2021年08月09日

go down that road フレンズ1-11改その21

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21:23
[Ross knocks on Mon+Rach's door]
ロスはモニカとレイチェルの家のドアをノックする。
チャンドラー: Hey. (おい。)
ロス: You mean that? ((今、僕に)おい、って言ってる?)
チャンドラー: Yeah, why not? [They shake hands] So I told her. (あぁ、もちろんだ。[二人は握手する] それで、俺はあの人(母親)に話したよ。)
ロス: Oh. How did it go? (あぁ。どんな感じにいった?)
チャンドラー: Awful. Awful. Couldn't have gone worse. (ひどい。ひどかったよ。これ以上悪くなりようがないくらい(最悪)だった。)
ロス: Well, how do you feel? (それで、どんな気持ち?)
チャンドラー: Pretty good. I told her. (かなりいいよ。あの人に話せた(から)。)
ロス: Well, see? So maybe it wasn't such a bad idea, y'know, me kissing your mom, huh? Huh? [Wags his finger at Chandler, then puts it down] But we don't have to go down that road. (あぁ、だろ? なら多分、そんなに悪いアイディアじゃなかったよな、ほら、僕が君のママにキスしたことは、だろ? だろ? [ロスは自分の指をチャンドラーに向けて揺すり、それから指を下ろす] でもあんな風に[あの時みたいに]する必要はないよな。)
[Credits]

チャンドラーとママがいるところに取り残されてしまったロスは、チャンドラーのママが去った後、モニカとレイチェルの家に用事があっただけだ、というように、部屋をノックしています。
そのロスにチャンドラーが Hey. と声を掛け、ロスは You mean that? と返します。

You mean that? は「そういう意味・意図で言った?」という意味で、Hey. という人に声を掛ける時の言葉を僕に向かって言った? チャンドラーは僕に対して激怒していたのに君の方から今声を掛けた? と尋ねた感覚になります。
why not? を直訳すると「どうして not なんだよ?」ということで、「どうして”そういう意図で言ってない”って思うんだ? 当然そういう意図で言ったんだよ」ということ。

How did it go? は「状況がどのように進んだか?」ということで、ママとの会話がどんな風に進んだか、どんな感じだったかを尋ねる質問。
awful は「ひどい、最悪な」。
couldn't have gone worseは、「これ以上さらに悪くなることなどできなかっただろう」、つまり「これ以上悪くなりようがないほど、最低最悪」という意味になります。
逆に、couldn't be betterは「これ以上は良くなりようがない」ですから、「絶好調だ、最高だ」という意味になり、出会った時の挨拶で、"Hi! What's up?" 「やぁ、調子どう?」と聞かれた際、"Couldn't be better." 「最高だよ」とやり取りでよく使われます。
pretty good の pretty は副詞で「かなり」。

So maybe it wasn't such a bad idea, y'know, me kissing your mom, huh? について。
it wasn't such a bad idea の it は、その後に出てくる me kissing your mom 「僕が君のママにキスしたこと」になります。me は動名詞 kissing の意味上の主語。
「僕が君のママにキスしたことも少しは役に立っただろ。こうしてママとじっくり話し合う機会を持てたんだから」という意味でそう言いながら、ロスは得意げにチャンドラーに指を向けたのですが、またセントラルパークでのギリシャ悲劇のくだりのように指をひねられてはいけないと思ったらしく、But we don't have to go down that road. と言って指を折り曲げることになります。

we don't have to go down that road. の go down that road は、Cambridge Dictionary で以下のように出ていました。
go down that road : to decide to do something in a particular way
例)I don't think we want to go down that road.

つまり「ある特定の方法で何かをすると決めること」。例文は「僕たちはその方法ではやりたくないと思う」。

この Cambridge Dictionary の例文は、今回のロスのセリフによく似ています。
go down that road を直訳すると「その道を行く・歩む・進む」ですから「ある方法で何かをする・行動する」という意味になるのはわかりやすいでしょう。
that road 「その道・あの道」のように指示代名詞が使われていることで、具体的な内容を言わなくてもお互いにその行動が容易にイメージできる場合に使われることになります。
今回のロスのセリフも、僕たちが前にやったことを繰り返す必要はないよね、という感覚になるでしょう。
ここでは主語が「僕たち」になっていますが、「前の人と同じ失敗はしない」という意味の「同じ轍(てつ)は踏まない」(「轍」(てつ・わだち)=車輪の跡)という日本語表現に似た感覚もあるような気がします。


22:00
[Credits Scene: Mon+Rach's. Rachel is handing out copies of her book to the gang]
クレジット・シーン:モニカとレイチェルの部屋。レイチェルはギャング(フレンズたち)に自分の本のコピーを配っている。
レイチェル: Okay. Now this is just the first chapter, and I want your absolute honest opinion. Okay? Oh, and on page two, he's not reaching for her "heaving beasts." (いいわ。今、これはまだ第1章で、あなたたちの真っ正直な意見が欲しいのよ、いい? あぁ、それから、2ページ目、彼は彼女の「あえぐ獣(けもの)」に手を伸ばしたんじゃないのよ。)
モニカ: What's a "niffle"? (”ニフル”って何?)
ジョーイ: You usually find them on the heaving beasts. (たいてい、あえぐ獣の上にあるものだよ。)
レイチェル: Alright, alright, so I'm not a great typist. (わかった、わかった、だから私はタイプが得意じゃないのよ。)
ロス: Wait, did you get to the part about his "huge, throbbing pens"? Tell ya, you don't wanna be around when he starts writing with those! (待って、彼の「巨大な、脈打つペン」って部分まで行った[到達した、読んだ]? ほら、彼がそんなペンで書き始める時にそこにいたくない[居合わせたくない]よな?)
レイチェル: Alright, that's it. Give them back! That's it! (わかった、そこまでよ。それを返して! 終わりよ!)
みんな: Nooo! (えー!)

absolute honest opinion は「真っ正直な意見」。absolute は「完全な、全くの」なので、absolute honesty なら「真っ正直」となります。

reach for は「〜に手を伸ばす」。
字幕で "heaving beasts" と引用符がついており、その部分がタイポ(typo、タイプミス)であることが示唆されています(その後のレイチェルのセリフに typist という単語が出てくることからもわかります)。
heave は「うねる、波打つ」「あえぐ」で、heaving breast だと「波打つ胸、(激しく息をして)あえぐ胸」になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
heave : CHEST/SHOULDERS if someone's chest or shoulders heave, they are breathing very hard.
つまり「もしある人の胸または肩が heave するというのは、それらが非常に激しく呼吸しているということ」。

レイチェルは、チャンドラーのママ、ノーラ・ビングに倣って官能小説を書いているので、「彼は彼女のあえぐ胸に手を伸ばす」というエッチな描写を書くつもりが、breast と書くべき部分を r を入れない beast 「野獣、けもの(獣)、けだもの」とタイプしてしまったようです。

You usually find them on the heaving beasts. を直訳すると、「たいてい、人は heaving beasts の上に niffles を見つける」ということで、「たいていは niffles の上にあるものだね」という感じ。
niffle は見た目の通り、nipple 「乳首」のタイプミス。
乳首は胸(breasts)の上にありますから、このジョーイのセリフからも、beasts は breasts のタイプミスであることがわかります。
レイチェルの niffle というタイプミスを、別のタイプミス(beasts)を使って説明しているという面白さです。

I'm not a great typist. は「私はタイプ(タイピング)がうまくない、得意じゃない」。
直訳すると「私は良い・素晴らしいタイピストじゃない」ということですが、タイピストと表現するとタイプライターを打つ職業のように聞こえてしまいそうですから、このような I'm not a great -ist/-er.(〜する人). という形は「〜するのがうまくない・得意じゃない人」という感覚で理解すると良いでしょう。

did you get to the part about...? は「…についての部分にみんな到達した?」。
レイチェルの書いた文章を読んで、そこまで行った? その部分を読んだ? と問いかけていることになります。
throb は「鼓動する、脈打つ、ズキズキする」。なので、
LAAD では
throb
1. if a part of your body throbs, you get a regular feeling of pain in it
3. if your heart throbs, it beats faster or more strongly than usual

つまり、1. は「体の一部が throb するというのは、そこに規則的な痛みの感覚を感じること」。
2. は「心臓が throb するというのは、普段よりもより速く、より強く鼓動すること」。

huge, throbbing (pens) は「巨大な脈打つ(ペン)」で、エッチな小説っぽく penis と書くべきところを、pens とタイプしてしまった( i が抜けてしまった)ということ。
もしそういう「ペン」があったら怖いよねぇ、彼がそのペンで[ペンを使って]文字を書く(write with those)としたら、彼のそばにはいたくないよねぇ、と言っています。
with は「〜を使って、〜を用いて、〜で」という「道具や手段」を表す前置詞。

みんながレイチェルの小説のタイポをからかいまくるので、レイチェルは原稿を返してと怒ります。
That's it. にはいろいろな意味がありますが、ここでは「そこまでよ、終わりよ」という意味になります。


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posted by Rach at 21:57| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月16日

『Avengers: Age of Ultronで英語が話せる本』本日発売です!

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私の著書10冊目『Avengers: Age of Ultronで英語が話せる本』が、本日2021年7月16日(金)に KADOKAWA より発売となります!

アマゾンではこちら。
Amazon.co.jp: Avengers: Age of Ultronで英語が話せる本
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2020年12月25日に『Avengers: Infinity Warで英語が話せる本
2021年02月26日に『Avengers: Endgameで英語が話せる本 上』『Avengers: Endgameで英語が話せる本 下
を発売させていただきましたが、今回は『エイジ・オブ・ウルトロン』を出させていただけること、とても嬉しいです♪

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の作品の中で『アベンジャーズ』シリーズは全4作あり、この『エイジ・オブ・ウルトロン』は2作目に当たります。
3作目『インフィニティ・ウォー』、4作目『エンドゲーム』を先に出させていただいた後で、2作目に「戻った」形になりましたが、既刊と合わせてお読みいただければ大変嬉しく思います。

現在、『エンドゲーム』から2年ぶりとなるマーベル映画最新作『ブラック・ウィドウ』が公開されていますが、『エイジ・オブ・ウルトロン』でもブラック・ウィドウ(ナターシャ・ロマノフ)の活躍が描かれていました。
最新作『ブラック・ウィドウ』にも共通するようなダイナミックなアクションシーンや、彼女の過去「レッドルーム」にまつわる回想シーンなども出てきます。
また、ディズニープラスで配信されていたマーベルのドラマシリーズ『ワンダヴィジョン』の主人公二人が出会う作品でもあります。
そのように『エイジ・オブ・ウルトロン』は、映画『ブラック・ウィドウ』やドラマ『ワンダヴィジョン』の予習にも最適なものとなっていますし、もちろん他のMCU作品とのリンクもたくさんあります。

MCUの世界はこれからもどんどん広がっていき、ますます目が離せません。
『アベンジャーズ』シリーズのうち3作の本を担当させていただけたこと、実に光栄です。
大好きなMCU作品の本をこうしてまた出させていただくことができましたのも、拙ブログを読み、応援して下さる皆様、拙著をお買い上げ下さった皆様のおかげと心より感謝しております。
本当にありがとうございます<(_ _)>

洋画や海外ドラマの生きたセリフから英語を学ぶことはこんなに楽しい、こんなに多くのことが学べる! ということをお伝えすることができるよう、これからも全力で頑張ります!
どうかこれからもよろしくお願いします。

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posted by Rach at 14:08| Comment(2) | 著書10冊目 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月03日

come back「(素早く、気の利いた)返答をする」 フレンズ1-11改その20

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20:21
ジョーイ: Wait, wait! Then she came back with "The question is, when are you gonna grow up and realize I have a bomb?" (待て、待て! それからママがこう返したんだ。「問題はこうよ、あなたはいつ大人になって私が爆弾を持ってると気づくの?」)
ロス: 'Kay, wait a minute. Are you sure she didn't say, "When are you gonna grow up and realize I am your mom?" (よし、ちょっと待って。ママがこう言ってなかったのは確かか? 「あなたはいつ大人になって、私があなたの母親だってことに気づくの?」って。)
ジョーイ: That makes more sense. (その方が、より意味が通るな。)
ロス: You think? (そう思う?)
うんうんとうなずくジョーイに、あきれ顔のロス。
ロス: So, what's going on now? (それで、今何が起こってるの?)
ジョーイ: I don't know. I've been standing here spelling it out for you. [Goes back to the door] I don't hear anything. Oh, wait, wait, wait. [Looks through the spyhole] (わからないよ。俺はずっとここに立って、お前に説明してたんだぞ。[ドアのところに戻る] 何も聞こえない。あぁ、待て待て待て。[覗き穴から見る])
ロス: What do you see? (何が見える?)
ジョーイ: It's hard to tell. They're so tiny and upside down. Wait, wait, wait! They're walking away. They're walking away. No, no, they're not. They're coming right at us. Run, run! (わかりにくいな。すごく小さくて上下が逆だから。待て待て待て! 二人は向こうに歩いていく。向こうに歩いていく。違う違う、そうじゃない。二人は俺たちに向かってまっすぐ進んでる。逃げろ、逃げろ!)
[Joey runs off down the hall. Ross tries Mon+Rach's apartment, but it is locked so he has to stand in the hall and pretend he wasn't listening. Chandler and his mom come out]
ジョーイは廊下の向こうへと逃げ出す。ロスはモニカとレイチェルのアパートメントに入ろうとするが、鍵がかかっていて、ロスは廊下に立っていなければならず、自分は(何も)聞いていないふりをする。チャンドラーと彼のママが出てくる。)
ノーラ: You okay, kiddo? (大丈夫、坊や?)
チャンドラー: Yeah, I'm okay. (あぁ、俺は大丈夫だ。)
ノーラ: Alright. You be good. [Kisses him] (良かった。いい子でいてね。[彼にキスする])
チャンドラー: Drive safe. (安全運転で。)
[She walks down the hall]
ノーラは廊下を歩いてくる。
ロス: [Very politely] Mrs. Bing. ([非常に丁寧に]ビングさん。)
ノーラ: Mr. Geller. (ゲラーさん。)
[She leaves]
ノーラは立ち去る。

she came back with "..." の come back は「(気の利いた)返答をする」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
come back :
to reply to something that someone said with a quick funny remark
with
例)I couldn't think of a clever remark to come back with.

つまり「誰かが言ったことに対して、素早く面白い発言で返答すること」。例文は「返答すべき、冴えた発言を思いつくことができなかった」。

動詞の come back にそのような意味があることから、名詞 comeback には「(気の利いた、素早い)受け答え」という意味があります。
LAAD では、
comeback [noun] : a quick reply that is smart or funny (SYN: retort)
例)I can never think of a comeback when I need one.

つまり「賢くて[気が利いていて]面白いような、素早い返答」。例文は「必要な[肝心な]時に、気の利いた返しを全く思いつかなかった」。

comeback は「カムバック」というカタカナ語の通り「(返り咲いて)戻ってくること」という意味もありますが、会話においては、相手の発言に対して戻ってくるもの、という意味の「返し、返答」を意味するということです。

The question is ... は「問題は…ということだ」。
その後、続けて、when are you gonna grow up and... とチャンドラーと同じようなフレーズを言っています。「そういうあなたこそ、いつ(になったら)…」と言い返したということです。
I have a bomb / I am your mom は、ジョーイが聞き間違えたセリフと、本当のセリフ。
いつになったら、realize する(悟る)の?と悟る内容を語っているのですが、ジョーイには I have a bomb と聞こえたらしく、それだと「私が爆弾を持ってるっていつになったらあなたは気付くの?」となり、意味不明です。

Are you sure she didn't say ... を直訳すると「ママが…と言わなかったのは確かか?」。
「ママは本当はこう言ってたんじゃないか?」というのを「こう言ってなかったと断言できるか?」のような表現で尋ねたことになります。
ジョーイの have a bomb 部分が間違っていることを示すために、am your mom の部分をゆっくりと強調して言っています。

That makes more sense. は「それ(今ロスの言った言葉)の方が、(さっきの俺が言った言葉)より、意味が通じるな」。
make sense は「道理にかなっている、筋が通っている、つじつまが合う、意味をなす」。
「そのロスの解釈の方が、俺が聞き取った言葉よりも、さらに筋が通ってるな」ということですが、「それなら意味が通じるな」ではなく、「その方がさっきのより意味が通じるな」と言っているのが、このセリフの面白さのポイントになっている気がします。
この会話の中に bomb「爆弾」が出てきても全く意味が通らないのに、ジョーイからすると「爆弾を持っている」という発言でもそれなりに意味が通じるように思っているらしいことがわかる、という面白さでしょう。

You think? を直訳すると「君は(そう)思う(の)?」ですが、これは「やっぱり君もそう思うだろう?」という共感のニュアンスではなく、You think? (I don't think so.)「君はそう思うんだな? 僕はそうは思わないけど」という否定のニュアンスが入っているものだと考えられます。
ロスの発言を聞いて、That makes sense. 「それなら意味が通じるな。筋が通るな」と言ったのなら問題ないのですが、more という単語が一語入っていることで「そのほうが「より」筋が通る」→「俺のも筋は通るけど」というジョーイの考えが見えるところが笑いのポイントだと思うわけです。

You think? の後、うんうんとうなずくジョーイを見た後、しばらくしてからロスはあきれた様子を見せています。
「爆弾を持ってる」という聞き間違いをしたことにあきれているのではなく、その聞き間違いがどれほどあり得ないトンチンカンな発言であったかに気づいていないジョーイにあきれている、ということでしょう。

I've been standing here spelling it out for you. について。
spell out は元々は「言葉を一字一字綴る」で、そこから「(誤解のないように)詳細に・詳しく説明する」という意味になります。
中の様子を尋ねるロスに、「今、俺は中の状況を詳しくお前に説明するために、ドアから離れたところでずーっと立ってたんだから、今どういう状況なのかわかるわけない」ということです。

upside down は「上の側が下にある」ということから「上下逆さまに」。
inside out なら「表裏逆に」となります。

kiddo は年下に対する親しい呼び掛け語。
You be good. は(前回の記事で出てきた)Be good. と同じような意味で「いい子でね、いい子でいてね」。
命令形 Be good. を強調するために主語 You を付けた形が You be good. になります。
「あなたはいい子ね」だと、You are good. となりますので、You be の形が「命令形の動詞の原形 be に、強調のニュアンスで主語 You がついた形」であることに注意しましょう。

Drive safe. は「安全に運転してね。安全運転で(ね)」。
「安全に」運転して、と言いたい場合、通常は副詞の safely を使って、Drive safely. と表現できますが、今回のセリフのように -ly なしの safe も、safely と同じような副詞の意味で使うことができます。

英英辞典 Merriam-Webster に、まさにこの「drive safe か drive safely か?」というコラムが掲載されています。
Merriam-Webster : Is it 'Drive Safe' or 'Drive Safely'?
そのコラムでは「safely と同様に safe も正しい」と明言されており、この safe は形容詞と同じ形を持つ flat adverb 「単純形副詞」だと説明されています。
英語の口語では、形容詞 real を、副詞 really の意味で使うなどの flat adverb に出会うことが多いです。

廊下で顔を合わせたノーラとロスは、挨拶として、ファーストネームではなく、名字で呼び掛けています。
大人として礼儀をわきまえた振る舞いをしている姿をチャンドラーに見せ、男女の関係ではないことをアピールしています。
「これでいいでしょ」と言いたげに息子を振り返ったノーラに対し、チャンドラーが少し微笑みを見せるのもいいですね。


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posted by Rach at 15:18| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月21日

または、そういう趣旨のこと フレンズ1-11改その19

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19:13
[Scene 8: Chandler and Joey's. Chandler is talking with his mom]
シーン8:チャンドラーとジョーイの部屋。チャンドラーは彼のママと話している。
ノーラ: The car's waiting downstairs. I just wanted to drop off these copies of my book for your friends. Anything you want from Lisbon? (車が下で待ってるの。私はただ、あなたのお友達のために私のこの本を置いていきたかっただけなの。リスボンで何か欲しいものある?)
チャンドラー: No, just knowing you're gonna be there is enough. (いや、ママがそこに行くってわかっただけで十分だよ。)
ノーラ: All right. Well, be good. I love you. [Kisses him and goes to leave] (よし。じゃあ、いい子でね。愛してるわ。[チャンドラーにキスして去ろうとする])
チャンドラー: You kissed my best Ross! Or something to that effect. (ママは俺の親友のロスにキスした! もしくは[って言うか]そういう趣旨のこと。)
ノーラ : [Reentering] O-kay. Look, it, it was stupid. ([再び部屋に入って] わかった。ねぇ、ばか(なこと)だったわ。)
チャンドラー: Really stupid. (本当にばかだ。)
ノーラ: Really stupid. And I don't even know how it happened. I'm sorry, honey, I promise it will never happen again. Are we okay now? (本当にばかだわ。そして私はそれがどんな風に始まったのかすらわからないの[いつの間にかそういうことになってたの]。ごめんなさい、ハニー、約束するわ、二度とそんなことは起こらない、って。(これで)もう、私たちは大丈夫[問題ない]?)
チャンドラー: Yeah. No. No... (ああ。いや、いや(大丈夫じゃない)…)
[Cut to Joey listening at the door. Ross walks up]
ドアのところで聴いているジョーイへ画面がカット。ロスが歩いて近づいてくる。
ロス: Ah, the forbidden love of a man and his door. (あぁ、人間の男と彼のドアとの禁じられた愛だな。)
ジョーイ: Shh. He did it. He told her off. And not just about the kiss, about everything. (シーッ。チャンドラーはやった。自分のママに文句を言ったんだ。それにあのキスのことだけじゃなく、すべてのことについて。)
ロス: You're kidding? (冗談だろ?)
ジョーイ: No, no. He said, "When are you gonna grow up and start being a mom?" (いや、いや。あいつは言ったんだ、「あんたはいつ成長して(大人になって)、母親になり始めるんだよ?」って。)
ロス: Wow! (ワォ!)

drop off は「(乗り物から)(人)を降ろす、(荷物)をおろす」という意味があり、この場合は、「この本を置いていく」という感覚。
copy は「(本の)1冊、1部」。
日本語で「コピー」というと、「複写、転写、写し」のニュアンスが強いですが、本や雑誌を何部という場合には、このように copy という単語を使います。
過去記事、彼みたいな男のために325頁もめくらない[読まない] フレンズ1-11改その8 でも、ノーラ: I have sold 100 million copies of my books, and y'know why? (私はこれまでに自分の本を1億部も売ってきたの、なぜだかわかる?)というセリフで、copy という単語が使われていました。

今回のノーラのセリフでも、友人たちの分の冊数の本のことを、these copies of my book と表現しています。
「copy =複写のコピー」だという思い込みがあると、本をコピー機でコピーしたものを置いていくかのように勘違いしてしまうかもしれませんのでご注意下さい。
このセリフは、本そのものを複数部数置いていく、ということになります。

Anything you want from Lisbon? (リスボンで何か欲しいものはある?)と聞かれたチャンドラーは、No, just knowing you're gonna be there is enough. (ママがそこに行く予定だってことを知っただけで十分だよ。)と返します。
ニューヨークに来る時も、そのことをテレビ番組の中で言っていただけのママでしたが、今度の行き先も「リスボンで何か欲しいものは?」という言い方で、次の行き先はポルトガルの首都リスボンであることをそれとなく知らせています。
今の言葉でママの行き先がわかったから、それで十分だよ、ということで、そんな言い方で行き先を知らせるママに対して、わずかながらの皮肉を込めた言い方かもしれません。

Be good. は「良い状態でいろ、いなさい」ということですから、親が子供に言う「いい子でいてね、いい子にしててね」ということ。

チャンドラーの You kissed my best Ross! Or something to that effect. について。
something to that effect は「そういったようなこと、そういう趣旨のこと」。
to that/this effect で「その/この趣旨で・趣旨の」という意味になります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
to this/that/the effect : used when you are giving the general meaning of what someone says, rather than the exact words
例1)Barkley's response was, "Go away," or words to that effect.
例2)The letter said something to the effect that her job was no longer safe.

つまり、「正確な言葉そのものというよりも、誰かが言うことの一般的な意味を与えている時に使われる」。
例文1は「バークレーの返答は「あっちに行け」、またはそういう趣旨の言葉だった」。
例文2は「その手紙は、彼女の仕事がもはや安全ではないという趣旨のことを言っていた」。

発言や言葉そのものの正確な表現ではなく、内容や趣旨を指す表現となります。

今回のチャンドラーも、そこまでダイレクトで決定的なセリフとして言うつもりはなかったのに、「俺の親友のロスにキスしたくせに!」と、つい大声で叫んでしまったので、言葉の直接的な感じを弱めるために、「とか、まぁ、そんな趣旨のことだ。とかまぁ、そういうことが言いたかったわけだ」みたいにぼかした表現になるでしょう。
これまでは母親と面と向かって対決するのを避けていましたが、今回は思い切って言葉に出して初めて言ってみた、今まで言えなかったことを大声で言ってしまった、そういう自分自身に驚いて、表現を濁した、和らげてみたのでしょう。
本当はもっと遠回しに言いたかったのに、去っていくママに早く何か言わなければと思うあまりに、直接的な表現を使ってしまったことに対する戸惑いを隠すようなものだと思われます。

その後、部屋の中でチャンドラーとママとの議論が始まり、ジョーイはドアに耳をつけて中の会話を聞いています。
The forbidden love of a man and his door. は「人間とドアとの禁断の愛」。
forbid は「〜を禁じる」なので、その過去分詞形の forbidden は「禁じられた、禁断の」。聞き耳を立ててドアにぴったりくっついている様子を、愛しいドアから離れられない男であるかのように表現しています。
forbidden fruit だと「禁断の木の実」。
LAAD にも、
forbidden fruit = something you should not have, but that you want
つまり「持つべきではないが、欲しいもの」という意味が出ています。

tell off は「文句を言う」。
親が子供に対してなど、立場の上の者が下の者を叱る、というニュアンスもあります。
LAAD では、
tell somebody off [phrasal verb] :
to talk angrily to someone because they have done something wrong
例)My mother told him off.

つまり、「誰かが悪いことをしたという理由で、怒りながらその人と話をすること」。
例文は「私の母が彼を叱った」。

今までママの言動について、面と向かって文句や注意を言えなかったチャンドラーが、今回はきちんと向き合って会話している様子が連想されます。

When are you gonna grow up and start being a mom? は「あんたはいつ大人になって、母親になり始めるんだよ?」。
つまり、立派に成長した大人になりきれていない、また立派なママでもないことを非難するセリフ。
いつまでも年頃の女の子のように、恋愛にうつつを抜かして、少しもママとして振舞おうとしない、人の母親らしい行いをしたらどうなんだ? と責めているということです。


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posted by Rach at 14:25| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月15日

ブログ16周年

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2005年6月15日に開始したこのブログ、今日で16周年を迎えることができました!
16年間、このブログを続けることができましたのは、このブログを読んで下さり、応援し続けて下さった読者の皆様方のお蔭と心より感謝しております。
本当にありがとうございます<(_ _)>

今もブログランキングの上位にいさせていただけていることも大変ありがたく思っております。
ランキングクリックで応援して下さっている皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

ブログ15周年以降のこの1年間に、KADOKAWA からアベンジャーズの本を3冊出させていただくことができました。
2020年12月25日発売 『Avengers: Infinity Warで英語が話せる本
2021年02月26日発売 『Avengers: Endgameで英語が話せる本 上』『Avengers: Endgameで英語が話せる本 下

3books_480px ブログ用.jpg

これで通算9冊の本を出させていただいたことになります。
1年前のブログ15周年の時には「1年の間に著書を2冊出させていただけたのは今回が初めて」と言っていたのですが、今回の16周年では「1年で3冊」出させていただけたことをご報告できること、本当にありがたく光栄に思っております。

海外ドラマや洋画には字幕・吹替などの日本語訳が付いていますが、それらには文字数・秒数制限があるため、英語のセリフの意味の全てを訳出したり、ジョークの背景となる文化やポップカルチャーを説明したりすることは難しいことになります。
オリジナルの英語のセリフの意味を深く知りたい、という思いで海外ドラマを使って英語を学び、そして学んだり調べたりしてわかったことを「解説」として多くの人に伝えたい、という思いで、16年前に私はこのブログを始めました。
今、こうして世界的に大人気のMCU(アベンジャーズ)の「英語のセリフを解説」した本を立て続けに出させていただくことができたことは本当に幸せです。

私はこのブログで「フレンズ」のセリフを解説してきましたが、今年はその「フレンズ」にもビッグニュースがありました。
フレンズのキャスト6人が集結したスペシャル番組『フレンズ:ザ・リユニオン』(Friends : The Reunion)が配信され、日本でも5月31日から、U-NEXT で独占配信されています。
この「ザ・リユニオン」は、
ファイナルまで観ていない方にとっては、おもいっきりネタバレになってしまうのでご注意!
していただきたいのですが、
ファイナルまで見届けた方にとっては、あんなシーン、こんなセリフと懐かしさ大爆発の、夢のようなスペシャル番組だったと思います。
「フレンズ:ザ・リユニオン」がどのくらい人気かわかる記事がこちら(↓)
FRONTROW(フロントロウ):『フレンズ』の同窓会スペシャル『フレンズ:ザ・リユニオン』が日本でも海外でも最高記録を達成

こんなにも素晴らしい作品に出会えたこと、ファンの皆さんが覚えている数々の名セリフをこのブログで解説させていただけたことを、改めて嬉しく光栄に思いました。
「フレンズ」はアメリカで1994年9月開始、2004年5月が最終回でしたから、現在で開始から27年、終了からでも17年経っています。
それほどの時を経て、今もこんなに愛され続けている「フレンズ」をテーマにさせていただいたからこそ、私のこのブログも16年間存在できたのだと思っています。

「ザ・リユニオン」にはフレンズのファンという著名人がたくさんゲストとして登場しており、フレンズという作品の影響力の大きさを強く感じました。
その中で、BTSのRMさん(ナムさん)が「フレンズで英語を学んだ」とコメントされていたように、英語の流暢な彼がフレンズで英語を学んだというのは有名なお話です。
動画配信サービスの発達のおかげで、ドラマや映画を観る環境はどんどん便利になっています。
海外ドラマや洋画で英語を学ぶ方がもっともっと増えてくれればいいな、と心から願っています。

ドラマや映画で生きた英語を学ぶ楽しさやその効果を一人でも多くの方に伝えることができるよう、これからも頑張ります!
ブログの読者の皆様、16年間本当にありがとうございました。
これからも引き続き、どうかよろしくお願いいたします。


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posted by Rach at 16:54| Comment(6) | 節目となる出来事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする