2023年06月15日

ブログ18周年

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2005年6月15日に開始したこのブログ、今日で18周年を迎えることができました。
18年間、このブログを続けることができましたのは、このブログを読んで下さり、応援し続けて下さった読者の皆様方のお蔭と心より感謝しております。
本当にありがとうございます<(_ _)>

今もブログランキングの上位にいさせていただけていることも大変ありがたく思っております。
ランキングクリックで応援して下さっている皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

18周年までの1年間の出来事としましては、2022年10月28日に、KADOKAWA から『SHERLOCKで身につく英文法』を出版することができました。

221028_Sherlock_grammar_333px.jpg

これで通算11冊の本を出させていただいたことになります。
大好きなドラマ『SHERLOCK』のセリフを例文として使った英文法の本を出すことができたことは、本当に本当に嬉しかったです♪

ドラマや映画を動画配信サービスで見ることが当たり前となっている今、海外ドラマや洋画で英語を学ぶ方がもっともっと増えて下さるといいな、そして、その英語学習の参考にしていただけるようなものがもっともっと書けるといいな、と思っています。

ドラマや映画で生きた英語を学ぶ楽しさやその効果を一人でも多くの方に伝えることができるよう、これからも頑張ります!
ブログの読者の皆様、18年間本当にありがとうございました。
これからも引き続き、どうかよろしくお願いいたします。


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posted by Rach at 14:24| Comment(4) | 節目となる出来事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年05月20日

破片を拾い集める→事態を収拾する フレンズ1-12改その14

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16:43
[Scene: foosball table]
シーン:フーズボールテーブル。
フィービー: I think she took it pretty well. You know, Paolo's over there right now, so.... (レイチェルはかなりよくわかってくれたと思うの。ほら、パウロはたった今、むこうにいるから…。)
モニカ: We should get over there and see if she's okay. [switching places with Ross] Just one...second. Score! [Monica scores, high-fives with Ross] (私たちはあっちに行って、レイチェルが大丈夫かどうかを確かめるべきね。[ロスと場所を交代して] あとちょっとだけ(待って)。点決まった! [モニカが点を決め、ロスとハイファイブ[ハイタッチ]をする])
ロス: Game! Nice! [or Us!] (ゲームに勝った! ナイス![or 僕らが!])
モニカ: Come on, Pheebs. [Monica and Phoebe leave] (行くわよ、フィーブス。[モニカとフィービーは去る])
ロス: [wiping his brow] Ah...ooh! Well, looks like, uh, we kicked your butts. ([額の汗をぬぐいながら] あぁ、オー! ほら、僕たちが君らを叩きのめした、って感じだね。)
ジョーイ: No, no, she kicked our butts. You could be on the Olympic "Standing There" team. (いやいや、(お前らじゃなくて)彼女(モニカ)が俺たちを叩きのめしたんだよ。お前はオリンピックの”そこに立ってるだけ”のチーム(の一員)になれるかもな。)
ロス: Come on. Two on one. (よし来い。2対1だ。)
チャンドラー: What are you still doing here? She just broke up with the guy. It's time for you to swoop in. (お前はいまだにここで何やってんだよ? 彼女(レイチェル)はたった今、あの男と別れたんだぞ。(今こそ)お前がさっと舞い降りる[颯爽と登場する]時だ。)
ロス: What, now? (何、今?)
ジョーイ: Yes, now is when you swoop. You gotta make sure that when Paolo walks out of there, the first guy Rachel sees is you. She's gotta know that you're everything he's not. You're like, like the anti-Paolo. (そうだ、お前が舞い降りるのは今だ。パウロが退場する時、レイチェルが最初に見る男がお前になるようにしなくちゃならないんだ。お前は、やつが持ってないものすべてだと[お前はやつとは全く違うってことを]彼女が知らなくちゃならないんだ。お前はまるで、まるで、アンチ(反)・パウロだよ。)
チャンドラー: My Catholic friend is right. She's distraught. You're there for her. You pick up the pieces, and then you usher in... "The Age of Ross." [Ross and Chandler look off into the distance. Joey, wondering what they are looking at, looks in the same direction] (我がカトリックの友人(の言うこと)は正しいな。彼女はひどく取り乱してる。お前は彼女のためにそこ(彼女のそば)にいるんだ。お前が事態を収拾し、それからお前が導くんだよ……「ロスの時代」に。[ロスとチャンドラーは離れたところを見る。ジョーイは、二人が何を見ているんだろうと思いながら、同じ方向を見る])

take it well は「それ・その状況を、よく受け入れる・受け止める」ということなので「よくわかる、納得する」という意味になります。
Score! は初めてフーズボール・テーブルが登場したシーンにも使われていましたが、文字通り「スコア・得点(を決めた)!」ということ。

兄妹チームが勝ち、二人は喜び合っていますが、その時のロスのセリフについて。
媒体によって英語字幕が異なっており、

DVD / Blu-ray では
Game! Us!

(以前配信されていた時の)Netflix では
Game! Nice!

と表記されていました。

音声的にはナイスに聞こえる気がするのと、「勝った、僕たちが」というようなことを言いたいのであれば、Game! Us! よりもシンプルに We won! と言いそうな気がするので、(断言はできませんが、どちらかというと)Netflix の表記の Game! Nice! が近いような気がしました。

kick someone's butt は 「人の尻を蹴る」ということから「叩きのめす、やっつける」。
そう表現したロスに対して、ジョーイは No, no, SHE kicked our butts. と she を強調して返しています。
ロスが主語を we にして、僕とモニカの二人で君らをやっつけてやった、のように表現したことに対して、「やっつけたのは she 「彼女、モニカ」であって、お前は何も勝利に貢献してないだろ」と言ったことになります。

You could be on the Olympic "Standing There" team. は「お前はオリンピックの”そこに立ってるだけ”のチーム(の一員)になれる」。
「その場に立ってるだけで何も貢献してない、って形ならオリンピックにも参加できそうだな」→「お前は勝った側のチームにいるけど、実際にはただ立ってただけだけどな」というようなことを言いたかったのだろうと思います。

Two on one. は「2対1、2人対1人(で)」。
バスケで3人対3人の「スリー・オン・スリー(3on3)」というものがあるように、「2on1」だと2人対1人になります。
モニカのおかげで勝てたみたいに言われたので、モニカが去った後、君ら二人と残った僕一人で再戦しようよということです。

What are you still doing here? は「お前はいまだにここで何やってんだよ?」。
言葉としては今やっていることを尋ねる形の疑問文ですが、今回のように非難っぽい口調で言うと、「お前は今ここでこんなことをしてる場合じゃないだろ」というニュアンスが出ます。

break up with someone は「(人)と別れる」という、恋愛における頻出表現。
It's time for you to swoop in. は「(今)お前が swoop in すべき時だ」ということですが、swoop は元々は「鳥が空から降りてきて獲物を襲う」という意味の動詞。
「急降下、急襲」のニュアンスで、パウロと別れて動揺しているレイチェルの元に、サーッと舞い降りて登場するんだよ、颯爽と現れるんだよ、と言っていることになるでしょう。

now is when you swoop は直訳通りの「今が、お前が swoop する時だ」。
少し前の It's time for you to swoop in. も含め、「今まさに〜すべき時だ」と言いたい場合には、It's time for you to do. / Now is when you do. という表現が使えるということです。

You gotta make sure that when Paolo walks out of there, the first guy Rachel sees is you. について。
make sure that SV は「間違いなく・確実にSがVする(形になる)ようにする」。
that 以下に when節が入っているので、文が長くなっていますが、「パウロがそこを出ていく時に、レイチェルが見る最初の男がお前である」という形に確実になるようにする、ということ。

She's gotta know that you're everything he's not. は everything he's not という表現を的確な日本語に訳すのが難しいと感じますが、「お前は、彼ではないすべてである」→「お前は、彼が持っていないものすべてである」、つまり「お前は(クズ男の)パウロとは全然違う男だ」ということを言っていると考えられるでしょう。

You're like, like the anti-Paolo. について。
anti- は日本語でも「アンチ」という通り、「反」という意味。
ジョーイが anti-Paolo という表現を使った後、チャンドラーは My Catholic friend is right. のように、カトリックという単語を使っています。

キリスト教に関しては、antichrist 「反キリスト」という単語があり、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では以下のように出ています。

antichrist [noun] the Antichrist also the antichrist :
the great enemy of Jesus Christ who represents the power of evil and is expected to appear just before the end of the world

つまり「悪の力を象徴し、世界の終わりの直前に現れると考えられている、イエス・キリストの大敵」。

anti- という言葉自体は、「反対、敵対」の意味で、様々な単語と結びつく接頭辞ですが、今回、チャンドラーがカトリックについて言及したのは、Paolo という名前も関係しているかもしれない、と思ったりしました。

今回のフレンズのエピソードが放映されたのは1995年ですが、その当時のローマ教皇(法王、Pope)はヨハネ・パウロ2世でした。
ローマ教皇はローマ・カトリック教会の首長であり、ヨハネ・パウロ2世は英語表記だと John Paul II となりますが、イタリア語表記だと Giovanni Paolo II となります。
ジョーイが Anti-Paolo と表現したことが、「Anti-Christ のキリストを、ローマ教皇の名前パウロで置き換えた」という連想が働いて、チャンドラーは「カトリック」という言葉を使ったのかな、と思ったということです。

distraught は「ひどく取り乱した、錯乱状態の」。
LAAD では、
distraught : so anxious or upset that you cannot think clearly
例)He was distraught over the breakup of his marriage.

つまり「非常に心配したり動揺したりして、明瞭に考えることができない」。例文は「彼は自分の結婚の破綻にひどく取り乱していた」。

ロングマンの例文も、人間関係の breakup について語られているように、人と別れた時の動揺を表現するのに適した言葉だということになるでしょう。

You're there for her. は「お前は彼女のためにそこにいてやるんだ」。
フレンズのおなじみのオープニングテーマ(テーマソング)は、ザ・レンブランツ(The Rembrandts)の I'll Be There for You ですが、それと同じ形です。
歌のタイトルの I’ll be there for you. は「君のためにそこにいてあげるよ」という意味。

pick up the pieces は直訳で「破片を拾い集める」ことから、「事態などを収拾する、後始末をする」という意味になります。
LAAD では、
pick up the pieces (of something) :
if you pick up the pieces of a business, relationship etc. that has had serious problems, you try to make it work again

つまり「深刻な問題が起こったビジネスや(人間)関係などの破片を拾い上げるというのは、それがもう一度うまく行くように頑張るということ」。

壊れてバラバラになった破片を拾い集める、という表現が、問題が起こってしまった事態を元通りに収拾する、という意味になるのは、イメージ湧きやすいなと思います。

usher in は「〜の到来を告げる」。
今回の usher は動詞ですが、名詞では「(劇場などの)案内係」という意味になります。
過去記事、俺と契約したいんだな フレンズ1-6改その7 では、
チャンドラー: the usher gave me this to give to you. (お前に渡してくれって、案内係が俺にこれをくれたんだ。)
というセリフで、名詞「案内係」として使われていました。
usher が人を招き入れるように「〜を案内して通す」という意味から「〜の到来を告げる」という意味になったわけです。
usher in a new era なら「新しい時代の到来を告げる」となります。

「ロスの時代」と言いながら、お芝居風に遠くを眺めるチャンドラーとロス。
二人の様子を見たジョーイが「一体何見てんの?」というように、同じ方向を見るのが、フレンズっぽくて面白いです。


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posted by Rach at 16:38| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月26日

How did I not see this? の not の位置 フレンズ1-12改その13

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15:29
レイチェル: I’m so sorry. (本当にごめんなさい。)
フィービー: No, I’m sorry. (いいえ、私の方こそごめんなさい。)
レイチェル&フィービー: No, I' m sorry! (私の方こそごめんなさい!)
フィービー: No, wait, oh, what are we sorry about? (いえ、待って、あぁ、私たちは何のことで謝ってるの?)
レイチェル: I don't know. Right. He's the pig. (わからない。そうだわ。あいつがブタ(野郎)なのよ。)
フィービー: Such a pig! (本当にブタ(野郎)だわ!)
レイチェル: Oh, God, he's such a pig! (あぁ、なんてこと、あいつは本当にブタ(野郎)よ!)
フィービー: Oh, he's like a... (あぁ、あいつはまるで…)
レイチェル: He's like a big disgusting... (あいつはまるで超むかつく…)
フィービー: ...like a... (…みたいな…)
レイチェル: ...pig...pig man! (…ブタ…ブタ男よ!)
フィービー: Yes, good! Okay. (そうね、うまい! そうよ。)
レイチェル: [voice wavers] Oh, but he was my pig man! How did I not see this? ([声が揺らぐ] あぁ、でもあいつは私のブタ男だったわ! どうして私にはこのことがわからなかったの?)
フィービー: [raises hand] Oh, I know! [Rachel startled] Because... he's gorgeous. And he's charming. And when he looks at you... ([手を挙げて] あぁ、わかった! [レイチェルがびっくりする] なぜなら…彼がかっこいいから。それに彼はチャーミングで。そして彼があなたを見る時には…)
レイチェル: Okay, Okay, Pheebs... (わかった、わかった、フィーブス…)
フィービー: The end. (ジ・エンド(おしまい)。)
レイチェル: Oh, God! (なんてこと。)
フィービー: Should I not have told you? (あなたに話さないべきだった?[話さないほうが良かった?])
レイチェル: No. No, trust me, it's, it's, it's much better that I know. Uh, I just liked it better before. It was better. (いいえ、信じて、知る方が(知らないより)ずっといいわ。あぁ、ただ、前の状況[状態]の方が、もっと好きだったけど。前の方がもっと良かった。)
[Phoebe scoots her chair over to Rachel and hugs her]
フィービーは椅子をレイチェルの方に動かして、レイチェルをハグする。

お互いが「ごめんなさい」とさんざん謝り合った後、フィービーは what are we sorry about? 「私たちは何のことで謝ってるの?」と言い、悪いのは私たちじゃなく、あいつだわ、と、今度はパウロを非難し合う言葉に変わります。

pig は「ブタ」で、日本でも(ブタさんには申し訳ないですが)「ブタ」は悪口としてよく使われます。
この英語の pig も「最低な男」というニュアンスで使われています。
アカデミックな辞典である LAAD (Longman Advanced American Dictionary) にもちゃんとその意味が載っていて、

pig : (spoken) someone who behaves in an unpleasant way toward other people
例)You're a selfish pig.

つまり「(口語)他の人々に対して不愉快な行動をする人」。

LAAD ではこの語義の下に male chauvinist pig という表現が参照されていました。
chauvinist は「同属偏愛・優越の排他主義者」のことで、「自分の国や民族が他より優れていると考える愛国主義者」や「女性より男性が優れていると考える女性蔑視主義者」を指します。
よって male 「男性の」という形容詞がついた male chauvinist は「男性優越・女性蔑視主義者」という意味に限定されることになります。

ドラマ「アリーmy Love(原題:Ally McBeal)」でも、"Male chauvinist pig!" 「男尊女卑のブタ!」と男性をののしるセリフがよく出てきており、そのドラマ特有の表現かと思っていたのですが、このようにアカデミックな辞書に載っているような一般的な表現なのですね。
pig は、そのような悪口との組み合わせに使われる単語だということです。

レイチェルの How did I not see this? は「どうして(どのようにして)私にはこのこと(彼がブタ野郎だということ)がわからなかったの?」。
日本人が一般的にイメージする否定疑問文だと
How didn't I see this?
という形になりそうな気がしますが、それと今回の How did I not see this? は、文の意味としてはほぼ同じです。
didn't という短縮形よりも did not のように not を単独で使った方が否定の意味が明確になるのと同様に、今回のセリフ How did I not see this? も How didn't I see this? よりも否定の意味がより強調された形となります。
not see のように否定語と動詞がくっついていることで「わからない、見えない」という「see という動詞を否定」していることが、より明確に伝わることになるでしょう。
そのニュアンスの違いを、無理やり日本語に出そうとすると、
How did I not see this? 「どうして”これがわからない”ということがあったの?」
How didn't I see this? 「どうして”これがわかる”ということがなかったの?」
となるでしょうか。
「これが”わからない”なんてどうして?」の方が、「わからなかった自分に対するいら立ち」が強調されるということです。

gorgeous は「ゴージャス」ですが、ここでのニュアンスは「(人が)素敵な、魅力的な」という意味。
LAAD では、
gorgeous [adjective] (informal) : extremely beautiful or attractive
つまり「極めて美しい、または魅力的な」。

彼がブタ野郎だという本質をわからなかったのも無理はない、とでもいうように、「ゴージャス(素敵)でチャーミングで、彼があなたを見る時には…」とさらに彼の素敵さを語ろうとしたフィービーですが、先ほど「ブタ野郎」とけなしていたばかりのあいつのことをそんなに褒めないでよと言いたげにレイチェルはフィービーを制し、フィービーも「ジ・エンド(おしまい)」と言って褒めるのをやめます。

Should I not have told you? も先ほど解説した How did I not see this? と同じように、not が動詞の方にくっついている形。
先ほどと同様に比較してみると、
Should I not have told you? 「あなたに話さないべきだった?」
Sholdn't I have told you? 「あなたに話すべきではなかった?」
という違いになるでしょうか。
今回のセリフの形の方が、私がすべきことは「話さない」ということだった? のように「話さない」という動詞 tell の否定であることをより強調していると言えるでしょう。
話したことでレイチェルを傷つけてしまったことに罪の意識を感じている様子が、より感じられる気がします。

it's, it's, it's much better that I know. Uh, I just liked it better before. It was better. 「知る方が(知らないより)ずっといいわ。あぁ、ただ、前の状況[状態]の方が、もっと好きだったけど。前の方がもっと良かった」について。

それぞれの it の指すものですが、まず、it's much better that I know. の it は、it = that I know ということ。
It's much better that I know. の that I know は、that 節 (名詞節)で「私が知ること」。
That I know is much better. 「私が知ることはずっと良い(ベターである)」の that 節を後ろに回して、それを形式主語の it にした構文が、レイチェルのセリフになります。

そして、2番目の liked it の方ですが、この it は、「状況」を漠然と指している感覚でしょう。
like it better before は「前の方がより好きだった」ということになるでしょうか。その後の、It was better. も、過去のその時の「状況」を指していると思われ、「あの時の方が、より良かった」ということになるでしょう。

つまり、レイチェルのこのセリフは、「フィービーが真実を教えてくれて良かった」と客観的に自分に言い聞かせながらも、でも知らなかった時の状況(it before)が、like better 「(知った後の今の状況)より好きである」→「前の知らなかった時の方が良かった」と自分の正直な気持ちを主観的に述べていることになると考えられます。

それぞれ何を比較しているかと言うと、
パウロがフィービーに手を出したことについては、知らないよりも知る方が良かった、知って良かった、教えてくれて良かった。
ただ、状況としては、知ってしまった今よりも、知らなかった昔の方が良かった、幸せだった。
ということになります。


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posted by Rach at 18:43| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年01月29日

フーズボール・テーブル フレンズ1-12改その12

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14:13
[Scene: guys' apartment. Ross, Chandler, Joey, and Monica admiring a new table]
シーン:男性陣のアパートメント。新しいテーブルに見とれているロス、チャンドラー、ジョーイ、モニカ。
チャンドラー: So what do you think? (それで、どう思う?)
ロス: I think It's the most beautiful table I've ever seen. (今まで見てきた中で、最も美しいテーブルだと思うよ。)
チャンドラー: I know. (そうだろ。)
画面にフーズボールテーブルが映る。チャンドラーがテーブルを叩く。
モニカ: So how does this work, you going to balance the plates on these little guys' heads? (それでこのテーブルはどうやって(テーブルとして)機能するの? お皿をこの小さな男たちの頭に載せてバランスを取るつもり?)
ジョーイ: Who cares? We'll eat at the sink. Come on. ((そんなこと)構うもんか。俺たちはシンク[流し]で食うよ。さあ(ゲームを)やるぞ。)
モニカ: Heads up, Ross. [Monica scores on Chandler and Joey] Score! [points at Chandler] You suck! (注意[用心]して、ロス。[モニカはチャンドラーとジョーイ相手に点を決める] 点決まった! [チャンドラーを指さして] あんた下手ね!)
[Chandler looks at Joey in amazement]
チャンドラーは驚いた顔でジョーイを見る。

I think It's the most beautiful table I've ever seen. は 「今まで見た中で最も美しいテーブルだと思うよ」。
前回の記事で解説したレイチェルのセリフ、These are the best oatmeal raisin cookies I've ever had. 「これは私が今まで食べた中で、最高のオートミール・レーズン・クッキーよ」と同じ構文で、「最上級+経験を表す現在完了形」の組み合わせです。

この後、画面にテーブルが映りますが、そこで4人が眺めていたのはフーズボール・テーブルだとわかります。
そのフーズボール・テーブルについて、英英辞典では以下のように説明されています。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
Foosball [noun, uncountable] trademark :
a game played on a special table, in which two players move rods with small figures of soccer players on them, in order to hit a ball toward a hole at the end of the table.

つまり「(商標) 特別なテーブルの上でプレイされるゲーム、そのゲームの中では、テーブルの端の穴に向けてボールを打つ(蹴る)ために、サッカー選手の小さな人形がくっついている棒を二人のプレイヤーが動かす」。

Macmillan Dictionary では、
table football [noun, uncountable] or table soccer or foosball (American) :
a game based on football, played on a table with models of football players that are attached to rods. You move the rods to make the players hit the ball.

つまり「テーブル・フットボールまたはテーブル・サッカーまたはフーズボール(米語):フットボール(サッカー)に基づいたゲームで、棒に取り付けられたサッカー選手の模型のあるテーブルでプレイされる。人は、その選手たちがボールを打つ(蹴る)ように棒を動かす」。

この後、実際にそのフーズボールを使ってフレンズたちが遊ぶことになりますが、まさにこの英英辞典の解説の通りだということがわかります。
棒を動かすことで人形にボールを蹴らせてゴールさせるというゲームだということです。

So how does this work? は「それで、これ(このテーブル)はどうやって・どのように機能するの?」。
work は「目的どおりに正常に機能する・使える」で、こんなゲーム台がどうやってテーブルとして機能するの? ということ。
人形の頭の上にうまくバランスを取りながら食器を置くつもり? と聞きますが、ジョーイは、Who cares? と答えます。

Who cares? は、「誰が気にする・構うものか」→「誰も気にしない」→「知ったことか、構うもんか」という反語表現。
日本語でも「誰が気にするって言うんだ?」と言った場合、同じようなニュアンスがありますが「誰が〜だ?」という疑問文は、「誰も〜ないんだ」という否定の結論を導き出させる効果がある、ということです。

at the sink の at は場所を表す前置詞で、「シンク(台所の流し、流し台)で、シンクのところで」というニュアンス。

先ほどご紹介した英英辞典の foosball の語義の中で、何度も table という単語が使われていることから、やはりこれはテーブルということになるのでしょうが、ジョーイたちはこの新しいテーブルにはもはや食卓としての機能を求めていないことがわかります。
今回のエピソードではテーブル選びが難航していましたが、二人の意見が一致したのがこのテーブルだった、というオチですね。

Heads up. は「注意・用心して」という意味。
LAAD では、
heads up! : used to warn people that something is falling from above, or that something is being thrown to them
つまり「何かが上から落ちてくる、または何かが人々に向かって投げられているということをその人々に警告するために使われる」。

head 「頭」+up 「上」と叫んでいるわけですから、頭上に落ちてくるものに気をつけろという意味であることは納得しやすいでしょう。
「頭上に気をつけて」という意味から、頭上に限らず何かが飛んでくることに対する注意を喚起する意味でも使われ、今回の場合は、同じチームであるロスに対してモニカが言っていることを考えると、「チャンドラーとジョーイの攻撃に気をつけて」というニュアンスで使っていると思われます。

Score! は文字通り「スコア・得点(を決めた)!」ということ。
You suck! の suck はフレンズでよく登場する俗語で「最低だ、ひどい」という意味の自動詞。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
suck : BE BAD [intransitive] (spoken, informal) to be very bad
例) The food there sucks.

つまり、「(口語、インフォーマル) 非常に悪いこと」。例文は「あそこの食べ物は最低だ」。

「点決まったー! あんたたち下手ね!」と、自分が得点したことを得意げに言ったセリフになります。


14:34
[Scene: girls' apartment]
シーン:女性陣のアパートメント。
フィービー: Are you okay? (大丈夫?)
レイチェル: I need some milk. (ミルクが欲しいわ。)
フィービー: Okay, I've got milk. [takes thermos from her bag] Here you go. [Rachel drinks straight from thermos. Rachel finishes thermos] Better? (オッケー、ミルクあるわよ。[バッグからサーモス(魔法瓶)を取り出して(サーモスの蓋を開け、カップをレイチェルに差し出す)] さあどうぞ。[レイチェルは(フィービーの出したカップを受け取らず)サーモスから直接飲む。レイチェルはサーモスを飲み干す] (気分)良くなった?)
レイチェル: No. Oh! I feel so stupid! Oh, I think about the other day with you guys, you know. And I was all, "Oh, Paolo! He's so great! He makes me feel so--" Ugh! God. I'm so embarrassed! (いいえ。あぁ! 私ってすっごくバカみたい! あぁ、あなたたちと一緒にいたあの日のことを考えると、ほら。私はすっかりこんな感じだったわ。『あぁ、パウロ! 彼ってすっごく素敵! 彼のおかげで私はとっても…な気持ちになるの…』 あぁ、なんてこと! 私はすっごく恥ずかしいわ! [キッチンのペーパータオルをぐるぐる引っ張る])
フィービー: I'm so embarrassed. I'm the one he hit on. (恥ずかしいのは私よ。彼がモーションかけた人間は私なのよ。)
レイチェル: Pheobe, I unleashed him on you. If I'd never met him, this would've never happend to you. (フィービー、私が彼をあなたに解き放ったのよ。もし私が彼と出会っていなかったら、あなたにこんなことは決して起こらなかったでしょうに。)

パウロがフィービーにモーションをかけてきたと聞いて、レイチェルは呆然としています。
ミルクが欲しいと言うレイチェルに、フィービーは I've got milk. と言って、バッグからサーモス(魔法瓶)を取り出します。
I've got = I have got は「getした」という get の現在完了形の形をしていますが、アメリカ英語では have got = have の意味でよく使われます。
この場合も「ミルクを持ってるわ。ミルクがあるわ」という have の意味で理解すればよいでしょう。

ちなみに、このミルクについては過去記事、フレンズ1-12その4 のコメント欄 で貴重なご意見をいただいたことがありました。
要約させていただくと、
・アメリカでは、興奮気味の人に対して(ぬるめの)ミルクで落ち着かせるという習慣がある。
・パウロの話を暴露したらレイチェルが動揺すると考え、クッキーとミルクを用意していたフィービーの準備万端さが笑いのポイント。
ということでした。
「魔法瓶に入れたミルク」すなわち「ホットミルク」を持参していたのはそういう習慣に絡めた笑いに繋がっていたということですね。

And I was all, “Oh, Paolo! He’s so great! ...” は 「私はすっかりこんな感じだったわ。『あぁ、パウロ! 彼ってすっごく素敵!・・・』」。
I was all ... は「私はすっかり…という感じだった」というニュアンス。

友達のフィービーにもちょっかいをかけて来たようなパウロについて「彼って素敵!」とのぼせあがっていたことを恥ずかしいと語るレイチェルに対し、フィービーも同じフレーズ I'm so embarrassed. を使って返しています。
フィービーの方は主語の I を強めに言っており、このような場合には「恥ずかしいのはあなたじゃなく私の方よ」というニュアンスが出ます。
hit on は「モーションをかける、ナンパする、言い寄る、口説く」なので、I'm the one he hit on. は「私は彼(パウロ)がモーションをかけた人間(相手)である」→「彼がモーションをかけた相手は私よ」ということ。

その次のレイチェルのセリフ、Pheobe, I unleashed him on you. について。
この部分の音声はやや聞き取りにくく、メディアによって英語字幕に違いがありました。

DVD: I pushed him on you.
Blu-ray : I unleashed him on you.
Netflix : I unleashed him on you.

このような字幕表記の違いがあることを踏まえて、再度、音声を聞き直してみると、
I unleashed him on you.
と言っているように感じました。
また、メディアの新旧を考えると DVD→Blu-ray→Netflix という順序なので、後発の Blu-ray と Netflix の字幕表記の方が正しいと考えるのが自然でしょう。

仮にそれぞれの和訳をつけるとすると、
DVD: I pushed him on you. (私があなたに彼を押し付けた。)
Blu-ray : I unleashed him on you. (私があなたに彼を解き放った。)
となります。
レイチェルはパウロとラブラブだったので「フィービーに押し付けた」ということはありませんから、「解き放った」と表現したと考える方が、話の流れ的にも正解だろうと思います。

If I'd never met him, this would've never happend to you. は典型的な仮定法過去完了の文で「もし私が彼と出会っていなかったら、あなたにこんなことは決して起こらなかったでしょうに」。
「私とパウロが出会ったという過去の事実がなければ、パウロがフィービーにちょっかいをかけてフィービーが不愉快な思いをするということも起らなかったのに」と言っていることになります。


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2022年12月26日

make a pass at someone フレンズ1-12改その11

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12:40
[Scene: girls' apartment. Rachel folding and packing clothes in suitcases. Phoebe enters]
シーン:女子のアパートメント。レイチェルは服を畳んでスーツケースに詰めている。フィービーが入ってくる。
フィービー: Hey! (はーい!)
レイチェル: Hi, Pheebs. (はーい、フィーブス。)
フィービー: Are you moving out? (あなた、引っ越すの?)
レイチェル: No, these aren't all my suitcases. [picks up small blue suitcase and shows to Phoebe] This one's Paolo's. (いいえ、これは全部が私のスーツケースってわけじゃないの。[小さな青いスーツケースを持ち上げて、フィービーに見せる] このスーツケースはパウロのものよ。)
フィービー: Um, um, Rachel, can we talk for a sec? (あー、レイチェル、少し話せる?)
レイチェル: Well, sure. Just a sec, though, 'cause Paolo's on his way over. (そうね、いいわよ。でも少しだけね、だってパウロがこっちに向かってるところだから。)
フィービー: Oh! [sits down] Ok, um, ok, um. (あぁ! [座る] よし、あの、いいわ、あのね。)
レイチェル: Oh, Pheebs, Pheebs... (あぁ、フィーブス、フィーブス…… [手をぐるぐるして急ぐようにせかす])
フィービー: Ok, um, [clears throat] we haven't known each other for that long a time, and, um, there are three things that you should know about me. One, my friends are the most important thing in my life. Two, I never lie. And three, I make the best oatmeal raisin cookies in the world. [Phoebe opens a tin and offers Rachel a cookie] (いいわ、あの、[咳払いをする] 私たちはそんなに長くお互いを知ってるわけじゃないけど、私についてあなたが知っておくべきことが三つあるの。一つ、私の人生において友達は一番大切なもの。二つ、私は決して嘘をつかない。そして三つ、私は世界で最高のオートミール・レーズン・クッキーを作るの。[フィービーは缶を開け、レイチェルにクッキーを勧める])
レイチェル: [taking cookie] Ok, thanks, Pheebs. [takes bite of cookie, overwhelmed] Oh, my God. ([クッキーを手に取る]オッケー、ありがとう、フィーブス。[クッキーを一口食べて、圧倒される] あぁ、もう。)
フィービー: I know. (でしょ。)
レイチェル: Why have I never tasted these before? (どうして今までこのクッキーを私が味わうことがなかったの?[どうして今までこれを食べさせてもらえなかったの?])
フィービー: Oh, I don't make them a lot, because I don't think it's fair to the other cookies. (あぁ、そのクッキーはあまり作らないの、だって他のクッキーに不公平だと思うから。)
レイチェル: All right, well, you're right. These are the best oatmeal raisin cookies I've ever had. (いいわ、そうね、あなたは正しい。これは私が今まで食べた中で、最高のオートミール・レーズン・クッキーよ。)
フィービー: Which proves that I never lie. (それで私は嘘をつかないことが証明されるわよね。)
レイチェル: I guess you don't. (あなたは嘘はつかないと思うわ。)
フィービー: Paolo made a pass at me. (パウロが私にちょっかい(モーション)をかけてきたの。)
[Rachel looks stunned]
レイチェルは衝撃を受けた顔をする。

move out を直訳すると「外に動く」ということですが、このフレーズはもっぱら「引っ越す、引っ越して(ここを)出ていく」という意味で使われます。
レイチェルが大量の服を荷造りしている様子を見て、「まるで引っ越しでもするかのような大量の荷物ね」と言ったことになるでしょう。

それに対するレイチェルの返事、No, these aren't all my suitcases. について。
この英語のセリフは、DVDやBlu-rayでは、No, these aren't all of my suitcases. と表記されていたのですが、Netflix では、No, these aren't all my suitcases. と表記されていました。
(残念ながら、2022年10月31日に Netflix で「フレンズ」が配信終了してしまいましたが、、、泣)
「all の後に of があるかないか」の違いですが、実際の音声を聞くと、of のない all my suitcases が正しいように思います(つまり、Netflix の字幕の方が正しいと思われる、ということ)。
カタカナで書くと、もし of が入っているなら「オーロブ・マイ・スーツケイシズ」になるところですが、実際の発音は「オー・マイ・スーツケイシズ」という感じに聞こえるので、of はないと判断できると思うわけです。

of のありなしで和訳を考えてみると、

(1) of ありの場合
these aren't all of my suitcases. 「これらは私のスーツケースのすべて(全部)ではない」(これら≠(ノットイコール)私のスーツケースすべて)→「私のスーツケースは他にもある」

(2) of なしの場合
These aren't all my suitcases. 「これらはすべて私のスーツケースというわけではない」(not all 「すべてが〜というわけではない」という部分否定)→「私以外の人のスーツケースも含まれている」
という意味になると考えられます。

of なしの場合については、この all を名詞にかかる形容詞「すべての」という意味に捉えれば、all of my suitcases 「私のスーツケースのすべて」に近い意味の all my suitcases 「すべての私のスーツケース」という意味に解釈することも可能ですが、上に書いた (2) の解釈では、この all を副詞として捉え、aren't all は「すべて〜というわけではない」という部分否定だと解釈し、These are my suitcases. 「これらは私のスーツケースである」という文を部分否定した形の「すべてがそうだというわけではない」という意味だと考えたわけです。

実際、この後のレイチェルのセリフで、小さな青いスーツケースを見せて「このスーツケースはパウロのもの」と言っていますので、そのセリフの流れを考えても、「これらはすべて私のスーツケースというわけではない」という部分否定(of がないセリフ)だと判断できると思いました。

フィービー:引っ越しするみたいな大荷物ね。
レイチェル:全部が私の荷物ってわけじゃないわ。これはパウロの荷物だし。
と言って見せたのが小さめのバッグだったので、「否定してたけど、やっぱりこの大荷物のほとんどはレイチェルのものじゃないか」とツッコミたくなるようなオチだということでしょう。

can we talk for a sec? の sec は second 「秒」の略。
for a sec 「1秒間」で、「ちょっと、少し」という短い時間を表します。

Paolo's on his way over の on one's way over は「こちらに向かっている」。
よく使われる表現 on one's way home だと「家に帰る途中で、帰り道に」。
over は「越えて、向こうへ」という意味でよく使われますが、今回の over は「こちら側へ、話し手の方・家に」という意味で使われています。

このような over について、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
over : to, from, or in a particular place
例1) Come over here (= in or to the place where you are, from somewhere else)!
例2) Let's go over there (= in or to another place) and see what's happening.

つまり、「ある場所へ、ある場所から、ある場所(の中)で」。例文1は「こっちに来いよ!(自分がいるところに・ところへ、別の場所から)」。例文2は「向こうへ行こう、そして何が起こってるか見てみよう(別の場所に・場所へ)」。

over here 「こちらへ」、over there 「あちらへ」とどちらの方向にも over が使えるということです。

フィービーはレイチェルに話をしようとしますが、言いよどんで切り出すことができません。
荷造り中のレイチェルにせかされ、フィービーはようやく話し始めます。
we haven't known each other for that long a time は、not that 「そんなに〜ではない」の形が使われています。
we haven't known each other 「私たちはお互いを知らなかった」というように know を否定しているのではなく、「お互いを知っているのはそんなに長い間ってわけではない」というように long を否定していることになります。

「まだそんなに長い付き合いってほどじゃないけど、私についてこの3点だけは知っておいてほしいの」と話を始めたフィービーは、1. 友達が一番大切、2. 私は決して嘘をつかない、3. 私は世界最高のオートミール・レーズン・クッキーを作る、と語ります。
2番目の I never lie. は「決して〜しない」という強い否定語 never を使った現在形で、「私は決して嘘はつかない」という自分の習性や性格を語っていることになります。

フィービーが持参した缶に入っていたクッキーを一口食べたレイチェルは、表情と口調でそのおいしさに感動した様子を表現しています。
Why have I never tasted these before? を直訳すると「どうして私はこれまで、この(おいしい)クッキーを味わったことが一度もなかったの?」。
つまり「どうして今までこれを一度も食べたことがないの? どうして今まで作ってくれなかったの?」と言っていることになるでしょう。

I don't make them a lot, because I don't think it's fair to the other cookies. は 「そのクッキーはあまり作らないの。だって、他のクッキーに対して不公平だと思うから」。
私の作るクッキーはものすごくおいしいから、あんまりしょちゅう作ると、他のクッキーに悪いもの、という意味でしょう。
「他のクッキーに対して不公平だと思う」をそのまま英語にしようとすると、I think it's unfair to the other cookies. になりそうなところですが、英語では否定語はできるだけ前に来る傾向があるので、I think it's not fair や、I think it's unfair ではなくて、I don't think it's fair という形になるということです。
ですから、I don't think it's fair to the other cookies. を和訳する場合も、「他のクッキーに対して、公平(フェアー)だとは思わない」みたいに訳すのではなく、「不公平だと思う」のように訳した方が自然な日本語になるでしょう。

These are the best oatmeal raisin cookies I've ever had. は 「これは、今まで食べた中で、最高のオートミール・レーズン・クッキーよ」。
最上級と、経験を表す現在完了形との組み合わせで、このような「今まで〜した中で最高に・最高の…」という表現は会話でよく登場します。

Which proves that I never lie. は「そのことが、私は嘘をつかない、ということを証明する」。
その前にレイチェルが言ったこと、最高のクッキーだとレイチェルが認めたことが、私が嘘をつかないってことの証明になるでしょ、と言っています。
which は前の文、この場合は、直前のレイチェルのセリフ全体を指しています。
フィービーが語った3番目の「最高のクッキー」が真実であるとわかったので、2番目の「私は嘘をつかない」ということが真実だと証明されるということです。
I guess you don't. は I guess you don't lie. の lie が省略された形。

make a pass at は 「言い寄る、口説く、(性的な)ちょっかい・モーションをかける」。
過去記事、口説く、ちょっかいをかける フレンズ1-12改その8 で、セントラルパークにいる(レイチェル以外の)フレンズたちに、
フィービー: Well, he made a move on me. (その……彼(パウロ)が私にちょっかいをかけてきたの。)
と言っていたことがありましたが、その make a move on と、今回の make a pass at は似た表現になります。

LAAD では、
pass [noun] : an attempt to kiss or touch another person with the intention of starting a sexual relationship with them
例)Her boss made a pass at her.

つまり、名詞 pass は「ある人と性的な関係を始めたいという意図を持って、その人にキスやタッチをしようと試みること」。例文は「彼女のボスは彼女にモーションをかけてきた」。

Macmillan Dictionary では、
make a pass at someone :
to try to start a sexual relationship with someone, for example by talking to them or touching them in a sexual way

つまり、「誰かと性的な関係を始めようとすること、例えばその人に話しかけたり、性的な感じでその人にタッチしたりすることで」。

どちらの語義にも「性的な関係を始めようとしてタッチする(など)」とあるように、そういう下心を持ってお触りしてくることを指しており、マッサージ中にフィービーの脚やお尻を触ってきたパウロの行為にぴったりの表現だと言えるでしょう。


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