2016年08月19日

両方の痛みを経験できる人はいない フレンズ10-17その2

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チャンドラーとモニカは、エリカという女性が妊娠中の赤ちゃんを養子として迎える約束になっています。
そのエリカに陣痛が来たので、チャンドラーとモニカも病室で付き添っています。
モニカがトイレに行くため、少しの間、部屋を離れることになり、部屋にはチャンドラーとエリカの二人だけとなった状態。
チャンドラー: So, ah... Any plans for the summer? (それで、あの… 夏には何か予定あるの?)
エリカ: I don't know. Maybe church camp? (さあね。多分、教会のキャンプとか?)
チャンドラー: Hah. May not wanna mention this. So you ever wonder which is worse? You know, going through labor or getting kicked in the nuts? (はは。こんなこと言わないほうがいいな。で、君はどっちがつらいか考えたことある? ほら、陣痛に耐えるのと、タマタマを蹴られるのと?)
エリカ: What? (何?)
チャンドラー: Well, it's just interesting. You know, because no one will ever know because no one can experience both. (うん、ただ興味あってさ。ほら、だって誰にもわからないだろ、誰も両方を経験することはできないから。)
(Erica just looks at him like he's crazy.)
エリカは、チャンドラーはクレイジーだというような目で彼を見る。
チャンドラー: One of life's great unanswerable questions. I mean, who knows? Maybe there's something even more painful than those things. Like this. (人生の答えられない大きな質問の一つだ。だって、誰にもわからないだろ? 多分、そういうのよりももっとつらいこともあるけどね。こんな風に[今のこの状況みたいに]。)

モニカが部屋を出て行ったため、妊婦のエリカと二人きりになったチャンドラーは、何か会話をしなければ、と思ったのでしょう、「この夏に何か予定ある?」と尋ねています。
聞かれたエリカは、「多分、church camp とか?」と答えます。
camp と言えば、ボーイスカウトのキャンプ(scout camp)や サマーキャンプ(summer camp)などがイメージされますね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) で camp を見てみると、以下のように出ています。
camp : a place where children go to stay for a short time and take part in special activities, often as members of an organization.
つまり、「子供が短期間、滞在しに行き、特別な活動に参加する場所、しばしばある組織のメンバーとして」。
ですから、church camp は「所属する教会の一員として、参加するキャンプ」ということになるでしょうね。
Google 画像検索で、church camp を調べると、大勢の子供が参加している写真がたくさんヒットしましたので、やはり「子供が参加するキャンプ」のイメージで挙げたのだろうと思います。

今、陣痛で苦しんでいる妊婦のエリカに、「この夏の予定は?」などと尋ねるのは何ともトンチンカンな感じがしますよね。
エリカも今そんな質問をされたことに対して、あきれの気持ちがあるのでしょう、それで、子供に夏の予定を聞いた時のよくある答えである「キャンプ」を挙げて、「そういう返事を期待してるのかしら?」という気持ちで返事したのだろうと思います。
エリカがチャンドラーの質問にあきれていることがわかったので、チャンドラーは「こんなこと言うべきじゃないな、言わない方がいいな」と言ってから、話題を変えて、「それで君は、どっちがひどい(悪い、つらい)かって疑問に思ったことある?」とまずは問いかけます。
その後、「どっちがつらいと思うか?」の具体例を挙げていますが、その例えが面白いですね。

going through labor の go through は「体験する、経験する」、labor は妊娠の話だと「陣痛」ですね。
getting kicked in the nuts? の nuts は、俗語・卑語で「睾丸」という意味ですから、「タマタマを蹴られること」。
チャンドラーは、「ねぇ、どっちがつらい(痛い)と思う? 陣痛を体験する[陣痛に耐える]のと、タマタマを蹴られるのと」という質問を世間話として挙げたわけですが、今、陣痛で苦しんでいるエリカに対して、「今の君の痛みと、男が股を蹴られる痛みと、どっちが痛いだろうねぇ?」なんていう質問をぶつけるデリカシーのなさが、笑いのポイントになっていると言えるでしょう。

エリカは明らかに「今、陣痛中の私にそんな質問する?」みたいな顔をしていますが、話題に出した以上、引くに引けなくなったのか、まだその話で引っ張ろうとするチャンドラーが、彼らしくて面白いです。
「ほら、ただ興味あるんだよ、興味深いんだよ」と言った後の、because... のセリフもいいですね。
「だって誰にもわからないんだ、誰も(陣痛の痛みと、股を蹴られた痛みの)両方を経験することはできないから」ということです。
どちらも痛みも、「女にしかわからない痛み」「男にしかわからない痛み」の例えとして、日本人の会話でもよく挙げられる項目なだけに、日本人にもわかりやすいジョークだと言えるでしょう。

KYな質問にもかかわらず、まだ話を続けようとするチャンドラーに、エリカは冷たい視線を送っています。
One of life's great unanswerable questions. は「人生における答えられない[答えの出ない]偉大な質問の中の一つ」。
自分が言った質問を、さも「人生における最大の謎」のように仰々しく表現したチャンドラーでしたが、エリカの視線が相変わらず冷たいので、その後、Maybe there's something even more painful than those things. Like this. と続けています。
than those things までを 直訳すると、「多分、そういうこと(陣痛や股を蹴られること)よりもずっともっと痛い(つらい)ことがある」。
Like this. はここでは「(例えば)このような。こんな感じ・こんな状況」のように、今のチャンドラーが置かれている situation を指していることになるでしょう。
陣痛も股を蹴られるのも究極に痛いけど、今、変な質問をしてエリカに睨まれているこの状況は、もっと痛い(つらい)よね、と言っているわけですね。


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posted by Rach at 14:35| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月17日

今、笑ってるのは誰かな? フレンズ10-17その1

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シーズン10 第17話
The Last One - Part 1 (グランド・フィナーレ - part 1)
原題は「最後の話 パート1」


前回のエピソードの最後で、レイチェルはロスに「あなたにさよならが言えなかったのは、言うのがあまりにもつらすぎたから。あなたのことが誰よりも大事だったから」と告げます。
それを聞いたロスはレイチェルにキスをし、レイチェルもそのキスに応える、、というところでエンドクレジットになっていました。
その続きとなるシーン。
[Scene: Ross's bedroom. Rachel is putting on her shoes as Ross shows up from underneath the covers.]
ロスの寝室。レイチェルは靴を履いている。するとロスがベッドカバーの下から顔を出す。
ロス: Hey. (やあ。)
レイチェル: Shh.. Go back to sleep. I have to go home. (シー…。眠りに戻って[もう一度寝て]。私、家に帰らないと。)
ロス: Oh, God. This was amazing. (あぁ。素晴らしかったよ。)
レイチェル: It really was. You've learned some new moves! (ほんとにそうだったわね。あなた、新しい技(動き、動作、テク)、覚えたのね!)
ロス: Yeah, well, this guy at work gave me Sex for Dummies as a joke. (あぁ、職場のやつが僕に”バカのためのエッチ(バカでもできるエッチ)”(って本)を冗談で僕にくれたんだよ。)
レイチェル: Ah. (まぁ。)
ロス: Who's laughing now? (今、笑ってるのは誰かな?)
レイチェル: I know. (そうね。)(注:このセリフ、I am. と表記されているものもあります。詳しくは以下の解説にて)
(They kiss.)
二人はキスする。

前回のエピソードのラストでキスした二人は一体どうなったのか、、? とみんながハラハラする中、画面にはベッドに腰掛けて靴を履いているレイチェルと、ベッドカバーの下から顔を出すロスの姿が映ります。
顔を出したロスにレイチェルは「シー」と言って、「(あなたは)もう一度寝て。私は家に帰らないといけないから」と言います。
二人が愛し合っているシーンそのものは全く見せずに、その後の二人の雰囲気と様子だけの描写に留めていますが、普通の恋人同士のような穏やかな様子で自然に会話している二人の姿を見ると、お互いへの愛を再確認する素敵な時間を過ごせたんだな、ということがわかりますね。

"This was amazing." と言ったロスに、"It really was." とレイチェルが同意した後、レイチェルは急に何かを思い出したように、トーンを上げて、You've learned some new moves! と言っています。
この moves は「動き、動作」ということで、エッチにおける動作の話ですから、「新しい動作」→「新しい技、新しいテク」のようなことを指していることになるでしょう。
過去記事、コーヒーのだしがらをこぼさないと思うけど フレンズ7-12その5 でも、
チャンドラー: I was giving you some of my best moves, and you missed it. So please wake up so we can do it right! (俺は君に俺の最高のテクを行なおうとしてたんだ。で君はそれを逃した。だから、それをちゃんとできるように、お願いだからもう一回起きてよ。)
というセリフで moves が使われていました。
ロスとレイチェルがエッチしたのは、エマができた時のエッチ以来ですから、「あれから、あなた、新しい技覚えたのね!」と感心したように言ったことになります。

ロスは、職場のやつがジョークとして、僕に Sex for Dummies をくれた、と言っています。
DVD英語字幕でイタリック表記になっていることから、本のタイトルであることが想像できます。
dummy は「ダミー」として「替え玉」のような意味がありますが、ここでは「ばか、間抜け、とんま」のような意味。
「バカのためのエッチ」ということですから、本のタイトルとしてありがちな感じにすると、「バカにもわかる、バカでもわかる、バカでもできる(エッチ)」という雰囲気のタイトルだということですね。

その後、ロスはちょっと得意気な顔で、Who's laughing now? と言っています。
「今、笑ってるのは誰?」というのは、「同僚は(冗談とは言え)僕をバカにしてそんな本をくれたけど、その本を読んでからエッチして、相手の女性を喜ばせた僕の方が、今は笑う番じゃないかなぁ? 僕の方が勝者じゃないかなぁ?」という意味になるでしょう。
DVD日本語字幕では「バカはどっち?」と訳されていましたがまさにそういうところで、「こういう結果になったから、バカだったのは”僕をバカにして本をくれた”あいつの方だよね」「あいつは僕のことをバカにして笑っていたけど、今は僕が彼のことをバカにして笑う番だよね」という意味で言っていることになります。

そして、ロスの Who's laughing now? に対するレイチェルのセリフですが、この部分、I am. と表記されているものと、I know. と書かれているものがあります。
話の流れや、聞いた音の感じとイントネーションから、私は "I know." が正しいと思うのですが、それについて以下に説明させていただきますね。

まず、DVDの英語字幕では "I am." となっており、2012年発売のブルーレイの英語字幕でも、"I am." となっていました。
ですが、Netflix の英語字幕には、"I know." と書いてあります。

まずは、話の流れと意味から考えてみたいと思います。
DVDとブルーレイでの表記である、"I am." だとすると、ロスが「今、笑ってるのは誰?(勝者は僕だよね?)」と言ったことに対して、「勝者はあなたじゃなく、この私よ(I am laughing now.)」とレイチェルが言っていることになるでしょう。
その場合には「ロスの同僚がロスにそんな本をあげた結果、最終的な勝者は私よ」と言っていることになりますが、それだと「ロスのテクで最高の気分になれた私が勝者ね」みたいに言っていると考えられます。
"I know." だとした場合は、ロスのセリフが結局は「バカにした同僚よりも僕の方が勝者だよね」という意味であることを受けて、素直に「そうね」と認めた流れになりますね。

「僕の勝ちだよね」と言ったことに対して、「本当の勝者は私よ」と言えば、「一番得したのは私よ」的なニュアンスで、さっきのエッチが私にとってはとても素敵なものだった、すごく気持ちいいものだった、と言っていることになりますので、話の流れとしては I am. も可能だろうと思います。
ただ、もしそういう意味であれば、「おぉ〜、レイチェルそこまで言う?!」的な発言になるので、観客からも歓声が上がるとか、ロスの発言の後、さらにもう一度笑いが起こる、というような反応があるように思うのですが、観客の笑いの反応を見ると、レイチェルの発言に対して新たなリアクションがあるような感じはありません。

そして一番の決め手になると思われる、実際のレイチェルの発音ですが、私には I know. と言っているように聞こえました。
これがもし、"Who's laughing now?" "I am." ということだと、Who? という問いに対しての「答え」なので、「笑ってるのは(他でもないこの)私よ」というニュアンスから、I am. という単語2語ともが、「アイ・アム」とはっきり発音されると思うのです。
また「本当の勝者は私よ」という意味ならば、ロスの発言を否定して「あなたじゃなく私よ」と言っていることになるので、レイチェルはちょっと勝ち誇った感じの得意気でいたずらっぽいような顔で、そのセリフを言うように思うのですね。

実際のこのシーンのレイチェルのセリフでは、I ***. の部分をさらっと言っており、「誰が笑ってるの?」という「問いに対しての答え」というよりは、「誰が笑ってるの?」=「バカにしてた同僚より僕の方が勝者だよね」というロスの勝利宣言に対して、「そうね、ロスの言う通りね」と軽く返した感じの I know. の方が、今回のレイチェルのさらっとした感じの I ***. に近いと思うのです。

ロスの発言に対して、さらに笑いを取る意味での "I am." であったなら、レイチェル自身の言い方も、笑いを取るためにもう少しはっきり発音するでしょうし、カメラもレイチェルの顔をもう少しはっきり映すと思います。
実際の映像では、ロスの "Who's laughing now?" に対する笑いが起きたという流れのまま、レイチェルが軽く I ***. と言って、すぐにさらっとオープニングに繋がっていますので、このレイチェルの発言は、ジョークとして笑いを取ったり、観客に「おぉ!」と思わせるような内容ではなく、単なる相槌である I know. だという気が私にはする、ということです。

I know. か I am. かについて、「DVD/Blu-ray と Netflix とで字幕が違っていた→その場合、2つは意味が大きく異なってしまう」ということが興味深かったので長々語ってしまいました^^


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posted by Rach at 15:03| Comment(4) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月15日

10年経つのに何一つわかってない フレンズ10-16その6

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レイチェルは他のフレンズ4人には個別にさよならを言ったのに、ロスだけさよならを言ってもらえなかったことで、ロスはレイチェルの部屋に行き、「僕らの間にはいろいろあったのに、こんな終わらせ方をするなんて信じられない!」と怒りをぶつけ、去って行きました。
それからしばらく後のシーン。
[Scene: Ross's apartment. Rachel bursts in.]
ロスのアパートメント。レイチェルが突然入ってくる。
レイチェル: You really think I didn't say goodbye to you because I don't care? (私が(あなたのことを)どうでもいいと思ってるから私があなたにさよならを言わなかったと、本気で思ってるの?)
ロス: That's what it seemed like. (そんな風に見えたけどね。)
レイチェル: I cannot believe that after 10 years, you do not know ONE thing about me! (10年も経つのに、あなたが私のこと何一つわかってないなんて信じられない!)
ロス: Fine, then why didn't you say something? (いいだろう、で、どうして君は(何かしらの言葉を)言わなかったわけ?)
レイチェル: Because it is too damn hard, Ross! I can't even begin to explain to you how much I'm gonna miss you. When I think about not seeing you every day, it makes me not want to go. Okay? So if you think that I didn't say goodbye to you because you don't mean as much to me as everybody else, you're wrong. It's because you mean more to me. So there, all right? There's your goodbye! Oh! (それはあまりにも辛すぎるからよ、ロス! あなたをどれほど恋しく思うかってことをあなたに説明しようとしても言葉に詰まってしまう。あなたに毎日会えないと考えたら、私は行きたくなくなってしまうのよ。わかる? そして、あなたが他のみんなほど私にとって意味がないからという理由で私があなたにさよならを言わなかったともしあなたが思ってるなら、間違いよ。私にとってあなたが(他の人より)もっと大事だからよ。だからほら(それで)いい? 今のがあなたへのさよならよ。あぁ!)
ロス: Rach! (レイチェル!)
レイチェル: What? (何?)
ロス: You keep-- You keep-- You can't-- (君は…君は…君は…できない…)
レイチェル: WHAT? (何?)
(Ross walks over to her and starts to kiss her passionately. After a while Rachel backs out. She thinks a while and starts kissing him back.)
ロスはレイチェルのところに歩いて行って、レイチェルに情熱的なキスをし始める。しばらくして、レイチェルは身を引く。レイチェルはしばらく考えてから、レイチェルの方からキスを返し始める。

レイチェルは、ロスのアパートメントに入ってきて、いきなり、You really think I didn't say goodbye to you because I don't care? と言っています。
「私があなたのことをどうでもいいと思ってる[あなたのことを気にしてない]から私はあなたにさよならを言わなかった、って、あなたは本気で思ってるの?」ということですね。
「本気でそんな風に思ってるわけ?」というのは「そんなわけないでしょう?」という意味であることが示唆されますが、ロスはただ、That's what it seemed like. と返します。
seem like は「〜のように見える」ですから、「それ(今君が言ったこと)=”〜のように見えた”の〜の内容」ということになります。
「(僕には)そんな風に見えたけどね」→「僕のことをどうでもいいと思ってるから君はさよならをくれないんだって風に僕には見えたけどね」ということで、「本気でそう思ってるの?」って言われたけど、僕にはそうとしか見えなかったよ、と言っているわけですね。

それを聞いた後のレイチェルのセリフに泣けてしまいます。
I cannot believe that after 10 years, you do not know ONE thing about me! で、指で1を示しながら、one (ワン)の部分を強調して言っています。
「10年も経つのに、あなたが私について一つもわかってないなんて、信じられない」→「知り合ってからもう10年の付き合いになるのに、そんなに長い間一緒にいて、私のこと未だに何一つわかってくれてない!」ということですね。
レイチェルとしては、「長い間一緒にいたあなたなら、私から言葉で説明しなくても、私の気持ちわかってくれると思ってた」と言いたいわけですね。

そう言われたロスは「いいさ(わかったよ)」と言って、then why didn't you say something? と続けます。
ここが Why didn't you say anything? のような anything ではなく、something が使われている感覚としては、以下の研究社 新英和中辞典の説明が分かりやすいでしょうか。

something=[疑問文で] 何か、あるもの、ある事
(用法:疑問文・否定文では通例 something を用いず anything が用いられるが、話し手の心の中に肯定の気持ちが強い場合には something が用いられる)
Is there something to eat? 何か食べるものがありますか (比較 Is there anything to eat? 何か食べるものがありませんか)
Can't you do something? 何とかなりませんか (比較 Can't you do anything? どうにもなりませんか)


Why didn't you say anything? であれば、not anything 「何も〜ない」ということから、「(じゃあ)どうして(あの時)何も言わなかったの?」ということになりますが、something を使った場合は、「どうして何かしらの言葉を言う、ということを君はしなかったの?」のように、「何か言ってくれても良かったのに」「さよならの一言くらいあっても良かったはずなのに」という気持ちが込められているような気がします。

why? と理由を聞かれたレイチェルは、Because で理由を述べます。
too damn hard の damn は、Damn it! 「ちくしょう!」などの形で使われる単語ですが、今回は副詞で「すごく、ひどく」という強調語となりますので、too damn hard は「あまりにもものすごくつらすぎる」ということ。
「あなたにさよならを言わなかったのは、さよならを言うことがあまりにもつらすぎるからよ!」と言った後のセリフが、また泣けてしまいます。

I can't even begin to explain to you how much I'm gonna miss you. は「私がどんなに(どれほど)あなたを恋しく思うか[あなたがいなくなって寂しく思うか]を、あなたに説明し始めることすらできない」。
「説明し始めることができない」というのは、説明しようとしてもうまく言えない、言葉にならない、言おうとすると言葉に詰まって言えなくなってしまう、というようなことですね。

When I think about not seeing you every day, it makes me not want to go. は、「あなたと毎日会えないことを考えると、それが私を行きたくないという気持ちにさせる」。
「あなたと毎日会えなくなる、あなたの顔が毎日見れなくなるって考えたら、(パリに)行きたくなくなっちゃうのよ」ということ。

So if you think that I didn't say goodbye to you because you don't mean as much to me as everybody else, you're wrong. は長めの文章ですが、基本的な構造は、if you think that..., you're wrong. 「もしあなたが(that 以下)と思ってるなら、それは間違いよ[あなたは間違ってるわ]」ということですね。
that 以下の文章は、今回のシーンの冒頭でレイチェルが言っていた内容(I didn't say goodbye to you because I don't care)を少し言い換えた形になっています。
「気にしてないから、あなたのことがどうでもいいから」という I don't care の部分が、you don't mean as much to me as everybody else 「あなたが私にとって、他のみんなほど重要じゃない[大きな意味を持たない]から」のように、他のみんなとの比較の形を取っています。
とにかくロスが怒っていたのは、「他のみんなは個別に挨拶してもらえたのに、僕一人だけなかった。僕一人が軽んじられて、無視された」という内容だったので、レイチェルは自分がさよならを言わなかったのは、「他の5人に比べてあなたが重要じゃないからとか、あなたを軽んじていたからとか、そんな理由じゃない」という風に、比較で表現したわけですね。

「あなたが他のみんなより重要じゃない、大事な存在じゃないからって理由で、さよならを言わなかったとあなたが思ってるなら、それは間違いよ」と言った後、本当の理由として、It's because you mean more to me. 「それはあなたが私にとって、(他のフレンズたちよりも)もっと大切だからよ、重要だからよ」と説明します。
not mean as much as (everybody else) 「他の人より大切じゃない」だなんてとんでもない、その正反対で、mean more 「他の人より(あなたの方が)もっと大切」だからよ、と大切さの違いを比較で説明した形になります。
more と言う時に、人差し指でロスの胸をドンと突いているのが印象的ですね。
みんなより「あなた」の方が「もっと!」大切だからそうしたのに、どうしてそれがわかってくれないの! という気持ちがそのしぐさに出ています。

So there, all right? There's your goodbye! について。
So there, all right? は、「じゃあ、ほら[それで、今ので]いいわね?」というところでしょう。
There's your goodbye! は「そこにあなたのさよならがある!」という感覚ですから、「今言った言葉が、(あなたが欲しがっていた)あなたの分のさよなら(私からあなたへのさよなら)よ!」というニュアンスになるでしょう。

そう言い残して、レイチェルはドアの方に歩いて行きます。
ロスは Rach! と呼び掛けて、You keep-- You can't-- と言うのですが、言葉になりません。
レイチェルが二度目の What? を言うと、ロスは黙ってレイチェルにキスします。
キスの後、いったんは身を引いた形になるレイチェルですが、その後、しばらくして今度はレイチェルの方からキスをして、エンドクレジット、、となります。

今回のエピソードでは、「レイチェルからの言葉を期待して待っていたロスは、さよならさえ言ってもらえなかった」ということが、コメディとしては笑いの要素となっており、またロスへの同情にも繋がっていました。
「何でさよなら一つさえ言えないの?」と、ロスを始めフレンズたちも観客たちも、ずっと疑問に思い続けて、最後の最後にその理由を、「さよならを言うことがあまりにもつらすぎるから。どんなに寂しくなるか言葉にすることもできない。あなたに毎日会えないと思うと、パリに行きたくなくなっちゃう。さよならを言えないのはあなたが誰より一番大事だから」とレイチェルが告白することで、レイチェルの切なく苦しい気持ちをより強く感じられる、という効果が生まれたと言えるでしょう。
「10年も一緒にいたのに、あなたは私のこと、何一つわかってない!」と言って、レイチェルが気持ちを爆発させる様子が何とも切なく、またそのように「10年」という年月がセリフの中に言葉として出てくることも、フレンズをファイナルまで見続けたファンにとっては感慨深いものがありますね。


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posted by Rach at 15:21| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月12日

僕らにはいろいろあったのに、こんなの信じられない フレンズ10-16その5

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パリに転勤になるレイチェルは、フレンズ一人一人に個別にお別れの挨拶をするのですが、ロスにはさよならの一言もなく、自分の部屋に戻ってしまいます。
自分だけ無視された形になったロスは、怒ってレイチェルの部屋に入ってきます。
(Ross takes big steps leaving for Joey and Rachel's apartment, where Rachel is going through her papers.)
ロスは大股歩きで、ジョーイとレイチェルのアパートメントに向かう。そこではレイチェルが書類に目を通している。
ロス: I don't get a goodbye? (僕はさよなら一つもらえないの?)
レイチェル: What? (何?)
ロス: (talking agitated and angry) Everyone gets a goodbye but me? What do I gotta do to get a goodbye, huh? Be best friends with you? Uh, go out with you? Have a baby with you? Oh, wait a minute, wait a minute! I did all those things! ([イライラして怒りながら話す] 僕以外のみんなはさよならをもらえるのに? 僕がさよならをもらうには僕は何をすべきなんだろうね? 君と親友になる? 君とデートする? 君との間に赤ちゃんを持つ? あぁ、ちょっと待って、ちょっと待って! そういうこと全部、僕はしたよね!)
レイチェル: Ross-- (ロス…)
ロス: Or maybe it's me, I'm just not giving you enough credit. Uh, I mean, it is difficult to say goodbye to five people. Uh, goodbye, goodbye, goodbye, goodbye, g-- (makes choking noises) IT'S PHYSICALLY IMPOSSIBLE. You know what? After all we've been through, I can't believe this is how you want to leave things between us. Have a, have a good time in Paris. (He leaves the apartment. Rachel looks kind of desperate.) (もしくは多分、僕のせいなんだ、僕はただ君を十分に評価してないんだよね。ほら、5人の人間にさよならを言うのは難しいもんね。あぁ、さよなら、さよなら、さよなら、さよなら、さ… [喉が詰まるような音を出して] 物理的に不可能だ! ねぇ、僕たちが経験してきた全ての(こと)の後で、君が僕たちの間に物事をこんな風に残したいなんて[物事をこんな風に終わらせたいなんて]信じられないよ。パリで素敵な時間を過ごしなよ。[ロスはその部屋を去る。レイチェルは少し絶望的な顔をしているように見える])

Everyone gets a goodbye but me? 「僕以外のみんなはさよならをもらえるの?」と言った後、What do I gotta do to get a goodbye, huh? とロスは言います。
gotta = got to = have got to = have to ということで、I gotta go. 「行かなきゃ(ならない)」などの形で使われるように、gotta は「〜しなければならない」(have to)ということですね。
「さよならをもらうために僕は何をしなくちゃいけないのかな?」とロスは言い、その後、しなければならないことの例として、Be best friends with you? Uh, go out with you? Have a baby with you? の3つを挙げています。
be, go, have と原形が使われているのは、「僕は何をしなくちゃいけないの?」の続きとして、Do I have to be best friends with you? のように、gotta/have to の後に続く形として原形で表現していることになります。
ニュアンスとしては、「(君からさよならをもらうためには僕は)君と親友にならなくちゃいけないの? 君とデートしないといけないの? 君と子供を持たないといけないの?」というところですね。
興奮した様子で、そうまくし立てた後、「あ、ちょっと待って、ちょっと待って。僕はそれらのこと全部したよね!」と言っています。
それはつまり、「僕はレイチェルと親友で、恋人として付き合っていたこともあって、さらには二人の間にはエマという娘までいるのに、そんな間柄の僕に対して、レイチェルはさよならの一言すらくれないのか?」ということですね。
「他のフレンズたちよりも僕との方が関係も絆も深くて、挨拶に一番時間をかけてもいいはずなのに、一言さよならの挨拶すらないなんて信じられないよ」というレイチェルに対する大きな非難の言葉となるでしょう。

Or maybe it's me, I'm just not giving you enough credit. について。
この場合の it's me は「僕のせいだ」というニュアンスで、「問題となっているのは・原因は、僕だ」と言っている感覚になるでしょう。
give someone credit は「人を正しく評価する」という感覚。
ですから、このロスのセリフは、「(レイチェルが悪いんじゃなくて)多分、問題は僕の方にあるんだよね。僕がただ君を十分に評価していない、ってことなんだよね」と言っていることになるでしょう。
その後、「ほら、5人の人間にさよならを言うのは難しいんだよね」と言って、さよなら、さよなら、と4回まで言った後、5人目になった時に、グッ!と息を詰まらせて、「物理的に不可能だ!」と叫びます。
「4人にはさよならを言って、ただ最後の5人目の僕にも同じようにさよならって言うだけなのに、そんなことすらしてくれないなんて、ひどすぎるよ」という気持ちから、ここまでウザくて嫌味な(笑)言い方で非難していることになるでしょう。

After all we've been through, I can't believe this is how you want to leave things between us. について。
まず、最初の After all we've been through の after all は、「結局」というフレーズではなく、「all の後で」つまり「僕たちがこれまで be through してきたすべて(のこと)の後で」という意味になるでしょう。
through は「通り抜けて、中を通って」ということですから、「経てきた、経験してきた」のような感覚。
ですから、After all... は「友達で、恋人になって、娘もできて、僕たちはいろんなことを二人で経験してきた、そういう全ての出来事があった後(最後のお別れというこの時に)」というニュアンスになるでしょう。

次に、I can't believe this is how you want to leave things between us. について。
直訳すると、「僕には信じられない、僕たち二人の間に君が物事をどんな風に残したいかが[物事をどんな状態にしておきたいかが]、これだなんて」みたいになるでしょうか。
DVDの日本語訳(音声)では、「僕らの間には、いろいろあったのに、信じられないよ、こんな終わらせ方を君がするなんて、、」となっていましたが、意味としてはまさにそういうニュアンスだろうと思います。
他動詞 leave には「(もの)を残す」「(もの)を(補語)の状態にしておく」という意味がありますので、「君が僕の前から去ろうとする時に、ものごとを僕たちの間に、ある状態で残しておこうと君が望む、その状態がこれだなんて僕には信じられないよ」と言っている感覚になるでしょう。
こんな風に、僕たちの間に things を leave することが君の望みなの? いろいろあった僕たちの関係を、「一言のさよならも言わない」っていうこんな状態で終わらせることが君の希望なの? という気持ちですね。
「僕たち二人の間に、物事をこんな状態にしておく[こんな状態で残しておく]」というのが、「君が去る時に、僕たちの関係をこんな形で終わらせる」という感覚になる、ということです。

そう言った後、「パリで素敵な時間を過ごしなよ」と言って、ロスは部屋を出て行きます。
自分にだけさよならの挨拶がなかったことが、あまりにもショックでやりきれない、、 そういうロスの苛立ちと怒りがよく出ているシーンだと思います。


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posted by Rach at 13:29| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月09日

プライドあるからそんなことできない フレンズ10-16その4

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パリに転勤するレイチェルは、フレンズ一人一人を別室に呼んでお別れの挨拶をしています。
ジョーイとの挨拶も終わり、今は挨拶をしていないのはロスだけ、となった状態。
ロス: Okay, here we go. (よし、いよいよだ。)
レイチェル: Oh... (holding Ross's shoulder) Well.... (あぁ… [ロスの肩を掴んで] えーっと…)
ロス: Yeah. (あぁ。)
レイチェル: I think I'm gonna take off. (pats Ross on his back, but he looks very surprised) (じゃあ私は行くわね。[ロスの背中を叩くが、ロスは非常に驚いた顔をしている])
ロス: Huh? (は?)
レイチェル: Oh, you guys. This was an amazing night. Thank you so much. I love you. Good night. (あぁ、みんな。今夜は素晴らしい夜だったわ。ほんとにありがとう。愛してるわ。おやすみなさい。)
(She leaves the apartment and they all stare at Ross)
レイチェルはその部屋を去り、みんなはロスを見つめる。
ロス: What?! I don't get a goodbye? (何? 僕はさよならをもらえないの?)
ジョーイ: (still very emotional) Lucky bastard! ([いまだにとても感情的な様子で] ラッキーなやつめ!)
アドブレイク
[Scene: Monica's apartment continued... Phoebe, Chandler, Monica and Joey are sitting down and Ross is pacing up and down.]
引き続き、モニカのアパートメント。フィービー、チャンドラー、モニカ、ジョーイは座っていて、ロスは行ったり来たりしている。
ロス: Unbelievable. She says goodbye to everyone but me! (信じられないよ。レイチェルは僕以外のみんなにはさよならを言うのに!)
モニカ: Well, maybe she thought that with all of your history it could be, you know, implicit. (そうねぇ、多分レイチェルは思ったのよ、あなたたちにはいろいろあったから、ほら、暗黙の了解もありかな、って[言わなくてもわかるんじゃないか、って]。)
ロス: Well, it needs to be "plicit." (はっきりしてもらう必要があるよ。)
ジョーイ: All right, let's think about this. I mean, there's gotta be an explanation. Uh... did you do anything to make her mad? (よし、この件について考えよう。ほら、何か説明があるはずだ。うーんと、お前は何かレイチェルを怒らせるようなことをしたか?)
ロス: No, I don't think so. (うーん、そうは思わないけど[そんなことしてないと思うけど]。)
フィービー: You know, maybe she was just really spent from our talk. It was pretty intense. (ほら、多分、レイチェルはただ私たちとの話で疲れちゃったのよ。かなり真剣(で強い感情を起こすよう)なものだったから。)
モニカ: Yeah, mine too. (えぇ、私の[私とレイチェルの話]もね。)
チャンドラー: Mine was a humdinger. (俺のは、すごく素晴らしいものだったよ。)
ロス: (annoyed) O-kay! I mean, don't I deserve anything? I mean, a few tears, a cursory hug? (Joey gives Ross a hug) NOT FROM YOU! (Joey lets go) ([いらいらして] わかったよ! だって、僕は何も受ける価値がないの?[何を受けるにも値しないの?] ほら、2、3粒の涙とか、ぞんざいな[通り一遍の、お義理の]ハグとか? [ジョーイはロスをハグする] 君から(のハグ)じゃないよ! [ジョーイは離れる])
フィービー: Ross, if you're this upset, you should go and talk to her. (ロス、もしあなたがこんなに怒ってるなら、レイチェルのところに行って話すべきよ。)
モニカ: And say what? "You owe me a goodbye"? I mean, he's got more pride than that. (それで何て言うの? ”君は僕にさよならを言う義務がある”って? ほら、ロスはそんなことをする以上のプライドがあるのよ[ロスにはプライドがあって、そんなことはできないわ]。)
ロス: THE HELL I DO! (あぁ、もちろん、あるともさ!)
(Ross takes big steps leaving for Joey and Rachel's apartment, where Rachel is going through her papers.)
ロスは大股でジョーイとレイチェルのアパートメントに向かう。そこではレイチェルが書類に目を通している。


ついにレイチェルからの挨拶はロスを残すだけとなり、ロスもいよいよだと覚悟を決めるのですが、レイチェルは、I think I'm gonna take off. と言った後、ロスの背中をパンパンと叩いて、そのままスタスタと歩いて行くので、ロスは Huh? と言って驚いた顔をしています。
ドアの前で、今日のお別れパーティーのお礼をみんなに言って、そのまま部屋を去って行ってしまったので、フレンズたちも驚いてロスをじっと見つめます。
I don't get a goodbye? を直訳すると、「僕は(ひとつの)さよならもゲットしないの?」というところですね。
ロス以外のみんなは、個室に呼ばれ、それぞれさよならの言葉をもらえたのに、僕にはさよならの一言さえ言ってもらえないの? という気持ちです。
ロスだけ無視されたような形になってしまい、フレンズたちも何とも言えない顔でロスの方を見ていますが、その中でジョーイだけが、泣きながら恨みがましい目でロスを見て、Lucky bastard! と言っています。
bastard は「ひどい人、いやなやつ」、あるいは単に「やつ、野郎」という意味でも使われる言葉。
研究社 新英和中辞典では、
bastard=《俗》 【C】 ひどい人[もの], いやな人[もの]; 運の悪いやつ; やつ, 野郎
a lucky bastard 運のいいやつ
You bastard! この野郎

のように出ています。
憎々しげに You bastard! と言うと、「この野郎」という意味になるわけですが、a lucky bastard だと「運のいいやつ」という意味になるということで、今回のジョーイのセリフも、ロスに対して「お前は運のいいやつだな! ラッキーなやつめ」と言っていることになります。
この前のシーンで、レイチェルはバルコニーでジョーイにさよならを言っていましたが、挨拶が終わった後、ジョーイはバルコニーを乗り越え飛び降りようとするしぐさをして、慌ててレイチェルに止められていました。
ジョーイにとってはそれくらい、レイチェルの別れの挨拶がショックで悲しいものだった、ということで、それを経験しないで済んだロスのことを、「あんな辛くて悲しい思いをしなくて済んだお前は、ラッキーだったな」と言ってみせたわけですね。

アドブレイクで暗転の後、先ほどのシーンの続き。
ロスは「信じられないよ」と言って、She says goodbye to everyone but me! と言っています。
この but は「〜以外に、〜を除いて」という前置詞で、everyone but me で「僕以外のみんな」という意味になります。

次のモニカの maybe she thought that with all of your history it could be, you know, implicit. について。
with all of your history の with は「〜と一緒に(ある)」という感覚ですから、「〜が原因で、〜のために、〜のせいで」のような意味になるでしょう。
「あなたたちの歴史のすべてのせいで」→「あなたたちには二人の間にいろいろあった、という歴史があるから、そういうもののせいで、そういうものが原因で」というところですね。
it could be, you know, implicit. の implicit は「暗黙の、無言の、暗に示された」。
対義語は、explicit 「明白な、はっきりした」。
ですから、このモニカのセリフは、「あなたたちにはいろいろ(な歴史・経緯が)あったから、暗黙の了解となることが可能(かもしれない)とレイチェルは思ったのかもしれないわ」と言っていることになるでしょう。
お互いいろいろあって、もう言わなくてもお互いの気持ちはわかるから、あえて言葉では言わなかったんじゃない? ということですね。

それを聞いたロスは、it needs to be "plicit." と言っています。
plicit という単語は存在しませんし、わざわざ引用符でくくってあることからも、これは造語的に使っていることがわかります。
implicit という単語をモニカが使ったことに対して、ロスは im- を除いた形の「plicit である必要がある」と答えたことになりますね。
implicit という単語の成り立ち自体は、plicit という単語が存在しないことからもわかるように、「plicit という単語に im- という否定の接頭辞が付いたものではない」わけですが、今回のロスのセリフは、im- という接頭辞に「無、不」という not の意味があることを踏まえて、not のように見える im- を取り除くことで、「implicit ではない状態」を表したことになるでしょう。
ここで、not の意味の否定の接頭辞について少し説明しておきますと、通常は、in- になりますが(例:incredible=信じられない)、b, m, p の前では im- になります。
m の場合では immoral 「不道徳な」、今回のような p の場合だと、impossible 「不可能な」、impatient 「耐えられない、我慢できない」などがありますね。

上でも説明しましたように、implicit の対義語は explicit ですから、it needs to be explicit. のように表現すれば、「(暗黙の了解じゃなくて)明白に・はっきりする必要がある」という、ごく普通の表現になるわけですが、あえてその一般的な対義語を使わずに、ちょうど im- という「否定の接頭辞に見える部分」を取り除くことで、対義語っぽく表現したという面白さになるでしょう。

次にジョーイは、「この件について考えてみよう。(レイチェルがそういう行動を取ったことには)何か説明があるはずだ。何かレイチェルを怒らせるようなことしたか?」とロスに尋ねます。
何も思い当たる節がない様子のロスに、今度はフィービーが、「多分、私たちとの話でレイチェルはただ疲れちゃったのよ。かなり intense だったから」と言っています。
spent は spend の過去分詞ですが、形容詞として be spent の形で「疲れ切った」という意味で使われます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
spent [adjective] : (literary) extremely tired
つまり、「(文語的) 極度に疲れて」。
intense は「強烈な、激しい」ですが、ここでは「真剣な、本気の、まじめな」というニュアンスが近いでしょうか。
LAAD では、
intense : serious and making you feel strong emotions or opinions
例) an intense conversation

つまり、「真剣(本気・まじめ)で、強い感情や意見を感じさせるような」。例は「真剣で強い感情を起こさせる会話」。
ちょうどロングマンの例文に conversation が使われていますが、今回のフィービーのセリフも、our talk のことを言っていますので、上の語義の「intense な会話」と同じニュアンスだと考えればよいでしょう。

モニカが「私の会話もそうだったわ」と同意すると、チャンドラーは「俺のは humdinger だった」と言っています。
humdinger は「非常に素晴らしいもの」という意味。
LAAD では、
humdinger [noun] [singular] : (informal) a very exciting or impressive game, performance, or event
つまり、「(インフォーマル) 非常にエキサイティングな、または印象的な試合、演技、イベントなど」。

ロスは一言のさよならも貰えなかったというのに、みんなが口々に、疲れちゃうほど intense だった、すごく素晴らしかった、などと言うので、ロスは怒ったように Okay! と言ってから、「僕は何かをもらうに値しないの? 2、3(粒)の涙や、cursory hug をもらう価値もないの?[もらうにふさわしくないの?]」と言います。
cursory は「ぞんざいな、急ぎの」ですから、ぎゅーっとハグしてもらえなくてもいいから、ちょっと形だけのハグさえもないわけ? と言っていることになりますね。
それを聞いたジョーイは、ロスをハグしていますが、「僕が欲しいのは君(ジョーイ)からのハグじゃない!」とロスが怒ることになります。

次のフィービーのセリフの upset は「動揺・動転して、うろたえて、取り乱して、腹を立てて、憤慨して」などいろいろな訳語が可能ですが、とにかく「尋常ではない状態」を指します。
今のロスはオロオロしているというよりは怒っているので、「怒っている、激怒している」がこの場合はふさわしいですね。
「こんなに怒ってるのなら(私たちにいろいろ言ってないで)(直接)レイチェルのところに言って話すべきよ」とフィービーはアドバイスするのですが、モニカは「それで(実際に行って)何て言うの?」と言った後、"You owe me a goodbye"? と言います。
owe は owe A B の形で、「A(人)に B(義務・恩義など)を負っている」ですから、「君は僕にさよならを言う義務を負っている」→「君は僕にさよならを言う義務がある、さよならを言うべきだ」ということですね。

he's got more pride than that. の has got = has で、「彼(ロス)はそれ(今言ったこと)以上のプライドを持っている」→「彼にはプライドがあるから、そんなことはできない」と言っていることになります。
妹のモニカにそう言われたロスは、The hell I do! と言っていますが、the hell は What the hell is that? 「一体あれは何だ?」などの形で使われる強意語ですね。
the hell を強意語として使うのは下品とされていますが、ここではそういう言葉をセリフの中で使うことで、ロスの憤りとイライラが最高潮であることを表現していることになるでしょう。

The hell I do! は、I do! を強調しているので、I have more pride than that. 「僕にはそれよりもプライドがある」を強調していることになり、「あぁ、もちろん、僕にはプライドがあるからね、”レイチェルは僕にさよならを言うべきだ”なんてことは言えないよ」と言っていることになるわけですが、そんな風に言いながらも、大股歩きで、廊下を挟んだレイチェルの部屋に向かいます。
その行動はレイチェルに対して文句を言いに行っているのが明らかで、口では「僕にだってプライドがあるから、そんなことは言えないよ」と言いながらも、やはりこのまま済ますことはできずに、結局フィービーのアドバイス通りに行動している、という面白さになるでしょうね。


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posted by Rach at 16:29| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月04日

ブロー・ア・ラズベリー フレンズ10-16その3

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パリに転勤になるレイチェルは、フレンズ一人一人を別室に呼んでお別れの挨拶をしています。次はチャンドラーの番。
[Scene: The guest bedroom. Chandler and Rachel.]
客用寝室。チャンドラーとレイチェル。
レイチェル: Oh, honey.... (あぁ、ハニー…)
チャンドラー: Let me just say something because once we get into this, I'm gonna get all uncomfortable and probably make some stupid joke. I just want to say that I-- I love you. And I'm gonna miss you. And I'm so sad that you're leaving. (俺に一言言わせて、だってこのことにいったん入ったら(この別れの挨拶を始めちゃったら)、俺はすっかり居心地悪くなって、多分、バカなジョークを言っちゃうだろうと思うから。ただこう言わせて、君を愛してる。そして君がいなくなったら寂しくなる。そして君が行っちゃうのは俺はすごく悲しいよ。)
レイチェル: (all mushy) Oh, you know what? Let's not say anything else. I love you. (they hug) ([すっかり感傷的になって] あぁ、ねぇ。他には何も言わないようにしましょう。私もあなたを愛してるわ。[二人はハグする])
チャンドラー: Ooh, not so tight. (blows raspberry, and the hug ends) I'm sorry, just give me one more chance. (おぉ、そんなにきつく(ハグ)しないで。[口でおならの音真似をする。そしてハグが終わる] ごめんよ、もう一度チャンスをちょうだい。)
レイチェル: Okay. Oh... (わかったわ、あぁ…)
(Chandler blows raspberry again)
チャンドラーはまた、口でおならの音真似をする。
レイチェル: Oh! (まぁ!)
チャンドラー: I'm sor-- Just go. Just go. I can't. I can't. (ごめん… もう行って、行って。俺には無理、無理だよ。)

レイチェルは別室でチャンドラーにお別れの言葉を述べようとするのですが、チャンドラーはレイチェルがそれを言う前に、Let me just say something because... のセリフを言います。
最初から直訳すると、「俺に一言言わせて。その理由は、いったん俺たちがこれに入り込むと、俺はすっかり居心地悪くなって、そして多分、バカなジョークを言うだろう(からだ)」になりますね。
get into this というのは、レイチェルがこれからやろうとしている「チャンドラー一人に対してお別れの言葉を述べること」に入ったら、その挨拶が始まっちゃったら、という感覚ですね。
シリアスで真剣なやりとりが始まってしまったら、俺は落ち着いてられなくて、ついくだらない冗談言っちゃいそうだから、、と言っていることになるでしょう。
レイチェルの言葉に対して、おバカなジョークを返しそうになる前に、まず俺の方から君に言いたいことを言わせてくれ、ということで、その後チャンドラーは冗談を交えることなく、「君を愛してる。(君が去ってしまった後)君がいなくなって寂しいと思う。君が(NYを)去ることは俺はとっても悲しい」
と素直な気持ちを語ります。
すぐにジョークでごまかしたがるチャンドラーが、レイチェルがいなくなる悲しみを素直に語ってくれたことで、レイチェルは感動した様子で、「他には何も言わないようにしましょう。私も愛してるわ」と言ってチャンドラーとハグします。
レイチェルがハグすると、チャンドラーは「そんなにきつく(ハグ)しないで」と言った後、口から舌を出して、ブーとおならを真似た音を出しています。
ト書きにある、blows raspberry がまさにその動作を表す表現で、ぎゅ〜っ! とされたことで、まるでブーブークッションのように音を出してみたことになります。(ちなみに後で説明しますが、blow a raspberry のように a がつく形が一般的なようです)

その blow a raspberry について。
raspberry はジャムなどに使われる「キイチゴ、ラズベリー」のことですが、研究社 新英和中辞典では、キイチゴ以外の意味として、以下のものが出ています。
raspberry=【名】【C】《俗》 舌を両唇にはさんで震動させるやじ 《軽蔑・冷笑を表わす》
get the [a] raspberry 嘲笑(ちょうしょう)[嫌悪(など)]される
give a person the [a] raspberry 人を嘲笑[嫌悪]する


LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
raspberry :
2 (informal) an impolite sound made by putting your tongue out and blowing (SYN: Bronx cheer)
つまり、「(インフォーマル) 舌を突き出して息を吐き出すことによって出される無礼な音。同義語: Bronx cheer)


Macmillan Dictionary では、以下のように blow a raspberry の形で出ていました。(このことから、raspberry に a の付く形が一般的だと思われます)
blow (someone) a raspberry : to make a rude sound by putting your tongue through your lips and blowing

一般的な英英辞典では、「rude, impolite な音」という説明がされていますが、「おならの音」としての説明では、Urban Dictionary の以下の説明がわかりやすいように思います。
Urban Dictionary : Raspberry
Raspberry
2: Rhyming slang, meaning to make a fart sound with the mouth. Usually this is done on the stomach of a child.
Raspberry Tart rhymes with fart. Tart was dropped, leaving the less conspicuous, less gross sounding 'Raspberry'.


つまり、「口で fart (おなら)の音を出す、という意味の、押韻スラング。これ(この行為)はたいてい、子供のお腹の上で行われる。
Raspberry Tart(ラズベリー・タルト)は、fart (おなら)と韻を踏んでいる。(ラズベリー・タルトの)タルトが落ちて[省略されて]、(結果として)より目立たない、より下品でない”ラズベリー”の音が残った」。

すなわち、上の説明では、fart (ファート)と tart (英語読みではタート)の音が韻を踏んでいるという繋がりから、
fart → tart → raspberry tart → raspberry
と変化し、fart を連想させる tart ではない方の raspberry が残った、ということで、言葉の変遷として納得のいくものであると思えます。

ロングマンやマクミランの英英辞典では、「舌を出して息を出す」という表現にとどまっていますが、アーバンにあるような「子供のお腹の上でブーの音を出す」というのもイメージ湧きやすいですね。
お腹の上に口を当ててブーッ! とされたら、子供はその音とこちょばい(笑)のとでキャッキャ言って喜びますが、あれも raspberry だということです。
今回のチャンドラーのしぐさも、英和にあったような「軽蔑」のニュアンスというよりは、「ブーブークッションみたいなおならの音の真似」ということになるでしょう。

ちなみに「ラズベリー」と言えば、アカデミー賞とは対照的な「最低の映画(worst in film)を選ぶアメリカの映画賞」である「ゴールデンラズベリー賞(Golden Raspberry Award)」(別名:ラジー賞(Razzies)」を思い浮かべる方も多いかもしれません。
Wikipedia 日本語版: ゴールデンラズベリー賞:名称 の項目で説明されているように、やはり上で紹介したような raspberry の意味と関係があるようです。

Wikipedia 英語版: Golden Raspberry Awards には、金色のラズベリーがデザインされたトロフィーの画像もあります。
その英語版の説明にも、
The term raspberry in the name is used in its irreverent sense, as in "blowing a raspberry".
つまり、「名称の中の raspberry という言葉は、blowing a raspberry に見られるような、不敬・不遜な意味で使われている」
とありますので、やはり、blowing a raspberry と関係あるということですね。

ラジー賞(Razzies)の razz は「冷笑(する)」という意味で、LAAD では、
razz : (informal) to make jokes that insult or embarrass someone
Etymology (Word Origin) : 1900-2000 raspberry 2

つまり、「人を侮辱したり、人に恥ずかしい思いをさせるようなジョークを言うこと。語源:raspberry 2」。
このロングマンの説明によると、raspberry が razz の語源である、ということになります。

ラズベリーの説明が長くなってしまいましたが、別れるのが寂しいと言ってハグしている時に、「そんなにギューってしたら、俺ブーって鳴っちゃうよ」とチャンドラーがまるで子供のようなリアクションをしたことで、いったんはハグが中断するのですが、「(ふざけて)ごめん。もう1回チャンスをちょうだい」と言うので、レイチェルも気を取り直して再びハグしたところ、またこの雰囲気に耐えられないチャンドラーは、二回目のブー!音を出してしまった、というオチになります。
「ただ(もう黙って)行って。俺には無理だよ(できないよ)」とチャンドラーは言い、これで二人だけの挨拶は終わりとなりますが、この悲しみにどう対処していいかわからなくて、つい笑いに逃げてしまう、というのがいかにもチャンドラーらしいところですね。
最初に自分で言っていたように、「シリアスな挨拶が始まってしまうと、俺、バカなことをやっちゃいそうだから」というのが当たっていたということで、そうなる前に自分の素直な気持ち(レイチェルがいなくなることは本当に悲しくて寂しい)をきちんと伝えておいて良かったね、というところですが、脚本的に言うと、「この後、俺、バカなジョーク言っちゃいそうだから」とわざわざ言った上で真面目な発言をした後にはまず間違いなく、「チャンドラーがこの空気に耐えかねてやってしまいそうなジョーク」が出てくることが想定されますよね。
悲しい別れのシーンに、あまり辛辣な言葉でのジョークもそぐわないので、そういう意味では「ブーブークッションの真似」のような子供っぽいジョークがこの状況には一番合っていたのかなぁ、という気がしました。


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posted by Rach at 14:20| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月02日

あなたなしでは素晴らしいことは起きなかった フレンズ10-16その2

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仕事でパリに転勤になるレイチェルに対して、今夜はさよならパーティーが開かれています。
レイチェルはフレンズ一人一人を別室に呼んで、さよならを言っています。
まずはフィービーが呼ばれて、次にモニカが呼ばれます。
[Scene: The guest bedroom. Rachel and Monica are talking to each other.]
客用寝室。レイチェルとモニカが話をしている。
レイチェル: Mon. Okay. I better... just say what it is I'm gonna say. None of the amazing things that have happened to me in the last 10 years, would have happened if it wasn't for you. No one has been more like a sister to me. (モニカ。いいわ。私はただ私が言おうとしていることを言った方がいいわね。もしあなたがいなければ、この10年間で私に起こった素晴らしいことは何一つ起こらなかった。あなた以上に姉妹だと思える人は他にはいないわ。)
モニカ: I know what you mean. You're like a sister to me too. (あなたの言うことわかるわ。あなたも私にとっては姉妹みたいよ。)
レイチェル: (starts crying and speaking at the same time, making it almost impossible to understand what she's saying) I don't know what I'm gonna do without you.... ([泣き始めると同時に話しているので、レイチェルの言っていることを理解するのはほとんど不可能である] あなたがいないと、私はどうすればいいのかわからない…)
モニカ: (having the same problem) You're the greatest friend I ever had. ([同じ問題(泣きながら話しているので聞き取れない)の状態で] あなたは今までで最高の友達よ。)
レイチェル: (says something that cannot be understood) ([理解できないことを言いながら])
モニカ: What? (何?)
レイチェル: I-- I-- I-- (again saying something that cannot be understood) ([私、私、私… [また理解できないことを言いながら])
モニカ: That is so sweet. (they hug) (それってとっても優しいわ。[二人はハグする])
[Scene: Back to the living room. Monica and Rachel enter and hug each other. The guys see this.]
場面がリビングに戻る。モニカとレイチェルが入ってきて、お互いハグし合う。フレンズたちはそれを見る。
ロス: (to Joey) Oh, no, she took down Monica. And I'm the crier in the family. Oh, God! I could be next. Maybe she won't talk with me if it looks like we're deep in converstation. Oh, so that thing you said about the thing, it really made me think about that other thing. ([ジョーイに] あぁだめだ、モニカも落ちた[レイチェルはモニカも落とした]。そして僕は家族で一番の泣き虫なんだぞ。あぁ、なんてこった! 僕が次かもしれない。多分、僕たちが話に没頭しているように見えれば、レイチェルは僕と話そうとしないかも。あぁ、それで、君が例の件について言っていたあのことのせいで、また別のことを思い出しちゃったじゃないか。)
チャンドラー: Uh, Rach? (あのー、レイチェル?)
レイチェル: Yeah. (ええ。)
ロス: Oh, it's okay, Chandler's talking to her. (あぁ、よし、チャンドラーがレイチェルに話してる。)
ジョーイ: I really made you think about that thing, huh? (ほんとに、俺がお前にあの件のことを思い出させたんだな?)

客用寝室にモニカを呼んだレイチェルは、モニカに対してお別れの言葉を述べています。
None of the amazing things... のセリフは、とても感動的ですね。

まず、最後の部分の if it wasn't for you. について。
if it wasn't for you のような、if it wasn't for... の形は、if it were not for... とも表現されますが、「もし…がなければ、…がいなければ」という仮定法過去を使った表現。
実際には存在するけれども、もしそれがなかったと仮定したら、という意味で「現在の事実に反する仮定」であるために、仮定法過去が使われていることになります。
if it were not for... は、without... 「もし…がなければ」と言い換えることも可能です。

ちなみに文法書では、今説明したように、if it were not for という形で載っていることが多いですね。
If I were a bird などもそうですが、I や it のような単数主語であっても、was ではなく were を使うのが仮定法の原則・慣例であると説明されていることも多いですが、口語ではこのように、人称に合わせた形の、if it wasn't for... のような形で使われることもあり、今回はその典型例と言えそうですね。

次に if it wasn't for you より前の部分を見てみましょう。
長い文章ですが、None of... last 10 years までがこの文章の主語になっています。
シンプルな構造にすると、None of the things would have happened ということで、主語に否定語が入っているので、「(〜した)ことは何も起こらなかっただろう」と言っていることになります。
if... 以下と繋げると、「もしあなたがいなければ、(〜した)ことは何も起こらなかっただろう」ということになりますね。
そして things については、amazing things that have happened to me in the last 10 years だと説明されています。
「この10年間に私に起こった素晴らしいこと」ということで、「もしあなたがいなければ、この10年間に私に起こった素晴らしいことはどれも起こらなかったでしょう」と言っていることになります。
「10年間に私にはいろいろな素晴らしいことが起こったけれど、それは全てあなたがいてくれたからこそ起きた出来事だったのよ。私に素晴らしいことが起こったのはすべてあなたのおかげよ」と感謝の気持ちを述べているわけですね。

No one has been more like a sister to me. も主語に否定語が来ていますが、直訳すると、「私にとって、より姉妹のような人はいなかった」になるでしょう。
「(それ)より〜な人はいない」という比較は、今レイチェルが話しかけている相手(モニカ)との比較ですね。
「あなたよりそう感じられる人はいない」→「あなた(モニカ)は私にとって、一番、姉妹のような人だった」と言っていることになります。
「あなたより姉妹だと思える人は他にはいない」と言われたことに感動したモニカは、You're like a sister to me too. 「あなたも私にとって姉妹のようだわ。姉妹みたいよ」と返します。

その後、ト書きにあるように、レイチェルは泣き始めてしまったので、泣きながらしゃべる内容が聞いている人にはよくわからない、という状態になってしまっています。
「あなたがいないと私はどうすればいいのか…」「あなたは最高の友達よ」という二人の会話も、確かにそんなことを言っているようだな、とわかる程度ですね。

その後も言葉は続くものの、さらに大泣きになってしまい、今度は本当に聞き取れないような状態になってしまいます。
そのレイチェルのセリフの不明瞭な部分は、DVDの英語字幕では、"--seeing you every day." "--see you every day!" のように一応文字化されていますが、モニカも、"What?" と言っているように、ここは聞き取れないということで全く問題ないでしょう。
レイチェルが泣きながら、モニカが感動するようなことを言っているのは間違いないので、モニカも「何て言ってるの?」などと無粋なことは言わず、「それってとっても優しいわ」と返して、ハグすることになります。

レイチェルとモニカがリビングに戻ってきて、フレンズたちの前でハグし、それを見たロスは、she took down Monica. と言っています。
この take down は「倒す、やっつける」に近い感覚になると思われます。
DVD日本語訳では「モニカまで落とされたぞ」となっていましたが、まさにそういうニュアンスでしょう。
あのしっかり者のモニカが、あんなにボロボロに泣くところまで陥落されてしまった、というような感覚ですね。
And I'm the crier in the family. の crier は、「cry+ -er(人を表す接尾語)」ですから、「泣く人、泣き虫」。
よって、「僕は家族の中で(一番の)泣き虫だ」と言っていることになります。
妹のモニカよりも僕の方が泣き虫なんだぞ、モニカがあんなに泣いてたら、僕はどれだけ泣かされるはめになるだろう、というところですね。
「僕が次かも」と言ったロスは、Maybe she won't talk with me if it looks like we're deep in conversation. と続けます。
be deep in conversation は「会話の中に深くいる、会話にどっぷりつかっている」というような感覚ですから、「会話に熱中・没頭している、話し込んでいる」という意味。
ですから直訳すると、「多分、レイチェルは僕と話そうとしないだろう、もし僕たち(ジョーイと僕)が話し込んでいるように見えれば」→「僕たち二人が熱心に会話中のように見えれば、レイチェルは(次に挨拶をする相手として)僕を指名しないだろう」ということですね。

そう言った後、ロスは「何かしらの件でジョーイと話し込んでいる」様子を見せようとして、早速ジョーイに向かって話しかけることになります。
so that thing you said about the thing, it really made me think about that other thing. を直訳すると、「それで、君(ジョーイ)がそのことについて言ったあのことは、本当に僕に別のことについて考えさせたよ」になりますね。
英語も漠然とした thing という単語が連発していますが、別にレイチェルに内容が聞こえなくても「何かしら話し込んでいる」ことだけがわかればいいので、あえて具体的な内容ではなく、抽象的な単語を並べていることになるでしょう。

そうやって、とりあえずしゃべっている風を装っていると、レイチェルはチャンドラーを呼んだので、ロスは安心するのですが、ロスのさっきの意味不明な会話に対して、ジョーイが "I really made you think about that thing, huh?" と何だか嬉しそうに返しているのが面白いです。
ロスが言っていたのは適当に会話っぽくしただけのセリフで、thing と言っていたことはどれも特定の内容があるわけではないのですが、「その件でジョーイがあんなことを言うから、別のことを思い出しちゃったじゃないか」という言葉をそのまま受け止めて、「俺が何か言ったせいで、お前は何かを考えることになっちゃったんだな」「俺のせいでそうなっちゃったんだな」というような「俺のロスに対する影響力」のようなものをちょっと嬉しそうに語っていることになるでしょう。
ロスの発言に何も思い当たる節もないはずなのに、「俺のせいでそれを思い出しちゃったって?」と嬉しそうな顔をしているジョーイのズレ具合が、いかにもジョーイっぽい面白さだということですね。


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posted by Rach at 13:38| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月29日

表なら私の勝ち、裏ならあなたの負け フレンズ10-16その1

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シーズン10 第16話
The One With Rachel's Going Away Party (Good-Bye レイチェル)
原題は「レイチェルのさよならパーティーの話」


[Scene: Joey's place. Rachel and Joey are talking]
ジョーイの家。レイチェルとジョーイが話をしている。
ジョーイ: All right, all right, all right, let's play one more time, okay? And remember, if I win, you do not move to Paris. (よしよしよし、もう1回やろうよ、な? で、覚えてるよな、もし俺が勝てば、レイチェルはパリには行かない、って。)
レイチェル: Okay! Can't believe I'm risking this again, but you're on! All right, Joe, you remember the rules! Heads, I win. Tails, you lose. (いいわよ! もう一度こんなリスクを冒すなんて信じられないけど、でも受けて立つわ! いいわね、ジョーイ、ルール覚えてるわよね? 表なら私の勝ちで、裏ならあなたの負けよ。)
ジョーイ: Just flip! ((つべこべ言わずに)さっさと投げろよ!)
レイチェル: (she flips the coin): Ha, tails! ([レイチェルはコインを投げる] あは、裏よ!)
ジョーイ: Damn it! (くそっ!)
(Chandler and Monica enter the room)
チャンドラーとモニカが部屋に入ってくる。
チャンドラー: Hey! (やあ!)
ジョーイ: Hey! (よお!)
チャンドラー: So we thought we'd throw you a little going-away party around 7. (7時くらいに、レイチェルにちょっとしたさよならパーティーを開こうと思ってたんだけど。)
レイチェル: Oh, that sounds good! (あぁ、それって素敵ね。)
モニカ: Hey, Rach, you're leaving tomorrow. Shouldn't you be packing? (ねぇ、レイチェル、あなたは明日発つのよね。荷造りしなくていいの?)
レイチェル: It's all done! (全部済んでるわ!)
モニカ: Oh, yeah, right! And after I took a shower this morning, I just threw my towel on the floor! Oh God, it hurts to even joke about it. (あーぁ、[皮肉っぽく]そうよねぇ〜! それで私は今朝、シャワーを浴びた後に、床にタオルを投げ捨てた! あぁ、ジョークを言うだけでも胸が痛むわ。)
レイチェル: I know. Honey, seriously, I did it all. (そうよね。(でも)ハニー、真面目な話、私は荷造りを全部済ませたのよ。)

ジョーイはレイチェルに向かって、「もう一回プレイしよう」と言った後、「で、覚えてるよな、もし俺が勝てば、君(レイチェル)はパリに行かない、って」と言っています。
レイチェルのパリ行きを阻止するために、ジョーイが何かしらのゲームで勝とうとしていることがわかりますね。
Can't believe I'm risking this again は、主語の I が省略されていて、直訳すると、「もう一度、私がこの件を賭けようとしているのは[この件でリスクを冒そうとしているのは](自分でも)信じられないけど」という感覚になるでしょう。
「ゲームに負けたら、パリ行きはとりやめ、なんてリスキーなことをしようとしてる自分が信じられないけど」ということですね。
you're on は、過去記事、けがに悩まされた1年 フレンズ6-6その4 にも出てきました。
お金を賭けてフーズボールをしようというやりとりの中で、
チャンドラー: What do you say to $50? (50ドル(賭ける)ってのはどう?)
ジョーイ: Okay, you're on. (オッケー、受けて立つよ。)
チャンドラー: Okay, let's play! (オッケー、じゃあプレーしよう!)

You're on. は「お前はオンだ、オンの状態だ」という感じですが、この on については、研究社 新英和中辞典では以下のように説明されています。
on =【副】《口語》 賛成して、喜んで参加して
I'm on! よしきた, 賛成だ。
You're on! (取引・賭けで)ようし承知した。


LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
you're on! : (spoken, informal) used to accept something such as a bet or an offer.
例) "I bet you $20 he won't come." "You're on!"

つまり、「賭けや申し出のような何かを受け入れる時に使われる」。
例文は、「彼は来ないって(方に)20ドル賭けるよ」「(その賭け)受けて立つよ」。

その後、レイチェルは、「ジョーイ、あなた、ルールは覚えてるわよね」と言って、Heads, I win. Tails, you lose. と続けます。
コイン投げのゲームにおいては、heads は「表」、tails は「裏」ですね。
ですから、レイチェルが言ったルールは、「表なら私の勝ち。裏ならあなたの負け」と言ったことになります。
ジョーイは、「そんなこと言われなくてもわかってるさ。さっさと投げろよ」というように、Just flip! と言うのですが、よくよく考えてみるとこのルールでは「表が出ても裏が出ても、ジョーイが負ける」という仕組みになっているのがポイントですね。
Tails, you win. だったら問題なかったのですが、Tails, you lose. という表現になっていたことに英語のセリフで気づけて、「どっちにしてもジョーイが負けじゃん」とわかった方は、「英語が聞き取れていた、この英語のジョークが理解できた」ということになります。
日本語でも詐欺師などがこんなルールで人を騙すことがありますが、英語でもそういうひっかけは存在するということですね。
投げたコインは裏が出て、ジョーイは負けたことにがっかりしていますが、このルールでは一生勝てないということにジョーイが全く気づいていない面白さになるでしょう。

その後、チャンドラーとモニカが入ってきて、「7時くらいにレイチェルのために、ちょっとしたパーティーを開こうと思ってた」と言います。
モニカは、ジョーイと話していたレイチェルを見て、「明日、出発する予定よね? あなた(今)荷造りをしているべきじゃないの?」→「荷造りしなくていいの?」と尋ねます。
レイチェルが誇らしげに、It's all done! 「(荷造りは)全部済んだの!」と言うと、モニカはちょっと皮肉っぽい口調で、Oh, yeah, right! と言った後、And after... 以下のセリフを言っていますね。
Yeah, right. は、単語を直訳すると「えぇ、そうね」になりますが、今回のように大袈裟に皮肉っぽく言うと、「まさか」と思っている気持ちが出ます。

And after... のセリフを直訳すると、「(あなたは荷造りが済んだ。)そして私は今朝シャワーを浴びた後、床の上にタオルを投げた[投げ捨てた]」みたいに言っていることになるでしょう。
そして次のセリフは、「あぁ、なんてこと、それについてジョークを言うことでさえ、心が痛むわ」ということですね。
「几帳面なモニカが、タオルを床に投げ捨てるなんてありえない」というのは、みんなが感じることでしょうが、it hurts... のセリフからも、それがジョークとして言ったものであることがはっきりとわかります。
モニカは、「片付けとかが苦手なレイチェルが、荷造りもう全部終わったですって?」のような驚きの気持ちを感じたので、「レイチェルがそんなことしたなんて、何だか”らしくない”わね」と言いたい気持ちを込めて、「でもそう言えば、私も今朝、”整理整頓好きで几帳面な私”っぽくないことをしたばかりなのよ」という例として、「シャワーの後、タオルを床に投げ捨てた」と言ったことになります。

モニカのその発言を聞いたレイチェルは、I know. と言った後、「ハニー、真面目な(真剣な)話、私はそれを全部やったのよ[荷造りを全部済ませたのよ]」と言っています。
「荷造り完了なんてレイチェルらしくない」という意味でモニカが「床にタオル」の冗談を言ったことがレイチェルにはわかるので、「モニカが驚くのはわかるけど、真面目な話、本当に荷造りを済ませたのよ。冗談かと思ってるかもしれないけど、ほんとの話なのよ」という意味で、seriously を使っているという流れになるわけですね。


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posted by Rach at 16:26| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月27日

私たちの行く先々に現れる フレンズ10-15その6

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チャンドラーとモニカは郊外に引っ越す予定なのですが、その隣の家をジャニスが買うことになりそうな気配。チャンドラーは(表情から明らかに嘘だとわかるものの)ジャニスに「君が隣に来てくれて嬉しい。だってまだ君のことを愛してるから」と言うのでジャニスは驚いています。
ジャニス: Chandler, what are you talking about? (チャンドラー、あなた何言ってるの?)
チャンドラー: Now that you live next door, we can be together every day. Sid and Monica never have to know a thing. (今や君が隣に住むんだから、俺たちは毎日一緒にいられる。シドやモニカは何一つ知る必要はないんだ。)
ジャニス: I don't know what to say. I mean, you know, obviously we have this heat between us. (何て言えばいいかわからないわ。だって、ほら、明らかに私たちの間には、こんな熱さ[情熱]があるけど。)
チャンドラー: (stunned) Obviously. ([固まった顔をして] 明らかに、ね。)
ジャニス: But I love my husband. And I know you love your wife. Now, I don't think we should get this house now. (でも私は夫を愛してるわ。そしてあなたがあなたの奥さんを愛してることも知ってる。今、私たちがこの家を手に入れるべきではないと思うの。)
チャンドラー: Don't say that. Don't tangle the dream and take it away. (そんなこと言わないで。その夢を乱さないで、夢を奪い去らないで。)
ジャニス: Chandler, one of us has got to be strong. (チャンドラー、私たちの一人は強くならないといけないわ。)
チャンドラー: I understand. (わかったよ。)
ジャニス: Although, maybe just... one last moment of weakness. (she kisses Chandler flat on the mouth. Chandler squirms. When she's finished, he looks at her lovingly but uneasily.) Goodbye, Chandler Bing. (She leaves) (でも、多分、弱さの最後の一瞬ね。[ジャニスはチャンドラーのまさに口にキスする。チャンドラーはもがく。ジャニスが(キスを)終えた時、チャンドラーはジャニスを愛しそうだが不安な様子で見る] さよなら、チャンドラー・ビング。[ジャニスは立ち去る])
チャンドラー: (speaking as in pain) They're never coming down now. ([苦しそうに話す] 今は(それらは)下がらないな!)

チャンドラーが愛の言葉を述べたので、ジャニスは「何言ってるの?」と驚いています。
「今や君が隣に住むんだから、俺たちは毎日一緒にいられる。君の夫シド、俺の妻モニカは、何一つ知る必要はないんだ」とチャンドラーが言うと、ジャニスは「何て言えばいいのかわからないわ」と言って、「明らかに私たちの間には、この熱さ・情熱があるけど」のように言っています。
ジャニスは、チャンドラーの告白に驚きつつも、「でも確かに二人の間には熱いものが燃えさかっているわよね」と言ったことになりますね。
そんな風に返されたチャンドラーは、かなりの間があった後、そんな発言は認められないというように、嫌そうな固まった顔をして、ジャニスの言った言葉 Obviously. を繰り返します。
言葉上では「二人の間に熱さが存在するのは明らかだよね」とジャニスに同意したことになるのですが、心の中では「いや、そんなもん、一切存在してないだろ!」と完全否定していることが、その顔の固まり具合からよくわかりますよね。

その後、ジャニスは、「でも私は夫を愛してる。あなたが奥さんを愛してるのも知ってる。だから今、私たち(夫婦)はこの家をゲットすべき[買うべき]じゃないと思う」と言います。
あなたと私が隣に住んで関係を持ってしまったら大変だから、私たち夫婦はこの家を買っちゃいけないわよね、隣に住んじゃいけないわよね、ということですね。

チャンドラーにとっては、いい方向に話が進んできたのですが、チャンドラーはまだ気を抜くことなく、「俺としてはジャニスに隣に住んで欲しい」というようなアピールを続けています。
tangle は「〜をもつれさせる」「(物事を)紛糾させる、混乱させる」なので、「夢を混乱させないで・乱さないで・壊さないで」と言っていることになるでしょう。
take away は「取り去る、奪い去る」ですから、「その夢を奪い去らないで」。

言葉ではそんな風に言いながらも、目はジャニスではない別の場所を凝視している感じで、その言葉を語る口調も、ものすごく早口で棒読みです。
本心からの言葉ではないのはミエミエですが、ジャニスだけはそれを真に受けているという状態ですね。

「私たちの一人は強くならないといけないわ」とジャニスが言い、ガッツポーズをすると、チャンドラーも「わかったよ」と言いながら、軽くガッツポーズをしています。
この「私たちの一人は〜しないといけない」という言い回しは、最近のエピソード、君の弱みに付け込んでる気がする フレンズ10-13その5 にも出てきました。
メイクラブしたいと望むレイチェルに対して、
ロス: I think one of us has to be thinking clearly. So I'm gonna go! (僕たちの一人は[どちらかは]よく考えないといけないと思うんだ。だから、僕は行くよ[帰るよ]!)
と言っていましたね。
感情に任せてイケナイことをしてしまいそうな時、どちらかが冷静に判断しないといけない、どちらかが心を強く持たねばならない、と言う場合に、このフレーズが使われるということですね。

これで無事、ジャニスは家を買わずに去ってくれる、、とチャンドラーも安心したことでしょうが、その後ジャニスは、「でも、多分、弱さの最後の一瞬ね(これが最後の弱さね)」と言って、チャンドラーの唇にキスします。
キスされた瞬間、チャンドラーは「ん!」と言って、後ろに下がろうとするのですが、チャンドラーの頬を手で挟んだジャニスが、結構しつこくキスし続けるので、観客からは歓声も上がっています。
キスした後、ジャニスは別れを告げて去って行くのですが、キスされた後のチャンドラーは、ぐっと口をつむったままで、その後、苦しそうなダミ声で、They're never coming down now. と言っています。
この部分、DVDの日本語訳では、「(字幕)タマ 上がりっぱなし!/(音声)これでもう、タマは大丈夫」となっていましたが、まさにそういう意味のようですね。
このセリフでは、they のように漠然とした複数形の主語になっていますが、これはこれより前のシーンで、ジャニスが隣になるかもしれないとわかった時の、チャンドラーとモニカのやりとりが元になっています。
チャンドラー: Will we love it so much with her next door? And she's gonna be louder out here too! Just the crickets and, (apes Janice's voice) "Oh... my... God!" (彼女が隣にいるのを俺たちはすごく喜べるか? それにこの辺りでは、もっと声が大きくなったりもするんだぞ! ただコオロギの声と、[ジャニスの声を真似る] ”オー・マイ・ゴッド!”)
モニカ: Okay. But if we don't get this house, she's still gonna show up wherever we go! I mean, at least if she's here, it eliminates the element of surprise. I mean, never again will you have to hear the three words that make your balls jump back up inside your body! (She shows this with her index finger, mimicking it pushing something up) (そうね。でも、もし私たちがこの家を手に入れなかったら、これから先も、彼女は私たちの行くところ、どこへでも現れるわ! ほら、少なくとも彼女がここにいたら、驚きの要素は排除されるもの。ほら、もう二度と、あなたはあの3語を聞く必要がなくなるのよ、あなたのタマが驚いて身体の中に戻ってしまうような、あの3語をね! [モニカはこのことを自分の人差し指で示す、それが何かを押し上げるかのようなしぐさをして])

your balls jump back up inside your body については、DVDの日本語訳では「あなたのタマが縮み上がる」となっていましたが、そういう感じのニュアンスだと思います。
jump back up inside your body の意味を単語ごとにイメージしていくと、「ジャンプするように急いで・急激に、戻る、上に上がる、自分の身体の中に」という感じですから、「びっくりして身体の中に引っ込んじゃう、すっこんじゃう、すくんじゃう」みたいな感じになるように思います。
そのシーンで、「ジャニスが近くにいると、あの声が聞こえて、balls がそんな状態になる」と言ったことを受けて、今回のシーンでは、they という代名詞にとどめて、「balls はもう、決して下がらない」→「ジャニスの脅威から解放されて、ball も元通り元気になる」みたいなことを言ってみせたことになるでしょう。
この They're never... の一文だけを取り上げて、「これはどういう意味でしょう?」と問うても全くわからないわけですが、「ジャニスがいると、balls がこうなる」という話をしたシーンがあった後に、「ジャニスが去って行ったら、they はこうなる」ということを言っているわけなので、they = balls だと想像できて笑えてしまう、ということですね。
(2016.8.2 追記)
この部分のやりとりについて、非公開コメントにてご意見をいただきました。
まず、「少なくとも彼女がここにいたら、驚きの要素は排除される(at least if she's here, it eliminates the element of surprise)」という部分が私の解説では抜けていましたので訂正します。
「あなたのタマが驚いて身体の中に戻ってしまうような、あの3語」というのは、「思いがけないところでジャニスに再会した時に、ジャニスが発する Oh, my God.」という意味ですね。
「近所にいるとわかっていれば出会いに驚くこともないので、思いがけないところで突然聞くはめになるジャニスの Oh, my God! に縮こまることはなくなる」という意味でした。
次に、"They're never coming down now." について、「男性の生理としては down が正常な状態」とのご指摘を頂戴したのですが、確かにその通りだと思います。
「思いがけない再会に驚いたジャニスの声を聞くと、タマが身体の中に戻ってしまう(縮こまってしまう)」という話の流れに対して、「今のジャニスからのキスは強烈過ぎて、今度はタマが上がりっぱなしになってしまう」という正反対のことを言っている面白さになると思われます。
(追記はここまで)


ちなみに、上のやりとりですが、Just the crickets and, "Oh... my... God!" と、she's still gonna show up wherever we go! というのが、とても面白くて笑ってしまいました。
ここはNYとは違い郊外なので、虫の音などの聞こえる閑静な場所なのですが、そのことを、「聞こえてくるのはただコオロギの声と、そしてジャニスの”Oh, my God!" だ」と表現しているのが楽しいです。
そして、過去のエピソードでも、意外なところで再会して、おいしい登場を繰り返してきたジャニスですが、モニカたちもそう感じていて、she's still gonna show up wherever we go! 「これから先も、彼女は私たちの行くところどこへでも[行く先々に]現れる」と言葉でそう表現しているのが、ジャニスというキャラ設定を、劇中のキャラ(モニカ)に語らせている感じがして、何だかとても面白いなぁと思いました。


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posted by Rach at 18:15| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月25日

やめたところからまた始められる フレンズ10-15その5

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[Scene: The house next door to Chandler and Monica's new house. Chandler is pacing worriedly through the living room when Janice enters.]
チャンドラーとモニカの新居の隣の家。チャンドラーが心配そうにリビングを歩いていると、ジャニスが入ってくる。
ジャニス: Well... I just talked to Sid. We are definitely putting in an offer on the house. A-a-and I'll bet we get it! (私、ちょうどシド(ジャニスの夫の名前)と話したところなの。この家に絶対に申し込むわ。そして私たちが間違いなくゲットするわ。)
チャンドラー: The Hitlers will be so disappointed. (ヒトラー夫妻はすごくがっかりするだろうね。)
ジャニス: All right, I gotta run. Tell Monica I say goodbye. And... I'll see you later, neighbor. (Janice laugh) (いいわ、私行かなきゃ。私がさよならって言ってたって、モニカに言っといて。そして…また後でね、ご近所さん。[ジャニスは笑う])
チャンドラー: Wait! I just want you to know that... I'm so happy you're going to be here. (待って! ただ君に知っておいて欲しいんだ… 俺はすごく幸せだよ、君がここに来ることになって。)
ジャニス: Oh, me too! (laughs) (まぁ、私もよ! [笑う])
チャンドラー: Because... that way... we can pick up where we left off. (だって… そうすれば… 俺たちは、やめたところ(終わったところ)からまた始められるだろ。)
ジャニス: Huh? (は?)
チャンドラー: I never stopped loving you. (俺は君を愛することをやめてなかったんだ。)
ジャニス: Oh...my-- (オー、マイ…)
チャンドラー: Yeah, yeah, yeah, yeah! I want you. I need you. I must have you, Janice Litman-Goralnik nee Hosenstein. (そうそうそう、そうなんだ! 俺は君が欲しい。俺には君が必要だ。俺には君がいなくちゃだめなんだよ、ジャニス・リットマン・ゴラルニック、旧姓ホーゼンスティーン。)

We are definitely putting in an offer on the house. の put in は「中に入れる」ことから「申し込む、申請する、応募する」というニュアンス。
夫のシドと話して、「この家に絶対に申し込みをするわ」と言っていることになります。
bet は元々、「金を賭ける」という意味なので、「(人に賭けて)断言する」という意味にもなり、この場合は、「私たちがこの家をゲットすると断言する。私たちは間違いなく・確実にこの家をゲットするわ」という意味になります。

「この家に申し込んで、もう1組のライバルを蹴落として絶対にゲットするんだから!」と強気な発言のジャニスに対し、チャンドラーは、The Hitlers will be so disappointed. と言っています。
The Hilters の Hitler は、あのナチスドイツのヒトラーのこと。
ここでヒトラーの名前が出て来たのは、これより前のシーンで、ジャニスと驚きの再会をした後、モニカがつい「私たち隣の家を買う予定なの」としゃべってしまったシーンと関係しています。
「何でジャニスにしゃべっちゃうんだ」と言われ、モニカ自身も「何でそんなことを言っちゃったのかわからない」と困惑した様子でしたが、その後、
モニカ: Okay, the realtor said another couple made an offer. Maybe the Janices won't get it! Maybe the other couple will. (ねぇ、不動産屋が言ってたでしょ、もう一組のカップルが申し込みをした、って。多分、ジャニス夫婦はこの家をゲットできないわよ!多分もう一方のカップルがゲットするわね。)
チャンドラー: The only way that that is going to happen is if the other couple are the Hitlers! (そういうことが起こる唯一の方法は、もしもう一方のカップルがヒトラー夫婦だった場合だけどね。)

モニカは「もう一組のカップルがゲットするわよ、きっと」と言っているのですが、チャンドラーは「ジャニスに勝てそうなのは、相手がヒトラー(夫婦)だった場合くらいだね」みたいに、「喧嘩して負けなさそうな例」としてヒトラーの名前を挙げたことになります。
このやりとりで注目すべきは、the Janices, the Hitlers という「the+名前の複数形」の形。
英語では「the+名字の複数形」で、「(名字)一家」という意味を表します。
その名字の人がたくさんいる集団だからですね。
「一家」ほど大きくなくて、夫婦、兄弟姉妹の場合でも、同じ名字の人が2人以上いる場合には使えます。

ヒトラーの場合は、アドルフ・ヒトラーでヒトラーが名字ですから、まさに「ヒトラー夫婦」と表現していることになるのですが、ジャニスの方は名字ではなく名前の方の複数形で表現されています。
これはモニカが、ジャニスの名字を知らないからでしょう。
ジャニス夫婦は、夫シドと妻ジャニスで、その夫婦(一家)にはジャニスという名前は複数存在しないので、the Janices という表現は、厳密に言うとおかしいわけですが、モニカのイメージとしては「ジャニスとその夫のあの夫婦」なので、名字のように the Janices と表現したことになります。
仮に名字を知っていたところで、the+名字と表現しても、視聴者がジャニス夫婦のことだとピンとこないから、という脚本上の都合もあるでしょうが、モニカがジャニスの名字を知らないことを示唆しているのは間違いないと思います。

今回のシーンに戻ります。
少し前のシーンで、「ジャニスのライバルとなるもう1組のカップル」のことをヒトラー夫婦と表現したことを受けて、チャンドラーはここで、「ライバルのヒトラー夫婦はすっごくがっかりするだろうね」と言っていることになりますね。
「ジャニスに勝てそうなのはヒトラーぐらい」と思っていたチャンドラーですが、ジャニスが買う気満々、勝つ気満々のパワー全開モードなので、これはもう相手に勝ち目はないな、という意味で、「さすがのヒトラー夫婦でも、がっかりしちゃうだろうね」と言ったことになります。

I gotta run. を直訳すると、「私、走らなくちゃ」ということですが、これは「急いで行かなきゃ」というニュアンス。
I gotta go. はよく聞きますが、それを I gotta run. と表現すると「もう走ってでも行かなくちゃ」という感じが出て、より急ぎのニュアンスが出ると言えるでしょう。
ささいな表現の違いではありますが、いつもの表現をちょこっとアレンジすることで、言葉の幅が広がる気がしますよね。

ジャニスは「また後でね、neighbor (ご近所さん)」と言って、あの独特の「ジャニス笑い(Janice Laugh)」をしながら家を出ようとしますが、チャンドラーはそれを引き留め、「ただ君に知っておいてほしいんだ、君がここに来ることになって、俺はとっても幸せだってこと」と言います。
ジャニスは「私もよ」と言ってそのまま家を出ようとしますが、チャンドラーは、Because... と意味ありげに言葉を続けてから、that way... we can pick up where we left off. と言っていますね。

that way は「そのように、その方が」という感覚。
「俺たちが leave off したところを pick up できる」のように表現していますが、leave 「離れる」+off 「分離」ですから、leave off は「やめる」という意味。
pick up は「拾い上げる」が原義で、落ちたものを拾い上げる感覚から来るのでしょうね、「(話や活動などを)(中断後に)再び始める」という意味があります。
よって、チャンドラーのセリフは、「俺たちがやめたところからまた始められる」というような意味になるのですが、表現が抽象的であるため、それを聞いたジャニスは、まじで何のことかわからない、という顔で、Huh? と言っています。
するとチャンドラーは、先ほどの抽象的な言い方ではなく、もっと直接的に、I never stopped loving you. 「俺は君を愛することをやめていなかった」→「君のことをあれからもずっと愛してた」と言います。
既婚者である元カレから、愛の告白をされたことになるので、ジャニスはお得意の Oh, my God! を言おうとするのですが、チャンドラーが早口で Yeah, yeah, yeah, yeah! と言って、God まで言わせないのが面白いですね。
「もう、それ聞くのめんどくさいからやめて」みたいな感じの止め方です。

その態度を見ていると、「ジャニスを今でも愛してると嘘をついて、その場を切り抜けようとしている」のは明らかなのですが、チャンドラーはとにかく言葉上では、「ジャニスを愛してる」的な言葉をいくつも繰り出します。
I want you. I need you. I must have you と言った後、呼び掛け語としてジャニスの名前を言っていますが、それがやたらと長いフルネームなので笑ってしまいますね。

フレンズ8-24 で、レイチェルとジャニスが同じ病院で出産した時、ジャニスは自分の生まれたばかりの息子を連れて、レイチェルと娘エマの部屋に、以下のように挨拶に来ていました。
ジャニス: (entering) Yoo-hoo! Aaron Lipman-Guralnick would like to say hello to his future bride. ([入ってきて] やっほー! アーロン・リップマン=グラルニックが、未来の花嫁に挨拶したいって。)
この名前の部分、DVD英語字幕では、Aaron Lipman-Guralnick、ネットスクリプトでは、Aaron Litman-Neurolic と表記されていました。
多少綴りは異なっていますが、今回の 10-15 でチャンドラーが言ったフルネームの中の、Litman-Goralnik とほぼ同じですね。
基本的にスペルは、DVD字幕の方がオフィシャルであると考えるべきですが、サブキャラのフルネームなので、いまいち統一が取れていない、ということのようです。

そして、おまけのように最後についている、nee Hosenstein について。
この nee は、発音は「ネイ」で、「(結婚前の)旧姓は」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
nee [adjective] : (old-fashioned) used in order to show the family name that a woman had before she was married.
例) Mrs. Carol Cook, nee Williams

つまり、「(古い表現) ある女性が結婚する前に持っていた名字を表すために使われる」。例文は、「ミセス・キャロル・クック、旧姓ウィリアムズ」。

ですからチャンドラーは、ジャニスのフルネームを呼び掛ける時に、わざわざ旧姓まで言った、ということですね。
ジャニスとの再会におののいているわりには、その長いフルネームを旧姓まで含めてちゃんと覚えてるやん! という面白さになるのでしょう。
二人のくされ縁の深さがよく表れている感じですね。


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posted by Rach at 17:50| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする