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[Joey, Chandler, Ross, Rachel & Monica in Rachel and Monica's apartment]
ジョーイ、チャンドラー、ロス、レイチェル、モニカが、レイチェルとモニカのアパートメント(の部屋)にいる。
ジョーイ: It's like if you wake up one day and found out your dad was leading this double life. He's like actually some spy working for the CIA. That'd be cool! This blows! (まるで、ある日、朝起きたら、自分のパパがこんな二重生活を送ってるって気づいたような感じだよ。パパがまるで、実はCIAで働いている、あるスパイみたいな。(もし)そうならかっこいいよな! こんなの最低だよ!)
レイチェル: Now, I know. I mean, why can't parents just stay parents? You know? Why do they have to become people? (Chandler is staring at Rachel's breasts...) Why do they have-- Why... can't you stop staring at my breasts? (そうね、わかるわ。ほら、どうして親はただ親のままでいることができないのかしら[親のままでいてくれないのかしら]? ねえ? どうして親は(ただの)人間にならないといけないの? [チャンドラーはレイチェルの胸をじっと見つめている] どうして親たちは… どうして… あなたは私の胸を見つめるのをやめないの?)
チャンドラー: (Eyes fixed) What? (Looks up) What? ([視線が釘付けになった状態で] 何? [視線を上げて] 何?)
レイチェル: Did you not get a good enough look the other day? (あの日、十分には見れてなかったの?)
ロス: Alright. Alright. We're all adults here. There's only one way to resolve this. Since you saw her boobies, I think, you're gonna have to show her your pee-pee. (わかった、わかった。ここにいる僕たちはみんな大人だ。これを解決する唯一の方法がある。君が彼女の胸を見た以上[見たのだから]、僕が思うに、君は彼女に君のおちんちんを見せなきゃいけないよ。)
チャンドラー: You know, I don't see that happening. (ほら、そんなことにはならないと思うよ。)
レイチェル: Come on. He's right. Tit for tat. (ほら。彼(ロス)は正しいわ[ロスの言う通りよ]。仕返しよ[tat に対しての tit(「おっぱい」の意味あり)よ]。)
チャンドラー: Well, I'm not showing you my tat! (そうか、俺は君に俺の tat(安っぽくて下品なもの)は見せないぞ!)
lead this double life は「こんな二重生活を送る」。lead a life の形で「生活を送る」という意味で使われます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
lead : LIFE [transitive]
if you lead particular kind of life, that is what your life is like
lead a normal/exciting/dull etc. life
例)You kids have led such an easy life.
つまり、「ある特定の生活(人生・生き方)を lead する、というのは、人生がそんな感じであるということ」。
普通の/刺激的な/退屈な生活(人生)を送る
例文は「君ら子供たちは実にイージーな人生を送ってきた」。
CIA は Central Intelligence Agency 「アメリカ中央情報局」の略。
work for は「…のために働く」ということから「…で働く」ということで、work for+会社名で「(会社名)に勤務する」という意味でもよく使われます。
That'd be cool! は That would be cool! ということで、この would には「もしそうなら…だろうに」という仮定のニュアンスが含まれています。
「もしそうなら(もし自分のパパがCIAで働いているなら)クールだな/かっこいいな!」ということ。
This blows! の blow は「(風が)吹く、爆発する」という意味。
そこから、他動詞で「(チャンスを)棒に振る・逃す、失敗する」、自動詞で「最低だ、最悪だ」という意味でも使われます。
ネット辞典の Wiktionary では、
Wiktionary : blow
blow
18. (transitive, informal, idiomatic) To fail at; to mess up; to make a mistake in.
例)I blew it and forgot to start the spaghetti, so I had plenty of sauce and no pasta.
例)Good luck, and don't blow it!
19. (intransitive, stative, slang, sometimes considered vulgar) To be very undesirable.
Synonym: suck
例)This blows!
つまり、
18. (他動詞、インフォーマル(口語)、慣用句)失敗する、台無しにする、過ちを犯す(ミスをする)
例文)失敗してスパゲッティを(茹で)始めるのを忘れてしまったので、大量のソースがあって、パスタがない状態になった。
例文)幸運を。ヘマしないでね!
19. (自動詞、状態を表す、スラング(俗語)、下品と見なされることもある)ひどく好ましくない・望ましくない状態である
類義語:suck
例文)こんなの最悪・最低だ!
レイチェルの、I mean, why can’t parents just stay parents? You know? Why do they have to become people? について。
両親なら親らしく、いつまでも子どもにとって模範的な存在でいて欲しいのに、どうして人間くさいところを見せてしまうのか、人間くさいどろどろした汚い部分を見せられたら子どもとしてはたまらない、という感覚です。
「親だって(いろいろな欠点や短所がある)人間だ、ひとだ」の「人間」のニュアンス。
Why can't S...? 「どうして(主語)は…できないの?」と親たちに対する文句を語っているレイチェルでしたが、隣にいるチャンドラーの視線が自分の胸に釘付けになっているのを見て、同じ Why can't S...? を使って「どうしてあなたは私の見つめるのをやめないの?」と言っているのが面白いです。
「見る」を意味する英単語はたくさんありますが、今回のチャンドラーのように「じっと見つめる」はこの stare になります。
Did you not get a good enough look the other day? の good enough は「十分に良い」ということで、直訳すると「あの日、十分に良い”見ること”をゲットしてなかったの?」というところ。
つまりは「あの日見ただけでは十分じゃなかったの? あの時のじゃ見足りなかった、ってこと?」と言いたいことになります。
胸を見られたことを今も怒っているレイチェルを見て、ロスは、We're all adults here. There's only one way to resolve this. 「ここにいる僕たちはみんな大人だ。これを解決する唯一の方法がある」と提案を始めます。
Since you saw her boobies, I think, you're gonna have to show her your pee-pee.について。
since は「〜以来」という意味で使われることが多いですが、ここでの since は「〜なので、〜だから」という理由を表す接続詞。
理由を表す接続詞には他に because などもありますが、この since は理由がすでにみんなにわかっている場合によく使われます。
ジーニアス英和辞典にも以下のように説明されています。
since(接続詞):…だから、…なので、…である以上
理由が前提とされていたり、すでに自明であったりする場合に好まれる。(米)では as の代わりに好んでよく用いられる。
理由が前提・自明という意味ではジーニアスの訳語の「…である以上」がよくニュアンスを表していると思います。
ですから、Since you saw her A, you're gonna have to show her your B. は「君が彼女のAを見た以上[見たからには]、君は君のBを彼女に見せなきゃならない」。
見せるものとして boobies, pee-pee が出ていますが、boobies はこのエピソードで何度も出てきているように幼児語で「おっぱい」。
pee-pee も幼児語で「おちんちん」。
pee は「おしっこをする」という意味なので、「おしっこをするところ」であることから、そういうネーミングになったのでしょう。
実際、ジーニアス英和辞典には
pee-pee:(名)(小児語)おしっこ
と出ています。
「僕ら大人には解決法がある」とわざわざ前振りで「大人」という言葉を出していることで、フレンズを見慣れた人には、この後、オチとして子供っぽい解決法が続きそうだと予想できたかもしれませんね。
レイチェルのを見たのだから、お前のも見せないと、と言われたチャンドラーは、I don't see that happening. と言っています。
see はまず「見る」という意味が思い浮かびますが、「(ある見方で)見る」ということから、「…とみなす・考える・想像する」という意味としても使われます。
直訳すると「それが起こるとは俺は考えない」ということで、つまりは「俺にはそんなことが起こるとは思えない、そんなことにはならないと思う」と言っていることになります。
ちなみに、誰かが意外なことを言った時、意外な返しをしてきた時に、「お、そう来たか」「そう来るとは思わなかった」のようなニュアンスで使う、I didn't see that coming. というフレーズがあるのですが、今回の I don't see that happning. はそれとよく似た形になっていると思います。
tit for tat は「仕返し、報復、しっぺ返し」。
と同時に、tit には「女性の胸、おっぱい(breast)」の意味もあります。
ジーニアス英和辞典には、どちらの意味も出ています。
tit:(次の成句で)tit for tat(名詞)(略式)しっぺ返し、売り言葉に買い言葉(blow for blow)(時に形容詞・副詞にも用いられる)
例)give him tit for tat 彼に仕返しをする
tit:(名詞)(性俗)[通例 〜s]乳房(breasts)(→ taboo word)、(女性の)乳首(teat)
同じくジーニアス英和辞典で、tat は以下のように出ています。
tat:(名詞)1.(英略式)安い粗悪品、2.(米略式)入れ墨(tattoo)
以下、参考までに、各単語の英英辞典での語義を見ておきましょう。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
tit for tat : [noun] [uncountable]
(informal) something bad that you do to someone because they have done something bad to you
つまり「相手が自分に悪いことをしたという理由から、その相手に行う悪いこと」。
LAAD では tat は「tattoo の略語」としか出ていませんでしたが、
Wiktionary では以下のように出ていました。
Wiktionary:tat
tat
[noun]
1. (uncountable, British) Cheap and vulgar tastelessness; sleaze.
2. (uncountable, British) Cheap, tasteless, useless goods; trinkets.
1. は「(不可算、イギリス英語)安っぽく下品な悪趣味(趣味の悪いこと)。sleaze(安っぽいこと、低俗。非道徳的なやつ)」
2. は「(不可算、イギリス英語)安っぽく悪趣味で役に立たないもの。trinkets(つまらないもの)」
フレーズ tit for tat と、単語 tit、単語 tat について、それぞれの意味を理解した上で、改めてレイチェルとチャンドラーの会話を直訳してみると以下のようになるでしょうか。
レイチェル:Tit for tat. (仕返しよ。/ tat に対しての tit(おっぱい)。)
チャンドラー: I'm not showing you my tat! (俺は君に俺の tat(安っぽくて下品なもの)は見せないぞ!)
tit for tat 「仕返し」というフレーズに、ちょうど胸を意味する下品なニュアンスの単語 tit が含まれており、「おっぱい for tat」とも解釈できるのを利用して、チャンドラーは tit に相対するものとして自分の pee-pee(おちんちん) のことを tat と呼んだことになるでしょう。
また、先ほど説明したように tat には「安っぽく下品で悪趣味なもの」という意味がありました。
この意味については、各辞書で「イギリス英語」とされているので、アメリカでその意味で広く認識されているのかはわからないのですが、もしその意味を意識しているのであれば、「俺の”安っぽいもの”は見せないぞ」のように、自分のモノをつまらないものだと自虐的に言ってみたセリフだと解釈できるかもしれません。
コメディの脚本の流れとしては、レイチェルは tit for tat を通常の「仕返し」という意味で言っただけで、レイチェル自身にダブルミーニングの意図はなかったように思います。
その「仕返し」を意味する決まり文句の tit に「おっぱい」の意味があり、A for B の形になっていることを受けて、チャンドラーが自分のモノのことを tat と表現して笑いを取った、と考える方が、ジョークの天才チャンドラーらしさが光る、フレンズっぽいオチの付け方になっていると思いました。
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