2015年09月14日

君がまだ化粧していない朝 フレンズ9-19その6

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前回の続きです。
恋愛シーンをうまく演じられるかどうか不安だ、というジョーイに、レイチェルは「自分が恋していた時の気持ちを思い出して、それを演技に活かしてみたら?」と提案します。
ジョーイは「それならできそうだ」と言い、「劇中で、ドレイクがオリヴィアにキスしたいと思うシーンがあるんだけど、そのシーンが、俺が昔、君(レイチェル)にキスしたいと思った時のことを思い出させる。当時はそんな気持ちを君に隠すのが、とてもつらかった」と告白します。
「あなたがそんな気持ちでいてくれたなんて、私は全然知らなかったわ」と驚いた様子のレイチェルに、
ジョーイ: Well.. hey, you know what else I could use? There's this scene where Drake sneaks into Olivia's bedroom and she doesn't know he's there, which never happened with us! I mean, he knows he shouldn't be there, but he just wants to look at her. You know? (In a romantic voice) And I remember all those mornings before you even put on your makeup, when I would think to myself, "My God, she... is... beautiful...." (Rachel looks very moved) And it hurts so much because I knew I could never tell you. (pauses, while looking at her with sentiment) But it was worth it just to be there looking at you. (そうだね… ねぇ、俺が使えそうな他のことが何かわかる? ドレイクがオリヴィアの寝室に忍び込んで、オリヴィアはドレイクがそこにいることを知らない、っていうシーンがあるんだよ。俺たちにはそんなことは起こらなかったけどね! ドレイクは自分がそんなところにいるべきじゃない、ってわかってる、でも彼はただ彼女を見たいと思うんだよ。わかるだろ? [ロマンティックな声で] そして俺は、君が化粧する前のあの朝[毎朝]のことを思い出すんだ。その時俺は心の中でこう思ったものだったよ、「なんて、彼女は…美しいんだ…」 [レイチェルはとても感動している様子] そしてものすごく心が痛むんだ、だって俺は君に絶対に言えないってわかってたから。[間がある、その間、感傷的にレイチェルを見ている] でも君を見るためにただそこにいることに、それだけの価値があったんだよ。)
(Joey and Rachel continue to look at each other in silence for a while)
ジョーイとレイチェルはしばらくの間、黙ってお互いを見続けている。
ジョーイ: (excited) Thanks, dude!!! This is GREAT!! (leaves Rachel very touched on the couch and goes into his room) ([興奮した様子で] ありがとな! これって最高だよ! [非常に感動した様子のレイチェルをカウチに残して、ジョーイは自分の部屋に行く])

you know what else I could use? は「他に俺が使えることが何かわかる?」ということで、つまりは、「恋愛シーンの演技に役立ちそうなことがまだ他にもあるんだよ」と言っていることになります。
そのシーンは、「ドレイクがオリヴィアの寝室に忍び込んで、オリヴィアは彼がそこにいることを知らない」というものですね。
そう説明した後、付け加える形で、which never happened with us! と言っているのが面白いです。
which は、その前のシーンの状況を指していて、「そういうことは、俺たち(俺とレイチェルの間)には決して起こらなかった」と言っていることになります。
「こういうのも使えそう」と言って説明したシーンなので、その流れで行くと、「俺もレイチェルの部屋に忍び込んだことがあった」みたいに聞こえてしまいそうなので、「俺はレイチェルの部屋に忍び込んだりはしてないぞ」と、誤解される前に先に言っておいたことになります。

ジョーイは、レイチェルの視線の高さに合わせるようにしゃがんで、「ドレイクは、自分がそこ(オリヴィアの寝室)に入るべきじゃないってわかってる、けど、ドレイクはただオリヴィアを見たいだけなんだ」とシーンの状況を説明します。
そして、ト書きにあるように、ロマンティックな声、つまり好きな人に語りかけるような甘い声で、And I remember all those mornings... と、実際にレイチェルとの間にあった出来事を語り始めます。

And I remember all those mornings before you even put on your makeup, when I would think to myself, "My God, she... is... beautiful...." を前から順番にイメージしていくと、「そして俺はあの全ての朝を思い出す、(その朝というのは)君が化粧をする前の(朝)。その時、俺は心の中でこう思ったものだった。”何て、彼女は…美しいんだ”って」になりますね。
ジョーイは夜中にレイチェルの寝室に忍び込んだわけではないけれど、ルームメイトとして同居していることから、化粧する前のスッピンの顔を毎朝見ていた、それが状況として似ているとジョーイは思ったわけですね。
君のスッピンの顔を見て「何てきれいなんだ、、」と思ったよ、と言われ、レイチェルは感動した顔になっています。
And it hurts so much... は、「そしてものすごく心が痛むんだ、だって、俺は君に「スッピンの君はとってもきれいだ」なんて言えないってわかってたから」になりますね。
ジョーイはレイチェルを見つめたまま、「でも、君を見て、ただそこにいるっていうことが、worth it だった」と言っています。
worth it は「それだけの価値がある」という意味ですね。
君に気持ちを言うことはできなくても、君を見られるところにいられるのが嬉しかった、ということになるでしょう。

「昔、俺は君に対してこんな気持ちを持っていた」という過去の話ではありますが、その内容がとても情熱的でロマンティックなものなので、レイチェルはそれをとても愛しそうに聞いていますし、それを話すジョーイもとても優しい顔をしています。
そんな話をして、しばらく見つめ合う二人に、観客のドキドキも高まるわけですが^^ その後、ジョーイはとても嬉しそうな様子で、Thanks, dude!!! This is GREAT!! と言って、レイチェルの肩をバシッ! と叩いて、レイチェルを残し、自分の部屋に入ってしまうことになります。

dude は「やつ、男、野郎」という意味で、男性に対する呼び掛け語として使う言葉です。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) でも、
dude : (slang) used as a way of speaking to someone, especially a man
例) Dude, look at that car!

つまり、「誰かに話しかける方法として使われる、特に男性に対して」。例文は、「なあ(おい)、あの車を見ろよ!」

つまり、Thanks, dude!!! というのは、まるで男友達に言うように、「ありがとな、お前のおかげで助かったぜ」的なニュアンスであることがわかります。
昔の気持ちを語る時、「レイチェルをつかんでキスしたかった」とか言っていて、それって「レイチェルの身体に少しでも触れたらキスしないではいられない」ほどの気持ちだったということだろうのに、今はこんな風に、男の連れにするように、レイチェルの肩をバシン! と叩けちゃうわけですから、このセリフとこのしぐさから、「ジョーイはすっかりいつもの友達モードに戻っている」ことがわかるわけですね。
うっとりして聞いていたレイチェルは、急に現実に引き戻された感じで、自分の気持ちの整理がうまくできない、というような戸惑った顔をしています。
ジョーイの情熱的な告白にうっとりし、ジョーイに対して何かしらの気持ちが高まってくるのを感じていたのに、告白していた方のジョーイが何の未練も感じさせずあっさり引いてしまったので、レイチェルは、「急に梯子(はしご)を外された」というか、高ぶった気持ちの持って行き場がない状態になってしまっているわけです。

ジョーイが語っていた「過去のレイチェルへの気持ち」は本当だったのでしょうが、ジョーイとしては過去のこととして吹っ切れてしまっている様子で、その気持ちを思い出して演技に役立てることができそう! と喜んでいるわけですね。
振った側であるはずのレイチェルが、「昔、私のことをそれほどまで思ってくれていた」と知り、心が動いてしまった、というシーンになっているわけですが、フレンズ2-14 でレイチェルがロスの気持ちを受け入れたのも、「大学生のロスが、高校生のレイチェルをプロムに誘おうとしていたビデオ」を見たのがきっかけでしたし、「相手の一途な気持ちに打たれる」というのは、レイチェルというキャラとしても、また一般的な女性の心理からしても、自然な展開だろうと思います。
今回も「夢オチ」だったりしたら、あまりにもひねりがなさすぎますし、ちゃんと話を進行させているところが、さすがは「フレンズ」ですね。
フレンズ8-12 では、レイチェルの何気ないしぐさにジョーイがドキっとしてしまい、そこからレイチェルへの恋心が生まれる、という展開がありましたが、今回はその逆バージョンと言えそうで、次回以降の動きがさらに気になるところですね。


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posted by Rach at 14:46| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月11日

全てが平気だ、ってふりをしてた フレンズ9-19その5

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俳優のジョーイは、自分が演じることになる恋愛シーンで、相手のことを本当に愛していると思わせるような演技ができるかどうか心配しています。
「今まで誰かに恋したことあるでしょ?」と言われたジョーイは、「一度だけ、君(レイチェル)にね」と答え、気まずくなったレイチェルが「その件については流しましょうか、、」と言った後、
レイチェル: Well, look, can't you just use that method-actor thing where you use your real-life memories to help you in your performance? (ねぇ、例の、メソッド・アクターってやつを使うことはできないの? 演技の役に立つように、実生活の記憶を使うっていう。)
ジョーイ: (looks at her for a moment) What the hell are you talking about?? ([レイチェルをしばらく見て] 一体何のことを言ってるの??)
レイチェル: (shakes her head) Alright, alright look, just uh... just try to remember how you felt when you were in love, and think about that when you're playing the scene. ([(だめだこりゃ、というように)頭を振って] わかった、ただ、ただ思い出そうとしてみて、あなたが恋していた時、どんな気持ちだったかを、そしてそのシーンを演じる時に、そのことを考えるのよ。)
ジョーイ: (approvingly) Oh! okay. Yeah, I think I can do that. Yeah. Okay, there's this party scene coming up. And Olivia and her husband are there and all Drake wants to do is grab her and kiss her, but he can't. And that makes me think about all those times when I wanted to grab you and kiss you, but you didn't know, so I would just pretend everything was cool, but really it was killing me. ([賛成するようにうなずいて] あぁ、オッケー。そうだよ、それならできそうだと思う。よし、オッケー。パーティーシーンが出てくるんだ。それでオリヴィアと彼女の夫がそこにいて、ドレイクがしたいことはただ、彼女をつかんで彼女にキスすることだけ、でも彼にはそれができない。そしてそれが俺に、あの頃のことを思い出させるんだ、君をつかんで君にキスしたいと思った時のこと。でも君は(そんなことを)知らないから、俺はただ、全てが平気だ[何でもない、何ともない、問題ない]ってふりをしてた。でも、本当にそれは、死ぬほどつらかったよ。)
レイチェル: (looks touched) Joey, you never... you never talked about that before. ([感動した様子で] ジョーイ、あなたは今まで、あなたは今までそんなこと話してくれたことなかったわ。)

その後、レイチェルは「こういうのは使えないの?」と言って、メソッドの話をしています。
ちょっと長い文章なので、前から順番にイメージすると、
can't you just use that method-actor thing は、「あの”メソッド・アクター”ってやつ(こと)をただ使うことはできないの?」
where you use your real-life memories to help you in your performance? の where は、その前の that method-actor thing を、関係副詞で繋げる形で、内容を詳しく説明していることになり、「そのメソッド・アクターってやつ(の中)では、演技の中であなたを助けるために、あなたの実生活の記憶(思い出)を使う」になるでしょう。
関係副詞 where を使うことで、「その(事柄の)中では、S が V する」のような形で説明できるわけですね。

method actor という言葉は、Macmillan Dictionary の中で、method acting の derived word 「派生語」として挙げられています。
元となった、method acting については、以下の語義で説明されています。
method acting [noun, uncountable, theatre, cinema] :
preparation for an acting role in which the actor gets real experience of the life of the type of character that he or she will play

つまり、「役柄を演じるための準備、その中で俳優は、自分が演じる予定のキャラクターのタイプの生活の実体験を得る」。

やや抽象的な表現ですが、レイチェルは、「自分の実生活の記憶を演技に活かす」みたいなことを言っていて、マクミランの語義は、「演技のための準備として、実生活で役柄の実体験を得る」→「役柄になりきって実生活を送ってみる」みたいなことになるでしょうか。

英辞郎にも以下の語義が出ていました。
method acting=メソッド・アクティング、俳優が自己の感情・経験を生かして演ずる役柄になりきろうとする演技手法
これは、レイチェルのセリフの内容にかなり近いですね。

レイチェルはそういう method acting とか method actor という演技手法について、どこかでちらっと聞いたことがあったのでしょう。
実際にそういう経験をしたことないっていうのなら、似たような記憶を使って演技に役立ててみたらどう? とアドバイスしているわけですね。
そう言われたジョーイは、しばらーくレイチェルの顔を見つめてから、「一体、何のことを言ってんの?」みたいに返します。
演技のプロであるはずの俳優のジョーイの方が、method actor という言葉を知らなかった、、というオチですね。

レイチェルは、「こりゃだめだ」というように首を振って、メソッドの話ではなく、具体的にこうすればいいのでは? という内容を提案しています。
just try to remember how you felt when you were in love, and think about that when you're playing the scene. は、「あなたが恋していた時、どんな気持ちだったかをただ思い出そうとしてみて。そしてあなたがそのシーンを演じる時にそれを考えて」ということですね。

レイチェルに噛み砕いて説明してもらってようやくわかったジョーイは、「それならできそうだ」と言って、早速シーンの説明を始めます。
その内容は、「パーティーシーンがある(始まる)。オリヴィアと彼の夫がそこにいる」ということですね。
all Drake wants to do is grab her and kiss her, but he can't. の all Drake wants to do は、「ドレイクがしたいと思うことの全ては」ということですから、「ドレイクがしたいことは、ただ〜することだけだ」という意味になり、全体としては、「ドレイクがしたいのはただ、彼女をつかんでキスすることだけ。でも彼にはそれはできない」と言っていることになります。
grab は「つかむ、ひっつかむ」というニュアンスで、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
grab : to take hold of someone or something with a sudden or violent movement
と出ています。
つまり、「突然の、または乱暴な動きで、誰かや何かをつかむこと」。
with a sudden or violent movement という部分がポイントで、そういう荒々しいニュアンスの動詞を使うことで、このシーンにおけるドレイクの、オリヴィアに対する熱い想い、そうしたくてもできないというもどかしさが表現されていることになるでしょう。

そんな風に、ドレイクが演じるシーンの説明をした後に、ジョーイは、that makes me think about all those times when... と話を続けています。
直訳すると、「そのこと(そういうシーン)が俺に、〜した全ての時について思わせる」ということなので、つまりは、「そのシーンで俺は、〜した全ての時のことを考えるんだよ」と言っていることになるでしょう。
when 以下は、「俺が君をつかんでキスしたいと思った時」なので、ジョーイは、「ドレイクがオリヴィアをつかんでキスしたいと思うシーンの脚本を読むと、昔、俺がレイチェルをつかんでキスしたいと思った時のことを思い出すんだ」と言っていることになります。
「好きになって告白して振られて、結局また元の友達同士の関係に戻った」とはいえ、本人を目の前にしての非常に大胆な発言になりますね^^
ジョーイの話はそこで終わらず、「君をつかんでキスしたかったけど、君は(俺がそんな気持ちでいることを)知らなかったから、だから俺はただ、全てが cool だっていうふりをしたものだった。だけど本当にそれは(死ぬほど)苦しかったよ」と言うことになります。
everything was cool の cool は、ここでは「平気な、冷静な、何ともない」という感覚が近いでしょう。
自分自身の気持ちはもちろん、レイチェルと一緒にいて起こったいろいろな出来事も含め、全てが「何でもないよ。大騒ぎするようなことないよ」という感じで冷静さを装っていた、みたいなことですね。
really it was killing me の be killing me は「主語が俺を(死ぬほど)苦しめる」という意味で、体のどこかが痛い場合にも使ったりしますが、今回は really と強調の言葉も入っていますので、まさに「(文字通り)死ぬほど苦しかった」と言っている感覚になるでしょう。

「君をつかんでキスしたかった」に始まり、「そんな気持ちを隠して、何でもない風を装うのはすごく苦しかった」とまで言われたレイチェルは、とても驚いた顔で、「ジョーイ、あなた、今までそんなこと話してくれたことなかったわ」と言っています。
「あなたがそんな気持ちでいたことを、今初めて知った」「あなたが私に対してそんな気持ちでいてくれてたなんて、私全然知らなかったわ」ということですね。


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posted by Rach at 15:42| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月09日

自分を悪く言って褒め言葉をもらう フレンズ9-19その4

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[Scene: Joey and Rachel's apartment, Rachel walks in]
ジョーイとレイチェルのアパートメント。レイチェルが入ってくる。
レイチェル: Hey! (はーい!)
ジョーイ: Hey! (よお!)
レイチェル: Joey, do you have peanut butter on the back of your head? (ジョーイ、あなた、頭の後ろにピーナツバターをつけてる?)
ジョーイ: (Touches the back of his head and licks his fingers) Oh, man! I thought I got it all! ([自分の頭の後ろを触って、指を舐める] あぁ、なんてこった! 全部取ったと思ってたのに!)
レイチェル: (looks puzzled) How...? How? ([困惑した様子で] どうやって…? どうやって?)
ジョーイ: I was making a peanut butter smoothie, right? (俺はピーナツバタースムージーを作ってたんだよ、な?)
レイチェル: uh-huh. (えぇ。)
ジョーイ: And I couldn't find this little plastic thingy (holds up plastic thing) that goes in the top of the blender. And I thought, "Well, how important can that be?" Right? Turns out, very! (で、このちっちゃなプラスチックのやつが見つからなかったんだ [プラスチックのものを掲げる]、ブレンダー(ミキサー)の上にはめるやつね。それで俺は思ったんだよ、「ふん、それがどんなに重要だってことがあるんだよ?[そんなに重要じゃないだろう]」って。な? で、わかったんだ、すごく(重要だ)、って。)
レイチェル: (to herself) Wow, definitely just Drake. ([独り言で] わぉ、間違いなくドレイクね。)
ジョーイ: What? (何?)
レイチェル: What... how's it going with Drake? (えー、ドレイクの件はどんな感じ?)
ジョーイ: Oh... I don't think it's going very well. (あぁ… あまりうまくいってないんだ。)
レイチェル: What? That scene I saw was so good! (何ですって? 私が見たあのシーンは、すっごく良かったのに!)
ジョーイ: Well, I'm feeling really insecure about the one we are shooting tomorrow.... (うーん、明日、俺たちが撮影するものについて、俺はすっごく不安を感じてるんだよ。)
レイチェル: Joey, is this that thing you do when you say you're bad so I'll give you a compliment? (ジョーイ、これってあなたが(いつも)やる例のこと? あなたが自分のことを悪く言って、私があなたを褒める、っていう時の?)
ジョーイ: A little. Yeah, no, I really am worried, you know. I mean, I have to make it convincing that I'm in love with Olivia. (ちょっとね。あぁ、でも、俺は本当に心配してるんだよ。ほら、俺がオリヴィアに恋してるってことを、なるほどと思わせないといけないからね。)
レイチェル: So? (だから?)
ジョーイ: So... I've never played that! (だから… 俺はそういうの演技したことないんだよ!)
レイチェル: Ooh! Honey, it can't be that hard. I mean, you've been in love before? (まぁ、ハニー。そんなに難しいはずないわよ。ほら、これまで恋したことあるでしょ?)
ジョーイ: Uh... well... just once... with you.... (あぁ、そうだね、一回だけ…君に…)
レイチェル: Okay. Well, this could be a little awkward. I'm just gonna blow past it. (いいわ、そうね、これはちょっと気まずいことになりそうね。それは流すことにするわ。)
ジョーイ: Okay. Yeah. (オッケー。そうだね。)

ドアを入ってきたレイチェルは、ジョーイの頭の後ろにピーナツバターがついているのに気づき、「あなた、頭の後ろにピーナツバターつけてる?」と言っています。
そう言われたジョーイは、頭の後ろを指で触って、その指をペロッと舐めて、確かにピーナツバターであることを確認した後、Oh, man! I thought I got it all! と言っています。
I thought I got it all! を直訳すると、「俺はそれを全部ゲットした(とった)と思ってたのに!」みたいなことですね。
ピーナツバターは全部(ふいて)とった、と思ってたのに、まだ残ってたのか、と言っていることがわかります。
そばにあったタオルで頭の後ろをごしごし拭いているジョーイに、レイチェルは、How...? How? と尋ねていますね。
How? は「どのようにして?」ということですから、「何をどんな風にしてて、頭の後ろにピーナツバターがついたりしたのよ?」と尋ねていることになるでしょう。
どうしてそんなところにつくのか全くもってわかんない、という気持ちから、How?... Ah, how? のように2回尋ねるのがまた面白いですね。

顛末を尋ねられたジョーイは、状況を説明し始めます。
「俺はピーナツバタースムージーを作ってたんだよ」と言って、I couldn't find... のセリフを言っています。
前から順番にイメージすると、まずは「俺はこの小さなプラスチックのやつを見つけることができなかった」になりますね。
this little plastic thingy と言いながら、ト書きにあるように「プラスチックのものを掲げて」いますが、それはミキサーの白い蓋の中央にさらにはめ込む感じの透明な物体のことでした。
ト書きの後の、that goes in the top of the blender は、前の this little plastic thingy にかかっており、「この小さなプラスチックのやつ」を、関係代名詞 that を使ってさらに詳しく説明していることになります。
goes in the top of the blender は、「ブレンダー(混ぜるもの、日本語で言うところの「ミキサー」)の上に入る」というところなので、「ミキサーの上にはまる」と表現していることになるでしょう。
英語の語順としては、「この小さなプラスチックのやつが見つからなくて」と言いながら実物をレイチェルに見せ、「それって、ミキサーの上に入る部品なんだけどさ」と言いながら、実際に白い蓋の上にはめ込んでみせている、という流れになります。
このように、関係代名詞で情報を追加している感覚が英語っぽいところですね。

次の、And I thought, "Well, how important can that be?" Right? Turns out, very! について。
how important can that be? を直訳すると、「それ(見つからないその透明プラスチック部品)がどれほど重要になりうると言うんだ?」というところでしょうか?
「どれほど重要だっての?」→「そんなに重要なわけない、重要なはずがない」という反語のニュアンスですね。
Turns out, very! も直訳してみると、「(結果)〜だとわかる、非常に(だと)」という感覚になるでしょう。
つまり、「そんなに重要ってことないだろ」と軽く考えて、その透明プラスチックなしで使ってみたところ、「使ってみたら、そのプラスチックが非常に重要(very important)であるとわかった」と言っていることになります。
そのセリフを聞くことで、「頭の後ろにピーナツバターがついていたのは、蓋にはめ込む小さな部品をつけずに使って、ミキサーの中身が飛び出てしまったから」という一連の流れがわかる、という仕組みですね。
「蓋に部品をつけなかったから、中身が飛び出た」的な表現は一切ありませんが、「大事じゃないと思ってたら、すっごく大事だとわかった」というセリフでそのことがわかってしまう、というのが、セリフとしてとても洒落ていて、面白いなと思いました。

また、Turns out, very! という短い表現だけで「足りてしまう」ところが、ものすごくネイティブの英語っぽくて、実にかっこいいなぁ〜と思うわけです。
日本人の口からはなかなか出てこない表現だなぁ、と。
「どれほど・どんだけ重要だって言うんだ?」という反語の後なので、「その important の度合(how important)が、very important だったとわかった」と表現している、important は言わずに、very だけでその how の度合を言っていることがわかる、ということですね。
how important? という問いに対する答えが、very (important) だったということで、それを Turns out, very! だけで表現しているところが、ネイティブの会話っぽいと思うわけです。

あまりにもバカバカしいことを言っているジョーイを見て、レイチェルはジョーイに聞こえない感じの独り言で、Wow, definitely just Drake. と言っています。
definitely は「明確に、はっきりと」「間違いなく、紛れもなく」ということで、just にも「ちょうど、まさに、まさしく」「まったく、本当に」という意味がありますので、definitely just のように2つ重ねることで、「まさしく」という意味をより強調しているニュアンスになるのかな、と思います。
これは前回の記事のシーンで、「レイチェルはジョーイが好きなんじゃなくて、ドレイクが好きなのよ」とモニカに言われたことに対する、自分の中での答えですね。
ミキサーを完全に蓋することなく回して、髪の毛にピーナツバターをつけちゃった、お子ちゃまのようなジョーイを見て、「夢の中でキスしたいと思ったのは、やっぱりジョーイに対してじゃなくて、ドレイクに対してだった」ということを、自分の中で確認した感覚です。

「ドレイクの件はどんな感じに進んでる? どんな感じにいってる?」と聞かれて、ジョーイは、「あんまりうまくいってない」と答えます。
レイチェルに「私が見たシーン、良かったのに!」と言われても、「明日撮影するものについて、不安を感じてる」とジョーイは言うのですが、それに対するレイチェルの返事が面白いですね。

is this that thing you do when you say you're bad so I'll give you a compliment? を前から順番にイメージすると、「これはあなたが(普段よく)やる、あのこと[例のこと]?」、when 以下は「あなたが”俺はひどい”と言って、それで私があなたに賛辞(褒め言葉)を与える時の」になるでしょう。
つまり、「自分のことを良くないと言うことで、私から褒め言葉を貰おうとする、あなたがよくやる例のあの手口?」みたいにレイチェルは言ったことになりますね。
そんな風に言われて、ジョーイも、「まぁ、ちょっとね」と答えるのですが、その後、「本当に不安なんだ」と正直な気持ちを述べています。

I have to make it convincing that I'm in love with Olivia. の convincing は「説得力のある、なるほどと思わせる」という形容詞ですね。
動詞 convince は「人を納得させる」という他動詞ですから、現在分詞で「人を納得させるような」という意味から、そういう形容詞として使われることになります。
make it convincing that は、that 節を it という仮目的語として置いた形で、つまりは、that 節の内容を、なるほどと思わせなければならない、と言っていることになります。
ですから、「俺がオリヴィアに恋している[オリヴィアを愛している]ということを、なるほどと思わせなければならない」→「俺がオリヴィアを愛していると、みんなが納得するような演技をしなければならない」「ドレイクは本当にオリヴィアに恋している、と視聴者に思ってもらえるような演技をしなければならない」ということですね。

レイチェルはそんなことが何が大変なのよ、とでも言うように、So? 「だから?」と言うのですが、ジョーイは So を受ける形で、「だから… 俺はそういう演技を今までしたことがないんだ(だからうまくできるか心配なんだ)」と返します。
レイチェルは、「そんなに難しいはずないわよ」と言って、「今までに(誰かに)恋したこと、(誰かを)愛したことあるでしょ?」と言っています。
そう言われたジョーイは、言葉に詰まりながら、just once 「1回だけ」、with you 「君に(恋したことがある)」と答えます。
with you と言った時の寂しそうなジョーイの顔が何だかとっても切ないですね。
過去記事、冗談だ。うまい冗談だったわ フレンズ8-16その6 で、レイチェルに恋してしまったジョーイが、勇気を振り絞って告白するけれど振られてしまった、というシーンがあったように、「君のことを好きになったことがあるけど(あれは振られてしまったし)」みたいに言われたことになるわけで、その当事者のレイチェルにしてみれば、ひたすら気まずいことになってしまいますね。
それで、this could be a little awkward. 「これはちょっと気まずいことになりそう」と言い、I'm just gonna blow past it. と言います。
blow past というフレーズは、手持ちの辞書には載っていなかったのですが、blow「吹く」+ past「過ぎて、通り越して」ということですから、むりやり日本語にすると、「吹き過ぎる、吹き飛ばして過ぎる」という感覚になるでしょうか。
DVDの日本語訳では、
(字幕)気まずいから今のは流すわ/(音声)あそう。気まずい感じになりそうだから、今のは流すわね
と訳されていましたが、「(聞かなかったものとして、そこにこだわらないで)流す」という感覚が確かに近いと思いました。


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posted by Rach at 15:25| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月07日

心理学の授業を2つとった フレンズ9-19その3

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[Scene: Central Perk. Monica and Rachel are sitting on the sofa]
セントラルパーク。モニカとレイチェルがソファに座っている。
レイチェル: Can I ask you a question? (質問していい?)
モニカ: Yeah. (ええ。)
レイチェル: Have you ever had any... weird, romantic dreams? (奇妙な、ロマンティックな夢って見たことある?)
モニカ: Let me think. Oh, when I was younger, I used to dream that I got married to Mayor McCheese. And on our wedding night, I ate his head. (考えさせて。あぁ、私がもう少し若かった頃、マックチーズ市長と結婚した夢をよく見たものだわ。それで結婚式の夜に、私は彼の頭を食べたの。)
レイチェル: Okay. Well, this is like that... in no way. I had a...I had a dream last night that I wanted to kiss Joey. (わかった。そうね、これはそういう感じ…とは全然違うの。私は昨日の晩、ジョーイにキスしたいと思う夢を見たのよ。)
モニカ: Wow, you mean like "kiss him" kiss him? (まぁ。それって「彼にキスする」って感じで彼にキスするってこと?[冗談のキスじゃなくて、マジのキスってこと?])
レイチェル: Oh, yeah! I mean, that was pretty intense. (えぇ、そうよ! ほら、それってかなり情熱的だったのよ。)
モニカ: What do you think brought than on? (何がそんな夢を見させたと思う?[どうしてそんな夢を見たんだって思う?])
レイチェル: I don't know! I mean, maybe that's something to do with the fact that I saw him do a love scene yesterday. (わからないわ! ほら、多分、あのことと関係あると思うのよ、私が昨日、ジョーイがラブシーンを演じるのを見たって事実とね。)
モニカ: A love scene? With who? (ラブシーン? 誰との?)
レイチェル: Olivia. (オリヴィアよ。)
モニカ: Olivia? I thought she was marrying Connor?! (pause) Oh, right. Real life more important. (オリヴィアですって? 彼女はコナーと結婚するんだって思ってたのに?! [間があって] あぁ、そうよね。実生活の方がもっと重要よね。)
レイチェル: So do you think that my dream means anything? (それで、私の夢は何か意味があると思う?)
モニカ: I don't know. I mean, you saw him do a love scene. So maybe you don't have a thing for Joey. Maybe you have a thing for Drake. (どうかしらね。ほら、あなたは彼がラブシーンを演じるのを見た。だから多分、あなたはジョーイのことが大好きなんじゃない。多分ドレイクのことが大好きなのよ。)
レイチェル: Ah! Well, it was Joey reading Drake's lines in the dream. (あぁ! そうね、(私がキスしたいと思ったのは)夢の中でドレイクのセリフを読んでいるジョーイだったもの。)
モニカ: Of course it was! Trust me, when it comes to psychology I know what I'm talking about. I took two psych classes in college. (もちろんそうだったでしょうよ! ほんとよ、心理学のこととなると、私の言うことに間違いないわ。大学では心理学の授業を2つとった[受けた]んだから。)
レイチェル: You took the same class twice. (あなたは同じ授業を2回とったんでしょ?)
モニカ: It was hard! (難しかったの!)
レイチェル: I know. (そうね。)

レイチェルはモニカに、「奇妙な(変な)ロマンティックな夢って見たことある?」と尋ねています。
「考えさせて」と言ったモニカは、「私が今より若かった時(もう少し若かった時)、Mayor McCheese と結婚した夢を見たものだった」と言っています。
when I was younger というのは、when I was young とは少しニュアンスが異なりますね。
when I was young なら「私が若かった時」、when I was younger なら「私が今より若かった時」となります。
when I was young と表現した場合、I am old. 「今は自分は年である、老いている」ことを示唆してしまうように思います。
日本語で「私が若かった時」と表現した場合でも、(現在もまだ若い)若者が使うと何だか変な感じに聞こえるのと同じ感覚だと思うのですね。
「自分は今でも、young の範疇にいるけれど、その自分が今より年が若かった時」と表現したい場合には、今回のように when I was younger 「私が今よりも若かった時」と比較級 younger を使えば良い、ということになるだろうと思います。

今より年齢が若い頃(数年前)、こんな夢をよく見ていたものだったわ、と言ったその夢の内容は、「私が Mayor McCheese と結婚した夢」。
Mayor McCheese は、日本語では「マックチーズ市長」などと訳されているようで、英語で Mayor McCheese または日本語で「マックチーズ市長」の名前で画像検索すると、そのキャラクターの画像がたくさんヒットします。
名前の通り、頭がチーズバーガーのキャラクターです。
青色のタスキにマクドナルドの M の黄色いマークが入っていて、その M に続ける形で、(M)AYOR (市長)と文字が入っている画像がいくつかあったので(黄色い M だけのものもありましたが)、それがそのキャラクターの特徴の一つだったりするのかな、とも思います。

「マックチーズ市長と結婚する夢を見た」というモニカは、さらに続けて、「結婚式の夜、私は彼の頭を食べた」と言っています。
頭がチーズバーガーなので、その頭を食べてしまった、という夢だったわけで、まるで「僕の顔をお食べ」のアンパンマンの世界ですね^^
レイチェルが「奇妙でロマンティックな夢」のことを尋ねたので、モニカは「ある人と結婚する」というロマンティックな夢の話をしたわけですが、結局、「色気より食い気」みたいなオチになっているところが、モニカの夢らしいところだと思います。

this is like that... in no way. の in no way は「決して〜ない、少しも〜ない」なので、「これ(私が今から話そうとしている夢)は、それ(あなたが今語った夢)のよう…では全然ない」みたいに表現したことになるでしょう。
that の後に、少し間があって、in no way が続いていることから、「これはそんな感じ」と一瞬言ったようにみせておいて、最後に、「ってことはまったくない」と否定語をつけてひっくり返したような感覚になりますね。

その後レイチェルは、自分が見た夢についてモニカに語ります。
I had a dream last night that I wanted to kiss Joey. は、「私は昨晩ある夢を見た、その夢は、私がジョーイにキスしたいと思った夢だった」という感じでしょうか。
that は、「〜という」という意味の同格の that で、a dream that I wanted to kiss Joey 「私がジョーイにキスしたいと思った夢」になるわけですが、last night という時を表す言葉を、文の最後に持ってくると、had a dream の方にかかるのか、wanted to kiss の方にかかるのかがはっきりしないので、「昨晩ある夢を見た」と先に last night を言っておいてから、a dream の同格として、that I wanted... を続けた文章の形になっている、ということですね。

それを聞いたモニカは、Wow と驚いて、you mean like "kiss him" kiss him? と言っています。
直訳すると、「それってつまり、「彼にキスする」って感じで彼にキスする、ってこと?」みたいになりますが、要は、「友達として軽くキス、または冗談としておふざけ的にキス」とかじゃなくて、「好きな相手にキスする、っていう感じの本格的なキス」ってこと? と尋ねた感覚になるでしょう。
リアルなキス? 真剣なキス? みたいなことですね。

そう言われたレイチェルは、「えぇ、そうなの!」と言って、あれ(あの夢の中のキス)は、かなり intense だった、と言っています。
intense は「激しい、強烈な」と訳されることが多いですが、今回のような恋愛の場合は「熱情的な、情熱的な」という訳語の方がぴったり来るように思います。

What do you think brought than on? の bring on は「〜を引き起こす、もたらす」という意味なので、「何がそれを引き起こしたと、あなたは思う?」ということですから、「どうしてそんな夢を見たと思う?」のように、その夢を引き起こすことになった原因を尋ねていることになります。

レイチェルは、「わからないわ」と言いながらも、「多分、私が昨日、ジョーイがラブシーンをするのを(演じるのを)見たって事実と何か関係があると思う」と言っています。
その言葉を聞いて、モニカは、「ラブシーン? それって誰との?」と尋ねます。
レイチェルはスタジオで先に収録を見ているわけですが、モニカはまだテレビでそれを見ていないからそんなシーンやそんな展開を知らない、ということですね。
ラブシーンの相手役はオリヴィアだと聞いて、モニカは、「オリヴィア? 彼女はコナーと結婚するんだと思ってたのに!」と驚きの声を上げます。
が、その後、間があって、「えぇ、そうね。リアルライフ(現実の生活、実生活)の方がより重要よね」と言うことになります。
レイチェルが変な夢を見ちゃって、、とモニカに相談しているのに、ソープオペラの展開の方に興味津々になってちゃだめよね、と自分に言い聞かせている感じですね。

レイチェルが「私の夢には何か意味があると思う?」とモニカに意見を尋ねると、モニカは、have a thing for という表現を使って、「多分あなたは、have a thing for Joey じゃなくて、have a thing for Drake なのね」みたいに言っています。
この have a thing for というのは「〜が大好きである、〜に特別な感情を持っている」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
have a thing for somebody/something : (informal) to like someone or a type of person or thing very much.
例) Claudia has a thing for older men.

つまり、「ある人や、あるタイプの人やものが、非常に好きであること」。例文は、「クラウディアは年上の男性が大好きである」。

ちなみにこの例文で、older men と出ていますが、今日の記事で触れた young/younger の違いと同様に、これも old man 「老人、老けた人」が好きなのではなくて、older man 「自分より年上の人」が好き、という意味になるでしょう。
-er のあるなしの違いだけなので、あまり意識せずにスルーしてしまいがちかもしれませんが、比較級が出てきた場合には「何と比べての比較」なのかをいうことを意識したいところですね。

モニカの意見を聞いたレイチェルは、「確かにそうね!」と同意した様子で、it was Joey reading Drake's lines in the dream. と言っています。
見た目が何となく、It is 〜 that... の強調構文に似た感じがしますが、よく見ると that がないころからもわかるように、これは強調構文ではなく、「(それは)夢の中でドレイクのセリフを読んでいるジョーイだった」という意味になります。
it was の it は、今話題にしているもの、レイチェルが頭の中に描いているものを指している感覚で、「あなたはジョーイが好きなんじゃなくて、ドレイクが好きなのよ」と言われたら、確かに「(夢の中で私がキスしたいと思った相手は)ドレイクのセリフを読んでいるジョーイだった」と言っている感覚になるでしょう。

モニカの推理が当たったような形になったので、モニカは、Of course it was! 「もちろん、そうだったでしょうよ」と得意げに言って、心理学のこととなると[心理学にかけては]、I know what I'm talking about. と続けます。
I know what I'm talking about. を直訳すると、「私が話していることを(私が何を話しているかを)私はわかっている」ということなので、「よくわかった上で話をしている、私の言うことに間違いはない・確信がある」と言っていることになるでしょう。
よく似た表現の、I know what I'm doing. だと、「私は自分のしていることがわかっている」→「わかった上でやっている、自分の判断・行動に自信がある」という意味になりますね。

そんな風に「心理学については自信があるのよ」と言った後、「(だって)私は大学で、心理学の授業を2つとった(受けた)」と言っています。
履修科目として、心理学の授業を2種類とった、と言っている感じですが、レイチェルに、「(2つとったと言ってるけど)それって、同じ授業を2回受けたんでしょ」と指摘されてしまいます。
モニカが、「難しかったの!」と言ったことで、その指摘が図星だったとわかるのですが、「得意だから2つも授業をとった」のではなくて、「一度単位を落としたから、また授業を受けないといけなかった」ということがわかるオチになるわけですね。


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posted by Rach at 13:40| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月04日

そうは書いてない。私がそう言ってるの フレンズ9-19その2

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俳優のジョーイが出演しているドラマで恋愛シーンがあり、友人としてスタジオ見学していたレイチェルは、その情熱的な恋愛場面に釘付けになってしまっていました。
その後、「話の続きが知りたい」というレイチェルに、ジョーイは台本を渡して、「俺のセリフ読みの相手役になって」と頼みます。
そうして二人で台本を読み合わせしているところ。
「妹が囚われの身で、私には彼と結婚するしか道はなかった」という相手役のセリフに対し、
ジョーイ/ドレイク(役): So, what about us? Everything we feel for each other? (それで、俺たちはどうなの? お互いに対して俺たちが感じることの全ては(どうなるの)?)
レイチェル/女優(役): It's over! You have to accept that. (終わったのよ! あなたはそれを受け入れないといけないわ!)
ジョーイ/ドレイク: How can I? Knowing I'll never hold you in my arms again, or touch your skin or feel your lips, knowing I'll never make love to you? How can I accept that... I can never kiss you again when it's all I can do not to kiss you right now? (どうやってそんなことができる? 君を俺の腕の中に抱いたり、君の肌に触れたり、君の唇を感じたりすることがもう二度とできないと知っていながら、君と二度と愛を交わすことができないと知っていながら? 君に二度とキスできないということをどうやって受け入れることができる? 俺にできることは、今君にキスしないでいることだけだと言うのに。)
レイチェル: (pause) Kiss me. ([間があって] キスして。)
ジョーイ: What? (何?)
レイチェル: Kiss me. (キスして。)
ジョーイ: Ah, Rach, it doesn't say that! (あー、レイチェル、そんなこと(脚本には)書いてないよ!)
レイチェル: No, I'm saying it. (いいえ、私が(そう)言ってるの。)
ジョーイ: But, but-- (でも、だけど…)
レイチェル: Just... don't talk. (she kisses him) (ただ…もう話さないで[黙って]。 [レイチェルはジョーイにキスする])
[Scene: Rachel's bedroom]
レイチェルの寝室。
レイチェル: (waking up) Ehhh, aw! (pause). Well, that's new! ([目が覚めて] あー! [間があって] まぁ、今のは新しいわね[新手(あらて)ね。斬新ね]!)

「私には彼と結婚するしか道はなかった」という相手役のセリフに対し、ドレイクは、「俺たちのことはどうなの? お互いに対して感じている全ては?」と言っています。
彼との間のことはそうだとしても、君と俺がお互いに抱いているこの気持ちについてはどうなるの? ということですね。
レイチェルが、「終わったのよ。あなたはそれを受け入れないといけないわ!」と言うと、ドレイクは、How can I? 以下の、非常に長いセリフを言います。

How can I? は、How can I accept that? ということで、that は It's over. 「(私たちのことは)終わった」を指していることになるでしょう。
「俺たちはもう終わった、なんてことを、どうやって俺が受け入れることができるんだ? そんなこと、俺に受け入れられるはずがないじゃないか!」という反語表現ですね。
Knowing は、How can I accept that, knowing... という分詞構文のニュアンスで、「〜ということを知りながら、二人の別れ・二人の終わりをどうやって受け入れられるって言うんだ?」という感覚になるでしょう。
Knowing I'll never... again は、「俺がもう二度と〜できないと知りながら」になりますね。
二度とそうすることはできない内容として、最初に、hold you in my arms, 次に、touch your skin, feel your lips という表現が続いています。
順番に訳すと、「君を俺の腕(の中)に抱く」「君の肌に触れる」「君の唇を感じる」となります。
ロマンティックなセリフという観点で、これらの表現を見てみると、ただ hold you 「君を抱く(ことができない」と言うよりも、hold you in my arms 「俺の腕に抱く(ことができない)」という方が、切なさがより強く出るように思います。
touch your skin の touch は主に「手で触る(さわる)、手で触れる(ふれる)」という意味で、ここでもまさにその通りの「手で触れる」という意味で使っていることになるでしょう。
feel your lips の feel も「手で触る、手で触れる」という意味がありますが、ご存知の通り、「触れる」以外にも「感じる」という意味としてよく使われる言葉ですよね。
このセリフでは、「身体(の部位)で感じる」という感覚で使っていて、キスすることで、自分の唇で君の唇を感じる、という意味で使っていることになるでしょう。
対象となる部位によって、動詞を使い分けているところが、ロマンティックだな、と思うわけですね。

knowing I'll never make love to you? は、「君と二度と愛を交わすことがない(愛を交わすことができない)と知りながら?」になります。
make love to 「(人)と愛を交わす」というフレーズは、sleep with のようなダイレクトな表現よりも、抽象的できれいな表現で、このような美しい恋愛シーンにおいては、よりロマンティックさが強まりますね。

次の How can I accept that... I can never kiss you again when it's all I can do not to kiss you right now? という長めのセリフについて。
この文章の基本構造は、How can I accept that A, when B ? で、とりあえず前から直訳してみると、「A ということをどうやって受け入れられるというのだろう? B である時に」となりますが、このような文脈で when が出てきた場合には、when を「なのに」というような逆接で訳すとしっくり来る場合も多いです。
また、特に今回の場合は、以下の研究社 新英和中辞典の語義が、よくあてはまるように思います。

when 【接】=…を考える[思う]と
How can you convince him when he will not listen? 耳を傾けようとしないのにどうして彼を説きつけられようか


この例文は、How can you... when...? の形になっていて、今回のセリフの How can I accept that A, when B ? の形とよく似ていますね。
上の例文が、「…のに(…を考えると・思うと)どうして〜することができようか」のように訳されていることを考えると、今回のセリフも、「B (という状態)なのに[B であるという状態を考えると・思うと]どうして A であることを受け入れることができようか」と訳すことができると思います。
when というのは「〜する時」と訳されることが多いですが、その when が表すものは「同時性」であると私は思っていて、そのため、文脈によっては、「〜なのに、〜であると考えると」と訳した方がしっくり来る場合もある、ということなのでしょう。

A と B に該当する部分を改めて訳してみると、A の I can never kiss you again は、「俺が君に二度とキスできない」ということで、B の it's all I can do not to kiss you right now は、It is C to (do). 「〜することは C である」という、形式主語の構文になります。
do not は don't ではなく、it's all I can do / not to kiss you のように、do と not の間に切れ目が入る感覚ですね。
To (do) is C. 「〜することは C である」のように主語が to不定詞になった文章を、主語が長くなるのを避けるため、it を形式主語として置いて、to不定詞を後ろに回した形となります。
今回は、その to不定詞が、not の付いた not to do の形(not to kiss...)になっているため、通常の形式主語の文章よりもわかりにくくなっているかもしれません。
つまり、B のセリフは、「今、君にキスしないこと(not to kiss you right now)が、俺ができる全てのこと(all I can do)である」という構造になります。
「俺ができる全てのこと」=「俺にはそれしかできない」ということですから、「俺にできることは、今君にキスしないことだけ」と言っていることになります。
「俺にできることは、〜しないことだけ」というのは、一風変わった表現ですが、「〜しないことしかできない」というのは、「〜することが俺にはできない、俺には許されていない」と言っていることになるでしょう。
今の俺にできるのは、ただ「キスしないでいる」ということだけ、と表現することで、今の俺は君に対してキスという行為をすることができない、ということを表現しているわけですね。

when を使って「〜だというのに」と表現することで、「君を目の前にした今も、君にキスすることができないというのに、これから先も二度とキスすることはないという事実をどうやって受け入れろっていうんだ」と言っていることになります。
DVDの日本語音声(吹替)では、「もう君にキスできないし、今もキスを我慢するしかないなんて」と訳されていましたが、言っている内容はまさにそういうことで、when の「〜だというのに」というニュアンスを出して訳すと、「今もキスを我慢するしかないというのに、もう二度と君にキスできないということをどうやって受け入れろと?」という感じになるでしょう。

そんな情熱的なセリフを、ドレイク役として読んでいるジョーイですが、レイチェルは、ジョーイが、knowing I'll never make love to you? のセリフを読んでいるあたりから、うっとりした顔になっています。
セリフの練習であることを忘れたかのように、気持ちが入り込んでしまっている感じです。

「もう二度と君にキスできないってことをどうやって受け入れることができる? 君を目の前にしている今も俺は君にキスできないっていうのに、、」とジョーイが言うのを聞いていたレイチェルは、しばらく間を置いてから、Kiss me. と言います。
それを聞いたジョーイも、しばらく間を置いてから、What? と言っていますね。
そのジョーイの What? の言い方から、「ドレイク役としてセリフを読んでいるのではなく、素(す)のジョーイがそう言っている」ことがわかるので、レイチェルが言った、"Kiss. me." という言葉は、脚本に載っていたセリフではない、脚本には書いていないことをレイチェルが言った、ということがわかるわけです。
観客や視聴者には、台本の内容はわかりませんので、レイチェルが Kiss me. と言った瞬間には、「レイチェルは台本の続きを読んでいるんだろう」と思えるのですが、ジョーイが「え?」と驚いた顔で What? と言った時に初めて、「Kiss me. なんてセリフは脚本には書いてない」ことがわかる仕組みになっているのですね。

ジョーイが What? と言っても、レイチェルはもう一度、Kiss me. と言っています。
その次のジョーイの it doesn't say that! は、「それ(脚本)はそんなこと言ってない」→「その脚本にはそんなセリフ書いてない」という意味になります。
このように say は、「(本などが)〜と書いてある」という意味で使われますね。

No, I'm saying it. は「いいえ、私がそれを言っているの」ということですから、これはまさに「言う」の意味で、「脚本には Kiss me. なんて書いてないよ」と言ったジョーイに対して、「Kiss me. は(脚本を読んでるんじゃなくて)私自身がそう言ってるの」と返したことになります。

日本語だと、「本にはそんなこと”書いて”ないよ」「いいえ、私がそう”言って”るの」となりますが、英語ではどちらも同じ動詞 say で表現されるということで、そのことが「脚本じゃなくて、私自身がそう言っている」という対比を際立たせることにもなりますね。

「私が”キスして”って言ってるの」ということですから、「キスして」と言われたことになるジョーイは、「でも…」と言葉に詰まっています。
Just... don't talk. は、「ただ(もう)話さないで」で、そう言ってレイチェルは、ジョーイの顔を手で挟んで、自分からジョーイにキスすることになります。
衝撃の展開に、観客からも「おぉ〜」というどよめきのような歓声が上がっていますが、そんなどよめきが上がった直後に、画面がレイチェルの寝室に切り替わり、白いタンクトップ姿で一人で寝ているレイチェルが驚いて飛び起きる様子を映します。
そのシーンが映し出されたことで、「レイチェルがジョーイにキスしたのは、レイチェルの夢の中の話だった」ということ、つまりは「夢オチ」だったことがわかるわけですね。

飛び起きたレイチェルは、Well, that's new! と言っています。
直訳すると、「さっきの(今の)は新しい」ということで、つまりは、「今見た夢は(これまでにない)新しいタイプのものね、斬新だわ」と言っている感覚になるでしょう。
DVDの日本語字幕では、「新手(あらて)の夢ね」と訳されていましたが、まさに「新手」というニュアンスがぴったりですね。
「ロマンティックなセリフを読み合っているうちに、私(レイチェル)の方からジョーイにキスしてしまう」という内容について、自分が見た夢ながら「思いがけない展開だった」と驚いているのがよくわかるセリフです。

今回のこの夢オチは、レイチェルの寝室が映るまでは「夢オチかもしれない」というような気配はほとんど感じられませんでした。
レイチェルがジョーイのドラマのスタジオ見学に行って、ロマンティックなシーンを演じるジョーイにうっとりと見とれていた、というシーンがあったため、二人きりで情熱的なセリフを読み合わせしているうちに、レイチェルに恋愛感情に似た気持ちが芽生えてしまう、、というのも、あり得るかもと思わせる展開になっていたからでしょう。
二人がキスした時に、観客も視聴者も「えーっ?!」となったはずですが、そのキスシーン自体はあまり長くはなく、すぐに寝ているレイチェルのシーンに移行したので、驚きの時間はそれほど長くはなかった、という感じですね。
「夢オチ」だというネタばらしが、ちょっと早すぎたような気もして、せっかくの「観客がどよめくほどの衝撃の展開」だったので、あともう1秒くらい長くキスシーンを見せてからのぉ〜オチ、でも良かったんじゃないかなぁ、、などと個人的には思ったりもしたのですが^^

ジョーイが言っていたセリフも、レイチェルの言った言葉、No, I'm saying it. Just... don't talk. も、どちらもとてもロマンティックですし、そういう表現にうっとりできればできるほど、夢オチとわかった後のレイチェルのセリフ、Well, that's new! が面白く感じられる気がしますね。


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posted by Rach at 14:29| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月02日

俺ほどには良くなかったけどね フレンズ9-19その1

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シーズン9 第19話
The One With Rachel's Dream (シュガー・ハイ・ジャーニー)
原題は「レイチェルの夢の話」


俳優のジョーイは、ソープオペラ Days of Our Lives に、ドクター・ドレイク・ラモレー役で出演中なのですが、とてもロマンティックな恋愛シーンが出てくるため、ジョーイはレイチェルに、「俺がうまく演技できているか、スタジオに見に来て欲しい」と頼みます。
スタジオに行ったレイチェルは、最初はジョーイの同僚の俳優にミーハーな対応をしていたのですが、ジョーイの恋愛シーンが始まると、ジョーイの演技に目が釘付けになってしまいます。
そんなスタジオ見学があった、しばらく後のシーン。
[Scene: Joey's apartment]
ジョーイのアパートメント。
レイチェル: Hi! (はーい!)
ジョーイ: Hey! (やあ!)
レイチェル: Joey, I gotta tell ya, I have been thinking all day about that scene you did. I mean, you were amazing! (ジョーイ、あなたに言わなくちゃ[これだけは言わせて]、私、一日中、あなたが演じたあのシーンについて考えていたの。ほら、あなたは最高だったわ!)
ジョーイ: Oh, you know, the writing was good. And the director's good. And... and my costar's good. But they're not as good as me! (あぁ、ほら、脚本が良かったんだよ。それから監督が良かった。それに…それに共演者が良かった。でも、それらは全部、俺ほどには良くなかったけどね![でも(それらよりも)俺が一番良かったけどね!])
レイチェル: God, you have to tell me what happens tomorrow! (あぁ、明日(ドラマの中で)何が起こるか教えてよ。)
ジョーイ: Ow, I'm just going over the script now! You wanna read lines with me? (おぉ、ちょうど、俺は今、脚本を読み返してるところなんだ! 俺と一緒にセリフを読みたい?)
レイチェル: Me? Oh, I am not an actress. (私が? あぁ、私は女優じゃないし。)
ジョーイ: Oh, all right, I can ask Monica. (じゃあ、いいよ、モニカに頼めるし。)
レイチェル: Oh screw her! That part is mine! (まぁ、モニカなんてだめよ! その役は私のものよ!)
ジョーイ: Right. (pause) Okay, so just from the top of the page right here. (わかった。[間があって] オッケー、それじゃあ、ちょうどここのページの頭から。)
レイチェル: Okay. (pause) (acting) Hello, Drake. I'm surprised to see you here. (わかった。[間があって] [演技しながら] こんにちは、ドレイク。あなたとここで会うとは驚きね。)
ジョーイ/ドレイク役(Joey/Drake): I can't believe you married him. (君が彼と結婚したとは信じられないよ。)
レイチェル/女優役(Rachel/actress): Well, what choice did I have? He was keeping my sister in a dungeon! (私にどんな選択肢があったというの? 彼は私の妹を地下牢に閉じ込めていたのよ!)

ジョーイは、スタジオで見たジョーイの演技に対して、まだ興奮冷めやらぬ様子で、家に戻ってくるなり、「あなたが演じたあのシーンについて、私、一日中ずーっと考えてたの」と言っています。
あのシーンが、一日ずっと頭から離れなかった、ということですね。
あなた、最高だったわ! と言われたジョーイは、絶賛されて照れた様子で、脚本(the writing)、監督(the director)、costar(共演者)が良かったんだ、と謙遜しているのですが、その後、But... のセリフを、満面の笑みと大きな声で言っています。
But they're not as good as me! を直訳すると、「でも(今俺が挙げた)それらは、俺ほどには良くなかった!」ということですね。
あのシーンが良かったのは、脚本、監督、共演者のおかげだけど、何より良かったのはやっぱり俺(の演技)だったよな! と自慢げに言っていることになります。

you have to tell me what happens tomorrow! は、have to のニュアンスを出して訳すと、「(あのシーンの続きで)明日何が起こるかをあなたは私に教えてくれなきゃだめよ」みたいな感じになるでしょうか。
あのシーンがすごく良くて、その続きが気になってしょうがないんだから、どうなるか絶対教えて! みたいな感じですね。

ジョーイは手に脚本を持っている状態で、「ちょうど、今、脚本を読み返してるところだ」と言い、「俺と一緒にセリフを読みたい?」と尋ねています。
台本の練習に付き合って、と言われたわけなので、レイチェルは、「私が? 私は女優じゃないしぃ〜」みたいに、もじもじと遠慮するような言葉を述べるのですが、ジョーイが、「じゃあいいや。モニカに頼めるし(モニカに頼むとするか)」みたいに言うので、さっきのもじもじとは打って変わった強い調子で、"Oh screw her! That part is mine!" と叫ぶことになります。
Screw her! は、少し前の記事、フレンズ9-18その3 に出てきた (So) screw you! と同様に、その人に対して怒りを表した表現となります。
今回の場合は、「彼女が何よ! 彼女なんかダメよ! 彼女なんかほっときなさいよ!」みたいになるでしょうか。
That part is mine. の part はこの場合は「(ドラマの)役」という意味ですね。
その役はモニカにはやらせないわよ、ジョーイの相手役は私のものよ! と言った感覚になります。

レイチェルが乗り気になったところで、ジョーイは「じゃあページの頭から」と言って、レイチェルに台本を読ませます。
ジョーイは自分のセリフはもう頭に入っているようで、レイチェルが読むセリフに合わせて、自分のセリフを挟んで行くことになります。

レイチェルは台本通りにセリフを読んで行きます。
「あなたとここで会うとは驚きだわ」と言うと、ドレイクは「君が彼と結婚したなんて信じられない」と返します。
what choice did I have? は、「私にどんな選択肢があったの?」ということですから、「私には、彼と結婚する以外の選択肢はなかったの」と言っていることになります。
その後、He was keeping my sister in a dungeon! というセリフを読むことになりますが、a dungeon という言葉を発した後、レイチェルは声には出さないものの「あー!」と言っている顔になり、ものすごく驚いた表情をしています。
「ストーリーがどうなるか知りたい」と言って、台本の読み合わせに付き合っているわけなので、レイチェル自身の発言を声に出しては台無しになってしまう、という思いから、「声には出さず、口の動きで伝える」という行為(これは、動詞の mouth というしぐさに当たります)で表現しているわけですね。

「ダンジョン」は、ゲームなどでよく聞く用語で、日本語としてもメジャーな言葉になっていますが、日本のゲームでは「(地下)迷宮」のような意味で使われているようですね(私はゲームに疎いので、ゲーム用語はあまり知りません)。
英語の意味は、上に訳したように、地下牢という意味で、ここで改めて、英英辞典の語義を見てみると、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
dungeon : a dark prison that is below the surface of the earth, especially under a castle, used in the past
つまり、「地表の下(地下)にある、暗い牢獄、特に城の下にあり、過去に使われたもの」。

「彼と結婚したのは、彼が私の妹を地下牢に幽閉していたから」というのは、「私と結婚すれば妹を地下牢から出してやる」という交換条件を出されたことが想像されるのですが、「地下牢」という言葉が出てくるところに、「日常とかけ離れた、奇想天外でドロドロした設定が多いソープオペラ」っぽい部分がよく出ていると思いました。


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posted by Rach at 15:19| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月31日

もちろん、テレビも見ないわよ フレンズ9-18その6

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チャンドラーがインターンとして働いている会社で、3人のアシスタント採用枠があったのですが、チャンドラー以外の人がその3人に選ばれてしまいました。がっかりしていたチャンドラーでしたが、その後、上司から、「(アシスタントではなく)ジュニア・コピーライターとして君を採用したい」という電話がかかってきます。
チャンドラーは「ありがとう、僕を選んだことを後悔させませんから」と言って、大喜びでその電話を終えます。その直後のシーン。
(he idly goes to the sofa, starts browsing a magazine. Everybody stares at him)
チャンドラーはぼんやり[所在なげに]ソファに行き、雑誌をパラパラ読み始める。みんなは彼を見つめる。
チャンドラー: What? (pause) Oh, yeah, I'm gonna be a junior copywriter! (何かな? [間があって] あぁ、そうだよ、俺はジュニア・コピーライターになるんだ!)
みんな: (excited) Oh my God. Congratulations! ([興奮して] すごい。おめでとう!)
モニカ: Congratulations! Oh, sweetie, I'm so proud of you! (おめでとう! まぁ、スウィーティ、あなたをとっても誇りに思うわ!)
チャンドラー: Thanks. Does that mean I get the good loving tonight? (ありがと。それって、今夜、素敵に愛してもらえる、って意味かな?)
モニカ: You bet! No TV or anything! (she gets up from the sofa and goes to the kitchen area) (もちろん! テレビとかもなしよ[テレビも見ないわ]! [モニカはソファから立ち上がり、台所エリアに行く])
ジョーイ: (to Chandler) Hey, that is so great about the job. ([チャンドラーに] なぁ、その仕事の件、良かったな。)
チャンドラー: Thanks, man. (ありがと。)
ジョーイ: And I'd like to think I had a little something to do with it. (で、その件について俺もちょっと関係してるって思いたいんだけど。)
チャンドラー: Really? Why? (ほんとに? どうして?)
ジョーイ: Well, before with the wishbone. I didn't wish we would win the lottery. I wished you'd get the job. (うーんと、さっきのウィッシュボーンの時のこと。くじが当たりますように、って俺は願わなかった。俺はお前が仕事をゲットできますように、って願ったんだ。)
チャンドラー: (smiling, surprised) Oh, yeah? (looks towards the kitchen, worried) Listen, don't tell Monica. She'll rip your heart right out. ([微笑みながら、驚いて] え、そうなのか? [台所の方を向いて、心配そうに] なぁ、モニカには言うなよ。モニカがお前の心臓をむしり取るぞ[引きちぎるぞ]。)
ジョーイ: Oh, yeah. (あぁ、そうだな。)

ジュニア・コピーライターに採用する、という電話に対し、感謝の言葉を述べ嬉しそうに電話を切ったチャンドラーでしたが、すぐにフレンズたちに嬉しい結果を報告して、みんなで喜び合う、、のかと思いきや、自分からは何も発言せず、そのままソファに座って、雑誌をパラパラとめくっています。
ジョーイは手を広げ、他のフレンズたちに「一体どうなってるんだ?」みたいな顔を向けています。
みんなが自分の次の行動に注目しているのを待っていたかのように少し間を置いた後、チャンドラーは、「何? あぁ、そうだよ、俺はジュニア・コピーライターになるんだ!」と結果を報告しています。
みんなに口々にお祝いの言葉を言ってもらい、モニカにも「(夫の)あなたをとっても誇りに思うわ!」と言われて、チャンドラーは嬉しそうに、「それって、今夜、俺が the good loving をゲットする、って意味かな?」と尋ねています。
get the good loving はやや漠然とした表現ですが、「グッドな love すること(love する行為)を得る」ということなので、「素敵に愛し合えるかな、素敵に愛してもらえるかな」というようなニュアンスになるでしょう。

モニカは、「もちろん(You bet!)」と言うのですが、その後の一言がちょっと余計な感じで面白いです。
No TV or anything! は、「テレビとか(他の何かとか)もナシ!」ということで、そう言われたチャンドラーは、ちょっと恥ずかしそうにうつむいています。
「えぇ、もちろん、今夜はテレビとかも見ないわよ」とモニカが言ったことになるので、「普段は、テレビを見ながらエッチしている」らしいことが、この発言からわかる仕組みになるでしょう。
今夜はそんな「ながら状態」(笑)ではなく、テレビも消して、loving に集中するわよ、みたいなことをモニカは言ったわけですが、普段の実態がフレンズたちに知れてしまい、それでチャンドラーはうつむいた、ということになるわけですね。

モニカが立って台所に行った後、ジョーイは「仕事の件、ほんとに良かったな」と言って、And I'd like to think... のセリフを言っています。
have something to do with は、「〜と関係・かかわりがある」という意味なので、訳すと、「俺がその件について少し関係があった、って俺は思いたい(んだけど)」というところですね。
「チャンドラーが採用されたことについて、俺もちょっと関係してるんだけどね」と言うジョーイに、チャンドラーが理由を尋ねると、ジョーイは、「さっきのウィッシュボーンの時。俺は、俺たちがくじに当たりますように、って願わなかった。俺はお前が仕事をゲットしますように、って願った」と説明しています。
願いが叶うというウィッシュボーンをする時に、くじの当たりではなく、チャンドラーが採用されることを願った、ということですね。
ジョーイがフィービーとウィッシュボーンをするシーンは、過去記事、フレンズ9-18その2 で説明しましたが、その時ジョーイは、モニカに何度聞かれても、願い事の内容を言おうとはしませんでした。
「しゃべってしまうと願い事が叶わなくなるから」という理由だけで、「当然それを願っているだろうとみんなが思っている”くじに当たりますように”というわかりきった願い事」を言うのを(まるで子供のように)拒んでいたのかと思いきや、エピソードの最後で「ジョーイは実はくじ以外のことを願っていた」ということがわかる、という展開になっているわけですね。
今そのことを打ち明けているジョーイの表情からも、それは本当のことだとわかりますし、その話を聞いたチャンドラーもとても嬉しそうな顔をしています。
観客からも、「あぁ、そうだったんだ〜」というような軽いどよめきが起こっていて、私もこのシーンを初めて見た時に、何だかとってもほっこりした気持ちになったのを覚えています。
ウィッシュボーンのシーンで、くどいほど「願い事を言わない」と頑張っていたのは、「しつこすぎるやりとり」で笑いを取るだけではなく、最後のこの微笑ましいシーンに繋げるための伏線になっていた、ということですね。

ジョーイの話を嬉しそうに聞いていたチャンドラーですが、台所にいるモニカの方を見て、ちょっと不安気な表情になり、「なぁ、モニカには(今の話を)言うなよ」と言った後、She'll rip your heart right out. と言っています。
rip は「引き裂く、剥ぎ取る、もぎ取る」という感覚で、out 「外に」が付いていることから、「体の中にある心臓を、体から引きちぎって外に出す」ようなニュアンスになります。
right は「まったく、すっかり」という意味の強意語で、そのニュアンスを和訳に出そうとすると、「心臓を”完全に・すっかり・ごっそり”むしり取られる」という感じになるでしょうか。
ですから、チャンドラーは、「ジョーイが、くじの当たりじゃなくて、俺の採用の方を願ってたなんてモニカに知れたら、モニカはお前の心臓を引きちぎるぞ」と物騒なことを言っていることになるわけですね。

ちなみに、この rip somebody's heart out という表現には、また別の意味もあります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
tear/rip somebody's heart out : to make someone feel extremely upset
例) It just tears your heart out to see how they live.

つまり、「人を、非常に動転・動揺する気持ちにさせること」。例文は、「彼らがどんな風に暮らしている(生活している)かを見ることは、君を動揺させる。[彼らがどんな風に暮らしているかを見れば、君は動揺するだろう(君の心は乱れるだろう)」。

upset の基本的な意味は「ひっくり返す」ということですから、feel extremely upset だと、気持ちが通常の状態ではなく、混乱している様子を表していることになりますね。
動揺してパニクっている場合には、日本語でも「心臓がドキドキする、バクバクする」「心臓が飛び出そう」「心臓が掴まれたみたい」などと表現することがありますが、英語の場合も、「人の心臓を(体内から)引きちぎって出す」という意味の tear/rip somebody's heart out という表現は、そのように「心を動揺させる、狼狽させる」という意味を持つ、ということになります。
ただ今回のチャンドラーのセリフの場合は、「そんなことをモニカに言ったら、モニカに殺されるぞ」的な意味で、「心臓をえぐり取られるぞ」と表現した、という理解で良いと思います。

ジョーイも「怖いね」という顔で Oh, yeah. と言った後、二人は嬉しそうに握手を交わすことになります。
もちろんモニカも、妻として、チャンドラーの採用を心から願っていたと思われますが、「くじが当たりますように」とみんなが願掛けをしている時に、ジョーイが別のことを願っていたと知ったら、勝ち負けにうるさいモニカ(笑)のことですから、「この状況なら(大金が当たるかもしれない)くじの願いをするのが当然でしょ!」みたいに激怒しそうな気がしますね。
キャラ立ちしているおかげで、「ジョーイは素直にチャンドラーの就職を願うけれど、モニカは”くじか夫の就職か?”と問われたら、くじを選ぶかもしれない(!)」と視聴者も思えるので、この最後のセリフの「それを言ったらモニカに殺されるぞ」的なセリフにも、納得して笑えてしまうわけですね。


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posted by Rach at 16:20| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月28日

男からのこういう電話には慣れてない フレンズ9-18その5

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くじの当選発表をテレビで見るものの、全く当たりくじが出ず、いらいらしているフレンズたち。
(phone rings)
電話が鳴る。
モニカ: (answering phone) Hello? Hold on. It's your boss. ([電話に出る] もしもし? お待ち下さい。あなたのボス(上司)よ。)
チャンドラー: Ah, the "I'm sorry I rejected you" phone call. I'm not used to getting it from guys. (on the phone, getting up from the sofa) Hey, Steve. (あぁ、例の「却下(拒絶)してごめんね」電話だな。そういう電話を男からもらうのは慣れてない。[電話に出る、ソファから立ち上がりながら] はーい、スティーブ。)
スティーブ: Chandler, hi! I'm sure you've heard we filled the three positions. We just felt that with your maturity and experience, you wouldn't be happy being someone's assistant. (チャンドラー、やあ! 我々が3つの(採用)枠を埋めたことは君も聞いたと思う。君の成熟と経験では、君が誰かのアシスタントになっても嬉しくないだろうと我々はただ思ったんだ。)
チャンドラー: Oh no no no no, I'd love to be somebody's assistant! Answering phones, getting coffee, I live for that stuff! And I'm not too mature. Farts, boobies, butt cracks! (あぁ、いえいえいえいえ、僕は誰かのアシスタントに喜んでなりますよ! 電話に出て、コーヒーを入れて。そういう仕事に命を懸けます。それに僕はあまり成熟してもいない。おなら、おっぱい、お尻の割れ目!)
スティーブ: Chandler, you were the strongest person in the program. We're offering you the position of junior copywriter. (チャンドラー、君はあのプログラムで最強の人だった[一番優秀だった]。我々は君に、ジュニア・コピーライターの地位をオファーするつもりだ。)
チャンドラー: Me? That guy who just said, "butt cracks"? (僕に? たった今「お尻の割れ目」って言った男に?)
スティーブ: Yes, that's right. We're excited about the level of sophistication you'll be bringing to the job. (あぁ、その通りだ。君が仕事に持ち込んでくれるだろう、洗練さのレベルに期待しているよ。)
チャンドラー: Okay. Well, thanks, you won't regret it. I'll see you tomorrow. (hangs up) (わかりました。ありがとう、(僕を選んだことを)後悔しませんよ(後悔させませんよ)。それではまた明日[明日お会いしましょう]。[電話を切る])

くじが当たらず、みんな意気消沈しているところに、1本の電話がかかってきます。
モニカが応対し、チャンドラーの上司からの電話だとわかったチャンドラーは、Ah, the "I'm sorry I rejected you" phone call. と言っています。
reject は「拒絶する、却下する、拒否する」「不合格にする」というニュアンスですね。
今回の場合は、不採用のことを言っているので、「”君を不採用・不合格にして申し訳ない(ごめんね)”電話だな」と言っていることになります。
上司が、不採用になったチャンドラーに対して、「君の期待に添えなくてすまない」的な、こういう場合にありがちな謝罪電話をしてきたと言っているのですが、その後のセリフがチャンドラーっぽくてとても面白いなと思いました。
I'm not used to getting it from guys. の be used to doing は「〜するのに慣れている」で、今回はその否定形ですから、「俺は男性からそれをもらうのに慣れていない」と言っていることになります。
it = "I'm sorry I rejected you" phone call で、また、「男性からもらうのに慣れていない」=「女性からもらうのには慣れている」と言っていることになるので、「reject して(断って・拒絶して)ごめん」という電話を男性からもらうのには慣れてない→「断ってごめん、という電話は女性からよくもらう」という自虐的なセリフを言っていることになります。
例えば、お付き合いしようとしたり、デートに誘ったりした場合に、「ごめんなさい。あなたとはお付き合いできないわ」的な拒絶電話をもらうことには慣れてるけど、そういう拒絶電話を男からもらうのは慣れてないな、初めてだな、と言っているわけですね。
不採用とわかり落ち込んでいるはずですが、ここでこういう軽口を叩いているのもまたチャンドラーらしいところだと思います。

チャンドラーが電話に出ると、上司のスティーブ(以前のスニーカーCMのプレゼンで、チャンドラーを絶賛していた人)は、まず、I'm sure you've heard we filled the three positions. と言います。
直訳すると、「我々が3つのポジション(枠)を埋めたことを君は(もう既に)聞いたと僕は確信する」ということですね。
その後の、We just felt that... も前から順番にイメージしていくと、「我々はただ(that 以下)だと感じた。君の成熟(度)[円熟]や経験では、誰かのアシスタントになっても幸せじゃないだろう、と」ということですね。

そんな風に言われたチャンドラーは、それを必死に否定して、「僕は喜んで誰かのアシスタントになりますよ!」と言い、アシスタントがする仕事の例として、「電話に出たり、コーヒーを入れたり」を挙げた後、I live for that stuff! と言っています。

live for という表現については、以下の英辞郎の語義がわかりやすいと思いました。
live for=【1】〜のために生きる 【2】〜に命を懸ける、〜一筋の人生だ◆冗談めいた軽い意味でも使う。
直訳すると、文字通り、「〜のために生きる」ということですから、そこから「〜に命を懸ける」という意味としても使われ、そういうちょっと大袈裟な表現を冗談っぽく使ったりもする、ということですね。
今回のチャンドラーのセリフも、「わざと大袈裟に言ってみた」ニュアンスで、「アシスタントの仕事が嬉しくないだなんてとんでもない。電話に出る仕事(電話番)やコーヒーを出す仕事(お茶くみ)に命懸けますよ、僕」と言ってみせた感覚になるでしょう。

また、with your maturity 「君の成熟・円熟(度)では(不満だろう)」みたいに言われたことに対しても、「僕はあまり mature ではない」と言って、Farts, boobies, butt cracks! と言っています。
そのまま訳すと、「おなら、おっぱい、お尻の割れ目!」ということで、「お下品なことを嬉しそうに叫んでいる子供」みたいな状態になっています。
成熟なんて言葉は似合わない、僕は、こんなお下品なことも平気で言うような典型的なお子ちゃまなんですよね、とアピールしているわけですね。

次のスティーブのセリフ、you were the strongest person in the program は「その(インターン)プログラムで、君は最強の人間だった」ということで、採用選考の元となるプログラムで、君は最も優秀な成績を収めた、と言っていることになるでしょう。
We're offering you the position of junior copywriter. は、「君にジュニア・コピーライターのポジション(地位・職)をオファーする(申し出る・提供する)」ですね。
アシスタントという人を補佐する職種ではなく、junior 「(上位ではなく)下位の」という言葉が付いているものの、自分でコピーを考えるコピーライターに君を採用しようと思う、と言われたわけですから、「アシスタントの枠3人に入れなくて不合格だと思ったけど、アシスタント以上の職に合格できた!」という、最後の最後に大逆転が起こった、という結果となったわけです。

思いがけない嬉しい話に、チャンドラーも驚いた様子で、Me? That guy who just said, "butt cracks"? と言っています。
つまり、「僕に、ですか? たった今、「お尻の割れ目」って言った(ばかりの)男ですよ」ということになります。
「アシスタントでもいいですから!」と必死に「成熟していないさま」をアピールしていた僕なのに、アシスタント以上の仕事をくれるって本当ですか? というところで、先走っておバカなことを言ってしまった自分に対する照れ隠しみたいな気持ちもあるのでしょう。

それに対するスティーブの返しも、(さすがは広告業界の人なので)なかなかしゃれていて面白いです。
We're excited about the level of sophistication you'll be bringing to the job. を直訳すると、「君が将来、その仕事にもたらしてくれている(だろう)(知的)洗練さのレベルに、我々はワクワクしているよ」となるでしょうか。
「君のような人がその仕事をしてくれると、仕事の洗練さがアップするだろうから、それを楽しみにしているよ」というところですね。
お下品で子供じみたことを言ったチャンドラーに対して、ちょっと皮肉を込めて、「君のその知的洗練さに大いに期待している」と返したことになります。

チャンドラーは礼を言った後、それではまた明日、と言って電話を切っていますが、その中のセリフ、you won't regret it. は、「あなたはそのことを後悔しないでしょう」ということですね。
it は、今のこの電話連絡の主題であった「チャンドラーをジュニア・コピーライターとして採用する」ということで、つまりは、「僕をジュニア・コピーライターとして採用すると決めたことを、決して後悔させませんから」と言っていることになります。
「こんなやつを選ぶんじゃなかった、、と皆さんが後悔しないように、僕はちゃんと結果を出してみせますから。皆さんの期待に応えてみせますから!」というところですね。


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posted by Rach at 13:05| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月26日

謝罪のために電話しています フレンズ9-18その4

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チャンドラーとモニカが、自分たち夫婦のくじを、別にこっそり買っていたので、それを渡す渡さないで、フレンズたちは券の奪い合いとなります。
そんな醜い争いを見かねたフィービーは、くじの券を入れたボウルを持ってベランダに出た後、「喧嘩をやめないなら、このボウルを下の通りに投げ捨てる」と脅します。
それでみんなの喧嘩が収まるのですが、不意に出てきたハトに驚いたフィービーがボウルを下に落としてしまい、通りに散らばった券をみんなで回収することになります。
半分ほどしか回収できずに、部屋に戻ってきたフレンズたち。
チャンドラー: (looking at the answering machine) Hey, there's two messages. This could be from work! ([留守電を見て] おい、2つ(留守電)メッセージがある。これは会社からかも!)
モニカ: Oh, play them! (まぁ、再生して!)
チャンドラー: Okay. Here we go! (he pushes the play button) (オッケー。よしいくぞ! [再生ボタンを押す])
メッセージ: (Phoebe's voice) Hello. Th-this is the pigeon from the balcony calling to apologize. (they all turns to look at Phoebe) I sh.. I shouldn't have knocked the tickets out of the pretty lady's hand. It-it was all my fault. Not hers. Bye. Coo. ([フィービーの声で] こんにちは。こちらは[僕は]バルコニーのハトで謝罪のために電話しています。 [全員がフィービーを見る] 僕は、可愛い女性の手から券を叩き落とすべきじゃなかった。全て僕の責任でした。彼女のせいじゃない。さよなら。クー。)
(they all keep staring at Phoebe)
全員がフィービーを見つめ続ける。
フィービー: Well, I bet that was very hard for him to do. (そうね、今のは彼にとっては、とっても辛いことだったわね。)
2番目のメッセージ: Hey, Chandler, it's Charlie. (よぉ、チャンドラー。チャーリーだ。)
チャンドラー: This is it. Shhh! (これがそうだ[ついに来た、いよいよだ]。シー!)
2番目のメッセージ: Listen, oh... it turns out I got the last spot. I'm really sorry, man. It was a lot of fun working with you. Give me a call if you want. (聞いてくれ、最後の枠(ポスト)は僕がゲットしたとわかった。ほんとにすまない[or 君には本当に残念なことだったと思う]。君と一緒に働くのはとっても楽しかった。良かったら、電話をくれ。)
モニカ: Oh Gosh, I am so sorry, honey. (なんてこと、ほんとに残念ね、ハニー。)
全員: Oh, so sorry, man! Sorry! (あぁ、ほんとに残念だよ。残念だ。)

通りに散らばったくじを集めて、部屋に戻ってきた後、留守電があったことにチャンドラーは気付き、「これは職場からの可能性がある(職場からかもしれない)!」と言っています。
モニカも「(留守電を)再生して」と言い、チャンドラーが再生ボタンを押すと、録音されたメッセージが流れ始めます。
職場からの採用の連絡かと思いきや、流れて来たのは、いつもとやや口調が異なるものの、フィービーの声であることがわかります。
ちょっと、言葉に詰まりながら話している、そのメッセージの内容について。
this is the pigeon from the balcony calling to apologize. を直訳すると、「こちらは(今電話している僕は)、謝罪のために電話している、バルコニーのハトです」になるでしょうか。
「バルコニーのハト」というのは、少し前にバルコニーにいるフィービーを驚かせ、結果、ガラスのボウルを下に落とすことになってしまった原因のハトですが、その時の状況を細かく説明しなくても、the pigeon from the balcony で、意味は十分通じる、ということですね。
「ハトです」と名乗っていても、ハトが言葉を話すわけも、また電話してくるわけもない上、声が明らかにフィービーのものなので、フレンズたちは全員、フィービーの方を見ます。
留守電のメッセージはまだ続いていて、shouldn't have p.p. (過去分詞)の形で、「僕は(あの時)〜すべきじゃなかったのに(そうしてしまった)」という反省と後悔の念を述べています。
knocked the tickets out of the pretty lady's hand の knock 〜 out of は「叩いて落とす、払い落とす」という感覚。
フィービーは、自分の失敗を棚に上げ、「僕が彼女の手から券を叩き落とすべきじゃなかった」と言っているのですが、ハトのふりをしているどさくさに紛れて、自分の手のことを「可愛い女性の手から」と表現しているのも面白いです。
it was all my fault. Not hers. の Not hers. は、It was not her fault. 「彼女のせいじゃなかった」ということですね。
そして最後に、Bye. と言った後、Coo. と「さもハトみたいな声」をおまけにつけているという、フィービーのチープな演出にも笑ってしまいます。
「全部、ハトの僕が悪い。ボウルを持っていた彼女は何も悪くない」とハトのふりをしてメッセージを吹き込むことで、責任逃れをしているのが明らかなフィービーを、フレンズたちは、じーっと見続けています。

I bet that was very hard for him to do. を直訳すると、「私は思う、今のは、彼がするには非常につらかった、と」というところでしょうか。
もう少し日本語っぽくすると、「今の行動は、彼にとっては(するのが)辛いことだったでしょうね」というところでしょう。
フィービーのしらばっくれ具合にみんなが唖然としている中、2番目のメッセージが流れ始めます。
チャーリーと名乗るので、採用の連絡だとわかり、チャンドラーは This is it. と言っていますね。
This is it. は、待ちに待っていたものが来た! という時に、「ついに来た、いよいよだ」などのニュアンスで使われるセリフですが、今回の場合は、「これがそうだ」みたいにシンプルに訳しても良い感じがしました。
This is it. というフレーズについては、拙著「読むだけ なるほど! 英文法」の 69ページ以降で詳しく解説させていただいたのですが、This 「これ」(今回の場合は、この2番目のメッセージ)= it 「チャンドラーが頭の中でイメージしているもの」(今回の場合は、チャンドラーが待っている採用の連絡電話)という等式で考えるとわかりやすいかと思います。

チャンドラーは「これがそうだ。このメッセージが俺が待っていた連絡だ!」と言って、みんなに静かにするように、Shhh! と言い、留守電メッセージの続きを聞くのですが、電話の内容は、it turns out I got the last spot. というものでした。
直訳すると、「僕(チャーリー)が最後のスポット(採用枠)をゲットした、ということが判明する(判明した、わかった)」ということになります。
このように、It turns out (that) は、「that 以下ということがわかる、結局 that 以下ということになる」という意味になりますが、日本語だと「〜だということがわかった」のように過去形で表現したくなる場合でも、英語ではこのように、It turns out という現在形で表現されることが多いです(過去のフレンズのセリフでも、turns out という現在形の使用例が多く出てきました)。
この件については、「turn out を過去形にしてしまうと、「そのことがわかった、判明したのが過去の時点」であることを表すことになってしまうので、現在形を使っている」のだろうと私は考えています。
今回のセリフも、「少し前に自分がその枠をゲットした(過去)ということが(今)判明する(今判明したばかり)」というような、「仕事をゲットした」と「その事実が判明した」時点の時差みたいなものがありますので、I got という過去形よりも新しい時制である現在形の turns out を使うのがふさわしいということなのかな、と思いました。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) の turn out に出てくる例文にも、
It turns out that Nancy didn't want to come anyway.
という文が出ており、訳すと、「とにかくナンシーは来たくなかった、ということがわかる」になりますが、これも日本語の感覚だと、「とにかくナンシーは来たくなかった、ということがわかった」のように「わかった」という過去形で表現したくなりますよね。
逆に言うと、「過去にこういう出来事があった、過去にこういう状態だったことが、今(ついさっき)わかった、判明した」という場合には、It turns out that SV(過去形) の形で表現するのが英語らしい、ということになるだろうと思います。

その後、チャーリーは、I'm really sorry. と言っています。
この場合の sorry は、「自分が採用となり、結果チャンドラーが不採用となった」ことから、「申し訳ない、すまない」という謝罪のニュアンスで理解しても良いように思いますし、また、「その決定を下したのは自分ではない」ことから「謝罪」というよりはむしろ「同情、共感」のニュアンスで理解しても良いようにも思います。
後者の場合だと、「採用されることを期待して待っていた君には、本当に残念なことだと思う」という感覚になりますね。

チャーリーというのは、なかなかしっかりした人のようで、そういう「相手が採用されず自分が採用されてしまった」という非常に気まずい報告の電話をしなければならない中でも、「君と一緒に働いたことは、a lot of fun (たくさんの楽しみ)だった」、つまり「とっても楽しかった」と表現しています。
そして、Give me a call if you want. を直訳すると、「僕に電話して、もし君が望むなら」になるでしょう。
不採用と知って、とても人と話せる気持ちにはなれない、ということも見越して、「もし良かったら、もし僕と話したいなら、電話くれていいよ」みたいに、if you want を最後に付けることで、強制ではなく、電話のするしないを相手の選択にゆだねた形になっているわけですね。

留守電のメッセージを再生しているので、チャーリーが最後の枠をゲットした、ということは、フレンズたちにも聞こえています。
その残念なニュースを聞いて、妻のモニカは、Oh Gosh, I am so sorry, honey. と言い、他のフレンズたちも、sorry という言葉を次々と言っていますね。
先ほどのチャーリーの sorry の場合は、「僕が枠を奪ってしまってすまない」という謝罪の気持ちの可能性があると述べましたが、今回のフレンズたちの sorry は、「謝罪ではない同情・共感」であることは明らかですね。
こちらは、残念なニュースがあった人に対して「残念だったね」と声を掛ける感覚になります。


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posted by Rach at 12:57| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月24日

節操を持つような余裕はない フレンズ9-18その3

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チャンドラーがインターンとして働いている会社が、インターンのうち3名をアシスタントとして採用することになり、チャンドラーはずっと、その結果の電話が来るのを待っています。
ここまでの時点で、3名のうち2人の枠が埋まり、残り1枠あるのですが、「ボスの息子のチャーリーで決まりだろうな」とチャンドラーもほぼあきらめかけている状態。
また、今回のエピソードでは、「それぞれ50ドルずつ出し合ってくじを買って、どれかが当たればそれをみんなで山分けする」という話がメインプロットとなっており、最初参加を渋っていたロスも結局くじに参加することになるのですが、そんな時、モニカが自分たち夫婦の分として、こっそり20枚を余分に購入していたことが判明。
その件でモメているシーン。
ジョーイ: Hey, I was with you the whole time we were in Connecticut. When did you even get those? (なぁ、コネティカットにいた時、ずっと俺はモニカと一緒にいたのに。そんなのいつ買えたわけ?)
モニカ: When you were reading the dirty magazines without taking off the plastic! (あなたがエッチな雑誌をビニールを取らずに読んでた時よ!)
ジョーイ: (to Ross) I'll show you how. ([ロスに] やり方、(後で)見せてやるよ。)
レイチェル: Okay. Well, Monica, suppose one of your "special" tickets wins? How are you gonna feel when you win the lottery and you lose all your friends? (いいわ、モニカ、あなたの”特別な”券が当たったと考えてみて。あなたはどんな気持ちになるかしら、くじに当たって、友達全員をなくす時に。)
モニカ: Please. If I win the lottery, you guys are not gonna leave me. Someone gave me a basket of mini-muffins last week, and I couldn't get rid of you for 3 days! (やめてよ。もし私がくじに当たったら、あなたたちは私から離れて行かないわ。先週、ある人が私にミニマフィンひとカゴ(カゴに入ったマフィン)をくれた時、3日間、あなたたちを追い払うことができなかったんだから!)
レイチェル: Chandler, would you just tell her what she did was wrong? (チャンドラー、モニカがしたことは悪いことだって、ただモニカに言ってくれない?)
チャンドラー: (to Mon) She's right. You shouldn't have bought tickets just for us.... ([モニカに] レイチェルは正しい。君は俺たちだけのために[俺たち専用に]券を買うべきじゃなかったのに…)
モニカ: Ahhh! (shocked) (あー! [ショックを受ける])
チャンドラー: Let me finish. (to everyone else) However, it doesn't look like I'm gonna get this job so I can't afford to have principles. So screw you! The tickets are ours!! (takes tickets from Rachel) (最後まで言わせて。[他のみんなに] しかしながら、俺はこの仕事[採用の連絡待ちをしている仕事]をゲットできる様子がない。だから俺は節操(理念)を持つような余裕はないんだ。だから、お前らのことなんか知ったことか! その券は俺たちのものだ! [レイチェルから券を取る])
モニカ: There's the man I married!! ((さすが)私が結婚した男ね!)
レイチェル: All right. Believe me. If you win the lottery, it's the last you're gonna hear from us! (いいわ。ほんとよ。もしあなたがくじに当たったら、それが、私たちがあなたに連絡する最後になるわよ!)
モニカ: Fine! Don't be my friends! I'll buy new friends! Yeah, and then I'll pay for their plastic surgery so they look just like you! (いいわ! 私の友達でいなくていい! 新しい友達を買うもの! そうよ、その後、その人たちがあなたたちそっくり(の見かけ)になるように、その人たちの整形手術のお金を払うわ!)

ジョーイがコネティカットにくじを買いに行く際、モニカもポルシェの運転手として同行していました。
ですからジョーイは、「俺とモニカは、コネティカットでずーっと一緒にいたのに、いつ、自分たちだけの余分なくじを買うことができたわけ?」と尋ねているのですね。
それに対するモニカの返事が面白いです。
When you were reading the dirty magazines without taking off the plastic! は、「あなたがエッチな雑誌を読んでいる時、そのプラスチックを take off することなしに」というところですね。
take off は、take 「取る」+ off 「分離」なので、「取り外す」という感覚。
plastic は「プラスチック」ですが、この場合は日本語の「ビニール」のことですね。
日本語の「ビニール袋」は、英語では、a plastic bag になります。

このセリフから、ジョーイは、「ビニールで包まれたエッチな雑誌を、ビニールを取らずに読んでいた」ということがわかるわけですね。
その昔、「ビニ本」などという言葉もありましたが(今はもう死語でしょうか?)、英語においても、「ビニールに包まれたエッチな雑誌」というイメージはあるようですね。
本来、立ち読み防止のためにそういうビニールで包んであるのでしょうが、そのビニールがついた状態で読んでいた、ということなので、普通の立ち読みより難易度が高そうですし(笑)、ジョーイがそういうことに気を取られている間に、こっそり自分たちの分を買ったのよ、とモニカは言っていることになります。
くじを買うにはある程度の時間が必要なので、「ジョーイが胸の大きな女性に見とれている間に」くらいの時間では、なかなか購入は難しいですよね。
「ビニールがついた状態で雑誌を読んでた」ということだと、何とかして中身を見ようとジョーイが格闘しているさまも想像できますし、面白いセリフだなと思いました。

その後のジョーイのセリフもまた、面白いですね。
隣にいるロスに、I'll show you how. と言っているのですが、how は、how to read the dirty magazines without taking off the plastic ということですね。
「どうやってそれをするか(ビニールを取らずに雑誌を読むか)を、(後で)お前に(見せる形で)教えてやるよ」と言っていることになります。

次のレイチェルの、suppose one of your "special" tickets wins? は、「あなたの”特別な”(自分たちだけのために買った)くじの券(チケット)の一つが当たるのを想像してみて」ということ。
その後、「あなたはどんな風に感じることになるかしら、あなたがくじに当たって、友達全員をなくす時に」と言っています。
みんなで買おうと約束したのに、自分たちの分を余計に買って、それが当たったりしたら、あなた(ここにいる)友達全員なくすわよ、という脅しのようなセリフですね。

モニカは、「やめてよ(よしてよ)。もし私がくじに当たれば、あなたたちは私を leave しない」と言っています。
leave someone は「人から去る、人を見捨てる、人を置いていく」というニュアンスなので、「レイチェルは私が友達をなくす、って言うけど、私がくじに当たったら、あなたたちが私から離れるわけがない」と言っていることになります。
続いて、ある例として、「ミニマフィンのバスケット1つ、ひとかごのミニマフィン」を、先週、誰かが私にくれた時、私は3日間も、あなたたちを get rid of できなかった、と言っています。
get rid of は「(望ましくないものを)取り除く、追い払う」というニュアンス。
マフィンを1かご分、もらった時でさえ、私のところに入り浸ってたくせに、くじが当たったら、私と友達やめるわけない、と言いたいわけですね。

モニカに言っても話にならないと思ったらしいレイチェルは、夫チャンドラーに、「モニカがしたことは悪いことだと、夫のあなたからモニカに言ってやってよ」と言います。
すると、チャンドラーが「彼女(レイチェル)(の言っていること)は正しい。ただ自分たちだけのために、くじの券を買うべきじゃなかった(のに)…」とモニカに言うので、モニカは、「夫のあなたが私の敵になるのー?」という抗議の顔で、あー! と声を出すのですが、チャンドラーは、Let me finish. 「俺に最後まで終えさせて」→「俺の話を最後まで言わせて(まだ話は終わってない)」と言い、他の人に向かって、However 以下のセリフを言います。

it doesn't look like I'm gonna get this job so I can't afford to have principles. の前半は、「俺はこの仕事をゲットできるようには見えない(思えない)」、後半は、「だから俺は princeples を持つ余裕がない」になりますね。

principle は「原理、原則」または「主義、理念」という意味で使われますが、今回の場合は「節操」という訳語がふさわしいように思います。
研究社 新英和中辞典では、
principle=【U】 [しばしば複数形で] (正悪の基準となる)道義、節操、徳義
a person of principle 節操のある人
He has no principles. 彼は節操がない


LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
principle : a moral rule or set of ideas about right and wrong, which influences you to behave in a particular way
例) He'll do anything for money. The man has no principles.

つまり、「善悪についての道徳ルール、または、まとまった考え、それは人がある方法で行動するように促す」。例文は、「彼は金のためなら何でもする。あの男は節操がない」。

このロングマンの例文は、まさに今のチャンドラー夫妻の行動を語っているようですがw、「金のためなら何でもする」的な節操のなさを語るのに、principles という単語が使われることがよくわかる例ですね。

screw you! は人をののしる言葉。
Macmillan Dictionary では、
screw you/her/him etc [phrase, offensive] : used for expressing your anger
つまり、「(侮辱的) 自分の怒りを表現するために使われる」。

相手に対して怒っている時に使う表現なので、場面によっていろいろな訳が可能でしょうが、今回ならば、「お前らのことなんか知ったことか! お前らなんかどうにでもなれ!」的な訳になるのかな、と思います。

開き直ったようなチャンドラーは、「その券は俺たちのものだ!」と言って、レイチェルの手から券を奪い返しています。
There's the man I married!! を直訳すると、「そこに、私が結婚した男がいる!」「そこにいるのは、私が結婚した男!」というところでしょうか。
「よくぞ言ったわ、それでこそ私が夫として選んだ男よ」という感覚でしょうね。
「やった!」という感じで、お互いの手をパチッと叩き合う二人を見て、レイチェルは、If you win the lottery... 以下のセリフを言っていますが、「もしあなたがくじに当たれば、それが、あなたが hear from us することになる最後である」ということですね。
hear from 人は、「(人)から連絡・通信・便りがある」という意味。
「私たちから連絡があることの最後である」ということですから、くじに当たった後は、もう私たちからはあなたに連絡しない、あなたとは縁を切るわ、絶交よ、と言っていることになります。

Don't be my friends. は、「私の友達でいないで」→「私の友達をやめて」というニュアンス。
友達をやめてもらって結構よ、だって私は(くじで当たったお金で)新しい友達を買うから! ということですね。
その後のセリフ、I'll pay for their plastic surgery so they look just like you! について。
前から順番にイメージすると、「私は彼らの整形手術にお金を払う、そうすれば彼らはちょうどあなたたちのような見かけになる」というところですね。
日本語っぽく訳すと、「新しい友達にあなたたちそっくりになるように整形手術をさせて、そのお金は私が払うわ」と言っていることになります。
「あなたたちがいなくなっても代わりはいるもの」的な発言をしているのですが、わざわざ同じ顔に整形させるとか言っているのが面白いですね。
まだくじに当たってもいないのに、「お金さえあれば、あなたたちのそっくり人間だって作れるんだから」という、先走ったような勝ち誇り感と、「そばにいる友達は、やっぱりこのフレンズたちの顔であって欲しいと思っている」ような、憎まれ口を叩きながらも、長年友達である人への愛着みたいなものが出てしまっている点が、何だか面白いなと思いました。


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posted by Rach at 13:13| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする