2015年08月21日

ランプをこすると精霊が出てくる フレンズ9-18その2

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ロス以外のフレンズたちは、50ドルずつ出し合って、くじを買い、当たったら山分けすると決めています。
モニカは職場から、ウィッシュボーンを持って帰ってきていました。
ウィッシュボーンは(前回の記事で説明しましたが)、トリの胸の骨を引っ張り合って、長い方を取った人の願いが叶う、というもの。
誰かやりたい人? と尋ね、フィービーが最初に名乗りを上げました。その続きのシーン。
モニカ: All right. Rach? (いいわ。レイチェル?)
レイチェル: Oh no, I'm good. I don't wanna get that turkey smell all over my hands. (あぁ、いいわ。私は大丈夫よ。そのターキーのにおいを、手じゅうに(手のあちこち)に付けたくないの。)
ジョーイ: I'll do it!! It'll get the casserole stink off of mine. (俺がやる! それで、俺の手からキャセロールの(いやな)においが取れるから。)
(Phoebe and Joey both grab one side of the wishbone)
フィービーとジョーイの二人は、ウィッシュボーンの片方を握る。
フィービー: I hope I win! (勝ちますように!)
モニカ: Well, it doesn't really matter. You're both wishing for the same thing, right? (うーんと、そんなの[どっちが勝つかは]あまり問題じゃないわ。二人とも同じことを願ってるでしょ?)
ジョーイ: I can't tell you what I'm wishing for, or else, you know, it won't come true! (俺が何を願ってるかは君には言えないな。さもないと[言っちゃうと]、願いが叶わないよ!)
モニカ: Right! But we "know" what you're wishing for! (そうね! でも、あなたが何を願っているか、私たちにはわかってるわよ。)
ジョーイ: I can't really say! (俺には言えないの!)
モニカ: I understand. But you're wishing for what we think you're wishing for, aren't you? (わかってるわ。でも、あなたが願うと私たちが思ってることをあなたは願ってるわよね?)
ジョーイ: (slightly irritated) I'm not really comfortable with these questions! ([かすかにイラついて] こういう質問って、あんまり好きじゃないんだけど!)
レイチェル、チャンドラー、モニカ: Please, just do it! (お願い、つべこべ言わずに(ただ)やって!)
フィービー: Okay. One, two, three! (オッケー。1、2,3!)
(they break the wishbone)
二人はウィッシュボーンを折る。
ジョーイ: I won! Hey! (勝った! よし!)
ロス: You know what? I'm sure your wish is gonna come true. But, you guys, just in case, maybe a genie will come out if we rub this lamp! (rubs lamp, stops because it's very hot) Ah!! That thing gets hot!! (ねぇ? ジョーイの願いは叶うって思うよ[確信するよ]。でも、みんな、念のために、多分、精霊が出てくるよ、もしこのランプをこすったら! [ランプをこするが、それをやめる、なぜならランプがとても熱いから] あー! あれ(あのランプ)、熱くなってる!!)

モニカは、レイチェルにウィッシュボーンをするか尋ねるのですが、レイチェルは断っています。
その理由として、I don't wanna get that turkey smell all over my hands. と説明しています。
直訳すると、「そのターキーのにおいを、私の手じゅうに付けたくない」ということですね。
骨を握ることになるので、手のあちこちにターキーのにおいが付いちゃうから、それはいやだ、ということです。
それを聞いたジョーイは、I'll do it!! 「俺がやる!」と名乗りを上げます。
その後、レイチェルと同じように理由を述べていますね。
It'll get the casserole stink off of mine. の mine は、その前のレイチェルの my hands を受けてのもので、ジョーイが自分の手(my hands)のことを mine と言っていることになります。
get the casserole stink off of は、「〜からキャセロール(蒸し焼き鍋料理)の悪臭(いやなにおい)を取る(get off する)」ということですね。

レイチェルは「手にターキーのにおいが付くから嫌」と言っていて、ジョーイは「ターキーのにおいでキャセロールのにおいが消えるからやる」と言っている、その対比の面白さとなるでしょう。

ウィッシュボーンは、フィービーとジョーイがすることに決まったので、二人は二つに分かれた骨をそれぞれ持ちます。
「長い方を取った人の願いが叶う」というものですから、フィービーは、I hope I win! 「勝ちますように!」と願いをかけています。
それを聞いたモニカは、it doesn't really matter. と言っていますね。
「それは、それほど(あまり)重要ではない、問題ではない」ということで、その理由が、次の You're both wishing for the same thing, right? で述べられています。
「あなたたちは両方とも(二人とも)、同じことを望んでいる(願っている)んでしょ?」ということで、モニカの考えでは、「二人ともくじを買っていて、誰かが当たれば山分けなんだから、どちらも”くじが当たりますように!”と同じことを願っているはず。だから、どっちが勝とうが、”くじが当たる”ことになるんだから、どちらが勝っても構わないでしょ?」ということですね。

それを聞いたジョーイは、「俺が何を願っているかは、君には言えないな」と言っています。
or else は「さもないと」なので、つまりは、「もし願いを君に話してしまったら、その願いが実現しない・叶わない」と言っていることになります。

モニカの Right! は「その通りよ!」ということで、「願いを人に話してしまったら、願いが叶わなくなる、っていうのは確かにその通り」と認めているわけですが、その後、、But we "know" what you're wishing for! と言っています。
訳すと、「でも私たちは、あなたが何を願っているかを”知っている”」ということですね。
「言ったら叶わないから、言わない!」と頑張っているジョーイに、「この状況での願い事と言ったら、”くじが当たりますように”しかないんだから、ジョーイが言わなくたってわかるわよ。みんなわかってるんだから、言わないって頑張っても無駄よ」と言いたいわけですね。

I can't really say! は、really の前に否定語 not が来ているので、not really 「それほど〜でもない、あまり〜ない」という部分否定になります。
「願いごとは人にほいほい言うもんじゃない」みたいに言った感覚になるでしょう。
ジョーイも頑固ですが、モニカもさらに頑固で(笑)、モニカが想像している通りのことをジョーイが願っていると考えて、さらっと流せばいいものを、白黒はっきりつけたいタイプだからでしょうか、また念押しのような確認で、But you're wishing for what we think you're wishing for, aren't you? と付加疑問の形で問うています。
you're wishing for というフレーズが2回登場していますが、この文の構造をシンプルな形にすると、you're wishing for A, aren't you? 「あなたは A を願っている、わよね?」になります。
何を願っているか、という内容が、what we think you're wishing for で、「あなたが願っていると私たちが思っている(考えている)こと」になります。
つまり、「私たちが「ジョーイはきっとこれを願ってるはず」と思っているその内容を、ジョーイも思ってるわよね? 私たちの想像通りのことを願ってるはずよね?」と言っていることになります。

そのモニカのしつこい問いに対して、ト書きの通り、ちょっとイライラした様子のジョーイは、「俺は、こういう質問に対して、あまり comfortable じゃないんだけど!」のように怒っています。
not really comfortable 「あまり快適じゃない、あまり心地よくない」というのは、そういう質問をされるのは嫌だ、ということですね。

モニカはジョーイの願いが想像通りかどうかを尋ねようとする、ジョーイは「言ったら願いが叶わなくなる」と言って内容を言おうとしない、そんなやりとりがずっと続くのにうんざりした他のフレンズたちは、Please, just do it! 「頼むから(お願いだから)、(つべこべ言わずに・さっさと)(ただ)ウィッシュボーンをやって!」と言います。

いちにのさんで、二人が力を込め、パキッと音がして、ウィッシュボーンが折れます。
長い方(曲がった部分が残った方)を取ったのはジョーイで、I won! と喜んでいます。
それを見ていたロスは、「ジョーイの願いが叶うって、僕は確信するよ」と言った後、But, you guys, just in case, maybe a genie will come out if we rub this lamp! と言っています。
just in case は、「万一に備えて、念のため」。

genie は「精霊」ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
genie [noun, countable] : a magical spirit, especially in Arabian stories, that will do what you want when you call it
つまり、「魔法の精霊、特にアラビアの物語の中の、それを呼ぶ[呼び出す]と、自分が望むことをしてくれる」。

ディズニーアニメ「アラジン」にも、ジーニー(Genie)という名前の精霊が出てきていましたよね(私はその映画は見ていないのですが、、)。
ジニーと言えば、「かわいい魔女ジニー」という作品(アメリカのシットコム)もありましたが、こちらは原題が、I Dream of Jeannie で、主人公のジニーの綴りは、Jeannie ということになります。
英語版ウィキペディア: I Dream of Jeannie 内では、Jeannie (a homophone of genie) という説明がありました。
「Jeannie は、genie の同音語」ということですから、ジニー(Jeannie)という名前は、精霊を意味する単語 genie のイメージから来ているのは間違いないようです。
かわいい魔女ジニーは、壺(a bottle)から出てきますが、アラジンのジーニーは、「ランプをこすると精霊が出てくる」という「ランプの精」ですよね。
その「魔法のランプ」(a magical oil lamp)は、「金色のやかんの注ぎ口を長くしたような形」をしていますが(身も蓋もない言い方ですみません)、ちょうどロスの目の前のテーブルの上に、a table lamp 「テーブルランプ、電気スタンド」があったので、どちらも同じ lamp だと言うことで、そんなセリフを言ったことになるでしょう。

前回の記事で、「霊媒師やウィッシュボーン」の話をするフレンズたちを、あきれた様子でからかっていたロスですが、今回もその流れで、ウィッシュボーンでジョーイが勝ち、喜んでいるみんなに対して、「今のウィッシュボーンの結果から、きっとジョーイの願いが叶うだろうって思うけど、万一それが叶わなかった時のために、他のお願いもしといた方がいいんじゃない?」と言って、ランプをこすって精霊を出すようなイメージで、テーブルの上のランプの胴体部分をこすってみせたわけですね。
「ウィッシュボーンでジョーイの願いが叶うことは保証されたみたいだけど、念のため(just in case)」みたいな前振りをわざわざ付けているところに、ロスっぽさが出ている気がしますが、胴体部分を触ったら、それが熱くなっていたようで、慌てて手を放し、「あれ(that thing)、熱くなってる!」と叫ぶことになります。
迷信的なことをバカにしてからかおうとして、逆にバチが当たった感じですね^^


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posted by Rach at 16:53| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月19日

ウィッシュボーンをするベジタリアン フレンズ9-18その1

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シーズン9 第18話
The One With The Lottery (マネー! マネー!! マネー!!!)
原題は「くじの話」


くじ(宝くじ)の賞金が3億ドルまで上がっているというニュースを聞いたジョーイは、そのくじがニューヨークでは買えないため、モニカのポルシェに乗って、コネティカットまで買いに行こうとしています。
その話を聞いて、他のフレンズたちも「自分も買いたい」と言い出し、「当たる確率を考えたら買う気にはなれない」というロス以外、みんなで50ドルずつ出し合って、当たったら山分けすることに決めました。
くじを買った後も、その話で盛り上がっているところ。
(Phoebe enters)
フィービーが入ってくる。
フィービー: (excited) Hey, you guys! Ok, you're not gonna believe this! I just saw my psychic and she said I was definitely gonna win the lottery tonight! ([興奮して] ねぇ、みんな! いいわ、みんな、この話、信じられないわよ! ちょうど、私の霊媒師(霊能者)に会ってきたところなの。それで彼女が言ったのよ、私は今夜きっと、くじに当たるって!)
モニカ: Hey, that reminds me, I thought we could use some extra luck so I brought a wishbone home from work. (ねぇ、それで思い出したんだけど、私、余分な幸運があったらありがたいと思って、仕事場から家に、ウィッシュボーンを持って帰って来たの。)
ロス: (mockingly) A psychic AND a wishbone? Guys, give someone else a chance! ([からかうように] 霊媒師、それにウィッシュボーンだって? みんな、他の人にもチャンスをあげてよ!)
モニカ: Alright, who wants to do it? (いいわ、誰がそれをしたい?)
フィービー: Oh, can I? Vegetarians never get to do the wishbone. It's really not fair either! You know, just because we don't eat the meat doesn't mean we don't like to play with the carcasses! (あぁ、私がやってもいい? ベジタリアンは絶対にウィッシュボーンをすることにはならないから。それってほんとにフェアーでもないわよね! ほら、ただ私たちが肉を食べないからって、動物の死骸で遊ぶのが好きじゃないってことにはならないもの。)

フィービーは嬉しそうに入ってきて、you're not gonna believe this! と言っています。
直訳すると、「あなた(たち)は、これを信じないだろう」というところですが、これは、みんなが「そんなの信じられない!」と言うような、びっくりするようなことを今から言うわよ、という前振りですね。
psychic は、「超能力者」または「霊能者、霊媒(師)」という意味。
フィービーは、スピリチュアルなことに興味がある人なので、占いなどを見てもらう、決まった霊媒師がいるのでしょう。
それで、「私の霊媒師に会ってきたところなんだけど、彼女が言うには、私たち、今夜くじが当たるんだって!」と、「くじが当たると予言されたこと」を喜んでいるわけですね。
lottery は、今回のエピソードのメインテーマとなっている、「くじ、宝くじ」のこと。

that reminds me は、「そのこと(今のフィービーの発言)が私に…を思い出させる」ということですから、自然な日本語にすると、「それで(今ので)思い出したんだけど…」という感覚になります。
coud use は「〜があるとありがたい・嬉しい」というニュアンス。
extra は「余分の、臨時の」ですから、we could use... のセリフは、「(今あるのに加えて)余分の幸運があるとありがたい」というようなことになるでしょう。
「さらに運を良くしようと思って」みたいなことですね。

so I brought a wishbone home from work. は、「だから私は職場から家に、ウィッシュボーンを持ち帰った」。
そう言ってモニカは、V字形の骨をみんなに見せています。

wishbone については、以下の研究社 新英和中辞典の説明がわかりやすいと思います。
wishbone=【名】【C】 (鳥の胸の)叉骨(さこつ) (解説:食事の際、皿に残ったこの骨を二人で引き合って長いほうを取ると願い事がかなうという)

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
wishbone [noun, countable] : the breast bone from a cooked chicken or other bird, which two people pull apart to decide whose wish will come true.
つまり、「調理されたチキンや他のトリの胸の骨、二人の人間がそれを引き離す、どちらの願いが叶うかを決めるために」。

フィービーの霊媒師の話、モニカのウィッシュボーンの話を聞いた後、ロスは「霊媒師とウィッシュボーン(だって)?」と、からかうような感じで、大袈裟な表情と口調で言っています。
Guys, give someone else a chance! は、「君たち、他の誰かにもチャンスをあげなよ!」ということで、言葉の意味としては、「君たちはラッキーにラッキーが重なって無敵になってるね。君らにくじが当たっちゃって、他の人にはチャンスがなくなっちゃうね」と言っていることになります。
ロスの表情と口調からわかるように、それは大いなる皮肉で、科学者であることをいつも誇りにしているロスは、「占い師の意見とか、ウィッシュボーンのおまじないとか、そんな非科学的なこと、迷信的なことを君らは信じてるわけ?」と言いたいわけですね。

ロスはあきれた顔をしていますが、モニカはそれに構うことなく「誰か、ウィッシュボーンをしたい人いる?」と尋ねています。
フィービーは「私、やってもいい?」と言った後、Vegetarians never get to do the wishbone. とも言っています。
直訳すると、「ベジタリアン(菜食主義者)は、ウィッシュボーンをすることには決してならない」というところですね。
never do the wishbone なら「決してウィッシュボーンをしない」になりますが、ここでは get to が入っているので、「決してウィッシュボーンをすることにならない」というニュアンスになります。

上の語義説明にあったように、wishbone は、「食事の際、皿に残った骨」「調理されたトリの骨」ですから、鶏肉を食べないベジタリアンは、そういう骨が手元に残ることもないわけですね。
だから、ウィッシュボーンをする状況にならない、という意味で、get to を使っていることになるでしょう。

It's really not fair either! は、not の前に really がきて、否定を強調しているので、「それ(ベジタリアンがウィッシュボーンをすることにならないこと)も、全くフェアーではない」という意味になります。
「それってフェアじゃないわよね」と言っている理由を、その後説明していますが、その後の長い文章の基本構造は、just because A doesn't mean B. となり、「ただ A だからという理由が、B を意味しない」→「ただ A だからって、B ってことにはならない」と言っていることになります。
そのセリフ全体の意味は、「私たち(ベジタリアン)が肉を食べないからって、私たちが動物の死骸で遊ぶことが好きじゃない、ってことにはならない」ということですね。

carcass は「(獣の)死体」という意味で、これまでのフレンズでも、フレンズ1-7その2フレンズ5-6その3フレンズ7-17その2 に出てきました。
特に、フレンズ5-6 では、フィービーがミンクの毛皮のことを、"cutting edge hairy carcass from, y'know, the steel traps of wintry Russia" 「冬のロシアの鋼鉄製の罠からやって来た[取って来た]、流行の最先端の毛深い死骸」と表現していました。
フィービーは「(主に)動物愛護の精神から、ベジタリアンになっている」タイプの人で、フレンズ5-6 のセリフでは、その部分がよく出ていたと思うのですが、それが今回では「ベジタリアンだからって、骨(動物の死骸)で遊ぶのが嫌いなわけじゃない」という動物愛護者らしからぬ発言をしていることになります。
笑いを取るために、キャラの主義主張に一貫性がなくなってしまっている例とも言えますが、そういう部分もおおらかに受け止めて(笑)素直に笑うのが、コメディの正しい楽しみ方、と言えるのかもしれません^^


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posted by Rach at 16:35| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月17日

ばかげた問題は一度に一つにして フレンズ9-17その6

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大学の卒業生(同窓生)サイトができて、ロスは自分の近況を書き込んでいたのですが、チャンドラーがいたずらでロスの代わりに「僕(ロス)は恐竜のクローンを作って、そのメス恐竜とエッチしてる」などと嘘の書き込みをします。
怒ったロスが仕返しのために、チャンドラーの近況として、as gay as the day is long 「徹底的に(とことん)ゲイ(である)」と書いたため(この英語表現については、後で解説します)、チャンドラーはその仕返しに、「ロスが若くして死んだ」という書き込みまでしてしまいました。
後日、ロスは、「お前がいたずらで書きこんだ”ロスは死んだ”という書き込みについては誰からも反応がなかったから、お前のいたずらは失敗だね」と言っていたのですが、次第に、「誰からも反応がないってことは、僕が死んでも誰も気に留めないの?」と不安になってしまいます。
「サイトにお悔やみを書いたりするやつはいないだろう。お葬式か追悼式(a funeral or a memorial service)があれば、大勢の人が来るだろうけど」と励ましたチャンドラーの言葉を受けて、ロスは「自分の追悼式を行う」と言い出します。
その後、実際に、チャンドラーとモニカの家で、ロスの追悼式のセッティングがされ、そこにトム・ゴードンという同級生がやってきます。
ロスがまず奥の部屋に隠れ、その後、コートを預かると言ってチャンドラーもロスのいる部屋に入り、二人でトムの様子をうかがっているところ。
モニカ: So did you know Ross well? (それで、ロスのことはよく知ってたの?)
トム: Oh, actually, I barely knew him. Yeah, I came because I heard Chandler's news. D'you know if he's seeing anyone? (あぁ、実は、彼のことはかろうじて知ってる程度だったんだよ。あぁ、僕が来たのは、チャンドラーのニュースを聞いたからでね。彼が誰かと付き合ってるかどうか、君は知ってる?)
モニカ: (a bit surprised) Yes, he is. Me. ([少し驚いて] えぇ、彼は付き合ってるわ。私よ。)
トム: What? You... You mean--? Oh! Can I ask you a personal question? Ho-how do you shave your beard so close? (何だって? 君… つまり…? おぉ! 君に個人的に質問をしていいかな? 君はどうやってそんなに短く(きれいに)ヒゲを剃るの?)
チャンドラー: (entering, very upset) Okay, Tommy! That's enough mourning for you! Here we go. Bye-bye. All right. (he shoves him out the door) ([部屋に入ってきて、非常に怒った様子で] オッケー、トミー! 君にとっての追悼(悼む)のはそれでもう十分だ! ほら。バイバイ。よーし。 [チャンドラーはトムをドアから押し出す)
トム: (before leaving) Hey, listen. Call me. ([去る前に] ねぇ、電話してよ。)
チャンドラー: Okay! (shuts the door behind Tom) (オッケー! [トムの後ろでドアを閉める])
ロス: (coming in) I'm dead and no one cares? ([部屋に入ってきて] 僕が死んでるのに、誰も気にしないの?)
モニカ: I look like a man?? (私は男に見えるの?)
チャンドラー: Please, one ridiculous problem at a time! (頼むよ、ばかげた問題は一度に一つにしてくれ!)
ロス: This isn't ridiculous. Look around, no one's here! (これはバカげたことじゃないよ! 周りを見てよ、ここには誰もいない!)
チャンドラー: You gave them one day's notice. Not everyone in our class checks the website everyday. And Monica, it's probably the way you stand! (知らせるのに1日与えただけだろ[告知してからたったの1日しか経ってないだろ]。俺らのクラスのみんなが毎日そのサイトを見てるわけじゃない。それからモニカ、多分(誤解された原因は)君の立ち方だよ。)

まず最初に、このシーンより前のシーンで出てきた表現ですが、ロスがチャンドラーの近況として書き込んだ as gay as the day is long という表現について。
この as the day is long という表現の意味については、以下の Wiktionary に詳しく出ていました。
Wiktionary : as the day is long
as the day is long : (idiomatic, intensifier) Unceasingly; very; thoroughly; to a very high degree.
つまり、「(慣用的、強意語) 絶え間ない、非常に、徹底的に、非常に高い程度・度合まで」。

Wiktionary の [quotations ▼] の部分をクリックすると、実際の使用例がいくつか表示されます。
古くは 1598年のシェークスピアの作品 Much Ado about Nothing (邦題:から騒ぎ)に as merry as the day is long の形で登場しているようです。
そんなに古くからある表現なんだぁ〜と感心しつつ見て行くと、他にも、1872年のマーク・トウェインの旅行記 "Roughing It" (邦題:西部放浪記)にも、as industrious as the day is long という表現が出てくるそうです。
そういう超有名作家の用例が挙げられる中、2003年のところには、何と、今回のフレンズ9-17 のこのセリフが例として挙げられているのにびっくり^^

昔の文豪の作品から、最近のドラマに至るまで、さまざまな用例が挙げられているのがすごいなぁ、と思うのですが、古い作品であれ新しい作品であれ、「実在する作品での実際の使用例」が言葉のニュアンスを理解するのに一番わかりやすいということが、このことからもよくわかると思います。

上の Wiktionary の説明にもあるように、as the day is long = very, thoroughly ということですから、「(チャンドラーは)ゲイである」という表現よりもさらに強調した感じで、「ものすごく、徹底的に、とことん、揺るぎなく」ゲイである、のような表現をロスがいたずらで書きこんだことになるだろうと思います。

それでは、今回のシーンの説明に移ります。
チャンドラーとロスが別室に隠れて様子をうかがっている間、弔問客の応対をモニカ一人で行なっています。
モニカがトムに「ロスのことを良く知ってたの?」と尋ねると、トムは actually, I barely knew him. と答えます。
barely は「かろうじて、わずかに」なので、「ロスのことはかろうじて知っていた(程度である)」ということで、「よく知ってるわけではない」ことを説明していることになります。
ロスのことはほとんど知らないのに、ここに来た理由をその後説明していますが、「僕はチャンドラーのニュースを聞いたからここに来た」ということですね。
チャンドラーのニュースというのは、チャンドラーがゲイであることをカミングアウトした、というニュースのことで、その後、トムが、D'you know if he's seeing anyone? 「彼が誰かと付き合ってるかどうか、君は知ってる?」と聞いたことからも、「もしチャンドラーに付き合ってる人がいないのなら、僕がアプローチしようかな」と思っていることがわかります。
see はこのように、be seeing someone という進行形の形で、「人と付き合っている」という意味になりますね。

モニカは少し驚いたように、「えぇ、彼は付き合ってるわ」と言った後、Me. つまり、(He is seeing) me. 「彼は私と付き合ってるの」と答えます。
その答えを聞いたトムはとても驚いた様子で、モニカの姿を上から下まで見た後、「君に個人的な質問をしていいかな?」と言います。
how do you shave your beard so close? の close は「短く」というニュアンスになります。
研究社 新英和中辞典では、
close 【形】
(1) 〈衣服など〉ぴったり合った
a close coat 体にぴったりの上着
(2) 〈髪・芝生など〉短く刈った
a close haircut 短髪
have a close shave ひげをきれいにそる

という語義が載っています。
close は「近い、接近した」という意味があるので、衣服であれば「体との距離が近い」ということから「体にぴったり合った」という意味になり、芝生や髪の毛であれば、「地面や頭皮に近い」ということで「短く刈った」という意味になるわけですね。
今回のセリフは shave your beard so close という形になっているので、「ひげをそんなに短く剃る」のように、「短く」という副詞として使われていることになります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
close [adverb] : near to the surface of something
例) An electric razor doesn't really shave as close as a blade.

つまり、「何かの表面に近い」。例文は、「電気かみそりは、刃(ブレード)ほどにはそれほど短く剃れない」。

この例文はちょうど、ひげ剃りなどの状況を語っている感じでわかりやすいと思うのですが、電動ひげ剃り(電動シェーバー)は、自分が手で剃るタイプのT字カミソリのブレードほどにはきれいに剃れない、ということですね。
ひげそりのCMなどで、「剃り残しなし!」「深剃り」のような宣伝文句がありますが、そのように「ひげの剃り残しがない(ように見える)状態になるよう、地肌のギリギリの長さにひげを短く剃る」という感覚が、shave your beard so close になるようです。

「君はどうやって(どのようにして)そんなに短く(剃り残しがないようにきれいに)ひげを剃るの?」と言われたことから、トムがモニカを男だと勘違いしていることがわかる、ということですね。
「チャンドラーはゲイだとカミングアウトした。目の前のこの人は、チャンドラーと付き合っているのは自分だと言っている」、つまり、「この人女性に見えたけど、実際は男なんだ!」とトムは考えた、ということです。

男に間違えられたと知ったモニカは、唖然とした顔をしていますが、その会話を別室で聞いていたチャンドラーは、急いで部屋から出てきて、トムを押し出すような形で、帰るのを促しています。
That's enough mourning for you! の mourning は、「哀悼、喪」という意味。
動詞 mourn は「哀悼する、弔う、喪に服する」という意味になります。
「君にとっては、今ので十分な哀悼だ」→「君の哀悼の意は、今ので十分だよ(十分哀悼してくれたから、もうこれ以上は必要ないよ)」と言っていることになります。
そう言って、勢いよく彼をドアの外に押し出すのですが、去り際に、トムに「電話して」と言われたチャンドラーは、嫌そうな気持ちをあらわにした鼻にかかった声で、Okay! と言って、勢いよくドアを閉めることになります。

トムが帰った後、ロスは奥の部屋から出てきて、I'm dead and no one cares? と言っています。
直訳すると、「僕は死んでいる、そして誰も(それを)気にしない?」ということですから、「僕が死んだっていうのに、誰もそのことを気にかけてくれないの?」というところですね。
モニカはモニカで、男に間違われたことに腹を立て、I look like a man?? 「私は男みたいに見えるの?」と言っています。

その次のチャンドラーのセリフが面白いですね。
Please, one ridiculous problem at a time! を直訳すると、「頼むよ(お願いだよ)、一回に1つのバカげた問題」のようになるでしょうか。
つまりは、「頼むから、バカげた問題は、一度に一つにしてくれ」→「一度に、バカげた問題を2つも俺にぶつけないでくれ」ということですね。

ridiculous と表現されたことにロスは怒った様子で、「これはばかげたことじゃない」と言い、「周りを見てよ。ここには誰もいない!」と言っています。
自分が死んだと嘘までついて追悼式を開催しているのに、弔問客が一人も来ないなんて、、とショックを受けているわけですね。

「追悼式なのに誰も来ないなんて」「男と間違えられるなんて」と怒っている二人に対して、チャンドラーは見解を述べています。
You gave them one day's notice. の notice は「通知、告知」ですね。
「ロスは彼ら(同窓生)に1日の告知を与えた」ということですから、つまりは、「お前が追悼式の告知をしてからまだ1日しか経っていない」ということになります。
notice は、give a week's notice は「1週間前に解雇・退職の通知をする」という形でよく使われますね。

Not everyone in our class checks the website everyday. の not everyone は「みんなが〜なわけではない」という部分否定ですから、「俺たちのクラスのみんなが、その(同窓会)ウェブサイトを毎日チェックしているわけではない」になります。
追悼式の通知・告知をしてから一日しか経っていないので、毎日見てない人はその告知を知らないんだから、、ということです。
男に間違えられたモニカに対しては、it's probably the way you stand! 「多分、君の立ち方だ」と言っています。
君の立ち方、立ち姿が、男に間違えられた原因だ、という感覚ですね。
そう言われたモニカは、自分の脚の方に目をやった後、腕組みしていたのをやめ、少し開いていたらしい脚を揃えるように閉じています。
きっとそいつとしゃべってる時に、堂々とした男のような立ち姿をしてたとかだろ、みたいに、夫チャンドラーに指摘されてしまった、ということですね。


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posted by Rach at 16:05| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月14日

最後だとわかってたらやめなかった フレンズ9-17その5

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電話の子機も、携帯電話も取り上げられたフィービーでしたが、マイクに会いたい気持ちが募り、モニカに隠れて、親機のスピーカーフォン(a speakerphone on the base unit)を使って、マイクに電話をかけてしまいます。
マイクがフィービーの家に来てしまった後も、「友達以上の会話」にならないように、間に入って、恋愛話を何とかそらそうと頑張っているモニカ。
[Scene: Phoebe's apartment: Phoebe, Monica and Mike sitting on the couch]
フィービーのアパートメント。フィービー、モニカ、マイクがカウチに座っている。
(Monica is getting up from the couch)
モニカがカウチから立ち上がる。
モニカ: Alright, you two. I'm gonna go to the bathroom. Now I don't want anything going on while I'm gone. Here's a few things you can discuss: Mucus, fungus, and the idea of me and Ross doing it. (いいわ、お二人さん。私は今からお手洗いに行くわ。私が行っている[席を外している]間に、何も起こって欲しくないの。これがあなたたちが話題にできる(2、3個の)事柄よ。粘液、菌類、そして私とロスがヤッてる(エッチしてる)って考え。)
モニカがトイレに行き、フィービーとマイクは二人きりになる。
マイク: I've missed you so much! No, I'm not gonna ask you to get back together because I know we want different things, but.... Just to be with you one more night. (君のことが、ものすごく恋しかったよ! いや、僕は君によりを戻そうとお願いするつもりはないんだ。だって僕たちは違うものを求めてるってわかってるから。でも… ただもう一晩、君と一緒にいたいんだ。)
フィービー: I know, I want that too. But IS that gonna make it too hard? (えぇ、私もそれを望んでるわ。でも、それって(状況を)あまりにも辛く(つらく)することになるんじゃない?)
マイク: It can't be any harder than this. I mean, If I had known the last time I saw you would be the last time, I-- I would have stopped to memorize your face, the way you moved. Everything about you. If I had known the last time I kissed you would be the last time... I never would have stopped. (これよりもっと辛いことなんてありえないよ。この前、君を見たのが(僕らにとっての)最後の時だともし僕にわかっていたのなら、君の顔や、君の動き、君についての全てのことを記憶するために、僕は止まっただろうに。この前、君にキスしたのが、最後の時だとわかっていたなら、僕は決して(キスを)やめなかったのに。)
モニカ: (running back into the room) Kiss him, you fool!! ([部屋に走って戻ってきて] 彼にキスしなさいよ、このおバカ!)
フィービー: What? (何?)
モニカ: Didn't you hear that speech? If you don't kiss him, then I will! (今の話、聞いてなかったの? もしあなたが彼にキスしないなら、私がするわよ!)
フィービー: Oh, I missed you so much! (she kisses Mike) (あぁ、私もあなたがすっごく恋しかった! [フィービーはマイクにキスする])

フィービーとマイクがまた恋愛モードに戻ってしまうのを阻止するため、ずっと二人の間に座っていたモニカでしたが、「トイレに行く」と言って立ち上がります。
Now I don't want anything going on while I'm gone. は、「私が行ってしまっている間[私がいなくなっている間]に、何も起こって欲しくない」ですね。
Here's a few things you can discuss: は、「これが、あなたたちが議論することができる[話題にすることが許される]2、3の事柄である」というところ。
その後、3つの事柄を挙げていますが、mucus は「(分泌する)粘液」、fungus は「菌類、真菌類」を指します。
ねちょねちょするものや菌など、ぞぞぉ〜っとするものを二人にイメージさせることで、いや〜な感じを抱かせ、二人がいちゃいちゃする気持ちを失せさせようという作戦のようです。
最初の2つを聞いただけでげんなりしてしまいますが、日本のお笑いにおなじみの三段落ちと同様に、ここでも3番目に一番キツいネタが用意されているのがポイントとなるでしょう。
その3番目は、最初の2つのように「単語で一語」ではなく、the idea of someone doing... 「人が〜しているという考え・案」という形になっています。
the idea of me and Ross doing it の do it は、恋愛がらみの話では「エッチする」という意味ですね。
お下品に言うと、「ヤる」という感覚ですから、the idea of... は、「私とロスがヤっているという考え」になります。
私と(実の兄の)ロスがエッチしてるところを想像してみたらぞっとして、エッチする気もなくなるでしょ? みたいなことで、自らを犠牲にして(笑)、「ぞっとする想像」の例に自分を登場させたモニカに笑ってしまいますね。

モニカがトイレに立った後、マイクはフィービーに、「君のことが、ものすごく恋しかった!」と言います。
その後、すぐに、「いや、(こんなことを言っているけど)僕はよりを戻したいと君にお願いしようとしてるんじゃない。だって僕たちは違うものを欲してる[求めてる]から」と言っています。
but.... Just to be with you one more night. は、「でも、ただ、君ともう一晩、一緒にいることだけ」。
その前に、we want different things という表現を使っていますので、ここでは、その want のイメージを残した状態で、I just want to be with you... と言っていることになるでしょう。
その次のフィービーのセリフでも、I want that too. と言っていることからも、マイクが want to be with you の意味で言っていることが確認できますね。

But IS that gonna make it too hard? のように、ネットスクリプトでは、IS が大文字で書かれていますが、これは実際の音声でフィービーがその部分を強調して話していることを示しています。
直訳すると、「そのこと(もう一晩、二人が一緒にいること)が状況をあまりに辛く(ハードに)することになる(のでは)?」になるでしょう。
もう一晩一緒にいたい、という気持ちは私も同じだけれど、そうすることでまた別れがより一層辛くなる、この状況がさらに辛くなる気がすると、フィービーは思っていることになります。
It can't be any harder than this. は「これ以上、さらに辛くなることはありえない」ですから、「今のこの状況より、辛くなることなんかないよ。これ以上、辛くなりようがないよ」ということ。

その後、If I had known the last time... というセリフが続いていますが、これは典型的な「仮定法過去完了」ですね。
「過去の事実に反対の仮定」を表し、「もしあの時〜だったのなら、…しただろうに」という意味になります。
If I had known the last time I saw you would be the last time は、「この前君を見た(the last time I saw you)のが、(僕らにとって)最後の時(the last time)だと、もし僕にわかっていたなら[もし僕が知っていたなら]」になりますね。
the last time という言葉が2回登場していますが、前半に出てくる方は、「今に至るまでで、君に会った最後の時」という「直近のこの前」という感覚で、後半に出てくる方は、「君と僕の関係においての最後の時」という感覚になるでしょう。

この last の感覚については、以下の、研究社 新英和中辞典の説明が非常にわかりやすいと思います。

last 【形】[通例 the 〜] (時間・順序が)最後の、終わりの、最終の (⇔first) (類語:last は連続したもののいちばん最後のものを表わすが、その一連の事物の完了・終結を必ずしも示さない)

つまり、前半の the last time は「時間・順序が最後の」(直近の)ということで、後半の the last time は「一連の事物の完了・終結」を指している、ということになりますね。
ですから、そのニュアンスの違いを汲んで訳すと、「この前、君にキスした時が、僕らの関係にとっての最後の時だとわかっていたら」になるように思うわけです。

I would have stopped to memorize your face, the way you moved. Everything about you. を前から順番にイメージしていくと、「僕は…を記憶するために止まっただろうに。君の顔、君の動き方(しぐさ)、君に関する全てを」となります。
他動詞 memorize 「記憶する」の目的語が3つ並んだ感じになりますが、「君の顔、君のしぐさ」と言った後、そういう個々の事柄を一つ一つ挙げていたらきりがないという感じで、「君に関するすべてを」と少し間を置いて、まとめた形になるでしょう。
このセリフでのポイントは、stop to にあるように思います。
動名詞と to不定詞の違いの話で、stop もよく例に出されますが、stop doing は「〜することをやめる、〜するのをやめる」という意味になり、stop to do は「〜するために(立ち)止まる。(立ち)止まって〜する」という意味になります。
このセリフでも、stopped to memorize を、stopped memorizing の意味に勘違いしてしまうと、「君の顔、しぐさを記憶するのを僕はやめただろうに」となってしまい、「これが最後なのに、フィービーのすべてを記憶することを断念すんのかーい!」となってしまいますね^^

歩いている場合は「立ち止まる」になるでしょうが、ここでマイクが言っているのは、「あの時は引っ越しの途中で別れ話になってしまい、流れのままに、なしくずし的に別れてしまったけれど、あの時、ずるずるとした別れになってしまうのではなく、君の全てを記憶するために、その時行動していたことは全てやめて、ちゃんと君と向き合う時間を設けるべきだった、みたいな意味で「あの時、君の全てを記憶するために僕は止まるべきだった」と言っているように私は感じました。

「あれが最後だとわかっていたら、あの時、(立ち)止まって、君の全てを記憶しただろうに」という感動的なセリフを言った後、If I had known the last time I 動詞の過去形 you would be the last time... という同じ形の文章を言っていますね。
先ほどは saw だったところが、今度は kissed になっているので、「この前、君を見たのが、最後だとわかっていたら」が、「この前、君にキスしたのが、最後だとわかっていたら」と言っていることになります。

そして、今回もまた、stop という文章が続いていますが、これは「君を最後に見た時」に出てきた stop のような「〜するために(立ち)止まる」という意味とは異なり、stop doing の方のニュアンスになると思います。
stopped で文章は終わっていますが、つまりは、stopped kissing ということで、I never would have stopped kissing. 「(あれが最後のキスだとわかっていたら)僕はキス(するの)を決してやめなかっただろうに」と言っていることになります。
I saw you と I kissed you の文章は、よく似た構造の文章が2つ続いていますが、saw の方は、I would have stopped to memorize という肯定文、kissed の方は、I never would have stopped という否定文になっています。
両方とも、「あれが最後だとわかっていたら、僕はこうしたのに…」という内容を語っていて、その方向性は同じはずですので、片方が肯定文、もう片方が否定文であれば、stop が異なるニュアンスで使われていることがわかる、ということですね。

「最後だとわかっていたら、〜するために止まったのに」と言った後、「最後だとわかっていたら、〜するのを止めなかった(やめなかった)のに」という「同じ stop という動詞を使った対比」が、マイクのセリフのポイントである、という気がします。
I saw you のセリフの方を解釈しようとした時に、I would have stopped to memorize your face という表現が、「少し ”持って回った” ”回りくどい” 言い方」だという気が何となく私にはしたのですね。
I would have memorized your face 「君の顔を記憶しただろうに」というシンプルな形で良さそうなところを、どうしてわざわざ stopped to memorize のように表現したのかなぁ、と思ったのですが、kissed の方の文章で stopped が出てきたのを見た時に、「これとドラマティックに対比させるために、わざと、stop to do の形にしたわけか!」と私は思ったわけです。
「〜するために止まっただろうに」と言った後で、キスの話については「止めなかっただろうに、やめなかっただろうに」と、また同じ stop という動詞を使って表現することで、「キスをやめなかった、あれが最後のキスなら、僕はずっとずっとキスしてた」と言っている内容が、より情熱的に響くという効果が出るんだろうなぁ、と。
この最後のセリフも、意味としては、I never would have stopped kissing. ということですが、あえて kissing という言葉を言わずに、stopped. で止めているところに、stop という動詞を強調し、2つの stop の対比を劇的にさせる効果があるように思いました。

そんな風に stop という動詞を使うことで、I saw you のセリフ以上に、I kissed you のセリフがよりロマンティックなものとなったため、トイレに行っていたモニカが走って戻ってきて、「彼にキスしなさいよ、(この)おバカ!」みたいに言うことにもなるのですね。

急に出てきたモニカに、フィービーの方が逆に素(す)の顔になっているのも面白いですが、モニカは、あまりのロマンティックなセリフに興奮冷めやらぬ様子で、「今のスピーチ(話)、あなたは聞いてなかったの?」と言い、If you don't kiss him, then I will! と言っています。
「もしあなたがマイクにキスしないのなら、私が(代わりに)キスするわ!」ということで、こんなロマンティックなことを言われてキスしようとしないあなたが信じられない、あなたがしないなら私がしちゃうわよ、とにかくさっさと彼にキスしちゃいなさいよ! と促しているわけですね。
そう言われたフィービーは、やっと、「私もあなたがものすごく恋しかった!」と言って、二人はキスすることになります。

フィービーとマイクがよりを戻すのを何が何でも阻止する! と頑張っていたモニカが、kissed のセリフで、一転、態度を変えることになったわけで、それほどの破壊力のあったマイクのセリフがどれほど情熱的でロマンティックかということを英語で感じられたりすると、いい感じ♪かな、と思います。


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posted by Rach at 13:20| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月12日

物事はそんな風に始まる フレンズ9-17その4

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「マイクと別れたことが正しいとわかっていても、ついマイクに会いたくなってしまうから、そうなりそうになった時には私を止めて」と、モニカはフィービーに頼まれます。
それで、フィービーの見張り役として、モニカはフィービーの家にいます。
[Scene: Phoebe's apartment]
フィービーのアパートメント。
フィービー: God, I wish Mike were here. (あぁ、マイクがここにいてくれたらいいのに!)
モニカ: Okay, if Mike were here, what would the two of you be doing? (いいわ、もしマイクがここにいるとしたら、あなたたち二人は(今頃)何をしているところかしら?)
(Phoebe gives her a meaningful look)
フィービーは意味ありげな視線をモニカに送る。
モニカ: What are you, animals? It's 4 o'clock in the afternoon! (あなたたちって何? 動物(ケダモノ)? 午後4時なのよ!)
フィービー: I gotta call him. Just to talk to him. There's no harm in that. (彼に電話しなくちゃ。ただ話すだけよ。そんなの害ないわよね。)
モニカ: Phoebe, that's how it starts. "I don't need to eat the cake, I'll just smell the icing. Why not just a little sliver?" Or, "Okay, just a slice or two." And next thing you know, you're 210 pounds and you get wedged in going down the tunnel slide! Phoebe, honey, I know this is hard. But look, if you talk to him, then you're gonna wanna see him. And if you see him, you're gonna wanna get back together with him. And I know that's not what you want. (pause) All right, so give me your phone. (フィービー、そんな風に物事は始まるのよ。「ケーキを食べる必要なんかない。ただアイシング(糖衣)の匂いを嗅ぐだけよ。ちょっとひとかけくらいならいいじゃない」 もしくは、「いいわ、1切れか2切れだけ」。それから次に気づいた時には、210パウンド(ポンド)(95キロ)になってて、滑り台のトンネルを降りながら、そこに挟まっちゃうの[つっかえちゃうの]! フィービー、ハニー、これって辛いって私にもわかってるわ。でもね、もしあなたが彼と話したら、その後、あなたは彼に会いたくなる。そして、もし彼に会ったら、彼とよりを戻したくなる。それがあなたの望むことじじゃないって私にはわかるから。[間があって] いいわ、あなたの電話をちょうだい。)
フィービー: Here. (どうぞ[これよ]。)
モニカ: And now your cell. (それから、あなたの携帯も。)
フィービー: Okay. (she takes a huge, clearly obsolete cellphone she keeps in a closet and gives it to Monica) There you go. (いいわ。[フィービーは棚に入れてある、明らかに時代遅れの巨大な携帯電話を取り出し、それをモニカに渡す]
モニカ: This is your cell phone? (これがあなたの携帯電話?)
フィービー: Yes. (そうよ。)
モニカ: This is your current cell phone? (これがあなたの最新の(今使ってる)携帯電話なの?)
フィービー: Yes. It reminds me of a simpler time. (そうよ。よりシンプルだった時代を思い出させてくれるの。)

I wish Mike were here. は、典型的な「仮定法過去」ですね。
私の学生時代には、I wish I were a bird. 「私が鳥だったらいいのに」などの例文で習いましたが、「現在の事実とは反対の仮定」の例として、今回のような「(会うことの叶わない)彼が、今ここにいればいいのに」という例文で覚えた方が、より実感しやすいのではないかな、と私はいつも思っています。
if Mike were here, what would... も同じく仮定法過去ですね。
「今、マイクはここにいないけれど、もしも彼がここにいるとしたら」という「現在の事実とは反対の仮定」をした上で、「もしそうだとしたら、今頃二人は何をしてる(ところ)?」ということを、what would the two of you be doing? という would be doing の形で表現していることになります。

フィービーは、「ほら、わかるでしょ」みたいな視線をモニカに送っていますが、そういう動作は、英語のト書きでは、gives her a meaningful look と表現されています。
まさに直訳通りの、「意味ありげな視線を与える(送る)」ということですね。

今は何してるところ? と聞かれ、「ほら、わかるでしょ、あれよ」みたいな視線を送ったことから、それが「エッチ(行為)」のことだとわかったモニカは、あきれた顔で、What are you, animals? と言っています。
直訳すると、「あなた(たち)って何[何者]? 動物?」ということですが、これはDVDの日本語で訳されていたように「ケダモノ」という訳がふさわしいところですね。
二人きりだったら、まだ明るい午後4時からでもあなたたちはエッチしちゃうわけ? というところでしょう。

フィービーは、「マイクに電話しなくちゃ。ただ話すだけよ」と言っています。
There's no harm in that. は「そのこと(の中)に害はない」ですから、「そういうことしても(彼に電話したって)別に害なんかないわよね」ということですね。
「電話くらい構わないわよね」と言うフィービーに、モニカは、that's how it starts. と言っています。
that's how it starts. は「物事がどのように始まるか、というのがそれである」というところで、「そんな風に(物事は)始まる(のよ)」ということですね。
「これくらいなら問題ないわよね、構わないわよね」というのがきっかけで、どんどんエスカレートしてしまうことを言っていることになります。

その後、モニカはセリフ口調で、「最初はこれだけだったのが、どんな風にエスカレートしていくか」を説明することになるのですが、その例が恋愛の話ではなく、食べ物の話になっているのがモニカらしくて面白いですね。
子供の頃や学生時代、大食漢でものすごく太っていたモニカなので、「我慢しないと最後にはこうなってしまう」という例え話もそれ系のものになってしまうということです。

モニカの例え話の最初は、「そのケーキを食べる必要はないわ。ただアイシングの匂いを嗅ぐだけよ」となっています。
icing は「お菓子にかかっている糖衣」のこと。
sliver は動詞では「〜を細長く切る」という意味で、名詞では「細長い小片」を指します。
ですから、Why not just a little sliver? は「ちょっとだけの細長い小片(ひとかけ)は、どうしてだめなの?」→「ちょっとしたかけらくらいなら(食べても)いいじゃない、構わないじゃない」と言っていることになります。

それがどんどんエスカレートして、「小片」だったのが、今度は a slice or two 「(ケーキの)一切れか、ふた切れ」になっています。
next thing you know は「(人が)知る、次のこと」ということですから、「次に気がつくと、次に気がついた時には」。
1 pound = 0.454 kg なので、210 pounds は、約95kg ですね。
Google 検索ボックスに数値を入力すると、単位変換もしてくれますので(便利!)、それで調べた結果は、
210ポンド = 95.2543977 キログラム
と表示されました。

slide は「滑り台」なので、you get wedged in going down the tunnel slide は、「滑り台のトンネルを降りながら、つっかえる」という意味になります。
wedge は名詞で「くさび」のことで、動詞では「くさびで留める、くさびのように無理に割り込ませる・押し込む」という意味になるため、get wedged in は、「くさびのように挟まってしまう、つっかえてしまう」ということになるのですね。

最初は「匂いを嗅ぐだけだから問題ない」と言っていたのが、最後には95キロの身体になって、滑り台のトンネルにつっかえちゃうまでになる、という、「ちょっとだけ、から始まる恐ろしさ」を、モニカ流に「食欲と肥満」に絡めて語ったことになります。

モニカは、フィービーの気持ちがよくわかる、というように、「これが辛い(つらい)って私にもわかるわ」と理解を示した上で、でももし彼と話したら、と話を続けています。
「彼と話したら、あなたは彼と会いたいと思うようになる。もし彼に会ったら、彼とよりを戻したいと思うようになる」と言い、「それ(マイクとよりを戻すこと)はあなたの望むことじゃないって、私にはわかるから」と言っています。
フィービーも、「彼と別れたことは正しい。彼とよりを戻すべきではない」とわかっているので、そう言われてしまうと、「彼に電話しても別に構わないわよね」とは言えなくなってしまいますね。

電話が近くにあると、電話をかけてしまいそうなフィービーを見かねて、モニカは「あなたの電話を私に渡して」と言っています。
電話の子機を預かったモニカは、「あなたの携帯も(渡して)」と言います。
cell または cell phone は携帯電話のことですね。

「携帯も預かるわ」と言われたフィービーは、立ちあがって、戸棚の下の扉を開け、そこから電話を取り出すのですが、画面に映った電話が、あまりにもデカいので、観客も笑っています。
ト書きにあるように、まさに、a huge, clearly obsolete cellphone 「巨大な、明らかに時代遅れの(旧式の)携帯電話」で、一昔前のトランシーバーみたいな感じです。

モニカは信じられないという顔で、「これがあなたの携帯電話?」と尋ねるのですが、フィービーはしれっとした顔で、「そうよ」と答えます。
モニカは念押しする形で、再度質問しますが、current は「現在の、現行の」ということですから、This is your current cell phone? は「これが、あなたが現在使っている携帯電話?」と言っていることになりますね。
モニカは、「こんな旧式を使ってるわけないと思うけど」と言いたいわけですが、フィービーはここでも頑張って、「そうよ」と肯定し、It reminds me of a simpler time. と言っています。
直訳すると、「それ(その電話)は、私に、よりシンプルな時代を思い出させる」になるでしょう。
それを使っていると、「昔は、今みたいに複雑じゃなくて、何もかもがシンプルだったなぁ〜」と思い出させてくれるのよ、そういう気持ちにさせてくれるから、今だに私はそれを使ってるのよ、と言っていることになります。

フィービーの説明に納得していないながらも、とりあえずその大きな電話を自分のバッグにしまうモニカに笑ってしまうのですが、この後、「フィービーのバッグの中に、今の携帯があるはず」とモニカに察しをつけられ、結局、フィービーが今使っている携帯はモニカに取り上げられてしまうことになります。

「携帯も出して」と言われて、デカすぎる旧式の携帯を出すのはいかにもコメディっぽいところですが、そういう「見るだけで笑える部分」も楽しみつつ、「これってあなたの電話?」、さらには「これってあなたが今使ってる電話?」と追いつめて行くモニカと、そんな旧式の電話を使っている理由をフィービーが英語でどう説明しているかも同時に楽しんでいただければと思います。


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posted by Rach at 17:50| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月10日

天使のように眠ってる、あどけない君 フレンズ9-17その3

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ジョーイは、ペンギンのぬいぐるみのハグジーが、エマのベビーベッドの中にあるのを見て、「どうしてハグジーがエマのベッドにいるの?」と尋ねます。
エマがハグジーを気に入った様子なので、一緒に寝かせてる、と説明するレイチェル。
エマと寝てても構わないと言いながらも、その態度は明らかに「大事なハグジーをエマに取られて怒っている」様子だったジョーイは、その夜…
[Scene: Rachel's room. Rachel and Emma are sleeping; Joey sneaks in and approaches the crib]
レイチェルの部屋(寝室)。レイチェルとエマは眠っている。ジョーイは部屋の中に入ってきて、ベビーベッドに近づく。
ジョーイ: Look at you. All sweet and innocent, sleeping like an angel. With Emma's chubby little hands wrapped around ya. (he picks up Hugsy) It's okay, Emma. You stay asleep. (Emma cries) (君のその姿。ほんとに可愛らしくてあどけなくて、天使のように眠ってる。エマのぽっちゃりした小さな手が君に巻かれた状態でね。[ジョーイはハグジーを取り上げる] オッケー、エマ。そのまま眠ってなよ。[エマが泣く])
レイチェル: (threatening Joey with a scrunchy) Step away from the crib! I have a weapon! ([シュシュでジョーイを脅しながら] ベビーベッドから離れなさい! 私は武器を持ってるのよ!)
ジョーイ: It's okay! It's okay, Rach! It's me. Put down the scrunchie. (大丈夫、大丈夫だよ、レイチェル! 俺だよ。シュシュを下ろしてよ。)
レイチェル: What are you doing? (何やってるの?)
ジョーイ: Well, I heard Emma stirring, so I came in to make sure she could reach Huggsy. (いや、エマが起きている[身動きしている]のが聞こえたんで、それでエマが(確実に)ハグジーに手が届くように[エマの手の届くところにハグジーがいるように]するために、俺は(部屋に)入ってきたんだよ。)
レイチェル: Oh, oh thanks. Alright well, now that I'm up, I'm gonna go to the bathroom. (あぁ、ありがと。いいわ、今、私起きたから、お手洗いに行ってくるわね。)
ジョーイ: (placing Hugsy back in the crib) Okay, there you go, sweetie... (to Emma) This isn't over! ([ハグジーをベビーベッドに戻して] よし、ほら、スウィーティ… [エマに] これで終わりじゃないぞ!)

まずは、ペンギンのぬいぐるみのハグジーについて。
過去記事、紛らわしくないように俺が預かっとく フレンズ8-7その5 では、妊娠中のレイチェルのために、ジョーイがベビーベッドをセッティングしていたのですが、ベッドの中にハグジーが置いてあるのを見て、「(生まれてくる)赤ちゃんにハグジーをくれるの?」とレイチェルが喜んだところ、「これは赤ちゃんの場所を確認するために置いただけで、、」と理由を付けて、ジョーイは強引に取り返していました。
その時のジョーイの様子を見ても、「赤ちゃんにハグジーをあげるなんてとんでもない。誰にもハグジーは渡さないぞ!」という気持ちなのは明らかだったのですが、今回はジョーイが知らない間に、ハグジーがエマのものみたいにされてしまっていたので、口では「エマにあげるよ」みたいに言っておきながらも、ジョーイはイライラが隠せません。

このシーンでは、レイチェルとエマの寝室に入って来た後、心の中の独り言として、Look at you. 以下のセリフを言っています。
まず、Look at you. については、「君を見ろ、自分を見てみろ」ということですが、これは「君の姿を見てみろよ。君のその見た目の姿に注目だね」みたいな感じで、その姿にびっくりした、驚いた、感動した、などの時に使います。
このような、Look at you. は過去のフレンズに何度も登場していますが、以下の フレンズ1-23 のセリフが一番わかりやすいでしょうか。
ロスの元妻キャロルが出産する病院で、イケメンのお医者さんと知り合ったレイチェルが、服まで着替えて戻ってきたので、その姿に驚いた様子のフィービーが、
フィービー: Hey. Ooh, look at you, dressy-dress. (まぁ、あなたのその姿。ドレッシーなドレスねぇ。)
と言っていました。
良い意味なら、「あなたのその姿、とっても素敵ね」という褒め言葉となり、悪い意味なら、「何て格好(かっこう)をしてるんだ」という非難のニュアンスとしても使われるフレーズです。

Macmillan Dictionary にも、このような look at you についての説明が載っていました。
look at you (spoken)
b. used for telling someone that you are surprised or impressed by them
例) Look at you, all dressed up in a suit!

つまり、「(口語) ある人に驚いた、または感銘を受けたことをその人に言うために使われる」。例文は、「あなたのその姿、スーツですっかりドレスアップしちゃって!」

これは、さきほど例に挙げた、dressy-dress のセリフとよく似た感じですね。
マクミランの例文では、"Look at you, all (dressed up)" という形になっていましたが、今回のジョーイのセリフも、"Look at you. All..." となっていて、「君のその姿。すっかり(全く・ほんとに)…で」と、目の前にいる相手の姿に感銘を受けている感覚になります。
「ほんとに可愛くてあどけなくて、天使のように眠ってる」とジョーイは言っていますが、innocent 「無垢な、純真な、あどけない」という形容詞や、「天使のように眠っている」という表現は、可愛らしい赤ちゃんを見た時の決まり文句でもありますので、このセリフを聞いた時には、「あぁ、ジョーイはエマの寝顔を見てそう言ってるんだな」と想像するわけですが、その後の With Emma's... の部分を聞いて、「ジョーイはエマのことを言ってるんじゃなかった」ことがわかるオチになっています。

With Emma's chubby little hands wrapped around ya (=you). を直訳すると、「エマのぽっちゃりした小さな手が、君の回りに wrap された状態で」になるでしょうか。
LAAD の wrap の項目には、以下の形が出ています。
wrap something around somebody/something [phrasal verb]
2. if you wrap your arms, legs, fingers etc. around something, you use them to hold it
例) He wrapped his arms around her waist.

つまり、「人が(自分の)腕、脚、指などを何かの回りに wrap するというのは、それを持つ[支える・抱く]ために、腕などを使うこと」。例文は、「彼は自分の腕で、彼女の腰を包んだ[腰に手を回して彼女を抱いた]」。

通常はこのように、S wrap one's arms/hands around something という形になるわけですが、「腕・手を(もの)の回りに巻く・まとう」の目的語部分の体の部位(今回は hands)を、With (Emma's chubby little) hands という形で始めているので、「(エマのぽっちゃりした小さな)手が、君に wrapped (巻かれた・巻かれている)状態で」のように、過去分詞形で表現されているわけですね。

「エマの手が君に巻かれている」→「エマの手が君を包んでいる」と表現していることで、ここでジョーイが言っている you は、エマの横にいるハグジーを指していることがわかる、というオチです。
寝室に入ってきた時に、「君って、無垢で天使のような寝顔だね」とジョーイが言っていたのは、赤ちゃんのエマのことではなく、ぬいぐるみのハグジーのことだったことがここでわかる、ということですね。

ジョーイは、エマの隣にいたハグジーを取り上げて、エマに、「いいよ、エマ。そのまま眠ってなよ」と言うのですが、気配に気づいたエマが泣き始めます。
エマの泣き声で、エマの母親であるレイチェルは飛び起きて、白く太いゴムのようなものを指にかけて、(ワンピースのウソップが使うような)パチンコのような感じで、ジョーイに狙いを定めています。
ト書きでは、scrunchy と表記されており、Google 画像検索をすれば一発でわかりますが、これは「シュシュ」のことですね。
英英辞典のロングマンやマクミランでは scrunchie と表記されていました。(実際、少し後にセリフの中で登場した時には、DVD英語字幕では、scrunchie と書かれています)
LAAD では、
scrunchie : a circular rubber band that is covered with cloth, used for holding hair in a ponytail
つまり、「布で覆われた丸いゴムの輪、ポニーテールの髪を留めるために使われる」。

シュシュでゴムパッチンみたいにしたところで、布製だし全然痛くなさそうですがw、レイチェルは寝ぼけ眼(まなこ)ながらも「ベビーベッド(crip)から離れなさい! 私は武器を持ってるのよ!」と、子供を守ろうとする母親として頑張っているのが何だか微笑ましいです。

ジョーイが慌てて、「レイチェル、俺だよ! そのシュシュを下ろしてよ!」と言ったので、相手がジョーイだとわかったレイチェルは、「何してるの?」と尋ねます。
エマからハグジーを取り返しに来た、とも言えず、ジョーイは別の理由を言っていますね。
I heard Emma stirring の stir は、他動詞では「(液体などを)かき混ぜる、かき回す」という意味で使われますが、ここでは自動詞で「動く、身動きする、起きる」という意味で使われています。
すやすや眠っていないといけない時間帯なのに、エマが何だかゴソゴソと起きているらしい、何だかむずかっているらしい様子が聞こえた、というところでしょう。
so I came in to make sure she could reach Huggsy. を直訳すると、「だから俺は(この部屋に)入ってきた。エマが(確実に・間違いなく)ハグジーに手が届くようにするために」。
夜中に目が覚めちゃったエマが寂しいと感じないように、エマの手の届くところにハグジーを置いてやろうと思ったんだよ、みたいなことですね。

とっさに考えたにしては、あまり不自然でもない言い訳でしたので、レイチェルもそれを信じ、「ありがとう」と言ってから、「今、ちょうど私も起きてるから(起きちゃったから)、トイレに行ってくるわ」と言って部屋を出て行きます。
レイチェルに目撃されて、エマを取り戻すことができないとわかったジョーイは、部屋から出て行くレイチェルを意識しながら、"Okay, there you go, sweetie..." 「よしよし、ほら、スウィーティ」と、さもエマに語りかけるかのように言いながら、元々あった場所にハグジーを置きます。
その後、レイチェルに聞こえないのをいいことに、エマに対して、This isn't over! 「これで終わりじゃないぞ。これで終わりじゃないからな!」みたいな捨てゼリフを言っていますね。
今回はレイチェルに邪魔されちゃったけど、また必ずハグジーを取り戻しに来るからな! とエマに宣言したような感じで、赤ちゃん相手にそんなことをムキになって言っている、ジョーイの子供っぽさがよく出たシーンだと思いました。


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posted by Rach at 16:42| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月07日

未来がないからって楽しんじゃいけないわけじゃ フレンズ9-17その2

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前回のエピソードで、結婚に対する考え方の違いから、フィービーとマイクは別れることになってしまいました。
マイクと別れたことで、フィービーはものすごく落ち込んでいる様子。
[Scene: Central Perk]
セントラルパーク。
フィービー: Hi. ([暗い声で] はーい。)
モニカ: Hey, Phoebe. How you doin'? You feelin' better? (はーい、フィービー。調子はどう? 気分は良くなってる?)
フィービー: Breaking up sucks! Oh, I really miss Mike! (別れるって最低よ! あぁ、ほんとにマイクが恋しいの。)
チャンドラー: Oh, I'm so sorry. (あぁ、つらいだろうね。)
フィービー: Oh God, I've tried everything to make myself feel better. I even tried writing a song about it... but... I can't think of anything that rhymes with: AARRGGHH!! (pause) Hey, Monica, I'm gonna need your help getting through this. (なんてこと。自分の気持ちがましになるように、あらゆることをしてみたの。そのことについて歌を書いてみようとすらしたわ、でも… これと韻を踏む言葉が何も浮かばないの。「あー!」よ。[間があって] ねぇ、モニカ、これを乗り切るために、あなたの助けが必要になるわ。)
チャンドラー: You're saying you're not gonna need my help? (僕の助けが必要になることはない、って言ってるのかな?)
フィービー: Well, no. When I get to the point where, you know, I'm ready to hear cruel, mocking jokes about Mike, I'm gonna come to you. (そうね、ないわ。マイクについての無慈悲な[キツい]あざけるような[ばかにしたような]ジョークを聞く準備ができているとこまで私が到達したら、あなたのところに行くわね。)
チャンドラー: Oh, good, 'cause I've already thought of 3... 4! I've just thought of a fourth. (he goes towards the counter) (あぁ、それは良かった。だって、俺はもう既に(そういうジョークを)3つ考えたから…(いや)4つだ。ちょうど4番目を思いついた。[チャンドラーはカウンターに向かう])
フィービー: Okay. I mean, I know I did the right thing. You know, Mike never wants to get married and I shouldn't be in a relationship that has no future. But... pretty soon, I'm gonna miss him so much. I'm gonna wanna see him again, and you have to stop me from doing that. (いいわ、ほら、私は正しいことをしたってわかってるのよ。ほら、マイクは決して結婚したいと思わないし、私は未来のない関係にいるべきじゃない。でも… すぐに、私は彼がものすごく恋しくなっちゃうの。もう一度彼に会いたいと思うことになるわ、だから私がそうすることをあなたは止める必要があるの[あなたに止めてほしいの]。)
モニカ: Okay, you got it! (オッケー、まかせて[了解]。)
フィービー: (after a pause) Unless.... Am I being too crazy about this? Alright, so, you know, there's no future. But that doesn't mean we still can't have fun. You know what? Forget what I said. ([間があって] でもこういうことなら話は別だけど… 私はこのことについてクレイジーになりすぎてるの? ほら、未来はないわ。でもそれが、私たちが楽しんじゃいけない、ってことにはならない。ねえ? 私が言ったことは忘れて。)
モニカ: Really? All right, if that's what you want... (ほんとに? いいわ、もしそれがあなたの望みなら…)
フィービー: That was a test, and you just failed. (今のはテストよ、で、あなたはテストに落ちた[失敗した]。)
モニカ: Damn it! Rookie mistake! (しまった! (今のは)初心者のミスよ!)

セントラルパークに入ってきたフィービーは、暗い声で挨拶しています。
その様子を見てモニカは、How you doin'? You feelin' better? と尋ねていますね。
どちらも、文法的に正しく書こうとすると、How are you doing? You're feeling better? になるところでしょうが、進行形を作るために存在する be動詞は、元々強く発音されないため、会話ではこのように省略されてしまうことも多いのですね。
DVD の英語字幕でも、How you doing? You feeling better? のように、be動詞のない形で表記されていますので、「小さく発音されているから聞こえない」というよりも、「元々、言葉として be動詞が発音されていない」ということになるでしょう。

How you doin'? というのは、ジョーイのナンパのセリフ(pick-up line)として、フレンズファンにはおなじみなので、(宣伝にようになって申し訳ないのですが)、拙著「読むだけ なるほど! 英文法」の p.242 でも、How you doin'? に絡める形で、be動詞の省略について説明させていただきました。
今回のシーンでは、モニカが How you doin'? と言っていますが、元々、How you doin'? 自体は、ジョーイ以外も普通に使う言い方であり、ジョーイのナンパのセリフが彼のキャッチフレーズとして有名になっているのは、あの「男の色気を出したような、独特の抑揚がついたあの言い方」を含めてのものだ、ということです。

Breaking up sucks! の suck という動詞は、フレンズによく出てきますが、「最低である」(= be terrible)という意味。
break up は「(恋愛関係にあった人が)別れる」という意味で、恋愛ドラマ頻出表現ですね。
「別れるってことは、もう最低!」みたいに言って、「本当にマイクが恋しいの。マイクがいなくてとっても寂しいの」と言っています。

その後、フィービーは、「気持ちがましになるように、すべてのこと(あらゆること)をした。そのことについて曲を書こうとさえした」と言っています。
I can't think of anything that rhymes with: AARRGGHH!! を直訳すると、「あーっ! と韻を踏むものを何も思いつかなかった」になります。
マイクと別れたことについて、歌を作ろうと思っても、出てくる言葉は「あーっ!」という、やりきれない叫び声ばかりで、あーっ!と韻を踏む歌詞ができなくて、曲を作ることができなかった、と言っていることになるでしょう。

「これ(この状態)を乗り切るために、あなたの助けが必要になる」とフィービーがモニカに言ったので、モニカの隣に座っているチャンドラーは、「それって、俺の助けは必要ない、ってこと?」みたいに尋ねています。
フィービーは、Well, no. 「そうね、要らないわね」みたいに返事した上で、When...., I'm gonna come to you. 「〜する時には、あなたのところに来る(行く)わね」と言っています。
「今はとりあえずあなたの助けは不要だけど、〜の時には、あなたの助けが必要になるから、あなたのところに行くわ」と言っている感覚ですね。
日本語ではそのように、「あなたのところに行くわ」と「行く」という単語を使うところですが、英語ではこのように、「イメージしているところに向かう、近づく」場合は、come を使うことになります。

When 以下で、「こういう時にはチャンドラーのところに行く」と説明していることになりますが、それはどんな時かということを、前から順番にイメージしていくと、
「私が(where 以下の)ポイント(地点)に達する時、そのポイントでは、ほら、マイクに関するキツくてあざけるようなジョークを聞く準備が私にできている[心構えができている]」
になるでしょう。
あなたがマイクのことをバカにするような辛辣なジョークを言うのを、私が聞けるくらいの心境になったら、あなたのところに行ってそういうジョークを聞かせてもらうわね、ということですね。

そう言われたチャンドラーは、「そりゃ良かった。だって俺はもう既に、3つ思いついたから」みたいに言うのですが、3 (three) の後、すぐに 4 (four) と言い直しています。
英語の語順に合わせた感じで言うと、「だって俺は既に思いついたからね、3つを、いや4つを!」みたいなことですね。
4つ、と言い直したことについて、「今、こうして話している間に、ちょうど4番目を思ついたんだ」とも付け加えています。

チャンドラーがカウンターに行ったため、残ったフィービーとモニカは、さきほどの「モニカの助けが必要」の件について話し合っています。
別れたことについて、「私は正しいことをしたってわかってるの」と言っていますが、アメリカのドラマでは、別れる別れないの話の時に、I did the right thing. という表現がよく出てくる気がします。
フレンズ2-8その10 でも、ジュリーと別れてきたロスが、
ロス: I did the right thing. (僕はするべきことをしたんだ。)
と言っていましたね。

フィービーは「マイクは結婚したくないと思っているし、私は未来のない関係にいるべきではない」と、自分の判断の理由を述べています。
その後、「でもすぐに、彼をものすごく恋しくなっちゃうの、彼に会いたくなっちゃうの。だから、私がそうしようとするのを[彼に会おうとするのを]あなたに止めてもらわないと」と言っていますね。
別れたことは正しいと、理屈では、頭では、わかってるんだけど、彼に会いたいという気持ちが抑えられない、ということですね。
モニカはその頼みを即座に了解するのですが、頼んだ方のフィービーが、Unless... 「もし…なら話は別だけど」と、話を別の方向から切り出してきます。
「私が彼に会いに行きそうになったら、絶対に止めてよね!」と頼んだ後に、Unless と続けているということは、「でも、こんな風に考えたら、止めてもらう必要はないのかも。別に会ってもいいのかも」という話の流れになることが想像できます。
そういう話の方向性を意識しながら、後のセリフを見てみると、まず最初のセリフは、「私はこの件について、クレイジーになり過ぎてるのかもしれないわよね?」となりますね。
つまり、「彼と会っちゃいけないんだ! とあまりにもムキになり過ぎているけれど、もっとお気楽に考えてもいいんじゃないのかしら?」と自分で言っていることになるでしょう。
there's no future. But that doesn't mean we still can't have fun. を直訳すると、「未来はない。でも、そのことが[未来がない]ということが)私たち[私とマイク]が(依然としてこれから先も)楽しめないということを意味しない」になるでしょう。
もう少し日本語っぽく訳すと、「未来がないからって、それで、私とマイクが楽しんじゃいけないっていうことにはならない」というところですね。
未来がないとわかっていても、好きな者同士、一緒にいて人生を楽しんでも構わないわよね? と言っていることになるでしょう。
「彼とは会わない」と言ったことと真逆の内容を、つい本音として漏らしてしまった感じのフィービーは、「私がこんなこと言ってちゃいけないわよね」とでも言うように、「私が今言ったことは忘れて」とモニカに言います。

フィービーの揺れる女心を読み取ったモニカは、女性としてその気持ちに共感した様子で、「ほんとに(いいの)? もしそれが(未来はなくても、マイクと楽しんでもいい、という話が)あなたの望むことなら…(そうしたらいいんじゃないの?)」と言いかけるのですが、フィービーは、「今のはテストよ。そしてあなたはそのテストに落ちた(失敗した、しくじった)」と言い放ちます。
自分のことを親身になって心配してくれている相手に対して、何とも意地悪な返しですが(深刻な会話の中にこういう部分が挿入されるのが、コメディーとも言えますが)、モニカは、フィービーのトリックに引っ掛かったことが悔しかった様子で、「しまった!」と言った後、Rookie mistake! と言っています。
rookie は「ルーキー」で、「新人、初心者」ですから、「初心者のミスよ。今のは私が(こういうことに慣れてなくて)初心者だったからミスしたのよ!」と言い訳した感覚になるでしょう。
今は最初でうっかり引っ掛かっちゃったけど、これからは引っ掛からないんだからね、と宣言している感じもあり、負けず嫌いのモニカらしいセリフだなと思いました。


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2015年08月05日

世間が何と言おうと構わない フレンズ9-17その1

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シーズン9 第17話
The One With The Memorial Service (間違いだらけの掲示板(BBS))
原題は「追悼式の話」


フレンズの男性陣は、これからバスケットボールをしようとしているところですが、出かける前に、ロスは、a new alumni website for college 「大学の新しい同窓会(卒業生)ウェブサイト」が出来たんだ、と言って、そこにメッセージを打ちこんでいます。
チャンドラー: Let me see what you wrote about yourself: "Doctor of paleontology, two kids...." (pause) Wait a second. You split with Carol because you have different interests? I think you split with Carol because you had one very similar interest! (お前が自分のことを何て書いたか俺に見せてよ。”古生物学の博士で、子供は二人…” [間があって] ちょっと待て。異なった関心(興味)を持っていることが理由で、お前はキャロルと別れた、って? 一つの非常に良く似た関心を持っていたためにお前はキャロルと別れたんだ、と俺は思うんだけど。)
ロス: You know what? I'm gonna finish this later, okay? Let me just grab my coat. (ねぇ? これは後で終わらせるよ。ちょっとコートを取りにいかせて。)
ジョーイ: Okay! (he throws the basketball against a table again) (オッケー! [ジョーイはまた、バスケットボールをテーブルの方に投げてしまう])
ロス: (he picks up the ball) What, did you think you learned how to do in the last two minutes?? (he enters another room) ([ロスはボールを拾い上げて] 何だよ、この2分間でやり方を学んだとでも思ったのか? [ロスは別の部屋に入る])
チャンドラー: Maybe we finish this for him! (he sits down on the sofa and he start typing on Ross' computer) "Also I cloned a dinosaur in my lab. She's now my girlfriend. I don't care what society says. It's the best sex I've ever had."... aaand SEND! (多分、ロスのために俺たちがこれを終わらせる! [チャンドラーはソファーに座り、ロスのパソコンに文字を打つ] ”それから僕は研究室で恐竜のクローンを作りました。彼女は今、僕の恋人(彼女)です。世間(社会)が何と言おうと僕は構わない。今までで最高のエッチです” …そして〜、送信!)
ジョーイ: (he stops Chandler from posting the message) No, no, no-- what do-- You can't do that to him! ([チャンドラーがメッセージを投稿しようとするのをジョーイが止める] だめだめだめ。何を… ロスに対してそんなことしちゃだめだよ。)
ロス: (he comes back) Alright, let's go! ([ロスが戻ってくる] よし、行こう!)
ジョーイ: Dude! (he opens his arms to receive the ball from Ross' hands) (ほら! [ジョーイはロスの手からボールを受け取るため、腕を広げる])
ロス: I think you made it clear you can't be trusted with the ball inside the house! (家の中でのボールの扱いに信頼がないことを、君はすでに証明したと思うけど。)
ジョーイ: (after Ross leaves the room) aaand SEND! (he hits the send button) ([ロスが部屋を出た後で] そして〜、送信! [ジョーイは送信ボタンを押す])

大学の同窓会サイトに、自分の近況を打ち込んでいるロスを見て、チャンドラーは「お前が自分自身のことを何て書いたか俺に見せて」と言い、その内容を声に出して読み上げています。
「古生物学の博士で、子供が二人」と言った後、「ちょっと待て」と言って、ロスが書いていた内容を語っています。
内容を直訳すると、「異なる関心(興味)を持つという理由で、お前は(元妻)キャロルと別れた」になるでしょう。
その内容を、語尾を上げる感じで読み上げることで、「そんな理由で二人は別れた、ってお前は言うつもりか?」というニュアンスが出ますね。
その後、I think you split with Carol because... と続けることで、「(お前は別れた理由をそんな風にサイトに書き込んでいるが)俺は…という理由でお前たちが別れたと思うんだけど」と言っていることになります。
チャンドラーの意見では、「(二人は)1つの非常に良く似た関心(興味)を持っていたから、お前はキャロルと別れた、と俺は思う」になります。

ロスとキャロルが離婚したのは、「キャロルがレズビアンだったから」というのが理由で、その話は、フレンズ1-1 (パイロット版)で説明されて以来、ことあるごとに持ち出される話題ですが、ここでもまた、チャンドラーにネタとして使われてしまっている、ということですね。
ロスも、同窓会サイトに書く内容なので、わざと漠然とした interest 「関心、興味」という言葉を使ったのでしょうが、「僕は異性愛者だったけれど、キャロルは同性愛者だった」ということを、「関心が違った」と表現したことになるでしょう。
それを受けてチャンドラーは、「関心が違う、と書いているけれど、ロスもキャロルも、どっちも”女性が好き”という意味では、関心の対象は同じじゃないの?」と言ってみせたわけですね。
「1つの非常に良く似た関心・興味」と表現することで、「恋愛対象が女性である」という関心の方向性が同じだ、と表現したことになります。
もっと具体的に表現すると、sexual orientation 「性的指向(恋愛対象となるのがどの性か)」が同じ、ということになりますね。

「関心が違う、とか言って、関心の対象が全く同じだったわけじゃん」などと、いつものようにレズネタでからかわれてしまったロスですが、サイトへの書き込みについて、「これは後で終わらせるよ(続きは後にするよ)」と言った後、「コートを取りに行かせて(コートを取りに行ってくる)」と言って、奥の部屋に向かおうとします。
ジョーイは、指先でバスケットボールを回そうとして失敗し、ロスのテーブルにボールをぶつけ、その上に乗っているものを落としてしまうのですが、少し前にも同じことをやろうとして、同じようにロスのものを落としてしまったばかりなので、ロスは怒った様子でボールを拾い上げ、What, did you think... というセリフを言っています。
What, did you think you learned how to do in the last two minutes?? を直訳すると、「何? この(直近の)2分間で、自分はやり方を学んだとお前は思ったのか?」になるでしょう。
最初に失敗したのがDVD経過時間にすると、0:08、今失敗したのが 1:10 くらいだったので、実際には1分間くらいしか間が空いていないのですがw 「こんなわずかの時間で、指先でボールを回す、という芸当をマスターできたとでも思ったのか?」→「成功するわけないとわかってるだろうのに、また同じことを繰り返すのか? さっき失敗したばっかりなのに、また同じ失敗をして、僕の部屋のものを壊すのか!」的なことをロスは言いたいわけですね。

そして、プリプリ怒っているロスは、ボールを持ったまま、奥の部屋にコートを取りに行きます。
ロスが奥に行った後、チャンドラーは、Maybe we finish this for him! 「多分、ロスのために、俺たちがこれを終わらせる」と言っています。
ロスが見ていない間に、俺たちでこのメッセージを完成させちゃおうぜ、みたいなことですね。
ゴミ箱を頭にかぶって、どこぞの王様みたいな姿で、チャンドラーは嬉しそうに、ロスの文章の続きを勝手に打ち込むことになります。
Also I cloned a dinosaur in my lab. は、「また、僕は(僕の)研究室で、(一匹の)恐竜をクローンしました(クローンを作りました)」。
その後、さらに悪乗りして、「彼女(そのメス恐竜)は、今、僕の彼女(恋人)です」とまで書いていますね。
I don't care what society says. It's the best sex I've ever had. は、「世間(社会)が何と言おうが僕は構わない。僕が今までで体験した最高のエッチです」になるでしょう。
つまり、「僕がクローンとして作ったメス恐竜とのエッチは、人生最高のエッチです」と言っていることになりますね。
「世間が何と言おうが構わない」という表現は日本語にもありますので、それを英語で表現する場合には、I don't care what society says. と言えばいいんだな、ということもポイントですね。

ジョーイもその内容を聞いて、ほほほーぅ、と嬉しそうに笑っていたのですが、チャンドラーが "... aaand SEND!" と言いながら、まさに送信ボタンを押そうとした瞬間、ジョーイはそれを止め、「ロスに対して、そんな(ひどい)ことをしちゃだめだ」と言います。
そこにちょうど、ロスがコートを持って戻ってきます。
ボールを持っているロスに対して、Dude! と呼び掛け、「こっちにボールをちょうだい!」みたいに、手を構えたジョーイですが、ロスはジョーイがものを壊したことをまだ怒っているらしく、怖い顔でジョーイをにらみながら、I think you made it clear you can't be trusted with the ball inside the house! と言っています。
make it clear (that) は、「(that 以下の内容を)はっきりさせる、明確にする、明らかにする」。
can't be trusted with は「…のことで信頼されない」。
ですからロスのセリフは、「家の中でのボール(家の中でボールを使うこと)について、ジョーイは信頼されないということを、ジョーイ(自身)がはっきりさせたと(僕は)思う」になりますね。
つまり、「家の中でボールを使うことについてはジョーイを信頼できない、っていうことを、さっき、君自身が証明してみせただろ」と言っていることになりますね。
家の中で、君にボールを預けるわけにはいかない、さっきみたいにまた物を壊されたらたまらないから、ということで、「ボール、貸して!」と手を出したジョーイにボールを渡すのを拒否したわけですが、そう言って先に出て行ったロスのことを、ジョーイは「何だよ、そこまで言わなくてもいいじゃんか」みたいな顔で見ています。
ドアのところで振り向いたチャンドラーはジョーイが来るのを待っていますが、そこでジョーイは、さっきチャンドラーが言ったのと同じような言い方で、aaand SEND! (And send.) と言って、送信ボタンを押すことになります。
それを見たチャンドラーは、嬉しそうな顔をして笑っていますね。

最初にチャンドラーが送信ボタンを押そうとした時に、そういうおふざけが大好きなはずのジョーイが「珍しく」チャンドラーを止めていましたが、「フレンズの展開に慣れたファン」なら、「ここでジョーイが止めて、それで終わるはずがない」と予想できてしまう感じもしますね^^
案の定、「ジョーイはいったんは止めたけれど、ロスに叱られる形になって、むっとして”仕返し”のように送信ボタンを押した」という展開になったわけですが、「珍しくイタズラを止めた真面目なジョーイ」を、どういう風に最後のオチに結びつけるのかな? というのを待ち構えながら見るのもまた、コメディーの楽しみ方の一つと言える気がしました。


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posted by Rach at 18:43| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月03日

私が望むことを望んでくれる人と フレンズ9-16その6

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少しでも離れていたくない、と感じ始めたフィービーとマイクは、同居することを決めるのですが、前回の結婚が最悪だったというマイクは、「同居はしても、結婚するつもりは全くない」と言います。
フィービーもその意見を受け入れたつもりでしたが、「やっぱり結婚したい」という強い気持ちが抑えられず、フレンズがマイクの荷物を運びこんでいる最中に、そのことをマイクに告げるのですが、
マイク: But if you wanna get married why didn't you say something before? (でも、もし君が結婚したいと思ってるのなら、どうして前に何か言わなかったの?)
フィービー: Because I just didn't know how much I wanted it. And I love you, and I wanted to live with you. (それは私がどれほど結婚したいと思っているかが自分でもわからなかったからよ。そして、私はあなたを愛してる、だからあなたと一緒に住みたかったの。)
マイク: I want to live with you too! Let's do that! (僕も君と一緒に住みたいよ! (だから)そうしようよ!)
フィービー: But I don't think I can! It was, It was okay to move in when I didn't know what was gonna happen. But I can't move in knowing nothing is ever gonna happen. (でも私にはできそうにないわ! 一緒に住むのはオッケーだった[問題なかった]、(この先)何が起こるか私にはわからなかった時にはね。でも、これから先、決して何も起こらないと知りながら、一緒に住むことはできないわ。)
マイク: Can we at least try living together? I mean, you might change your mind about marriage. (少なくとも、一緒に住むこと(同居・同棲すること)を(実際に)やってみようよ。ほら、結婚について、君が考えを変えるかもしれないし。)
フィービー: Are you gonna change yours? (あなたは自分の考えを変えることになる?)
マイク: No. (いいや。)
フィービー: Me neither. I think I need to be with someone who wants what I want. (私も変わらないわ。私は、私が望むことを望んでくれる人と一緒にいる必要があると思うの。)
マイク: But I don't want this to end. (でも僕は、これを終わりにしたくない。)
フィービー: No, I don't want it to end either. (私もそれを終わりにしたくないわ。)
マイク: I can't believe this is gonna end. I guess I'll have my stuff picked up. (これが終わってしまうなんて、僕には信じられないよ。(運び入れた)僕の荷物は(後で)取りに来る[取りに来させる]よ。)
フィービー: Yeah. Okay. (そうね。わかった。)
マイク: Okay, so.... (They hug) Goodbye. (わかった、それじゃあ… [二人はハグする] さよなら。)
フレンズたち(口々に): Take it easy, Mike. Bye, Mike. (無理しないでね、マイク。さよなら、マイク。)
レイチェル: I'm so sorry, Pheebs. (本当に残念ね、フィービー。)
モニカ: We're all sorry. (They have a group hug) (私たちみんな、ほんとに残念に思ってる。[みんなでグループハグをする])
チャンドラー: Ah, look on the bright side. I mean, at least you won't have to live with this ugly chair! That was here already, huh? I love you. (they hug again) (あぁ、(物事の)明るい面を見ようよ。ほら、少なくともフィービーは、このかっこ悪い椅子と一緒に暮らす必要がないんだぜ! それはここにすでに(元々)あったのかな? 愛してるよ。[みんなはまたハグする])

マイクは、「もし君が結婚したいと思っているのなら、どうして前にそのことを言わなかったの?」と尋ねます。
前にその話が出た時には、「私も結婚したいとは思ってないわ」と言ったので、マイクもその言葉を信じてしまっていたわけですね。
フィービーは、「本当は結婚したいと思っていた」と言わなかった理由として、Because I just didn't know how much I wanted it. と説明します。
つまり、「ただ私は、私がそれ(あなたと結婚すること)をどれほど望んでいるか・欲しているかを知らなかっただけなの」。
どれほど強くあなたと結婚したいと思っているか、という自分の気持ちに、今になって気づいたの、というところですね。
マイクには結婚する意志がないと知っても、同居に同意したことについては、「あなたを愛してるから、あなたと一緒に暮らしたかった」と言っています。

マイクは、「僕だって君と一緒に住みたいよ。だからそうしようよ(予定通り、一緒に住もうよ・同居しようよ)!」と言うのですが、フィービーは半泣きの顔で、But I don't think I can! と答えます。
「私にはそれができるとは思えない」→「あなたと一緒に住むことは私にはできないと思う」ですね。
It was okay to move in... のセリフを前から順番にイメージすると、「(越してきて)一緒のところに住むことはオッケーだった。何が起こるかを私が知らなかった時には」になるでしょう。
もう少し日本語っぽく訳すと、「これから先、何が起こるかが私にわかっていなかった頃なら、一緒に住むことはオッケーだった、問題なかった」ということですね。
But I can't... は「でも、これから何も起こらない(起こることはない)と知っていながら、一緒に住むことは私にはできない」となります。
つまり、この先、二人の関係がどうなるか、とか、結婚するのかしないのか、とか、そういう将来的なことがわからない状態だったなら、一緒に住んでも問題なかったと思うけど、マイクにはっきり、「同居はしても、結婚することは絶対にあり得ない」と言われてしまった、将来的に結婚という選択肢がないとわかってしまった、そんな状態では一緒に暮らそうという気持ちになれない、ということですね。

Can we at least try living together? を直訳すると、「少なくとも、一緒に住む(同居・同棲する)ってことを、実際にやってみることはできない?」になるでしょうか。
つまり、「一緒に住むっていうのを、実際に少しだけでもやってみようよ」と言っている感覚ですね。
try to do と try doing のニュアンスの違いをここで改めて考えてみると、try to to の方は「〜しようとする」、try doing は「〜することを試しにやってみる」という訳語の違いとして表現されることになるでしょう。
今回の場合も、「一緒に住もうと努力してみる、同居に向けて頑張ってみる」というよりは、「ものは試しに、実際に一度、同居してみようよ」と、実際にそういう行動に移ることを促している感覚ですね。
「〜をやろうとしてみよう」ではなく、「試しに〜してみよう」ということで、行動に移る前に、あれこれ悩んでしまうんじゃなくて、とりあえずはやってみよう、試してみよう、そこからまた考えてみたらいいんじゃないか、ということをマイクが提案していることがわかるわけですね。

その try living together 「試しに同居してみよう」というセリフの流れの通り、その後も、「ほら、君が、結婚についての君の気持ち(意志・考え)を変えるかもしれないし」と説得しています。
you (might) change your mind ですから、「気持ちが自然に変わる」というよりも、「(同居という経験をすることで)君が今結婚に対して持っている考え方を、君が変える(かもしれない)」というように、「経験をすることによって、フィービーが考え方を変える」ことを期待しているセリフになっているわけですね。

そう言われたフィービーは、「(実際に同居してみることで)あなたはあなたの考えを変えることになる?」というように、逆に同じことをマイクに聞き返しています。
それに対してマイクは、No. とはっきり否定していますね。
「同居してみたら、結婚に対する君の考えが変わるかもしれないよ」とマイクは言ったのですが、いざ自分が同じ問いをされた場合には、「同居してみても、僕の”結婚の意志はゼロ”という気持ちが変わることはない」と認めたことになります。
Me neither. 「私も(あなたと同じく)考えを変えることはないわ」と言った後のセリフが切ないですね。
I think I need to be with someone who wants what I want. を直訳すると、「私は思う、私は、私が欲しいもの(望むもの)を欲しいと思う(望む)人と一緒にいる必要がある、と」。
自分がしたいと思っていることを、相手も望んでくれている、そういう人と一緒にいるべきだと思うの、ということで、今回の話で言うと、「私は結婚したいと思っているから、同じように結婚したいと思ってくれる人と、私は一緒にいるべきね」→「(私が望んでいる)結婚を望まない人とは、私は一緒にいない方がいい」ということになります。
お互いにしたいと思っていることや望むことが違っている場合は、一緒にいない方がいいわ、ということで、それは恋愛に限らず、人間関係全般においてもしごく正論な意見ですから、そう言われてしまっては、マイクも説得は難しくなってしまうでしょう。
お互い大好きだとわかっていても、望むものが違う場合は別れた方がいい、という結論になってしまうのは、フレンズ2-24その27 のモニカとリチャードの以下の別れのシーンを彷彿とさせますね。
モニカ: Oh my God. I can't believe what I'm getting ready to say. I wanna have a baby. But I don't wanna have one with someone who doesn't really wanna have one. (あぁ、どうしよう。私がこれから言おうとしていることは自分でも信じられない。私は子供を産みたいのよ。でも、本当に子供を欲しいと思っているわけではない人の子供を産みたくはないのよ。)
リチャード: God. I love you. (そんな…。君を愛してる。)
モニカ: I know you do. Me too. So what now? (愛してくれてるのはわかってるわ。私も愛してる。それでこれからどうしたらいいの?)

フィービーとマイクのこの重苦しい会話に、先ほどまでは重い荷物を運ばされてブーブー言っていたフレンズたちも黙ってしまい、カウチを下に置いて、みんな真剣な顔になっています。

But I don't want this to end. は、「でも僕はこれを終わりにしたくない」。
this というのは、フィービーとマイクとの「この(恋愛)関係」を指すでしょう。
その前にフィービーが言った、「私が望むことを望んでくれる人と一緒にいたい」というのは、「私が望むことを望んでくれない人(あなた=マイク)とは一緒にいられない」という最後通告のようなものですから、それは「私たち、別れましょう」というのと同義ですね。
ですからマイクも、「じゃあもうこれで僕たちの関係は終わりってこと?」という気持ちで、「でもこの関係を終わらせたくない、終わりにしたくない」と言っていることになります。
フィービーも「私も同じ気持ちよ。私だって、終わらせたくない」と言うのですが、気持ちだけではもうどうにもならないところまで来ているとお互いにわかってしまった感じですね。
マイクももう一度、「これが終わることになるなんて僕には信じられないよ」とは言ってみるのですが、その後、I guess I'll have my stuff picked up. という「別れを受け入れた」ことを示す発言をすることになります。

have my stuff picked up は、have+目的語+過去分詞、の形で、「目的語を〜される状態にする」という感覚ですね。
pick up は「拾い上げる、持ち上げる」というのが基本語義で、この場合は「(ものを)引き取る」というニュアンスが近いでしょう。
別れることを決めたため、後でまた二人が顔を合わせるのは気まずい、という思いがあるのでしょうね、このフィービーの部屋に置いてある自分の荷物や、少し運び込んだ家具など、そういうものを「(後で)僕が引き取りに来る」とは言わずに、(誰か他の人に託すのか、とか、どうやるのか、とかは未定だけど)「(自分が手配して)僕の荷物が引き取られる(ここから引き上げられる)ようにする」のように、my stuff が pick up されるようにはする、とだけ言っている感覚になるのだろうと思いました。
「誰が引き取りに来るか」という「誰が」の部分をあえて伏せて表現しているように思える、ということですね。

二人はハグし、さよならを言って別れます。
それまで黙っていたフレンズたちですが、わざと明るい調子で、口々にマイクに別れの言葉を掛けています。
マイクが去った後のフィービーに対して、レイチェルが、"I'm so sorry, Pheebs." モニカが "We're all sorry." と言っていますが、これが典型的な「”ごめんなさい”ではない sorry 」の例と言えるでしょう。
日本人は、I'm sorry. =ごめんなさい、と反射的に覚えている人が多いと思うのですが、「申し訳ないと心から謝っている」場合以外にも、このように、辛い・悲しい体験をした人に対して、「あなたのつらい気持ちに同情するわ。残念に思うわ」と共感を示す場合にも、I'm sorry. はよく使われるのですね。
さきほど言ったように、これを「反射的に」ごめんなさい、と訳してしまうと、フィービーとマイクの別れの原因がフレンズたちだったわけではないので、話の流れに違和感が生じてしまいます。
ドラマの中で、言葉を「文脈と流れ」で理解することによる効果はそういうことで、辞書で丸暗記しているレベルから、実際に使われているシーンに即した意味で捉えられる、という効果があるわけですね。

look on the bright side. は文字通り、「明るい側を見ろ」ということで、「物事の明るい面(いいほう)を見る」という意味。
at least you won't have to live with this ugly chair! は、「少なくとも君は、この醜い(かっこ悪い)椅子と一緒に暮らす必要がない!」になりますね。
マイクとの同居がなくなれば、この趣味の悪いマイクの椅子ともおさらばできるじゃない、みたいなことをチャンドラーは言いたかったわけですが、そのセリフに対する反応から、「これはマイクの持ち物じゃなくて、元々フィービーの家にあったもの。フィービーの持ち物」だと気付いたチャンドラーは、「その椅子はすでに(前から)ここにあったんだね?」と言い、「愛してるよ」と言って、またグループハグをすることで、失言をごまかすことになります。

今回のような別れのシーンでは、キャラの切ない気持ちが、英語でどれだけ読み取れたか、がポイントになってくるでしょう。
マイクが「試しに同居してみようよ。考えが変わるかもしれないし」のように、何とかフィービーの説得を試みるも、「あなたの考えが変わることはないでしょう? 望むことが違う人とは一緒にいるべきじゃない」とはっきり言ったことで、マイクも説得する術(すべ)を失ってしまったことが、「これで終わりなんていやだ」という「もう説得ではなくなってしまったセリフ」に表れているということですね。
説得を頑張ってみたけれど、マイクがどこで「もう説得するのは無理だ」と気づいたか、ということを、英語のセリフから感じると共に、相手の心を何とか動かそうとしているマイクと、もう無理だと言うことをマイクに伝えようとしているフィービーの、それぞれの表現からも学ぶ部分は大きいなと感じました。


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posted by Rach at 15:13| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月31日

wiggle room フレンズ9-16その5

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ラブラブがますます強まったフィービーとマイク。
フィービーと片時も離れたくないあまり、自宅にも帰りたくないと思ったマイクは、「一緒に暮らさない?」と提案、フィービーも即答でオッケーします。
同居することをフレンズたちに報告した際、「結婚も近そうね」と言われ、まんざらでもないフィービーでしたが、マイクはフィービーに「同居はしても、結婚は二度としない。前の結婚が最悪だったから」と、結婚の意志は全くないことを説明します。
フィービーもそれを理解したつもりでしたが、結婚についてロスに相談するなど、完全には気持ちが整理できていない様子。
それでも同居の準備は着々と進み、フレンズたちがマイクの大きなカウチをフィービーの部屋に運びこもうとしているシーン。
フィービー: Just one last time on... the marriage thing. There's no wiggle room? None at all? (結婚のことについて、最後にもう一度だけ。気持ちが変わるチャンスはないの? 全然ないの?)
マイク: No, but you don't want to get married either, right? (ないね、でも、君も結婚したいわけじゃないんだろ?)
フィービー: Right. Except that I do want to get married. (そうね。私は実際には結婚したいと思っている、ってことを除いてはね。)
ジョーイ: (voice strained) Couldn't have this conversation down at the truck, huh? ([ピリピリした声で] この会話、下のトラックのところで、できなかったのか? なぁ?)
マイク: What? You wanna get married? (何? 君は結婚したいの?)
フィービー: Someday. (いつかね。)
チャンドラー: Aaaaand....... hernia. (そしてー… ヘルニアだ。)
フィービー: I haven't exactly had a normal life. And I never really felt I was missing out on anything. But it just feels like now it's my turn to have some of the regular stuff. (私はこれまで、必ずしも普通の人生は送って来なかったわ。そして何かのチャンスを見逃していると感じたこともなかった。でもただこう感じるのよ、今、私が普通のことを持つ番だ、って。)

Just one last time on... the marriage thing. は「結婚のことについて、ただ最後にもう一度」というところですね。
There's no wiggle room? の wiggle は、動詞で「くねくね(ぴくぴく)動く(動かす)。小刻みに動く(動かす)」という意味。
room は一般的には「部屋」と訳されることが多いですが、「場所、あき」「余地、機会」という意味でも使われます。
There's plenty of room for improvement. なら、「改善の余地は大いにある」ということですね。

今回の There's no wiggle room? を直訳すると、「小刻みに動く余地(機会)はないの?」という感じになりますので、「少しでも気持ちが動く(気持ちが変わる)ことはないの?」と尋ねていることになるでしょう。

wiggle room というフレーズは、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、項目として出ていました。
wiggle room [noun, uncountable] (informal) : the chance to make small changes to a statement, decision, or agreement
例) The company has tried to leave itself some wiggle room in the contract.

つまり、「発言、決心、同意に対して、小さな変更を行うチャンス」。例文は、「その会社は、契約の中で、自らに少しの変更のチャンス(余地)を残しておこうとした」。

ですから、フィービーの There's no wiggle room? None at all? というセリフは、マイクが「同居はしても、結婚する意志は全くない」と言ったその気持ちについて、その決意が少しでも変わることはないの? 全くないの? と問うていることになります。

No は、「ないの?」と聞かれたことについて、「(確かに)ない」と答えるニュアンス。
but 以下は、「でも君も結婚したくないんだよね?」。
結婚しない、という話を、マイクがフィービーに初めて告げた時、「結婚しないのなら、同居もやめるべき?」と言ったマイクの発言に対して、フィービーは、"Oh, I definitely don't wanna get married. No, I just wanted to make sure you didn't want to, too." と言っていました。
訳すと、「あぁ、私は絶対に、結婚したくなんかないわ。私はただ、あなたも結婚したくないと思ってるかどうかを確認したかっただけなのよ」ということですね。
フィービーが実際にそう言っていたことから、マイクも「君もあんな風に、結婚はしたくない、って言ってたよね」とここで確認していることになります。

それを受けてのフィービーの、Right. Except that I do want to get married. について。
直訳すると、「その通り。私が実際には(本当に)結婚したいと思っていることは除いて」になるでしょう。
マイクの文章と繋げる形で、フィービーのセリフを文章にすると、「あなたの言っていることは正しい(その通り)。ただ「私が本当は結婚したいと思っている」ことは除いてね」。

Right. といったんは、マイクの発言を肯定するように言った後で、「ただし、この点は除いてね」と、except that 以下の点では、right ではないと言っていることになるのですが、その内容が、I do want to のように、want to を do で強調しているので、「”私は本当はとても結婚したいと思っている”ということを除いて」と言っていることになります。
except that のように、何かの一部を除外条件として挙げているように見えて、マイクの発言全部に対する否定を述べている形ですね。

このような、except の使い方は、過去のフレンズでも出てきました。
過去記事、加入ではなく共同設立 フレンズ8-9その5 では、ロスとウィル(演じるのはブラピ)の会話で、
ロス: But if you think about it, the "I Hate Rachel Club" was really the "I Love Rachel" Club. (でも考えてみたら、「レイチェル大嫌いクラブ[レイチェルを憎んでるクラブ]」は本当は「レイチェル大好きクラブ[レイチェルを愛してるクラブ])だったんだよ。)
ウィル: Uh, except that it was really the "I Hate Rachel Club." (あー、それが本当に「レイチェル大嫌いクラブ」であったということを除いてはね。)
というものがありました。
それも、いったんはロスの発言を受け入れたような形にしておいてから、「実際には〜だったことを除いてはね」と表現して、ロスの発言を完全にひっくり返すという表現になっていたわけですね。

今回のフィービーのセリフも、マイクの言葉をいったんは受けたような風の返事だったけれど、Except that を使って、それを全否定したことになります。
そのような二人の会話を聞いていたジョーイの発言、Couldn't have this conversation down at the truck, huh? について。
これは、省略されている主語を入れると、You couldn't have... になるでしょう。

重たい荷物を俺たちに運ばせているこのタイミングで、そんな会話をしているフィービーとマイクに対して、「君ら(フィービーとマイク)は、こういう(結婚したいかどうかという)会話を、下(階下)のトラックの(いる)ところで、できなかったのか?」というところですね。

もしこれが、(You) could have had this conversation... という、could + have + p.p. (過去分詞)の形だったなら、「君らは、こういう会話を、階下のトラックのところでできただろうに(実際にはそうしなかった)」というニュアンスになるでしょうが、今回は、couldn't have であり、have p.p. の形ではないので、「この会話を階下で持てなかった(できなかった)のか?」という文字通りのシンプルな意味になる、ということですね。
上の階まで重い荷物を運ばせる前に、そういうややこしい話を済ますことできなかった? 済ましておいて欲しかった、と言っていることになるでしょう。

「実際には結婚したいと思ってる」とフィービーが言うので、マイクは驚いたように、「何だって? 君は結婚したいわけ?」と尋ね、フィービーは、Someday. 「いつかね」と答えます。
そんな会話をしている二人の横で、チャンドラーは、重たい家具が腰にこたえたようで、「そして…(そんな会話をしている間に)俺はヘルニアだ」みたいに言っています。
実際の英語の発音は、ヘルニアではなく、「ハーニア」みたいな感じになっていることにも注意したいですね。

フィービーはその後、自分の気持ちを語っています。
I haven't exactly had a normal life. の not exactly は「必ずしも〜ではない」という部分否定。
直訳すると、「私はこれまで、必ずしも普通の人生を持ってきたわけではなかった」になるでしょう。
フィービーは、他のフレンズたちと比べても、波乱万丈な人生を送ってきているので、「私の人生は、普通の人生ってわけじゃなかったわ」と言っているわけですね。
And I never really felt I was missing out on anything. について。
miss out on は、「〜のチャンス・好機を逃す、〜の機会を失う・見逃す」なので、全体としては、「私は何かのチャンスを逃していたと本当に感じたことはなかった」になるでしょう。

But it just feels like now... の my turn は「私の番・順番」なので、「でもただこんな風に感じるの、今、(いくらかの)普通のことを、私が持つ番だ、って」という意味になります。
フィービーは一風変わった人生を送ってきたこともあり、そのことで「何かを逃してきた」という風に感じたこともなかった、と言っているのですが、そんな私も今やっと、人と同じことをしたいという気持ちになった、私が普通になってもいい番だと思えた、と言っていることになりますね。
いつもマイペースで独自路線を歩んでいるフィービーが、normal で regular なことに対する憧れの気持ちを真剣な表情で述べているところに、フィービーの本気度が感じられ、切ないシーンだな、と思います。


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posted by Rach at 17:35| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする