2022年09月04日

could have+過去分詞 フレンズ1-12改その9

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0:10:48
モニカ: What happened? (何があったの?)
フィービー: He came in for a massage... and everything was fine until... (彼(パウロ)がマッサージのために(部屋に)入ってきて…それで、すべては順調だったのよ、その時までは…)
マッサージ中にフィービーの脚(太もも)を触っているパウロの映像。
ジョーイ&チャンドラー: Whoa! (おー!)
ロス: Oh, my God. (なんてこった。)
モニカ: Are you sure? (確かなの?)
[Flashback: Paolo, lying on massage table, grabs Phoebe's butt]
フラッシュバック:マッサージ台に寝ているパウロがフィービーのお尻を掴む。
フィービー: Oh, yeah, I'm sure. [Flashback resumes while Phoebe does voice-over] And all of a sudden, his hands weren't the problem anymore. [Flashback continues: Paolo rolls over, Phoebe looks down, then quickly looks up, bites lip, shakes her head] (ええ、確かよ。[フィービーの声がボイスオーバーしながら、フラッシュバック映像が再開する] それから突然、彼の手はもう問題ではなくなってたの。[フラッシュバックが続く:パウロは寝返り[うつぶせから向きを変え]、フィービーは視線を下にやる、それから急いで視線を上に向ける、唇を噛んで、頭を振る])
モニカ: Was it...? (それが…だったの?)
フィービー: Oh, boy scouts could've camped under there. (ボーイスカウトがその下でキャンプできたでしょうね[できそう(なくらい)だったわ]。)
男性陣: Ooh. (ウー。)
[Rachel runs over]
レイチェルが走ってくる。
レイチェル: "Ooh," what?(ウー、何?)
フィービー: --ma (Uma) Thurman. ((ウー)マ・サーマン。)
モニカ: Oh! (あぁ!)
ロス: The actress! (あの女優!)
みんな: Uma Thurman! (ウーマ[ユマ]・サーマン!)
[all talking indistinctly, high-fiving]
みんなは何やら(不明瞭に)話し、ハイ・ファイブする。
ロス: Thanks, Rach. (ありがとう、レイチ。)
[Rachel walks away]
レイチェルは歩き去る。
チャンドラー: So what are you gonna do? (それでフィービーはどうするつもりだ?)
ロス: You have to tell her. You have to tell her! It's your moral obligation as a friend, as a woman. I think it's a feminist issue. Guys? Guys? [waiting for guys to chime in] (レイチェルに言わなきゃだめだよ。彼女に言わなきゃ! 道徳的責務だよ、友達として、女性としての。フェミニスト問題だと思う。(そうだろ?) 男性陣? 男性陣? [男性陣が同意するのを待ちながら])
チャンドラー: Oh, yeah. You have to tell her. (あぁ、そうだ。彼女に言わなきゃだめだ。)
ジョーイ: Feminist issue? That's where I went. (フェミニスト・イシュー? そこ、俺が行った場所だ[そこに俺、行ったよ]。)
フィービー: She is gonna hate me! (レイチェルに憎まれちゃうわ!)
ロス: [sympathetic yet...] Yeah, well. ([同情的なようだが…] そうだね、まあ。)

前回解説したシーンで、「(レイチェルの恋人である)パウロが私にちょっかいをかけてきた」とフィービーが言い、その後の話を(レイチェル以外の)フレンズたちが聞いているところ。
He came in for a massage... and everything was fine until... を聞こえた通りにイメージすると「彼(パウロ)はマッサージのために部屋に入ってきた…そしてすべては順調だった、〜までは」となるでしょう。
「〜までは順調だった・問題なかった」という話の流れから、until の後に何かしらの問題が語られることが想像できます。
until の後、フィービーはその場にいるフレンズたちに対して、口頭で状況を説明したでしょうが、画面ではその時の様子を映像で見せる形のフラッシュバック形式をとっています。
映像の通り、まずはフィービーの脚(太もも)をお触りしてきたパウロですが、モニカが「確かなの?」と尋ねた後、フラッシュバック映像が再開し、今度はお尻をぐっと掴む様子が映ります。
脚に触れた程度ではなく、お尻をぐっと掴まれたんだから私の勘違いなんかじゃない、というところですが、Oh yeah, I'm sure. 「ええ、確かよ(間違いないわ)」と言いながら、何だかちょっと嬉しそうに一瞬笑顔を見せるのにも笑えます。

And all of a sudden, his hands weren't the problem anymore. は「それから突然、彼の手はもう問題ではなくなっていた」。
私の脚やお尻を触ってきたという「手」はもはや問題ではなくなってた、ということから、問題はお触りだけではなかったことが察せられます。
お触り以上の問題については、その後のフラッシュバック映像でフィービーが見た視線の先に問題があったことがわかりますが、それをフィービーは、boy scouts ... と表現しています。
Boy scouts could've camped under there. は「ボーイスカウトがその下でキャンプできたでしょう[できそう(なくらい)だった]」。
camp はここでは動詞で「キャンプする、テントを張る、野営・野宿する」。
could have+過去分詞は「(もし〜だったら)…できただろう(に)」というニュアンス。
「やろうと思えば、ボーイスカウトがその下でキャンプができたでしょうね、キャンプできそうなくらい[ほど]だった」ということで、ボーイスカウトがキャンプをするために立てるテントのように、パウロの大事な部分を覆ったタオルが、その部分だけ大きく盛り上がっていたことを示唆しています。
日本語でも「ズボンにテントを張る」のような表現があったりするので、「テント」のことだとわかればイメージも湧きやすいでしょう。
フィービーのお尻を触ったのはアクシデントや偶然ではなく、パウロはフィービーを誘う気満々だった、ということがわかるということです。

フィービーのその表現を聞いて男性陣が Ooh. 「ウー」と言ったのを聞いて、その場にはいなかったレイチェルが寄ってきて、"Ooh," what? 「ウー、って何?」と尋ねます。
レイチェルの恋人パウロがフィービーを誘おうとしていたとも言えず、フィービーはとっさに、「ウー」に続ける形で、--ma Thurman. と答えます。
Uma Thurman は「ユマ・サーマン」。「パルプ・フィクション」「キル・ビル」などで有名なアメリカの女優さん。
日本では「ユマ」と表記されていますが、実際の英語の発音は「ウーマ」が近いです。
「ウー」と言っていた会話の内容をごまかそうと、ウーのつくものを探し、ちょうどウーで始まる、「ウーマ・サーマン」の名前を出した、という流れです。
名前の読みを「ユマ・サーマン」だと思っている日本人には、ちょっとわかりにくいジョークだったかもしれません。

レイチェルが去り、ロスは「フィービーはそのことをレイチェルに言わなきゃだめだ」と強く主張しています。
moral obligation は「道徳的義務・責任」。
issue は「問題(点)、争点、論点」。

feminist は「男女同権主義者」。
少し前の日本では「女性に甘い、女性に優しい男性」という意味でフェミニストという言葉が使われていたような気がしますが、英語の feminist にはそういう意味はありません。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
feminist : someone who supports the idea that women should have the same rights and opportunities as men
つまり、「女性は男性と同じ権利と機会を持つべきだという考えを支持する人」。

マッサージという仕事中にエッチなモーションをかけるなんてことは、女性を性的対象としてしか見ていない、男女同権者にとっては大問題になるような行為だ、とロスは言おうとしていることになります。
レイチェルが好きなロスとしては、今回のパウロの行為が元で、レイチェルがパウロを嫌い別れたらいいと思っているのは明らかですが、そういう本音を隠すために「女性としてそんなことをされたら怒るべきだし、同じ女性であるレイチェルにそれを告げるべきだ」という男女同権論を建て前にしているということです。

ロスは「僕は男性としてそう進言する。他の男性陣もそう思うよな?」という感じで、一緒に聞いていたチャンドラーとジョーイに Guys? Guys? と同意の言葉を求めます。
チャンドラーは(いつものようにジョークにすることはなく)「フィービーはレイチェルに言うべきだ」と素直に同意し、その後でジョーイは Feminist issue? That's where I went. と続けます。

そのジョーイのセリフ、Feminist issue? That's where I went. について。
このセリフを直訳すると「フェミニスト問題? それは俺が行った場所だ」になるでしょうか。
That's the place where I went. のように「場所」を意味する先行詞が省略されていると考えればわかりやすいでしょう。
went、つまり原形だと go は、超基本単語なので、状況によってさまざまなニュアンスで使われることが可能で、漠然と「俺が行ったところ」と表現することで「俺もそれ(そういう問題)を経験した(ことがある)」のような意味で使っているという可能性もなくはない、とも思います、、が、この時のロスの反応を見ていると、ジョーイがトンチンカンなことを言っている描写に私には思えました。

ジョーイがちょっと得意げにそう言った後、ロスはジョーイの方を見ながら、一瞬固まり、軽くうなずいてから、まあいいやというような顔で、フィービーの方にまた顔を向けている、、という流れになっていると私には見えたので、ロスが期待した答えではなかった、ピント外れの答えだったので、もういいや、という感じでジョーイの答えをスルーする感じでフィービーとの会話に戻った感じがしたわけです。

、、ということで、私も確信があるわけではないのですが、この Feminist issue? That's where I went. というのは直訳通りの「フェミニスト・イシュー? そこ、俺が行った場所だ」という意味だったように思います。
相手が言った言葉に対して、「なにそれ? おいしいの?」と言ったら、「それを食べ物と勘違いしている→それが何なのか全くわかってない」ことを示すという会話のお約束みたいなものがありますが、今回のジョーイのセリフも「聞き慣れない難しい言葉を、どこかの店か何かの場所だと勘違いしたことを示した」という気がしたということです。

ジョーイのこの発言の後、大爆笑という感じではないですが、観客からはラフトラック(笑い声)が起こっています。
この状況で笑い声が起こる、つまりジョークであるとすると、「ジョーイがその言葉の意味を勘違いしている」と考えるのが一番自然だろうと。
また、先ほどの解説で
チャンドラーは(いつものようにジョークにすることはなく)「フィービーはレイチェルに言うべきだ」と素直に同意し、
と書きましたが、チャンドラーが何のひねりもない(ごめん)返しをしたということは、その後のジョーイの部分にジョークのオチがあるからではないかとも思いました。
大爆笑ではないので、そんなに見事なオチでも面白いオチでもないという気はするのですが、「チャンドラーのセリフ(笑いなし)、ジョーイのセリフ(笑いあり)」という流れからもジョーイのセリフはジョークのオチであり、フェミニスト問題に興味なさそうなプレイボーイのジョーイが言うオチのセリフとしては、「別のものと勘違いしている」と解釈するのが一番妥当だと思ったということです。

(長くなりましたが、フィービーのセリフに戻ります。)
フィービーは「(パウロのことを話したら)レイチェルは私を嫌いになるわ、憎むわ」と言います。
それに対してロスは Yeah, well. と言っていますが、その言い方と表情から「そうだけど、それがどうしたの? まあしょうがないよね」というニュアンスが感じられる気がします。


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posted by Rach at 17:14| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年07月30日

口説く、ちょっかいをかける フレンズ1-12改その8

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10:05
[Phoebe enters]
フィービーが入ってくる。
ジョーイ&チャンドラー: Hey Phoebe! (やあ、フィービー!)
ロス: Hi, Pheebs! (はーい、フィーブス!)
レイチェル: Pheebs! (フィーブス!)
フィービー: Fine! (いいわ[結構よ]!)
モニカ: Phoebe, what's the matter? (フィービー、どうしたの?)
フィービー: Nothing! I'm sorry. I'm just, I'm out of sorts. (何もないわ! ごめんね。私はただ、イライラしてるのよ。)
客: Hey, can we get some cappuccino over here? (ねぇ、こっちにカプチーノをもらえる?)
レイチェル: Oh, right! That's me! (あぁ、そうね! 今のって私(のこと)だわ!)
ジョーイ: Hey, Chandler, that table place closes at 7. Come on. (なぁ、チャンドラー、あのテーブル屋は7時に閉まるんだ。行くぞ。)
チャンドラー: Fine. [Joey and Chandler walk towards the door] (わかったよ。[ジョーイとチャンドラーはドアに向かって歩く])
モニカ: Phoebe, what is it? (フィービー、何なの?)
フィービー: All right, you know Paolo? (いいわ、パウロ、知ってるでしょ?)
ロス: I'm familiar with his work, yes. (やつのやり口はよく知ってるよ、ああ。)
フィービー: Well, he made a move on me. (その……彼が私にちょっかいをかけてきたの。)
[Joey and Chandler come back]
ジョーイとチャンドラーが引き返してくる。
ジョーイ: Whoa, store will be open tomorrow. (ほら、店は明日(も)開いてるし。)
チャンドラー: More coffee over here, please? (こっちにさらにコーヒーを頼むよ。)

セントラルパークにフィービーが入ってきて、みんなが口々にフィービーに挨拶しますが、フィービーは怒ったような口調で Fine! と言ってソファに座ります。
fine は、How are you? I'm fine, thank you. という挨拶の例で学ぶように、「元気で」という意味があり、「素晴らしい、結構な」という意味もありますが、怒っている時に不満な気持ちを表現するのに使うこともできます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
fine [adjective] : ANGRY used when you are angry because you really think that something is not good or satisfactory at all
例)Fine, then, I'll do it myself.

つまり「(怒っている)何かが良くない、または全く満足できないと自分が本当に思っていて怒っている時に使われる」。例文は「いいわ、それなら、私が自分でするわ。」

日本語の場合でも「いい、結構」という良い意味の言葉を「いいわ、結構よ」と怒った調子で言えば不満の気持ちが表現できますので、日英同じ感覚だと言えるでしょう。

表情が硬く様子がおかしいフィービーを見て、モニカは what's the matter? 「どうしたの?」と問いかけます。
I'm out of sorts. の be out of sorts は「イライラしている、不機嫌である」という意味。
LAAD では、
out of sorts : feeling a little upset, annoyed, or sick
例)Mandy's been out of sorts all week.

つまり「少し、動揺、イライラ、うんざりした気持ちでいる」。例文は「マンディは1週間ずっとイライラしている」。

そんな話をしていると、離れた席にいる客が Hey, can we get some cappuccino over here? 「ねぇ、こっちにカプチーノをもらえる?」と言います。
その発言の後、1秒くらい経ってから、それってウェイトレスの私に言ってたんだ、と気づくレイチェルも面白いです。

That table place は「テーブルを売ってるあの店」みたいな感覚で、あえて shop などと言わずに、漠然と place という言葉を使っています。
具体的な施設の名前(shop, restaurant など)を言わずに、「どこかの場所」を指す場合に使える便利な表現で、日本語で言うと「場所、ところ」というニュアンス。
所有格をつけると「誰それの家、住まい、部屋」という意味になり、my place なら「うち、俺んとこ、私ん家(ち)」という感覚。

7時に閉まる、と言われた後、また Fine. という言葉が登場していますが、チャンドラーがため息と共に嫌そうな感じで言っていることから、今回もどちらかと言うと不満なニュアンスが感じられます。
「よーし、OK!」という前向きな返事というよりは「わかったよ、しゃーねーな」という感覚が近いでしょう。

I'm familiar with his work の work は「行為、やり方、やり口、手並み」のようなニュアンスで考えるとよいでしょう。
be familiar with は「(〜の様子)をよく知っている」。
you know Paolo? のように know という動詞を使ったフィービーに対して、同じように「知っている」ことを意味する形容詞 familiar を使って返したことになります。
「やつのやり口をよく知ってる」のように表現することで、パウロのやることなすことが気に入らない様子が伝わります。

make a move on ... は「…をナンパする、口説く、ちょっかいをかける」。
LAAD では、
put/make a move on somebody : (informal) to try to start sexual activity or a sexual relationship with someone
つまり「(インフォーマル)誰かと性的行動や性的関係を始めようとすること」。

テーブルを買いに行こうと出口に向かっていたジョーイとチャンドラーが、move という言葉を聞いて戻ってくるのも面白いです。
More coffee over here, please? とコーヒーを頼んでいることで、席についてしっかり話を聞こうじゃないかと思っている様子も伺えます。

なお、今回のシーンでは、店が開く・閉まるという話で、open/close の単語が以下のように登場していました。
that table place closes at 7 「あのテーブル屋は7時に閉まる」
store will be open tomorrow 「店は明日(も)開いてる」

上の文は「〇時に店が閉まる」つまり「閉店する」ということで、その場合は自動詞 close が使われます。
逆に「〇時に店が開く」という意味の「開店する」だと自動詞 open が使われます。

下の文は「店が(その時間)開いている・営業している、開店している」ということで、be open の open は「開いて(いる)」という形容詞。
逆に「店は(その時間)閉まっている・営業していない、閉店している」だと、be closed となります。

これが、be open に対して be close だったり、または、be opened / be closed のように、どちらも -ed のつく過去分詞形が使われたりするのであれば間違えにくいのですが、open は動詞「開く」、形容詞「開いている」という両方の意味があるため、be open でOKで、close の場合は形容詞で「閉まっている」という意味はないため、closed と -ed の形にしなければならないという点に注意しておきましょう。
つまり、対義語として見ると、
「開店する/閉店する」は open / close
「(店が)開いている/閉まっている」は open / closed
になるということです。


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posted by Rach at 17:09| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年06月15日

ブログ17周年

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2005年6月15日に開始したこのブログ、今日で17周年を迎えることができました。
17年間、このブログを続けることができましたのは、このブログを読んで下さり、応援し続けて下さった読者の皆様方のお蔭と心より感謝しております。
本当にありがとうございます<(_ _)>

今もブログランキングの上位にいさせていただけていることも大変ありがたく思っております。
ランキングクリックで応援して下さっている皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

ブログ16周年以降では、2021年7月16日に、KADOKAWA から『Avengers: Age of Ultronで英語が話せる本』を出版することができました。

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これで通算10冊の本を出させていただいたことになります。

ブログを始めた頃は、自分が本を出すことになるとは夢にも思いませんでしたし、1冊目の著書を出版できた時はそれが最初で最後だろうとも思っていました。
今こうして10冊の本を出すことができていて、しかも近年の本はどれも「ドラマや映画のセリフ」を例文として使う形式のものになっていること、本当に嬉しくありがたく思っています。

今日、BTSがグループ活動の休止を発表したニュースが話題になっています。
英語が流暢なBTSのリーダーRMさん(ナムさん)が「フレンズで英語を学んだ」と公言されているのは以前から有名な話でしたが、今年は例年以上にその話が話題になった気がします。
4月のグラミー賞で、司会トレバー・ノアさんがRMさんに "Did you really learn how to speak English from watching Friends?" 「フレンズを観ることで英語を学んだっていうのは本当?」と尋ねるシーンがあり、ノアさんとの会話の中でジョーイやチャンドラーの名前も出るなどして、フレンズファンの一人としてとても嬉しい気持ちで観ていました。
その会話の記憶も新しいうちに、6月1日には、ホワイトハウスに招かれ、バイデン大統領と対談。
ここでもRMさんは流暢な英語を披露されていて、「フレンズで英語を学んだ」という言葉の重みがさらに増した気がしました。

「フレンズ」はアメリカで1994年9月開始、2004年5月が最終回だったので、現在で開始から28年、終了からでも18年経っていますが、RMさんの発言が話題になることで、フレンズを観てみたいと思ってくれる方が増えるといいな♪と思っています。

動画配信サービスの発達のおかげで、ドラマや映画を観る環境はどんどん便利になっています。
昔の人気作品を見ることも容易になりましたし、海外ドラマや洋画で英語を学ぶ方がもっともっと増えて下さることを心から願っています。

ドラマや映画で生きた英語を学ぶ楽しさやその効果を一人でも多くの方に伝えることができるよう、これからも頑張ります!
ブログの読者の皆様、17年間本当にありがとうございました。
これからも引き続き、どうかよろしくお願いいたします。


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posted by Rach at 21:57| Comment(4) | 節目となる出来事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年06月09日

私が知らないわけにはいかない フレンズ1-12改その7

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8:31
フィービーが働いているマッサージ店。
ジャスミン: You've got a couple changes in your schedule. Your 4:00 herbal massage has been pushed back to 4:30. And Ms. Summerfield canceled her 5:30 shiatsu. Okay? (あなたの予定に少し変更があったわ。4時のハーブ・マッサージは4:30になった。それから、サマーフィールドさんは5:30の指圧をキャンセルした。オッケー?)
フィービー: Thanks. [Jasmine leaves, then walks back in] (ありがとう。[ジャスミンは去るが、その後、戻ってくる]
ジャスミン: Oh, here comes your 3:00. I don't mean to sound unprofessional, but-- Yum! [walks out, Paolo enters] (あぁ、あなたの3時(の予約の人)が来たわ。プロらしくないような発言をするつもりはないけど、でも…おいしそう!)[出ていくと、パウロが入ってくる]
パウロ: Buon Giorno, Bella Phoebe! (ボン・ジョルノ[こんにちは]、可愛いフィービー!)
フィービー: Oh, Paolo! Hi! What are you doing here? (まぁ、パウロ! はーい! ここで何してるの?)
パウロ: Uh, Racquela tell me you massage, eh? (あー、ラケレが僕に言う、君、マッサージする、そう?)
フィービー: Well, Racquela’s right, yeah! (えぇ、ラケレは正しいわ[ラケレの言う通りよ]、ええ!)
[Paolo speaks Italian]
パウロがイタリア語を話す。
フィービー: Oh, okay, I don't know what you just said, so let's just start. (あぁ、いいわ。あなたが今言ったことわからないから、(とにかく)始めましょう。)
パウロ: Uh, I am, uh, being naked? (あー、僕、裸になる?)
フィービー: Um, that's really your decision, I mean, some people prefer, you know, to take off...oh whoops! Being naked! (あー、それは本当にあなたが決めればいいの。ほら、その、服を脱ぐ方が好きな人もいるし…あらまあ! (もう)裸になってるのね!)

push back は「延期する」。「〜を後ろに押しやる、後退させる」という意味から、スケジュール・予定を延期する」という意味になります。
今回は予定が30分遅くなった、ということです。
shiatsu は日本語の「指圧」。
Wikipedia 英語版 : Shiatsu にも「指圧」という日本語表記が書いてあり、Tokujiro Namikoshi さんの名前も出ています。
「指圧の心は母心、押せば命の泉湧く。」で有名な浪越徳治郎さんについては、以下の日本語版ウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版 : 浪越徳治郎
指圧療法の創始者で、マリリン・モンローやモハメド・アリを指圧したこともあり、日本語版ウィキペディアにも、
国内外の著名人を治療したことにより、日本はもとより全世界に指圧(SHIATSU)を普及させた。
と説明されています。
今回のセリフのようにマッサージ店の会話でも shiatsu という単語が普通に使われており、世界に普及した言葉であることがよくわかります。
今回のエピソードでは hibachi(火鉢)、shiatsu(指圧)など、日本語が語源となっている単語が複数登場しているのも面白いところです。

here comes your 3:00. を直訳すると「あなたの3時がここに来た」というところ。
Here comes the sun. 「ほら、太陽が顔を出す」というような決まり文句と同様に、Here comes+主語. の語順になっています。
主語が「あなたの3時」となっていますが、状況から「あなたの3時の予約のお客さん」であるとわかります。

I don't mean to sound unprofessional, but は「プロではないように聞こえるような発言をするつもりはないけど」。
先にこれを言っておくことで、この後にプロらしくない・プロにはあるまじき発言が続くことが予期されます。

yum は yummy と同じで「おいしそう、おいしい」という意味。
プロのマッサージ師がお客を品定めするのはいけないことだってわかっているけれど、セクシーな人なの、と言いたい気持ちが出ており、彼女がおいしそうだと言ったのは、レイチェルもぞっこんになっているパウロであるとわかります。

なお、フィービーと話している女性のキャラクター名は Jasmine と言いますが、ジャスミンを演じているのは Cynthia Mann(シンシア・マン)という女優さんで、フレンズ1-1 で、セントラルパークのウェイトレス(The Waitress)として出演していました。
過去記事、そして俺は百万ドル欲しい フレンズ1-1改その5 でもそのことについて触れていますが、ウェディングドレス姿のレイチェルに、
ウェイトレス: Can I get you some coffee? (コーヒーいかがですか?)
と声を掛けた人でした。

部屋に入ってきたパウロは、イタリア語まじりのカタコトの英語で話しています。
bella はイタリア語で「美しい」という意味なので、知り合いであるフィービーに「きれいな/可愛いフィービー」と声を掛けた感覚になるのでしょう。
Rachel という名前をイタリア語風に Racquela と発音したパウロの発言を受けて、「(私がマッサージしてる[マッサージ店で働いてる]と言った)彼女の発言は正しいわ、その通りよ(She's right.)」という意味で、フィービーも Racquela’s right と返します。

ガウンを着ているパウロは裸になるのかどうかをフィービーに尋ねています。
some people prefer, you know, to take off は、you know が挿入されていますが、prefer to take off 「服を脱ぐ方が好き」ということ。
そんな話をしている間にパウロは勝手にガウンを脱いでしまい、フィービーはバスタオルで彼の下半身を隠すことになります。


9:34
[Scene: gang sitting at Central Perk]
シーン」フレンズたちがセントラルパークで座っている
レイチェル [to Ross]: I can't believe you don't want to know. I mean, I couldn't not know. I mean, if, if the doctor knows, and Carol knows, and Susan knows-- ([ロスに] 知りたくないなんて信じられないわ。だって、私が知らないなんてことはできない[知らないわけにはいかない]もの。ほら、もし、もしお医者さんが知ってて、キャロルが知ってて、スーザンが知ってるなら…)
モニカ: And Monica knows. (そしてモニカも知ってる(なら)。)
ロス: Wha, heh, how could you know? I don't even know! (わ、え? どうやってお前が知ったりできるんだよ? 僕すら知らないのに!)
モニカ: Carol called me to thank me for the lasagna, I asked. She told me. (キャロルがラザニアのお礼で私に電話してきて、私が尋ねたの。キャロルは私に言って[教えて]くれたわ。)
ジョーイ: So what's it gonna be? [Monica whispers in Joey's ear. Ross gets up and waves arms frantically in protest] (それで赤ちゃんの性別は何になるって? [モニカはジョーイの耳にささやく。ロスは立ち上がり、抗議のため必死に腕を振る])
ロス: Wait--oh--hey--huh? Oh, great! Now he knows and I don't know. (待って、あー、ちょっと、は? あぁ、最高だよ! これで彼(ジョーイ)が知って、僕は知らない(状態だ)。)
モニカ: I'm sorry. I'm just excited about being an aunt. (ごめんね。私はただ、叔母さんになるってことにワクワクしちゃって。)
ジョーイ: Or an uncle. (または、叔父さん(になるってことに)。)

会話が「あなたが知りたくないなんて信じられない」で始まっていて「何を」知りたくないのか具体的な言葉は出ていませんが、「キャロルのお腹にいる赤ちゃんの性別」の話であることはこれまでの流れからわかります。

I couldn't not know というのは見た目的に不思議な表現ですが、「"not know" という行為は、私にはできない(だろう)」という意味で理解すると良いでしょう。
この couldn't は can't の過去の意味「できなかった」ではなく、仮定のニュアンスが込められたもの。
その後に if 節を使い、「もし(担当の)お医者さんが知ってて、キャロルが知ってて、スーザンが知ってるなら」と続けていますので、「もしその複数の人たちが知っているのなら、私には”知らない”なんてことはできないでしょう」と言っていることになります。
医者、キャロル、スーザンの名前が出た後、それを受けるようにモニカは And Monica knows. と言っています。
内容としては「私も知ってる」ということなので (And) I know. でも良いわけですが、レイチェルが「もしこの人たちが知ってるなら」と言った流れに付け加える感じで、自分のことも客観的に人物名で表現したことになります。
if the doctor knows, and Carol knows, and Susan knows-- and Monica knows. ということですから、この「モニカが知ってる」も「もしモニカが知ってるなら」という if の意味が続いていると考えるのが自然だと思います。

モニカも知ってると聞いて、ロスは how could you know? と言います。
直訳すると「どのようにしてお前(モニカ)が知るってことが可能なんだよ?」というところ。
知らない僕を飛び越えて、どうして妹のモニカの方がその情報を知ってるんだよ、どうやって知ることが可能なんだよ、ということです。
モニカはシンプルに「キャロルがお礼の電話をしてきた。私が尋ねた。キャロルが教えた」と説明しています。

So what's it gonna be? の it = the baby で、「赤ちゃん(の性別)はどっちになるの?」という質問。
モニカがジョーイに教えてしまい、妹だけではなく友人の方が先に知ってしまうという事態に、ロスは皮肉っぽく Oh, great! 「最高だよ!」と言います。

I'm just excited about being an aunt. は「叔母さんになる[叔母さんである]ことについてただワクワクしてるの」。
叔母さんになると思うと嬉しくて、お腹の子の性別を知りたいと思っちゃうの、ということ。
血のつながりがあるんだから、知りたいと思う気持ちをわかって、というところですが、その後ジョーイが Or an uncle. と続けているのが面白いです。
モニカが「叔母さんになるということでワクワクして」ということなら、俺の場合は「叔父さん」ね、と言っていることになりますが、ロスの妹のモニカは赤ちゃんの叔母さんになるけれども、ロスの友達であるジョーイは何ら血縁関係はないので、叔父さんにはなりません。
女性のモニカが「叔母さん」と言ったから、男性のジョーイが男性版の「叔父さん」という単語を出したわけですが、トンチンカンなことを言っているジョーイを見て、ロスは唖然とした様子で目を見開き、首を振っているのも楽しいです。


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posted by Rach at 14:52| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月17日

かなり大きなコミットメント フレンズ1-12改その6

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7:55
ジョーイ: Okay, okay. How about if we split it? (わかった、わかった。俺たちで割り勘するってのはどう?)
チャンドラー: What do you mean? Like, buy it together? (どういうこと[意味]だよ? それって、一緒に買うってことか?)
ジョーイ: Yeah. (あぁ。)
チャンドラー: You think we're ready for something like that? (俺たちにはそういうことに対しての(心の)準備ができてると思うのか?)
ジョーイ: Why not? (どうしてできてないと思うんだよ?)
チャンドラー: Well, just that it's a pretty big commitment. I mean, what if one of us wants to move out? (ほら、ただ、それってかなり大きな、深いかかわり合いだと思うんだよ。ほら、もし俺たちの片方が引っ越したいと思ったらどうする?)
ジョーイ: Why, are you moving out? (なんだよ、お前は引っ越すつもり[予定]なのか?)
チャンドラー: I'm not moving out. (俺は引っ越さないよ[引っ越すつもりはないよ]。)
ジョーイ: You'd tell me if you were moving out, right? (もし引っ越すつもりならお前は俺に言うよな?)
チャンドラー: Yes, yes, it's just that, look, my last roommate, Kip-- (あぁ(言うさ)、ただ、ほら、俺の前のルームメイトのキップが…)
ジョーイ: Oh, I know all about Kip. (あぁ、キップのことは全部知ってるよ。)
チャンドラー: We bought a hibachi together and then he ran off and got married, and things got pretty ugly. (俺とキップは一緒にヒバチ[焼き肉用コンロ・グリル]を買って、それからやつは出て行って結婚して、ことがかなり厄介になったんだ。)
ジョーイ: Let me ask you something. Was Kip a better roommate than me? (ちょっと聞かせてくれ。キップは俺よりもいいルームメイトだったか?)
チャンドラー: Oh, don't do that. (あぁ、そういうのはやめてくれよ。)

How about if ...? は「〜したらどうですか?」と提案する表現。
split は「〜を割る、分割する」という動詞で、「壊れた机を買う」話をしているこの会話では「割り勘にする」という意味になります。
split the bill 「請求書を分割する」=「割り勘する」という感覚で、テーブルの支払いを二人で分け合おうということです。

チャンドラーは、split it というのは、buy it together ということだよな? と確認しています。
ready for thatは「そのことに対して準備が出来ている」ということ、つまり、「お金を出し合って一緒にものを買う、という覚悟があるのか」という感じ。
一緒に机を買うことについて「心の準備」の話をされたので、ジョーイは Why not? 「どうして準備ができてないと思うんだよ?」と返します。

a pretty big commitment の pretty は形容詞「可愛い、プリティな」ではなく、「かなり」という意味の副詞であることに注意しましょう。
形容詞 big を「かなり(大きな)」と強める役割を果たしています。

commitmentは「深くかかわり合うこと」というニュアンス。
commitment の日本語訳を英和辞典で調べてみると、「かかわり合い、献身、傾倒」「本気で深く関与すること」「特定の人と交際すること」などと書いてあります。
動詞 commit の名詞形なので、まずは commit という動詞から見てみましょう。
日本語で様々に訳される単語は、英英辞典でそのイメージを確認してみることも大切です。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) での commit の基本的な意味は、
commit :
2. SAY YOU WILL DO SOMETHING
to say that you will definitely do something or that you must do something

「絶対に何かをする、または何かをしなければならないと言うこと」
3. RELATIONSHIP
to decide to have a long permanent relationship with someone

「誰かと長く永続的[恒久的]な関係を持つことを決めること」

続いて、名詞の commitment も見てみましょう。
同じく LAAD では、
commitment :
1. a promise to do something or to behave in a particular way

「何かをする、またはある特別な方法で振舞うという約束」
2. the hard work and loyalty that someone gives to an organization, activity etc.
「ある人が組織や活動に与える勤勉や忠誠」
3. someone's decision to have a permanent relationship with another person, especially a decision to get married
「ある人が別の人と永続的な関係を持つという決心、特に結婚するという決心」
4. something that you have promised you will do or that you have to do
「すると約束したこと、またはしなければならないこと」

「約束、忠誠」などが「献身、傾倒」のイメージで、3. の「ある人との(結婚を意識したような)永続的な関係」が「特定の人と交際すること」というイメージに繋がると言えるでしょう。

フレンズはラブ・コメでもあるので恋愛がらみの話が多く、commitment というと、そういう恋愛関係にある人物間の relationship での意味、「特定の人と深く真剣に交際すること」というニュアンスで使われることが多いです。
言葉を変えると「深いかかわり(拘り、関わり、係わり)合いを持つこと」「深入りすること」「退っ引きならない(のっぴきならない)関係になること」「引くに引けない関係になること」「遊びではなく真剣に付き合うこと」などと様々に表現できるでしょうか。

遊びのつもりで軽く付き合うこと、というのとは正反対のイメージで、今回のエピソード、フリング(軽いお遊び)はフリングされてる(ポイされてる)はずでは フレンズ1-12改その2 に出てきた、fling 「遊びで軽くつきあうこと、短期間の情事、長続きしないロマンス」と正反対の意味だと言えるでしょう。
二人で一緒に物を買ったりして、一人が引っ越す気になった時、どうするんだよ? と言っていますが、結婚する時に二人でお金を出し合って家財道具を買うと、離婚時にどちらがどれを取るかでモメる、というイメージが、チャンドラーの頭の中にあるようです。

「もし片方が引っ越したいと思ったら」という発言を聞いて、ジョーイは Why, are you moving out? と返しています。
この現在進行形は「(今)〜している」という意味ではなく、「決まった近い将来の予定を表す」現在進行形になります。
「お前は引っ越すつもりなのか? 引っ越す予定なのか?」と訳すとよいでしょう。
問われたチャンドラーの方も同じく「予定」を表す現在進行形を使って、「俺は引っ越すつもり・予定はない」と返しています。
You'd tell me if you were moving out, right? の You'd は You would ということで、仮定法過去が使われていることになります。
「もし引っ越すつもりなら、お前は俺に(引っ越すことを)言うだろう…な?」というニュアンス。
「実際には引っ越さないとお前は今言ったが、それに反して、もし引っ越すつもりなら」と現実とは反対の仮定をしていることから仮定法過去(were)が使われているということです。

「引っ越すつもりならもちろんお前に言うよ」という意味で yes と答えた後、「(引っ越すとかじゃなくて)ただ前のルームメイトのキップが」と、名前を出しています。
それを聞くや否や、ジョーイは立ち上がり、「キップのことなら全部知ってるよ」と返します。
名前を聞いた途端にそう反応した様子から、チャンドラーが前のルームメイトであるキップの話をあれこれジョーイに話すこと、ジョーイはそのキップの話をされるのはうんざりだと思っている様子が伺えます。
「またキップの話かよ。もう嫌ってほど聞いてるよ」という感じです。

チャンドラーはキップとの間にあった出来事を説明しています。
hibach は見た目の通り、日本語の「火鉢(ひばち)」が語源です。
アメリカでは、バーベキューなどで肉を焼く時に金網を乗せて使うコンロ・グリルを指すようです。
LAAD では、
hibachi : a small piece of equipment for cooking food outdoors, over burning charcoal
つまり、「燃える炭の上で外で食べ物を調理するための小さな器具」。

bought, ran off, get married 「(二人で)買って、(やつが)出て行って結婚して」という流れがテンポ良く説明され、その結果 things got pretty ugly と言っています。
ugly は「醜い、不細工な、見苦しい」という意味で、「悪い、厄介な、面倒な」という意味でも使われます。
この場合は「物事がアグリーになった」ということなので、「こと・状況が厄介になった」と理解すればよいでしょう。
got pretty ugly の pretty も、今回の記事で最初に説明した a pretty big commitment と同じく、後に続く形容詞を強調する副詞「かなり」という意味になります。
カタカナで「プリティ/アグリー」と書くと「可愛い/醜い」という対義語が並んでいるようにも見えて「??」となりそうですが、これはあくまで意味を強調する副詞であって「可愛い」という意味は全くないということです。

一緒にヒバチを買ったのに、彼は逃げて他の女と結婚して…みたいに言っていますが、まるで「一緒に家財道具を買ったのに、彼は自分を捨てて他の女に走った」と恨み言を言う「元恋人」の発言のように聞こえてしまうところもポイントです。
それを聞いたジョーイは、こちらも真剣な様子で「キップは俺よりもいいルームメートだったか?」と尋ねています。
「そういう質問はやめてくれ」とチャンドラーは返していますが、ジョーイの質問もまた「自分よりもその元恋人の方が良かった?」と嫉妬心むき出しみたいな発言になっているのも面白いところです。


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posted by Rach at 13:01| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする