2021年03月17日

マザー・キッサー フレンズ1-11改その15

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16:24
[Enter Chandler]
チャンドラー登場。(慌てて出て行ったモニカとフィービーを見ながら、店に入ってきて)
チャンドラー: What the hell was that? (今のは一体何だったんだ?)
ロス: Oh, uh, Phoebe just started her... (あぁ、その、フィービーがちょうど彼女の(ライブ)を始めたところで…)
チャンドラー: Yeah, I believe I was talking to Joey. All right, there, mother-kisser? [Goes to the counter] (あぁ、俺はジョーイに話してたつもりだったんだけどな。いいか、マザー・キッサー[ママにキスするやつ]? [カウンターのほうに行く])
ジョーイ: [Laughing] "Mother-kisser." [Sees Ross's look] I'll shut up. ([笑いながら]「マザー・キッサー」(だって)。[ロスの視線を見る] 俺、黙るよ。)
ロス: Chandler, can I just say something? I-I know you're still mad at me, I just wanna say that there were two people there that night. Okay? There were two sets of lips. (チャンドラー、ちょっと言わせてもらっていいか? 君が僕にまだ怒ってるのはわかってるけど、ただこう言いたいんだよ、あの夜あの場所には2人の人間がいたんだ、って。だろ? 2組の唇があったんだよ。)
チャンドラー: Yes, well, I expect this from her. Okay? She's always been a Freudian nightmare. (あぁ、そうだな、こういうこと(が起こりえること)はあの人から予想できるよ。だろ? あの人はずーっとフロイト的悪夢だったんだ。)

モニカとフィービーが店から走って出て行ったので、チャンドラーは「今のは一体何だったんだ?」と言いながら、店に入ってきます。
ロスが「フィービーがライブを始めたところで…」と説明しようとすると、チャンドラーは「俺はジョーイに話してたんだけど」と言った後、ロスに mother-kisser と言います。
その後、その言葉を聞いたジョーイは大ウケしてその言葉を繰り返し、ロスに睨まれて「俺、口閉じとくよ[黙っとくよ]」と言います。

mother-f*cker(または ハイフンなしの motherf*cker)という卑語があり(f*ckがかなりキツい卑語なので伏字にしています)、mother-kisser は、それをもじったもの。
f*ck は、アクション系やマフィア系の荒っぽい映画などで、f*cking の形で「ひどい、いまいましい」という強調語として登場したりする単語ですが、f*ck というのは「性交(する)」という意味を最も直接的に表現する卑語なので、f*cking などと一部が伏せ字にされることも多い、いわゆる「タブー(taboo)語」です。
F*ck you! などの「ののしり言葉」を知っている人は日本人にも多いですが、日本人が想像している以上にキツい表現ですから、そういう単語を知ったかぶりして使うのは大きなトラブルの元になるので気をつけたいところ。

ゴールデンタイムに放送されていたテレビドラマであるフレンズでは、当然、f*ck のような単語は出てきませんが、今回のセリフは、「motherf*cker という卑語を知っているから、motherkisser という言葉に笑える」という、放送コードを巧妙にクリアした感じの、ある種の変化球とも言えるもので、いかにもフレンズっぽい表現だと思います。

上で説明したように、f*ck は「エッチする」を露骨に表現した卑語ですから、motherf*cker は「自分の母親とエッチするような最低のやつ、軽蔑すべきやつ」という、相手をののしる言葉です。
ここでは、実際に、ロスはママ(自分のママではなく、友人チャンドラーのママではありますが)とキスしているので、f*ck を kiss に変えて使って、「お前は最低なやつだ」と、ののしっているわけです。
よく使われる卑語とかけた形で、なおかつ、ロスが実際にしたことも盛り込まれているという二重の非難が込められた言葉、それが、mother-kisser だということです。

なお、motherf*cker という卑語は、「最低なやつ」と人をののしる言葉として使われる以外に、物や出来事に対して「ちくしょう、くそっ、ふざけるな」と毒づく言葉としても使われます。

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』[2:28:41] では(ネタバレになるので状況の説明は伏せますが)、
ニック・フューリー: Oh, no. Mother... (あぁ、だめだ。ちくしょう……)
というセリフがありました。
このマザーは「お母さーん…」ではなく、motherf*cker と言おうとして、セリフが途中で途切れていることを示しています。
「くそっ! ちくしょう!」のような、悪態をつく、ののしり言葉(curse word)ということです。
フューリー役の俳優サミュエル・L・ジャクソンが様々な作品で使っている、彼の代名詞とも言えるフレーズであることもポイントの一つでしょう。
このセリフをよく聞いてみると(字幕には出ていませんが)Mother の後にかすかに f の摩擦音が聞こえます。文字にすると、Motherf... のような感じです。

卑語の話の流れで、同じく映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』[1:19:57] では、
ピーター・クイル: Chill the eff out. (落ち着きやがれ[落ち着けってんだ]。)
というセリフが出てきました。

chill out は「落ち着く、冷静になる」。chill は動詞で「冷える、冷やす」、名詞で「冷え、冷たさ、寒さ」という意味があります。
「落ち着け」と言いたい場合には、Chill out. の他に、Take a chill pill.(直訳すると「鎮静剤を飲め」)も使えます。また、一語で Chill. と表現することもできます。

Chill out. の間に入っている the eff の eff の読みは「エフ」。
卑語 f*ck の頭文字 f (エフ)から来た単語で、f と表現することで、f*ck(または f*cking)の意味だということを示唆しています。
このクイルのセリフは、意味としては f*cking で強調している感覚で、でも、その言葉を直接使うのははばかられるため、頭文字の f = eff だけにとどめたことになります。
和訳を通常より、荒っぽく下品な言い方にしてみると、卑語で強調したニュアンスが出るように思います。

ピーター・クイルはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーで、彼らはラフで下品な言葉もあまり抵抗なく使う人たちですが、そのクイルでさえ(実際には、放送・上映コードの問題ですが)、Chill the eff out. のように、ダイレクトに f*ck という言葉を使うのは避け、eff で代用した、ということになります。
アベンジャーズはヒーロー映画で、ちびっこたちにも広く見てもらいたいわけですから、卑語っぽい表現であっても、Mother(f)... のように卑語が出てくる直前で止めたり、eff = f を使って卑語の代わりであることを示したりと、表現に様々な工夫を凝らしているのに注目してみるのも面白いなと思います。

フレンズの解説に戻ります。
一方的に責められたので、ロスは反論しています。
I just wanna say that 「僕は言いたいことはこうだ」と言って、
there were two people there that night. 「あの晩、あの場所には2人の人間がいた」
There were two sets of lips. 「2組の唇があった」
と続けます。

lip は「唇」で、単数形の a lip は「上唇または下唇(上下の唇の片方)」を示します。
上唇なら the upper lip、下唇なら the lower lip で、「彼は彼女の唇にキスした」なら He kissed her on the lips. と複数形になります。
ですから、two sets of lips は「上下の唇(一人の人間の唇)が2セット」という感覚で、キスする唇を持った人間が2人いた、ということ。
2人の人間がいて、唇だって2つあった。君は1つの方の僕ばかりを責めるけど、君のママの方はどうなんだよ? とロスは言いたいわけです。

Freudian nightmare は「フロイト的な悪夢」。
Freudian は「フロイトの、フロイト的な」。
フロイトは、精神分析学者ジークムント・フロイト(Sigmund Freud)のこと。

研究社 新英和中辞典では、Freudian は「フロイト(派)の」という意味以外にも、
《口語》〈言動が〉無意識層における性に関する[から生じる]
という意味も出ています。
また、同じく研究社 新英和中辞典には、以下のような表現も出ていました。
Freudian slip=【名】【C】 フロイト的失言 《無意識の動機・願望などを露呈するような失言》

LAAD では、
Freudian [adjective] :
2. a Freudian remark or action is connected with the ideas about sex that people have in their minds but do not usually talk about

つまり「フロイト的発言・行動は、人が心に抱く、しかし普段はそれについて語らない、性についての考えに関係している」。

フレンズ1-6 では、俳優であるジョーイが Freud! 「フロイト!」というタイトルの芝居に主演しており、過去記事、フロイト的精神分析を歌にする フレンズ1-6改その2 でも、フロイト的精神分析について触れました。
フロイトの精神分析論では、リビドー(性衝動)などに関する性理論が有名で、そのため日常会話で性的な話題になった場合にもフロイトの名前が持ち出されることが多いです。

拙著『リアルな英語の9割はアカデミー賞映画で学べる!』の p178-179 では、「性的な話題で名前が挙がるフロイト」という項目で、映画『タイタニック』のイズメイとローズの会話を取り上げています。
タイタニック号を建造した会社の社長であるイズメイが、タイタニック号の「サイズ」について語るのを聞いて、
ローズ: Do you know of Dr. Freud, Mr. Ismay? His ideas about the male preoccupation with size might be of particular interest to you. (フロイト博士のことをご存じですか、イズメイさん? 男性がサイズにこだわることについてのフロイト博士の考えは、あなたにとっては特に興味のあるものとなるかもしれませんね。)

男性がサイズ(大きさ)の話をしている時に、「フロイト」という性を連想しがちな言葉を持ち出すことで、「男性の象徴である部位のサイズに男性はこだわりがち」という話題にすり替えたことになります。

今回のフレンズのセリフでも、チャンドラーは「性的な事柄と関連づけられやすい」フロイトの名前を持ち出して、母親が性に奔放な人であるために息子の自分はずっと悩み苦しんできたことを言っていることになるでしょう。


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posted by Rach at 19:43| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月19日

関係代名詞で情報を付け足しながら話す英語の感覚 フレンズ1-11改その14

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15:33
レイチェル: [Into microphone] Central Perk is proud to present Miss Phoebe Buffay. ([マイクに向かって] セントラルパークが自信をもってご紹介します、ミス・フィービー・ブッフェ。)
フィービー: Thanks. Hi, um, 'kay. I'd like to start with a song that's about a man that I recently met, who's, um, come to be very important to me. [Monica gives her a look] 'Kay. (ありがとう。はーい、オッケー。私はある歌で始めたいと思います。最近会った男性についての歌で、その人は私にとって、とても大切になっているの。[モニカはフィービーに視線を向ける] オッケー。)
You don’t have to be awake
To be my man
Long as you have brain waves
I’ll be there to hold your hand
Though we just met the other day
There’s something I have got to say

(あなたは起きる必要はないの
私の人でなくてもいいの
(→訂正:私の人[彼氏]になるのに目覚めている[覚醒している]必要はないの 訂正ここまで)
あなたに脳波がある間
私はあなたの手を握るためにそこにいるわ
こないだ私たちは出会ったばかりだけど
私には言わなければならないことがあるの)
[She sees Monica sneaking out] Okay, thank you very much. I'm gonna take a short break. [Runs out, knocking over the mike stand] ([フィービーはモニカがそっと抜け出すのを見る] いいわ、どうもありがとう。私はちょっと休憩を取るわね。[走って出て行く、マイクスタンドを倒しつつ])
レイチェル: [Into mike] Okay, that was Phoebe Buffay, everybody. Woo! ([マイクに向かって] オッケー、今のがフィービー・ブッフェでした、みなさん。ウー!)

Central Perk is proud to present... は「セントラルパークが…を、誇らしく[誇りを持って]ご紹介する」。つまり「自信を持ってお届けする」というような感覚。
present は日本語にもなっている「プレゼント、贈り物」の意味があり、動詞で「贈呈する、贈る」という意味もありますが、ここでは「紹介する」という意味になります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
present [verb] : INTRODUCE SOMEBODY [transitive] (formal) to introduce someone formally, especially to someone important
例)May I present my parents, Mr. and Mrs. Benning?

つまり「誰かを正式に紹介すること、特に重要な人に対して」。例文は「私の両親を紹介させていただいてよろしいですか? ベニングご夫妻」。

formally 「正式に」、someone important 「重要な人」に対して、というところがポイントで、
Macmillan Dictionary でも、
present [verb] : to introduce someone formally to someone else, especially to an important person
のように、語義に formally, an important person という同様の言葉が見られます。

セントラルパークの店員であるレイチェルが、お客様にフィービーを紹介する、という状況ですから、まさにこの動詞 present のニュアンスがぴったりだと言えるでしょう。

フィービーのセリフ I'd like to start with a song that's about a man that I recently met, who's come to be very important to me. について。
文末のピリオドまでが、非常に長い文になっていますが、「情報を付け足しながら話すという英語の感覚」を掴むのに最適なセリフだと思います。
後ろから訳し上げたりせずに、前から情報を拾っていく感覚で理解しましょう。

前から順番にかたまりごとイメージして訳していくと、「私はある歌で(ライブを)始めたいと思います」「その歌はある男性についての歌です」「その男性は、私が最近会った人です」「その人は、私にとってとても大切(な人)になっています[なりました]」。
日本語っぽい語順にすると、, who’s という関係代名詞の非制限用法の前でいったん文章は切れますが、その前の文章は後ろから訳し上げる形になるでしょう。
「私が最近会ったある男性に関する歌でライブを始めたいと思います。その男性は私にとって非常に大切になった人です」という感じです。

「〜する(名詞)」のように、形容詞(句)が名詞を上から修飾する形が自然な日本語の場合は、「私が最近会ったある男性に関する歌」のような表現になりますが、英語では、まず「私はある歌でライブをスタートさせる」と言っておいてから、その歌の説明を後から付け足す形で文が続いていきます。
最後まで聞いてから、日本語の語順に並べて訳そうとしていては、英語のスピードについて行けません。
英語は英語が話された順序のまま、前から順番にイメージしていって、情報がどんどん継ぎ足されて、詳しくなっていく様子を感じて下さい。
話し言葉の場合は特に、このフィービーのセリフのように、考えながら話す場合が多いです。
日本人英語学習者である我々が英語を話す場合でも、まず最初に大事なことをSVで言っておいて(私はある歌で始める)、その後、「その歌と言うのは、その男性というのは」と言葉をつなげていけばよいということです。

歌詞の "You don’t have to be awake / To be my man" の to be my man は、to があることで、前文の You don't have to が省略されていることが示されています。
つまり、You don't have to be awake. You don't have to be my man. 「目覚めてくれなくてもいい。私の人でなくてもいい」と歌っているわけです。
昏睡状態の相手に「私の人になって」というのは無理がありますから、「私の人になって」と読み違えることは少ないかもしれませんが、仮に「私の人になって」と言いたい場合には、to はつけずに、Be my man. または Just be my man. 「ただ私の人になって」のように表現することになるでしょう。
(2021.2.21 追記)
コメント欄で、You don't have to be awake to be my man. は「私の彼氏になるのに覚醒している必要はない」という意味だというご意見を頂戴し、確かにその通りだと思いました。
コメント欄にて追記しておりますので、併せてご覧いただけると幸いです。
(追記はここまで)

As long as you have brainwaves は「あなたに脳波がある間は、脳波があれば」。
brain waves 「脳波」があればそれでいい、と、想い人が昏睡状態の男性であることならではの歌詞になっています。
このエピソードを見ている視聴者は、これが今、病院で寝ている coma guy のことだとわかりますが、セントラルパークでフィービーのライブを聞いている一般のお客さんは「脳波?」となっていることが想像できるのが笑いのポイントでしょう。

take a short break は「短い休憩をとる、ひと休みする、小休止する」。
フィービーが歌っている間に、モニカがこっそり抜け出してぬけがけしようとしているのに気づき、フィービーは途中で歌をやめ、休憩を取ると言って、モニカの後を追いかけます。

その後、レイチェルが that was Phoebe Buffay と言っていますが、「今のがフィービー・ブッフェ”でした”」と「過去形」で表現しているところに、フィービーのライブが終わってしまった感じが出ています。
最初に Central Perk is proud to present Miss Phoebe Buffay. と、丁寧な定番表現を使って紹介したこととの対比も面白いと言えるでしょう。


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posted by Rach at 15:25| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月06日

ただ彼女が〜じゃないと想像してみろよ フレンズ1-11改その13

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14:25
[Scene 7: Central Perk- no Chandler. Rachel is writing something and Monica walks up]
シーン7。セントラルパーク。チャンドラーはいない。レイチェルは何かを書いていて、モニカが歩いて近づく。
モニカ: Hey. (はーい。)
レイチェル: Hey. (はーい。)
モニカ: [Reading] "A Woman Undone. By Rachel Karen Green." ([読みながら] ボタンの外れた女。作レイチェル・カレン・グリーン。)
レイチェル: Yeah. Thought I'd give it a shot. I'm still on the first chapter. Now, do you think his “love stick” can be “liberated from its denim prison”? (えぇ。私もやってみようと思ったの。まだ第1章なのよ。それで、彼の「愛の棒」は「デニムの牢獄から自由になる」って可能だと思う?)
モニカ: [Reads] Yeah, I'd say so. And there's no “j” in “engorged.” ([読んで] えぇ、そう思うわ[いいんじゃない]。それから engorged 「充血した、膨れた」には j はないわよ。)
フィービー: [Walks up with her guitar] Hey, Rach. ([ギターを持ってレイチェルに近づく] はーい、レイチ。)
レイチェル: Hey. (はーい。)
フィービー: Hello. (こんにちは。)
モニカ: Hello. (こんにちは。)
フィービー: Going to the hospital tonight? (今夜は病院に行くの?)
モニカ: No. You? (いいえ。あなたは?)
フィービー: No. You? (いいえ。あなたは?)
モニカ: You just asked me. (あなた、さっき尋ねたばかりよ。)
フィービー: Okay, maybe it was a trick question. [Plays a few chords] Um, Rachel, can we do this now? (そうね、それはひっかけの質問だったかも。[いくつかコードを弾いて] あの、レイチェル、今、これ(ライブ)できる?)
レイチェル: Okay. [Writes a little more] I am so hot! (いいわよ。[もう少し書いて] 私ってすっごくセクシー!)
ジョーイ: [To Ross, on the couch] Now, here's a picture of my mother and father on their wedding day. Now, you tell me she's not a knockout. ([カウチに座りながら、ロスに] なぁ、これは結婚式の日の俺の母さんと父さんの写真だ。で、俺の母さんが美人(イケてる女)じゃない、って言ってみろよ。)
ロス: I cannot believe we're having this conversation. (僕と君がこんな会話してるなんて信じられないよ。)
ジョーイ: C'mon! Just try to picture her not pregnant, that's all. (なぁ! 母さんが妊娠してないって、ただ想像してみろよ、それだけだ。)

チャンドラーのママである、ノーラ・ビングの影響を受けて、何か書き始めているレイチェル。
タイトル A Woman Undone の undone は、undo 「(一度したことを)元通りにする、元に戻す」の過去分詞形。
undo は「(結び目を)ほどく、(包みを)あける、(ボタンを)外す」という意味でも使われるので、その過去分詞形の undone は「ほどけた、外れた」という意味の形容詞にもなります。

Macmillan Dictionary では、
undone : not closed, tied, or fastened
例)Leave the top button of your shirt undone.

つまり「閉まっていない、結ばれていない、締め・留められていない」。例文は「あなたのシャツの上のボタンは留めないままでおきなさい」。

今回の A Woman Undone も、ボタンなど留めるべき部分が留められていない、ボタンが外れている、というようなニュアンスかなと思いました。

give it a shot は「試しにやってみる、挑戦してみる」。
試しに小説を書いてみた、トライしてみた、ということ。
ノーラの助言通り、性器を婉曲に表現した love stick 「愛の棒」という言葉が使われています。
be liberated from... は「…から解放されている、解放された」。 liberty なら名詞で「自由、解放」。
“liberated from its denim prison” とは「デニム(のジーンズ)という牢屋から解放された」ということ。

I'd say so. は I agree with you. と同じような意味で、相手への同意を表す表現。
engorged は「充血した、(体の部分などが)膨(ふく)れた」。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
engorged : having become larger or filled with something
例)a river engorged with water from the storm

つまり「より大きくなってしまうこと、または何かで満ちること」。例は「嵐による水で満ちた川」。

Macmillan Dictionary では、
engorged : swollen
つまり「膨れた、膨れ上がった」。

その単語には j の文字はないわよ、と言うことで、レイチェルが engorge の綴りを間違えていることをモニカは指摘しています。
engorje のように g が j になっている、というようなことでしょう。
モニカのセリフから、レイチェルが書いた小説には、「愛の棒」の後に「膨れた」という単語も出てきていることがわかり、いかにも官能小説っぽい感じが出ています。

Going to the hospital tonight? は「今夜、病院に行くつもり?」。現在進行形は、することが決まっている近い予定を表します。
No. You? は 「いいえ、あなたは?」。どちらも同じセリフを言っていることで、「行かないわよ、あなたこそどうなの?」と互いにけん制し合っている様子が伺えます。
trick question は「落とし穴のある問題、ひっかけ問題」。
I am so hot! の hot は「性的に興奮した、みだらな」「セクシーな」。
この場合は、ノーラの真似をしてエッチな小説を書きながら、みだらな文章を書いている自分のことを、「私ってすごくみだら、エッチ」みたいなことを言っているのでしょう。

ジョーイがロスに言ったセリフ、Now, you tell me she's not a knockout. を直訳すると、「さあ今、俺の母親がノックアウトじゃないって言ってみろ」という感じの命令文になります。tell me に主語の you がついてさらに強調している感覚です。
knock out という句動詞は「殴り倒す、打ち負かす、ノックアウトする」という意味。
名詞の knockout もそういうボクシングなどの「ノックアウト」という意味ですが、そこから、ノックアウトされるほど「圧倒的なもの、素晴らしいもの、美人・美男」という意味があります。
LAAD では、
knockout : (informal) someone or something that is very attractive or exciting
例)Leslie's a real knockout.

つまり「(インフォーマル)非常に魅力的またはワクワクするような人または物」。例文は「レスリーは本当に美人だ(魅力的だ)」。

ジョーイのママはチャンドラーのママほどセクシーじゃない、と言われたことをジョーイはずっと根に持っていたようで、ママの若い頃の写真をロスに見せ、「これを見たら、ママはセクシーだって認める気になるだろ?」と言っていることになります。
ロスの I cannot believe... は、友人のママとキスしたことで友達関係がおかしくなっているこの時に、ジョーイのママがセクシーかどうかの話題をどうして今しなくちゃいけないんだ、というところでしょう。

Just try to picture her not pregnant は「ただ、彼女が妊娠していないと想像してみろ」。
here's a picture of というセリフでは、picture は「写真」ですが、try to picture の picture は動詞で、「想像する、心(の中)に描く」という意味。
ママが not pregnant である状態を想像してみろよ、ということから、結婚式の日にはすでにかなりお腹が大きかったことがこのセリフでわかるということです。


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posted by Rach at 12:30| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月23日

さもないと、どうなっていたことか フレンズ1-11改その12

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13:30
ロス: I was really upset about Rachel and Paolo and I think I had too much tequila, and Nora... um, Mrs. Mom, your Bing, was just being nice, y'know, and- But nothing happened. Nothing. Ask Joey. Joey, uh, came in-- (僕はレイチェルとパウロのことで本当に動揺していて、それにテキーラをかなり飲みすぎたと思うんだ。そしたら、ノーラが、えーっと、ミセス・ママが、君のビングが、ただ優しくしてくれたんだよ、ほら、それで…でも何も起こらなかった。何も。ジョーイに聞いてくれよ。ジョーイが(その時)入ってきて…)
チャンドラー: [To Joey] You knew about this? ([ジョーイに] お前はこのことを知ってたのか?)
ジョーイ: Uh... y'know, knowledge is a tricky thing. (あー…ほら、知識ってのは、なかなか難しい問題なんだよな。)
チャンドラー: I spent the entire day with you. Why didn't you tell me?! (俺はお前と一緒にまる一日過ごしてたんだぞ。どうして俺に言わなかったんだ?)
ジョーイ: Hey, hey, hey. You're lucky I caught them when I did, or else who knows what would’ve happened. (おいおいおい。俺があの時に二人の姿を見つけて、お前はラッキーだったんだぞ。さもないと(あの後)何が起こってただろうかってことか誰にわかる?[誰にもわからないんだぞ])
ロス: Thanks, man. Big help. (ありがと。大いに助かるよ。)
チャンドラー: [To Ross] I can't believe this! What the hell were you thinking? ([ロスに] こんなの信じられないよ! お前は一体何を考えてたんだ?)
ロス: I wasn't. I don't know.... (僕は考えてなかった。わからないよ…)
チャンドラー: Y'know, of all my friends, no one knows the crap I go through with my mom more than you. (なぁ、俺の友達の中で、俺がママのことで経験してきたひどいことをお前より知っているやつはいない、ってのに。)
ロス: I know-- (そうだよな。)
チャンドラー: I can't believe you did this! [Walks toward the door] (お前がこんなことをしたなんて信じられないよ! [ドアに向かって歩いていく])
ロス: Chandler. (チャンドラー。)
ジョーイ: Me neither, y'know what-- (俺も信じられないよ、わかるだろ…)
チャンドラー: I'm still mad at you for not telling me. (俺に言わなかったことで、俺はまだお前に怒ってるんだぞ。)
ジョーイ: What are you mad at me for?! (お前は何で俺に怒ってるんだよ?)
ロス: Chandler-- (チャンドラー…)
チャンドラー: You gotta let me slam the door! [Leaves; slams the door] (俺にドアをバタンと閉めさせろよ! [立ち去り、ドアをバタンと閉める])
ジョーイ: [Shouting after him] Chandler, I didn't kiss her. He did! [To Ross] See what happens when you break the code? ([去ろうとする彼の後ろから大声で叫びながら] チャンドラー、俺は彼女(お前のママ)とキスしなかった。ロスが(キス)したんだぞ! [ロスに] コード(掟)を破ると何が起こるかわかるだろ。)
ロス: Joey-- (ジョーイ…)
ジョーイ: Ah! [Points to door] Huh? [Leaves and slams the door] (あぁ! [ドアを指さして] は? [立ち去り、ドアをバタンと閉める])

be upset about は「〜について動揺する、混乱する、動転する、憤慨する」。
upset は元々動詞で「ひっくり返す」という意味で、そこから「(人の)気持ちを動揺・動転させる」など、人の気持ちをひっくり返したり乱したりする状態を表します。穏やかな状態ではなく、気持ちが落ち着かない状態ということです。

Nora... um, Mrs. Mom, your Bing... のように、チャンドラーのママを指すロスの言葉が、二転三転しています。
最初につい「ノーラ」とファーストネームを使ってしまい、それでは男女の親密な関係を示唆するようで、また、チャンドラーのママを一人の女性として見ているように聞こえてしまいそうでマズいと思ったロスは、続けて、Mrs. Mom, your Bing と言っています。
本来なら、Mrs. Bing 「ミセス・ビング、ビング夫人」、your Mom 「君のママ」と言うはずが、パニクっているために、両者の一部が入れ替わってしまったわけで、ロスが動揺していることがわかる面白い表現だと言えるでしょう。

Nothing happened. は浮気を疑われた時などに「何もなかったんだ」と言い訳するのによく使われる表現ですが、ここでは、キスは確かにしたけど、それ以上のことはしなかった、ということ。
ジョーイは目撃者だから、ジョーイに聞いてくれ、と言ったことで、今度はチャンドラーの怒りがジョーイにも向かいます。
何か悪いことをした相手を憎む気持ちは当然として、そのことを知っていたのに黙っていた人に対しても怒りを覚えるということはよくあります。
過去記事 であなたはそれを知ってたの? フレンズ1-2改その18 では、ロスが「元妻は実はレズビアンで、その妻は僕の子を妊娠している」と両親に告白した時、ママはロスではなくて、モニカに対して、And you knew about this?! 「それであなたはそのことを知ってたの?!」と非難めいた口調で言うシーンもありました。

「お前、知ってたのか?」と強い調子で聞かれたジョーイは、Knowledge is a tricky thing. と答えます。
tricky は「扱いにくい、やっかいな、やりにくい」、knowledge は「知っていること、知識」。
ですから、直訳すると「知識ってのはやっかいな代物なんだよね、クセモノなんだよね」みたいな感じでしょう。
「知っているとか知っていないとかの概念は難しい、どこまで知ってて、どこからは知らないかの線引きは難しい」みたいな感覚かな、と思います。
このように、... is a tricky thing. 「・・・は難しい問題だ、扱いにくい問題だ」という表現はよく使われます。
過去記事 彼女より俺の方が多くの人間と付き合ってるなら フレンズ1-6改その12 では、ロス: Well, y'know, monogamy can be a tricky concept. (ほら、一夫一婦制が扱いにくい概念なんだよ。)というセリフで tricky が使われていました。
また、Knowledge is a tricky thing. に似た、A little knowledge is a dangerous thing. 「生兵法は大けがのもと」ということわざもあります。
「わずかの知識は危険なものである」→「少しばかりの知識を持っていることは、却って危険だ」という意味です。

一日中一緒にいたのに、どうして俺に話してくれなかったのか? と責められたジョーイは、You're lucky... と返します。
or else は「でなければ、さもないと」。ジョーイは「俺があの時、二人を発見していなかったら、どうなっていたことか…」みたいなことを言っています。
who knows what would’ve happened は「何が起こっただろうかが誰にわかるか?」ということで、「誰にわかるか」は「誰にもわからない」という意味の反語的なニュアンス。
もし俺が目撃してなかったら、その後、何が起こっていたかなんて誰にもわからないんだ、という感じです。
俺が見たのに言わなかったことを怒ってるけど、俺が見つけたからお前は助かったんだぞ。俺が目撃せずに、二人があのままの状態だったら、どんなことになってたか…と、邪魔が入らなかったら、もっとエスカレートしていたかもしれない可能性を示唆しています。

ロスはナイスフォローをありがとう、みたいに親指を立てて(サムアップして)感謝の言葉を述べていますが、内心は「それじゃ全然フォローになってない! 二人はどんだけロマンティックになってたかと思われちゃうだろ!」とジョーイの発言に怒っているでしょう。
「大いに助かる」というのは皮肉で、「さらに状況を悪くするようなことを言ってくれちゃって!」というのが本音です。

no one knows ... more than you. は「お前よりも…をよく知っている人はいない」つまり「お前が一番…をよく知っている」。
否定+比較級で、最上級の意味を表しています。
the crap は「ひどいこと、最低なこと」で、「俺がママとのことで経験してきた(いろんな)ひどいこと」というのは、ママが他の男性とすぐに恋愛関係になり、そのせいで息子である俺は複雑な思いをしてきた、ということでしょう。

slam the door は「ドアをバタンと閉める」。
ト書きによく使われる表現でもあります。
Macmillan Dictionary では、
slam : to shut a door or a lid with great force so that it makes a loud noise, often because you are angry
つまり「大きな音を立てるように、ドアや蓋を大きな力で閉めること、しばしば怒っているからという理由で」。
語義にも angry という言葉が使われているように、ドアをバタンと閉めて出ていくのは怒りの表現でもありますので、「もうお前たちとは話したくない、このままドアをバタンと閉めて俺は出て行かせてもらう」という気持ちが出ています。
チャンドラーに怒りを向けられたジョーイは、話しかけようとするロスに Ah! Huh? と言いながら、ドアを指さし、チャンドラーと同じようにドアをバタンと閉めて去っていきます。
俺に怒ってチャンドラーがそうしたように、俺はお前に怒って同じことをするからな、ということになります。


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posted by Rach at 20:32| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月09日

後で立ち寄る、途中でこれを置いていく フレンズ1-11改その11

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(遅ればせながら)明けましておめでとうございます。
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12:09
[Scene 6: Hospital. Phoebe is there stroking Coma Guy's hair, when Monica enters with a bunch of balloons]
シーン6。病院。フィービーはそこにいて、昏睡男の髪の毛を撫でている。そこにモニカがたくさんの風船を持って入ってくる。
モニカ: Hi. (はーい。)
フィービー: Hi. (はーい。)
モニカ: What are you doing here? (ここで何してるの[どうしてここにいるの]?)
フィービー: Nothing. I just thought I'd stop by, y'know, after the uh... that I.. y'know. So what are you doing here? (何も。私はただ立ち寄ろうかなと思っただけよ、ほら、私が…した後で…。それであなたは[そういうあなたこそ]ここで何してるの?)
モニカ: I'm not really here. Just thought I'd drop these off on the way. My way. Do you come here a lot... without me? (私はここにいるってほどじゃないわ。ただ思ったのよ、途中でこれを置いていこうって。途中でね。あなたは何度もここに来るの?…私抜きで?)
フィービー: No. [Monica brushes Coma Guy's hair in the other direction] No! No! ...So, um, do you think he's doing any better than he was this morning? (いいえ。[モニカが昏睡男の髪の毛を別の方向にとく] だめ、だめよ! それで、その、彼は今朝の状態よりも少しは良くなってるって思う?)
モニカ: How would I know? I-I wasn't here. (どうやって私がそんなことを知るっていうのよ? 私は(今朝)ここにはいなかったわ。)
フィービー: Really? Not even to, um, change his pajamas? [Whips back the sheet] (ほんとに? 彼のパジャマを着替えるためにさえもいなかった(って言う)の? [シーツをさっとめくる(昏睡男が前とは違うパジャマを着ているのがわかる。)]

ト書きの stroking Coma Guy's hair の stroke は「(人の髪や動物などを優しく)撫でる、撫でつける」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
stroke : to move your hand gently over something
例)She was sitting on the sofa, stroking her cat.

つまり「何かの上で優しく手を動かすこと」。例文は「彼女はネコを撫でながら、ソファに座っていた」。

寝ている男性の髪の毛を優しく撫でているのは愛しさの表現ですし、風船をたくさん持って入ってきたのも彼へのプレゼントなのが明白ですから、二人の間に気まずい空気が流れます。

What are you doing here? は「ここで何してるの?」ということですが、「一人で彼の病室で何してるの?」という意味はもちろんのこと、「どうしてあなたがここにいるの?」というニュアンスも含まれています。
フィービーがここにいることが意外だった、フィービーがいるとは思わずにやって来たことがよくわかります。
I just thought I'd = I just thought I would ということで「ただ〜しようかなと思っただけ」。
stop by は「立ち寄る」。
after the uh... that I.. y'know. と言って「ただ〜した後にちょっと立ち寄ろうと思っただけよ」と説明しようとしたのですが、メインの用事が何だったかを説明できない感じが出ています。
この言い回しで「何かのついでというのは嘘で、ここに来ることが主目的だった」ことがわかるということ。

他の用事を思いつかなくて、すぐに相手への質問に切り替えるフィービー。
「あなたこそ、どうしてここに来たの? ここにいるの?」と言われたモニカは「別に”ここにいる”ってほどでもなくて」と言ってから、Just thought I'd drop... と、さきほどのフィービーと同じような言い回しで「ただ〜しようと思っただけなの」と説明します。
drop off は「(物)を置いていく」。drop は「落とす、降ろす」で、off は「分離」のニュアンスですから、「持ってきたものを(自分から離す形で)置く」という感覚になるのはわかりやすいでしょう。
on the way / on one's way は「途中に、行きがけに、帰り道に」。
モニカも「あることの途中で、これを置くために立ち寄っただけ」と説明しているのですが、on the way. My way. としか言えないところに、具体的に「どこに行く途中か」を説明できない、メインの用事がこれだったことが表れています。

Do you come here a lot... without me? のように、without me の前に間(ま)があるので、「あなたはよくここに来るのかしら…”それも私抜きで一人で”」という最後の部分がより強調されています。
それに対してフィービーは No. 「いいえ。あなた抜きで、私一人が何度も来たりはしないわ」と否定するのですが、モニカが、さっきフィービーが撫でていた髪の毛を、それとは反対方向にとくので、次の No! No! は「やめて!(彼の髪の毛をそんな風に撫でるのはやめて!)」という意味になっているのも面白いところです。

any better は「多少は・少しでも、よりよく(なる)」という感覚。
彼が今朝の状態よりも少しでも体調が良くなったとあなたは思う? と聞かれたので、モニカは「私は今朝ここにいたわけじゃないのに、朝と比べて体調がどうかなんて、どうやって私にわかるのよ?」と返します。

Really? Not even to, um, change his pajamas? は Really? You were not even to...? 「(モニカは今朝ここにいなかったって言うけど)ほんとに? 〜するためにさえいなかったの?」と先に言ってから、少し間を置き、シーツをめくるのと同時に「彼のパジャマを替える(着替えさせる)ために」と言っていることになります。
フィービーは彼のパジャマが違っていることに気づいていて、しらばっくれているモニカに証拠を突き付けた感じです。


13:05
[Cut to Chandler and Joey's place. Ross is talking to Chandler. Joey is making a snack at the bar]
チャンドラーとジョーイの家に画面がカット。ロスはチャンドラーと話している。ジョーイはバーで軽食を作っている。
チャンドラー: Oh my God. (なんてこった。)
ロス: You're my friend. I-I had to tell you. (君は僕の友達だ。(だから)僕は君に言わないといけなかったんだ。)
チャンドラー: I can't believe it. Paolo kissed my mom? (信じられない。パウロが俺のママにキスしたのか?)
ロス: Yeah, I mean, I don't know if you noticed, but he had a lot to drink. I mean, you know how he gets when he's drun..uh... [He has caught sight of Joey scowling at him] I can't do this. I did it. It was me. I'm sorry. I kissed your mom. (あぁ、ほら、君が気づいてたかどうかはわからないけど、やつは酒をたくさん飲んでた。ほら、酔っぱらうとやつがどうなるか知ってるだろ…あぁ… [ロスはジョーイが自分をにらみつけているのが目に留まる] 僕にはこんなことはできない。僕がしたんだ。僕だったんだ。ごめん。僕は君のママにキスした。)
チャンドラー: What? (何だって?)

ロスを前にしてチャンドラーが Oh, my God. と言い、「君は僕の友達だから、(真実を)話さないといけなかった」と言っているので、チャンドラーのママとキスしてしまったことを正直に告白しているのかと思いきや、チャンドラーの「信じられない。パウロが俺のママにキスしたなんて」という発言で、ロスが嘘を語っていることがわかります。

その後も、「酒をたくさん飲んでて、飲むとどうなっちゃうかわかるだろ」と、自分に起こったことをパウロがやったことのように語っているので、ジョーイはパンに何かを塗りながら、ロスの方を怖い顔で睨みます。
ト書きの catch sight of は「光景をキャッチする」ということから、「〜を見かける、〜(という光景・姿)が目に留まる」という感覚。
scowl は「(怒って・不機嫌で)顔をしかめる、にらみつける」。発音は「スカウル」。
LAAD では
scowl [verb, intransitive] : to look at someone in an angry way
つまり「怒った様子で人を見ること」。自動詞なのでこのト書きの scowl at のように、前置詞 at が必要になります。

ジョーイに怖い顔でにらまれて、嘘を続けられなくなったロスは「こんなことはできない=嘘をつくことはできない」と言って、I did it. It was me. と告白します。
「僕がそれをした。それは(パウロじゃなくて)僕だった」ということですが、最初はこのようにダイレクトな表現は使わずに告げて、謝罪の後、はっきり I kissed your mom. 「僕は君のママにキスした」と告白することになります。


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posted by Rach at 15:09| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月13日

scum 浮きかす、人間のクズ フレンズ1-11改その10

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10:45
ロス: Okay, I'm scum, I'm scum. (あぁ、僕は(人間の)クズだ、僕はクズ野郎だ。)
ジョーイ: Ross, how could you let this happen? (ロス、どうやってこんなことを起きさせちまったんだよ?)
ロス: I don't know, God, I- well, it's not like she's a regular mom, y'know? She's, she's sexy, she's... (わからないよ、あぁ、僕はその、彼女は標準的なママってわけじゃないだろ? 彼女はセクシーで、彼女は…)
ジョーイ: You don't think my mom's sexy? (俺のママはセクシーじゃないとお前は思ってるのか?)
ロス: Well, not in the same way. (うーんと、同じように[同じような感じで]セクシー、ってことはないよね。)
ジョーイ: Hey, I'll have you know that Gloria Tribbiani was a handsome woman in her day, alright? You think it's easy giving birth to seven children? (おい、グロリア・トリビアーニは若い頃はハンサム・ウーマン(堂々として魅力的な女性)だったってことをお前に教えてやるよ。7人の子供を産むことが簡単なことだとお前は思うのか?)
ロス: Okay, I think we're getting into a weird area here. (わかった、(今)ここで僕たちは奇妙なエリア(領域)に入りつつあると思うんだけど。)

scum は元々「浮きかす、浮き泡」で、そこから、「人間のカス、人間のクズ、クズ野郎」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
scum [noun] :
1. a dirty substance that forms on the surface of a liquid
例)soap scum on the bathtub
2. a bad and nasty person
例)They treated me like scum.
scum of the earth (= the worst people you can imagine)

つまり、
1. は「液体の表面に形成する[できる]汚い物質」。例は「浴槽の表面の石鹸かす」。
2. は「悪い、またはひどい人間」。例文は「彼らは私をクズのように扱った」。
scum of the earth は「想像できうる限りで最低の人」。

Macmillan Dictionary にも、この scum of the earth は載っていて、以下のように説明されています。
(the) scum of the earth : an insulting expression for people who you think are very unpleasant
つまり「非常に不快だと思うような人に対しての侮辱的な表現」。

直訳すると「地球のカス、クズ」ということですから、地球という大きなスケールの言葉を使った、それはもうひどい表現であることが想像できます。

regular mom は「普通の・標準的なママ(母親)」。
in one's day は「若い頃は、若かりし頃は、全盛期は」、give birth to ... は「…を出産する、産む」。

handsome は「ハンサムな」ということで、「男前の、二枚目の」のような男性の美形を形容する言葉ですが、女性の形容に使うと「(体格や態度について)威厳のある、堂々とした」のような意味になります。
LAAD では、
handsome [adjective] : a woman who is handsome is attractive in a strong healthy way
例)a handsome gray-haired woman
つまり「ハンサムな女性とは、強くて健康的な風に魅力的である」。例は「(堂々として)魅力的な白髪の女性」。

「か弱くて華奢(きゃしゃ)な女性」とは対照的なイメージを指していることになるでしょう。

I think we're getting into a weird area here. は「僕たちは奇妙な領域に入っている[入りつつある]ように思うけど」。
友人のママにキスするなんて! と非難されていたのが、「チャンドラーのママに比べて俺のママは色っぽくないって言うのか? 俺のママだって若い頃はすごくイケてたんだぞ!」と、話が変な方向に進んでいることを言っています。


11:15
[Mon+Rach's door opens and Rachel and Paolo emerge]
モニカとレイチェルの部屋のドアが開き、レイチェルとパウロが現れる。
レイチェル: Hey. (どうも。)
ロス: Hey. (どうも。)
レイチェル: What're you guys doing out here? (こんな外(廊下)で二人は何してるの?)
ロス: Well, not playing racquetball. (うーんと、ラケットボールはしてないね[今ここでやってるのはラケットボールじゃない、とは言えるね]。)
ジョーイ: He forgot to leave his grip size. (こいつがグリップサイズを伝えるのを忘れたんだよ。)
ロス: He didn't get the goggles. (こいつはゴーグルを持ってこなかった。)
レイチェル: Well, sounds like you two have issues. (まぁ、あなたたち二人には問題があるみたいね。)
[She and Paolo walk a little way down the hall]
彼女とパウロは少し廊下を歩く。
レイチェル: Goodbye, baby. (じゃあね、ベイビー。)
パウロ: Ciao, bella. (チャオ、ベッラ[じゃあね、かわいこちゃん]。)
[They kiss. Ross is watching them]
二人はキスする。ロスは二人を見ている。
ロス: Do they wait for me to do this? (彼らはこれ(キス)をするのに僕を待つのか?[僕を待ってキスするのか?])
[Joey and Ross go into Monica and Rachel's apartment]
ジョーイとロスがモニカとレイチェルのアパートメントに入る。
ジョーイ: So are you gonna tell him? (それでやつ(チャンドラー)に言うつもりか?)
ロス: No, I'm not gonna tell him. Why would I tell him? (いや、僕はやつには言わないよ。どうして僕がやつに言ったりするんだよ?)
ジョーイ: How about 'cause if you don't, his mother might. (お前が言わなくても、やつの母親が言うかもしれないから、って理由はどうだ?)
ロス: Oh... (あぁ…)
モニカ: [Entering] What are you guys doing here? ([(自室からリビングに)入ってきて] あなたたちここで何してるの?)
ジョーイ: Uhhhh.... he's not even wearing a jock strap! (あぁ…やつは局部サポーター(股当て)を履いてさえいないんだよ。)
モニカ: What did I ask? (私、何を尋ねたっけ?[私の質問、何だっけ?])

ロスとジョーイが何を話し込んでいるのかを尋ねたレイチェルに、さっきチャンドラーに話したのと同じ、ラケットボールの話をする二人。
レイチェルが What're you guys doing out here? 「こんな外(廊下)で二人は何してるの?」と尋ねたことに対して、ロスは親指でジョーイの方を指さしながら Well, not playing racquetball. と言っています。
What are you guys doing? に対して、not playing racquetball と答えたことになるので、We are not playing racquetball. 「(今ここで何してるの? と聞かれたけど)僕たちは(ここで今)ラケットボールはしていない」と返した感覚になるでしょう。
「ラケットボールをしてない、とは言えるね」と言いながらジョーイを指さすことで、「今本当ならしているはずのことをしていない(で、こんなところにいる)のは、こいつのせいなんだ」と言いたい様子が感じられます。

いきなりラケットボールの話を出して、相手を非難する形でポイントとなる部分だけを話しているので、チャンドラーとの会話を聞いていなかったレイチェルには何のことかわかりません。
Sounds like you two have issues. は「あなたたち二人は何か問題を抱えているようね」。
何だかよくわからないけど、とにかくあなたたち二人は問題を抱えているみたいね、モメてるらしいことだけはわかるけど、と言ったことになるでしょう。
have issues「問題がある、問題を抱えている」は、過去記事 カーペットからマストドンのにおいを消す フレンズ1-2改その3 にも出てきました。

goggle は「ゴーグル」ですが、英語の発音は「ガゴー」という感じ。
「JARA−日本ラケットボール協会−」公式サイトの「ラケットボールについて」の「ラケットボールの用具」のところに「競技中は、目を保護するために、アイガードを着用します」との記述があります。
同じページに「サーバーが正面の壁にボールを当てて、レシーバーが返ってくるボールを打ち返しラリーを行うという簡単なスポーツです」「ボールのスピードは、初心者で70km/h、上級者では300km/hにもなります」という記述もあります。
跳ね返ってきたボールがそんな高速ならアイガードが必要なのも納得で、ロスが言っているゴーグルもそのようなアイガードを指していることになるでしょう。

ciao は「チャオ」で、イタリア語の「やあ、こんにちは、さようなら」のような挨拶の言葉。
bella はイタリア語で「美しい」という意味で、Ciao, bella. は「じゃあね、美しい[かわいい]人・かわいこちゃん」のような意味になります。

レイチェルとパウロがキスしているのを見たくない様子のロスは、モニカとレイチェルの部屋に入ります。
「チャンドラーのママとキスしたことをチャンドラーに言うのか?」と問われたロスは「言わない」と宣言した後、「どうして僕がチャンドラーに言ったりするんだよ?」と返します。

How about 'cause... は「(なぜ言うか、については)…だから、っていう理由はどうだ?」と言っている感覚になるでしょう。
ロスはわざわざ言う必要なんかない、と思っているのですが、ジョーイは「もしお前が言わないとしても、彼の母(ノーラ)が息子のチャンドラーに言ってしまうかもしれない」という可能性を語ります。
それを聞いたロスは「それはまずいな」という沈んだ表情をします。

今度はモニカに「こんなところで二人は何してるの?」と言われ、また話の内容をごまかすためにラケットボールの件を持ち出しますが、今度は「ラケットボール」という名前を出すことすらなく、いきなり細かい話をしています。

jockstrap は「(スポーツをする時につける)局部用サポーター」。
jock だと「スポーツマン、スポーツばかりしている人」という意味。

「何してるの?」と尋ねたのに、「局部サポーターを…」という唐突な返事が返ってきたので、「私は何を質問したんだっけ?」とモニカは言っています。
この会話をしているロスとジョーイ、そしてそれをずっと見ている視聴者には「ごまかすのにまたラケットボールの話題を持ち出している」ことがわかりますが、チャンドラー、レイチェル、モニカと連続してみんなに同じような質問をされたことから、ロスとジョーイの会話は最初の経緯から説明することがどんどん省かれていっています。
尋ねたモニカの方は「唐突に「局部サポーター」と言われても、そんな答えが出てくるような質問したっけ? 一体何の話をしてるのよ」とポカンとしてしまう面白さとなるでしょう。


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posted by Rach at 23:14| Comment(3) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月15日

大したことじゃない、反対の世界ではな! フレンズ1-11改その9

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[Scene 5: Chandler and Joey's, morning. Joey is getting the door in his dressing gown- it's Ross]
シーン5。チャンドラーとジョーイの部屋、朝。ジョーイはガウンを着た状態で、ドアに出る。ロスである。
ロス: Hey, is Chandler here? (ねえ、チャンドラーはいる?)
ジョーイ: Yeah. (あぁ。)
ロス: Wait. Come here. (待って。こっち来て。)
[Ross drags Joey into the hall and slams the door]
ロスはジョーイを廊下に引っ張っていき、ドアをバタンと閉める。
ロス: Okay, uh, about last night, um, you know, Chandler, you didn't tell... [Joey shakes his head] Okay, 'cause I'm thinking- we don't need to tell Chandler. I mean, it was just a kiss, right? One kiss? No big deal, right? (よし、その、昨日の晩のことだけど、ほら、チャンドラーに言わなかったよね… [ジョーイは首を横に振る] そう、だって僕は考えてるんだよ、僕たちはチャンドラーに言う必要はないって。ほら、ただのキスだった、だろ? 1回のキスだろ? 大したことない、よね?)
ジョーイ: Right. No big deal. (そうだな。大したことない。)
ロス: Okay. (良かった。)
ジョーイ: In Bizarro-world! You broke the code! (ビザロの(反対の)世界ではな! お前はコード(掟)を破ったんだ!)
ロス: What code? (コードって何の?)
ジョーイ: You don't kiss your friend's mom. Sisters are okay. Maybe a hot-looking aunt. But not a mom. Never a mom! (友達のママにキスはしない。姉妹ならオッケー。多分、見た目がセクシーな叔母さんも(OKだ)。でもママはダメだ。ママは絶対にダメだ!)
[Chandler opens the door and startles them. He picks up the paper]
チャンドラーがドアを開けて、二人は驚く。チャンドラーは新聞を手に取る。
チャンドラー: What are you guys doing out here? ((外の)ここで二人は何してるんだ?)
ロス: Uh.. uh.. Well, Joey and I had discussed getting in an early morning racquetball game. But, um, apparently, somebody overslept. (あー、あー、その、ジョーイと僕は早朝のラケットボールの試合に参加することを議論してたんだ。でも、その、どうやら、誰かさんが寝坊したみたいでね。)
ジョーイ: Yeah, well, you don't have your racquet. (あぁ、まぁ、(そういう)お前はラケットを持ってないじゃないか。)
ロス: No. No, I don't because it's being restrung. Somebody was supposed to bring me one. (いやいや、僕がラケットを持ってないのは、ガットが張り替えられているところだからだ。誰かさんが僕にラケットを持ってくることになってたんだけどね。)
ジョーイ: Yeah, well, you didn't call and leave your grip size. (あぁ、まぁ、お前は電話でグリップのサイズを伝えてこなかったじゃないか。)
チャンドラー: You guys spend way too much time together. [Goes back inside and shuts the door] (お前らは一緒に、あまりにも多くの時間を費やすんだな。[中に戻りドアを閉める])

ト書きの get the door は「(来客に応対するために)玄関に出る」こと。
チャンドラーの母ノーラとキスしているところをジョーイに見られてしまったロスは、そのことを息子であるチャンドラーに話してないよね? と確認しています。
just a kiss 「ただのキス」、one kiss 「1回(だけ)のキス」であると言って、「大したことじゃない、大ごとじゃないよね?」という意味で No big deal, right? と続けます。
ジョーイもそれを受けて、Right. No big deal. のように言うのですが、その後、In Bizarro-World! と付け足しています。
bizarro は、一般的な辞書にはあまり載っていないようですが、bizarre という単語の変形で、綴りが似ていることからそれはわかりやすいでしょう。
bizarre だと「奇妙な、風変りな」という意味の形容詞。
ちなみに『ジョジョの奇妙な冒険』の英語表記は JOJO'S BIZARRE ADVENTURE となっており、それで bizarre という単語を知ったという方もおられるかもしれません。

一般的な辞書にはあまり載っていないと書きましたが、オンライン辞書では bizarro を項目として挙げているものもいくつかあります。
Wiktonary : bizarro の語源を引用させていただくと、
bizarro
Etymology
Variant of bizarre; see that entry for more information. In the sense of "logical inverse", derived via the comic book character Bizarro, an inverted version of Superman from a planet where "good" means "bad" and so on.

つまり「bizarre の変形、さらなる情報はそのエントリーを参照。「論理的に逆・反対の」という意味においては、コミックブックのキャラクターのビザロ(「良い」が「悪い」を意味するなどの惑星に住む[惑星出身の]、スーパーマンの反転・逆転バージョン)に由来する。

bizarre 「奇妙な」という意味以外に、bizarro という形容詞の意味の2番目に、
Being the opposite or logical inverse of a familiar object or person.
「普通の・おなじみの物や人の、反対・論理的に逆であること」という意味が出ているのは、ビザロの住む惑星が「良い」が「悪い」を意味するような「反対・逆の世界」だからということです。

アメコミの DCコミックスに登場するスーパーヴィラン「ビザロ」については、以下のウィキペディアに詳しいです。
Wikipedia 日本語版 : ビザロ
このウィキペディアにも、先ほどご紹介した Wiktionary の内容と関係するような以下の記載がありました。
ビザロは不完全なスーパーマンのクローン」「ビザロは状況や言語を反対に認識する性質があり」「その他ヒーローのビザロは「ビザロワールド」という惑星に住んでいる

bizarro = bizarre ということだと、In bizarro world. なら「奇妙な世界で」ということで、「世間の常識が通用しないような、異常な世界では(ロスのやったことは、大したことでもないだろうさ!)」という意味だと考えられますが、DVD英語字幕では In Bizarro-world! と表記されていました。
それはアメコミでの Bizarro という固有名詞から来た言葉だったから、ということです。

つまり、ジョーイのセリフに出てきた Bizarro-world というのは、ビザロが住んでいる惑星「ビザロワールド」のことで、「ビザロは状況や言語を反対に認識する」ということから、「ビザロワールドでは、物事は反対に認識される」ということ。
ですからジョーイは「ビザロワールドのような物事が反対に認識される世界では(お前のやったことは大したことじゃないだろうけどな!)」と言ったことになるわけです。
つまり、俺たちが住むまともな世界では、お前のやったことは「大したことじゃない」の反対の「おおごと」だよ、と言ったことになります。

You broke the code! は「お前はコード・掟(おきて)を破った!」。code は放送コードなどのコードで、「規則、掟(おきて)」。dress code だと「服装規定」。
その後、「姉妹ならオッケーだし、セクシーな叔母さんでもいいが、ママは絶対にダメだ!」と力説するジョーイの線引き基準も彼らしくて笑えるところ。

had discussed getting in の get in は「参加する」。
racquetball は「ラケットボール」。壁4面と天井、床の計6面で囲まれたコートで行う、スカッシュに似たインドアのラケット競技。

apparently は「どうやら(〜のようだ)」。
somebody 「誰かさん」とあえて名前を出していませんが、誰かさんが寝坊したと表現することで、ガウンを着た状態のジョーイのことを言っているのだとわかります。

It's being restrung. の it = my racquet で、「僕のラケットは今、ガットを張り替え中なんだ」。
string は名詞で「糸、ひも、(楽器の)弦、(ラケットの)ガット」。
今はラケットの話をしているので、動詞では「(ラケットに)ガットを張る」という意味。その動詞 string に「再、再び」という意味の接頭語 re- がついた restring は、「再び糸を張る、〜の糸・弦・ガットを張り替える」という意味になります。
string の過去分詞形は strung となります。be restrung 「ガットが張り替えられる」という受動態を、is being restrung と現在進行形にした形で、直訳すると「ガットが張り替えられている最中である」、つまり、「今、(スポーツ用品店の人または職人が)ガットを張り替えているところなんだ」ということになります。
ロス自身がそれを張り替えるわけではないので、ラケットを主語にして「(専門の人によって)張り替えられている最中」と表現したわけです。
Somebody was supposed to bring me one. とロスはまたジョーイのことを「誰かさん」と表現しています。
was supposed to do は「〜することになっていた(のに)」ということで、過去形にすることで「そうすることになっていたのに実際にはそうしなかった」ことが示唆されます。

You didn't call and leave your grip size. の leave は、電話の相手が留守だった場合の決まり文句、leave a message 「メッセージを残す」の leave のニュアンスに近いでしょう。メッセージや情報などを相手に「残す、託す、預ける」というニュアンス。
俺にラケットを貸してもらうつもりだったらしいけど、それにしては、電話で自分のグリップサイズを伝えてこなかったな、グリップサイズがわからないと貸しようもないんだけど、、、とロスの発言にケチをつけているのです。

spend way too much time together は「一緒にあまりにも多くの時間を費やす、過ごす」。
今回のエピソード、自分の殻から出る フレンズ1-11改その6 で、アガメムノンという名前を Way too special. と言ったのと同じく、way too 「あまりにも、ものすごく」が使われています。
過去記事、グラスは半分カラ フレンズ1-4改その4 では、自分の家からセントラルパークまでの歩数を数えて100歩以下だと言っていたジョーイに対して、チャンドラーが You got way too much free time, man. 「お前、暇な時間が超あるんだな[お前って、超ヒマ人だな]」のように way too much (free) time という表現を使っていました。


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posted by Rach at 12:53| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月24日

彼みたいな男のために325頁もめくらない[読まない] フレンズ1-11改その8

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7:33
[Cut to Mrs. Bing on the telephone]
電話中のミセス・ビング(ノーラ)に画面がカットする。
ノーラ: Yeah, any messages for room 226? (えぇ、226号室へ何か伝言は入ってない?)
[Ross emerges from a toilet marked 'Chicas']
ロスは Chicas (スペイン語で「女の子」の意味)のマークがあるトイレから出てくる。
ノーラ: You okay there, slugger? (大丈夫、スラッガー?)
ロス: Oh, yeah. I'm fine, I'm fine. [A woman emerges from the toilet behind him and he tries to pretend he was in the other one] (あぁ、はい。僕は大丈夫、大丈夫です。[彼の後ろのトイレから女性が出てきたので、ロスは別のトイレから出てきたようなふりをする])
ノーラ: What is with you tonight? (あなた、今夜はどうしたの?)
ロス: Nothing. Nothing, nothing, nothing. (何も。何も、何も何もないです。)
ノーラ: [To phone] Okay, thank you. [To Ross] It's the Italian hand-licker, isn't it? ([電話に] えぇ、ありがとう。[ロスに] イタリアの手舐め男のせいでしょ?)
ロス: No. It's the one he's licking. (いいえ。彼が舐めてる方(のせい)です。)
ノーラ: She's supposed to be with you. (彼女はあなたと一緒にいる[付き合う]ことになるわ。)
ロス: You're good. (優しいですね。)
ノーラ: Oh, Ross, listen to me. I have sold 100 million copies of my books, and y'know why? (まぁ、ロス、聞いて。私はこれまでに自分の本を1億部も売ってきたの、なぜだかわかる?)
ロス: The girl on the cover with her nipples showing? (乳首を見せてる表紙の女の子(のおかげ)?)
ノーラ: No, because I know how to write men that women fall in love with. Believe me, I cannot sell a Paolo. People will not turn 325 for a Paolo. C'mon, the guy's a secondary character, just a... y'know, complication you eventually kill off. (いいえ、それは女性が恋に落ちるような男性の描き方を私が知ってるからよ。信じて、私はパウロを売り込むことなんかできないわ。パウロみたいな男のために人は325ページもめくらない[読まない]もの。ねぇ、あの男は脇役のキャラクターよ、ただ、ほら、最後には殺して退場させるような、(話を)複雑化するためだけの(要素)ね。)
ロス: When? ((殺されるのは)いつですか?)
ノーラ: He's not a hero. You know who our hero is? (彼はヒーローじゃないわ。私たちのヒーローが誰だか知ってる?)
ロス: The guy on the cover with his nipples showing? (乳首を見せてる表紙の男?)
ノーラ: No, it's you. (いいえ、あなたよ。)
ロス: Please. (やめてくださいよ。)
ノーラ: No, really. Come on. You're smart. You're sexy. (いいえ、ほんとに。ねぇ。あなたは頭がいいし。あなたはセクシーだし。)
ロス: Right. (そうですよねぇ。)
ノーラ: Come on, kiddo. You're gonna be fine, believe me. (よしてよ、坊や。あなたは大丈夫よ、信じて。)
[She kisses him on the cheek]
ノーラはロスの頬にキスをする。
ロス: Uh-oh... (あ、あぁ…)
[...Then full on the mouth]
…それから、口でキスをする。
[Enter Joey]
ジョーイ登場。
ジョーイ: Uhhhh.... I'll just pee in the street. (あぁぁぁ… 俺、通りでおしっこしてくるわ。)
[Commercial]
コマーシャル

slugger は日本でも野球で「スラッガー」と使われる通り「野球の強打者」という意味。またボクシングでハードなパンチを繰り出す強打者のことも指します。
動詞 slug が「ボールを強打する、人を(握った拳で)強打する」という意味があることから来ています。
ここでは、野球やボクシングは関係ないものの、「強打する男」→「強い男」のイメージでそう呼び掛けたのでしょう。
その後、ロスの出てきたトイレから女性が出てきたので、ロスはあわあわしています。
トイレの扉に書いてある文字 Chicas はスペイン語で「女の子」の意味。
ベロベロに酔っぱらっているロスがトイレの男女を間違えたのは、メキシコ料理店だからスペイン語で書かれていたことも一つの原因なのでしょう。

It's the Italian hand-licker, isn't it? は「イタリア人の手舐め男のことでしょ、手舐め男のせいでしょ?」。
ここでの It's ... は「問題の焦点・ポイントは…である」という感覚。
「(今こんな状況・状態であるのは)…が原因だ」と訳してもよいでしょう。
「それって…よね、…でしょ」のように漠然と表現しても、そのニュアンスは出る気はします。

ノーラはパウロを the Italian hand-licker 「イタリア(人)の手舐め男」と表現しています。
少し前のシーンで、レイチェルがパウロに何かを食べさせた時に、レイチェルの手も舐めていたことを言っているわけですが、ロスがパウロを嫌いなことを知っていて、また、ノーラ自身もパウロをあまり良く思っていないことがわかる言い回しだと思います。

ロスの返事 It's the one he's licking. は、licker(パウロ)が原因・問題じゃなくて、彼が舐められてる対象の方が問題なんです、パウロのことはどうでもよくて、僕が気にしているのはレイチェルの方なんです、ということ。
パウロが何をしようと興味はないが、レイチェルが男に手を舐められているのがいやなんです、ということになるでしょう。

I have sold 100 million copies of my books, and y'know why? について。
日本語で「コピー」というと、「複写、転写、写し」のニュアンスが強いですが、本や雑誌を何部という場合には、このように copy という単語を使います。
I have sold 100 million copies of my books. を直訳すると、「私は私の本を1億部(これまでに)売ってきた」ということで、現在に至るまでそれだけ売れた、ということを表す現在完了形です。ノーラは今でも作家を続けているので今後も本は売れ続けるでしょうから、「今までのところはこれだけ売れた」という感覚から、現在完了形を使うことになります。

ロスは本が売れている理由を、The girl (on the cover with...) だと言っています。
with her nipples showing は「乳首を見せた状態で」ということ。
何とも露骨な表現ですが、表紙に裸かそれに近い姿の女性が描かれていて、その表紙につられてみんな買うんでしょ? みたいなジョークです。

sell は「売る」なので、「売り込む、価値を納得させる、(人に〜を)良いと思わせる」。
turn (over) the pages は「ページをめくる」なので、People will not turn 325 for a Paolo. は「パウロみたいな男のために、読者は 325ページものページをめくりはしない」、つまり「325ページも読まない」。
固有名詞に a をつけた形の a Paolo で「パウロのような男、パウロのようなタイプの男」という意味になります。
「ああいうタイプの男を主役にしたら、誰も本を最後まで読み通してくれないわ。つまらなくなって途中で読むのをやめちゃうわ」ということで、パウロは男性としてそれほど魅力的ではないことを、恋愛小説家らしく説明したことになるでしょう。

secondary character は「二次的な役、脇役、サブキャラ」。
complication は「複雑(化)、紛糾、やっかいな問題」なので、just a complication は「物語や筋書きを複雑にするためにいるだけの存在」というニュアンスでしょう。
メインキャラクターだけでは話が単調になるので、そういう脇役を登場させれば、話が複雑になり、いろんなドラマを生む効果がある、という感じです。

eventually は「最終的には、結局は、最後には、いずれは」。
kill off は「全滅、絶滅させる」という意味で使われることが多いですが、この場合は、「殺して(小説の筋書きから)退場させる」というニュアンスだと思われます。
「殺されるってそれはいつ?」「じゃあそのサブキャラのパウロはいつ殺される予定なんですか?」という意味で、即座に When? と尋ねるロスが面白いです。

最初に You know why? と尋ねたのと同じ感覚で、今度は、You know who our hero is? と尋ねるノーラ。
それに対して、girl を guy に変えただけの「同じセリフの男バージョン」になっているのが楽しいです。
ヒーローは表紙の裸の男でしょ、と、またエッチな表紙が読者を引き付けるんだ、という話を言っていることになります。
The girl on the cover with... というセリフがあった後、しばらく経ってから、また、The guy on the cover with... という同じパターンのセリフが出てきた時に、英語で聞いて「またその話かい!」とクスッと笑えるようになるといいですね。

ロスの Please. は「やめて下さいよ。そんな気休めや励ましを言うのはよして下さいよ」という感覚。
「僕が恋愛小説のヒーローになれるなんて…」と、ノーラの言葉をただの社交辞令だと思っている様子が伺えます。
「あなたはセクシーだし」と言われた後のロスの Right. も言葉としては「そうですね」という肯定ですが、本音は「またそんなこと(気休めを)言って」という否定の気持ち。
kiddo は、子供や年下の人物への親しい呼び掛け語で、あなたよりずっと年上の私には、本当の男性の魅力がわかるのよ、と言いたげな感じが出ている気がします。

ロスを励ますように頬にキスしたノーラですが、その後、二人は口でキスしてしまいます。
ちょうどそこにトイレしにきたジョーイが現われて、大変なものを目撃してしまったとばかりに「(ここのトイレじゃなく)通りでおしっこしてくるわ」と言って去っていくのも笑えます。


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posted by Rach at 13:00| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月04日

Aから始めてBを放り込んだらCの出来上がり! フレンズ1-11改その7

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6:30
ノーラ: Well, I think we're ready for some tequila. (そうね、私たち、テキーラを飲みたい気分になってるかと思うんだけど。)
チャンドラー: I know I am. (俺は飲みたいね。)
ノーラ: Who's doing shots? (ショット(用の一口グラス)で飲みたい人は誰?)
モニカ: Yeah. Hit me. (ええ。(私の分を)もう一杯(追加で)。)
フィービー: I'm in. (私も乗った。)
ノーラ: There you go. Ross? (そうね。ロスは?)
ロス: Uh, I'm not really a shot-drinking kinda guy. (あー。僕はテキーラのようなキツい酒をショットグラスで飲むようなタイプの人間じゃないんですよ。)
[Enter Rachel and Paolo. They are both somewhat flustered]
レイチェルとパウロが入ってくる。二人はいくぶんあわてている。
レイチェル: Hi! Sorry- sorry we're late, we, uh, kinda just, y'know, lost track of time. (はーい! ごめんなさい、遅れちゃって。私たち、その、ほら、時間が経つのを忘れちゃって。)
ロス: But a man can change. [Downs a shot] (でも、男は変われるんだ。[ショットを飲み干す])
[Time lapse. Ross is now clearly drunk. He is holding up a shot glass to his eye like a jeweller's eye]
時間が経過。今ロスは完全に酔っぱらっている。彼は宝石鑑定師の目のように自分の目のところにショットグラスを掲げている。
ロス: Anyone want me to appraise anything? (僕に何かを鑑定してほしい人はいるかな?)
[Rachel feeds something to Paolo. He eats it and licks her hand]
レイチェルは何かをパウロに食べさせる。彼はそれを食べ、彼女の手を舐める。
レイチェル: Mrs. Bing, I have to tell you. I have read everything you've ever written. No, I mean it! I mean, when I read Euphoria at Midnight, all I wanted to do was become a writer. (ビングさん、こう言わせて下さい。あなたがこれまでに書いたものを私は全部読みました。いいえ、ほんとの話なんです。私は「真夜中の絶頂」を読んだ時、ただ作家になりたいと思ったんです。)
ノーラ: Oh, please, honey. Listen, if I can do it, anybody can. You just start with half a dozen European cities, throw in 30 euphemisms for male genitalia, and bam! You have got yourself a book! (あぁ、(そんなに褒め過ぎるのは)よして、ハニー。ねぇ、もし私ができるなら、誰にでもできるわ。ただ半ダース(6個)のヨーロッパの都市から始めて、そこに男性器の30個の婉曲表現を放り込んだら、バン![あっという間に] 1冊の本の出来上がりよ!)
チャンドラー: My mother, ladies and gentlemen! ((これが)私の母です、(紳士淑女の)皆さん!)

shot は「酒の一口、一杯」。
Hit me. はこのようにお酒の席で言うと「もう一杯」(Give me another drink.)という意味になります。

I’m not really a shot-drinking kind of guy. は「テキーラのようなキツい酒をショットグラスで飲むようなタイプの人間じゃない」。
ノーラがその前に、テキーラ(tequila)という酒の具体的な名前を出していますので、それに対する返事です。
shot glass は「度数の強い酒(テキーラ・ウォッカなど)を飲むための一口用の小さなグラス」のこと。

レイチェルとパウロが遅れて登場します。
lose track of time 「時間が経つのを忘れる」。lose track of は「〜を忘れる、〜の跡を見失う」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には以下の例文が出ています。
It's easy to lose track of time (= forget to check the time) when you're working hard.
lose track of time = forget to check the time 「時間をチェックするのを忘れる」と説明されていますので、この例文の意味は「一生懸命働いている時は、時が経つのを忘れやすい・忘れがちである」となります。
恋人同士の二人が「時間が経つのも忘れちゃって」と言えば、エッチに夢中だったということになりますから、レイチェルのことが好きなロスはそんな話を聞いて冷静でいられるはずもなく、「さっきはショットなんか飲めないって言ったけど、男は変われるから」と言って、ショットグラスをぐっと飲み干すことになります。

appraise は「鑑定する、査定する、評価する」。
ここでのロスは、テキーラのショットグラスを宝石などの鑑定人が使うルーペのように持ち、鑑定人(appraiser)の真似をしています。
「私に何か鑑定してほしい人はいますか?」「何か鑑定いたしましょうか?」というニュアンス。
この様子から、ロスはテキーラをやけ飲みしてすっかり酔っぱらっていることがわかるわけです。

mean は「〜のつもりで言う、本気で言う」という意味なので、No, I mean it! は「いいえ、(お世辞や社交辞令じゃなくて)ほんとの話なんです。本心からそう言っているんです」ということ。
euphoria は「幸福(感)、陶酔、絶頂(感)」。
LAAD では、
euphoria : a feeling of extreme happiness and excitement
つまり「極度の幸福と興奮の感情」。
ノーラが官能小説の作家であることを考えると、本のタイトル Euphoria at Midnight は「真夜中の絶頂」と訳せばそれっぽい感じに聞こえるでしょう。

「あなたの本は全部読んだ。私も作家になりたいと思った」と熱く語るレイチェルに、ノーラは「私ができるなら、誰にだってできるわ」と言った後、You just start with... の長めのセリフを言っています。
half a dozen は「半ダース、6つ」。
throw in は「投げ込む、投入する」。
euphemism は「婉曲表現、婉曲語句」。
LAAD では、
euphemism : a polite word or expression that you use instead of a more direct one, to avoid shocking or upsetting someone
例)"Pass away" is a euphemism for "die."

つまり「より直接的な単語・表現の代わりに使う、丁寧・上品な単語・表現、人にショックを与えたり、動揺させたりするのを避けるために」。
例文は「pass away は die の婉曲表現だ」。

genitalia は「性器、生殖器」なので、male genitalia は「男性器」。
bam は音の通り「バン」という衝撃音を表す言葉で、and bam! は「そしたらすぐに、あっと言う間に」というニュアンスになります。
LAAD では、
bam : used to say that something happens quickly
例)Just turn it on, and bam, you're ready to go.

つまり「何かがすぐに起こるということを言う時に使われる」。例文は「ただスイッチを入れたら、そしたらすぐに、行く準備が整います」。

and bam! を使った表現は、過去記事、ちょっとした巧みな動きで フレンズ1-5改その1 の以下のセリフにも出てきました。
ロス: Ok, you just reach in there, there's one little maneuver, and bam! A bra. Right out the sleeve. (ほら、君ら女性は、そこに手を入れて、ちょっとした巧みな動き(操作)で、バン![あっという間に] ブラが、袖から出てくる。)

You have got yourself a book. を直訳すると「あなたがあなた自身に1冊の本を手に入れてあげられる」→「あなたは1冊の本を手に入れる(You have got a book)、あなたに1冊の本が出来てしまう」という感覚。

官能小説の書き方指南として、「おしゃれな感じでヨーロッパの都市を6個ほど出しておいて、男性器を様々な遠回し表現を使って散りばめといたら、それで官能小説が1冊出来上がっちゃうわよ」と言ったことになり、「ストーリーや筋書きなんてそんなに考えなくてもいい」みたいに言った感じが出ています。
また、30個という数が出ていますが、婉曲表現とは言え、要はそれだけの数(もしくはそれ以上)の男性器が話の中に出てくるということですから、性的な場面だらけだということも想像できます。

このノーラのセリフをシンプルな形にすると、You start with A, throw in B, and bam! You have got yourself C! で「Aで始めて、(それに)Bを放り込んだら、Cが手に入る![Cの完成・出来上がり!]」という意味になるわけですが、
(今回のお話より、先のエピソードになってしまいますが)フレンズ2-10 で、
チャンドラー: Throw in a tree and a fat guy and you've got Christmas! (木と太った男を放り込んだら、クリスマスが手に入る![クリスマスの出来上がり!](って感じだろ)。)
というセリフも出てきます。

フレンズ2-10 だと、Throw in A and B and you've got C.
今回のフレンズ1-11 だと、You start with A, throw in B, and bam! You have got yourself C!
となりますが、throw in と you have got が使われている構造がよく似ており、どちらも「(Aと)Bを放り込んだら、Cの出来上がり!」となる感覚も非常に似ていると思います。

チャンドラーの My mother, ladies and gentlemen! について。
本当なら他人のふりをしたいような時に、よくこのような表現が使われます。
「そんなこと言ったら、身内の俺が恥ずかしいよー」というところを、「紳士淑女の皆さん、見て下さい。すごいでしょ? これが私の母親ですよ!」と誇らしく宣言しているかのように言う表現。
あまりの大胆発言に、身内としては開き直り、逆にそれを自慢しているような感覚になります。


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posted by Rach at 00:12| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月12日

自分の殻から出る フレンズ1-11改その6

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5:02
[Scene 3: A montage of Mon+Pheebs' visits to the hospital, with 'My Guy' playing in the background. It starts with Monica reading Coma Guy a newspaper]
シーン3: モニカとフィービーの病院の訪問の映像。BGMで「マイ・ガイ」がかかっている。モニカが昏睡男に新聞を読んであげるところから始まる。
モニカ: Let's see. "Congress is debating a new deficit-reduction bill. The mayor wants to raise subway fares again. The high today was 45." And- oh, teams played sports. (えーっと。議会は赤字削減法案を議論中。市長は地下鉄の運賃をまた上げたいと思ってる。今日の最高気温は(華氏)45度だった。それから、あぁ、(いろんな)チームがスポーツをした。)
[Next is a shot of them dragging an enormous plant into the room, then Monica knitting a sweater, then Phoebe singing, then Phoebe shaving him and chatting to Monica]
次に、部屋に巨大な植物を引きずって持ち込む二人のショット、それから、モニカはセーターを編み、フィービーは歌い、フィービーは彼のひげを剃り、モニカと話す。
フィービー: What about Glen? He could be a Glen. (グレンはどう? 彼がグレンって名前なの、ありそうだわ。)
モニカ: Nah... not-not special enough. (んーん、あまり特別な感じがしないわね。)
フィービー: Ooh! How about Agamemnon? (あぁ! アガメムノンはどう?)
モニカ: Way too special. (あまりにも特別すぎる。)

昏睡男さんのお世話をしている二人の映像のBGMとして流れているのは、メアリー・ウェルズ(Mary Wells)の1964年のヒット曲「My Guy」。
(2020.9.16 追記)
9月15日(水)放送の「スッキリ」で、ウエンツ瑛士さんが、映画『メイキング・オブ・モータウン』(9月18日公開)について解説されていました。
その中のクイズ(エイジQ〈クイズ〉)で「モータウンのプロデューサーのスモーキーが、テンプテーションズの名曲「マイ・ガール」の前に出した曲は?」という二択問題があり、その答えがメアリー・ウェルズの「マイ・ガイ」でした!
メアリー・ウェルズが歌っている当時の映像が流れ、「何を言われても 私は彼氏(マイ・ガイ)から離れない」という歌詞もテロップで表示されました。(歌詞が、このシーンのモニカとフィービーの気持ちを表しているわけですね^^)
近藤春菜さんが「この曲も知ってますよ」とおっしゃっていたのが嬉しかったです。
このブログ記事を投稿したのが9月12日(土)で、その3日後にテレビで「マイ・ガイ」の映像と音楽が流れるなんて、すっごくタイムリー!と思ったので、追記にてお知らせさせていただきました♪(追記はここまで)

congress は「議会」、deficit reduction bill は「赤字削減法案」、mayor は「市長」。
fare は「(乗り物の)料金、運賃」を指します。

The high today was 45. は「今日の最高気温は45度」ということで、気温の話をしています。
45度というのは摂氏ではなく、華氏45度ということ。
アメリカ・カリフォルニア州のデスバレー(Death Valley)で、今年8月16日に54.4℃(摂氏54.4度)を記録したとしてニュースになっていましたので、近年は摂氏45度もあり得ない数字と言いきれなくなっていますが、冒頭のシーンで道に雪が積もっていたように今回は冬の話なので、摂氏ではやはりおかしいと感じる数字です。

日本の気温は摂氏表示(℃)ですが、アメリカは華氏表示(F)が多いようです。華氏45度は摂氏7度になります。
華氏の F は、Fahrenheit、摂氏の C は Celsius または Centigrade の頭文字。Fahrenheit(ファーレンハイト)、Celsius(セルシウス)はどちらも温度単位の考案者である学者の名前。
アメリカでは、温度だけではなく、長さもマイル、ヤード、フィート、インチなど、日本のメートル法とは異なる単位を使うことが多いので、セリフで「身長が何フィート何インチ」とか言われても、いまいちピンと来ない、という不便なこともよくあります。

Teams played sports. は「(いろいろな)チームがスポーツをした[プレイした]」。
男性はスポーツの話が好きで、女性はおしゃれの話が好き、という一般的なイメージがありますが、このモニカの場合も、あまりスポーツには興味がなくて適当に説明している様子が出ています。
いろんなチームがいろんなスポーツの試合をしたという記事が載ってる、という程度で、チーム名などに詳しくないのがわかります。

昏睡男さんの名前を考えている二人。
Agamemnon は「アガメムノン」。ギリシャ神話に登場する、ミュケナイ(ミケーネ)の王で、トロイ戦争でギリシャ軍の総大将だった人物の名前。
way too は「あまりにも〜すぎる」。way は「はるかに、ずっと」という意味で、too を強調する副詞。
Glen という名前では、not special enough 「十分に特別であるとはいえない」→「あまりにもありきたりな名前すぎる」と言われたフィービーは、とびっきり変わったギリシャ神話に出てくるような名前を出してきます。
「アガメムノン、って、それはまた、極度に特別すぎる名前だわ」という感じです。


06:00
[Scene 4: A Mexican restaurant. Monica, Phoebe, Joey, Chandler and his mom are there]
シーン4: メキシコ料理店。モニカ、フィービー、ジョーイ、チャンドラー、彼の母親(ノーラ・ビング)がそこにいる。
ノーラ(ミセス・ビング): I am famished. What do I want? [Looks at Chandler's menu] (お腹ペコペコよ。何を食べようかしら? [チャンドラーのメニューを見る])
チャンドラー: Please, God, don't let it be Kung Pao chicken. (どうか頼むから、クンパオチキンにしないでよ。)
ノーラ: Oh, you watched the show! What did you think? (まぁ、番組を見てくれたのね! どう思った?)
チャンドラー: Well, I think you need to come out of your shell just a little. (そうだな、自分の殻から出て心を開く必要があると思うよ、もう少しだけね。)
ロス: [Entering] What is this dive? Only you could've picked this place. ([入ってきて] この店は何? こんな場所を選ぶことができたのはあなただけだったでしょうね。)
ノーラ: Oooh, c'mon. Shut up. It's fun. Give me a hug. [They both sit down] (あぁ、もう。黙って。楽しいわ。ハグしてちょうだい。[二人は座る])

I am famished. は「お腹がペコペコよ」。
famish は「〜を飢えさせる」という他動詞で、famished という過去分詞形で「空腹だ」という意味の形容詞として使われます。名詞形は famine 「飢饉(ききん)」。
「私は何が食べたいかしら?」→「何を食べようかしらねぇ?」と言っている母に、チャンドラーは「どうか頼むから、その食べたいものをクンパオチキンにしないでよ」と言っています。
テレビ出演の際、「男性と親密になった後は、クンパオチキンが食べたくなるの」と言っていたので、クンパオチキンを食べたい=ついさっき男性と寝たばかり、ということになってしまうから、クンパオチキンってのはやめてよね、と言っていることになるでしょう。
クンパオチキンは中華料理なので、メキシコ料理店のメニューには書いていないのでしょうが、チャンドラーがその名前を出したことでテレビ出演を息子が観ていたことを知り、母ノーラは喜んでいます。

come out of one's shell の shell は「殻(から)、貝殻」なので、直訳は「自分の殻から出る」。つまり「自分の殻から出て、打ち解ける、心を開く」という意味。
「自分の殻から出て心を開く必要があると思うね、もう少しだけ」のように言っていますが、ノーラが公共のテレビの前であまりにも自分をさらけ出しすぎたことを皮肉っていることになります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
somebody's shell : if someone goes into their shell, they are shy and do not want to talk to people; if they come out of their shell, they become more confident and less shy
例1)She's really come out of her shell since she went to college.
例2)The more his father shouted, the more he retreated into his shell.

つまり「人が自分のシェルに入る、というのは、その人はシャイで人と話したくない。人がシェルから出る、というのは、より自信があって、よりシャイではない」。例文1は「大学に行ってから、彼女は本当に自分の殻から出た[自信を持って、シャイではなくなった]」。例文2は「彼の父が叫べば叫ぶほど、彼はますます自分の殻に引きこもった」。

retreat は「後退する、撤退する」ですが、「(不快な場所から快適・安全な場所へ)退く、逃げる」という意味もあるので、retreat into one's shell はまさに「自分の殻に引きこもる」→「打ち解けない、無口になる」という意味になります。

dive は「いかがわしい店」。
LAAD では、
dive [noun] : BAR/HOTEL/RESTAURANT (informal) a place such as a bar or a hotel that is cheap and dirty.

つまり「(バー、ホテル、レストラン)(インフォーマル)安くて汚いバーやホテルのような場所」。

やってきたロスを見て、ノーラは熱烈なハグをしていますが、それを見た息子チャンドラーはちょっとあきれた顔をして「息子の友達にちょっとやりすぎなんじゃないの?」と言いたげな様子です。


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posted by Rach at 16:53| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする