。
モニカのを見て、「はしごが見える」と言った後の、フィービーのセリフが面白いですね。
promotion は「(仕事などの)昇進」で、a violent death はいわゆる「非業(ひごう)の死」というニュアンス。
それを聞いたモニカは、ショックを受けた顔で、「私は料理長よ。これ以上昇進できないわ」と言っています。
A か B かと言われたけれど、A の昇進はあり得ない、、となると、残った私の運命は「非業の死」ってことになるじゃない!ということで、モニカはそんな顔をしているわけですね。
「ねぇ、私は死ぬってこと?!」みたいに尋ねているモニカには構わず(笑)、フィービーは、次は誰?と言って、今度はレイチェルの占いをしています。
「円が見えるわ」と言って、「あなたは子供を産むか、科学的発見をするかのどちらかね」と言っています。
今、レイチェルは妊娠中なので、「子供を産む」方が当たりなわけですが、レイチェルはわかりきったことをさも正当な占いの結果であるかのように言われたからでしょう、わざと出産とは違う方の占いについて反応しています。
lab は laboratory 「実験室」の略ですね。今は日本語でも「ラボ」というので、この部分はわかった方も多いでしょうか。
勉強や研究とは無縁ぽい(笑)レイチェルに対して、「科学的発見をする」なんて、まぁあり得ない占いなわけですが、そんな突拍子もないことを言われたことに対して、「私、長い間、ラボで時間を過ごしていたもの」と言ってみせたわけですね。

What does yours say? は、What does your leaves say? ということで、この say は「何と出ている? 何と書いてある? 何を表している?」というニュアンスですね。
人の占いばっかりしてるけど、フィービー本人の茶葉は何て出てるの?という質問になります。
そう言われたフィービーは自分の茶葉をチェックし、「ある男性に会うわ。それもすぐに!」と言っています。
それから、「その男性は私の夢の男性になるのね」みたいに言った後、「(夢の男性とは言っても)多分、昨日の夢に出てきた人ではないけどね」と付け加え、いたずらっぽい顔でチャンドラーを指さしながら、声には出さず口の形だけで "You." と言っています。(ちなみに、このように、「声には出さず口の動きで〜という」場合、英語では、mouth という動詞を使います)
「夢の男性」と言っても、多分、昨日の夢に出てきた人じゃないと思う。その昨日の夢に出てきたっていうのは、チャンドラー、あなただったんだけどね、みたいに言っているわけですね。
その発言で、チャンドラーが、フィービーの昨日の夢に出てきたことがわかるのですが、この話の流れから考えると、どうやらロマンティックな夢の中に登場したわけではないことが想像されます。
フィービーは、にこやかな顔でチャンドラーを指さしているのですが、チャンドラーが、勝手に話題に出されて、勝手にオチに使われたみたいな形になっているところがポイントだと言えそうですね。


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posted by Rach at 15:52| Comment(8) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月22日

減量キャンプで振られた フレンズ8-17その1

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シーズン8 第17話
The One With the Tea Leaves (紅茶占いの人)
原題は「紅茶の葉の話」


前回のエピソードで、「レイチェルに恋してるんだ」と告白したジョーイでしたが、レイチェルの答えは、「ジョーイ、私もジョーイが大好きよ、でも…」というものでした。
気まずくなったジョーイが立ち去ろうとするのを引き止めたレイチェルは、「(大切な友達の)あなたを失いたくない」と言い、ジョーイも「俺はずっとそばにいるから」と約束して、二人はかたくハグし合います。
ですがやはりジョーイはその後、レイチェルに会うのが気まずいらしく、チャンドラーとモニカの家にいる時に、レイチェルが「ジョーイはいる?」と訪ねてくると、「俺はここにはいない、って言って」(Don't tell her I'm here!)と頼んで、隠れようとします。
その際、皿からベーグルを床に落としてしまい、「そのベーグルを食べるなよ!」(Don't eat that!)と言って、ジョーイが寝室に隠れた後、レイチェルが部屋に入ってきます。
レイチェル: Well, I haven't seen him since that night that he told me how he y'know.... I don't know, I think he's avoiding me. Why is that bagel on the floor? (うーんと、ジョーイが私に、ほら、(例のことを)言ったあの夜から、私はジョーイを見てないのよ。わからないけど、ジョーイは私を避けているように思えるの。そのベーグルは、どうして床の上にあるの?)
モニカ: We were playing a game. (私たちは、ゲームをしてたのよ。)
レイチェル: Ew, was Chandler naked? Sort of like a, like a ring-toss kind of situation? (まぁ、チャンドラーが裸だった、ってこと? 輪投げみたいな状況の(種類の)ゲーム?)
モニカ: Sure! (ええ!)
チャンドラー: What?! No! No! (何? 違う!違うよ!)
レイチェル: All right. Well listen, if you see Joey, will you just tell him that uh... tell him I miss him. (Exits and Joey enters.) (いいわ。じゃあ、もしジョーイを見かけたら、彼に言ってくれる? 私が寂しがってる、って。[レイチェルは出て行き、ジョーイが(リビングに)入ってくる])
モニカ: (To Joey) Okay. Did you hear that? ([ジョーイに] オッケー。今の聞いた?)
ジョーイ: Yeah. A naked bagel game? (Picks up his dropped bagel.) (To Chandler) Dude, I don't know. That's a pretty small hole. (あぁ。裸のベーグル・ゲーム? [落ちていたベーグルを拾い上げる] [チャンドラーに] なぁ、わかんないんだけど。それってかなり小さい穴だぞ。)
モニカ: Honey, you gotta talk to her. (ハニー、ジョーイはレイチェルに話をしないといけないわ。)
ジョーイ: I can't! Y'know? You guys don't know what it's like to put yourself out there like that and just get shot down. (できないよ! だろ? あんな風に頑張って自分をさらけ出して、ただ撃ち落とされたのがどんな感じか、お前らにはわからないよ。)
チャンドラー: (incredulous) I don't know what that's like?! Up until I was 25, I thought the only response to "I love you" was "Oh, crap!" ([懐疑的な顔で] それがどんなものか、俺にわからない、だって? 25歳まで、「愛してる」に対する唯一の返答は「あぁ、最低!」だと、俺は思ってたんだぞ。)
モニカ: Hello? No rejection? I got shot down at fat camp! Boy, kids are mean when they're hungry. (もしもし? 拒絶されたことないの? 私は、ファット・キャンプ(ダイエットするためのキャンプ)で撃墜された[振られた]のよ。あぁ、子供って意地悪[残酷]なのよね、お腹が減ってる時には。)
ジョーイ: All right, so, so what do I do? (わかったよ、それで、それで、俺はどうすればいい?)
モニカ: This is Rachel. I mean, what are you gonna do, never going to talk to her again? I mean I know it's weird, it's awkward, but you gotta at least try. (これはレイチェルよ。ほら、あなたはどうするの? レイチェルに二度と話しかけないつもり? 変な感じで、気まずいのはわかるけど、でも少なくともやってみなくちゃ。)
ジョーイ: Yeah. Okay. (Goes to take a bite out of the previously mentioned bagel.) Whoa! (Stops.) I almost forgot this was on your-- (そうだね。わかったよ。[その前に話題に上がっていたベーグルを一口食べようとして] おっと! [食べるのをやめる] もう少しで忘れちゃうところだったよ、これは乗ってた[触れてた]んだよな、お前の…に…)
チャンドラー: (interrupting him) We didn't play it!! ([ジョーイの言葉を遮って] 俺たちはそんなゲーム、してなかった!)

ジョーイを捜しにやってきたレイチェルは、チャンドラーとモニカに状況を説明しています。
I haven't seen him since... というのは、「〜して以来(今までずっと)彼を見ていない」という典型的な現在完了形ですね。
いつ以来か、という説明がその後に続いていますが、that night that he told me how he y'know.... を前からイメージしていくと、「あの夜、(その夜というのは)ジョーイが私に、どんな風に彼が…かを言った(夜)」という感じになるでしょう。
ジョーイがレイチェルに、I'm falling in love with you. と告白した話は、フレンズたちももう当然知っているでしょうし、そのことを知っているからこそ、y'know 「ほら、(彼が何て言ったか)わかるでしょ、知ってるでしょ」と言うだけで良い、ということになるわけですね。
I think he's avoiding me. は、文字通り、「彼は私を避けているように思える」。

その後、床にベーグルが落ちているのに気付いて、「そのベーグルはどうして床の上にあるの?」と尋ねています。
慌てて隠れたジョーイが落とした、とも言えず、モニカは「私たち、あるゲームをしてたのよ」みたいにごまかそうとしています。
それを聞いたレイチェルは、Ew といやそうな声を出し、「(そのゲームをしてる時)チャンドラーは裸だった?」みたいに言っています。
つまり、「チャンドラーが裸になった状態でするゲーム?」みたいなことですね。
その後、sort of like a ... kind of situation? は、「…みたいな状況のような種類の(ゲーム)?」というところ。
ring は「輪」、toss は「トスする、ぽいと軽く投げる」ということですから、ring-toss は「輪投げ」のこと。
そう聞かれたモニカは、「ええ、そうよ!」と肯定し、チャンドラーは「違うよ!」と否定していますが、それは、レイチェルが想像しているようなゲームだとすると、チャンドラーにとってすごく恥ずかしいものだからですね。

輪投げ、(輪のようになった)ベーグル、裸のチャンドラー、、という言葉で、どんなゲームかは察しがつきますが(笑)、つまりは、チャンドラーの身体のある部分を棒に見立てて、それにベーグルを輪投げのように投げるというゲームをしていたとレイチェルは誤解した、ということです。
「私たちはゲームをしてたのよ」とモニカが言った時点で、モニカ自身がそのゲームをイメージしていたかどうかはわかりません。
恐らく、モニカは深く考えず、ただ「変なところにベーグルが置いてあるけど、それはちょっとしたゲームなのよ」程度に言っただけだったのを、レイチェルが「夫婦間のゲーム」なので、そういうエッチ系のものを勝手に想像した、ということなんだろうと思います。
モニカはとにかく、「ジョーイが隠れていることを悟られないように」ということを優先させて、そのレイチェルの誤解に乗っかる形で「そうそう、それよ!」みたいに返事しているのですが、チャンドラーとしては、そういう自分の姿を想像されたくないのでしょうね^^ 必死に「違う違う」と否定することになります。

レイチェルは、二人がそういうゲームをしていたと誤解したまま、「もしジョーイを見かけたら、I miss him. と言っておいて」と言い残して出て行きます。
この I miss him. は「ジョーイがいなくて・ジョーイに会えなくて寂しく思う」という意味ですね。

レイチェルが出て行った後、ジョーイは寝室から出てきます。
「今の聞いた?」というのは、レイチェルがジョーイを捜していたこと、I miss him. と言っていたのも聞こえたでしょ?ということですね。
ジョーイは、「ああ、聞いたよ」と言うのですが、その後、レイチェルの発言について何かを語るのかと思いきや、「裸のベーグル・ゲーム?」と言っています。
「反応するのはそっち?!」というところですが、ジョーイは自分が落としたベーグルを拾い上げて、「それはかなり小さい穴だ」と言っています。
「ベーグルの穴ってこんなに小さいのに、それがお前のには入っちゃうわけ?」みたいに言っているわけで、プレイボーイのジョーイ的には「俺だったら、こんな小さな穴には入らないよ」と言っていることにもなるでしょう。

「今のレイチェルの言葉、聞いたでしょ。ジョーイはレイチェルを避けてないで、ちゃんと話さなきゃだめよ」みたいにモニカは諭しています。
「レイチェルに話をするなんて俺にはできないよ!」と強く否定した後、You guys don't know what it's like to... と言っていますね。
これは、「…することがどんな感じかは、お前らにはわからない」ということ。
put oneself out は英和辞典では「わざわざ〜をする、苦労する、骨を折る」のような語義が出ています。
これはおそらく、「(何かのために頑張って)自分自身を差し出す」というようなニュアンスから来たのでしょう。
今回の put yourself out there like that を直訳すると、「あんな風にあそこで自分を出す」というところなので、「あんな風に決死の覚悟で、必死の思いで、自分を頑張ってさらけ出してきたのに」みたいな感覚が感じられるように思います。
get shot down は「撃ち落とされる、撃墜される」ということですから、「告白して振られる」ことを指しますね。

「お前らには、告白して振られた人間の気持ちなんかわからないだろ」みたいに言われたことに対して、チャンドラーもモニカも、「わからないはずがない!」みたいに返事しているのが面白いです。

まずチャンドラーの、「それ(告白して振られること)がどんな感じか、俺にはわからない、だって?」という発言は、「告白して振られるってことがどんなことか、俺にはよーくわかってるよ」ということですね。
その後、「25歳まで、俺は…だと思ってた」と言っていますが、その思っていた内容はというと、「”愛してる”に対する唯一の返答は、”あぁ、最低”(Oh, crap!)である」ということ。
つまり、25歳になるまでは、女性に告白した時の返事は必ず、Oh, crap! だったんだ、と、またチャンドラーらしい自虐的なことを言っていることになるわけですね。
Oh, crap! は何かひどいこと、嫌なことがあった時に、「最低!」というニュアンスで使われる言葉ですが、元々、crap というのは「うんち」という意味なので、I love you. に対しての返事として使われるとすれば、これ以上ないくらい、ひどいものになるでしょう。
実際にチャンドラーがそこまでひどい言葉で拒絶されたわけでもないでしょうが、チャンドラー的には、「ジョーイは、"Joey, Joey, I love you so much. But I--" って言われたんだろ? 俺なんか振られる時は、それはもう、ひどい言葉で振られたもんだよ、、」と表現することで、「俺はお前よりずっとたくさん振られてきたんだから、振られた人間の気持ちがお前らにわかるか、なんて、振られた回数のずっと少ないお前が言うなよな」という気持ちだということですね。

夫のチャンドラーが自虐的なセリフを述べる中、妻のモニカまで(笑)、同じように悲惨な振られ方の話をしています。
Hello? No rejection? は、「もしもし? 拒絶されたことがない、ですって?」みたいな感じですね。
私がこれまで拒絶されたことがないみたいに言わないでよ、振られたことなんていっぱいあるわよ、みたいなところです。
そして、「私は、fat camp で撃墜されたわ」みたいに言っています。
fat camp は「減量キャンプ」ですね。
肥満の人たちが集められて、そこで食事制限や痩せるための運動を課せられる、というイメージでしょう。
減量するために参加したキャンプで、同じく減量しないといけない太った他の男子に、私は振られたのよ、みたいなことになります。
その後、当時を思い出すように、Boy, kids are mean when they're hungry. と言っています。
「あぁ、子供って意地悪・残酷なのよね、空腹の時に」ということで、お腹が減ってイライラしている時だったから、それはもうひどい言葉で振られたのよ、と言いたいことがわかります。
高嶺の花だとか、かっこいい男の子に告白して振られたのならまだしも、(当時の)自分と同じように太っていることがコンプレックスとなっているような男子にまで振られたことあるんだから、と自分の暗い過去を語っていることになります。

「俺はどうすればいい?」と言うジョーイに、「これはレイチェルよ、あなたがずっと長年友達であるレイチェルよ」みたいに言って、「どうするつもりなの? レイチェルに二度と話しかけないつもりなの?」と問うています。
それは、「相手はレイチェルなんだから、これからもしょっちゅう顔を合わせる。それで今後一切、話をしないつもり? そんなことができると思うの?」みたいに言っているわけですね。
weird で awkward 、つまり、「変な感じで、気まずい」ってわかるけど、少なくとも、話しかけようとトライはしてみなきゃ、とも言います。
「このままずっと話をしないなんて不可能なんだから、気まずい気持ちを抑えて、まずは話してみなくちゃ」とアドバイスされたジョーイはそれを受け入れる気持ちになったようです。

落とした直後に、"Don't eat that!" と言っていたことからもわかるように、ジョーイは落としてしまったベーグルを拾って食べようとしています。
が、何かに気づいたようで、食べようとした動きを止めていますね。
I almost forgot this was on your-- の「almost+過去形」は、「もう少しで〜するところだった」。
つまり、「このベーグルがお前の…にあったのを、俺はもう少しで忘れるところだった」ということ。
on your-- に続く言葉を言いかけた時に、チャンドラーは慌ててそれを制して、「俺たちはそれ(そんなゲーム)をしてなかったんだってば!」みたいに言っています。
your の後に来る、チャンドラーの身体の部位の単語をジョーイが言う前に、それを遮った形ですね。

そもそもこのベーグルは、ジョーイが落としたもので、その後、すぐにレイチェルが入ってきたわけですから、その間に二人が「裸のベーグル輪投げ」をしていたはずもないのですが、少し前にそういう輪投げの話題が出ていたことを反射的にふと思い出して、「そういや、これって、その輪投げで使ってたんだっけ? てことは、チャンドラーのあの部分に乗っかってた、くっついてた、ってことだよな」と言ってみせて、「危ない、危ない、そのことを忘れて、もう少しでこれを食べちゃうとこだった」みたいに言ったことになります。
on というのは「接触」を表す前置詞なので、あえて your 以下の単語を言わなくても、this was on your-- だけで、ジョーイの言わんとしていることがわかるわけですね。

上で取り上げたシーンでは、
1. モニカがゲームと言ったのを、レイチェルがその手のエッチ系の輪投げゲームだと誤解した。
2. 輪投げゲームだと聞いて、ジョーイは、「輪が小さすぎないか」と言った。
3. ベーグルを食べようとして、「そう言えば、これはゲームの輪として使ってたんだっけ?」と言って食べるのをやめた。
のように、「ベーグル輪投げ」ネタが、飛び飛びで3回出てきたことになります。
それぞれの部分で笑えるためには、ring-toss や、naked という言葉から、そーゆー感じのゲームであることが連想できていないといけませんね。
そういうキーワードがわからないと、シーンに何度も出てくる「輪投げネタ」に反応できないわけで、英語がわかるかわからないか、というのはそういう部分で決まるということがよくわかる例だと思いました(^^)


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posted by Rach at 14:36| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月18日

冗談だ。うまい冗談だったわ フレンズ8-16その6

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前回の続きです。
食事の席で、レイチェルに自分の気持ちを告げようとした時に、ウェイターに邪魔されてしまったジョーイ。
「何を言おうとしてたか忘れた」みたいに言ってごまかそうとしたところ、レイチェルがさっきの会話はこんな感じだったわ、とその話を続けさせようとしているシーンから。
ジョーイ: Yeah. Here we are. Uhh... I... I think I'm... falling in love with you. (あぁ、そうだね。(そういうことで)今に至る、だね。えーっと… 俺は、君に恋してると思う。)
レイチェル: (stunned) What? ([驚いて] 何?)
ジョーイ: I'm falling in love with you. (君に恋してるんだ。)
レイチェル: (looking around) Who are you talking to? Oh, you're kidding! Oh, it's a joke! (Laughs.) It's funny. It's funny. I don't get it. (Joey doesn't say any thing and Rachel realizes it's not a joke.) Oh. (Pause) Okay. Umm... I-I... uh, wow. Are you uh...? How did umm...? When? ([まわりを見回して] あなた、誰に話してるの? あぁ、冗談言ってるのね。ジョークなのね! [笑って] 面白い、面白いわ。[困惑した顔になって]わからないんだけど。[ジョーは何も言わず、レイチェルはそれがジョークではないと悟る] まぁ。[間] いいわ、あの… あなたが…? どうして(どんな風に)…? いつ?)
ジョーイ: Does it really matter? (そんなこと、関係ある?)
レイチェル: Wow! Wow. Wow. Wow, it is hot in here. (まあ! まあ。まあ。まあ。ここ、暑いわ。)
ジョーイ: Okay, look, Rach, I know this is a lot. You don't have to say anything. You-you uh, you take as much time as you need. (Long pause as Rachel says nothing.) Okay, you gotta say something! (ねえ、レイチェル、これって大きなことだってわかってる。君は何も言う必要ないよ。必要なだけ時間をかけて。[長い間があり、レイチェルは何も言わない] よし、何か言って!)
レイチェル: Joey, Joey, I love you so much. But I-- (ジョーイ、ジョーイ、あなたのことをとっても愛してるわ[大好きよ]。でも私は…)
ジョーイ: But. (Hangs his head down.) (でも、か。[頭を垂れる])
レイチェル: Joey? (ジョーイ?)
ジョーイ: Yeah-yeah right. That's okay. That's fine. That's uh, pretty much what I was expecting. So uh, it's no big deal, all right? I think I'm gonna go. (Stands up.) (あぁ、あぁ、そうだよね。それでいい。それで構わないよ。それはだいたい俺が想像していたことだから。だから、全然大したことじゃない。いいね? 俺は行くよ。[立ち上がる])
レイチェル: No! Joey, please! Please don't! Please don't leave like this! Now come on, you cannot do this to a pregnant woman! (Starts to cry.) (だめよ! ジョーイ、お願いよ! お願いだから行かないで! こんな風に立ち去らないで! ねぇ、あなたは妊婦に対してこんなことできないはずよ[こんなことしちゃだめよ、こんなことしないでよ]! [泣き始める])
ジョーイ: Don't start doing that. You can't do that, Rach, ‘cause then you're gonna make me do that. (Starts to cry.) Oh, there we go! (Sits down next to her.) (そんな風にしないでよ[泣かないでよ]。そんなことしちゃだめだ[泣いちゃだめだ]、レイチェル。だって、君がそんなことしたら、俺までそんな風になってしまうから。[(ジョーイも)泣き始める] あぁ、ほら、もう(こんな風になっちゃった)! [レイチェルの隣に座る])
レイチェル: Can I? (Hug him.) ([ハグしてもいい?というように手を出して] (ハグ)してもいい? [レイチェルはジョーイにハグする])
ジョーイ: Sure! (ああ!)
(They hug.)
二人はハグする。
レイチェル: Oh, Joey, honey, I don't... I don't want to lose-- (あぁ、ジョーイ、ハニー、私は… 私は(あなたを)失いたくない…)
ジョーイ: Hey-hey-hey, hey! You can't, okay? Ever! (ちょっと、ちょっと、ちょっと! レイチェルが俺を失うことなんてない[あり得ない]、いい? 絶対にだ!)
レイチェル: I'm so sorry. (本当にごめんなさい。)
ジョーイ: Oh no-no, Rach, please don't be sorry. Okay? Don't be sorry. (They hug again.) Y'know, I was only kidding you. (あぁ、もう、レイチェル、お願いだから謝らないで。いい? 謝っちゃだめだ。[二人はまたハグする] ほら、俺はただ、君に冗談を言っただけだよ。)
レイチェル: Yeah, that was a real good one. (そうね、今のは本当にうまい冗談だったわ。)

いったんは告白をあきらめかけたジョーイでしたが、「ジョーイが私にこんな話をしていた時に、ウェイターがやってきたのよね」と、話の流れを戻してくれたので、ジョーイは告白する勇気が出たようです。
I think I'm... falling in love with you. は文字通り、「俺は君に恋していると思う」ですね。
レイチェルが What? と言うので、ジョーイはもう一度はっきりと、I'm falling in love with you. と言っています。
その後、誰か後ろにでもいるのかと確認するように、レイチェルがそろーっと後ろを振り向いた後、「そのセリフ、誰に言ってるの?」と言うのも面白いです。

別の誰かに対しての言葉ではないとわかったレイチェルは、「そっか、ジョーイは冗談を言ってるんだ、それ、面白いわぁ」みたいに笑ってみせるのですが、その後、困惑した様子の顔になって、I don't get it. 「わからない」と言います。
「冗談よね〜」と言っても、ジョーイが真剣な顔で自分を見つめたままなので、「それってどういうこと? 一体どういうことなの?」という意味で、I don't get it. 「わからない、理解できない(んだけど)」という言葉になって出てきた感じです。

ジョーイは、少し笑って、違うよ、ジョークじゃないよ、という風に首を横に振っているので、レイチェルもようやくジョーイの言葉が本気のものだとわかったようです。
言葉も切れ切れに、ジョーイに質問している様子から、レイチェルもかなり動揺していることがよくわかりますね。
Are you uh...? How did umm...? When? と、文章にならない感じのセリフになっていますが、レイチェルが言いたかったことは、以下のようになるでしょう。

Are you falling in love with me? 「ジョーイは私に恋してるの?(私に恋してるっていうのはほんとなの?)」
How did you fall in love with me? 「どんな風に私を好きになったの?」→「なぜ好きになったの?」という「理由」ではなく、「どんな風にして、どんな感じで」私のことを(女性として)好きだと思うようになったのか、という「経緯やきっかけ」を尋ねている感覚。

「ずっと仲の良い友達だった男友達のジョーイが、自分のことを女性として好きだと、自分に恋してると言ってくれている」ということが、レイチェルにはまだにわかには信じられない、という感じなのでしょうね、それで、Are you...? How did...? までは口に出せても、「ほんとに? まさか?」と思っているから、fall in love with me という言葉を言うことができない、というのが、質問が途切れてしまっているところによく出ていると思います。

When? は、When did you fall in love with me? ですね。
「あなたはいつ、私に対してそういう恋心を抱くようになったの?」ということですが、それも、When? と一言、言うのが今のレイチェルには精一杯という感じです。
次の、Does it really matter? というセリフがほんとに切ないですね。
直訳すると、「それって本当に重要? それって大事なこと?」みたいなことで、「いつレイチェルに恋したかという時期の話はここでは大切なことじゃない。そんなの関係ない」と言っていることになります。
ずっと友達だと思っていた人に急に告白されたら、誰しも、「いつからそんな風に私のことを思ってくれてたの?」と聞きたくなってしまうだろうと思うので、レイチェルのその問いはごく自然なものですが、ジョーイは「いつからとかそんなことはどうでもいい。とにかく今の俺はレイチェルのことがものすごく好きなんだ、ってことが大事なことで、そのことをレイチェルにはわかってほしい」と言っている感覚になるでしょう。

そんな風に言われたレイチェルは、とにかく、Wow. と言うしか言葉が出ないようです。
この Wow. は、まさに「ワオ!」としか表現できないのですが、日本語で「ワオ」や「わお」と書いてしまうと何だかすごく「軽い」感じに見えてしまい、この場面の緊張感とどうもそぐわない感じがしたので、とりあえずは「まあ!」と訳してみました。
その実際のニュアンスは、強い感情が巻き起こって言葉が出なくなってしまう感覚(speechless)に近く、言葉で気持ちを表現するのではなく、Wow. という感嘆詞しか出てこない、という感じですね。
告白前にジョーイが、Is it hot in here? と言っていたのを受けて、今度はレイチェルが、「ここ、(ほんとに)暑いわね」みたいに言うことにもなります。

告白されて言葉が出てこないレイチェルを思って、ジョーイは「これって大変なこと(大きなこと・重大なこと)だってわかってる。君は何も言う必要はないよ。君が必要なだけ十分時間をかけていいよ」と優しく言います。
そう言われたレイチェルは、何と答えていいかやはりまだわからない様子で、ずっと黙っているのですが、「何も言わなくてもいいよ」と言ったジョーイの方が、この沈黙に耐えられなくなってしまって、「やっぱり、何か言ってよ、とにかく何かしゃべってよ」みたいに言うのも面白いですね。

そう言われたレイチェルは、ジョーイの手を握り、Joey, Joey, I love you so much. と言うのですが、その後に、But I-- が続いたことで、ジョーイはがっかりしたように、"But." と言って、下を向きます。
決死の覚悟で告白したけれど、振られてしまった瞬間、ということになってしまいますね。

その返事で、「レイチェルは俺のことを大好きだ、愛してると言ってくれたけど、それは友達としてで、男性として愛してるんじゃない」ということを悟ったジョーイは、Yeah-yeah right. That's okay. That's fine. 「あぁ、そうだよね。それでいい。それで構わないよ」と言います。
pretty much は「だいたい、ほとんど」ということなので、That's pretty much what I was expecting. は、「今の返事は、だいたい、俺が想像してた(通りの)ものである」ということ。
it's no big deal. は、「全然、big deal (大ごと・一大事)じゃない」なので、「大したことじゃないよ」になります。
気まずい雰囲気に耐えられなくなったジョーイは、ここを立ち去ろうとするのですが、レイチェルはそれを引き止めています。
男性として愛してると返事することはできない、でも、傷心のジョーイをこのまま黙って帰してしまうわけにはいかない、という気持ちから、今のレイチェルには、とにかく「行かないで」と言うしかないのでしょうね。

you cannot do this to a pregnant woman! は、「あなたは、妊婦に対してこんなことできないはずよ」みたいなことで、「こんな状態で、妊婦の私を一人残して、帰っちゃうつもり?」みたいなこと。
レイチェルが「ジョーイを振った」立場であることを考えると、レイチェルの言い分はかなりむちゃくちゃなのですが(笑)、”わがままを言うんだけど憎めないレイチェル”らしいセリフのように私は思いました。

ジョーイは、Don't start doing that. 以下のセリフで、do that というセリフを合計3回使っていますね。
「そんなことをする」というのは、レイチェルが泣く、泣き始めるということを指しています。
女の子がつらい時、悲しい時にそうやって泣くことを、cry という言葉ではなく、do that 「そうする」と表現しているわけですね。
‘cause then you're gonna make me do that. は、「(何でレイチェルが泣いちゃいけないかっていうと)その理由は、君が俺を(君と同じように)そうさせる(泣かせる)からだ」。
意味としては、「泣かないで。泣いちゃだめだ。君が泣いたら俺まで泣いてしまうから」ということですが、男ジョーイとしては、ここで泣いちゃいけない、と思っているのでしょうね、だからあえて、cry という言葉を使うのを避けて、「そんな風にしないで。そんなことしちゃだめだ。君がそうしたら、俺までそうなってしまうから」と do that を使って表現していることになるでしょう。

そう言いながらも、泣いているレイチェルを見たジョーイは、結局泣いてしまっています。
There we go! を直訳すると、「俺たちはそこに行く!」みたいなことで、ここでは、「ほら見ろ、やっぱりこんな風になっちゃったじゃないか」というニュアンスでしょう。
「ほら言わんこっちゃない。君が泣くから俺までこんな風に泣いちゃったじゃないか」と、「今、こんな状態になってしまったこと」を There we go! と表現しているのだと思います。

立ち去れなくなったジョーイはレイチェルの隣の席に座ります。
レイチェルは、手をジョーイの方に差し出して、Can I? と言っていますね。
そのしぐさから、レイチェルがハグのことを言っていることがわかります。
自分が求めていることをしぐさや動作で示すことで、Can I? だけで意味が通じてしまう好例ですが、何でもかんでも「完全な文章」でコミュニケーションを取ろうと頑張らなくても、こんな風にしぐさや表情とうまく組み合わせれば、Can I? だけで十分意思の疎通は計れるということでもあります。

このセリフ、こんな風に手を伸ばして、Could you? だったら、Could you give me a hug? 「私をハグしてくれる? 私をハグしてもらってもいい?」ということになりそうです。
今回は、Can I? なので、そのニュアンスはどちらかと言うと、「ハグしてもらってもいい?」というよりは、「私があなたをハグしてもいい? 私からあなたを抱きしめてもいい?」(Can I hug you? または、Can I give you a hug?)の方が正しい気がしました。
ハグという行為は通常、二人が抱きしめ合う行為なので、「ハグしてもらう」でも「ハグする」でも、最終形(笑)は同じ形になるわけですが、今回の場合は特に、ジョーイの告白に対して、レイチェルが振ったような形になってしまったけど、ジョーイのことは今でも大好きだと思ってる、その気持ちを伝えるために、私からハグしてもいい? 構わない?というニュアンスが感じられる気がするわけです。
泣いている私を慰めて、という意味の「ハグしてくれる?」ではなく、私があなたを大切に思っているという気持ちは変わらないから、ということを伝えるための「ハグしてもいい?」だと思えるということですね。

実際、Can I? Sure! の後、レイチェルはジョーイにしっかり抱きついてハグしていますが、ジョーイの方は、レイチェルの背中に手を回せずに、レイチェルが座っている椅子の背もたれに手を置いています。
いつもの友達同士の二人なら、お互いぎゅっとハグし合うのですが、レイチェルに告白して、「あなたのことは愛してるわ、でも、、」と返事されてしまったジョーイは、レイチェルへの想いをあきらめないといけない、だからレイチェルの背中にしっかり手を回してきつくハグすることができない、そんなことをしたらレイチェルを忘れるのがますます辛くなってしまうから、、というような描写だと言えるでしょう。
カリ城(ルパン三世 カリオストロの城)で、「泥棒はまだできないけど、きっと覚えます」と言ったクラリスを、思わず抱きしめそうになったルパンが、必死にこらえてこらえて、クラリスの肩に優しく手を置いた、というシーンもありましたが、「ここで抱きしめてしまってはいけない」という葛藤が、何よりもその人の気持ちを表す映像表現になっているというところは、日英で共通するものなんだなぁ、と。

ジョーイをハグしながら、レイチェルは、I don't want to lose-- と言っています。
最後が切れていますが、I don't want to lose you. 「あなたを失いたくない」ということですね。
ジョーイの告白にあんな返事をしてしまったせいで、大切な友達であるあなたを失うことになったらいや、という気持ちです。
そんな風に言いかけたレイチェルの顔を、ジョーイはしっかりと見つめて、You can't, okay? Ever! と言っています。
You can't lose me ever. ということで、つまりは、You can never lose me. 「レイチェルが俺を失うっていうことは絶対にあり得ない」ということですね。
今回のことで、レイチェルが俺という友達をなくしたりすることはない、俺はこれからもずっとレイチェルのそばにいて、これまで通りずっと友達でいるんだから、ということです。

「本当にごめんなさい」と言うしかないレイチェルにも、ジョーイは優しく、「お願いだから、謝らないで」と言っています。
その後、ト書きにあるように、二人はまたハグするのですが、今度はジョーイはレイチェルの背中に手を回してしっかりハグしています。
このハグには、「これからもレイチェルの良き友達であり続けることを決心した」ジョーイの気持ちがよく出ているように思いました。
この時点ではまだ「ふっきれた」ところまでは到底行けていないと思うのですが、レイチェルに「(大切な)あなたを失いたくない」と言われたことで、俺はずっと友達として君のそばにいるから、と言う覚悟ができた、と言うんでしょうか。

そうして、以前の友達のようにしっかりハグし合っている二人ですが、そこでジョーイは、Y'know, I was only kidding you. と言い、それに合わせるようにレイチェルも、Yeah, that was a real good one. と答えているのが、「お互いをよくわかっている友達」っぽくて、とても素敵だな、と思いました。
ジョーイの告白はもちろん本気だったわけですが、それを断ってしまったレイチェルの心の負担にならないように、「俺はただ、君をからかっただけだ、君に冗談を言っただけだ」と言ってみせたわけですね。
レイチェルの方も、そのジョーイの優しさに感謝して、「ええ、そうよね、(私のことが好き、っていう、あなたの)さっきの冗談は、ほんとにうまい冗談だったわ」と言って、「冗談が上手だから、私も本気に取りそうになっちゃったわ、すっかり騙されるところだったわ」と言ってみせたことになります。

この後、画面が暗転して、エンドクレジットになるのですが、このシーンが Don't be sorry. で終わってしまうと、見ている方もちょっとつらいところがありますね。
こうやってこのシーンの最後に、「今のは冗談だってば」「うん、私も騙されるとこだった」みたいに言って、お互いが苦しくならないように気遣っているところに「本当の友達」が感じられて、ホッとした気持ちになれるんだろうなと思いました。


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posted by Rach at 16:30| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月16日

チップを半分にしたのは彼自身 フレンズ8-16その5

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ジョーイと話したロスは、ジョーイがレイチェルのことを真剣に思っていることを知り、「それほど思っているなら、レイチェルに自分の気持ちを伝えるべきだ」とアドバイスします。
ジョーイは、レイチェルの家に行って、気持ちを告白しようとしますが、レイチェルが急いでいたこともあり、「今夜、食事しよう」と約束するのが精一杯。
その後、二人がレストランで話しているシーン。
レイチェル: ... and I know Chandler is kidding but it happens every time he touches my stomach. I mean I'm really worried the baby's not going to like him. (Joey is staring at the table.) Are you okay? (…それで、チャンドラーは冗談を言ってるってわかるけど、でもそれって、チャンドラーが私のお腹を触るたびに起きるのよ。私、ほんとに心配してるの、(お腹の)赤ちゃんが彼を好きにならないんじゃないかって。[ジョーイはテーブルを見つめている] 大丈夫?)
ジョーイ: What? Yeah! Sure! Uh, look, uh, the reason... (Exhales slowly)-Is it hot in here? (何? ああ! もちろん! それは[俺の様子がちょっと変な理由は]… [ゆっくり息を吐いて] ここ、暑くない?)
レイチェル: No. Not-not for me, but why don't you take off your sweater? (いいえ、私には暑くないわ。でも、(それならあなたは)セーターを脱いだらどう?)
ジョーイ: I would, but this is a nice place and my T-shirt has a picture of Calvin doing Hobbes. (そうしたいんだけど、でも、ここは高級な店だろ。それで、俺のTシャツは、カルヴィンがホッブズをヤッてる絵が書いてあるんだよ。)
レイチェル: Oh, my God! Really?! Can I see it? (なんてこと! ほんとに? 見てもいい?)
ジョーイ: Yeah. Sure. (They both half stand up, Joey pulls the neck of his sweater out, and Rachel looks down it to see his T-shirt.) (あぁ、もちろん。[二人とも半分立ち上がって、ジョーイはセーターの首を引っ張り、レイチェルはTシャツを見るためにそれを覗き込む])
レイチェルl: Huh. Wow, I wouldn't think Hobbes would like that so much. (はぁ。まぁ。私には、ホッブズはそういうのあんまり好きじゃないように思えるけどね。)
ジョーイ: Uh... How long have we known each other? (あー… 俺たち、知り合って何年かな?)
レイチェル: Um, seven... e-e-eight, eight years. Wow. (うーん、7年、8、8年ね。わぉ。)
ジョーイ: Uh-huh, long time. (あぁ、長いよね。)
レイチェル: Yeah. (そうね。)
ジョーイ: But over the past few weeks, I-- (でも、この数週間、俺は…)
(A waiter runs over interrupting Joey.)
一人のウェイターがこちらに走ってきて、ジョーイの邪魔をする。
ウェイター: Okay. Hah, sorry about the wait, but it is mega-jammed in here! We have a couple of specials tonight-- (はーい、お待たせしてすみません。でもここは超、混み合ってて! 今夜のお薦めは2つで…)
ジョーイ: Actually uh, could you give us a second? (実はその… ちょっとだけ(1秒)時間をもらえる?)
ウェイター: Sure. Sure. (Turns away, then turns back) Second's up! (Joey glares at him.) Not... that kind of table. (He walks away.) (もちろん、もちろんです。[違う方向を向いて、またこちらを振り返って] ちょっとの時間(1秒)、終わり! [ジョーイは彼をにらむ] そういう[その手の]テーブルじゃない、ですね。[ウェイターは歩いて去る])
レイチェル: So you were saying? (それで、あなたは何を言おうとしてたの?)
ジョーイ: I'm not quite sure. (よくわかんないや。)
レイチェル: Okay, well, you had asked me how long we knew each other, and I said, "Eight years." And the um, waiter came over and cut his tip in half, and umm... now here we are. (いいわ、そうね、あなたは私に、私たちがどれくらい知り合いかを尋ねて、私が「8年」って言った。それから、ウェイターがやってきて、自らのチップを半分にした。それで、うーん… 今に至る。)

レイチェルは、「チャンドラーが私のお腹に触るたびに起きること」について話をしていますが、これは、これより前のシーンに出てきた、以下のやりとりを踏まえての話になっています。
ブログの解説ではカットしてしまった部分なので、ここで説明しておくと、
[Scene: Central Perk, Rachel and Chandler are on the couch.]
セントラルパーク。レイチェルとチャンドラーはカウチに座っている。
レイチェル: Oh-oh! Okay, she's kicking! (ああ! ほら、この子(お腹の赤ちゃん)が蹴ってるわ!)
チャンドラー: Oh! (Puts his hand on her belly.) She's growing inside you. (おぉ! [チャンドラーはレイチェルのお腹に手を当てる] この子は君の中で育ってるんだね。)
レイチェル: Whoa!! (うわ!)
チャンドラー: Oh! (Pulls his hand away.) (おお! [手を引っ込める])
レイチェル: Wow, that was a big one. (わぉ、今のは大きかったわ。)
チャンドラー: I think that's the youngest girl ever to reject me. (今のは、これまで俺を拒絶した女の子の中で最年少だと思うよ。)

チャンドラーがレイチェルのお腹を触ったら、中の赤ちゃんが思いっきり蹴ってきたので、チャンドラーはそれを「俺を嫌がって蹴った」ように冗談を言ってみせたわけですね。
まだ生まれてもない女の子に、ケリを入れられるなんて、俺を拒否・拒絶した女性の最年少じゃん、と自虐的に言ったことになります。

そのシーンを覚えている観客は、「チャンドラーが私のお腹を触るたびにそれは起こる」というセリフで、レイチェルがそのことについて話しているのがわかるので、「赤ちゃんが(チャンドラーを)蹴る」という説明をしなくても、笑えてしまうわけですね。

チャンドラーは自虐的な冗談っぽく「俺を拒絶した最年少の女だ」と言ってたけど、私、ほんとに心配してるのよ、この子がチャンドラーを好きにならないんじゃないかって、とレイチェルは言って、「たまたまじゃなくて、ほんとにこの子はチャンドラーに対して何かしら違うものを感じてるのかもしれない」と言ってみせているわけですね。
そういう話を聞いたら、いつものジョーイなら、ウケたり笑ったりと、もう少し楽しそうな反応をしそうなのに、ジョーイが無言でテーブルを見つめているので、レイチェルは心配そうに尋ねます。

the reason... というのは、「俺がちょっといつもと様子が違う理由は」みたいなことですね。
レイチェルに告白しようとして緊張しているとも言えず、ジョーイは、「ここ暑くない?」と言っています。
「私は暑くないけど、暑いならそのセーター脱いだら?」とレイチェルが言うと、ジョーイは、「脱げるものなら脱ぎたいところだけど、ここは、良い場所(つまり高級店)だろ」と言って、my T-shirt has a picture of Calvin doing Hobbes. とセリフを続けています。
「俺のTシャツは、誰々が何々している絵が載っている」ということで、「暑いけど、セーターの下にこんな絵の描いてあるTシャツを着ているから、こんな高級店では上のセーターを脱げない」と言っていることがわかるので、その絵がこういう店にはふさわしくない、お下品なものであろうことが想像できます。
今回の、A do B. のような、「do+目的語(人)」は、「人に対してエッチな行為をする」という意味で、もっとお下品な感じで表現すると、「B をヤる」みたいなニュアンスですね。
過去記事、何をしたかではなく誰としたか フレンズ7-11その5 では、do something の代わりに、do someone と表現することで、「その人とエッチする」という意味になることを使ったジョークも出てきました。

A が B とヤってる絵、という時点で、こういう店にふさわしくない絵柄だということは想像できるのですが、そこで使われている二人の名前がまた、アメリカのサブカルネタ的に面白いものとなっています。
ここに出てきた二人の名前は、新聞の連載漫画である「カルビンとホッブス」(原題:Calvin and Hobbes)のこと。
Wikipedia 日本語版: カルビンとホッブス
カルビンが6歳の男の子で、ホッブスはぬいぐるみのトラだそうです。
Calvin and Hobbes で画像検索すると、かわいらしい絵柄の少年とトラの画像がたくさんヒットしますね。

ウィキペディアの「作品の概要」に以下の説明がありました。
作者ワターソンは、反商業主義的な感情を持つとともに、注目を浴びることを嫌がったため、本作品にまつわる商品は、単行本の他にほとんど存在していない。しかしながら、作品への大々的な人気は、多数の「海賊版」グッズを産み出した。これらの多くは猥褻な言葉などを伴っており、ワターソンの作品精神と相容れないものである。

その「猥褻な言葉などを伴う海賊版グッズ」が、まさにジョーイが今着ているTシャツ、ということですね。
絵の中で行われている行為そのものがお下品なだけではなく、それが「作者が認めていない下品な海賊版」という意味で倫理的にも褒められたものではない、というダブルの意味で、このTシャツは見せられないんだよね、と言っている感覚になるのでしょう。

レイチェルはそのジョーイの説明を聞いて、嬉しそうに「見せて!」と言って、ジョーイはレイチェルに見えるように、セーターの首を広げています。
その絵を見た後のレイチェルのセリフ、I wouldn't think Hobbes would like that so much. について。
レイチェルがその絵を見た時の反応は、大喜びしているというよりも、ほぅ、そういう絵なのね、なるほど、、みたいな感じに見えます。
このセリフを直訳しようとすると、「ホッブズがそれをものすごく好きであるようには私には思えない(私なら思わない)」みたいになるのかなぁ、と思います。
「〜であるとは思わない」は、自然な日本語にすると、「〜ではないと思う」ということになるので、ここにもその「自然な日本語への変換」を当てはめてみると、「ホッブズはそれがあまり好きじゃないように私には思える」ということになるでしょう。
ジョーイの説明では、「カルヴィンがホッブズをヤッている」みたいな表現になっていましたから、男女の行為で言うと、少年カルヴィンが男役、トラのホッブズが女役、みたいな状況なわけですね。
それを考えると、レイチェルのセリフは、「そういうエッチな行為を”されている”側のホッブズは、あまり喜んでないみたい、楽しんでないみたいだけど」と言っていることになるんだろうと思います。

海賊版の下品な絵柄、ということで、もちろんテレビにはその画像は映らないわけですが、ジョーイとレイチェルのやりとりから、「少年の方は喜んでいて、トラのほうは嫌がっているらしいエッチの絵」なんだろうなと想像されるわけですね。
トラの表情からそう思えるのか、その行為が受け手のトラにとって嬉しくないタイプのプレイなのかはわかりませんが、とにかく、可愛らしいはずのカルヴィンとホッブズの絵柄で、そんなえげつない(笑)エッチの絵が描かれているらしいところに、このジョークのポイントはある、ということですね。

そんな話をした後、ジョーイは本題に入る決心をしたようで、「俺たちはお互いをどれぐらいの長さ(の期間)知ってる?」みたいに尋ねています。
もっと自然な日本語で言うと、「俺たちが知り合ってからどのくらい経つ?」ということですね。
「7年、いえ8年ね」みたいにレイチェルは返事していますが、現在シーズン8ですから^^ 確かに二人は7〜8年、お互いを知っていることになります。
「そんなに長い間一緒だったけど、ここんとこの数週間は…」と、その気持ちの変化を語ろうとした時に、ウェイターが飛んできて、specials 「今日のお薦め」を説明しようとします。
mega-jammed のように、jammed 「混んでいる、混雑している」にメガを付けて強調しているのが表現的に面白いですね。
メガマック(Mega Mac)などのメガのニュアンスですが、そういうメガという言葉の感覚は、日本人にもなじみがあるので、理解しやすいところだと思います。

やっと告白しようと話し始めたところを邪魔されたので、ジョーイはムッとしたように、「ちょっと時間をもらえる?」と言っています。
ウェイターは、了解しました!と言うように、後ろを向くのですが、すぐに振り向いて嬉しそうに手をパッと開きながら、Second's up! と言っています。
この up は「終わって」というニュアンスですね。
Time's up. 「時間切れだ」というフレーズでよく使われます。
ジョーイは、「ちょっと時間をくれ」という意味で、a second という言葉を使ったのですが、a second というのは「1秒」という意味なので、ウェイター的には、「はーい、1秒、終わりましたー」というジョークでなごませようと思ったわけです。
ですが、ジョーイは明らかに怒った顔をしているので、「このテーブルは、そういうジョークを喜ぶような類のテーブルじゃないみたいですね」と言いながら、ウェイターは去ることになります。

ウェイターに話を邪魔されたので、レイチェルは「で、ジョーイは何を話してたの? 何を話そうとしてたの?」と尋ねるのですが、話が中断されたことで気が弱ってしまったらしいジョーイは、「よくわかんないや」とはぐらかそうとしています。
そこでレイチェルは、少し前の会話の様子を自ら説明していますね。
「あなたが知り合って何年?って尋ねるから私が8年と答えた」と言った後のセリフが面白いです。
And the um, waiter came over and cut his tip in half は、「そしてウェイターがやってきて、彼のチップを半分にカットした」。
and cut は、and he [the waiter] cut で、主語が同じだから省略されているわけですね。
この後半部分、意味としては、「彼がくだらないことを言って客を怒らせたせいで、チップが半分になってしまった」ということで、「チップが半分になった」ということなら、and his tip was cut in half. のような受動態で表現することも可能だったろうと思うのですが、ここではそれを、he [the waiter] cut his tip in half. のように、ウェイターを主語にした能動態で表現しているのが(日本人英語学習者的には)ポイントかなぁ、と思いました。
つまり、「ウェイターがやってきて、彼自らがチップを半分にした」というようなことで、彼が行った行為のせいで、自分のチップを半分にしてしまった、という、「チップを半分にした行為者(主語)は彼である」というのがこの能動態のニュアンスだと思うわけです。
his tip was cut in half. のような受動態だと、カットしたのは誰かという行為者が明白ではなく、ただ「チップが半分にカットされた」という状態を説明するだけになるので、面白さが半減してしまう気がするのですね。
「あのウェイターがやってきて、自分のチップを半分にして帰って行った」みたいに表現することで、「ウェイターがチップを半減させられるような失敗をした」ことがわかるわけです。
DVDの日本語字幕では、「ウェイターがチップを半額にするヘマを」と訳されていましたが、その「ヘマをする」というニュアンスが、「ウェイター(自身)が自分のもらうべきチップを半額にした」という「能動態」に出ているということです。

now here we are. は「(そして)今、私たちはここにいる」なので、会話の経緯を説明している流れでいうと、「で、今に・現在に至る」という感覚になります。
Where were we? 「(話は)どこまでいってたっけ?」というのもよく使われますね。


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posted by Rach at 15:15| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする